特許第6261714号(P6261714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261714
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】エネルギー硬化性シーラント
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/66 20060101AFI20180104BHJP
   C08G 75/12 20160101ALI20180104BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   C08G59/66
   C08G75/12
   C09K3/10 L
   C09K3/10 F
   C09K3/10 R
【請求項の数】12
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-501217(P2016-501217)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-512568(P2016-512568A)
(43)【公表日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】US2014023367
(87)【国際公開番号】WO2014150481
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】13/833,964
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ、ユエシャオ
(72)【発明者】
【氏名】リン、レンヘ
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−127202(JP,A)
【文献】 特開2003−194032(JP,A)
【文献】 特開2003−317826(JP,A)
【文献】 特開2004−164910(JP,A)
【文献】 特表2000−509758(JP,A)
【文献】 特表2006−513314(JP,A)
【文献】 特開2006−028254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/66
C08L 63/00
C08L 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チオール末端ポリチオエーテル、
(b)カプセル化されたポリエポキシであって、内部にポリエポキシを包含するマイクロカプセルを含み、このポリエポキシは、機械的エネルギーの適用によるカプセル化剤からの放出能を有する、カプセル化されたポリエポキシ、及び
(c)アミン触媒
を含み、
マイクロカプセルが、ゼラチン、ポリオキシメチレンウレア、又はそれらの組み合わせを含む、ポリマーのシェルを含み、
ポリエポキシが、溶媒中に懸濁されたビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導体のエポキシ樹脂を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
チオール末端ポリチオエーテルが、式(1):
−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]− (1)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、又は
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は独立して、水素又はメチルを含み、
Xの各々は、−O−、−S−及び−NR−(Rは水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
を含み、
の各々は独立して、C1−10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(s、q、r、R及びXは、Rに関して定義した通りである)を含み、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である}
の構造を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
チオール末端ポリチオエーテル(a)が、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、又は
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は独立して、水素又はメチルを含み、
Xの各々は独立して、−O−、−S−、又は−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)を含む]
を含み、
の各々は独立して、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]を含み、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応物に由来する部分である}
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリエポキシが、200ダルトン〜2,000ダルトンの分子量を有するポリエポキシを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アミン触媒が、1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、イソホロンジアミン(IPDA)を含むC6〜10一級アミン群のいずれか一つ、又は上記の任意の組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記のチオール末端ポリチオエーテル以外のチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
チオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリスルフィド、チオール末端硫黄含有ポリホルマール、又はそれらの組合せを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも24時間のポットライフを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
シーラントとして配合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
開口をシールする方法であって、
(a)開口を画定する1つ又は複数の表面に、請求項9に記載のシーラント組成物を施用するステップと、
(b)シーラントに機械的エネルギーを適用して、マイクロカプセルからポリエポキシを放出させるステップと
を含む、上記方法。
【請求項11】
請求項9に記載のシーラント組成物によりシールされた開口。
【請求項12】
(a)40重量%〜60重量%の、チオール末端ポリチオエーテル;
(b)0.5重量%〜20重量%の、カプセル化されたポリエポキシであって、このカプセル化されたポリエポキシは、マイクロカプセルが、ゼラチン、ポリオキシメチレンウレア、又はそれらの組み合わせを含む、ポリマーのシェルを含み、ポリエポキシが、溶媒中に懸濁されたビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導体のエポキシ樹脂を含むものである;及び
(c)アミン触媒
を含み、
ここで、重量%は、硬化性組成物の総固体重量を基準とする、
請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チオール末端ポリチオエーテル及びカプセル化されたポリエポキシ硬化剤を含有する硬化性組成物に関する。本組成物は、航空宇宙用シーラント用途に有用であり、この組成物は延長されたポットライフを示し、熱及び/又は機械的応力に曝露されると硬化することができる。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙及び他の用途において有用なシーラントは、要求される機械的、化学的、及び環境的要件を満足しなければならない。シーラントは、金属表面、プライマー被膜、中間被膜、完成被膜、及び老化被膜(aged coating)を含む、様々な表面に施用することができる。米国特許第6,172,179号に記載されているものなどのシーラントでは、チオール末端ポリチオエーテル及びポリエポキシ硬化剤を反応させて、硬化航空宇宙用シーラントが得られる。
【0003】
実際には、シーラント組成物は、二成分組成物(二液型組成物)として提供することができ、この場合、個別の構成要素としてのチオール末端ポリチオエーテル及びポリエポキシが、ポリチオエーテル構成要素中の塩基触媒と共に提供される。或いは、塩基触媒は、第3の構成要素として提供することができ、チオール末端ポリチオエーテルを含有している構成要素、ポリエポキシを含有している構成要素、及び、上記の塩基触媒を含有している構成要素が、使用直前に混合される。しかし、一旦、構成要素が混合されると、反応が進行し、少なくとも部分的に温度及び塩基触媒のタイプに応じて、ポットライフは12時間未満に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エポキシ硬化性の化学的性質を用いるチオール末端ポリチオエーテル組成物のポットライフを延長する方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、(a)チオール末端ポリチオエーテル、(b)カプセル化されたポリエポキシ、及び(c)アミン触媒を含む組成物が提供される。
【0006】
第2の態様では、シーラントして配合された、(a)チオール末端ポリチオエーテル、(b)カプセル化されたポリエポキシ、及び、(c)アミン触媒を含む組成物が提供される。
【0007】
第3の態様では、開口(aperture:隙間、空隙)をシールする方法であって、(a)開口を画定する1つ又は複数の表面に、チオール末端ポリチオエーテル及びカプセル化されたポリエポキシを含むシーラント組成物を施用するステップと、(b)カプセル化剤からポリエポキシを放出させるために応力を加えるステップとを含む、上記方法が提供される。
【0008】
第4の態様では、本開示のシーラント組成物によりシールされた開口が提供される。
【0009】
以下、組成物及び方法のある種の実施形態に言及する。開示されている実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0010】
それとは反対に、特許請求の範囲は、代替、修正、及び等価物をすべて包含するよう意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
以下の説明のために、本開示によって提供される実施形態は、反対のことが明白に指定されている場合を除き、変形及びステップの順序の様々な代替は当然となり得ることを理解されたい。さらに、例において又は特に示されている場合以外では、例えば、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量を表す数字はすべて、用語「約」によって、すべての場合に、修飾されているものと理解されたい。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲において説明されている数値パラメータは、得られる所望の特性に応じて、変動し得る概数である。数字の各パラメータは、少なくとも及び特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限するための試みとしてではなく、報告されている有意な桁数に照らして、及び通常の四捨五入技法を適用することによって少なくとも解釈すべきである。
