(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙搬送方向に間隔を置いて配置された二対の圧着ローラ対と、各圧着ローラ対を回転駆動する駆動部と、両圧着ローラ対間に配置されたカール検出センサーと、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記各圧着ローラ対により、搬送される用紙を順次圧着する、用紙圧着装置の制御方法において、前記カール検出センサーにより、搬送上流側の前記圧着ローラ対で圧着された用紙のカールの向き及びカール量を検出し、検出値を前記制御部に入力し、前記制御部は、用紙にカールが生じている場合に、搬送下流側の前記圧着ローラ対における上下の圧着ローラの少なくともいずれか一方の圧着ローラの周速度を変更することにより、前記カール量が0となるように前記搬送下流側の圧着ローラ対の上下の圧着ローラ間の周速度比を制御する、用紙圧着装置の制御方法。
前記制御部は、用紙が上方にカールしていると判断した場合には、前記搬送下流側の圧着ローラ対において上側の圧着ローラの周速度が下側の圧着ローラの周速度より速くなるように、前記搬送下流側の圧着ローラ対の上下の圧着ローラ間の周速度比を制御し、用紙が下方にカールしていると判断した場合には、前記搬送下流側の圧着ローラ対において上側の圧着ローラの周速度が下側の圧着ローラの周速度より遅くなるように、前記搬送下流側の圧着ローラ対の上下の圧着ローラ間の周速度比を制御する、請求項1記載の用紙圧着装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔本発明の第1の基本形態〕
図1乃至
図8は、本発明を実施する用紙圧着装置(第1の基本形態)を備えた圧着葉書製造装置であり、これらの図面に基づいて、圧着葉書製造装置の構造を説明する。
【0017】
図1は、圧着葉書製造装置全体の斜視図であり、第1の搬送方向D1を有する第1の搬送部1と、第1の搬送方向D1と略直交する第2の搬送方向D2を有する第2の搬送部2とを備え、全体として平面視でL字状に形成されている。第2の搬送部2の上面には、制御部6を内蔵する操作パネル7が設けられており、操作パネル7のキー操作等により、圧着葉書製造作業の各種制御の設定、作動開始及び停止等が入力され、表示される。
【0018】
第1の搬送部1の搬送始端部には、未加工の用紙(葉書原紙)Sを積載し、一枚ずつ給紙する給紙部8が設けられ、第2の搬送部2の搬送終端部には、加工後の用紙(完成圧着葉書)を、傾斜状態で順次積載する紙受け部9が設けられている。
【0019】
図2は、
図1の圧着葉書製造装置の内部の展開図であり、第1の搬送部1には、第1の搬送方向D1の上流側から、用紙折り機構11及びスリッタ12が配置されている。用紙折り機構11は、給紙部8から搬送される用紙Sを、第1の搬送方向D1と直交する折り線に沿って、二つ折りあるいは三つ折りに折り畳み、スリッタ12は、折り畳まれた用紙Sを搬送方向に沿って切断する。
【0020】
第2の搬送部2には、第2の搬送方向D2の上流側から、中間搬送機構13及び用紙圧着装置(用紙圧着機構)14が配置されている。中間搬送機構13は、スリッタ12から排出された用紙Sを受け止め、第2の搬送方向D2に搬送する。用紙圧着装置14は、折り畳まれた用紙Sを下側の第1の圧着ローラ21と上側の第2の圧着ローラ22との間で圧着し、紙受け部9に排出する。矢印B1及びA1は、それぞれ第1の圧着ローラ21と第2の圧着ローラ22の回転方向を示している。両圧着ローラ21、22は鉄、SUSその他の金属材料から構成されている。好ましくは、高圧力に耐えうる高剛性のものを使用する。
【0021】
図3は用紙圧着装置14の斜視図、
図4は
図3のIV矢視図、
図5は用紙圧着装置の動力伝達経路のスケルトン図、
図6及び
図7は、
図5のVI-VI、VII−VII断面図、
図8は、制御系のブロック図である。
