特許第6261718号(P6261718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261718発光半導体素子および発光半導体素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261718
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】発光半導体素子および発光半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20180104BHJP
【FI】
   H01L33/60
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-512314(P2016-512314)
(86)(22)【出願日】2014年5月5日
(65)【公表番号】特表2016-517186(P2016-517186A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2014059079
(87)【国際公開番号】WO2014180772
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】102013104840.4
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュヴァーツ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジンガー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リンコフ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン イレク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング メンヒ
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225754(JP,A)
【文献】 実開昭50−092182(JP,U)
【文献】 特開昭57−005356(JP,A)
【文献】 特開2010−225755(JP,A)
【文献】 特開2009−224376(JP,A)
【文献】 特開2013−021175(JP,A)
【文献】 特開2002−344030(JP,A)
【文献】 特開2006−229055(JP,A)
【文献】 特開2013−258175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム放射半導体素子であって、
・半導体層列(200)を備えた少なくとも1つの半導体チップ(2)と、
・実装面(11)と、
・ビーム出射面(10)と、
・ビームガイド層(3)と、
・反射体(4)とを有しており、
前記半導体層列(200)は、ビーム生成のために設けられたアクティブ領域(20)を有しており、
前記実装面(11)には、前記半導体チップの外部との接触接続のための少なくとも1つの電気的なコンタクト(51、52)が形成されており、当該実装面は、前記半導体層列の主要延在面に対して平行に延在しており、
前記ビーム出射面(10)は、前記実装面に対して傾斜して、または、垂直に延在しており、
前記ビームガイド層(3)は、前記半導体チップと前記ビーム出射面との間のビーム路内に配置されており、
前記反射体(4)は、部分的に、前記ビームガイド層に当接しており、前記半導体素子を平面図で見ると、前記半導体チップを覆っており、
前記反射体は部分的に前記実装面を形成しており、
前記半導体チップは、コンタクト路(55)を用いて前記コンタクトと接続されており、ここで、前記コンタクト路は、前記ビームガイド層上に被着された層として形成されており、
前記コンタクト路は部分的に、前記ビームガイド層と反射層との間に配置されており、かつ、前記ビームガイド層にも、前記反射層にも部分的に接している、
ことを特徴とするビーム放射半導体素子。
【請求項2】
前記ビームガイド層は、ビーム変換材料を含有している、請求項1記載のビーム放射半導体素子。
【請求項3】
前記ビームガイド層は前記ビーム出射面を形成し、前記反射体を側面図で見ると、前記ビーム出射面を全周囲に沿って包囲している、請求項1または2記載のビーム放射半導体素子。
【請求項4】
前記ビームガイド層は、前記半導体素子の平面図において、前記半導体チップを完全に包囲している、請求項1からまでのいずれか1項記載のビーム放射半導体素子。
【請求項5】
前記半導体チップの、前記実装面とは反対側の前面(24)には、前記半導体素子を平面図で見ると、前記ビームガイド層が設けられていない、請求項記載のビーム放射半導体素子。
【請求項6】
前記ビームガイド層は少なくとも1つの中空部(31)を有しており、当該中空部(31)を通じて、前記半導体チップは、前記コンタクトと電気的に接続されている、請求項4または5記載のビーム放射半導体素子。
【請求項7】
前記ビームガイド層は、前記実装面に対して垂直に延在する方向において、半導体ボディと前記反射体との間に配置されており、
前記反射体は、前記半導体チップを水平方向において完全に包囲しており、前記半導体チップの側方放射を回避する、請求項1から4までのいずれか1項記載のビーム放射半導体素子。
【請求項8】
前記半導体チップの少なくとも2つの外面には、ミラー層が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のビーム放射半導体素子。
【請求項9】
前記半導体チップはリードフレーム(5)上に配置されており、当該リードフレームは前記コンタクトを形成する、請求項1からまでのいずれか1項記載のビーム放射半導体素子。
【請求項10】
複数個のビーム放射半導体素子を製造する方法であって、
a)ビーム生成のために設けられたアクティブ領域(20)を備えた半導体層列(200)を各々有している複数個の半導体チップ(2)を準備するステップと、
b)前記半導体チップに当接しているビームガイド層(3)を形成するステップと、
c)反射体(4)を形成する反射体材料によって、前記ビームガイド層を少なくとも部分的に包囲するステップと、
d)複数個のビーム放射半導体素子(1)に個別化するステップと
を有しており、
各半導体素子は少なくとも1つの半導体チップを有しており、前記ビームガイド層が個別化された半導体素子のビーム出射面を形成するように、個別化時に前記ビームガイド層と前記反射体とを分断し、
前記反射体は部分的に前記実装面を形成し、かつ、
