(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザーが手で加える圧力によって熱源チェンバーは変形可能であるが、ユーザーが手で加える圧力によって熱源チェンバーが変形しても仕切りは断裂しないように熱源チェンバーが構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
活性チェンバーは、仕切りによって封止される開口部を有するチェンバーを形成する変形可能な主要部を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
熱源チェンバーの開口部と活性チェンバーの開口部とが整列しており、いずれの開口部も仕切りによって閉じられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は簡単、小型かつ信頼性の高い、熱源材料を活性化させて発熱を開始させるためのシステムに関係する。このようなシステムは熱源や任意の他の要素を含む装置に組み込んでもよい。
【0021】
熱源材料とは活性化時に熱を発する材料である。熱源材料は、相変化材料であって、活性化されると相変化を起こして熱を放出する相変化材料であってもよい。例えば、過冷却状態の相変化材料であってもよい。
【0022】
熱源を含む様々な装置がある。例えば、食品用または飲料品用のパッケージや容器は、「稼働時」に内容物を加熱することができるように熱源を含むものがある。このような容器は食品または飲料品を内包するか、あるいは熱源の活性化前にこれらを容器に入れてもよい。
【0023】
他の装置としては、医療用品を目的温度にまで使用前に加熱する用途に用いられるものもある。
【0024】
熱源材料は非燃焼性喫煙品に導入してもよい。これらは、タバコなどのニコチン含有化合物を加熱してタバコの燃焼から煙を発生させることなくニコチンを放出させる装置を含む。そのような装置にとって、要求に応じてニコチン含有化合物を加熱し、かつ予測可能な経路で(つまり周知の時間に亘り周知の温度にまで)、ニコチン含有化合物を迅速確実に加熱する熱源が必要である。
【0025】
上述した全ての装置および熱源を含む他の例の装置において、熱源の活性化を制御できることが重要である。加えて、望んだ時に迅速確実に熱源を始動させことが重要である。
【0026】
熱源材料および活性化剤は装置内部に別個に収容される。熱源材料は熱源チェンバー内に保持され、他方活性化剤は活性チェンバーから供給される。これらチェンバーの内面は仕切りによって隔てられている。熱源材料を始動させる際、この仕切りを断裂させて熱源材料と活性化剤を接触させる。
【0027】
一部の実施態様では、熱源材料は相変化を起こした際に熱を発する相変化材料である。
【0028】
相変化材料(PCM)にはいくつかの種類がある。好ましいPCMは、室温および/または収容可能温度において過冷却状態の流体として安定度を有するべきでものである。加えて、活性化剤と接触することで迅速確実に活性化されなければならない。他のタイプの相変化材料も使用可能であるが、一部の実施態様では、相変化は液体から固体である。
【0029】
一部の実施態様では、装置に導入される熱源材料は水和塩PCMである。好ましい水和塩としては、酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物が挙げられる。好ましい一部の実施態様では、熱源材料は酢酸ナトリウム三水和物である。これは室温で安定であり無害である。様々な活性化剤のうち別のチェンバー内に導入され熱源材料と接触する少なくともいくつかの活性化剤によって、酢酸ナトリウム三水和物の液体から固体への相変化は迅速確実に始めることも可能である。
【0030】
核生成は液体から固体へのPCMに相変化を起こさせるプロセスであり、異種成分の核生成または同種成分の核生成に大別される。異種成分の核生成においては、ちり粒子やPCMを保持する容器壁面上の特徴などの不溶性の異物が最初のイオンまたは分子を結合させ配置する中心として働き、速やかにさらなるイオン等を引き付けて固体結晶を形成する。同種成分の核生成においては、少数のイオンまたは分子が大半の液相を通じたランダムの動きをしているうちに確率的に正しい配置に到達して、さらなるイオンまたは分子を引き付けて固体結晶を成長させる部位をもたらす。
【0031】