【0012】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータは概数であるにも関わらず、特定の例において記載されている数値は、できる限り正確に報告されている。しかし、どのような数値も、それらの個々の試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因するある種の誤差を本来含んでいる。
【0013】
また、本明細書において引用されている任意の数値範囲は、その中に包含される部分範囲すべてを含むことが意図されているものと理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、約1という引用最小値と約10という引用最大値との間(及びそれらを含む)のすべての部分範囲、すなわち約1以上の最小値、及び約10以下の最大値を有する部分範囲を含むことが意図される。また、本出願において、「又は」の使用は、「及び/又は」がある例において明確に使用されることがある場合でさえも、特に具体的に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0014】
2つの文字又は符号の間にはないダッシュ「−」は、置換基又は2個の原子間の結合点を示すために使用される。例えば、−CONHは、炭素原子によって別の化学部分に結合している。
【0015】
「アルカンジイル」とは、例えば、1〜18個の炭素原子(C1〜18)、1〜14個の炭素原子(C1〜14)、1〜6個の炭素原子(C1〜6)、1〜4個の炭素原子(C1〜4)、又は1〜3個の炭素原子(C1〜3)を有する、飽和の分岐又は直鎖の非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐アルカンジイルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解されよう。ある種の実施形態では、アルカンジイルは、C2〜14アルカンジイル、C2〜10アルカンジイル、C2〜8アルカンジイル、C2〜6アルカンジイル、C2〜4アルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例には、メタン−ジイル(−CH−)、エタン−1,2−ジイル(−CHCH−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−)、ブタン−1,4−ジイル(−CHCHCHCH−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CHCHCHCHCH−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CHCHCHCHCHCH−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが含まれる。
【0016】
「アルカンシクロアルカン」とは、1つ又は複数のシクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基、並びに1つ又は複数のアルキル基及び/又はアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書において定義されている。ある種の実施形態では、シクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基(単数又は複数)の各々は、C3〜6、C5〜6であり、ある種の実施形態では、シクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルである。ある種の実施形態では、アルキル基及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)の各々は、C1〜6、C1〜4、C1〜3であり、ある種の実施形態では、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルである。ある種の実施形態では、アルカンシクロアルカン基は、C4〜18アルカンシクロアルカン、C4〜16アルカンシクロアルカン、C4〜12アルカンシクロアルカン、C4〜8アルカンシクロアルカン、C6〜12アルカンシクロアルカン、C6〜10アルカンシクロアルカンであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン及びシクロヘキシルメタンが含まれる。
【0017】
「アルカンシクロアルカンジイル」とは、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。ある種の実施形態では、アルカンシクロアルカンジイル基は、C4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C6〜9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが含まれる。
【0018】
「アルケニル」基は、基(R)C=C(R)を指す。ある種の実施形態では、アルケニル基は、構造−RC=C(R)を有し、アルケニル基は末端基であり、より大きな分子に結合している。こうした実施形態では、Rの各々は、例えば、水素及びC1〜3アルキルから選択することができる。ある種の実施形態では、Rの各々は水素であり、アルケニル基は、構造−CH=CHを有する。
【0019】
「アルコキシ」は−OR基であり、Rは、本明細書で定義されているアルキルである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシが含まれる。ある種の実施形態では、アルコキシ基は、C1〜8アルコキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜4アルコキシであり、ある種の実施形態では、C1〜3アルコキシである。
【0020】
「アルキル」とは、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する、飽和の分岐又は直鎖の非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐アルキルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解されよう。ある種の実施形態では、アルキル基は、C2〜6アルキル、C2〜4アルキルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルキルである。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが含まれる。ある種の実施形態では、アルキル基は、C2〜6アルキル、C2〜4アルキルであり、ある種の実施形態では、C2〜3アルキルである。分岐アルキルは、少なくとも3個の炭素原子を有することが理解されよう。
【0021】
「シクロアルカンジイル」とは、飽和の単環式又は多環式炭化水素基のジラジカルを指す。ある種の実施形態では、シクロアルカンジイル基は、C3〜12シクロアルカンジイル、C3〜8シクロアルカンジイル、C3〜6シクロアルカンジイルであり、ある種の実施形態では、C5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例には、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが含まれる。
【0022】
「シクロアルキル」とは、飽和の単環式又は多環式炭化水素のモノラジカル基を指す。ある種の実施形態では、シクロアルキル基は、C3〜12シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルであり、ある種の実施形態では、C5〜6シクロアルキルである。
【0023】
「ヘテロシクロアルカンジイル」とは、1個又は複数の炭素原子が、N、O、S又はPなどのヘテロ原子により置きかえられている、シクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある種の実施形態では、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0024】
延長されたポットライフを有する硬化性チオール末端ポリチオエーテル組成物が開示される。これらの系(system)では、ポリエポキシ硬化剤はマイクロカプセル内部に保護又はカプセル化(封入)されており、チオール末端ポリチオエーテル及び塩基触媒を含有する組成物中に分散している。例えば、昇温及び/又は機械的応力に曝露されると、ポリエポキシがカプセル化剤から放出されて、チオール末端ポリチオエーテルと反応し、硬化組成物を形成する。ある種の実施形態では、それらの系により、少なくとも24時間を超えるポットライフが実現する。
【0025】
カプセル化された硬化剤(encapsulated curing agent)
本開示により提供される組成物には、チオール末端ポリチオエーテル、カプセル化されたポリエポキシ硬化剤、及び塩基触媒が含まれる。一成分組成物(一液型組成物)は、少なくとも24時間、少なくとも3日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、及びある種の実施形態では、少なくとも4週間のポットライフを有する。ポットライフとは、組成物が依然として作用可能な状態にあり、その結果、該組成物をシール表面に施用することができる間の時間を指す。ポリエポキシ硬化剤は、昇温、機械的応力、及び/又は超音波照射を適用すると、カプセル化剤から放出され得る。ポリエポキシ硬化剤は、カプセル化剤から放出されると、チオール末端ポリチオエーテルと反応し、硬化シーラント組成物を形成する。
【0026】
ポリエポキシ硬化剤は、溶液としてマイクロカプセル中にカプセル化(封入)するか、又はマトリックスカプセル化物質などの多孔質基剤内部に取り込むことができる。
【0027】
カプセル化されたポリエポキシ樹脂は、例えばYuanらのPolymer Degradation and Stability、2006年、91巻、2300〜2306頁、BlaiszikらのPolymer、2009年、50巻、990〜997頁、及びJinらのPolymer、2011年.12.005に記載されており、自己回復ポリマー系において有用である。Epon(登録商標)815C及びEpon(登録商標)828などのエポキシ樹脂を含有するマイクロカプセルは、尿素−ホルムアルデヒド(UF)のインサイチュ(in situ)重合により調製することができる。マイクロカプセルは、例えば、約100μm〜約300μm、約150μm〜約250μmの直径、又は他の直径を有することができる。マイクロカプセル化エポキシが市販されており、LT−81380(Lipo Technologies)を含む。マイクロカプセル内部において、上記のエポキシ樹脂は、ヘキサンなどの非水性溶媒中に懸濁することができるか、又は水性溶媒中に溶解することができる。
【0028】