前記半導体チップ同士を、ステップb)の後に、電気的に接触接続させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ステップd)の前に、水平方向において完全に、前記反射体によって前記ビームガイド層を包囲し、前記ステップd)において露出させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ステップc)の前に、分断溝(35)を、隣接している半導体チップの間であって、前記ビームガイド層に形成する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記複数個の半導体チップを、前記ビームガイド層の中空部(31)によって、電気的に接触接続させる、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記ビームガイド層をステップb)において、前記半導体チップの前記側面(27)に形成する、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記ビームガイド層の形成前に、前記半導体チップの前記側面に、さらなる反射体材料を設ける、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記ビームガイド層はビーム変換材料を含有しており、前記半導体素子によって放射されるビームのCIE色度図における色位置を、ステップd)の後に、前記ビームガイド層の材料除去によって調節する、請求項10から15までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム放射半導体素子並びにビーム放射半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
手持ち式電子機器、例えば携帯電話では、しばしば、液晶ディスプレイが使用される。この液晶ディスプレイのバックライトに、LEDも使用可能である。しかしこのような電子機器の高さの低減化が進むにつれて、従来の構造ではもはや容易に満たすことができないほどに、LEDの高さに対する要求も高まっている。
【0003】
本発明の課題は、高さが低減されているのにもかかわらず、機器の使用に十分な光束を提供するビーム放射半導体素子を提供することである。さらに、このようなビーム放射半導体素子を容易かつ低コストに製造することを可能にする方法を提示する。
【0004】
上述の課題は、特に、ビーム放射半導体素子によって、ないしは、従属請求項に記載されている方法によって解決される。他の構成および有効性は、従属請求項に記載されている。
【0005】
ビーム放射半導体素子は、少なくとも1つの実施形態において、半導体層列を備えた少なくとも1つの半導体チップを有している。この半導体層列は、ビームを生成するために設けられたアクティブ領域を有している。アクティブ領域は、特に、可視スペクトル領域、紫外スペクトル領域または赤外スペクトル領域のビームを生成するために設けられている。半導体層列は、例えば、第1の導電型の第1の半導体層と、第1の導電型とは異なる第2の導電型の第2の半導体層とを有している。アクティブ領域は、第1の半導体層と第2の半導体層との間に配置されている。半導体チップの電気的な接触接続のために、半導体チップは、有利には、第1の接続面と第2の接続面とを有している。
【0006】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体素子は実装面を有している。この実装面に、少なくとも1つの電気的なコンタクトが、半導体チップの外部との電気的な接触接続のために形成されている。実装面は、特に、半導体層列の半導体層の主要延在面に対して平行に延在する。用語「平行」とはここで、実装面と半導体層列の主要延在面との相対的な配置も含む。ここでは、実装面と主要延在面とは、製造によって決まる、低い角度、例えば最大で10°の角度を成す。垂直方向では、半導体素子は、実装面と半導体素子の前面との間に延在する。垂直方向とは、実装面に対して垂直に延在する方向を意味する。これに相応して、水平方向とは、実装面に対して平行に延在する方向のことである。
【0007】
特に、実装面には、第1の電気的なコンタクトと第2の電気的なコンタクトとが形成されている。
【0008】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体素子は、ビーム出射面を有している。このビーム出射面は、実装面に対して傾斜して、または、実装面に対して垂直に延在している。例えば、ビーム出射面は、実装面と、60°から120°までの角度、特に85°から95°までの角度を成す。ビーム出射面は、半導体素子を水平方向において画定している、半導体素子の側面に形成されている。ビーム出射面は、特に、水平方向において、半導体チップと間隔を空けて配置されている。特に、半導体素子は1つのビーム出射面を有している。換言すれば、半導体素子の残りの側面および半導体子素子の前面には、ビーム出射面は設けられていない。ビーム放射半導体素子の主要放射方向は、特に、実装面に対して平行に延在している。
【0009】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体素子は、ビームガイド層を有している。このビームガイド層は、特に、ビーム路において、半導体チップとビーム出射面との間に配置されている。ビームガイド層は、半導体チップのアクティブ領域内で生成されたビームに対して透過性である、または、少なくとも半透過性である。特に、ビームガイド層は、半導体チップからビーム出射面へと貫通している。すなわち、ビームガイド層は半導体チップに接しており、ビーム出射面を形成する。すなわちビームガイド層は、部分的に、半導体素子の側面を形成する。
【0010】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体素子は反射体を有している。この反射体は、特に部分的に、ビームガイド層に接している。反射体は、ビームガイド層内に案内され、反射体の方向に延在しているビームを、ビームガイド層内に反射して戻すために設けられている。反射体は、拡散反射性に、および/または、指向反射性に構成可能である。例えば、反射体は、プラスチックを含んでいる。このプラスチックには、反射率を上昇させる粒子が混ぜられている。例えば、反射体には、ポリマー材料、例えばシリコーンが適している。粒子には、例えば、酸化チタンが適している。
【0011】