酢酸ナトリウムの小さな結晶(いわゆる「種」結晶)などの固体結晶を液相のバルクに導入すると、液相バルクからイオンまたは分子を引き付ける多数の部位がすぐ形成される。従って、種結晶を過冷却システムに導入するとランダムな分子相互作用という必要性を排除することになり結晶化プロセスが加速する。
【0032】
熱源材料が酢酸ナトリウム三水和物である一部の実施態様では、活性化剤は固体の酢酸ナトリウムまたは固体の酢酸ナトリウム三水和物の1以上の化合物を含む。一部の実施態様では、固体形状は、例えば、1以上の結晶、コーティングもしくは層、粉末、顆粒または成形もしくはプレス加工したタブレットや同様の形状のモノリシック形状を含む。一部の実施態様では、固体形状は相対的に少量の液状SATをモノリシック形に形成させることで形成される。
【0033】
一部の実施態様では、固体状の酢酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム三水和物を含むものなどの活性化剤は、本明細書で説明する活性チェンバーに加えるのに好ましいタブレットや他の固体などのプレス加工、成形またはプリントされたモノリシック形状で提供してもよい。一部の実施態様では、固体モノリシック形状の酢酸ナトリウム三水和物を活性チェンバー内でインシツ形成してもよい。活性チェンバーは不安定な液状の酢酸ナトリウム三水和物で形成され、および満たされてよい。この不安定な液体は、過冷却液状のSAT熱源材料の相変化を始動させるのに使用される固体の塊を形成して活性チェンバー内で固体化する。さらに、この固体の塊は活性チェンバー主要部の変形から仕切りに圧力を伝えそれを断裂しやすくすることができる。
【0034】
一部の実施態様では、安定な活性化剤を選択することが好ましい。一部の実施態様では、活性化剤を収容する活性チェンバーを形成する間または封止する間などで高温に晒された時に安定な活性化剤を選択することが好ましい。
【0035】
一部の実施態様では、活性化剤は、食塩NaCl、チョーク(CaCO
3)などの1つ以上の塩、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの1つ以上のセルロース誘導体を含む固体であってよい。その固体は、例えば、1または2つ以上の結晶、コーティングもしくは層、粉末、顆粒または成形またはプレス加工したタブレットや同様の形状のモノリシック形状を含んでもよい。
【0036】
一部の実施態様では、活性化剤は固形の非吸湿性材料を含んでもよい。非吸湿性材料としては鉄、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属の削りくずが挙げられる。活性化剤として吸湿性固形材料ではなく非吸湿性固形材料を用いる潜在的利点は、水分が活性チェンバー4に入っても非吸湿性固形材料は液状化しにくいことである。
【0037】
本発明において、偶発的に活性化することを最小限にするため、熱源材料3および活性化剤5は装置1の内部に別個に収容される。この2つの成分は別々のチェンバーに収容され、仕切りによって隔てられる。熱源チェンバー2は熱源材料3を保持し、活性チェンバー4は活性化剤5を供給する。活性化剤5と熱源材料3を接触させようとする前にこれらが接触してしまうことを防止するための仕切り6は断裂可能なフィルムであり、活性チェンバー4から供給される活性化剤5が熱源材料3と接触して熱源が活性化し熱が発生するように構成されている。
【0038】
一部の実施態様では、活性化剤が断裂した仕切り6を通過して熱源チェンバー2に移動することで、活性化剤5と熱源材料3とが接触してもよい。例えば、熱源チェンバー2が変形することで、この移動が起きてもよい。これとは別にまた加えて仕切りの断裂後、熱源材料3が熱源チェンバー2の外に出て活性チェンバー4の中に移動して熱源材料3と活性化剤5が接触してもよい。
【0039】
活性チェンバー4が変形することで仕切り6が断裂する。一部の実施態様では、活性チェンバー4の変形によって、熱源材料と接触するような活性化剤5の移動がさらに引き起こされる。
【0040】
一部の実施態様では、活性チェンバー4はユーザーが指で圧力を加えることによって変形する。例えば、ユーザーが指で装置1を押すなどして、この圧力を直接的に加えてもよい。従って、一部の実施態様では、活性チェンバー4の主要部を直接押すことで、ユーザーは活性チェンバー4の表面に直接圧力を加えてもよい。指と活性チェンバー4の外面とが直接接触していてもよい。または活性チェンバーに接触している、あるいは活性チェンバーに圧力を伝達するハウジングの変形可能領域と指とが接触してもよい。