図4において、下側の第1の圧着ローラ21の第1のローラ軸31は、一対の支持壁18に回転自在に支持されており、上側の第2の圧着ローラ22の第2のローラ軸32は一対の支持アーム19に回転自在に支持されている。下側の第1のローラ軸31の一方の軸端部は、ベルト伝動機構17により圧着ローラ用の駆動モータ15に連結されている。
【0022】
第1ローラ軸31の他方の軸端部(
図5の左端部)と第2ローラ軸32の軸端部(
図5の左端部)との間には、第1のローラ軸31に固定された駆動ギヤ35と、該駆動ギヤ35に噛み合い、かつ、前記駆動ギヤ35と同一外径(同一歯数)を有する従動ギヤ36と、該従動ギヤ36と一体に回転する従動軸(筒軸)36aと、変速機構として、該従動軸36aと第2のローラ軸32とを変速可能に連結する差動機構16と、が設けられている。
【0023】
図3において、第2の圧着ローラ22を支持する支持アーム19は、支持壁18に回動軸20を介して回動可能に支持されており、挟持圧調節機構25により、支持アーム19の上下方向の固定位置を変更でき、これにより、圧着ローラ挟持圧を調節することができる。
【0024】
図5において、差動機構16は、従動ギヤ36の従動軸36aに固着された第1のサンギヤ61と、第2の圧着ローラ軸32に固着された第2のサンギヤ62と、第1のサンギヤ61に噛み合う複数の第1の遊星ギヤ63と、第2のサンギヤ62に噛み合う複数の第2の遊星ギヤ64と、第1及び第2の遊星ギヤ63、64をそれらの軸芯回りに回転自在に支持すると共に、全体として第2のローラ軸32の軸芯を中心に回転可能な遊星キャリヤ66とを備えている。第1の遊星ギヤ63と第2の遊星ギヤ64とは、共通の遊星ギヤ軸63aに固定されており、該遊星ギヤ軸63aは遊星キャリヤ66に回転自在に支持されている。
【0025】
遊星キャリヤ66の外周は、ベルト伝動機構68を介して差動用の駆動モータ70に連結されている。また、遊星キャリヤ66は、従動軸36a及び第2のローラ軸32とは、独立に回転自在となっている。
【0026】
図6は、第1のサンギヤ61と第1の遊星ギヤ63との噛み合い関係を示しており、第1の遊星ギヤ63は第1のサンギヤ61の外周に、周方向に等間隔をおいて三個配置されている。第1のサンギヤ61に対して第1の遊星ギヤ63を増速させるために、第1の遊星ギヤ63の歯数は、第1サンギヤ61の歯数よりも少なく設定されている。該基本形態では、第1のサンギヤ61は32歯、第1の遊星ギヤ63は16歯となっている。したがって、遊星キャリヤ66が停止している状態において、第1のサンギヤ61がA1方向に一定の回転速度で回転すると、各第1の遊星ギヤ63は、それらの軸芯回りに、第1のサンギヤ61の2倍の回転速度でE1方向に回転(自転)する。
【0027】
図7は、第2のサンギヤ62と第2の遊星ギヤ64との噛み合い関係を示しており、第2の遊星ギヤ64は、第2のサンギヤ62の外周に、周方向に等間隔をおいて三個配置されている。第2の遊星ギヤ64の歯数は、第2のサンギヤ62の歯数と同一である。したがって、第2の遊星ギヤ64が一定の回転速度で矢印E1方向に回転すると、第2のサンギヤ62は、第2の遊星ギヤ64と同一の回転速度で矢印A1方向に回転する。
【0028】
差動機構16全体としては、
図5において、遊星キャリヤ66が停止している時には、第2のサンギヤ62は、第1のサンギヤ61の2倍の回転速度で同一方向(
図7の矢印A1方向)に回転する。すなわち、第1のサンギヤ61から第1の遊星ギヤ63には2倍速となるように動力伝達され、第1の遊星ギヤ63から第2の遊星ギヤ64を介して第2のサンギヤ62には、等速状態で動力伝達されるので、最終的に、第2のサンギヤ62は第1のサンギヤ61の2倍の回転速度で回転する。
【0029】
第1のサンギヤ61が所定の回転速度で矢印A1方向に回転している時に、遊星キャリヤ66が矢印A1方向(
図6)に第1のサンギヤ61と同一の回転速度で回転すると、第1の遊星ギヤ63は第1のサンギヤ31に対して相対的に停止した状態となり、第2のサンギヤ62は第1のサンギヤ61と同一の回転速度で矢印A1方向に回転する。
【0030】
