(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261732
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ基板の製造方法及び前記方法によって製造された薄膜トランジスタ基板
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20180104BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20180104BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20180104BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20180104BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
G09F9/30 338
G09F9/00 338
G02F1/1368
H01L29/78 619A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-524028(P2016-524028)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-500727(P2017-500727A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】CN2013087357
(87)【国際公開番号】WO2015070463
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】201310562123.X
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】李文輝
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼志遠
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102636927(CN,A)
【文献】
特開平05−040279(JP,A)
【文献】
特開平07−028077(JP,A)
【文献】
特開2003−050405(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/155830(WO,A1)
【文献】
特開2012−222176(JP,A)
【文献】
中国実用新案第202373580(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタ基板の製造方法において、
以下の工程を含む、薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
工程1では、基板を用意し、
工程2では、前記基板上に所定の構造のゲートを形成し、
工程3では、前記ゲート及び基板上にゲート絶縁層を形成し、
工程4では、前記ゲート絶縁層上に所定の構造の金属信号線を形成し、
工程5では、前記ゲート絶縁層上に所定の構造の酸化物半導体層を形成し、
工程6では、前記ゲート絶縁層・金属信号線・酸化物半導体層上に所定の構造の不動態化層を形成し、
工程7では、前記金属信号線・酸化物半導体層・不動態化層上に所定の構造のソース/ドレインを形成し、
以上により薄膜トランジスタ基板が形成され、
更に、前記工程6において、不動態化層を形成するのと同時に所定の構造のエッチング阻止層を形成し、
前記エッチング阻止層は、前記酸化物半導体層上に位置し、
前記不動態化層は、前記エッチング阻止層の両側に位置し、
前記不動態化層と前記エッチング阻止層は、同じ素材か、或は異なる素材によってなる
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法において、
更に、前記基板は、ガラス基板であり、
前記酸化物半導体層は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)・インジウムガリウム酸化物・酸化亜鉛・酸化アルミニウム・酸化スズの中のいずれかによって形成される
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法において、
更に、前記工程7において、ソース/ドレインを形成するのと同時に、画素電極を形成し、
前記画素電極は、不動態化層上に形成されるとともに、前記ソース/ドレインと電気的に接続され、
前記ソース/ドレインと画素電極は、いずれも透明導電性酸化物によって形成される
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法において、
更に、前記透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズである
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項5】
基板と、ゲートと、ゲート絶縁層と、金属信号線と、酸化物半導体層と、不動態化層と、ソース/ドレインと、画素電極とからなる、薄膜トランジスタ基板であって
前記ゲートは、前記基板上に設けられ、
前記ゲート絶縁層は、前記基板及び前記ゲート上に設けられ、
前記金属信号線は、前記ゲート絶縁層上に設けられ、
前記酸化物半導体層は、前記ゲート絶縁層上に位置し且つ前記金属信号線一側に位置するように設けられ、
