特許第6261780号(P6261780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261780
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ケーブル接続部品
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6592 20110101AFI20180104BHJP
   H01R 4/24 20180101ALI20180104BHJP
   H01R 43/01 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01R13/6592
   H01R4/24
   H01R43/01 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-575389(P2016-575389)
(86)(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公表番号】特表2017-523569(P2017-523569A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015064417
(87)【国際公開番号】WO2015197773
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】102014109040.3
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コアト シュターケ
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−531454(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010017265(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011108123(DE,A1)
【文献】 特開平8−250230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6592
H01R 4/24
H01R 43/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドされた多芯ケーブル(2)を電気的に接続するケーブル接続部品であって、
雌ねじ山(3)を有するユニオンナット(4)と、絶縁材料から成り、複数の切れ口(5)を有する、前記ケーブル(2)の心線(21)を個別化するためのスプライス部分(6)と、前記ケーブル(2)のシールド(22)に接触するためのシールドエレメント(7)とを有しており、
前記スプライス部分(6)内に導入される心線端部の心線絶縁体は、前記ユニオンナット(4)を、前記雌ねじ山(3)に対応する雄ねじ山(8)が設けられた導電性の接続体(9)上にねじ嵌めるときに、前記スプライス部分(6)に設けられた前記切れ口(5)に入り込む、前記接続体(9)内に配置された圧接コネクタ(10)によって分離され、前記心線(21)の導体が接触させられる、ケーブル接続部品において、
前記スプライス部分(6)は、ケーブル受入れ部分(11)と心線ガイド部分(12)とを有しており、前記ケーブル受入れ部分(11)は、前記心線ガイド部分(12)に面した側に複数の係止アーム(13)を有しており、前記心線ガイド部分(12)は、前記ケーブル受入れ部分(11)に面した側に、前記係止アーム(13)に対応する、内側に突出した複数の係止フック(14)を有しており、
前記シールドエレメント(7)は、リング状の中央区分(15)と、該中央区分(15)から前記心線ガイド部分(12)に面する側の方向で延在する複数の内側のばねアーム(16)と、前記中央区分(15)から前記心線ガイド部分(12)とは反対側の方向で延在する複数の外側のばねアーム(17)とを有しており、
前記内側のばねアーム(16)が、前記ケーブル接続部品(1)の長手方向軸線の方向で内方に向かって曲げられて、これにより、前記内側のばねアーム(16)の端部が、接続されたケーブル(2)のシールド(22)に接触しており、
前記外側のばねアーム(17)が、前記ケーブル接続部品(1)の長手方向軸線から外方に向かって曲げられていて、これにより前記外側のばねアーム(17)が、前記ケーブル受入れ部分(11)と前記心線ガイド部分(12)との間を通って延在して、前記外側のばねアーム(17)の端部(18)が前記スプライス部分(6)から突出することを特徴とする、ケーブル接続部品。