半導体素子の平面図で、反射体は、半導体チップを少なくとも部分的に、有利には完全に覆っている。反射体によって次のことが回避される。すなわち、半導体チップの前面を通じて出射したビームが、垂直方向で、ビーム放射半導体素子から出射することが回避される。特に、このビームは、ビームガイド層内に反射して戻され、次に、側方のビーム出射面から出射する。
【0012】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体素子は、半導体層列を備えた少なくとも1つの半導体チップを有している。この半導体層列は、ビームを生成するために設けられたアクティブ領域を有している。ビーム放射半導体素子は、実装面を有している。この実装面には、少なくとも1つの電気的なコンタクトが、半導体チップの外部との接触接続のために形成されている。ここでこの実装面は、半導体層列の主要延在面に対して平行に延在している。ビーム出射面は、実装面に対して、傾斜してまたは垂直に延在している。ビーム放射半導体素子は、さらに、ビームガイド層を有している。このビームガイド層は、ビーム路において、半導体チップと、ビーム出射面との間に配置されている。さらに、ビーム出射半導体素子は反射体を含んでいる。この反射体は、部分的に、ビームガイド層に接しており、半導体素子の平面図において、半導体チップを覆っている。
【0013】
ビームガイド層および反射体を用いて、容易に、半導体素子が実現される。この半導体素子の高さは特に低く、動作時に、側方ビーム出射面、特に1つの側方ビーム出射面のみを通して、ビームを放射する。
【0014】
この半導体素子は、さらに、事前に製造されたケーシング内に半導体チップが配置されている従来の側方放射型半導体素子と比べて、改善された熱導出を有している、という特徴を有している。さらに、この半導体素子は特に低コストに、ウェハレベルで製造可能である。
【0015】
ビーム放射半導体素子は特に、表面実装部品(Surface Mounted Device, SMD)として、形成されている。
【0016】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、ビーム変換材料を含んでいる。ビーム変換材料は、半導体チップ内で、特にアクティブ領域内で生成された、第1のピーク波長を有する一次ビームを、少なくとも部分的に、第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長を有する二次ビームに変換するために設けられている。ビーム変換材料は、半導体チップ内で生成された一次ビームを完全に、または、部分的にのみ変換することができる。半導体素子は、例えば混合光、特に人間の眼に白く見える光を放射する。例えば、半導体素子全体によって放射されたビームは、赤、緑および青のスペクトル領域のビーム成分を含んでいる。このような半導体素子は、表示装置、例えば液晶ディスプレイのバックライトに特に適している。
【0017】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、ビーム出射面を形成する。側面図で、反射体は、ビーム出射面を、周囲の長さ全体に沿って包囲している。すなわち反射体はビーム出射面を画定しており、ビーム出射面の側方でのビーム出射を阻止する。
【0018】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体チップは、コンタクト路を用いて、コンタクトと接続されている。例えば、コンタクト路は、部分的に、ビームガイド層と、反射層との間に配置されている。コンタクト路は、特に、ビームガイド層にも、反射層にも部分的に接し得る。コンタクト路は、例えば、ビームガイド層上に被着された層として形成されている。択一的に、コンタクト路は、例えば、ワイヤボンディング接続によって形成される。
【0019】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、半導体チップを、半導体素子の平面図で、完全に、特にアクティブ領域の高さで包囲している。特に、半導体チップの側面は、完全に、ビームガイド層によって覆われている。例えば、ビームガイド層は半導体チップに形成されている。
【0020】
半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイドは、水平方向において、半導体チップとビーム出射面との間に配置されている。すなわち、水平方向において半導体チップから出射したビームは、直接的に、ビームガイド層内に入力される。垂直方向でビーム出射面は、半導体チップと同じ高さにある。
【0021】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体チップの前面には、半導体素子の平面図において、ビームガイド層が設けられていない。特に、ビームガイド層は、実装面から見て、垂直方向において、半導体チップを超えて延在していない、または、僅かに(すなわち最大で、最大垂直方向延在の10%)超えて延在している。従ってビームガイド層は、垂直方向において、放射されたビームの拡張を生じさせない。これによって、平らな導光体内への入力が容易になる。
【0022】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、少なくとも1つの中空部を有している。この中空部を通じて、半導体チップは、コンタクトと導電性接続されている。この中空部は特に、垂直方向において、完全に、ビームガイド層を貫通している。特に、この中空部は、直接的なビーム路の外で、半導体チップとビーム出射面との間に配置されている。すなわち、半導体チップの、ビーム出射面の方を向いている側面から、ビーム出射面の方向に放射されたビームは、先行する反射なく、中空部に入射する。半導体チップとコンタクトとの間に導電性接続を形成するために、中空部は、有利には、導電性材料、例えば金属で充填されている。
【0023】
半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、垂直方向において、半導体チップと反射体との間に配置されている。すなわち、半導体チップの前面を通じて放出されたビームが、ビームガイド層内に入力される。反射体によって、垂直方向において、半導体チップから放出されたビームが、ビーム出射面の方向に方向転換される。垂直方向では、ビーム出射面は、実装面から見て、半導体チップの上方に位置している。この構成は特に、表面放射型として形成されている半導体チップ、すなわち、少ない割合、例えば最大で30%の割合しか、ビームが側方から出射しない半導体チップに適している。このような構成では、製造時に、ビーム出射面の垂直方向の延在が、半導体チップの垂直方向の延在とは無関係に、ビームガイド層の垂直方向の延在によって調節可能である。