前記不動態化層は、前記ゲート絶縁層・金属信号線・酸化物半導体層上に設けられ、
前記ソース/ドレインは、前記金属信号線・酸化物半導体層・不動態化層上に設けられるとともに、前記ソース/ドレインと前記金属信号線は、電気的に接続され、
前記画素電極は、前記不動態化層上に設けられるとともに前記ソース/ドレインと直接接続され、且つ前記ソース/ドレインと同一層に位置し、
前記ソース/ドレインと画素電極は、いずれも透明導電性酸化物によって形成され、
更に、前記酸化物半導体層上には、エッチング阻止層が設けられ、
前記不動態化層は、前記エッチング阻止層の両側に位置し、
前記エッチング阻止層と前記不動態化層は、同等の素材か、或は異なる素材によってなる
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【請求項6】
請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板において、
更に、前記基板は、ガラス基板である
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【請求項7】
請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板において、
更に、前記酸化物半導体層は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)・インジウムガリウム酸化物・酸化亜鉛・酸化アルミニウム・酸化スズの中のいずれかによって形成される
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【請求項8】
請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板において、
更に、前記ソース/ドレインと画素電極は、同時に形成され、
前記透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズである
ことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示技術に関し、特に、薄膜トランジスタ基板の製造方法及び前記方法によって製造された薄膜トランジスタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)は、電子機器においてスイッチ装置や駆動装置として幅広く用いられている。具体的に述べると、薄膜トランジスタは、ガラス基板やプラスチック基板上に設けられることが可能なため、液晶ディスプレイ(LCD)・有機ELディスプレイ(OLED)・電気泳動ディスプレイ(EPD)等の種々の平面ディスプレイの分野でよく用いられる。
【0003】
酸化物半導体は、高い電子移動率を備えるとともに(酸化物半導体の移動率は>10cm
2/Vsであり、a−Siの移動率は僅か0.5〜0.8cm
2/Vsである)、低温ポリシリコン(LTPS)と比較して、酸化物半導体は製造工程が簡単であり、a−Si製造工程との適合性が高いため、液晶ディスプレイ(LCD)・有機ELディスプレイ(OLED)・フレキシブル表示(Flexible)等の分野に応用可能である。更に、次世代の生産ラインと適合し、大中小サイズの表示に応用可能であるため、極めて高い発展的応用の可能性を備えている。よって、現在の業界において注目度の高い研究である。また、酸化物半導体の研究では、酸化物半導体IGZO(イグゾー、InGaZnO)が最も成熟度が高い半導体である。
【0004】
薄膜トランジスタ基板は、薄膜トランジスタと、画素電極とからなる。
図1を参照する。従来の酸化物半導体薄膜トランジスタ基板は、酸化物半導体層100の製作完了後に、ソース/ドレイン(Source/Drain)金属電極200を製作する必要がある。ソース/ドレイン(Source/Drain)金属電極200のウェットエッチング工程では、通常、強酸及び強酸化合物(例えばHNO
3/H
3PO
4/CH
3COOH等)が用いられるため、バックチャネルエッチ(Back channel etching、BCE)部分の酸化物半導体層が破壊され易い。ドライエッチングを使用した工程の場合には、エッチングの均一性が劣るという問題が存在する。この問題を解決するために、従来技術では、通常、酸化物半導体層100の形成後、及びソース/ドレイン金属電極200の形成前に、一層のエッチング阻止層(ESL)300を製作することにより、バックチャネルエッチ部分の酸化物半導体層がソース/ドレイン金属電極200のエッチング等の工程において破壊されないように保護している。しかし、別途一層のエッチング阻止層を製作するため、フォトリソグラフィ工程が一回増えることになる。一回のフォトリソグラフィ工程は、成膜・露光・現像・エッチング・剥離等の処理手順からなる。よって、別途一層のエッチング阻止層を製作することは、生産コストの大幅な増加を招いて、生産性を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって本発明は、金属信号線とソース/ドレインのエッチング工程による酸化物半導体層の破損を効果的に防止することで、薄膜トランジスタ基板の安定性と均一性の向上・生産性の向上を可能にするとともに、酸化物半導体薄膜トランジスタ基板の大量生産の可能性を拡大し、更にフォトリソグラフィ工程を一回削減することにより、大幅な生産コスト削減と生産性向上が可能な、薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、構造が簡単で、高い安定性と均一性を備えるとともに、製造方法が簡単で、フォトリソグラフィ工程が一回削減されることにより、大幅な生産コスト削減と生産性向上が可能な、薄膜トランジスタ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために本発明が提供する薄膜トランジスタ基板の製造方法は、以下の工程を含む。