遊星キャリヤ66が第1のサンギヤ61と同一の回転速度で矢印A1に回転している状態から、遊星キャリヤ66の矢印A1方向への回転速度を増速させると、第2のサンギヤ62は第1のサンギヤ61の回転速度よりも減速される。反対に、遊星キャリヤ66が第1のサンギヤ61と同一の回転速度で矢印A1に回転している状態から、遊星キャリヤ66の矢印A1方向への回転速度を減速させると、第2のサンギヤ62は第1のサンギヤ61の回転速度よりも増速される。
【0031】
図5において、各圧着ローラ21、22の外周面には、各外周面に当接して圧着ローラ21、22により回転する第1及び第2の接触ローラ式の周速度検出センサー41、42が配置されている。第1及び第2の周速度検出センサー41、42は、制御部6に電気的に接続されており、それぞれ対応する圧着ローラ21、22の外周面の周速度を継続して測定し、制御部6に入力するようになっている。
【0032】
図8は、制御系のブロック図であり、圧着ローラ用の駆動モータ15及び差動機構用の駆動モータ70は制御部6に電気的に接続され、制御部6からの指令により、モータ回転速度が制御される。
【0033】
制御部6は、第1の周速度検出センサー41及び第2の周速度検出センサー42から入力された両周速度を比較し、両圧着ローラ21、22の一回転中に周速度差が生じている場合には、前記周速度差が生じる範囲において、その周速度差を0とするように、差動機構用の駆動モータ70に制御用作動信号を送る。
【0034】
図5において、遊星キャリヤ66は、通常、第1のサンギヤ61と同一の回転速度で同一方向(矢印A1方向)に回転するように設定されており、これにより、第2のサンギヤ62は第1のサンギヤ61と同一速度で回転し、上側の圧着ローラ22が下側の圧着ローラ21と同一の回転速度で回転する。
【0035】
周速度検知センサー41,42により、一部の回転範囲において第2の圧着ローラ22の周速度が第1の圧着ローラ21の周速度よりも遅く(低く)なっていることを検知した場合には、第2の圧着ローラ22の回転速度が第1の圧着ローラ21の回転速度よりも高くなるように、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度を減速する。すなわち、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度を、第1のサンギヤ61の回転速度よりも小さくすることにより、第2のサンギヤ62の回転速度を増速し、上記一部の回転範囲における第2の圧着ローラ22の周速度を速くし、第1の圧着ローラ21の周速度と一致させる。
【0036】
反対に、周速度検知センサー41,42により、一部の回転範囲において第2の圧着ローラ22の周速度が第1の圧着ローラ21の周速度よりも速く(高く)なっている場合には、第2の圧着ローラ22の回転速度が第1の圧着ローラ21の回転速度よりも低くなるように、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度を増速する。すなわち、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度を、第1のサンギヤ61の回転速度よりも大きくすることにより、第2のサンギヤ62の回転速度を減速し、上記一部の回転範囲における第2の圧着ローラ22の周速度を遅くし、第1の圧着ローラ21の周速度と一致させる。
【0037】
勿論、一回転中の部分的な範囲で周速度差が生じている場合に限らず、両圧着ローラ21、22の外径の誤差により周速度差が生じている場合にも、その周速度差に応じて差動機構16が作動して、第2のローラ軸31の回転速度が制御される。
【0038】
[圧着葉書製造作業]
圧着葉書の製造作業を簡単に説明する。
図1において、給紙部8には、未加工の圧着葉書用の用紙Sが積載されており、これらの用紙Sは、給紙機構により、第1の搬送部1内に一枚ずつ供給される。用紙Sには、一定以上の圧力を加えることにより接着される感圧接着剤が、所定箇所に塗布されている。
【0039】
図2において、第1搬送部1内を第1の搬送方向D1に搬送される用紙Sは、用紙折り機構11において、第1の搬送方向D1と直交する方向の折り線に沿って、二つ折り又は三つ折りに折り畳まれ、続いて、スリッタ12により、搬送方向に沿って切断され、第2の搬送部2に供給される。