航空宇宙用シーラント用途の場合、エポキシは、昇温及び/又は機械的エネルギーに曝露されることにより、マイクロカプセルから放出され得る。機械的応力は、例えば、衝撃力、せん断力、研削力及び/又は超音波力を含むことができる。エポキシは、約50℃未満、約70℃未満、約80℃未満、及びある種の実施形態では、約100℃未満の温度でマイクロカプセルから放出され得る。エポキシは、より低い温度でしかしながら室温超で放出されるのが望ましい。放出温度は、例えば、ポリマーマットリックスの化学組成により決定することができる。エポキシ硬化剤が、マイクロカプセルから放出された後に、シーラント組成物が硬化する速度は、シーラント組成物内部のマイクロカプセルの分散度により決定することができる。本開示により提供されるシーラント組成物において使用するのに適したエポキシドの例には、例えば、ヒダントインジエポキシドなどのポリエポキシ、Epon(登録商標)828(Resolution Performance Products,LLC)などのビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、DEN(登録商標)438(Dowから入手可能)などのNovolac(登録商標)型エポキシド、ある種の不飽和エポキシ化樹脂、及び上記の任意の組合せが含まれる。ある種の実施形態では、ポリエポキシには、例えば、米国出願公開第2009/0326167号に開示されているものなどの、ダイマー酸ベースのポリエポキシ反応性樹脂が含まれる。ある種の実施形態では、適切な硬化剤には、ヒダントインジエポキシド、Epon(登録商標)828(Resolution Performance Products,LLC)などのビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、DEN(登録商標)431(Dow Plastics)などのNovolac型エポキシド、エポキシ化不飽和フェノール樹脂、及びダイマー酸ベースのエポキシ樹脂が含まれる。ある種の実施形態では、ポリエポキシ硬化剤は、約100ダルトン〜2,500ダルトン、約200ダルトン〜約2,000ダルトン、約400ダルトン〜約1,500ダルトン、及びある種の実施形態では、約500ダルトン〜1,000ダルトンの分子量を有する。
【0029】
ポリエポキシドとは、2つ以上の反応性エポキシ基、又はその組合せを有する化合物を指す。
【0030】
ある種の実施形態では、ポリエポキシ硬化剤は、エポキシ官能性プレポリマーを含む。適切なエポキシ官能性プレポリマーの例には、米国特許出願第13/050,988号に開示されているエポキシ官能性ポリホルマール化合物、及び米国特許第7,671,145号に開示されているエポキシ官能性ポリチオエーテル化合物が含まれる。一般に、硬化剤として使用する場合、エポキシ官能性プレポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、及びある種の実施形態では、約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0031】
ある種の実施形態では、エポキシ硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、及びある種の実施形態では、約3重量%〜約5重量%を構成し、重量%は、該組成物の総固体重量基準である。
【0032】
チオール末端ポリチオエーテル
チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルポリマーは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含む。チオール末端ポリチオエーテルの別の例が、米国出願公開第2011/0060091号において開示されている。
【0033】
ある種の実施形態では、チオール官能性ポリチオエーテルは、
(a)式(1):
−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R− (1)
[式中、
(i)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、−[(−CHR−)−X−]−(CHR−基(式中、Rの各々は、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
(ii)Rの各々は、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、及び−[(−CH−)−X−]−(CH−基から独立して選択され、
(iii)Xの各々は、O、S、及び−NR−基から独立して選択され、Rは、H及びメチル基から選択され、
(iv)mは、0〜50の範囲であり、
(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、
(vi)sは、2〜6の範囲の整数であり、
(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、
(viii)rは、2〜10の範囲の整数である]
の構造を含む主鎖を含む。
【0034】
ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルは、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (2a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応に由来する}
から選択されるチオール末端ポリチオエーテルを含む。
【0035】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rは、−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、式中、sは2であり、Xは−O−であり、qは2であり、rは2であり、Rは、エタンジイルであり、mは2であり、nは9である。
【0036】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rは、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR−X−]−(CHR−から選択される。
【0037】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rは、−[−(CHR−X−]−(CHR−であり、ある種の実施形態では、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、Xは−S−である。
【0038】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、ある種の実施形態ではpは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0039】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では。Rは水素であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つはメチルである。
【0040】
式(2)及び式(2a)のある種の実施形態では、Rの各々は同一であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つは異なる。
【0041】
様々な方法を使用して、式(2)及び式(2a)のチオール末端ポリチオエーテルを調製することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルポリマーの例、及びその製造方法は、米国特許第6,172,179号中のカラム2の29行目からカラム4の22行目まで、カラム6の39行目からカラム10の50行目まで、及びカラム11の65行目からカラム12の22行目までに記載されており、それらの引用部分は、参照により本明細書に組み込まれている。そのようなチオール末端ポリチオエーテルは、二官能価、すなわち、2つのチオール末端基を有する直鎖ポリマーであってよく、又は、多官能価、すなわち、3つ以上のチオール末端基を有する分岐ポリマーであってよい。適切なチオール末端ポリチオエーテルは、例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CA製のPermapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0042】
適切なチオール末端ポリチオエーテルは、ジビニルエーテル又はジビニルエーテルの混合物を過剰のジチオール又はジチオールの混合物と反応させることにより製造することができる。例えば、チオール末端ポリチオエーテルの調製において使用するのに適したジチオールには、式(3)を有するもの、本明細書において開示されている他のジチオール、又は本明細書において開示されているジチオールのいずれかの組合せが含まれる。
【0043】
ある種の実施形態では、ジチオールは、式(3)の構造:
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
を有している。
【0044】
式(3)のジチオールのある種の実施形態では、Rは−[−(CHR−X−]−(CHR−である。
【0045】
式(3)の化合物のある種の実施形態では、Xは、−O−及び−S−から選択され、すなわち式(3)中の−[−(CHR−X−]−(CHR−は、−[(−CHR−)−O−]−(CHR−又は−[(−CHR−)−S−]−(CHR−となる。ある種の実施形態では、s及びrが両方とも2であるなど、s及びrは等しい。
【0046】
式(3)のジチオールのある種の実施形態では、Rは、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR−X−]−(CHR−から選択される。
【0047】
ある種の実施形態では、Rは、−[−(CHR−X−]−(CHR−であり、ある種の実施形態では、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、Xは−S−である。
【0048】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、ある種の実施形態では、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、ある種の実施形態ではsは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、ある種の実施形態では、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0049】
が−[−(CHR−X−]−(CHR−である、ある種の実施形態では、Rは水素であり、ある種の実施形態では、Rの少なくとも1つはメチルである。
【0050】
適切なジチオールの例には、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び上記の任意の組合せが含まれる。ポリチオールは、低級(例えば、C1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基、及びヒドロキシル基から選択される、1つ又は複数のペンダント基を有していてもよい。適切なアルキルペンダント基には、例えば、C1〜6直鎖アルキル、C3〜6分岐アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0051】