【0008】
工程1では、基板を用意する。
【0009】
工程2では、基板上に所定の構造のゲートを形成する。
【0010】
工程3では、ゲートと基板上にゲート絶縁層を形成する。
【0011】
工程4では、ゲート絶縁層上に所定の構造の金属信号線を形成する。
【0012】
工程5では、ゲート絶縁層上に所定の構造の酸化物半導体層を形成する。
【0013】
工程6では、ゲート絶縁層・金属信号線・酸化物半導体層上に所定の構造の不動態化層を形成する。
【0014】
工程7では、前記金属信号線・酸化物半導体層・不動態化層上に所定の構造のソース/ドレインを形成する。以上により、薄膜トランジスタ基板を形成する。
【0015】
前記基板は、ガラス基板である。前記酸化物半導体層は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)・インジウムガリウム酸化物・酸化亜鉛・酸化アルミニウム・酸化スズの中のいずれかによって形成される。
【0016】
前記工程6において、不動態化層を形成するのと同時に、更に所定の構造のエッチング阻止層を形成する。前記エッチング阻止層は、前記酸化物半導体層上に位置する。前記不動態化層は、前記エッチング阻止層の両側に位置する。前記不動態化層と前記エッチング阻止層は、同じ素材か、或は異なる素材によってなる。
【0017】
前記工程7において、ソース/ドレインを形成するのと同時に、更に画素電極を形成する。前記画素電極は、不動態化層上に形成されるとともに、ソース/ドレインと電気的に接続される。前記ソース/ドレインと画素電極は、いずれも透明導電性酸化物によって形成される。
【0018】
前記透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズである。
【0019】
また本発明が提供するもう一つの薄膜トランジスタ基板の製造方法は、以下の工程を含む。
【0020】
工程1では、基板を用意する。
【0021】
工程2では、基板上に所定の構造のゲートを形成する。
【0022】
工程3では、ゲートと基板上にゲート絶縁層を形成する。
【0023】
工程4では、ゲート絶縁層上に所定の構造の金属信号線を形成する。
【0024】
工程5では、ゲート絶縁層上に所定の構造の酸化物半導体層を形成する。
【0025】
工程6では、ゲート絶縁層・金属信号線・酸化物半導体層上に所定の構造の不動態化層を形成する。
【0026】
工程7では、前記金属信号線・酸化物半導体層・不動態化層上に所定の構造のソース/ドレインを形成する。以上により、薄膜トランジスタ基板を形成する。
【0027】
このうち、前記工程6において、不動態化層を形成するのと同時に、更に所定の構造のエッチング阻止層を形成する。前記エッチング阻止層は、前記酸化物半導体層上に位置する。前記不動態化層は、前記エッチング阻止層の両側に位置する。前記不動態化層と前記エッチング阻止層は、同じ素材か、或は異なる素材によってなる。
【0028】
前記基板は、ガラス基板である。前記酸化物半導体層は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)・インジウムガリウム酸化物・酸化亜鉛・酸化アルミニウム・酸化スズの中のいずれかによって形成される。
【0029】
前記工程7において、ソース/ドレインを形成するのと同時に、更に画素電極を形成する。前記画素電極は、不動態化層上に形成されるとともに、ソース/ドレインと電気的に接続される。前記ソース/ドレインと画素電極は、いずれも透明導電性酸化物によって形成される。
【0030】
前記透明導電性酸化物は酸化インジウムスズである。
【0031】
また本発明が提供する薄膜トランジスタ基板は、基板と、前記基板上に位置するゲートと、前記基板及び前記ゲート上に位置するゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に位置する金属信号線と、前記ゲート絶縁層上に位置し且つ前記金属信号線一側に位置する酸化物半導体層と、前記ゲート絶縁層・金属信号線・酸化物半導体層上に位置する不動態化層と、前記金属信号線・酸化物半導体層・不動態化層上に位置するとともに前記金属信号線と電気的に接続されたソース/ドレインと、前記不動態化層上に位置するとともに前記ソース/ドレインと直接接続され且つ前記ソース/ドレインと同一層に位置する画素電極とからなる。前記ソース/ドレインと画素電極は、いずれも透明導電性酸化物によって形成される。
【0032】
前記基板は、ガラス基板である。
【0033】
前記酸化物半導体層は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)・インジウムガリウム酸化物・酸化亜鉛・酸化アルミニウム・酸化スズの中のいずれかによって形成される。
【0034】
更に酸化物半導体層上には、エッチング阻止層が設けられる。前記エッチング阻止層と前記不動態化層は、同時に形成されるとともに、同等の素材或は異なる素材によって作成される。
【0035】
前記ソース/ドレインと画素電極は同時に形成される。前記透明導電性酸化物は酸化インジウムスズである。