【0024】
1つの実施形態では、反射体は、半導体チップを、水平方向で完全に包囲する。すなわちこの反射体によって、半導体チップの側方放射が回避される。従って、ビームガイド層への入力が完全に、または、少なくとも80%以上、半導体チップの前面を通して行われる。
【0025】
択一的な実施形態では、ビームガイド層は、半導体チップの前面も、半導体チップの少なくとも1つの側面も、特に全ての側面も、完全に、または、少なくとも部分的に覆う。従って、ビームガイド層内へのビーム入力は、半導体チップの比較的大きい表面にわたって行われる。
【0026】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体チップは、少なくとも2つの外面で、ミラー層を有している。特に、半導体チップには、ビーム出射面の方を向いている側面以外、全ての外面にミラー層が設けられる。ミラー層は、例えば、金属層および/または誘電性ミラー構造体、例えばブラグミラーを用いて形成される。ミラー層を用いて、半導体チップのどの箇所でビーム出力が避けられるべきかを定めることができる。
【0027】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、半導体チップはリードフレーム上に配置されている。リードフレームは、特に、少なくとも1つのコンタクトを、半導体素子の電気的な接触接続のために形成する。
【0028】
ビーム放射半導体素子の少なくとも1つの実施形態では、コンタクトは、半導体チップ上でのコーティングによって形成されている。このようなコーティングは、リードフレームよりも薄い。従って、半導体素子の高さが格段に低減される。特に、コンタクトと、反射体とは、実装面において、垂直方向で相互に同一平面を成している。
【0029】
多数のビーム放射半導体素子を製造するための方法では、少なくとも1つの実施形態に従って、多数の半導体チップが提供される。これらはそれぞれ、ビーム生成のために設けられたアクティブ領域を備えた半導体層列を有している。例えば、半導体チップは、補助担体上に、または、リードフレーム結合体等上にマトリックス状に配置される。ビームガイド層は、半導体チップに接するように形成されている。ビームガイド層は、少なくとも部分的に、反射体を形成する反射体材料によって包囲される。次に、複数個のビーム放射半導体素子への個別化が行われる。ここで各半導体素子は少なくとも1つの半導体チップを有しており、個別化時に、ビームガイド層と反射体とが次のように分断される。すなわち、ビームガイド層が、個別化された半導体素子のビーム出射面を形成するように分断される。
【0030】
反射体の形成および/またはビームガイド層の形成は例えば、成形を用いて行われる。ここで用語「成形」は一般的に、成形材料を加える方法を表しており、特に射出成形(injection moulding)、トランスファ成形(transfer moulding)および圧縮成形(compression moulding)も含んでいる。
【0031】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、個別化前に、水平方向で、完全に反射体によって包囲されており、個別化時に露出される。すなわち個別化時には、素子の、ビームガイド層が露出されている側面が生じる。ビーム出射面が形成されている側面では、反射体とビームガイド層とは同一平面を成している。
【0032】
この個別化は、例えば、機械によって、例えばソーイングによってまたはカットによって、科学的に、例えばエッチングによって、または、コヒーレントビーム、例えばレーザを用いた処置によって行われる。
【0033】
従って、個別化された半導体素子の側面、特に、ビーム出射面は、個別化ステップの痕跡を有している。これは、例えば、機械的な処置または科学的な処置の痕跡またはレーザビームの作用の痕跡である。
【0034】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、反射体材料による変形前に、分断溝が、ビームガイド層内に形成される。特に、ビームガイド層は、この分断溝によって、製造されるべき半導体素子の数に相応する数のセグメントに分けられる。すなわち、ビームガイド層の側面は、分断溝の形成時に生じる。特に、反射体材料は、ビームガイド層の包囲時に、分断溝の形成時に生じる、ビームガイド層の側面に形成される。これとは異なり、ビームガイド層の個々のセグメントが、既に、ビームガイド層の形成時に形成されてもよい。これは例えば、相応に形成された鋳型によって行われる。
【0035】
ビームガイド層の包囲前に、それぞれ少なくとも1つの半導体チップを有しているビームガイド層の個々のセグメントを、新たなラスタに配置することが可能である。従って、ビームガイド層の個々のセグメント間の間隔は、反射体材料による包囲時に、分断溝の幅よりも大きい。
【0036】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、複数の半導体チップは、ビームガイド層の形成後に、電気的に接触接続される。例えば、コンタクト路が形成される。このコンタクト路は部分的に半導体チップ上に延在し、部分的にビームガイド層上に延在する。特に、ビームガイド層の形成と反射体の形成との間に、半導体チップのこの接触接続が行われる。
【0037】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、半導体チップは、ビームガイド層の中空部を通して電気的に接触接続される。この中空部は、既に、ビームガイド層の形成時に形成される、または、後から行われるビームガイド層の材料除去によって行われる。これは例えば、レーザによって行われる。
【0038】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層は、ビームガイド層の形成時に、半導体チップの側面に形成される。すなわち、ビームガイド層は、半導体チップの側面に当接する。
【0039】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、半導体層の側面には、ビームガイド層の形成前に、さらなる反射体材料が設けられる。この場合には、このさらなる反射体材料は、半導体チップの側面に当接し、半導体チップからの側方のビーム出射を阻止する。用語「反射体材料」および「さらなる反射体材料」は、この方法の実行時のこれらのステップの順番を示唆するものではない。反射体材料とさらなる反射体材料は、材料に関して同じでも、異なっていてもよい。