【0041】
これとは別に機械的手段によって圧力を伝達するなど、間接的に圧力を加えてもよい。従って、一部の実施態様では、ユーザーが活性チェンバー4を変形させるための活性化機構を装置はさらに含む。一部の実施態様では、活性化機構はボタン、任意にばね懸架式および/またはスライド式のボタンを含む。プランジャーやレバーを含むような他の種々の活性化機構も想定される。一部の実施態様では、例えば、活性化機構は押されたり、引っ張られたり、捻じられたり、絞られたりして活性チェンバー4を変形させるように構成してもよい。
図3で図示した実施態様では、熱源チェンバー2と活性チェンバー4の両方の周囲に位置する変形可能領域12を備えるハウジング11を装置は含んでいる。少なくとも一部の領域が変形可能なハウジングに活性チェンバー4は囲まれており、ハウジング12の変形可能領域にユーザーが指で加えた圧力が活性チェンバー4の主要部に伝達され変形する。
【0042】
一部の実施態様では、指で加えた圧力で熱源チェンバー2は概ね変形しない。つまり熱源チェンバー2は硬質である。他の実施態様では、熱源チェンバーは変形可能だが、断裂可能な仕切りを断裂させる程度の変形ではないとしてもよい。ある環境において特に好ましい一部の実施態様では、断裂可能な仕切りは活性チェンバーの変形によって断裂するだけである。
【0043】
一部の実施態様では、活性チェンバー4と位置合わせされた変形可能領域12を含むハウジング11を装置10は含み、変形可能領域12が活性チェンバー4と位置合わせされることで、ハウジング11の変形可能領域12の外面から活性チェンバー4に圧力を伝達し、これにより活性チェンバー4が変形し、仕切り6が断裂し、そして場合によっては活性チェンバー4内に収容されている活性化剤5が仕切り6を通って移動する。一部の実施態様では、ハウジング11の残りの部分(活性チェンバー4と連結している変形可能領域12とは別の部分)は概して硬質な構造であってもよい。一部の実施態様では、ハウジング11の領域は充分に硬質であり、装置の変形可能な部分、例えば変形可能な活性チェンバー4を押しつける反応面を供給する。これにより活性チェンバー4にかかる圧力が活性チェンバー4の少なくとも一部を変形させ、およびそれに伴って仕切り6の断裂することが容易になる。
【0044】
図1〜3で示したように、活性化剤と熱源材料とがそれらを隔てている仕切り6が断裂した後に接触するよう、活性チェンバー4と熱源チェンバー2とが直接隣接するように装置1、10を構成してもよい。そのような実施態様では、熱源チェンバー2の開口部8、断裂可能な仕切り6および活性チェンバー4の開口部7が全て位置合わせされてもよい。別の実施態様では(図示せず)、活性化剤と熱源材料を接触させて熱発生を開始させるための活性化剤および/または熱源材料が入るチェンバーまたは通る通路がさらにあってもよい。
【0045】
一部の実施態様では、本発明において使用するのに適切な活性チェンバー4は、かかる圧力を活性チェンバーに伝達する変形可能な主要部と、好ましくはあらかじめ決定し予測可能な方法によって、その主要部が変形した時に断裂する仕切りとを含んでもよい。一部の実施態様では、活性チェンバーはチェンバー内部に保持された活性化剤を含む。別の実施態様では、活性化剤は活性チェンバーの必須部分として、例えば層やコーティングといった形体で供給される。より具体的には、この層またはコーティングは活性チェンバー4の内方に向いた面、例えば変形可能な主要部の内面および/または仕切りの内面などの表面上に設けてもよい。
【0046】
一部の実施態様では、活性チェンバーは、その変形可能な主要部もしくはその一部または仕切りを形成するラミネートを含んでもよい。これらの実施態様の一部では、活性化剤を含む層をラミネートが含んでもよい。この活性化剤層は、チェンバーの変形や仕切りの断裂に先立って活性チェンバー内部に存在するラミネートの表面上に位置していてもよい。これとは別にまたは加えて活性化剤層は多層ラミネート構造の内部に位置し、ラミネートが破れるまで露出しないようにしてもよい。
【0047】
一部の実施態様では、そのような層またはコーティングで供される活性化剤は、活性チェンバー4の変形によって、活性化剤が熱源チェンバー2に入る程度に移動してもよい。
【0048】
一部の実施態様では、活性チェンバーの変形そして活性化剤と熱源材料との接触の後、活性化剤5は活性チェンバー内に残留してもよく、熱源材料が活性チェンバー4に入ることが必要な場合もある。