【請求項2】
前記係止アーム(13)は、前記ケーブル接続部品(1)の長手方向軸線に対して同心に配置されていて、前記ケーブル受入れ部分(11)と前記心線ガイド部分(12)との組み付け状態で、前記心線ガイド部分(12)の、前記ケーブル受入れ部分(11)に面したスリーブ状の領域(19)が、前記係止アーム(13)を取り囲んでいる、請求項1記載のケーブル接続部品。
【請求項3】
前記シールドエレメント(7)の前記リング状の中央区分(15)は、前記ケーブル受入れ部分(11)の前記係止アーム(13)によって取り囲まれていて、前記シールドエレメント(7)の前記外側のばねアーム(17)は、前記係止アーム(13)の間の空間(20)を通って延在している、請求項1又は2記載のケーブル接続部品。
【請求項4】
前記内側のばねアーム(16)と前記外側のばねアーム(17)とは、前記中央区分(15)の全周にわたって均一に分配されて配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のケーブル接続部品。
【請求項5】
前記内側のばねアーム(16)の幅は、前記中央区分(15)から前記内側のばねアームの端部に向かって減少している、請求項1から4までのいずれか1項記載のケーブル接続部品。
【請求項6】
前記外側のばねアーム(17)の幅は、前記中央区分(15)から前記外側のばねアームの端部(18)に向かって拡大していて、前記端部(18)は好適にはV字形又はU字形に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のケーブル接続部品。
【請求項7】
シールドされた多芯ケーブル(2)を電気機器に導電接続するためのケーブル接続装置であって、機器接続部品(27)と、請求項1から6までのいずれか1項記載のケーブル接続部品(1)とを有しており、前記機器接続部品(27)は、雄ねじ山(8)を備えた金属製の接続体(9)と、該接続体(9)に配置された圧接コネクタ(10)と、接続エレメント(28)とを有しており、前記接続エレメント(28)と前記圧接コネクタ(10)とは互いに導電接続されている、ケーブル接続装置。
【請求項8】
シールドされた2つの多芯ケーブルを導電接続するためのケーブル結合装置であって、ケーブル結合部品と、請求項1から6までのいずれか1項記載のケーブル接続部品(1)とを有しており、前記ケーブル結合部品は、雄ねじ山を備えた金属製の接続体と、該接続体に配置された圧接コネクタと、接続エレメントとを有しており、前記接続エレメントと前記圧接コネクタとは互いに導電接続されている、ケーブル結合装置。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項記載のケーブル接続部品(1)のスプライス部分(6)にシールドエレメント(7)を組み付ける方法であって、以下のステップ、即ち:
前記ケーブル受入れ部分(11)の前記係止アーム(13)を拡開し、前記シールドエレメント(7)を前記ケーブル受入れ部分(11)の前記係止アーム(13)の間に導入し、前記シールドエレメント(7)の前記外側のばねアーム(17)は、前記係止アーム(13)の間の前記空間(20)を通って延在しているステップと、
前記心線ガイド部分(12)を前記ケーブル受入れ部分(11)に差し込み、これにより前記ケーブル受入れ部分(11)の前記係止アーム(13)を、前記心線ガイド部分(12)の前記係止フック(14)に係止させるステップと、を有している方法。
【請求項10】
前記係止アーム(13)を拡開するために、前記心線ガイド部分(12)とは反対側から、前記ケーブル受入れ部分(11)内にピンを差し込む、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドされた多芯ケーブルを電気的に接続するケーブル接続部品であって、雌ねじ山を有するユニオンナットと、絶縁材料から成り、複数の切れ口を有する、前記ケーブルの心線を個別化するためのスプライス部分と、前記ケーブルのシールドに接触するためのシールドエレメントとを有しており、前記スプライス部分内に導入される心線端部の心線絶縁体は、前記ユニオンナットを、前記雌ねじ山に対応する雄ねじ山が設けられた導電性の接続体上にねじ嵌めるときに、前記スプライス部分に設けられた前記切れ口に入り込む、前記接続体内に配置された圧接コネクタによって分離され、前記心線の導体が接触させられる、ケーブル接続部品に関する。
【0002】
本発明はさらに、本発明によるケーブル接続部品と、機器接続部品若しくはケーブル結合部品とを備えたケーブル接続装置並びにケーブル結合装置、並びに本発明によるケーブル接続部品のスプライス部分にシールドエレメントを組み付ける方法に関する。