【0040】
この方法の少なくとも1つの実施形態では、ビームガイド層はビーム変換材料を有しており、半導体素子によって放射されたビームの色位置は、ビーム放射半導体素子への個別化後に、ビームガイド層の材料除去によって調整される。材料除去は同様に、ビーム出射面の全面にわたって、または、部分的にのみ行われる。部分的な除去は例えば、局所的な刻み目によって行われる。
【0041】
半導体チップと、ビーム出射面との間の間隔は、有利には、50μmから500μmまでである。この間隔が短くなるほど、反射体でのビーム反射時の吸収損失が小さくなる。他方で、例えば製造時に生じる、半導体チップに対して相対的な個別化切断の位置変動に起因する間隔の変動が色位置の変動を生じさせ得る。ここで小さい製造誤差は、間隔が小さい場合には、間隔が大きい場合よりも、割合的に強い作用を有する。50μmから500μmまでの間隔は、特に適切であることが判明している。特に、次のことが証明されている。すなわち、このような場合に、例えばCIE色度図において、座標cx=0.29、cy=0.27を有する色位置が得られることが証明されている。このような色位置は、約8500Kの色温度に相当する。しかしこの色位置は、黒体軌跡上にはない。
【0042】
説明した方法は、上述した、ビーム放射半導体素子の製造に特に適している。従って半導体素子と関連して記載された特徴は方法にも当てはまり、方法に関連して記載された特徴は半導体素子にも当てはまる。
【0043】
さらなる特徴、構成および有効性を、実施例の以下の説明において、図面に関連して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】半導体素子の実施例の概略的な平面図
図1B】半導体素子の実施例の概略的な断面図
図1C】半導体素子の実施例の斜視図
図1D】半導体素子の実施例の斜視図
図2A】半導体素子の実施例の概略的な平面図
図2B図2Aに属する、半導体素子の実施例の概略的な断面図
図3A】半導体素子の実施例の概略的な平面図
図3B図3Aに属する、半導体素子の実施例の概略的な断面図
図4A】半導体素子の実施例の概略的な平面図
図4B図4Aに属する、半導体素子の実施例の概略的な断面図
図5A】半導体素子の実施例の概略的な平面図
図5B図5Aに属する、半導体素子の実施例の概略的な断面図
図6A】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6B】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6C】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6D】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6E】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6F】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6G】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6H】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6I】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
図6J】概略的に示された中間ステップに基づく、半導体素子を製造する方法の実施例の斜視図
【0045】
図面では、同じ要素、同じ種類の要素または同じ作用を有する要素に、同じ参照番号が付与されている。
【0046】
図示された要素相互間の形態および大きさの比は、縮尺通りではない。むしろ、個々の要素、特に層厚は、見やすくするために、および/または、分かり易くするために、過度に誇張して示されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0047】
半導体素子の第1の実施例が、図1A〜1Dに示されている。半導体素子1は、垂直方向において、実装面11と前面13との間で延在している。実装面と前面との間には、側面12が延在している。この側面12は、半導体素子1を水平方向において画定している。側面は、実装面に対して垂直に、または、少なくとも、実質的に垂直に延在している。側面12の1つには、ビーム出射面10が形成されている。半導体素子から放射されるビームの主要放射方向は、ビーム出射面に対して垂直に延在しており、かつ、実装面に対して平行に延在している。
【0048】
半導体素子1は、例として、ビームを生成するために設けられた、2つの半導体チップ2を含んでいる。これらの半導体チップは垂直方向において、背面23と前面24との間に延在している。水平方向では、半導体チップは、側面27によって画定されている。半導体チップ2は、前面24に、第1の接続面25と第2の接続面26とそれぞれ1つ有している。半導体チップ2は、長方形の、正方形ではない底面を有している。半導体チップの延在は、ビーム出射面に対して平行の方向では、有利には、ビーム出射面に対して垂直の方向におけるよりも少なくとも20%大きい。従って、正方形の底面を有する半導体チップと比べて、ビーム出射面の方向での増幅されたビーム取り出しが促進される。しかしこれとは異なり、正方形の底面を有する半導体チップも使用可能である。半導体チップの詳細、特に、ビームを生成するために設けられたアクティブ領域の詳細は、図1A〜1Dにおいて、特に、線AA’に沿った図1Bの断面図において、図を簡略化するために示されていない。半導体チップを例えば、図2Bと関連して後述するように、構成することが可能である。
【0049】
実装面11で、半導体素子1は、第1のコンタクト51と第2のコンタクト52とを有している。第1のコンタクト51は第1の接続面25と導電性に接続されており、第2のコンタクト52は第2の接続面26と導電性に接続されている。第1のコンタクトと第2のコンタクトの間に外部から電圧を印加することによって、電荷担体を、種々の側から、半導体チップのアクティブ領域内に注入することができ、そこでビームを放射して、再結合させることができる。
【0050】
