(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態として実現され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。一方、本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されているおり、図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0027】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1の断面図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1は、ハウジング10、放射線検出パネル20、中間板200、プリント回路基板40、及び多数の伝導性接続部800aを備える。
【0029】
ハウジング10は、上蓋体、フレーム及び下蓋体を備える。
【0030】
上蓋体は、放射線が入射する面に配設され、外部からの衝撃を緩和させるだけではなく、放射線透過率が非常に高い物質及び/又は吸収率が非常に低い物質からなる。例えば、上蓋体及び下蓋体は、カーボン、カーボン繊維、カーボン化合物、ガラス繊維、若しくはガラス繊維を始めとする複合材質、又はポリカーボネート、若しくはポリカーボネート化合物などからなる。フレームは、放射線検出装置1の外形を形成して内部に収容される構成要素を保護するものであり、機械的な強さを有し、且つ熱伝導性金属である銅、アルミニウム、又はステンレス鋼などからなる。
【0031】
放射線検出パネル20は、ハウジング10の内部空間に収容され、ハウジング10の外部から入射する放射線を映像信号処理可能な電気信号に変換するものであり、多数のスイッチングセル素子及び光電変換素子がマトリックス状に配列される。ここで、放射線は、X線放射線、α線、γ線、電子線又は紫外線などである。放射線検出装置1は、放射線を吸収する吸収層物質に応じて、直接方式と間接方式とに大別される。直接方式に用いられる物質としては、非晶質セレニウム、結晶質カドミウムテルリド又は結晶質カドミウムテルリド化合物などが挙げられる。間接方式に用いられる物質はシンチレータと呼ばれるが、代表的に、ヨード化セシウム(CsI)又はガドリニウムオキシサルファイド(GdO
xS
y)などが挙げられる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1は、シンチレータに基づく間接方式を採用する。このとき、放射線検出パネル20は、ピクセル回路基板及び発光層を備える。ピクセル回路基板は、上蓋体と向かい合うように配置される。ピクセル回路基板は、薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)を備え、各ピクセル回路を構成する2次元状のピクセルアレイを備える。放射線検出パネル20の電気信号検出機について説明すると、放射線が発光層に達すると、発光層が放射線により光信号を発し、このとき、発せられる光信号がピクセル回路基板内に配置されたフォトダイオードなどの受光素子に送信され、受光素子が光信号を感知してこれを電気信号に変換する。
【0033】
発光層は、ピクセル回路基板の上部に形成される。発光層は、ピクセルアレイの全体を覆うように膜状にコーティングされる。本発明の一実施形態に係る発光層は、シンチレータである。この場合、シンチレータがピクセル回路基板にコーティングされるか、又はピクセル回路基板に並設される。被写体を透過した放射線がシンチレータにより可視光に変換され、この可視光がピクセル回路基板により電気信号として検出される。
【0034】
本発明の他の実施形態に係る放射線検出装置1は、被写体を透過した放射線により発生した電気的な信号を直接的に検出する直接方式を採用する。このとき、放射線検出パネル20は、ピクセル回路基板及び光導電体を備える。光導電体は光導電性を示すが、例えば、非晶質セレニウム、結晶質カドミウムテルリド又は結晶質カドミウムテルリド化合物などからなる。
【0035】
プリント回路基板40は、放射線検出パネル20に電源を供給して被写体に対する映像信号が出力されるように制御又は処理するためにハウジング10の内部に配設される。プリント回路基板40に実装される電子部品は電磁波(EMI)による雑音を発生させ、プリント回路基板40上の配線もノイズの伝導及び放射を引き起こす。放射線検出パネル20は、このようなノイズの影響を受けると、放射線イメージにもノイズを発生させる。
【0036】
一方、このようなノイズに対する対策としては、接地を補強して該接地を安定化させることや、ノイズ発生源を遮断すること、又はノイズをろ過することが挙げられる。
【0037】
なかでも、接地を補強して該接地を安定化させることは、接地を最大限に広く確保して均一に形成することである。接地点が多数であれば、接地回路がループを形成して接地ループ電流が流れ、これは、基準電位の変化を招いてしまう。接地は、いずれも基準電位(例えば、0V)ではなければならないが、もし、接地点が多数あって距離の異なる接地ループが形成されると、配線のインピーダンスなどの影響により接地点が実際に基準電位と異なる場合が発生する。このとき、接地回路に電流が流れるため、インピーダンスによる電圧降下が起こって基準電位が変わることがある。
【0038】
中間板200は、放射線検出パネル20とプリント回路基板40との間に配置されて、放射線検出パネル20を支持するものであり、軽量であり、しかも、物理的な強さに優れた物質からなる。また、中間板200は、伝導性を有する板状に形成され、プリント回路基板40の接地配線と電気的に接続される。中間板200により接地電位のシールドを形成してプリント回路基板40に実装される電子部品による電磁波ノイズを遮断し、接地を補強して該接地を安定化させる。このため、放射線検出装置1によれば、プリント回路基板40に実装される電子部品による電磁波ノイズの影響にも安定した画像を得られる。すなわち、放射線検出装置1は、伝導性中間板200を用いて放射線検出パネル20及びプリント回路基板40の接地を強化することにより、電磁波の遮蔽及びノイズの遮蔽に関する優れた特性を示す。
【0039】
接地ループ雑音は、電位が異なる接地電位に装置を接地することにより発生する雑音である。すなわち、接地ループ雑音は、接地ループ距離が遠く離れている場合に、接地間の電位差が異なって発生する雑音である。上述したように、接地は、いずれも基準電位(例えば、0V)ではなければならないが、もし、接地点が多数あって、距離が異なる接地ループが形成されると、配線のインピーダンスなどの影響により接地点が実際に基準電位とは異なる場合が発生する。このとき、接地回路に電流が流れるが故に、インピーダンスによる電圧の降下が起こって基準電位が変化するため、接地ループ雑音が発生する。このため、画質の観点からみて、接地ループ雑音を極力抑えるために、中間板200の接地電位は、プリント回路基板40と同様に、基準電位(例えば、0V)ではなければならない。