【0003】
独国特許第19951455号明細書及び独国特許出願公開第102011108123号明細書によりそれぞれ、ケーブル接続装置の部分としてのケーブル接続部品が公知であり、このケーブル接続部品により、個々の心線から心線絶縁体を事前に除去する必要なく、多芯ケーブルの心線を簡単に、機器接続部品又はケーブル結合部品の接続エレメントに接続することができる。例えば独国特許第19951455号明細書の図6及び独国特許出願公開第102011108123号明細書の図1に示されたケーブル接続部品では、ケーブルの個々の心線がまず、前記明細書では心線受入れ及び案内部分と称されるスプライス部分内に挿入される。次に、心線終端部が折り曲げられ、スプライス部分における切欠内に導入される。この切欠は、半径方向で向きを変える際に心線の保持ロック部として用いられる。次に、切欠から突出している心線端部が切り離され、これによりユニオンナットを、接続体の対応する雄ねじ山にねじって嵌めることができる。接続体へユニオンナットをねじり嵌めるときに、スプライス部分が接続体内へと押し込まれ、この際に、接続体に配置されている圧接コネクタが、スプライス部分に設けられている切れ口内に侵入し、ここで、圧接コネクタは、切れ口と交差している個々の心線の心線絶縁体を貫通して、個々の導体に接触する。
【0004】
基本的に独国特許第19836622号明細書により既知の、このように形成されたケーブル接続又は接合装置は、実際には、15年以上にわたって有効であることが実証されていて、殊に、当出願人によって、商品名QUICKON(R)として、種々の実施形態において広範に販売されている(Phoenix Contact GmbH&Co.KG社のパンフレット「PLUSCON 2011」第92頁及び第93頁を参照)。
【0005】
産業上の処理及び測定技術においてはしばしば、高度な外乱耐性が求められる。外乱耐性は、測定、制御、調節技術において、産業設備の可用性を決定する要素である。この場合、外乱の少ないシステムを形成する際に、ケーブルへの容量的及び誘導的電磁入力を阻止するために、シールドされたケーブルがますます使用されている。この場合、シールドされたケーブルの一方の端部は、しばしば差し込みコネクタ若しくはケーブル接続装置を介して電気機器、例えば、センサ・アクチュエータボックスに接続されていて、他方の端部は、電源コネクタに、例えば直列端子を介して接続されている。ケーブルのシールドの接触は、機器側では主として、シールドを電気機器の金属製ハウジングに接続している差し込みコネクタ若しくは接続体の金属製スリーブを介して行われる。
【0006】
実地では、ケーブルのシールドと、シールドスリーブとして機能する差し込みコネクタの金属製のコネクタスリーブとの間に導電接続を形成するといった、様々な可能性が公知である。この場合、シールドを直接に、又は付加的なシールドエレメントを介して、金属製のコネクタスリーブに接続することができる。実地では、しばしば組紐シールドとして形成されているシールドをコネクタスリーブに直接ろう接する差し込みコネクタが公知である。しかしながら、コネクタスリーブとシールドとのこのような形式の接続には組み付けの手間が比較的かかり、さらにはコネクタスリーブの質量が比較的高いことにより、ろう接プロセスは比較的困難である。
【0007】
シールドをコネクタスリーブに直接接続する選択的な構成では、ケーブルの自由端部のケーブル被覆の一部を除去し、シールドを隣接するケーブル被覆を介して押し戻してから、このように準備したケーブルをコネクタスリーブ内に導入する。次いで、シールドがケーブル被覆を介して押し戻された領域で、コネクタスリーブを変形させて、シールドをケーブル被覆とコネクタスリーブとの間に挟み込む。ケーブルのシールドと金属製のコネクタスリーブとのこのような直接接続は、前述のケーブル接続装置若しくはケーブル接続部品において簡単には可能ではない。何故ならば、ケーブルは、ケーブル接続部品の内側で、絶縁材料から成るスプライス部分によって取り囲まれているからである。
【0008】
従って独国実用新案第202008004892号明細書により、底面と、屈曲されたカラーとを有したポット状のシールド引き渡しエレメントの使用が提案されており、このエレメントは、スプライス部分の、接続したいケーブルに面した側で差し込まれている。ケーブルのシールドを機器接続部分の金属製のコネクタスリーブに電気的に接続するために、ケーブルの露出されたシールドが、シールドエレメントのカラーを越えて外方へと案内され、これによりシールドは、ユニオンナットを、コネクタスリーブの雄ねじ山にねじ込む際にコネクタスリーブに導電接触する。この場合の欠点は、シールドのシールド作用が確実に引き続き行われることを保証するために、ケーブル心線の接続前に、シールド引き渡しエレメントのカラーを越えて手でシールドを配置しなければならないことにある。