半導体素子1は、さらに、ビームガイド層3を有する。ビームガイド層は、全周に沿って、半導体チップ2を画定している。ビームガイド層は例えば、製造時に、半導体チップ2に形成される成形材料を用いて形成されている。ビーム出射面3は、半導体チップ2を画定し、ビーム出射面10を形成する。半導体チップ2内で動作中に生成され、側面27を通って取り出されるビームを、直接的に、ビームビームガイド層3を介して、さらなる境界面を通過せずに、半導体素子1から取り出すことができる。実装面11の方を向いている面では、ビームガイド層3と半導体チップ2とは同一平面を成す。
【0051】
半導体素子1は、さらに、反射体4を有している。図1Cの斜視図において見て取れるように、反射体4は、ビームガイド層3を、半導体素子の側面図において、全周に沿って包囲している。すなわち反射体4は、ビームガイド層3を囲むフレームを形成する。半導体素子1の平面図では、反射体4は、半導体チップ2を完全に覆っている。すなわち、反射体を用いて、ビームが、半導体素子1の前面13を通って取り出されることが阻止される。
【0052】
反射体4は、部分的に、半導体素子の実装面11を形成する。さらに、反射体は前面13と側面12を完全に形成する、または、少なくとも部分的に形成する。すなわち反射体4は、半導体素子の全ての外面を少なくとも部分的に形成する。
【0053】
反射体4は、有利には、半導体チップ1において形成されたビームに対して、少なくとも80%の反射率、特に有利には少なくとも90%の反射率を有している。例えば、反射層に対しては、反射性粒子、例えば、酸化チタン粒子が充填されているシリコーン等のポリマー材料が適している。
【0054】
ビームガイド層3は、ビーム変換材料を含んでいる。このビーム変換材料は、半導体チップ2内で生成された一次ビームを完全にまたは少なくとも部分的に二次ビームに変換する。例えば、半導体チップとビーム変換材料は次のように構成可能である。すなわち、半導体素子が、全体で、赤色、緑色、および青色のスペクトル領域におけるビームを放射するように構成可能である。このような半導体素子は、ディスプレイ装置、例えば液晶ディスプレイのバックライトユニットに特に適している。
【0055】
しかし半導体素子1の用途によっては、ビームガイド層3にビーム変換材料を設けず、半導体素子が、単に、半導体チップ2において形成された一次ビーム、例えば、青色スペクトル領域の一次ビームを放射することも可能である。
【0056】
ビームガイド層3内には、中空部31が形成されている。この中空部は、垂直方向において、完全にビームガイド層を貫通している。この中空部31を通じて、半導体チップ2の接続面25、26は、それぞれ、割り当てられているコンタクト51、52と導電性に接続されている。中空部31は、半導体素子の平面図において、次のように配置されている。すなわち、半導体チップ2の、ビーム出射面10の方を向いている側面と、ビーム出射面との間のビーム路に中空部が形成されないように配置されている。このようにして、中空部によって、ビーム出射面に影が形成されてしまうのを回避することができる。ビームガイド層を通る中空部に対して選択的に、電気的な接触接続が、反射体4内で行われてもよい。これは、図2Bに関連して、詳細に説明される。
【0057】
ビームガイド層3上に、コンタクト路55が形成されている。ここでこのコンタクト路は、半導体素子の平面図において、半導体チップの接続面25、26から、中空部31へと延在している。コンタクト路は、ビームガイド層と反射体4との間に配置されており、半導体素子の平面図では見て取れない。
【0058】
図示の実施例では、半導体チップからのビーム取り出しは、特に側面27を介して行われる。従って半導体チップには、特に、ボリュームエミッタ(Volumenemitter)として形成されている半導体チップが適している。ボリュームエミッタの場合、ビームの取り出しは、半導体チップの側面を介しても行われる。これは、例えば、半導体チップの半導体層列のための成長基板の側面を通して行われる。
【0059】
コンタクト51、52は、半導体チップ2のコーティングとして形成されている。有利には、これらのコンタクトは、少なくとも10μmの厚さを有しており、特に有利には、少なくとも25μmの厚さを有している。これによって、次のことが保証される。すなわち、コンタクトの側面に配置されている反射体4の部分が、実装面11の方向に放射されるビームを偏向させるのに十分な厚さを有していることが保証される。択一的に、実装面の側方に、効果を改善するためのミラー層を設けることが可能である。この場合には、コンタクトの厚さをより薄くすることが可能である。
【0060】
ビームガイド層3の垂直方向の延在は、実質的に、半導体チップ2の垂直方向の延在に相当する。半導体素子の全体的な高さは、ビームガイド層3の垂直方向の延在と、ビームガイド層の上方および下方の、反射体4の垂直方向の延在とから成る。このような構造によって、高さが特に小さくなる。さらに、このような半導体素子は特に、比較的薄い導光体における、側方での取り出しに適している。有利には半導体素子1は、最大で500μmの高さ、有利には100μmから300μmまでの高さ、例えば200μmの高さ、すなわち垂直方向での延在を有している。
【0061】
図2Aにおいて平面図で示され、図2Bにおいて、線BB'に沿った、属する断面図で示された実施例は、実質的に、図1A〜1Dに関連して記載された、第1の実施例に相当する。第1の実施例との相違は、ビームガイド層3が、垂直方向において、半導体チップ2と半導体素子1の前面13との間に配置されている、といことである。すなわちビームガイド層内へのビーム入力は、半導体チップ2の前面24を通して行われる。
【0062】
反射体4はこの実施例において、ある反射体部分42と、別の反射体部分43とから形成されている。半導体素子の製造時に、この、ある反射体部分と別の反射体部分とは、それぞれ、反射体材料によって、例えば成形を用いて行われる。この、ある反射体部分の材料と別の反射体部分の材料は同じでも、異なっていてもよい。反射体部分42は、半導体チップ2を水平方向において完全に包囲している。すなわち半導体チップからの側方のビーム取り出しは、この反射体部分42によって回避される。別の反射体部分43は、反射体部分42の、実装面11とは反対の面に配置されている。すなわち垂直方向では、ビームガイド層3は部分的に、反射体の2つの反射体部分の間に延在している。側面図では、反射体部分42と別の反射体部分43とによって形成された反射体4は、ビームガイド層3によって形成されたビーム出射面を、図1Cに関連して説明したように、フレーム状に包囲している。
【0063】
反射体部分42には、開口部41が形成されており、この開口部41を通って、半導体チップ2は、コンタクト51、52と導電性に接触接続されている。すなわちビームガイド層の中空部は必要ない。