【0040】
図9及び
図10を参照して後述するように、本発明に係る放射線検出装置1がコンピュータ放射線(CR)撮影装置の規格化したカセットに実装される場合に、プリント回路基板40に実装される電子部品は、実装の効率性のために、プリント回路基板40の両面に実装される。この場合、プリント回路基板40の前面に実装される電子部品によりプリント回路基板40を中間板200と直接的に接触させて配置して接地ループ雑音を極力抑える。換言すると、たとえ中間板200及びプリント回路基板40の接地配線を電気的に接続したとしても、物理的にプリント回路基板40と中間板200との間の離隔距離が発生する。このとき、接地間の接地ループが形成されるため、接地ループ雑音を極力抑えるためには、プリント回路基板40の接地配線と中間板200との間の離隔距離を最小化させなければならない。
【0041】
このため、放射線検出パネル20の電気的な信号に、接地ループ雑音の安定性を持たせるために、中間板200を接地として用いて、プリント回路基板40が基準電位となるようにし、これにより、中間板200とプリント回路との間の離隔距離(すなわち、接地間のループ距離)を最小化させて、接地ループ雑音を極力抑えなければならない。このため、
図2を参照して後述するように、中間板200は、プリント回路基板40と向かい合う面である、放射線が入射する面の反対面(以下、背面と称する。)に接地機能を行う金属層を備える。しかしながら、このような金属層は、中間板に組み込まれて電気伝導性を与えればよく、金属層の配設個所が特に限定される必要はない。一方、伝導性接続部800aは、プリント回路基板40の接地配線と中間板200とを電気的に接続する。この詳細については、
図4〜
図6を参照して後述する。
【0042】
図2は、本発明の他の実施形態に係る放射線検出装置1の断面図である。
図2を参照すると、中間板200は、プリント回路基板の接地配線と電気的に接続される電気伝導性の第1の金属層220と、第1の金属層を支持するベース板210とを備える。すなわち、中間板200は、炭素繊維層、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)、ポリカーボネート(PC:Poly Carbonate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリカーボネートABS(PC−ABS)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリエチレン(PE:Poly Ethylene)、若しくはアクリルなど、高い放射線透過率を有するプラスチックのうちから選ばれる少なくとも一種からなり、機械的な強さを与えるベース板210及び接地機能を与える電気伝導性の第1の金属層220を備える。一方、第1の金属層220は、ベース板210の背面に配設されるが、ベース板210に対する第1の金属層220の形成位置が特に限定される必要はない。
【0043】
特に、炭素繊維層又は炭素強化繊維プラスチックは、放射線透過率が高く、且つ物理的な強さに優れた物質であり、中間板200のベース板210として使用可能である。第1の金属層220は、ベース板210に所定の厚さに形成されるが、ベース板210に箔状に貼り付けられるか、又は真空蒸着若しくは各種のめっきなどにより、ベース板210に形成される。中間板200の背面に形成された第1の金属層220及びプリント回路基板40の接地配線は、多数の伝導性接続部800aを介して互いに電気的に接続される。この詳細については、
図4から
図6を参照して後述する。
【0044】
図1に基づいて説明したように、接地間の距離により発生する電位差による雑音である接地ループ雑音を極力抑えるために、第1の金属層220の接地電位は、プリント回路基板40の接地電位と同様に、基準電位(例えば、0V)ではなければならない。このとき、放射線検出パネル20の接地電位も、接地ループ雑音の安定性のために、プリント回路基板40の接地電位と同様に、基準電位(例えば、0V)であってもよい。また、第1の金属層220を中間板200の背面に配設してプリント回路基板40との離隔距離を最小化する。これにより、接地間のループ距離を最小化して、該接地間の電位差を最大限に均一にして接地ループ雑音を低減させる。このために、伝導性接続部800aをプリント回路基板40の接地配線及び第1の金属層220に均一に且つ多数接続する。また、接地は、ハウジング10のフレーム、第1の金属層220、プリント回路基板40の接地配線及び放射線検出パネル20の接地配線をいずれも電気的に接続しなければならない。このとき、中間板200の電位は、接地ループ雑音を低減させるために、プリント回路基板40の接地電位又は放射線検出パネル20の接地電位と同様に、基準電位(例えば、0V)ではなければならない。
【0045】
更に、中間板200の後方に自動露出制御センサー(AEC:Automatic Exposure Control Sensor)がある場合に、中間板200は、自動露出制御センサーに放射線を透過させる放射線透過性部材ではなければならない。すなわち、中間板200は、
図9及び
図10を参照して後述するように、放射線検出装置1をコンピュータ放射線(CR)マンモグラフィ撮影装置のカセットとして使用する場合は、自動露出制御センサー(AEC)に放射線を十分に透過させるために、高い放射線透過率を有する物質により形成されなければならない。自動露出制御センサー1300は、放射線発生部1100から照射されて、被写体及び放射線検出装置1を透過した放射線を感知して放射線の照射量を制御する制御信号を発生する。ここで、自動露出制御センサー1300が放射線検出装置1の背面に配設される場合は、読出集積回路などの電子部品により放射線を感知することが妨げられる虞があるため、電子部品が配設される領域以外の空間部分に配設される。
【0046】
ここで、放射線透過性は、入射した放射線がそのまま全て通過する場合(透過率が100%である)だけではなく、入射した放射線を部分的に透過する場合を含む。中間板200の透過率が所定の透過率以上になると、放射線検出装置1の後方に配設される通常の自動露出制御センサー(AEC)により、放射線が安定的に検出される。このため、中間板200は、放射線透過性部材ではなければならず、中間板200の背面に第1の金属層210が形成される場合に、第1の金属層210は、放射線を透過させる厚さ及び材質を有する。
【0047】