【0009】
独国特許第102010017265号明細書により、冒頭で記載したケーブル接続部品が公知である。このケーブル接続部品では、この明細書では案内手段と記載されるスプライス部分の内側にシールドエレメントが配置されている。シールドエレメントは漏斗状のキャッチ手段として構成されていて、このキャッチ手段は、1つの環状基部と、スプライス部分若しくはケーブル接続部品の長手方向軸線の方向で内方に向かって曲げられた4つのばね要素とを有している。さらに、ばね要素のうちの1つは、ケーブル接続部品の長手方向で延在する導体要素に接続されていて、導体要素も、接続したいケーブルの心線と同様にスプライス部分内に導入される。ユニオンナットを接続体の雄ねじ山にねじ嵌める際に、導体要素はケーブルの心線と同様に、接続体に配置された圧接コネクタによって接触される。従って独国特許第102010017265号明細書により公知のケーブル接続装置では、ケーブルのシールドの導電接続は、シールドエレメントと導体要素とを介して、接続体内に配置されたコンタクトのうちの1つに対してのみ行われる。
【0010】
従って、本発明の課題は、シールドされた多芯ケーブルの簡単な接続を可能とするケーブル接続部品若しくはケーブル接続装置並びにケーブル結合装置を提供することである。この場合、ケーブルのシールドの特別な準備はできるだけ省かれるのが望ましい。
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有する冒頭で述べたケーブル接続部品において、前記スプライス部分が、ケーブル受入れ部分と心線ガイド部分とを有しており、前記ケーブル受入れ部分は、前記心線ガイド部分に面した側に複数の係止アームを有しており、前記心線ガイド部分は、前記ケーブル受入れ部分に面した側に、前記係止アームに対応する、内側に突出した複数の係止フックを有していることにより解決される。さらに、前記シールドエレメントは、リング状の中央区分と、該中央区分から前記心線ガイド部分に面する側の方向で延在する複数の内側のばねアームと、前記中央区分から前記心線ガイド部分とは反対側の方向で延在する複数の外側のばねアームとを有している。この場合、前記内側のばねアームは、前記ケーブル接続部品の長手方向軸線の方向で内方に向かって曲げられて、これにより、前記内側のばねアームの端部が、接続されたケーブルのシールドに接触しており、前記外側のばねアームは、前記ケーブル接続部品の長手方向軸線から外方に向かって曲げられていて、これにより前記外側のばねアームが、前記ケーブル受入れ部分と前記心線ガイド部分との間を通って延在して、前記外側のばねアームの端部が前記スプライス部分から突出する。
【0012】
独国特許第102010017265号明細書により公知のケーブル接続部品の場合と同様に、本発明によるケーブル接続部品でも、内側のばねアームは、ケーブルのシールドの電気接触のために働く。しかしながら本発明によるケーブル接続部品では、さらなる導電は、個別の導体要素を介して機器接続部品の個々のコンタクトに対して行われるのではなく、外側のばねアームを介して、シールドスリーブとして機能する、機器接続部品若しくはケーブル結合装置の金属製の接続体に対して行われる。
【0013】
スプライス部分が2つの部分から構成されていることにより、即ちケーブル受入れ部分と心線ガイド部分とから成っていることにより簡単に、スプライス部分の内部に配置されたケーブルのシールドは、シールドエレメントを介して、スプライス部分の外周に接触することができる。シールドエレメントが複数の外側のばねアームを有していることにより、シールドエレメントの全周にわたって分配された複数の点で金属製の接続体へのシールドの接続が行われ、このことは良好なシールド接続のために望ましいことである。この場合、内側のばねアームのばね特性に基づき、ケーブル接続部品に若しくはスプライス部分のケーブル受入れ部分にケーブルを導入する際に、ケーブルのシールドの自動的な接触が行われるので、シールドを特別に付加的に準備する必要はない。むしろ、シールドされたケーブルの接続は、先行技術により公知のケーブル接続部品へのシールドされていないケーブルの接続の取り付けと同様に行われる。
【0014】