【発明の効果】
【0036】
以上の構造によってなる本発明は、以下の有益な効果を備える。即ち、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法及び前記方法によって製造された薄膜トランジスタ基板において、酸化物半導体層は金属信号線の後に形成されるとともに、ソース/ドレインが形成される前に一層のエッチング阻止層が製作され、且つ従来のソース/ドレイン作成素材の代わりに透明導電性酸化物(TCO)を使用することで、金属信号線とソース/ドレインのエッチング工程における酸化物半導体層の破損を防止して、薄膜トランジスタ基板の安定性と均一性の向上・生産性の向上が可能であり、更に酸化物半導体薄膜トランジスタ基板の大量生産の可能性を拡大することが出来る。加えて、前記エッチング阻止層と不動態化層を同一層に製作し、且つソースドレイン電極と画素電極を同一層に製作することで、製作すべき層を一層減らして、一回のフォトリソグラフィ工程(成膜・露光・現像・エッチング・剥離等の工程を含む)を減らし、これにより大幅に生産コストを削減して、生産性を高めることが可能となる。
【0037】
本発明の特徴と技術内容の詳細については、以下の詳説と図を参照されたい。尚、図はあくまで参考及び説明用であり、これにより本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
下記の図を参照しつつ本発明の具体的実施例について詳述することで、本発明の技術手法及びその他の有益な効果を詳らかにする。
【
図1】従来の薄膜トランジスタ基板の構造を示した概略図である。
【
図2】本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法のフロー図である。
【
図3】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図4】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図5】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図6】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図7】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図8】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図9】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図10】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図11】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図12】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図13】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図14】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ基板の製造方法によって薄膜トランジスタ基板を製造する工程を示した概略図である。
【
図15】本発明の実施例3における薄膜トランジスタ基板の概略図である。
【
図16】本発明の実施例4における薄膜トランジスタ基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の技術手法とその効果を詳らかにするために、以下で本発明の実施例と図を参照しつつ詳述する。
【0040】
(実施例1)
図2、及び
図3から
図8までを参照する。本発明が提供する薄膜トランジスタ基板の製造方法は、以下の工程を含む。
【0042】
基板20は透明基板であるとともに、ガラス基板或はプラスチック基板であることが望ましい。本実施例において、基板20はガラス基板である。
【0043】
工程2では、基板20上に所定の構造のゲート22を形成する。
【0044】
一回目のフォトリソグラフィ工程を通して基板20上に所定の構造のゲート22を形成する際、その具体的な形成方法は以下の通りである。まず基板20上に第一金属層を積層させてから、フォトマスク或はハーフフォトマスクを通して前記第一金属層に対する露光・現像・エッチングを行うことで所定の構造のゲート22を形成する。これにより一回目のフォトリソグラフィ工程が完了する。前記第一金属層は、一般にアルミニウム層・銅層・モリブデン層の中の一つ或はこれらの組合せである。
【0045】
工程3では、ゲート22及び基板20上にゲート絶縁層24を形成する。
【0046】
二回目のフォトリソグラフィ工程を通してゲート22及び基板20上にゲート絶縁層24を形成する。ゲート絶縁層24は、一般に酸化ケイ素・窒化ケイ素の中のいずれか一つ或はこれらの組合せによってなる。ゲート絶縁層24の形成方法は、上述したゲート22の形成方法と類似しているため、ここで重複して述べることはしない。
【0047】
工程4では、ゲート絶縁層24上に所定の構造の金属信号線26を形成する。
【0048】
三回目のフォトリソグラフィ工程を通してゲート絶縁層24上に所定の構造の金属信号線26を形成する際、その具体的な形成方法は以下の通りである。ゲート絶縁層24上に第二金属層を積層してから、フォトマスク或はハーフフォトマスクを通して前記第二金属層に対する露光・現像・エッチングを行うことで所定の構造の金属信号線26を形成する。