医療用の放射線撮影装置に用いられる放射線を発生させる放射線発生部は、放射線管に高い加速電圧(管電圧)を印加して電子を加速させ、放射線管の内部に設けられるターゲットに衝突させて放射線を発生させる。通常の医療用の放射線撮影装置の場合には、70〜100kVpの管電圧を印加するが、マンモグラフィ用の放射線撮影装置の場合に骨よりも密度が遥かに低い乳房の軟部組織に放射線を照射するため、周りの組織との密度差が非常に低い微細な癌細胞を検出するために、透過率が低い20〜35kVpの管電圧を使用する。
【0048】
また、乳房組織は、通常、年齢に応じてその分布が異なると共に、個人ごとに組織の構造が異なり、分布もまた異なるため、乳房の撮影に際して圧迫厚さにのみ依存して撮影条件を適用することは容易ではない。既存に撮影しておいたデータを用いてもよいが、患者の乳房の状態がホルモンの状態や年齢などにより異なってくる虞があり、撮影条件もまた異なってくる虞があるため、放射線の量を自動的に制御するための自動露出制御センサー(AEC)はマンモグラフィ用の放射線撮影装置に必須的に組み込まれている。また、 自動露出制御センサー(AEC)が 放射線検出装置の上部(又は前方)に配設されると、自動露出制御センサー(AEC)により放射線が放射線検出装置に達する前に妨げられ、マンモグラフィ用の放射線撮影装置は透過率が低い20〜35kVpの管電圧を使用するため、自動露出制御センサー(AEC)は必ず放射線検出装置の下部(又は後方)に組み込まれる。
【0049】
[表1]は、本発明に係る中間板200の第1の金属層220の厚さを変えながら測定した中間板200の絶対放射線透過率及び有効放射線透過率を示す。このとき、放射線発生部において放射線を発生させるために、28kVpの管電圧を印加して放射線管の内部にモリブデン0.03mmフィルタ付きモリブデンターゲットに電子を走査した。
【0050】
絶対放射線透過率は、放射線発生部から発生した放射線が自由空間(すなわち、空気又は真空)を経た後に、中間板200に入射する放射線の量に対する中間板を透過した放射線の量の割合である。一方、実際の放射線撮影装置の場合は、中間板の上部に人体及び放射線検出装置の内部の放射線検出パネルが配設されるため、放射線発生部から発生した放射線が中間板に入射するより前に、人体及び放射線検出パネルを通過することになる。このため、本発明においては、実際の状況をなお一層適切に模写するために、人体の乳房に近いポリメチルメタクリレート(PMMA)40mm標準ファントム及び放射線検出パネルを通過した後に、中間板に入射する放射線の量に対する中間板を透過した放射線の量の割合である有効放射線透過率を測定した。
【0052】
第1の金属層であるアルミニウム層の厚さが増大するにつれて、第1の金属層により放射線が吸収又は反射されて第1の金属層を透過できず、その結果、絶対放射線透過率及び有効放射線透過率が両方とも下がり、また、同じ厚さの第1の金属層に対して絶対放射線透過率と有効放射線透過率との間に差分が出ることが確認される。アルミニウム(Al)は、直接的に薄膜状に形成したり、貼り付け易い箔状に加工したりする工程が行い易く、入手し易い他、透過力及び電気伝導度が高いことから第1の金属層として使用可能であるが、特に材料に限定されることはない。
【0053】
有効放射線透過率の場合には、標準ファントム及び放射線検出パネルを通過した後に中間板に入射する放射線の量を基準とするため、有効放射線透過率の測定に際しての中間板入射放射線の光子の平均エネルギーが絶対放射線透過率の測定に際しての中間板入射放射線よりも更に高いためである(すなわち、標準ファントム及び放射線検出パネルを通過しながら低いエネルギー帯域の放射線光子は既に吸収されて、中間板の放射線透過率に関与しなくなる)。例えば、750μmの厚さのアルミニウム第1の金属層の場合に、絶対透過率は29.1214%であるが、実際の放射線検出環境下においては、約60%の高い有効放射線透過率を示すことが分かる。このため、中間板に入射する前に環境により大きな影響を受ける有効放射線透過率ではなく、中間板の特徴を規定するためには、絶対放射線透過率を基準として特定することが好ましい。
【0054】
本発明に係る放射線検出装置をマンモグラフィ用の放射線撮影装置に、カセットタイプのフィルムの代わりに適用するためには、放射線検出装置の後端に配設される自動露出制御センサー(AEC)により放射線が安定的に検出され、放射線の量を制御する中間板の放射線透過率の下限を決定する必要がある。このとき、中間板の放射線透過率は、マンモグラフィ用の放射線撮影装置のX線発生器が20〜35kVpの管電圧を用いるため、20〜35kVpの管電圧により放出された放射線に対して決定されなければならない。
【0055】
中間板をなすベース板(例えば、炭素繊維製のベース板)の場合には、放射線透過率が略100%に近いため、第1の金属層により中間板の放射線透過率が決定される。このため、[表2]に示すように、中間板200の第1の金属層220の厚さを変えながら、管電荷量(mAs)の値、照射線量の値、及び平均乳腺線量の値を測定した。放射線発生部に印加した管電圧は28kVpであり、放射線検出装置の上部及び下部には人体の乳房を模写したポリメチルメタクリレート(PMMA)40mm標準ファントム及び自動露出制御センサー(AEC)をそれぞれ配置した。第1の金属層としてアルミニウム層を選択したが、材料は特に限定されない。
【0057】
ここで、管電荷量(mAs)は、放射線を発生させるために金属ターゲットに衝突させる電子の総量であり、電子を加速させて放射線を放出するときに発生する管電流量(mA)に放出時間sを乗算したものである。このため、管電荷量(mAs)の値は照射線量と線形的に比例する関係にある。一般に、マンモグラフィ用の放射線撮影装置においては、所定の管電圧を印加しながら放射線を生成して、被検対象である人体及び放射線検出装置に照射し、人体及び放射線検出装置を透過した放射線が、自動露出制御センサー(AEC)により設定された放射線の量に達したことが感知されると、放射線の照射を中断するように構成される。本発明においては、自動露出制御センサー(AEC)が放射線の量を所定のレベルに制御するために、読み込む放射線の量のレベルを最小に設定して自動露出制御センサー(AEC)により調節される照射線量が最小になるように設定している。また、管電圧(例えば、28kVp)を固定した状態で放射線が照射され始めてから、自動露出制御センサー(AEC)により放射線の照射が中断されるまでの管電荷量(mAs)の値を第1の金属層の厚さ別に測定した。照射線量は、測定された管電荷量(mAs)の値に対応して放射線管が放出する放射線の線量を示し、平均乳腺線量は、照射線量のうち乳房に吸収される放射線の線量である。
【0058】