【0040】
第2の搬送部2では、折り畳み状態の用紙Sは、中間搬送機構13により第2の搬送方向D2に搬送され、用紙圧着装置14において、上下の圧着ローラ21、22で圧着されることにより密封され、紙受け部9に排出される。
【0041】
製造作業前の試験運転時に、用紙圧着装置14は、両圧着ローラ21、22間の周速度が調整される。たとえば、試験運転時、遊星キャリヤ66の矢印A1方向への回転速度を、第1のサンギヤ61と同一速度に設定する。この試運転時において、両周速度検出センサー41、42で検出される両圧着ローラ21、22の一回転中における周速度に差が生じている場合には、制御部6は、前記周速度が生じている範囲において周速度差が0となるように、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度を制御する。この制御内容は制御部6に記憶され、以後の作業は、前記記憶された制御内容に基づいて、遊星キャリヤ66の矢印A1方向の回転速度が制御される。これにより、両圧着ローラ21,22間の周速度差を修正し、圧着装置14における圧着葉書のカール現象を抑制する。
【0042】
勿論、実際の作業開始後も、両周速度検出センサー41、42は、両圧着ローラ21、22の外周面の周速度を継続して検出し、制御部6に入力しており、実際の製造作業の途中で両周速度に差が生じる場合にも、制御部6は、前記周速度差を0とするように、遊星キャリヤ66の回転速度を制御し、差動機構16の変速比を制御する。
【0043】
本基本形態において、前記差動機構16の歯数比の設定は単なる一例であり、第2のサンギヤ62と第2の遊星ギヤ64とを同一の歯数に設定している場合に、第1のサンギヤ61に対する第1の遊星ギヤ63の歯数比を変更することにより、遊星キャリヤ66の回転速度増加に対する第2のサンギヤ62の増速の変化率を変更することができる。たとえば、第1のサンギヤ61と第1の遊星ギヤ63との歯数比を1に近づけることにより、第2のサンギヤ62の増速の変化率を下げることができる。
【0044】
なお、第2の遊星ギヤの歯数を第1のサンギヤの歯数よりも大きくして、第2の遊星ギヤに減速した状態で伝達される構成とすることも可能である。
【0045】
また、通常、遊星キャリヤ66を停止した状態で使用し、両圧着ローラ21、22間で周速度差が生じた時のみ、遊星キャリヤ66を回転させることにより、周速度差を解消する構成とすることもできる。たとえば、差動機構16の各ギヤ61、62、63、64が、前記
図6及び
図7と同様の歯数比に設定され、遊星キャリヤ66が停止している時に、第1のサンギヤ61に対し、第2のサンギヤ62が2倍に増速される構成において、この増速を打ち消すように、駆動ギヤ35と従動ギヤ36との歯数比を、1:2に設定することができる。たとえば、34歯と68歯に設定することができる。
【0046】
この場合、遊星キャリヤ66を、停止状態から矢印A1方向に回転させることより、第2のサンギヤ62の回転速度を減速し、第2の圧着ローラ22の回転速度を第1の圧着ローラ21の回転速度よりも低くできる。反対に、遊星キャリヤ66を、停止状態から矢印A1と逆方向に回転させることより、第2のサンギヤ62の回転速度を増速し、第2の圧着ローラ22の回転速度を第1の圧着ローラ21の回転速度よりも高くできる。
【0047】
要するに、駆動ギヤ35と従動ギヤ36を異径に設定して、駆動ギヤ35に対して従動ギヤ36を増速あるいは減速させ、その増速あるいは減速を打ち消すように、第1のサンギヤ61に対して第2のサンギヤ62を減速あるいは増速させるように、差動機構16の各ギヤ61、62、63、64の歯数を設定する。これにより、通常、遊星キャリヤ66を停止しておくことにより、第1の圧着ローラ21と第2の圧着ローラ22とを同一の回転速度で回転させることができ、用紙の処理作業中、第1の圧着ローラ21と第2の圧着ローラ22との間で、周速度差が生じたときのみ、遊星キャリヤ66を回転させれば良く、駆動モータ70の駆動にかかるエネルギーと騒音を低減することができる。