ケーブル接続部品の好適な構成によれば、前記ケーブル受入れ部分の前記係止アームは、前記ケーブル接続部品の長手方向軸線に対して同心に配置されていて、前記ケーブル受入れ部分と前記心線ガイド部分との組み付け状態で、前記心線ガイド部分の、前記ケーブル受入れ部分に面したスリーブ状の領域が前記係止アームを取り囲んでいる。従って、心線ガイド部分のスリーブ状の領域は、ケーブル受入れ部分との結合のために簡単に係止アームに差し込まれ、この際、係止アームは、スリーブ状の領域の内側に配置された対応する係止フックに係止され、これによりケーブル受入れ部分と心線ガイド部分とがより確実に互いに結合される。心線ガイド部分のスリーブ状の領域が、ケーブル受入れ部分の係止アームを組み付け状態で取り囲んでいることにより、ケーブル受入れ部分と心線ガイド部分との間の結合領域は機械的に保護され、さらにはケーブル受入れ部分の係止アームの内側で延在するケーブルの心線のシールが改善される。
【0015】
上述したように、スプライス部分が2つの部分から形成されていることにより、シールドエレメントを介して、接続したいケーブルの、スプライス部分の内部に配置されたシールドに、スプライス部分の外側で、即ち金属製の接続体を介して接触することができる。このために、シールドエレメントはケーブル受入れ部分と心線ガイド部分との間に配置されており、本発明の好適な態様によれば、内側のばねアームを外側のばねアームに結合しているシールドエレメントのリング状の中央区分は、ケーブル受入れ部分の係止アームによって取り囲まれ、即ちリング状の中央区分は、ケーブル受入れ部分の内側に配置されている。この場合、シールドエレメントの外側のばねアームは、ケーブル受入れ部分の係止アームの間の個々の空間を通って延在している。これにより、リング状の中央区分及びケーブル受入れ部分の係止アームは、ケーブル受入れ部分と心線ガイド部分とを係止する際に、ケーブル受入れ部分の係止アームによって損傷から保護される。好適にはこのために、シールドエレメントの内側のばねアームは、ケーブル受入れ部分の係止アームに対応して配置されていて、即ち、内側のばねアームと係止アームとは、組み付け状態で同じ角度位置を有している。
【0016】
本発明によるケーブル接続部品の別の好適な構成によれば、さらに、内側のばねアームと外側のばねアームとは、中央区分の全周にわたって均一に分配配置されている。これにより、シールドの良好な電気接続が得られるだけでなく、シールドエレメントの簡単な製造も可能であって、このシールドエレメントは好適には、打ち抜き・曲げ加工品である。上述したように、内側のばねエレメントが係止アームに対応して配置されている場合には、外側のばねアームは係止アームの間の空間を通って延在するので、外側のばねアームは内側のばねアームに対してずらされて配置されている。
【0017】
上述したケーブル接続部品の他に、本発明はさらに、シールドされた多芯ケーブルを電気機器に導電接続するケーブル接続装置にも関する。電気機器とは例えばセンサ・アクチュエータボックスであってよい。しかしながら、これに限定されることなく、「電気機器」の概念は極めて一般的に理解することができ、即ち、「電気機器」の概念には、その他のこのような電気的な構成部分、電気的な設備、電気的な装置が含まれる。
【0018】
このような形式のケーブル接続装置は、上記ケーブル接続部品の他に、機器接続部品も有しており、該機器接続部品は、ユニオンナットの雌ねじ山に対応する雄ねじ山を備えた金属製の接続体を有している。さらに接続体には複数の圧接コネクタと、個々の圧接コネクタに接続された接続エレメントとが設けられており、圧接コネクタはケーブル接続部品に面した側に配置されていて、接続エレメントはケーブル接続部品とは反対の側に配置されている。しばしばこれは、一方の側が圧接コネクタとして形成され、他方の側は接続エレメントとして形成されている一体形成された金属部品である。好適には接続エレメントは、ピンコンタクト又はソケットコンタクトとして形成されていてよい。
【0019】
さらに本発明は、シールドされた2つの多芯ケーブルを導電接続するケーブル結合装置にも関する。しばしばケーブルコネクタとも呼ばれるこのような形式のケーブル結合装置は、本発明によるケーブル接続部品の他に、さらに1つのケーブル結合部品を有している。このケーブル結合部品は、ユニオンナットの雌ねじ山に対応する雄ねじ山を有した接続体と、該接続体内に配置された複数の圧接コネクタと、接続エレメントとを有している。機器接続部品の場合と同様に、ケーブル結合部品でも、圧接コネクタはケーブル接続部品に面した側に配置されていて、接続エレメントは反対側に配置されており、圧接コネクタと接続エレメントとはやはり互いに導電接続されている。第2のケーブルの心線の接続のために働くケーブル結合部品の接続エレメントのために、基本的に、当業者に公知の接続技術、例えばねじ接続又はばね力クランプ接続を使用することができる。しかしながら好適には、ケーブル結合部品の接続エレメントも圧接コネクタとして形成されているので、ケーブル結合部品の接続体には、両側で圧接コネクタとして形成されている複数の金属部分が配置されている。この場合、接続体は第2の雄ねじ山を有しており、この雄ねじ山には、第2のケーブル接続部品のユニオンナットがねじ込まれ、ひいてはスプライス部分を接続体内に押し込むことができる。