[表1]から明らかなように、第1の金属層の厚さが増大するにつれて、第1の金属層を透過する放射線の量が減る。これに対し、自動露出制御センサー(AEC)は放射線検出装置の後方に配設されて、放射線検出装置を透過して自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線を感知して予め設定された値に応じて適切に放射線の露出量を調節する。このため、第1の金属層の厚さが増大するにつれて、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が低減されるため、より多量の放射線の量を照射するように放射線管を制御する(自動露出制御センサー(AEC)の感度及び設定値が同じである場合)。照射する放射線の量を増大させることは、一般に、放射線管に印加される管電流(mA)を一定にし、照射時間(s)を増大させて(すなわち、管電荷量(mAs)の値を増加させる)ことにより行われる。[表1]において測定された線量は、自動露出制御センサー(AEC)が照射を中断するようにする線量の設定値を最低にし、最も低い放射線の量が照射されるように設定されている。
【0059】
このため、中間板(又は第1の金属層)の絶対放射線透過率が低過ぎる場合には、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が少な過ぎて、放射線の照射を中断する指令が生成されるように予め設定された放射線の量を自動露出制御センサー(AEC)が感知できなくなる。すなわち、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が少な過ぎると、自動露出制御センサー(AEC)により感知される放射線の量が予め設定された放射線の量に達するためには照射時間(s)を増やさなければならないが、安全上の問題により、放射線撮影装置により定められた照射時間制限にかかって、自動露出制御センサー(AEC)による放射線の量が制御できなくなる。又は自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が更に減る場合には、自動露出制御センサー(AEC)により感知される最小の放射線の量に達せず、その結果、自動露出制御センサー(AEC)が放射線を感知できなくなる。
【0060】
換言すると、中間板(又は第1の金属層)の絶対放射線透過率が低すぎると、放射線検出装置を透過して自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が自動露出制御センサー(AEC)の補正により調節できないレベルまで減り、酷い場合には、自動露出制御センサー(AEC)が放射線を感知できなくなる。このため、40mmの厚さのポリメチルメタクリレート(PMMA)標準ファントムにより模写される乳房よりも密度が高く、しかも、厚さが厚い乳房を撮影するときにも放射線の量を十分に制御するためには、適正レベル以上の絶対放射線透過率を確保しなければならない。模写実験により中間板を除くパネル、40mmの厚さのポリメチルメタクリレート(PMMA)標準ファントム及び各透過率別の中間板を通過した放射線の量を確認したところ、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が2.7μGy(設定された放射線の量)に達したときに放射線の照射が中断された。上述したように、自動露出制御センサー(AEC)が照射を中断するようにする線量の設定値を最低にして、最も低い放射線の量が照射されるように設定されているため、この値は、自動露出制御センサー(AEC)が放射線照射の中断を制御する最も低い設定値である。もし、40mmの厚さのポリメチルメタクリレート(PMMA)標準ファントムよりも密度が低くて薄い乳房を撮影する場合は、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が更に多いため、実際の照射線量が低いことが問題視されないが、更に密度が高くて厚い乳房を撮影する場合には、人体に過度な線量が照射される虞がある。
【0061】
このため、本発明においては、自動露出制御センサー(AEC)に達する放射線の量が十分であって自動露出制御センサー(AEC)により照射放射線の量の制御が安定的に行われるように、20〜35kVp(例えば、28kVp)の管電圧を使用する場合には、本発明に係る中間板は、30%以上の絶対放射線透過率(又は60%以上の有効放射線透過率)を有する。このような中間板の絶対放射線透過率(有効放射線透過率)は、いうまでもなく、100%未満である。
【0062】
一方、乳房を撮影するマンモグラフィ用の放射線撮影装置の場合には、乳房に被覆又は吸収される放射線の量である平均乳腺線量が多過ぎると、乳房癌の発生など安全性に関する副作用があるため、勧告平均乳腺線量を各国においては厳格に管理している。韓国における勧告平均乳腺線量は3.0mGyであり、本発明に係る中間板の放射線絶対透過率が30%以上である場合には勧告平均乳腺線量を満たす。一方、より低い平均乳腺線量を勧告する国(例えば、ヨーロッパの勧告平均乳腺線量は2.0mGyである)においては、自動露出制御センサー(AEC)を介して放射線発生器が適切な線量を照射するようにするために、十分な線量が自動露出制御センサー(AEC)に達しなければならず、このためには、中間板の放射線絶対透過率が所定の値以下である場合に自動露出制御センサー(AEC)を補正することができないため、所定の透過率以上(ヨーロッパの場合に70%以上の放射線絶対透過率)にならなければならない。
【0063】
前記実施形態において、放射線管が28kVpの管電圧を印加すると、0〜28keVのエネルギーを有する放射線が放出される。印加される管電圧に応じて放射線(光子)のエネルギーは異なるため、管電圧が変わると、中間板の放射線絶対透過率及び放射線有効透過率も異なってくる。このため、本発明に係る中間板が満たすべき絶対放射線透過率の下限値は、印加される管電圧(例えば、20〜35kVp)と共に提示されなければならない。換言すると、マンモグラフィ用の放射線撮影装置において用いられる放射線検出装置に用いられる場合には、20〜35kVpの管電圧により発生した放射線に対する中間板の絶対放射線透過率は30%以上であればよいが、通常の放射線撮影装置の場合には、35kVpよりも高い管電圧が印加されて、高いエネルギーを有する放射線が透過し易いため、中間板の絶対放射線透過率が30%よりも低くても構わない。
【0064】
第1の金属層としてアルミニウム層を用いる場合には、20〜35kVp(例えば、28kVp)の管電圧により発生した放射線に対して30%以上の絶対放射線透過率(又は60%以上の有効放射線透過率)を有する中間板は、750μm以下の厚さを有するアルミニウム層を備える。このとき、後述するように、中間板が前面に配設される第2の金属層を更に備える場合には、求められる絶対放射線透過率を満たすために、第1の金属層(アルミニウム層)及び第2の金属層(アルミニウム層)の合計の厚さが750μm以下の厚さとなる。アルミニウム(Al)は、第1の金属層220として加工するとき、箔状に加工する工程を行い易く、入手し易い他、放射線透過率及び電気伝導度が高いためである。