【0048】
[基本形態の効果]
(1)圧着ローラ21、22の加工又は組立時、真円度に誤差があり、あるいは偏芯した状態で取り付けられていても、両圧着ローラ21、22間の周速度差が0となるように、差動機構16による伝達比を制御するので、圧着ローラ21、22間で一回転中に周速度差が生じるのを防ぎ、折り畳まれて排出される圧着葉書にカールに生じるのを抑制でき、品質のよい圧着葉書を製造することができる。
【0049】
(2)周速度検出センサー41、42により、各圧着ローラ21、22の外周面の周速度を直接測定し、かつ、測定した圧着ローラ21、22自体の周速度を調整するようにしているので、カール発生時に、圧着ローラ21、22の周速度の修正量を簡単に決定でき、制御が簡単である。
【0050】
(3)各圧着ローラ21、22の外周面に接触するローラ式周速度検出センサー41、42により、各圧着ローラ21、22の外周面の周速度を測定しているので、具体的に周速度を測定できる。
【0051】
(4)遊星ギヤを利用した差動機構16により第2の圧着ローラ22の回転速度を制御して、結果的に周速度を制御するので、周速度の急速な変化にも迅速に対応し、制御することができる。
【0052】
〔本発明の第2の基本形態〕
図9乃至
図18は、本発明の第2の基本形態であり、変速機構としてVベルト式無段変速機30を利用した構成である。
図9は用紙圧着装置14の斜視図、
図10は
図9のX矢視図、
図11は
図10のXI矢視図、
図12乃至
図14は、異なる変速状態を示す用紙圧着装置14の作動説明図、
図15は、制御系のブロック図である。なお、第1の基本形態と同じ部品には、同じ符号を付してある。
【0053】
図11において、Vベルト式無段変速機30は、第1のローラ軸31と同軸芯で一体に設けられたプーリ駆動軸33と、第2のローラ軸32と同軸芯で一体に設けられたプーリ従動軸34と、プーリ駆動軸33に設けられた駆動側プーリ35と、プーリ従動軸34に設けられた従動側プーリ36と、反転用プーリ37と、前記各プーリ35、36、37に渡って巻き掛けられた両面Vベルト39と、を備えている。両面Vベルト39は、内外両面が断面V形状となっている。
【0054】
駆動側プーリ35及び従動側プーリ36は、それぞれ軸方向間距離が変更可能な一対の可動シーブにより構成されると共に、変速駆動用アクチュエータ35a、36aを備えている。各アクチュエータ35a、36で各シーブ間距離を変更することにより、各プーリ35、36の有効巻き掛け半径を変更し、プーリ駆動軸33とプーリ従動軸34との間の変速比、すなわち両ローラ軸31、32間の変速比を変更する。
【0055】
図12のように、両プーリ35、36の有効巻き掛け半径が等しい時には、プーリ駆動軸33とプーリ従動軸34とは等速で回転し、
図13のように、駆動側プーリ35の有効巻き掛け半径が従動側プーリ36の有効巻き掛け半径よりも小さい時には、プーリ駆動軸33の回転速度は減速されてプーリ従動軸34に伝達される。反対に、
図14のように、駆動側プーリ35の有効巻き掛け半径が従動側プーリ36の有効巻き掛け半径よりも大きい時には、プーリ駆動軸33の回転速度は増速されてプーリ従動軸34に伝達される。
【0056】
各アクチュエータ35a、36aは制御部6に電気的に接続され、制御部6からの指令により、所定の減速比(又は増速比)となるように、各プーリ35、36の可動シーブ間距離を調節する。
【0057】
各圧着ローラ21、22の外周面には、前記第1の基本形態と同様に、各外周面に当接して圧着ローラ21、22により回転する第1及び第2の接触ローラ式の周速度検出センサー41、42が配置されている。
【0058】
図10はVベルト39の掛け廻し状態を示しており、Vベルト39は、駆動側プーリ35から従動側プーリ36に、内外面が反転するようにクロス状に掛け渡されており、従動側プーリ36から反転用中間プーリ37を経過することにより、内外面が再反転され(元に戻り)、駆動側プーリ35に戻っている。これにより、駆動側プーリ35と従動側プーリ36は、それぞれA0、A1方向に回転し、挟持した用紙を圧着しつつ、第2の搬送方向D2に搬送する。