適切なジチオールの他の例には、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(3)において、Rは、−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(3)において、Rは−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、sは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である)、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(3)において、Rは−[(−CH−)−X−]−(CH−であり、sは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である)が含まれる。炭素主鎖中のヘテロ原子、およびペンダントアルキル基、例えば、メチル基の両方を含むジチオールを使用することも可能である。そのような化合物には、例えば、HS−CHCH(CH)−S−CHCH−SH、HS−CH(CH)CH−S−CHCH−SHなどのメチル置換DMDS、及びHS−CHCH(CH)−S−CHCHCH−SH及びHS−CH(CH)CH−S−CHCH(CH)−SHなどのジメチル置換DMDSが含まれる。
【0052】
ポリチオエーテル及びポリチオエーテル付加物を調製するのに適したジビニルエーテルには、例えば、式(4):
CH=CH−O−(−R−O−)−CH=CH (4)
[式中、式(4)中のRは、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、及び−[(−CH−)−O−]−(−CH−)−から選択され、sは、2〜6の範囲の整数であり、qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である]
のジビニルエーテルが含まれる。式(4)のジビニルエーテルのある種の実施形態では、Rは、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基であり、ある種の実施形態では、−[(−CH−)−O−]−(−CH−)−である。
【0053】
適切なジビニルエーテルには、例えば、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4つのオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(4)中のmが、1〜4の範囲の整数である化合物が含まれる。ある種の実施形態では、式(4)中のmは、2〜4の範囲の整数である。1分子あたりのオキシアルカンジイルのユニット数に関して、非整数の平均値を特徴とする市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。したがって、式(4)中のmは、1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0から4.0などの0〜10.0の範囲の有理数値もとることができる。
【0054】
適切なジビニルエーテルの例には、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(4)中のRはブタンジイルであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(4)の中のRはヘキサンジイルであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(4)中のRはエタンジイルであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのトリビニルエーテルモノマー、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどの四官能価エーテルモノマー、及びこうしたポリビニルエーテルモノマーの2種以上の組合せが含まれる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びアミン基から選択される、1つ又は複数のペンダント基を有していてもよい。
【0055】
ある種の実施形態では、式(4)中のRが、C3〜6分岐アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物とアセチレンとを反応させることにより調製することができる。このタイプのジビニルエーテルの例には、式(4)中のRが−CH(CH)−などのアルキル置換メタンジイル基である化合物(例えば、式(4)中のRがエタンジイルでありmが3.8である場合の、Pluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテルなどのPluriol(登録商標)ブレンド(BASF Corp.))、又は、式(4)中のRが−CHCH(CH)−などのアルキル置換エタンジイル(例えば、DPE−2及びDPE−3を含むDPEポリマーブレンド(International Specialty Products))である化合物が含まれる。
【0056】
他の有用なジビニルエーテルには、式(4)中のRが、モノマー単位の平均が約3を有するものなどのポリテトラヒドロフリル(ポリTHF)又はポリオキシアルカンジイルである化合物が含まれる。
【0057】
2種以上のタイプの式(4)のポリビニルエーテルモノマーを使用することができる。したがって、ある種の実施形態では、2種の式(3)のジチオールと1種の式(4)のポリビニルエーテルモノマー、1種の式(3)のジチオールと2種の式(4)のポリビニルエーテルモノマー、2種の式(3)のジチオールと2種の式(4)のジビニルエーテルモノマー、及び式(3)と式(4)の一方又は両方の2種の化合物を使用して、様々なチオール末端ポリチオエーテルを製造することができる。
【0058】
ある種の実施形態では、ポリビニルエーテルモノマーは、チオール末端ポリチオエーテルを調製するために使用する反応体(reactants:反応物質)を20〜50モルパーセント未満含み、ある種の実施形態では、30〜50モルパーセント未満含む。
【0059】
本開示によって提供されるある種の実施形態では、ジチオールとジビニルエーテルとの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルを生じるよう選択される。したがって、式(3)のジチオール又は式(3)の少なくとも2種の異なるジチオールの混合物は、式(4)のジビニルエーテル、又は式(4)の少なくとも2種の異なるジビニルエーテルの混合物と、チオール基対ビニル基のモル比が1:1より高くなる、例えば、1.1〜2.0:1.0となるような相対量で反応させる。
【0060】
ジチオールとジビニルエーテルの化合物間の反応は、遊離ラジカル触媒によって触媒され得る。適切な遊離ラジカル触媒には、例えば、アゾ化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などの例えばアゾビスニトリル、過酸化ベンゾイル及びt−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物、及び過酸化水素などの無機過酸化物が含まれる。この触媒は、遊離ラジカル触媒、イオン性触媒、又は紫外線照射とすることができる。ある種の実施形態では、この触媒は、酸性又は塩基性化合物を含まず、分解時に酸性又は塩基性化合物を生じない。遊離ラジカル触媒の例には、アゾタイプの触媒、例えば、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、及びV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)が含まれる。他の遊離ラジカル触媒の例は、t−ブチルペルオキシドなどのアルキルペルオキシドである。この反応は、陽イオン性の光開始部分を用いて又は用いずに、紫外線による照射によって行うこともできる。
【0061】
本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、少なくとも1つの式(3)の化合物と少なくとも1つの式(4)の化合物を合わせて、次いで適切な触媒を添加し、30℃〜120℃、例えば、70℃〜90℃の温度で、2〜24時間、例えば、2〜6時間実施することにより調製することができる。
【0062】
本明細書において開示されているとおり、チオール末端ポリチオエーテルは、多官能価ポリチオエーテルを含むことができ、すなわち2.0より大きな平均官能基数を有することができる。適切な多官能価チオール末端ポリチオエーテルには、例えば、式(5)の構造:
B(−A−SH) (5)
を有するものが含まれ、
式中、(i)Aは、例えば式(1)の構造を含み、(ii)Bは、価数がzの多官能基化剤の残基を意味し、(iii)zは、2.0より大きい平均値を有し、ある種の実施形態では、2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値を有し、ある種の実施形態では、3〜6の整数である。
【0063】
こうした多官能価チオール末端化合物の調製において使用するのに適した多官能基化剤には、三官能基化剤、すなわちzが3である化合物が含まれる。適切な三官能基化剤には、例えば、それらの引用部分が参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2010/0010133号の段落[0102]〜[0105]に記載されている通り、シアヌル酸トリアリル(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、及びそれらの組合せが含まれる。他の有用な多官能基化剤には、米国特許第4,366,307号、同第4,609,762号、及び同第5,225,472号に記載されている、トリメチロールプロパントリビニルエーテル及びポリチオールが含まれる。多官能基化剤の混合物も使用することができる。
【0064】
その結果、本開示によって提供される実施形態において使用するのに適したチオール末端ポリチオエーテルは、幅広い範囲の平均官能基数を有することができる。例えば、三官能基化剤には、2.05〜3.0、例えば、2.1〜2.6の平均官能基数をもたらすことができる。四官能価又はより多い官能基数の多官能基化剤を使用することによって、より広い範囲の平均官能基数を達成することができる。官能基数は、当業者によって理解される通り、化学量論などの複数の要因によって影響を受けることもある。
【0065】
2.0より多い官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルは、米国公開第2010/0010133号において記載されている二官能価チオール末端ポリチオエーテルと同様の方法で調製することができる。ある種の実施形態では、ポリチオエーテルは、(i)本明細書に記載されている1種又は複数のジチオールと、(ii)本明細書に記載されている1種又は複数のジビニルエーテル、及び(iii)1種又は複数の多官能基化剤とを合わせることにより調製することができる。次に、この混合物を、場合により適切な触媒の存在下で反応させて、2.0より多い官能基数を有するチオール末端ポリチオエーテルを得ることができる。
【0066】
したがって、ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルは、
(a)式(3):
HS−R−SH (3)
{式中、
は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び
−[−(CHR−X−]−(CHR
[式中、
の各々は、水素及びメチルから独立して選択され、
Xの各々は、−O−、−S−、−NH−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され、
sは2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