【0065】
一方、以上、本発明に係る中間板について説明しながら第1の金属層としてアルミニウム層を例示したが、本発明においては、第1の金属層をなす材料を特に限定しない。中間板が20〜35kVp(例えば、28kVp)の管電圧により発生した放射線に対して30%以上の絶対放射線透過率(又は60%以上の有効放射線透過率)を有する限り、いかなる金属材料により形成されても、且つ、いかなる厚さを有しても構わない。
【0066】
[表3]及び[表4]は、X線20keVエネルギーにおける、第1の金属層210材質の各厚さ(μm)による絶対放射線透過率を模写した結果を示す表である。管電圧を28kVpとする場合には、0〜28keVのエネルギーを有する光子(又は放射線)が放出されるが、中間板よりも前面に配置される標準ファントム及び放射線検出パネルにより吸収又は反射される低いエネルギーを有する光子の効果を除外するために、高いエネルギーの1つである20keVを選択して模写した。このとき、タングステン(W:原子番号74)よりも高い原子番号を有する原子番号75以上の金属は、白金であるPt(原子番号78)のように高価であるか、又は有害物質であり、しかも、透過率も非常に低いため除外した。
【0069】
一方、同じ厚さ(500μm)のアルミニウム層に対して[表1]において測定された絶対放射線透過率(44.793%)及び[表3]において模写された絶対放射線透過率(62.84%)が互いに異なるが、これは、測定時には28kVpの管電圧を使用したのに対し、模写時には20keVのエネルギーを使用したことに起因する。すなわち、28kVpの管電圧により放出される放射線は、20keVよりも低いエネルギーを有する光子を多数含むため、20keVのエネルギーを光子で模写した場合の絶対放射線透過率よりも実際に測定した絶対放射線透過率の方が更に低い。
【0070】
[表3]から明らかなように、アルミニウムだけではなく、様々な金属の場合にも厚さに応じて様々な絶対放射線透過率を有するように調節を行うことができる。アルミニウムよりも大きい原子番号を有する金属は、厚さが500μmにおいて放射線をほとんど透過できないが、厚さを薄くする場合には非常に高い絶対放射線透過率を有することが分かる。
【0071】
上述したように、特に金属やその厚さに限定されることなく、20〜35kVp(例えば、28kVp)の管電圧により発生した放射線に対して30%以上の絶対放射線透過率(又は60%以上の有効放射線透過率)を有する中間板であれば十分である。また、中間板の第1の金属層の厚さは、20〜35kVpの管電圧により発生した放射線に対する前記中間板の絶対放射線透過率が30%以上であるときの厚さよりも薄いか又はそれに等しい。このような中間板の絶対放射線透過率が30%以上であるときの厚さは、第1の金属層をなす材料に応じて変更される。
【0072】
一方、本発明に係る中間板の絶対放射線透過率を高めるために、第1の金属層の所定の領域を除去するか、又はベース板の表面を露出させる開口部を形成して第1の金属層をパターン化(例えば、網目状の第1の金属層)する。一般に、照射される放射線又は光変換層により放射線が変化された光が第1の金属層に達すると、第1の金属層により放射線又は光が反射されて放射線検出パネルに再び入射して、放射線検出パネルにおいて生成される電気信号に含まれる。中間板の絶対放射線透過率を高めるために、第1の金属層の一部を除去したりパターン化したりする場合には、中間板の領域別の放射線又は光の反射が相違して放射線検出パネルにおいて生成される電気信号を歪ませるという問題が発生する虞がある。これに対し、本発明の第1の金属層の除去部又は開口部などを備えていないブランケットフィルム状に形成する場合には、中間板の全面に亘って放射線又は光が均一に反射されて第1の金属層の領域別の反射ばらつきによる問題点を解消することができる。中間板(第1の金属層)による放射線又は光の反射が発生されないか、又は影響があまりない場合には、第1の金属層の一部を除去したりパターン化したりしてもよく、ブランケットフィルム状に形成してもよいということはいうまでもない。
【0073】
本発明の中間板200は、放射線透過性を有するだけではなく、プリント回路基板の接地ループ雑音を極力抑えるために、中間板の接地電位及びプリント回路基板の接地電位は、両方とも基準電位(例えば、0V)ではなければならないが、このとき、中間板の接地電位及びプリント回路基板の接地電位は等しい。このため、中間板は十分な伝導性を有していなければならない。中間板に求められる絶対放射線透過率(20〜35kVpの管電圧により発生した放射線に対する30%以上)により第1の金属層の厚さの上限が決定されるのに対し、第1の金属層の下限は中間板に十分な伝導性を与える第1の金属層の厚さにより決定される。
【0074】
第1の金属層の厚さが薄過ぎる場合には、中間板の絶対放射線透過率は高いが、たとえ薄膜工程を用いて薄膜を形成するとしても、薄い厚さにより界面特性が薄膜材料それ自体の材料特性よりも良好になって、安定的な接地のために必要な電気伝導度を得られなくなる。このため、中間板の第1の金属層は、放射線透過率の側面からみて、第1の金属層の厚さは薄ければ薄いほどよいが、安定的な接地のためにある程度以上の厚さに形成されなければならない。このため、本発明において、中間板は、20〜35kVp(例えば、28kVp)の管電圧により発生した放射線に対して30%以上の絶対放射線透過率を有し、且つ、高い電気伝導度及び安定的な接地を両立させるために、中間板の第1の金属層220は、0.03〜1000μmの厚さを有する。
【0075】
図3は、中間板200の各材質に対して空間周波数による放射線検出装置1の検出量子効率(DQE:Detective quantum efficiency)を示すグラフである。これにより、中間板200の材質及び厚さによる接地性能が確認される。
【0076】
検出量子効率(DQE)は、映像の信号対雑音比(SNR)と放射線場の信号対雑音比(SNR)とを比較する映像化性能の一般的な説明のための物理的なアクセスであり、検出量子効率(DQE)の値1は、理想的な検出器を示す。検出量子効率(DQE)の値が50%であるということは、当該検出器が理想的な検出器と同じ信号対雑音比(SNR)充実度にて映像を作り出すのに2倍の吸収線量が必要であることを意味する。検出量子効率(DQE)は、通常、空間周波数の関数として与えられる。
【0077】
また、空間周波数の全ての信号は、調和パルス(sin及びcos)として展開される。映像は、無限数の周期的なsin波及びcos波の組み合わせであると解釈される。短い波長(高い空間周波数と対等)は映像における小さな細部と連携されるのに対し、長い波長(低い空間周波数と対等)は大きな対象と連携される。空間周波数と細部の大きさとの間の関係は、逆比例関係である。「時間周波数(又は時間振動数)」の用語との混乱を避けるために、「空間周波数」が用いられる。通常の単位は、ミリメートル当たりの線対数(lp/mm)である。