【0064】
図2Bに示された半導体チップはボリュームエミッタとして形成されている。ここでは、半導体層列200は、担体29上に配置されている。担体は例えば、半導体層列200のエピタキシャル析出のための成長基板である。半導体層列は、ビームを形成するために設けられているアクティブ領域20を含んでいる。このアクティブ領域20は、第1の導電型、例えばn型導電型の第1の半導体層21と、第1の導電型とは異なる第2の導電型、例えばp型導電型の第2の半導体層22との間に配置されている。半導体層列の半導体層の主要延在面は、実装面11に対して平行に延在している。半導体層列200に対しては、例えば、III−V型化合物半導体材料が適している。窒化物化合物半導体材料、特に、AlInGa1−x−yN(ここで0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)に対しては、成長基板として、例えば、サファイアまたは炭化ケイ素が適している。ビーム取り出しは、特に、担体29の側面によっても行われる。
【0065】
図3Aにおいて平面図で、および、図3Bにおいて、線CC’に沿った、図3Aに属する断面図で示された実施例は、図2Aおよび2Bに基づいて記載された実施例と、特に、半導体チップ2が、薄膜半導体チップとして形成されている、という違いを有している。この場合には、担体29は、半導体層列のための成長基板から析出される。半導体層列200は接続層28、例えばはんだ付け層または導電性接着層を用いて、担体29に固定されている。
【0066】
半導体チップは、背面23に第1の接続面25を有しており、前面24に第2の接続面26を有している。すなわち電気的な接触接続は、担体29を通して行われる。第2の半導体層22は、第2の接続層260を介して、第2の接続面26と導電性に接続されている。第2の接続層は、アクティブ領域20内で生成されたビームに対するミラー層として用いられる。このような薄膜半導体チップは、良好に近似して、表面エミッタを表している。半導体層列200内には、空洞部251が形成されている。この空洞部は、担体29の方を向いている面から、第2の半導体層22とアクティブ領域20とを通って、第1の半導体層21内へ延在している。この空洞部において、第1の半導体層21は、第1の接続層250と導電性に接続されている。第2の接続層は部分的に、第1の接続層と半導体層列との間に延在している。第2の接続面26は、半導体層列200の側方に配置されている。従って、アクティブ領域20が影になることが回避される。
【0067】
記載された実施例とは異なって、半導体チップ2を次のように形成することもできる。すなわち、第1の接続面25と第2の接続面26とが、半導体チップの前面24に、特に半導体層列200の側方に配置されているように、形成することもできる。
【0068】
図4Aにおいて平面図で、および、図4Bにおいて、線DD’に沿った、図4Aに属する断面図で示された実施例は、実質的に、図1A〜1Dと関連して記載された第1の実施例に相当する。この第1の実施例とは異なり、半導体チップ2は、リードフレーム5上に配置されており、固定層53、例えばはんだ付け層または導電性接着層を用いて、リードフレームに固定されている。リードフレーム5は、第1のコンタクト51と第2のコンタクト52とを形成する。リードフレーム5には、部分的に、ケーシング層44が当接している。
【0069】
ケーシング層44は、第1のコンタクト51と第2のコンタクト52とを相互に機械的に安定して接続する。ケーシング層44はキャビティ45を形成する。このキャビティ45内には、半導体チップ2が配置されている。キャビティ内には、ビームガイド層3が配置されている。半導体素子1の製造時に、このキャビティは、少なくとも部分的に、ビームガイド層3の材料によって満たされる。
【0070】
機械的な安定性を改善するために、リードフレーム5は、背面カット部56を有している。これによって、ケーシング層44とリードフレーム5との間の嵌め合わせが改善される。
【0071】
リードフレーム5には、反射性を高めるためにコーティングが設けられている。これは例えば、シルバーコーティングである。リードフレームを使用することによって、さらに、半導体チップ2からの熱導出が改善される。しかしリードフレームは、半導体素子の高さを大きくしてしまう。
【0072】
ケーシング層44は、反射性の成形材料によって形成されている。コンタクト路55は、この実施例では、ボンディングワイヤーとして形成されている。これは、半導体チップ2の接続面25、26を、第1のコンタクト51ないしは第2のコンタクト52と導電性接続する。ビームガイド層3の、実装面11とは反対側の面には、反射体4が形成されている。コンタクト路55は、反射体4内に延在している。
【0073】
さらに、半導体素子1は、電気的な素子6を含んでいる。この電気的な素子は、例えば、ESD(静電気放電)保護素子として、例えばツェナーダイオードとして形成されており、半導体チップを静電気放電から保護する。電気的な素子6は、反射体4内に埋設されている。
【0074】
図5Aにおいて平面図で、および、図5Bにおいて、線EE’に沿った、図5Aに属する断面図で示された実施例は、図4Aおよび4Bに示された実施例と、特に、次の点において相違する。すなわち、ビームガイド層3が、図2Aおよび2Bに関連して説明されたのと同様に、垂直方向において、半導体チップ2と半導体素子の前面13との間に配置されているという点において相違する。すなわちビームガイド層3へのビーム入射は、半導体チップの前面24を介してのみ行われる。半導体チップからの側方の取り出しを回避するために、半導体チップの側面27には、反射性コーティング7が設けられている。コーティング7には、例えば、金属層または誘電性ミラー構造体が適している。このようなコーティングは、上述した実施例においても、半導体チップ2の外面に形成可能であり、これによって、ビームが漏れ出なくなる。当然ながら、この実施例でも薄膜半導体チップが適している(図3Bを参照)。
【0075】
ビーム放射半導体素子の製造方法の実施例を図6A〜6Jに示す。ここでは例として、図1A〜1Dに関連して記載されたのと同じ半導体素子が製造される。
【0076】