のジチオール、及び
(b)式(4):
CH=CH−O−[−R−O−]−CH=CH (4)
[式中、
の各々は、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(s、q、r、R、及びXは、上で定義した通りである)から独立して選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応体の反応生成物を含む。
また、ある種の実施形態では、この反応体は、(c)多官能価化合物B(−V)などの多官能価化合物を含み、B、−V、及びzは、本明細書で定義されている通りである。
【0067】
本開示によって提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、分子量分布を有するチオール末端ポリチオエーテルを表す。ある種の実施形態では、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、500ダルトン〜20,000ダルトン、ある種の実施形態では2,000ダルトン〜5,000ダルトン、及びある種の実施形態では3,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を示し得る。ある種の実施形態では、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、1〜20、及びある種の実施形態では1〜5の範囲の多分散性(M/M;重量平均分子量/数平均分子量)を示す。チオール末端ポリチオエーテルの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって特徴づけることができる。
【0068】
組成物
ある種の実施形態では、本開示により提供される組成物は、(a)チオール末端ポリチオエーテル、(b)カプセル化されたポリエポキシ、及び(c)アミン触媒を含む組成物を含む。このチオール末端ポリチオエーテルは、本明細書において開示されている任意のものであってよく、上記のカプセル化されたポリエポキシは、ポリマーシェル内部にカプセル化されているポリエポキシとすることができ、このシェルはポリマーシェル内部にさらにカプセル化されている。
【0069】
ある種の実施形態では、アミン触媒は三級アミン触媒とすることができる。適切な三級アミン触媒の例には、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ジアミノビシクロオクタン(DABCO)、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、N−エチルモルホリン、N’N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン(PMDETA)、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N−ジメチルベンジルアミン(DMBA)、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−ジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、トリエチルアミン、及び1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールが含まれる。別の適切なアミン触媒には、テトラメチルグアニジン(TMG)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、及びイミダゾールなどのアミジン触媒、及び1,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)及びl,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル(MTBD)などの二環式グアニジンが含まれる。
【0070】
ある種の実施形態では、アミン触媒は、DBU、DABCO、及びそれらの組合せから選択される。
【0071】
組成物は、1種又は複数の異なるタイプのアミン触媒を含んでもよい。
【0072】
ある種の実施形態では、本開示により提供される組成物は、チオール末端ポリチオエーテル、又は本明細書において開示されている反応のいずれか1つの反応生成物、又は上記の任意の組合せの他に、1つ又は複数の追加のチオール末端硫黄含有付加物及び/又はプレポリマーを含む。チオール末端硫黄含有付加物及び/又はプレポリマーは、以下に限定されないが、ポリマーチオール、ポリチオール、チオエーテル、ポリチオエーテル、ポリホルマール、及びポリスルフィドを含めた、繰り返し単位中に少なくとも1個の硫黄原子を有する任意のポリマーとすることができる。本明細書で使用する「チオール」とは、単一官能基として、又は例えばチオグリセロールの場合のように、ヒドロキシル基などの別の官能基と組み合わせて、チオール基又はメルカプタン基、すなわち「SH」基を含む化合物を指す。ポリチオールとは、ジチオール又はより官能価の高いチオールなどの2つ以上のSH基を有するこうした化合物を指す。こうした基は、通常、末端及び/又はペンダントであり、その結果、これらの基は別の官能基と反応性を示す活性水素を有する。本明細書で使用する場合、用語「ポリスルフィド」とは、硫黄−硫黄連結(−S−S−)を含む任意の化合物を指す。ポリチオールは、末端及び/又はペンダント硫黄(−SH)と非反応性硫黄原子(−S−又は−S−S−)の両方を含むことができる。したがって、ポリチオールという用語は、一般に、ポリチオエーテル及びポリスルフィドを包含する。本開示により提供される組成物に有用な追加の硫黄含有ポリマーの例には、例えば、米国特許第6,172,179号、同第6,509,418号、及び同第7,009,032号、並びに米国出願第2008/0200610号に開示されているものが含まれる。ある種の実施形態では、本開示により提供される組成物は、以下の構造を有するポリチオエーテル:
−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R−]
[式中、Rは、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10シクロアルキルアルカンジイル、−[(−CH−)−X−]−(−CH−)−、及び−[(−CH−)−X−]−(−CH−)−(少なくとも1つの−CH−単位は、メチル基により置換されている)から選択され、Rは、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10シクロアルキルアルカンジイル、及び−[(−CH−)−X−]−(−CH−)−(Xは、O、S及び−NR−から選択され、Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、mは0〜10の整数であり、nは1〜60の整数であり、pは、2〜6の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である]を含む。こうしたポリチオエーテルは、米国特許第6,172,179号中のカラム2の29行目からカラム4の34行目までに記載されている。
【0073】
1つ又は複数の追加の硫黄含有ポリマーは、二官能価、若しくは例えば3〜6つの末端基を有する多官能価、又はそれらの混合物とすることができる。
【0074】
ある種の実施形態では、本開示により提供される組成物は、本開示により提供される硫黄含有ポリマーを約10重量%〜約90重量%、約20重量〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、及びある種の実施形態では、約40重量%〜約60重量%を含み、この場合、重量%は、該組成物のすべての非揮発性構成要素の総重量(すなわち、乾燥重量)基準である。
【0075】
本明細書で使用する場合、ポリスルフィドという用語は、ポリマー主鎖中、及び/又は該ポリマー鎖上のペンダント位に、1つ又は複数のジスルフィド連結、すなわち−[S−S]−連結を含んでいるポリマーを指す。ある種の実施形態では、このポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄連結を有することになろう。適切なポリスルフィドは、例えば、Thiokol−LP及びThioplast(登録商標)という名称で、Akzo Nobel及びToray Fine Chemicalsから市販されている。Thioplast(登録商標)製品は、例えば、1,100未満から8,000を超える範囲の幅広い範囲の分子量で入手可能であり、この分子量は1モルあたりのグラムでの平均分子量である。一部の場合、ポリスルフィドは、1,000〜4,000の数平均分子量を有する。これらの製品の架橋密度は、使用される架橋剤の量によっても変わる。これらの製品のSH含有量、すなわちチオール又はメルカプタン含有量も変動し得る。ポリスルフィドのメルカプタン含有量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を及ぼすことができ、硬化速度は分子量につれて向上する。
【0076】
航空宇宙用シーラント用途に有用なポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国出願公開第2012/0234205号、及び米国出願公開第2012/0238707号に開示されている。
【0077】
ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、及びそれらの組合せから選択される。ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーはポリチオエーテルを含み、ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーはポリスルフィドを含む。硫黄含有ポリマーは、様々なポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含むことができ、このポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同一又は異なる官能基を有してもよい。ある種の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、平均官能基数が2〜6、2〜4、2〜3を有し、ある種の実施形態では、2.05〜2.5を有する。例えば、硫黄含有ポリマーは、二官能価硫黄含有ポリマー、三官能価硫黄含有ポリマー、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0078】
特性
航空宇宙用シーラント用途の場合、シーラントは、20ミルの硬化厚さにおいて、Mil−S−22473E(シーラントグレードC)の要件を満たし、200%よりも大きな伸び、250psiよりも大きな引張強度、及び優れた耐燃料性を示し、且つ−67°F〜360°F(20℃〜182℃)の広い温度範囲にわたりこれらの特性を維持することが望ましい。
【0079】
ある種の実施形態では、本硬化性組成物は、約25℃において、少なくとも3日間、及びある種の実施形態では、少なくとも4週間のポットライフを有する。
【0080】