【0078】
図3において、Fe金属板は、該Fe金属板それ自体で中間板200を形成したものであり、Fe金属板の厚い厚さにより放射線透過率が0%に近いが、高い電気伝導度により接地特性に優れているため、他の中間板200の材質に対する放射線検出装置1の検出量子効率(DQE)と比較をするための基準として用いられたものである。
【0079】
Fe金属板の場合を基準としたとき、ポリカーボネート(PC)のベース板210の背面にタングステン(W)を0.05μm(50nm)の厚さに形成した場合、ポリカーボネート(PC)のベース板210の背面にクロム(Cr)を50μmの厚さに形成した場合、及び厚さが200μmであるポリカーボネート(PC)のベース板210の両面にニッケル(Ni)を30μmの厚さに形成した場合の空間周波数による検出量子効率(DQE)の性能がFe金属板の場合と略同じ特性を示すことが分かる。これから、30nm〜1000μmの金属層をベース板の表面に形成した中間板の場合であっても、厚い厚さのFe金属板のみにより形成された中間板と同様に、優れた接地特性を示すことが分かる。
【0080】
これに対し、第1の金属層を備えることなく、炭素繊維のみを用いて中間板200を形成した炭素繊維板である場合には、検出量子効率(DQE)の性能がFe金属板と比べて格段に劣っていることが分かる。炭素繊維板を構成する炭素繊維の電気伝導度は約0.06S/mであり、このようなレベルの電気伝導特性を有する中間板の場合には、十分な接地性能を確保することができないということが分かる。同様に、中間板の第1の金属層の厚さが30nmよりも薄い場合には、界面特性により十分な電気伝導度及びこれに伴う接地性能を確保することができなくなる。
【0081】
このため、本発明においては、放射線透過度の高い炭素繊維又はプラスチックを含むベース板及びベース板の片面に第1の金属層を用いて中間板を形成して、中間板に十分に電気伝導特性及び安定的な接地特性を持たせている。このとき、安定的な接地のために、第1の金属層220の下限厚さは、0.03μmである。すなわち、中間板の第1の金属層の厚さは30nm以上であり、20〜35kVpの管電圧により発生した放射線に対する前記中間板の絶対放射線透過率が30%以上であるときの厚さよりも薄いか又はそれに等しい。例えば、タングステンを0.03μmの厚さにめっきして第1の金属層を形成した場合は、X線の絶対放射線透過率も89.77%と高く、接地特性にも優れているため、中間板の第1の金属層として活用可能であるということが分かる。
【0082】
図4は、伝導性接続部800aがプリント回路基板40の接地配線と第1の金属層220とを電気的に接続する一実施形態を示す断面図である。
図5は、プリント回路基板40の接地配線及び第1の金属層220を複数の伝導性接続部800aを用いて均一に且つ電気的に接続する一実施形態を示す平面図である。
【0083】
図4を参照すると、複数の伝導性接続部800aは、プリント回路基板40の接地配線と第1の金属層220とを電気的に接続し、互いに離れてプリント回路基板40の上に均一に位置するように配設される。また、伝導性接続部800aはプリント回路基板40に接続され、中間板200に向かって延びる胴体部810aを備え、胴体部810aの断面積よりも広い断面積を有し、プリント回路基板40及び第1の金属層220と接触面を形成する接触部820aを更に備える。このとき、接触部820aは、第1の金属層220と少なくとも部分的に平行な接触面を形成する。
【0084】
胴体部810aは、ばね又はクリップなどの弾性部材からなる。胴体部810aが弾性部材からなるため、放射線検出装置1を組み立てる場合、胴体部810aが中間板200とプリント回路基板40との間において圧縮されると、接触部820aが中間板200に密着して電気的に安定的な接触が行われるように胴体部810aは接触部820aに弾性力を与える。
【0085】
また、胴体部810aは、プリント回路基板40の接地配線に半田付けなどの方法により固設され、別途の加工なしに接触させるだけでも適用可能であるため、プリント回路基板40と中間板200とを手軽に組立て又は加工することができる。一方、胴体部810aが接触部820aを介して中間板200に接続されるため、胴体部810aが中間板200から突出されて放射線検出パネル20を損傷させる虞もない。
【0086】
接触部820aは胴体部810aの断面積よりも広い断面積を有し、プリント回路基板40及び第1の金属層220と接触面を形成して接触面積を増大させて、その接触抵抗を低減させる。抵抗は接触面積に反比例するため、接触部820aは、プリント回路基板40及び第1の金属層220と少なくとも部分的に平行な接触面を最大限に形成して接触抵抗を低減させる。
【0087】
図5を参照すると、多数の伝導性接続部800aは、接地ループ雑音を極力抑えるために、互いに離れて均一に複数配設されてプリント回路基板40の接地配線と中間板200の背面に形成された第1の金属層220とを電気的に接続する。上述したように、接地間のループ距離が異なってくることにより発生する電位差による接地ループ雑音を極力抑えて、放射線検出パネル20の電気的な信号に接地ループ雑音に対する安定性を持たせる。このために、ベース板210の背面に形成された第1の金属層220を接地として用いてプリント回路基板40が基準電位になるようにすることにより、プリント回路基板40との離隔距離を最小化させる。
【0088】
また、接地は、ハウジング10のフレーム、第1の金属層220、プリント回路基板40の接地配線、及び放射線検出パネル20の接地配線の全てに接続されなければならない。なお、接地ループ雑音を極力抑えるために、伝導性接続部800aは、プリント回路基板40と第1の金属層220とを均一に多数接続する。
【0089】
図6は、伝導性接続部800bがプリント回路基板40の接地配線と第1の金属層220とを電気的に接続する他の実施形態を示す断面図である。胴体部810bはプリント回路基板40を貫通し、中間板200に向かって延びて、プリント回路基板40と中間板200とを組み合わせる。胴体部810bは、熱伝導性及び電気伝導性物質である金属により形成される。胴体部810bは、プリント回路基板40を貫通する部分及び頭部に貫通孔よりも大きい係止部が配設されたボルトである。
【0090】
一方、接触部820bは、胴体部810bに中心が貫通されて胴体部810bと組み合わせられて、プリント回路基板40と中間板200との間の接触部分において更に広い接触面積を有する。このため、広くなった接触面積に反比例して接触抵抗を低減させる。ここで、接触部820bは金属リングであり、円板状を呈する。また、