【0020】
スプライス部分とシールドエレメントとの組み付け、若しくはスプライス部分におけるシールドエレメントの組み付けは本発明によれば、請求項9の特徴に記載されたように行われる。この場合、この方法は以下の主なステップを有している。
【0021】
ケーブル受入れ部分の係止アームを拡開し、シールドエレメントを前記ケーブル受入れ部分の前記係止アームの間に導入し、この場合、シールドエレメントの外側のばねアームは、前記係止アームの間の空間を通って延在しているステップと、
心線ガイド部分を前記ケーブル受入れ部分に差し込み、これにより前記ケーブル受入れ部分の前記係止アームを、前記心線ガイド部分の係止フックに係止させるステップ。
【0022】
この場合、本発明による方法では、ケーブル受入れ部分の係止アームの拡開は好適には、心線ガイド部分とは反対の側からケーブル受入れ部分内に差し込まれるピンによって行われる。ケーブル受入れ部分の係止アームの間にシールドエレメントが導入されると、ケーブル受入れ部分からピンが引き出され、これにより係止アームがばね的に戻り、これによりシールドエレメントはその最終位置において半径方向で固定される。心線ガイド部分をケーブル受入れ部分に差し込むことにより、心線ガイド部分とケーブル受入れ部分との間の係止結合が行われ、かつ、外側のばねアームの自由端部が、ケーブル受入れ部分に面した心線ガイド部分の端面と、ケーブル受入れ部分に相応に形成された当接フランジとの間を通って外方に、即ちスプライス部分から外方に延在するので、シールドエレメントの軸方向の固定も行われる。
【0023】
詳細には、本発明によるケーブル接続部品並びにケーブル接続装置並びにケーブル結合装置を構成し、改良する多数の可能性がある。このためには、個々の請求項、並びに、図面につき好適な実施形態を示した以下の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ケーブル接続部品を分解して示す斜視図である。
図2】接続されたケーブルを備えたケーブル接続部品を部分的に断面して示した図である。
図3】組み付けられたシールドエレメントを備えた図2のケーブル接続部品のスプライス部分を示す縦断面図である。
図4】分離されたケーブル受入れ部分を示す斜視図である。
図5】分離された心線ガイド部分を示す斜視図である。
図6】シールドエレメントを示す斜視図である。
図7】ケーブル接続部品と機器接続部品とを有したケーブル接続装置を、接続されたケーブルと共に示す縦断面図である。
【0025】
図1には、図2及び図7に示したシールドされた多芯ケーブル2を接続するための本発明によるケーブル接続部品1が示されている。ケーブル2は複数の心線21と、全ての心線21をまとめて取り囲むシールド22と、このシールド22を取り囲むケーブルシース23とを有している。ケーブル接続部品1は特に、雌ねじ山3を有するユニオンナット4と、絶縁材料から成る、複数の切れ口5を有するスプライス部分6と、シールドエレメント7とを有している。雌ねじ山3を有するユニオンナット4が、対応する雄ねじ山8を有する金属製の接続体9にねじ込まれると、スプライス部分6は円筒状の接続体9内に押し込まれ、この際に、接続体9に配置された圧接コネクタ10が、スプライス部分6に設けられている切れ口5内に入り込み、圧接コネクタ10は、切れ口5と交差している個々の心線21の心線絶縁体を貫通して、個々の心線21に接触する。
【0026】
図1の分解図から判るように、図3に改めて個別に示されているスプライス部分6はケーブル受入れ部分11と、このケーブル受入れ部分11に掛止可能なスリーブ状の心線ガイド部分12とから成っている。 この場合、ケーブル受入れ部分11は複数のばね弾性的な係止アーム13を有していて、心線ガイド部分12は、内側に向いた、即ちこの心線ガイド部分12の長手方向軸線の方向に向いた、係止アーム13に対応する係止フック14を有している。
【0027】