ある種の実施形態では、ポリエポキシは、熱的及び/又は機械的応力を適用すると、約30秒未満、約1分未満、又は約2分未満の間に、カプセル化剤から放出され得る。この放出温度は、約50℃超、約70℃超、及びある種の実施形態では、約90℃超とすることができる。ある種の実施形態では、この放出温度は、50℃〜200℃、80℃〜120℃、ある種の実施形態では、90℃〜120℃である。昇温は、赤外線ヒーター、熱板などの放射線源により、又は誘導加熱により適用することができる。昇温は、シーラント組成物の曝露表面、又は組み立てた表面に存在するシーラントに適用することができる。機械的応力には、例えば、衝撃、せん断、研削、及び、超音波が含まれる。ポリエポキシは、結合されることになる表面への施用の間に、せん断力によりマイクロカプセルから放出され得る。ポリエポキシは、シーラントが施用されている組み立てられた表面への衝撃により、シェルカプセル化剤から放出され得る。ある種の実施形態では、超音波を使用して、カプセル化剤シェルを破壊するとポリエポキシを放出することもできる。例えば、マイクロカプセルからポリエポキシを放出するのに十分な時間、適度な頻度で、シーラントが施用される表面及び/又はシーラントに向けて、超音波照射を行うことができる。
【0081】
配合物
本開示によって提供される組成物は、航空宇宙用シーラントにおいて使用するに適している1種又は複数の追加の構成要素を含んでもよく、使用条件下での硬化シーラントの所望の性能特徴に少なくとも一部依存する。
【0082】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、1種又は複数の接着促進剤を含む。1種又は複数の追加の接着促進剤は、本組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1重量%〜15重量%、5重量%未満、2重量%未満、及びある種の実施形態では、1重量%未満の量で存在することができる。接着促進剤の例には、Methylon(登録商標)フェノール性樹脂などのフェノール樹脂、エポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シランなどの有機シラン、例えば、Silquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が含まれる。他の有用な接着促進剤は、当技術分野で公知である。
【0083】
本開示によって提供される組成物は、1種又は複数の異なるタイプの充填剤を含んでもよい。適切な充填剤には、カーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO)、シリカ、ポリマー粉末、及び軽量充填剤などの無機充填剤を含めた、当分野で一般に公知のものが含まれる。適切な軽量充填剤には、例えば、米国特許第6,525,168号において記載されているものが含まれる。ある種の実施形態では、組成物には、本組成物の総乾燥重量に対して、5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、及びある種の実施形態では20重量%〜40重量%の充填剤又は充填剤の組合せ物が含まれる。本開示によって提供される組成物はさらに、1種又は複数の着色剤、チキソトロープ剤、促進剤、難燃剤、付着促進剤、溶媒、マスキング剤、又は上記の任意の組合せをさらに含んでもよい。理解される通り、組成物において使用される充填剤及び添加物は、互いに適用性があるように、かつ、ポリマー構成要素、硬化剤、及び/又は触媒と適合性があるよう、選択され得る。
【0084】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物には、低密度充填剤粒子が含まれる。本明細書で使用する場合、低密度とは、こうした粒子に言及して使用する場合、粒子が、0.7以下、ある種の実施形態では、0.25以下、及びある種の実施形態では0.1以下の比重を有することを意味する。適切な軽量充填剤粒子は、2種のカテゴリー、すなわちマイクロスフィア(微小球)及びアモルファス粒子に収まることが多い。マイクロスフィアの比重は、0.1〜0.7の範囲であってよく、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリアクリレート及びポリオレフィンのマイクロスフィア、並びに5〜100ミクロンの範囲の粒子サイズ及び比重0.25を有するシリカマイクロスフィア(Eccospheres(登録商標))を含む。他の例には、5〜300ミクロン及び比重0.7(Fillite(登録商標))の範囲にある粒子サイズを有するアルミナ/シリカマイクロスフィア、比重約0.45〜約0.7を有するアルミニウムシリケートマイクロスフィア(Z−Light(登録商標))、比重0.13を有する炭酸カルシウムによりコーティングされているポリビニリデンコポリマーマイクロスフィア(Dualite(登録商標)6001AE)、及び平均粒子サイズが約40μm及び密度0.135g/ccを有する炭酸カルシウムによりコーティングされているアクリロニトリルコポリマーマイクロスフィア、例えば、Dualite(登録商標)E135(Henkel)が含まれる。組成物の比重を低下させるのに適した充填剤には、例えば、Expancel(登録商標)マイクロスフィア(AkzoNobelから入手可能)又はDualite(登録商標)低密度ポリマーマイクロスフィア(Henkelから入手可能)などの中空マイクロスフィアが含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物には、その引用部分が参照により本明細書に組み込まれている、米国公開第2010/0041839号の段落[0016]〜[0052]に記載されているものなどの、薄膜コーティング剤によりコーティングされている外側表面を含む軽量充填剤粒子が含まれる。
【0085】
ある種の実施形態では、低密度充填剤は、組成物の2重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、及びある種の実施形態では、組成物の0.5重量%未満を構成し、重量%は組成物の総乾燥固体重量基準である。
【0086】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、組成物の比重を低下するのに有効な少なくとも1種の充填剤を含む。ある種の実施形態では、組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85であり、ある種の実施形態では0.8である。ある種の実施形態では、組成物の比重は、約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、及びある種の実施形態では約0.55未満である。
【0087】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、導電性充填剤を含む。導電性及びEMI/RFI遮蔽効果は、ポリマー内部に導電性材料を組み込むことにより組成物に付与することができる。導電要素は、例えば、金属製又は金属めっき粒子、織物、メッシュ、繊維、及びそれらの組合せを含むことができる。金属は、例えば、フィラメント、粒子、薄片、又は球の形態とすることができる。金属の例には、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、及び鋼が含まれる。ポリマー組成物にEMI/RFI遮蔽効果を付与するために使用することができる他の導電材料には、炭素又はグラファイトを含む導電性粒子又は繊維が含まれる。ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、及びポリアセチレンなどの導電性ポリマーも使用することができる。
【0088】
非導電性充填剤の例には、以下に限定されないが、炭酸カルシウム、雲母、ポリアミド、ヒュームドシリカ、モレキュラーシーブ粉末、マイクロスフィア、二酸化チタン、チョーク、アルカリブラック(alkaline black)、セルロース、硫化亜鉛、重晶石、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの材料が含まれる。充填剤には、硫化亜鉛、及び無機バリウム化合物などの高バンドギャップ材料も含まれる。ある種の実施形態では、導電性基材組成物は、該基材組成物の総重量に対して、2重量%〜10重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができ、ある種の実施形態では、3重量%〜7重量%の範囲とすることができる。ある種の実施形態では、硬化剤組成物は、該硬化剤組成物の総重量に対して、6重量%未満の範囲、ある種の実施形態では、0.5重量%〜4重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができる。
【0089】
導電性及びEMI/RFI遮蔽効果をポリマー組成物に付与するために使用される充填剤は、当分野で周知である。導電性充填剤の例には、導電性貴金属をベースとする充填剤、例えば、純銀、貴金属めっきされている貴金属、例えば、銀めっきされている金、貴金属めっきされている非貴金属、例えば、銀めっきされている銅、ニッケル、又はアルミニウム、例えば、銀めっきされているアルミニウムコア粒子又は白金めっきされている銅粒子、貴金属めっきされているガラス、プラスチック又はセラミック、例えば、銀めっきされているガラス製マイクロスフィア、貴金属めっきされているアルミニウム又は貴金属めっきされているプラスチックのマイクロスフィア、貴金属めっきされている雲母、及び他のそうした貴金属導電性充填剤が含まれる。非貴金属をベースとする材料も使用することができ、これには、例えば、非貴金属めっきされている非貴金属、例えば、銅でコーティングされている鉄粒子又はニッケルめっきされている銅、非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、非貴金属めっきされている非金属、例えば、ニッケルめっきされているグラファイト、並びに非金属材料、例えば、カーボンブラック及びグラファイトが含まれる。導電性充填剤の組合せ物も、所望の導電性、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、及び特定の用途に適した他の特性を満足するために使用することができる。
【0090】
本開示の組成物において使用される導電性充填剤の形状及びサイズは、硬化組成物にEMI/RFI遮蔽効果を付与するために、任意の適切な形状及びサイズとすることができる。例えば、充填剤は、球状、薄片、小板状、粒子状、粉末状、不規則状、繊維状を含む、導電性充填剤の製造において一般に使用される任意の形状とすることができる。本開示のある種のシーラント組成物では、基材組成物は、粒子、粉末又は薄片として、Niコーティングされているグラファイトを含むことができる。ある種の実施形態では、基材組成物中のNiコーティングされているグラファイトの量は、基材組成物の総重量に対して、40重量%〜80重量%の範囲とすることができ、ある種の実施形態では、50重量%〜70重量%の範囲とすることができる。ある種の実施形態では、導電性充填剤は、Ni繊維を含むことができる。Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径を有し、且つ250μm〜750μmの範囲の長さを有することができる。基材組成物は、例えば、該基材組成物の総重量に対して、2重量%〜10重量%、及びある種の実施形態では、4重量%〜8重量%の範囲の量のNi繊維を含むことができる。
【0091】
炭素繊維、特にグラファイト化炭素繊維も、本開示の組成物に導電性を付与するために使用することができる。気相熱分解法により形成され、且つ熱処理によりグラファイト化された炭素繊維(0.1ミクロン〜数ミクロンの範囲の繊維直径を有する中空又は中実である)は、高い導電性を有する。米国特許第6,184,280号に開示されているとおり、0.1μm未満から数十ナノメートルの外径を有する炭素ミクロ繊維、ナノチューブ、又は炭素フィブリルが、導電性充填剤として使用されうる。本開示の導電性組成物に適したグラファイト化炭素繊維の例には、Panex(登録商標)30MF(Zoltek Companies,Inc.、St.Louis、Mo.)(0.00055Ω−cmの電気抵抗率を有する、直径0.921μmの円形繊維)が含まれる。