図6に示すように、接触部820bは、プリント回路基板40と中間板200との間に金属リングとして形成されて、プリント回路基板40と中間板200とを所定の距離だけ隔てる。
【0091】
ここで、
図5に示すように、多数の伝導性接続部800aは、接地ループ雑音を極力抑えるために、プリント回路基板40の接地配線と第1の金属層220とを均一に且つ電気的に接続する。
【0092】
図7は、本発明の他の実施形態に係る放射線検出装置1の断面図である。
図7を参照すると、中間板200は、上述したように、炭素繊維層又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)、若しくはポリカーボネート(PC:Poly Carbonate)など、放射線透過率が高いプラスチックのうちから選ばれる少なくとも一種からなるベース板210と、該ベース板210の背面に配設される第1の金属層220と、前面に配設され、第1の金属層220と電気的に接続される第2の金属層230とを更に備える。これにより、中間板200は、背面に配設される第1の金属層220に電気的に接続され、前面に配設される第2の金属層230を更に備えて第1の金属層220を用いた接地機能をなお一層補強する。
【0093】
また、上述したように、放射線検出パネル20に近いベース板210の前面に第2の金属層230を形成することにより、放射線検出パネル20の接地配線と第2の金属層230とを電気的に接続して接地間のループ距離を最小化させて、接地ループ雑音を極力抑える。一方、接地は、ハウジング10のフレーム、中間板200の第1の金属層220、第2の金属層230、プリント回路基板40の接地配線、及び放射線検出パネル20の接地配線の全てに接続されて接地電位が同じである。
【0094】
また、第1の金属層220及び第2の金属層230は、中間板200の周縁領域において熱的・電気的に接続される。この場合、第1の金属層220に伝導された熱が第2の金属層230に伝導されて、放射線検出パネル20の周縁領域に熱的な雑音を生成する。しかしながら、周縁領域において発生した熱的な雑音は、全体の放射線イメージに大きな影響を及ぼすものではないため、無視すればよい。
【0095】
図8は、本発明の他の実施形態に係る放射線検出装置1の断面図である。ハウジング10は、金属製のフレームを備え、該フレームから延びて中間板200を支持する支持部11を更に備える。また、支持部11は、中間板200と面接触をしながら組み合わせられる。このため、支持部11は、中間板200の背面又は前面と面接触をしながら接触面積に反比例するように接触抵抗を低減させる。
【0096】
中間板200の背面に配設される熱伝導度が高い第1の金属層220及び支持部11が面接触するため、プリント回路基板40の素子から発生した熱が伝導性接続部800aを介して第1の金属層220を経て支持部11に伝わる。
【0097】
一方、プリント回路基板40は、放射線検出パネル20からの低雑音データ処理、高速データ転送のための電子部品間の信号処理経路の短縮及びプリント回路基板40の一方の周縁に配設された読出集積回路との実装効率性の向上を図るために、通常の長方形のプリント回路基板とは異なる形状を有する。すなわち、プリント回路基板40は、通常の長方形のプリント回路基板の形状とは異なり、読出集積回路(Readout IC)及びゲート集積回路(Gate IC)が配設される領域、パワー・オーバー・イーサネット(POE:Power Over Ethernet)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)、埋め込み型CPU、メモリ、イーサネット・フィジカル・インタフェース&トランシーバー、電源素子及び関連部品が配設される領域、読出集積回路及びゲート集積回路に近く、プリント回路基板40の両面にフィルタ素子、コネクタ及び関連部品が配設される領域外部分のプリント回路基板を除去する。このとき、プリント回路基板40は、L字状又は逆L字状である。このようにプリント回路基板から不要な部分を除去してプリント回路基板及び放射線検出装置の軽量化に効率よく対応する。
【0098】
また、プリント回路基板40の両面には、放射線検出パネル20に電気的に接続される複数の電子部品が実装される。例えば、複数の電子部品は、データ処理回路、電源駆動回路及び制御回路などを構成する受動素子又は能動素子部品である。ここで、放射線検出パネル20における熱による雑音を極力抑えるために、発熱が多い能動素子部品(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA )又はCPUなど)、高い受動素子部品はプリント回路基板40の背面の上に配置される。これに対し、低い受動素子部品は、能動素子部品と比べて発熱が少ないため、プリント回路基板40の前面の上に配置される。パワー素子部品は、ノイズを極力抑えるために、優先的に背面のプリント回路基板40の上に配置される。これにより、放射線検出装置1の放射線検出パネル20に影響を及ぼす電子気波の雑音が極力抑えられる。
【0099】
同様に、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、埋め込み型CPU、電源素子及び関連部品は、電磁波(EMI)雑音及び電源雑音が多量発生するため、読出集積回路への電磁波(EMI)雑音などの影響を極力抑えるために、読出集積回路から最大限に離れた領域に配置される。また、イーサネット・フィジカル・インタフェース&トランシーバー、及びパワー・オーバー・イーサネット(POE)などは、外部ケーブルとの接続のために、接続コネクタが放射線検出装置1の外部に突出されなければならないため、カセット状の放射線検出装置1が放射線撮影装置に差し込まれる差込面の反対面の領域に配置される。
【0100】
また、ゲート集積回路(Gate IC:Gate Integrated Circuit)は、パワー・オーバー・イーサネット(POE)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、埋め込み型CPU、メモリ、イーサネット・フィジカル・インタフェース&トランシーバー、電源素子、及び関連部品に近い距離に配設され、その結果、高速データの転送に際しての速度の低下及び入力電源雑音が極力抑えられる。
【0101】
更に、放射線検出装置1は、読出集積回路及びゲート集積回路の低雑音データの処理のために、読出集積回路及びゲート集積回路に近いプリント回路基板40の領域の両面にフィルタ素子、コネクタ及び関連部品が更に配設される。
【0102】