【0059】
図15において、制御部6は、第1の周速度検出センサー41及び第2の周速度検出センサー42から入力された両周速度を比較し、両圧着ローラ21、22の一回転中に周速度差が生じている場合には、前記周速度差が生じる範囲において、その周速度差を0とするように、Vベルト式無段変速機30の各アクチュエータ35a、36aに制御用作動信号を送る。たとえば、一部の回転範囲において第1の圧着ローラ21の周速度が第2の圧着ローラ22の周速度よりも遅く(低く)なっている場合には、
図13のように第1の圧着ローラ21の回転速度が第2の圧着ローラ22の回転速度よりも高くなるように、Vベルト式無段変速機30の変速比を制御する。反対に、一部の回転範囲において第1の圧着ローラ21の周速度が第2の圧着ローラ22の周速度よりも速く(高く)なっている場合には、
図14のように第1の圧着ローラ21の回転速度が第2の圧着ローラ22の回転速度よりも低くなるように、Vベルト式無段変速機30を制御する。勿論、一回転中の部分的な範囲で周速度差が生じている場合に限らず、両圧着ローラ21、22の外径の誤差により周速度差が生じている場合にも、その周速度差に応じてVベルト式無段変速機30の変速比は変更される。
【0060】
圧着葉書製造作業は前記第1の基本形態と同様である。
【0061】
製造作業前の試験運転時に、用紙圧着装置14は、両圧着ローラ21、22間の周速度が調整される。たとえば、試験運転時に、両周速度検出センサー41、42で検出される両圧着ローラ21、22の一回転中における周速度に差が生じている場合には、制御部6は、前記周速度差が0となるようにアクチュエータ35a、36aを作動させ、Vベルト式無段変速機30の変速比を制御する。この制御内容は制御部6に記憶され、以後の作業は、前記記憶された制御内容に基づいて、Vベルト式無段変速機30の変速比が制御される。これにより、圧着装置14における圧着葉書のカール現象は抑制される。
【0062】
勿論、実際の作業開始後も、両周速度検出センサー41、42は、両圧着ローラ21、22の外周面の周速度を継続して検出し、制御部6に入力しており、実際の製造作業の途中で両周速度に差が生じる場合にも、制御部6は、前記周速度差を0とするようにアクチュエータ16aを作動させ、Vベルト式無段変速機30の変速比を制御する。
【0063】
[基本形態の効果]
(1)圧着ローラ21、22の加工又は組立時、真円度に誤差があり、あるいは偏芯した状態で取り付けられていても、両圧着ローラ21、22間の周速度差が0となるようにVベルト式無段変速機30の変速比を自動的に調節するので、圧着ローラ21、22間で一回転中に周速度差が生じるのを防ぎ、折り畳まれて排出される圧着葉書にカールに生じるのを抑制でき、品質のよい圧着葉書を製造することができる。
【0064】
(2)周速度検出センサー41、42により、各圧着ローラ21、22の外周面の周速度を直接測定し、かつ、測定した圧着ローラ21、22自体の周速度を調整するようにしているので、カール発生時に、圧着ローラ21、22の周速度の修正量を簡単に決定でき、制御が簡単である。
【0065】
各圧着ローラ21、22の外周面に接触するローラ式周速度検出センサー41、42により、各圧着ローラ21、22の外周面の周速度を測定しているので、具体的に周速度を測定できる。
【0066】
〔本発明の実施形態〕
図16乃至
図18は、本発明を実施する用紙圧着装置の実施形態を示している。用紙圧着装置14は、
図2の圧着葉書製造装置と同様な装置の第2の搬送部2内に配置されている。
図16及び
図17において、用紙圧着装置14は、上流側圧着ローラ対51と、下流側圧着ローラ対52とを、第2の搬送方向D2に間隔をおいて備えており、両圧着ローラ対51、52の間に、用紙Sの搬送先端Saの高さを測定するカール検出センサー53を配置している。上流側圧着ローラ対51は、下側の第1の圧着ローラ51aと上側の第2の圧着ローラ51bとから構成され、下流側圧着ローラ対52は、下側の第1の圧着ローラ52aと上側の第2の圧着ローラ52bとから構成されている。各圧着ローラ51a、51b、52a、52bは、鉄又はステンレス鋼等の金属でできている。