【0092】
導電性充填剤の平均粒子サイズは、ポリマーをベースとする組成物に導電性を付与するのに有用な範囲内とすることができる。例えば、ある種の実施形態では、1種又は複数の充填剤の粒子サイズは、0.25μm〜250μmの範囲とすることができ、ある種の実施形態では、0.25μm〜75μmの範囲とすることができ、ある種の実施形態では、0.25μm〜60μmの範囲とすることができる。ある種の実施形態では、本開示の組成物は、Ketjen Black EC−600JD(Akzo Nobel,Inc.、Chicago、IL)(1000〜11500mg/gのヨウ素吸収(J0/84−5試験法)、及び480〜510cm/100グラムの孔隙量(DBP吸収、KTM81−3504)を特徴とする、導電性カーボンブラック)を含むことができる。ある種の実施形態では、導電性カーボンブラック充填剤は、Black Pearls 2000(Cabot Corporation、Boston、Mass)である。
【0093】
ある種の実施形態では、導電性ポリマーが使用されて、本開示の組成物の導電性を付与又は改変することができる。ポリフェニレンスルフィド及びポリチオフェンにおけるように、芳香族基に取り込まれた硫黄原子又は二重結合に隣接する硫黄原子を有するポリマーは、導電性であることが知られている。他の導電性ポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、及びポリアセチレンが含まれる。ある種の実施形態では、基材組成物を形成する硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィド及び/又はポリチオエーテルとすることができる。こうして、この硫黄含有ポリマーは、芳香族性硫黄基及び共役二重結合に隣接する硫黄原子、例えば、ビニルシクロヘキセン−ジメルカプトジオキサオクタン基を含むことができ、本開示の組成物の導電度を増強することができる。
【0094】
本開示の組成物は、2種以上の導電性充填剤を含むことができ、この2種以上の導電性の充填剤は、同一材料若しくは異なる材料とすることができ、且つ/又は同一形状若しくは異なる形状とすることができる。例えば、シーラント組成物は、粉末、粒子又は薄片の形態にある、導電性Ni繊維、及びNiコーティングされている導電性グラファイトを含むことができる。導電性充填剤の量及びタイプは、硬化した場合に、0.50Ω/cm未満のシート抵抗(4点抵抗)、及びある種の実施形態では、0.15Ω/cm未満のシート抵抗を示すシーラント組成物を生成するよう選択することができる。充填剤の量及びタイプは、本開示のシーラント組成物を用いてシールされた開口に対して、1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたり有効なEMI/RFI遮蔽を実現するよう選択することもできる。
【0095】
異種金属表面及び本開示の導電性組成物のガルバニック腐食は、この組成物に腐食抑制剤を添加することにより、及び/又は適切な導電性充填剤を選択することにより、最小限に抑えるか、又は防止することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤には、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、及びこれらの組合せが含まれる。米国特許第5,284,888号及び米国特許第5,270,364号は、アルミニウム表面及び鋼表面の腐食を阻止するための芳香族性トリアゾールの使用を開示している。ある種の実施形態では、Znなどの犠牲酸素捕捉剤(sacrificial oxygen scavenger)を、腐食抑制剤として使用することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤は、導電性組成物の総重量の10重量%未満を構成することができる。ある種の実施形態では、腐食抑制剤は、導電性組成物の総重量の2重量%〜8重量%の範囲の量を構成することができる。異種金属表面間の腐食もまた、本組成物を構成する導電性充填剤のタイプ、量、及び特性を選択することによって、最小限に抑えるか又は防止することができる。
【0096】
ある種の実施形態では、チオール末端ポリチオエーテルは、組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、ある種の実施形態では、本組成物の約80重量%〜約90重量%を構成し、重量%は、本組成物の総乾燥固体重量基準である。
【0097】
用途
本開示によって提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング剤、カプセル化剤、及び埋込み用組成物(potting composition)において使用することができる。シーラントには、水分及び温度などの操作条件に耐性を示す能力、並びに、水、燃料、他の液体及び気体などの材料の伝播を少なくとも部分的にブロックする能力を有するフィルムを生成することができる組成物が含まれる。コーティング用組成物には、例えば、外観、粘着性、湿潤性、耐腐食性、耐摩耗性、耐燃料性、及び/又は摩擦抵抗性などの基材の特性を改善するために、該基材の表面に施用される被覆剤が含まれる。埋込み用組成物には、衝撃及び振動に対する抵抗性をもたらすため、並びに水分及び腐食性物質を排除するため、電子組立体に有用な材料が含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙シーラントとして、及び燃料用タンクのライニングとして有用である。
【0098】
ある種の用途では、シーラント組成物は、例えばアルミニウム製パネルなどの2枚のパネル間のシールを実現するために使用される。例えば、こうした用途では、シーラントの硬化厚みは約20ミルとすることができ、200%を超える伸び、250psiを超える引張強度、優れた耐燃料性を示すことができ、約−70°F〜約360°Fで熱的に安定となり得る。
【0099】
ある種の実施形態では、硬化シーラントの厚みは、約5ミル〜約40ミル、約10ミル〜約30ミル、約15ミル〜約25ミル、及びある種の実施形態では、約17ミル〜約23ミルとすることができる。
【0100】
ある種の実施形態では、配合後、非活性化シーラント組成物は、少なくとも24時間、少なくとも3日間、4日間、少なくとも8日間、少なくとも12日間、及びある種の実施形態では、少なくとも16日間、安定である。
【0101】
所期の使用時間において、この系は、迅速に、並びに中程度の温度及び/又は力で活性化されることが望ましい。例えば、この系が熱的に活性化される場合、200秒未満、150秒未満、100秒未満、及びある種の実施形態では、50秒未満の間、熱が適用される。ある種の実施形態では、エポキシは、例えば、200ミリ秒間、20KHzにおいて30psiの圧力を使用して、超音波によりカプセル化剤から放出される。或いは、硬化を引き起こすため、2枚のパネル間のシーラント層に、衝撃力、せん断力、及び/又は研削力が適用されてもよい。
【0102】
本開示によって提供されるシーラントを含む組成物は、様々な基材のいずれにも施用することができる。組成物が施用され得る基材の例には、チタン、ステンレス鋼、及びアルミニウムなどの金属(それらのいずれも、陽極処理、下塗り、有機物コーティング、又はクロム酸コーティングがされていてもよい)、エポキシ、ウレタン、グラファイト、繊維ガラスコンポジット、Kevlar(登録商標)、アクリル樹脂、及びポリカーボネートが含まれる。ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、ポリウレタンコーティングなど、基板上のコーティングに施用されていてもよい。
【0103】
本開示によって提供される組成物は、当業者に公知の任意の適切なコーティング処理によって、基板表面又は下塗り層の上に直接施用することができる。
【0104】
さらに、本開示によって提供される組成物を利用する、開口をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、開口をシールするために、本開示によって提供される組成物を表面に施用するステップ、及びこの組成物を硬化させるステップを含む。ある種の実施形態では、開口をシールする方法は、(a)開口を画定する1つ又は複数の表面に、本開示により提供されるシーラント組成物を施用するステップと、(b)開口を画定する表面を組み立てるステップと、(c)エネルギーを適用して、カプセル化剤からポリエポキシを放出させるステップと、(d)開口をシールするためにシーラントを硬化させるステップとを含む。シーラントの硬化には、硬化過程を積極的に加速させることなく、周囲温度でシーラントを硬化させることを含む。ある種の実施形態では、方法は、a)開口を画定する1つ又は複数の表面に、本開示により提供されるシーラント組成物を施用するステップと、(b)エネルギーを適用して、カプセル化剤からポリエポキシを放出させるステップとを含む。
【0105】
ある種の実施形態では、組成物は、活性化後、周囲条件下で硬化することができ、周囲条件とは、20℃〜25℃の温度及び大気の湿度を指す。ある種の実施形態では、組成物は、0℃〜100℃の温度及び相対湿度0%〜相対湿度100%の湿度を含む条件下で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、ある種の実施形態では、少なくとも50℃などのより高温で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は室温、例えば25℃で硬化することができる。ある種の実施形態では、組成物は紫外線照射などの化学線に曝すと硬化することができる。理解されるとおり、本方法は、航空機及び宇宙航空機を含む、宇宙航空機の開口をシールするために使用することができる。
【0106】
ある種の実施形態では、組成物は、ポリエポキシがカプセル化剤から放出された後、約6時間未満、約12時間未満、約18時間未満、約24時間未満で、及びある種の実施形態では、約48時間未満でタックフリー硬化(tack−free cure)を達成する。
【0107】
硬化シーラントなどの本明細書において開示されている硬化組成物は、航空宇宙用途において使用するのに許容可能な特性を示す。一般に、航空及び航空宇宙用途において使用されるシーラントは、以下の特性、すなわち、米国航空宇宙材料仕様書(AMS)3265B試験仕様書に従う、7日間JRFに浸漬し、且つ3%NaCl溶液に浸漬した後に、乾燥条件下で決定されるAMS 3265B基材上にリニアインチあたり20ポンド(pound per linear inch:pli)を超える剥離強度、1平方インチあたり300ポンド(psi)〜400psiの間の引張強度、リニアインチあたり(pli)50ポンドを超える引裂強さ、250%〜300%の間の伸び、及びデュロメーターAが40を超える硬度を示すことが望ましい。航空及び航空宇宙用途に適した、これら及び他の硬化シーラントの特性は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、AMS 3265Bにおいて開示されている。航空及び航空機用途において使用される本開示の組成物は、硬化すると、JRFのI型中、60℃(140°F)及び周囲圧で1週間の浸漬の後、25%以下のパーセント体積膨潤を示すことも望ましい。他の特性、範囲、及び/又は閾値は、他のシーラント用途のため適当なものであってよい。