【0049】
断裂可能な仕切りの断裂後、熱源材料が活性チェンバーに入ることが望ましくまたは必要な場合、活性チェンバー内に比較的低圧な領域を作り出すことによってこれを促進させてもよい。一部の採用し得る実施態様では、封止した時に活性チェンバーの内圧の方が熱源チェンバーの内圧よりも低くなる。そして断裂可能な仕切りが断裂した際に、隣接する熱源チェンバーから活性チェンバーへと熱源材料が引き込まれる。これとは別にまたは加えて断裂可能な仕切りが断裂した後、比較的低圧な領域を作り出すように活性チェンバーを構成してもよい。より具体的には、活性チェンバーは弾性変形可能な材料から形成してもよく、仕切りの断裂を引き起こすチェンバー主要部の変形後にチェンバー主要部が元の形状に戻ろうとして、隣接する熱源チェンバーから活性チェンバーへと熱源材料が引き込まれる。
【0050】
これとは別にまたは加えて熱源材料を毛細管現象によって活性チェンバーに入るようにしてもよい。活性チェンバーは、仕切りが断裂した時に毛細管現象によって熱源材料を引き込むような形にしてもよい。
【0051】
断裂可能な仕切りの断裂後、活性化剤が活性チェンバーから出ることが望ましくまたは必要な場合、活性チェンバー内に比較的高圧な領域を作り出すことによってこれを促進させてもよい。ある採用し得る実施態様では、封止した時に活性チェンバーの内圧の方が熱源チェンバーの内圧よりも高くなるようにしてもよい。そして断裂可能な仕切りが断裂した際に、活性チェンバーから隣接する熱源チェンバーへと活性化剤が放出される。
【0052】
一部の実施態様によれば、内部に活性化剤が収容される活性チェンバーはブリスターまたはブリスターのような部材である。本明細書で使用する「ブリスター」とは、ブリスターパックまたはバブルパックにおいて見られるような構造を言う。これらパックは小型の消費材、食品、薬剤用に使用するための予め形成されたパッケージの例である。
【0053】
本明細書で使用するブリスターはチェンバーを形成する主要部を含む。この主要部は熱形成プラスチックなどの材料で作られる。このチェンバーは開口部を有し、開口部周囲などの主要部に接続する仕切り層によって開口部は閉じられる。仕切り層は何らかの適切な手段によって主要部に接着されてもよい。一部の実施態様では、仕切り層はフィルム、ホイル、膜またはプラスチック製シート材料である。一部の実施態様では、圧力がかかることで仕切り層は物理的に断裂する。これとは別にまたは加えていくつかの実施態様では、主要部と断裂する仕切り層との間で封止して、仕切り層と主要部は隔てられるようにし、これにより少なくとも部分的に予め封止された開口部を露出する。
【0054】
一部の実施態様では、活性チェンバーの主要部と仕切りは全く同一の材料、または似た材料から形成される。例えば、一部の実施態様では、活性チェンバーと仕切りはプラスチック材料(例えば、ポリ塩化ビニル、なかでも3フッ化塩化エチレンでラミネート加工されたものや環状オレフィン系コポリマーもしくはポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはグリコール修飾ポリエチレンテレフタレートを含む多層材料)またはホイル(例えば、アルミニウム含有ラミネートを含むアルミニウムベースホイル)から形成される。一部の実施態様では、活性チェンバーの主要部と仕切りは、水分が活性化剤に到達しないように耐水材料から形成される。より具体的には、仕切り層は冷間成形アルミニウム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)から形成することが可能である。一部の実施態様では、活性チェンバーの断裂可能領域は、例えば材料の厚さを局所的に調整するなどして局所的に弱化された材料を含む、またはそれのみから形成されてもよい。
【0055】
ブリスターという形体の活性チェンバーの具体例を
図4および5に示している。活性チェンバー4は、チェンバー内に位置する活性化剤(図示せず)を備え、仕切り6によって封をされた開口部7を有し変形可能材料から成る主要部14を含む。一部の実施態様では、活性チェンバー4の主要部14はプラスチックまたは他の変形可能な材料から形成してもよい。別の実施態様では、活性チェンバーの主要部14は例えばホイルラミネートを含む第2のホイル層から形成してもよい。直接、間接を問わずユーザーが指で活性チェンバーの表面に圧力を加えた時、活性チェンバーの主要部は変形するように構成される。圧力に応じて活性チェンバーの主要部が変形するその程度は、少なくとも多少は、主要部の材料、形状、その厚さに左右される。