特に、プリント回路基板40に実装される電子部品のうち、読出集積回路(ROIC:Read Out IC)は、放射線検出パネル20が変換した電気信号を選択/駆動した後に読み出して増幅する半導体であり、放射線検出パネル20からの微弱なアナログ信号を増幅するためにアンプを備える。また、集積技術の向上に伴い、アンプに加えて、アナログデジタル変換器(ADC:Analog Digtal Converter)を備えて、アナログ値をデジタル値に変換する。このため、読出集積回路は、多くの電流及び電力を消耗するため、高い熱を発生させる。放射線検出パネル20にこのような熱が伝わると、放射線検出パネル20の動作温度が上昇する。これにより、光電変換素子の暗電流及び薄膜トランジスタ(TFT)の漏れ電流が増大され、固定ノイズの量が変わるため、画像ばらつきの原因となるという問題がある。このため、読出集積回路30を始めとする電子部品から発生される熱が、放射線検出パネル20に伝わらないように外部に放出する必要がある。
【0103】
一方、中間板200のベース板210の熱伝導度は、中間板200の背面に配設される第1の金属層220の熱伝導度よりも低い。例えば、300Kにおいてベース板210として用いられるポリカーボネート(PC)の熱伝導度は0.19〜0.22W/m・Kであり、アルミニウム(Al)の熱伝導度は237W/m・Kである。このため、プリント回路基板40から発生した熱は、第1の金属層220にのみ伝わり、ベース板210に伝わり難い。
【0104】
また、ハウジング10は、金属製のフレームを備え、フレームから延びて中間板200を支持する支持部11を更に備える。なお、支持部11は、中間板200の背面と面接触をしながら組み合わせられる。
【0105】
このため、第1の金属層220から伝わった熱は、ハウジング10のフレームから延びた支持部11に伝わってハウジング10のフレームを介して外部に放出される。これにより、放射線検出パネル20に伝わる熱による雑音が低減される。
【0106】
本発明のように、中間板200の背面に第1の金属層を形成することにより、プリント回路基板40と中間板200との間の離隔距離を短縮させて接地ループ雑音が極力抑えられるだけではなく、プリント回路基板40に実装された電子部品から発生される熱が放射線検出パネル20に伝わらず、その結果、第1の金属層を介して外部に放熱される。
【0107】
また、熱放出効果を極大化させるために、
図6に基づいて説明したように、伝導性接続部800bの接触部810bは最大限の放熱効果が得られる形状(例えば、熱放出のための多数の突起状)である。
【0108】
支持部11及び中間板200の背面は中間板200の周縁において組み合わせられ、放射線検出パネル20の面積は、中間板200の面背よりも小さい。このため、たとえ第1の金属層220の周縁領域に接続された第2の金属層230に第1の金属層220の熱が伝導されて放射線検出パネル20の周縁領域に限定されて熱的な雑音を生成しても、全体の放射線画像イメージに大きな影響を及ぼすものではないため、無視すればよい。
【0109】
図9は、本発明の他の実施形態に係る放射線撮影装置1000の正面図であり、
図10は、本発明の他の実施形態に係る放射線撮影装置1000の側面図である。
【0110】
図9及び
図10を参照して本発明の他の実施形態に係る放射線撮影装置1000についてより詳細に説明するが、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1と関連して説明された部分と重複する事項は省略する。放射線撮影装置1000は、放射線発生部1100、乳房固定部1200、本発明に係る放射線検出装置1、自動露出制御センサー1300、及び制御部1400を備える。
【0111】
放射線発生部1100は、放射線検出装置1の上に配置された被写体に向かって放射線を照射するが、このとき、公知の技術を用いてもよい。放射線発生部1100は、放射線検出装置1の自動露出制御センサー1300に接続されて制御部1400により放射線の照射量が制御される。一方、放射線撮影装置1000は、人間の胸(又は乳房)を固定するマンモグラフィ装置である。
【0112】
乳房固定部1200は、放射線の撮影に際して乳房が動かないように固定する装置であり、放射線が照射される方向と垂直になるように検診者の乳房を両側から圧縮して固定する。一般に、下側に受け板が設けられ、上側に圧迫板が昇降自在に設けられる。
【0113】
自動露出制御センサー1300は、放射線発生部1100から照射される放射線のうち放射線検出装置1を透過した放射線を感知する。上述したように、自動露出制御センサー1300は、放射線検出装置1において読出集積回路30などの電子部品により放射線が透過されることが妨げられないように、プリント回路基板40の空いている空間部分に配設される。
【0114】
次いで、制御部1400は、自動露出制御センサー1300において感知される放射線の量に応じて放射線発生部1100から照射される放射線の露出量を制御する。
【0115】
一方、放射線撮影装置1000は、コンピュータ放射線(CR)マンモグラフィ撮影装置である。このとき、コンピュータ放射線(CR)マンモカセットの代わりに本発明に係る放射線検出装置1が差し込まれる。このとき、本発明に係る放射線検出装置1をコンピュータ放射線(CR)マンモグラフィ撮影装置に取り付ける場合、コンピュータ放射線(CR)撮影装置を構成する自動制御センサー1300の放射能感知能が低下しないように自動制御センサー1300に十分な量の放射線を透過させる。このため、放射線検出装置1をコンピュータ放射線(CR)撮影装置に互換して使用することができる。
【0116】
上述したように、本発明に係る放射線検出装置1は、プリント回路基板40に実装された電子素子から発生される電子波ノイズ及び熱によるノイズを遮断するために背面に金属層220を形成し、プリント回路基板40の接地配線と接続して接地電位のシールドを形成した中間板200を提供して安定的な画像を得る。
【0117】
また、接地として形成された中間板200とプリント回路基板40の接地配線との間の離隔距離を最小化させて、接地ループ雑音を極力抑える。これにより、なお一層安定的な放射線画像が得られる。
【0118】
更に、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1は、中間板200に組み込まれたベース板210の背面に配設された第1の金属層220がハウジング10のフレームに接続されて、プリント回路基板40から発生した熱を伝導して外部に効果的に放出する。
【0119】
これにより、本発明に係る放射線検出装置1は、動作中に発生される熱を効果的に放出して放射線検出パネル20に伝導される熱を遮断し、これにより、熱による画像の雑音を除去することができる。このため、本発明に係る放射線検出装置1は、安定的であり、しかも、鮮やかな放射線イメージを得られる。
【0120】
したがって、本発明の一実施形態に係る放射線検出装置1は、高い堅実性及びノイズ耐性を維持する小型薄型のデジタル放射線(DR)マンモカセットとして設計可能である。