【0108】
したがって、ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、耐燃料性である。本明細書で使用する場合、用語「耐燃料性」とは、組成物が基材に施用されて硬化した場合、ASTM D792(米国試験材料協会)又はAMS3269(米国航空宇宙材料仕様書)に記載されているものと類似の方法に従い、ジェット基準流体(JRF)I型中、140°F(60℃)及び周囲圧における1週間の浸漬の後、40%以下、一部の場合25%以下、一部の場合20%以下、さらに別の場合10%以下のパーセント体積膨潤を示す、シーラントなどの硬化生成物を提供することができることを意味する。耐燃料性の決定のために使用されるジェット基準流体JRFのI型は、以下の組成を有する。トルエン28±1体積%、シクロヘキサン(工業用)34±1体積%、イソオクタン38±1体積%、及び第三級ジブチルジスルフィド1±0.005体積%(SAE(自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers))から入手可能な1989年7月1日発行のAMS2629、§3.1.1などを参照されたい)。
【0109】
ある種の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、シーラントなどの硬化生成物を提供し、AMS3279 §3.3.17.1の試験手順AS5127/1 §7.7において記載されている手順に従って測定した場合、少なくとも100%の引張伸び、及び少なくとも400psiの引張強度を示す。
【0110】
ある種の実施形態では、組成物はシーラントなどの硬化生成物をもたらし、この生成物は、SAE AS5127/1の段落7.8において記載されている手順に従って測定すると、少なくとも220psi、少なくとも250psi、及び一部の場合、少なくとも400psiなどの200psiより大きなラップせん断強度を示す。
【0111】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物を含む硬化シーラントは、AMS3277において記載されている航空宇宙用シーラントに対する要件を満足するか、又はそれをしのぐ。
【0112】
本開示によって提供される組成物でシールされた宇宙航空機の開口を含めて、当該組成物でシールされた開口もまた、開示される。
【0113】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される導電性シーラント組成物は、500°Fで24時間曝された後に、室温で測定すると以下の特性、すなわち、表面抵抗率が1オーム/スクエア未満、引張強度が200psi超、伸びが100%超、及び凝集破壊がMIL−C−27725によって測定すると100%を示す。
【0114】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される硬化シーラントは、室温で2日間、140°Fで1日間、及び200°Fで1日間硬化させた場合、以下の特性、すなわち乾燥硬度49、引張強度428psi、及び伸び266%を示し、またJRF中で7日間後には、硬度36、引張強度312psi、及び伸び247%を示す。
【0115】
ある種の実施形態では、本開示によって提供される組成物は、ショアA硬さ(7日間の硬化)が、10超、20超、30超、及びある種の実施形態では、40超を示し、引張強度は10psi超、100psi超、200psi超、及びある種の実施形態では、500psi超を示し、伸びは100%超、200%超、500%超、及びある種の実施形態では1000%超を示し、膨潤は、JRF(7日間)に曝露後、20%未満を示す。
【実施例】
【0116】
本開示によって提供される実施形態は、以下の例を参照することによりさらに例示され、これらの例は、チオール末端ポリチオエーテル及びカプセル化されたエポキシを含む組成物、並びにこうした組成物の使用を説明する。材料と方法の両方に対する多くの修正が、本開示の範囲から逸脱することなく実施することができることが当業者には明らかであろう。
【0117】
(例1)
マイクロカプセル化エポキシシーラント組成物
混合は、フタ付きのプラスチック製容器中で実施した。Permapol(登録商標)P3.1E(15.58g、PRC−Desoto International、Inc、Sylmar、CAから入手可能なチオール末端ポリチオエーテル)、炭酸カルシウム(8.00g)、トリエチレンジアミン(0.231g)、及びLipocapsule(商標)LT−81381(3.64g、カプセル化されたエポキシ樹脂、Lipo Technologiesから入手可能)を上記の容器に加えた。この容器をスピードミキサー(DAC600FVZ)に入れ、2,300rpmで30秒間混合した。
【0118】
室温で、この混合材料の一部を上記のプラスチック製容器内に放置した。4週間後、この混合物は液体のままであり、硬化していないことは明白であった。この混合材料の第2の部分を磁器乳鉢中で30分間、砕いた。この材料は、3週間後に、硬度値が15ショアAを有する固体エラストマーを形成した。この混合材料の第3の部分をボルトのねじ山に施用した。このボルトをマッチングナット(matching nut)内にネジ止めした。ねじ切りに伴う機械的せん断により、この材料は24時間で固体エラストマーを形成した。
【0119】
この固体エラストマーをジェット基準流体I型中、140°Fで7日間、さらに浸漬した。SAE AS5127に従って測定すると、容積膨潤は24%であり、重量損失は3.4%であった。
【0120】
最後に、本明細書において開示されている実施形態を実施する代替的方法が存在することに留意すべきである。したがって、本実施形態は、例示として見なされるべきであり、限定として見なされるべきではない。さらに、特許請求の範囲は、本明細書において示されている詳細説明に限定されるものではなく、それらの全範囲及び等価物に権利が与えられている。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおりである。
[態様1]
(a)チオール末端ポリチオエーテル、
(b)カプセル化されたポリエポキシ、及び
(c)アミン触媒
を含む、硬化性組成物。
[態様2]
チオール末端ポリチオエーテルが、式(1):
−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]− (1)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、又は
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、0〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は独立して、水素又はメチルを含み、
Xの各々は、−O−、−S−及び−NR−(Rは水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
を含み、
の各々は独立して、C1−10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−(s、q、r、R及びXは、Rに関して定義した通りである)を含み、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である}
の構造を含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様3]
チオール末端ポリチオエーテル(a)が、式(2)のチオール末端ポリチオエーテル、式(2a)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せ:
HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−SH (2)
{HS−R−[−S−(CH−O−(R−O)−(CH−S−R−]−S−V’−}B (4a)
{式中、
の各々は独立して、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、又は
−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)
[式中、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
の各々は独立して、水素又はメチルを含み、
Xの各々は独立して、−O−、−S−、又は−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)を含む]
を含み、
の各々は独立して、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−[式中、s、q、r、R、及びXは、Rに関して定義した通りである]を含み、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、価数がzのビニル末端多官能基化剤B(−V)[式中、zは、3〜6の整数であり、Vの各々は、末端ビニル基を含む基である]のコアを表し、
−V’−の各々は、−Vとチオールとの反応物に由来する部分である}
を含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様4]
カプセル化されたポリエポキシが、熱、機械力、超音波、又は上記の任意の組合せから選択されるエネルギーを適用することにより、カプセル化剤から放出される、上記態様1に記載の組成物。
[態様5]
カプセル化されたポリエポキシが、80℃〜120℃の温度において、カプセル化剤から放出される、上記態様1に記載の組成物。
[態様6]
ポリエポキシが、200ダルトン〜2,000ダルトンの分子量を有するポリエポキシを含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様7]
アミン触媒が、1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、イソホロンジアミン(IPDA)、及びC6〜10一級アミン、又は上記の任意の組合せを含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様8]
追加のチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む、上記態様1に記載の組成物。
[態様9]
追加のチオール末端硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテル、チオール末端ポリスルフィド、チオール末端ポリホルマール、又は上記の任意の組合せを含む、上記態様8に記載の組成物。
[態様10]
ポリエポキシがマイクロカプセル内部に含まれている、上記態様1に記載の組成物。
[態様11]
少なくとも約24時間のポットライフを特徴とする、上記態様1に記載の組成物。
[態様12]
シーラントとして配合された、上記態様1に記載の組成物。
[態様13]
開口をシールする方法であって、
(a)開口を画定する1つ又は複数の表面に、上記態様12に記載のシーラント組成物を施用するステップと、
(b)エネルギーを適用して、カプセル化剤からポリエポキシを放出させるステップと
を含む、上記方法。
[態様14]
熱エネルギーを適用して、ポリエポキシを放出させる、上記態様13に記載の方法。
[態様15]
上記態様12に記載のシーラント組成物によりシールされた開口。