【0056】
一部の実施態様では、開口部7を封止するため仕切り6は活性チェンバーの主要部14に貼り付けられる。これは開口部周囲などの活性チェンバーの主要部に仕切りを貼り付けることによってできる。仕切りと主要部との材料の融合や溶接または接着剤の使用などによってこの貼り付けを行ってもよい。主要部14に仕切り6を貼り付けて活性チェンバー4を封止することで、活性化剤を含む活性チェンバーは全体として隔絶した構成要素として形成そして提供され、装置の他の構成要素に容易に付加できるという利点がある。
【0057】
別の実施態様では、活性チェンバーに貼付されない断裂可能な仕切りで活性チェンバーを封止してもよい。具体的には、活性チェンバーの開口部が装置の他の構成要素と位置合わせされ当接した結果、活性チェンバーの主要部を封止してもよい。一部の実施態様では、熱源チェンバーなどの装置の他の構成要素の一部に接続する、および/または装置の他の構成要素の一部を形成する断裂可能な仕切りと活性チェンバーの主要部とが当接してもよい。このような構成は、仕切りが断裂することなく活性チェンバーの内容物が外に出られないことを意味する。またこの構成により、活性チェンバーの変形が十分仕切りに伝わりこれを断裂させる。
【0058】
一部の実施態様では、熱源チェンバーの主要部は断裂可能な仕切りによって封止される開口部を有する。これは開口部周囲などの熱源チェンバーの主要部に仕切りを貼り付けることによって行われる。仕切りと主要部との材料の融合や溶接または接着剤の使用などによってこの貼り付けを行ってもよい。主要部に仕切りを貼り付けて活性チェンバーを封止することで、活性化剤を含む熱源チェンバーは全体として隔絶した構成要素として形成そして提供され、装置の他の構成要素に容易に付加できるという利点がある。
【0059】
一部の実施態様では、熱源チェンバーと活性チェンバーの双方は個々に断裂可能な仕切りによって封止される。仕切りと仕切りがそれぞれ封止する熱源チェンバーと活性チェンバーの開口部は、装置内で位置合わせされて、活性チェンバーの変形によって両方の仕切りが断裂して活性化剤と熱源材料とが接触するようすることが好ましい。
【0060】
活性チェンバー4の変形により仕切り6は断裂する。一部の実施態様では、チェンバーの変形により封止されたチェンバー内部の圧力が増加して、弱所において容器を断裂させる。弱所は一般的に断裂可能な仕切りまたは仕切りとチェンバー主要部との接続点である。一部の実施態様では、活性チェンバー内に保持されている活性化剤は固形の材料である。活性チェンバーの変形によって固形の活性化剤が断裂可能な仕切りに押し付けられ、活性チェンバーの主要部にかかった力を伝達、集中させて断裂を促す。いったん仕切りが断裂すると、活性化剤の少なくとも一部が断裂した仕切りを通過して活性チェンバーの外に放出される。
【0061】
図1で示した実施態様では、活性化剤5は仕切り6を通過し得る固形の材料である。活性チェンバー4が変形すると活性化剤5は仕切り6に押し付けられる。活性化剤5によって仕切り6に加わる力によって仕切り6は最終的に断裂する。加わっていた圧力に対する抵抗がなくなることで、活性化剤の少なくとも一部が断裂した仕切りを通過して押し出され、熱源チェンバー2内部に入り、熱源材料と接触する。
【0062】
一部の実施態様では、活性チェンバーの変形によって断裂可能な仕切りにかかる力を集中させるための追加的または代替的な手段を活性チェンバーは含んでもよい。活性チェンバーは、活性チェンバー変形時に断裂可能な仕切りに接触する突起を含んでもよい。相対的に小さな領域に亘って突起が仕切りに接触する場合、仕切りにかかる力が集中して断裂が促される。そのような突起を含む実施態様を
図5に示した。活性チェンバー4は突起15を含む形の主要部14を有する。矢印Aで示したように圧力が加えられて主要部14が変形すると、主要部14の内面に形成された突起15は仕切り6と接触し、活性チェンバー主要部の成形された部分が変形および変位することによって加えられる力を仕切りの局所に集中させて、仕切りを断裂しやすくする。活性チェンバー内に保持されるがチェンバーの一体部品ではない突起によっても同様の効果を得ることはできる。従って活性チェンバー4内に活性化剤と共に1つ以上の固形成形品を入れることができる。これらは活性チェンバーの変形時に仕切りに圧力をかけて断裂を促す。そのような成形品は、仕切りの断裂を促すのに役立つ尖った縁部やこれに類するものを備える。一部の実施態様では、これら成形品は、活性チェンバー内において成形品がどのような向きであっても、チェンバーの外表面に加えられた圧力を断裂可能な仕切りの相対的に小さな領域に集中させ断裂を促すのに役立つ構造をしている。