【0049】
前記第二金属層は、一般にアルミニウム層・銅層・モリブデン層の中のいずれか一つ或はこれらの組合せである。
【0050】
工程5では、ゲート絶縁層24上に所定の構造の酸化物半導体層28を形成する。
【0051】
四回目のフォトリソグラフィ工程を通してゲート絶縁層24上に所定の構造の酸化物半導体層28を形成する際、その形成方法は上述したゲート22或は金属信号線26の形成方法と類似しているため、ここで重複して述べることはしない。
【0052】
酸化物半導体層28は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)の半導体層・インジウムガリウム酸化物半導体層・酸化亜鉛半導体層・酸化アルミニウム半導体層・酸化スズ半導体層の中のいずれかであるとともに、酸化物半導体IGZO(イグゾー)の半導体層であることが望ましい。酸化物半導体層28は、金属信号線26一側に位置する。また、酸化物半導体層28と金属信号線26は水平方向において重ならないことが望ましい。
【0053】
酸化物半導体層28は金属信号線26の形成後に製作される。これにより、金属信号線26のエッチング工程における酸化物半導体層の破損を防止して、薄膜トランジスタ基板の安定性と均一性の向上・生産性の向上が可能になり、更に酸化物半導体薄膜トランジスタ基板の大量生産の可能性を拡大することが出来る。
【0054】
工程6では、ゲート絶縁層24・金属信号線26・酸化物半導体層28上に所定の構造の不動態化層32を形成する。
【0055】
五回目のフォトリソグラフィ工程を通してゲート絶縁層24・金属信号線26・酸化物半導体層28上に所定の構造の不動態化層32を形成する際、不動態化層32の形成方法は上述したゲート22或は金属信号線26の形成方法と類似しているため、ここで重複して述べることはしない。
【0056】
ここで特筆すべき点は、金属信号線26上に不動態化層32を形成した後、金属信号線26上の対応する不動態化層32をエッチングして、接触孔を形成することで、金属信号線26を露出させる必要があることである。これにより、不動態化層32の後に形成されるソース/ドレイン34と金属信号線26が電気的に接続される。前記エッチングの方式には、ドライエッチングを用いるか、或はウェットエッチングを用いることが出来る。
【0057】
工程7では、金属信号線26・酸化物半導体層28・不動態化層32上に所定の構造のソース/ドレイン34を形成する。以上により、薄膜トランジスタ基板を形成する。
【0058】
工程7において、ソース/ドレイン34の形成と同時に、更に画素電極36を形成する。画素電極36は不動態化層32上に形成されるとともに、ソース/ドレイン34と電気的に接続される。ソース/ドレイン34と画素電極36は、いずれも透明導電性酸化物(TCO)によって形成される。本実施例において、前記透明導電性酸化物は酸化インジウムスズであることが望ましい。
【0059】
ソース/ドレイン34と画素電極36の形成方法は、上述したゲート22或は金属信号線26の形成方法と類似しているため、ここで重複して述べることはしない。
【0060】
ここで特筆すべき点は、本発明の薄膜トランジスタ基板は、液晶ディスプレイ(LCD)・有機ELディスプレイ(OLED)・電気泳動ディスプレイ(EPD)等の平面ディスプレイ分野、及び非フレキシブル或はフレキシブル表示等の先導的な表示技術分野への応用が可能であり、且つ大中小の各種サイズの表示に応用出来ることである。
【0061】
(実施例2)
図9から
図14まで、及び
図16を参照する。図は、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法の実施例2における手順と製造工程を示している。本実施例において、工程1から5及び工程7は上述した実施例1と同等である。実施例1との違いは工程6にあり、本実施例の工程6では、不動態化層32の形成と同時に、更に所定の構造のエッチング阻止層30を形成する。エッチング阻止層30は酸化物半導体層28上に位置し、不動態化層32はエッチング阻止層30両側に位置するとともに、不動態化層32とエッチング阻止層30は同等の素材或は異なる素材によって作成される。尚、本実施例において、不動態化層32とエッチング阻止層30は、同等の素材によって作成される。
【0062】
エッチング阻止層30は、バックチャネルエッチ部分の酸化物半導体層28を保護するために用いられ、これによりソース/ドレイン34のエッチング等の工程において酸化物半導体層28が破損することを防止する。
【0063】
本実施例において、エッチング阻止層30と不動態化層32が同一層に製作されることで、製作すべき層が一層削減される。即ち、一回のフォトリソグラフィ工程(成膜・露光・現像・エッチング・剥離等の工程を含む)が削減されることになるため、大幅に生産コストを削減して、生産性を向上させることが出来る。
【0064】
(実施例3)
図15を参照する。本発明が提供する薄膜トランジスタ基板は、基板20と、ゲート22と、ゲート絶縁層24と、金属信号線26と、酸化物半導体層28と、不動態化層32と、ソース/ドレイン34と、画素電極36とからなる。
【0065】
基板20は透明基板であるとともに、ガラス基板或はプラスチック基板であることが望ましい、尚、本実施例において、基板20はガラス基板である。
【0066】