ビーム形成のために設けられた半導体チップ2は、補助担体8上に置かれている(図6A)。補助担体としては、例えば、一時的に硬くなる担体または薄膜が適している。この説明は、2つの半導体チップを有する半導体素子に対する、例示的になりものである。しかし半導体素子が有する半導体チップが1つだけでも、2つより多くてもよい。さらに、半導体チップが、特に水平方向に相互に間隔を空けて配置されている、複数の放射領域を有してもよい。これらの放射領域は少なくとも部分的に、電気的に直列接続されている。このような半導体チップは、高い動作電圧のもとで動作される。例えば、二倍の長さおよび少なくとも2つの放射領域を有する半導体チップを、隣接して2つの半導体チップが配置されている装置と交換して使用することができる。これによって、必要な接続面の数が低減される。これは、ビーム吸収の低減につながり得る。
【0077】
半導体チップはさらに、前面に、および/または、背面に、反射性のコーティングを有することができる。半導体チップの側面も、完成した半導体素子においてビーム出射面の方を向いている側面を除いて、このようなコーティングを有し得る。
【0078】
次に、図6Bの斜視図で示されているように、半導体チップが、ビームガイド層3を形成する成形材料、例えばビーム変換材料が混入されたシリコーンによって包囲される。半導体チップ2の前面24は、少なくとも部分的に、ビームガイド層の材料が設けられないままである。従って、半導体チップの電気的な接触接続のために、接続面25、26にアクセスされる。補助担体8の方を向いている背面23にも同様に、成形材料は設けられていない。
【0079】
ビームガイド層3内には、図6Cに示されているように、中空部31が形成されている。これは例えば、レーザまたはエッチング方法を用いて行われる。これとは異なり、ビームガイド層3が既に、中空部を有するように構成されていてもよい。これは例えば、成形方法のための適切な成形工具を用いて行われる。
【0080】
中空部31が切断されている、属する斜視断面図が、図6Dに示されている。このような方法段階の背面図は、図6Eに示されている。
【0081】
次に、図6Fに示されているように、コンタクト路55が、半導体チップの接続面25、26と属する中空部31との間の導電性接続を形成するために、設けられる。図示の実施例では、1つの半導体素子に属する各半導体チップ2が電気的に相互に直列接続されている。
【0082】
コンタクト路55を形成するために、例えばスパッタリングによって、起原層が完全に析出され、その後、部分的に補強される。この補強は例えば電気めっきによって行われる。補強されるべきではない領域は、保護ラックによって覆われる。保護ラックを除去した後、起原層の、補強されていない領域を除去することができる。
【0083】
図6Gに示されているように、後の半導体素子の背面には、第1のコンタクト51と第2のコンタクト52とが被着される。これらのコンタクトはそれぞれ、半導体チップおよび中空部31と重畳している。
【0084】
選択的に、ビームガイド層3の前面および/または背面に、反射性のコーティングを設けることができる。コーティングとコンタクトまたはコンタクト路との間を電気的に絶縁するために、これらに、コーティング時に空白部分を設けることができる。択一的に、電気的な絶縁を、絶縁層によって行うことができる。このようなコーティングを用いて、半導体素子の光学的および熱的な特性を改善することができる。
【0085】
後に行われる個別化の後に、異なる半導体素子に属する複数の半導体チップの間に、それぞれ分断溝35が形成される。これらの分断溝35は、ビームガイド層3を個々の、相互に間隔が空けられているセグメントに分断する。分断溝は、相互に直交する2つの方向に沿って延在する(図6H)。
【0086】
ビームガイド層3の個々のセグメントは、次に、新たなピッチで、別の補助担体85上に置かれる。これは例えばマトリックス状である。補助担体85上では、ビームガイド層3の個々のセグメントが、反射体4を形成する成形材料、例えば酸化チタン粒子が充填されたシリコーンによって包囲される(図6I)。
【0087】
ここで成形材料は、コンタクト51、52の側方に形成されている、ビームガイド層3と補助担体85との間の間隙も満たす。水平方向では、ビームガイド層3の個々のセグメントが完全に、反射体4の材料によって包囲されている。
【0088】
最終的に、反射体4は、図6Jに示されているように、個別化ステップにおいて分断される。このようにして、個々の半導体素子が生じる。個別化ステップでは、事前に埋設されたビームガイド層3が、まさに半導体素子の側面で露出される。従って、個別化時に、ビーム出射面10が生じる。ビーム出射面に対して垂直に、個別化切断面が、完全に反射体内に延在する。
【0089】
半導体素子への個別化(図6H)並びに分断溝35の形成を機械的に(例えばソーイングによって)、科学的に(例えばエッチングによって)、またはコヒーレントビームを用いて(例えばレーザ分断プロセスにおいて)行うことができる。
【0090】
記載した方法によって、容易かつ確実に、半導体素子を製造することができる。この方法では、ビーム出射面は、半導体素子の実装面に対して傾斜して、または、垂直に延在する。半導体素子は殊に、高さが特別に低いことを特徴とする。同時に、半導体素子は動作時に高いビーム出力を供給することができ、特に、ディスプレイ装置のバックライトのための平らな導光体への入力に適している。
【0091】
記載された実施例とは異なって、この方法を、ビームガイド層3が形成される前に、半導体チップ2を水平方向において、反射体4の反射体部分を形成する反射性の成形材料によって包囲するように変えることもできる。これによって、図2Aおよび図2Bに関連して記載されたような半導体素子が製造される。
【0092】
ビームガイド層3にビーム変換材料が混入されている場合、色位置は特に、ビーム出射面10と、半導体チップの、ビーム出射面10の近くに位置する側面27との間の間隔によって特定される。色位置を調整するために、ビーム出射面10から、ビームガイド層の材料を完全にまたは部分的にのみ、例えば刻み目の形成によって除去することができる。半導体チップに対して相対的な、個別化切断面の形成時のアライメント誤差に基づく、製造によって生じる色位置変動を、このようにして、容易かつ確実に補償することができる。
【0093】
本特許出願は、独国特許出願公開第102013104840.4号明細書の優先権を主張し、当該文献の開示内容は、本願に参照として組み込まれている。
【0094】
本発明は、実施例に基づく記載によって制限されるものではない。むしろ、本発明は、各特徴並びに特徴の各組み合わせを含む。これは特に、特許請求の範囲における特徴の各組み合わせを含む。これはこの特徴またはこの組み合わせ自体が、特許請求の範囲または実施例に明記されていない場合にも当てはまる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J