【0063】
成形品が仕切りの断裂を促すのに役立つ尖った縁部やこれに類するものを備える一部の実施態様では、その尖った縁部は接触時に熱源材料を活性化させてもよい。活性化させる方法としては例えば核形成部位を提供するなどが挙げられる。これとは別にまたは加えて(尖った縁部の有無を問わず)成形品が仕切りの断裂を促すために供される場合、接触時に熱源材料を活性化させる核形成部位を大量に提供するために、これら成形品の表面に凹凸を設けてもよい。
【0064】
特定の実施態様では、上述したものを含め、断裂可能な仕切りに圧力を集中させるための手段または物体は活性化剤を含有するコーティングまたは層を含んでもよい。
【0065】
一部の実施態様では、仕切り6は断裂後に自身を再封止することができる。例えば、仕切り6は断裂後にその弾性によって再封止する弾性材料を含んでもよい。そのような仕切り6はゴム隔壁という形体であってもよい。そのような実施態様では、ユーザーが圧力をかけて活性チェンバー4を変形させる際に仕切り6と接触してこれを断裂させる1つ以上の尖った突起を活性チェンバー4は備えてもよい。この1つ以上の尖った突起は接触時に熱源材料を活性化させてもよい。この1つ以上の尖った突起は鉄、銅、アルミニウムまたはステンレスなどの金属を含んでもよい。圧力が加えられた際にこの1つ以上の尖った突起を再封止する仕切り6から引き戻せるように活性チェンバー4が当初の形状に戻るために、活性チェンバー4自身も弾性を有してもよい。加えて、一部の実施態様では、活性チェンバー4は再利用可能である。
【0066】
一部の実施態様では、断裂した際に断裂した仕切りが接触すると熱源材料を活性化させる鋭い縁部を例えば核生成面を設けることによって必ず有するように仕切りを構成してもよい。これとは別にまたは加えて断裂した際に断裂した仕切りが接触すると熱源材料を活性化させる鋭い縁部を例えば核生成面を設けることによって必ず有するように仕切りを断裂させるために設けられた手段を構成してもよい。この鋭い縁部は熱源材料を活性化させることができてもよく、従って一部の実施態様では、断裂によって形成される仕切りの鋭い縁部が活性化剤となり、他の活性化剤を存在させる必要がなくなる。
【0067】
さらに別の実施態様では、本発明の装置の他の部分は活性チェンバーの変形によって仕切りが断裂するのを促す手段を含んでもよい。
図6は活性チェンバー4を収容して保持するように構成されたハウジング部20の可能な構成を示している。活性チェンバー4は例えば上述した内容に沿ったブリスターでもよい。ハウジング部20には主要部21があり、これは開口部24を囲むリップ部22を含み、1つ以上の突起23がこの開口部内に半径方向に延びている。装置へ導入する時は、
図7に示すように活性チェンバーブリスターがハウジング主要部21のリップ部22の上に位置して仕切りが開口部24に亘り、突起23を含むリップ部22の上に載るようになる。活性チェンバー4の変形時には、活性チェンバーおよび特に仕切り6は、リップ部22および突起23に対して押される。圧力は突起23と仕切り6との接触点において仕切りの断裂を促す。ハウジング部20および特にリップ部22は、圧力を加えた際に活性チェンバーを確実に変形させ、断裂可能な仕切りを断裂させるように活性チェンバーが押しつけられる反応面を提供する。
【0068】
別の実施態様では、活性チェンバー4と熱源チェンバー2は互いに隣接に位置し当接し、活性チェンバー4を変形させることで仕切り6の断裂を促す突起やこれに類するものを熱源チェンバーに設けてもよい。一部の実施態様では、熱源チェンバーは、圧力を加えた際に活性チェンバーを確実に変形させ、断裂可能な仕切りを断裂させるように活性チェンバーが押しつけられる反応面を提供してもよい。
【0069】