ゲート22は基板20上に位置する。基板20上にゲート22が形成される方法は以下の通りである。まず基板20上に第一金属層を積層させてから、フォトマスク或はハーフフォトマスクを通して前記第一金属層に対する露光・現像・エッチングを行うことで、所定の構造のゲート22を形成する。前記第一金属層は、一般にアルミニウム層・銅層・モリブデン層の中のいずれか一つ或はこれらの組合せである。
【0067】
ゲート絶縁層24は基板20及びゲート22上に位置する。ゲート絶縁層24は、一般に酸化ケイ素・窒化ケイ素の中のいずれか一つ或はこれらの組合せによってなる。
【0068】
金属信号線26はゲート絶縁層24上に位置する。金属信号線26の製作方法は以下の通りである。まずゲート絶縁層24上に第二金属層を積層してから、フォトマスク或はハーフフォトマスクを通して前記第二金属層に対する露光・現像・エッチングを行うことで、所定の構造の金属信号線26を形成する。前記第二金属層は、一般にアルミニウム層・銅層・モリブデン層の中のいずれか一つ或はこれらの組合せである。
【0069】
金属信号線26は、酸化物半導体層28の形成の前に製作されることにより、金属信号線26のエッチング工程における酸化物半導体層28の破損を防止することが出来る。これにより、薄膜トランジスタ基板の安定性と均一性の向上・生産性の向上が可能となり、更に酸化物半導体薄膜トランジスタ基板の大量生産の可能性を拡大することが出来る。
【0070】
酸化物半導体層28は、ゲート絶縁層24上に位置し且つ金属信号線26一側に位置する。酸化物半導体層28は、酸化物半導体IGZO(イグゾー)の半導体層である。また、酸化物半導体層28と金属信号線26は水平方向において重ならないことが望ましい。
【0071】
不動態化層32は、ゲート絶縁層24・金属信号線26・酸化物半導体層28上に位置する。
【0072】
ソース/ドレイン34は、金属信号線26・酸化物半導体層28・不動態化層32上に位置する。ソース/ドレイン34と金属信号線26は、電気的に接続される。
【0073】
画素電極36は、不動態化層32上に位置するとともにソース/ドレイン34と直接接続され、且つソース/ドレイン34と同一層に位置する。また、ソース/ドレイン34と画素電極36は同時に形成される。
【0074】
ソース/ドレイン34と画素電極36は、いずれも透明導電性酸化物(TCO)によって作成される。本実施例において、前記透明導電性酸化物(TCO)は、酸化インジウムスズであることが可能である。
【0075】
(実施例4)
図16を参照する。図は、本発明の薄膜トランジスタ基板の実施例4の構造を示している。本実施例において、前記薄膜トランジスタ基板には、更にエッチング阻止層30が設けられる。エッチング阻止層30は酸化物半導体層28上に位置する。エッチング阻止層30はバックチャネルエッチ部分の酸化物半導体層28を保護するために用いられ、これによりソース/ドレイン34のエッチング等の工程において酸化物半導体層28が破損することを防止する。
【0076】
不動態化層32はエッチング阻止層30両側に位置する。不動態化層32とエッチング阻止層30は、同一層に位置し、且つ同時に作成される。不動態化層32とエッチング阻止層30は、同等の素材によって作成されるか、或は異なる素材によって作成されることが可能である。尚、本実施例において、不動態化層32と前記エッチング阻止層30は、同等の素材によって作成される。
【0077】
本実施例において、エッチング阻止層30と不動態化層32が同一層に製作されることで、製作すべき層が一層削減される。即ち、一回のフォトリソグラフィ工程(成膜・露光・現像・エッチング・剥離等の工程を含む)が削減されることになるため、大幅に生産コストを削減して、生産性を向上させることが出来る。
【0078】
上述を総じて言えば、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造方法及び前記方法によって製造された薄膜トランジスタ基板において、酸化物半導体層は金属信号線の後に形成されるとともに、ソース/ドレインが形成される前に一層のエッチング阻止層が製作され、且つ従来のソース/ドレイン作成素材の代わりに透明導電性酸化物(TCO)を使用することで、金属信号線とソース/ドレインのエッチング工程における酸化物半導体層の破損を防止して、薄膜トランジスタ基板の安定性と均一性の向上・生産性の向上が可能であり、更に酸化物半導体薄膜トランジスタ基板の大量生産の可能性を拡大することが出来る。加えて、前記エッチング阻止層と不動態化層を同一層に製作し、且つソースドレイン電極と画素電極を同一層に製作することで、製作すべき層を一層減らして、一回のフォトリソグラフィ工程(成膜・露光・現像・エッチング・剥離等の工程を含む)を減らし、これにより大幅に生産コストを削減して、生産性を高めることが可能となる。
【0079】
以上の記述により、関連領域の一般的な技術員は、本発明の技術手法と構想に基づいて各種の変更と変形を加えることが可能であり、これらの変更と変形は、いずれも本発明の権利要求の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0080】
(従来技術)
100 酸化物半導体層
200 ソース/ドレイン(Source/Drain)金属電極
300 エッチング阻止層(ESL)
(本発明)
1 工程1
2 工程2
3 工程3
4 工程4
5 工程5
6 工程6
7 工程7
20 基板
22 ゲート
24 ゲート絶縁層
26 金属信号線
28 酸化物半導体層
30 エッチング阻止層
32 不動態化層
34 ソース/ドレイン
36 画素電極