【0067】
カール検出センサー53は、具体的には、カール検出センサー53から用紙Sの搬送先端Saまでの距離Mを、レーザー光等による測定する機能を有している。制御部6において、予め計測されたカール検出センサー53から基準搬送面Pまでの基準距離M0と、前記測定した距離Mとを比較し、両距離MM0間の差により、カール方向及びカール量を検出する。たとえば、
図16のように測定距離Mが基準距離M0より短い場合には、用紙Sが上方にカールしていると判断すると共に、上記測定距離Mと基準距離M0との差により、カール量を算定する。反対に、
図17のように測定距離Mが基準距離M0より長い場合には、用紙Sが下方にカールしていると判断すると共に、上記測定距離Mと基準距離M0との差により、カール量を算定する。
【0068】
図18において、下流側の圧着ローラ対52には、前記
図3と同様の差動機構16あるいは
図9と同様のVベルト式無段変速機30が設けられている。
【0069】
前記制御部6は、距離測定値から判断したカール方向及びカール量に基づき、用紙Sのカール量が0となるように、差動機構を作動させ、下流側圧着ローラ対52の上下の圧着ローラ52a、52b間の変速比を変更し、両圧着ローラ52a、52b間の周速度比を変更する。
【0070】
作用を簡単に説明する。
図2に示す用紙折り機構11により折り畳まれた後の用紙Sは、
図16又は
図17において、まず上流側圧着ローラ対51により圧着され、圧着状態の用紙Sの搬送先端Saの高さ(距離M)がカール検出センサー53により検出される。
【0071】
図16のように測定距離Mが基準距離M0より短い場合には、前述のように用紙Sが上方にカールしていると判断すると共に、上記両距離M、M0の差により、カール量を算定する。このように判断及び算定したカール方向及びカール量に基づき、カール量が0となるように、
図18の差動機構16(駆動モータ70)に作動制御信号を送り、両圧着ローラ52a、52b間の周速度比を変更する。具体的には、上側の圧着ローラ52bの周速度(回転速度)が下側の圧着ローラ52aの周速度より速くなるように変速比を調節し、下流側の圧着ローラ対52を通過させることにより、上記上方へのカールを修正し、水平状態に戻す。
【0072】
図17のように測定距離Mが基準距離M0より長い場合には、前述のように用紙Sが下方にカールしていると判断すると共に、上記両距離M、M0の差により、カール量を算定する。このように判断及び算定したカール方向及びカール量に基づき、カール量が0となるように、
図18の差動機構18(駆動モータ70)に差動制御信号を送り、両圧着ローラ52a、52b間の周速度比を変更する。具体的には、上側の圧着ローラ52bの周速度(回転速度)が下側の圧着ローラ52aの周速度より遅くなるように変速比を調節し、下流側の圧着ローラ対52を通過させることにより、上記下方へのカールを修正する。
【0073】
[その他の実施形態]
(1)本発明の制御方法が実施される用紙圧着装置は、
図1及び
図2に示すような圧着葉書製造装置に用いられる用紙圧着装置には限定されず、単独で使用される用紙圧着装置も含まれる。
【0074】
(2)本発明において、圧着ローラ間の周速度比を変更する機構は、差動機構あるいはVベルト式無段変速機には限定されない。
【0075】
(3)本発明において、圧着ローラとして高圧力をかける必要のない場合には、金属に比べて剛性が低いローラを用いることも可能である。また、両圧着ローラの外径を等しくしていることが、カール抑制の観点からは好ましいが、周速度の制御を行うことや、それ以外の条件によっては、異径の圧着ローラを使用することも可能である。
【0076】
(4)本発明において、カール検出センサー53として、用紙の非接触で検出するものでは、超音波式や光学式の変位センサーが利用でき、また、用紙に接触して検出するものでは、アクチュエータ型フォトセンサー等が利用可能である。勿論、それ以外の変位センサーを利用することも可能である。