仕切りは、ユーザーの手による装置の作動を伝達するように設計された装置がある種の圧力を受けた時に断裂するような材料から選ばれる。仕切りはフィルムまたは膜であってもよい。材料は必要な強度および断裂性を提供するように選択される。より具体的には、活性チェンバー表面にユーザーが(直接であれ間接であれ)かけ得る力の大小および方向に基づいて断裂するように、仕切りの材料および厚さは選択される。さらに、仕切りの材料は収容および使用の間にそれと接触する材料に対して不活性であることが重要である。一部の実施態様では、仕切りは断裂を促すため予め弱化された領域を備えてもよい。一部の実施態様では、仕切りはホイル、フィルム、膜またはシートである。別の実施態様では、断裂可能な仕切りは活性チェンバーの主要部の予め弱化された領域である。
【0070】
ある実施態様では、活性化剤5の物理的な大きさまたは体積は熱源材料3の大きさまたは体積よりもかなり小さくなるはずである。結果として、装置の体積および形状を実質的に規定されないように、活性チェンバー4は可能な限り小さいおよび/または細いことが好ましい。したがって、一部の実施態様では、そのような装置1の幾何学上の制約の関係から、活性化剤5を保持する活性チェンバー4の体積および形状は、活性チェンバー4の主要部のほんの僅かな変形によって断裂可能な仕切り6が断裂するのに役立つように最適化され得る。
図4および5に、細い設計のブリスターライク活性チェンバー4を示した。チェンバーの内容物(図示せず)および/または突起15が仕切り6と接触して断裂圧力をかける前に、矢印Aで示したような活性チェンバー4の主要部14にユーザーがかけた圧力によって主要部14が大きく変形する必要はない。
【0071】
一部の実施態様では、活性チェンバーの外形寸法は、直径が約2〜10mm、約5〜9mm、約6〜8mmまたは約7mmであり、厚さが約0.4〜5mm、約0.7〜3mm、約1〜2mm、約1mmである。
【0072】
一部の実施態様では、装置は加熱可能材料を加熱し加熱可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させて吸入可能な蒸気を形成する吸入装置である。本明細書で説明する「加熱可能材料」には、加熱によって気化する成分を提供する何らかの材料が含まれる。
【0073】
一部の実施態様では、吸入装置はニコチン送給システムである。そのような実施態様では、加熱可能材料はニコチン源を含んでもよい。一部の実施態様では、加熱可能材料は何らかのタバコ含有材料を含んでもよい。より具体的には、1つ以上のタバコ、タバコ誘導体、タバコ抽出物、膨張タバコや再構成タバコなどの処理または変性されたタバコ、またはタバコ代替品を含んでもよい。疑念を解消するため記載するが、本発明の文脈において、加熱可能材料は燃焼させず、また煙は生じない。それでも加熱可能材料は、使用時に揮発してユーザーに吸入される成分の供給源を提供するものである。
【0074】
一部の実施態様では、
図8で示したように、そのような吸入装置30はハウジング31を含む。この内部において、熱源材料32が熱源チェンバー内に保持され、加熱可能材料34が別個の加熱用チェンバー内に保持される。熱源チェンバーから加熱可能材料に熱を移動できるように熱源チェンバーおよび加熱用チェンバーは配置されている。こうすることで、加熱可能材料の少なくとも1つの成分が揮発し得る。装置はさらに活性化剤を保持する活性チェンバーを含む。ハウジングの変形可能領域33に圧力がかかり活性チェンバーが変形することで、活性化剤は活性チェンバーから熱源チェンバーに移動する。活性チェンバーおよび活性プロセスは上述したものであってもよい。一部の実施態様では、吸入する揮発成分が通過するマウスピース35を装置はさらに含む。
【0075】
様々な課題を解決し技術を発展させることを目的として、図示を含むこの開示全体は、請求項に係る発明を実施して熱源材料を始動させるための優れた装置並びにそれの製造方法および使用方法を提供し得る種々の実施形態を示している。この開示の利点および特徴は、実施形態という典型的な例を示すことのみであって、包括的および/または排他的ではない。それらは理解を助けるため、および請求された原理を教示するためだけに提出される。当然のことながら、開示の利点、実施形態、例示、機能、特徴、構造および/または他の側面は請求項または請求項の均等物の限定によって定義されるように、開示されたものに限定されず、他の実施形態を利用しても良く、開示の範囲および/またはその意図から外れない限り変更を加えてもよいと理解されるべきである。種々の実施形態は、説明した要素、成分、特徴、部品、工程、手法などの種々の組み合わせを適宜含んでもよいし、それらのみから構成されてもよいし、またはそれらを主に構成されてもよい。加えて、この開示は現在請求していない他の発明を含んでいる。いずれはこれらも請求することがあり得る。