図1に示され、かつ図6に改めて個別に示されたシールドエレメント7は、ほぼリング状の中央区分15と、この中央区分15から心線ガイド部分12に面する側の方向で延在する複数の内側のばねアーム16と、前記中央区分15から心線ガイド部分12とは反対側の方向で延在する複数の外側のばねアーム17と、から成っている。この場合、特に図2から、内側のばねアーム16が、ケーブル接続部品1の長手方向軸線の方向で内方に向かって曲げられて、これにより、内側のばねアームの端部が、接続されたケーブル2のシールド22に接触していることが判る。これとは異なり、外側のばねアーム17は、リング状の中央区分15から外方に向かって曲げられていて、即ち、ケーブル接続部品1の長手方向軸線から離れるように曲げられている。スプライス部分6の組み付け状態では、外側のばねアーム17が、ケーブル受入れ部分11と心線ガイド部分12との間を通って延在して、外側のばねアーム17の端部18が外方に向かってスプライス部分6から突出する。
【0028】
図2及び図3から判るように、ケーブル接続部品1の長手方向軸線に対して同心に配置された係止アーム13は、ケーブル受入れ部分11と心線ガイド部分12との組み付け状態で、心線ガイド部分12の、ケーブル受入れ部分11に面したスリーブ状の領域19によって取り囲まれている。心線ガイド部分12のスリーブ状の領域19がケーブル受入れ部分11の係止アーム13を取り囲んでいることにより、スプライス部分6を接続体9内に差し込む際に、ケーブル受入れ部分11と心線ガイド部分12との間の係止接続が意図に反して外れることが回避されている。さらには、ケーブル受入れ部分11の係止アーム13の内側で延在するケーブル2の心線21の確実なシールも行われる。
【0029】
図3にはスプライス部分6が組み付け状態で示されており、シールドエレメント7のリング状の中央区分15がケーブル受入れ部分11の内側に配置されていて、即ち係止アーム13によって取り囲まれている。シールドエレメント7の外側のばねアーム17は、この場合、個々の係止アーム13の間の空間20を通って延在している。この場合、内側のばねアーム16及び外側のばねアーム17が、中央区分15の周囲に沿って均等に分配配置されているが、内側のばねアーム16は外側のばねアーム17に対して、内側のばねアーム16が係止アーム13と同じ角度位置を有し、これによりそれぞれ1つの内側のばねアーム16が対応する1つの係止アーム13によって覆われるように、ずらされて配置されていることが判る。
【0030】
さらに、図6に示したシールドエレメント7の拡大図により、内側のばねアーム16の幅は、中央区分15から端部に向かって減少していて、その端部は、ケーブル2のシールド22に接触し易くするために、外方に向かって曲げられていることが判る。内側のばねアーム16の自由端部により形成された開口は、シールド22の外径よりもやや小さい直径を有しているので、シールドエレメント7を通してケーブル2を挿入する際に内側のばねアーム16は幾分、変位させられる。これにより、内側のばねアーム16の端部によるシールド22の確実かつ良好な電気的接触が保証される。
【0031】
内側のばねアーム16の幅が端部に向かって減じられているのに対して、外側のばねアーム17の幅は、中央区分15から外側のばねアーム17の端部18に向かって拡大しており、端部18は図示した実施例では、ほぼV字形に拡開している。これにより、スプライス部分6から外方に向かって突出する、外側のばねアーム17の端部18は、接続体9の内周にわたって分配された複数の点で金属製の接続体9の内周面に接触する。同時に、外側のばねアーム17の端部18の分岐により、端部18の弾性は高められ、このことも、外側のばねアーム17の端部18と金属製の接続体9の内面との間の電気的接続に対して良好に作用する。
【0032】
図1から判るように、ケーブル接続部品1はさらに、リング状のシール部材24を有していて、このシール部材24は、ケーブル受入れ部分11にリング状に形成された複数の薄片25と共に、張力軽減及びシール領域を形成している。薄片25はこの場合、ユニオンナット4がねじ込まれる際に、ユニオンナット4の内側に設けられた傾斜部と、PGねじの形式で協働するので、ユニオンナット4が接続体9に被せ嵌められる際に、薄片25はシール部材24に押し付けられ、これにより、シール作用が得られ、同時に、導入されるケーブル2の張力も軽減される。
【0033】
図7に示したケーブル接続装置26は、ケーブル接続部品1と機器接続部品27とから成っている。機器接続部品27は、雄ねじ山8を有した金属製の接続体9と、接続すべき心線21の数に相当する数の圧接コネクタ10と、圧接コネクタ10に導電接続された接続エレメント28とを有している。この場合、接続エレメント28はピンコンタクトとして形成されていて、圧接コネクタ10にそれぞれろう付け又は溶接されている。図7に示したケーブル接続装置26の実施形態では、機器接続部品27は差し込みコネクタとして形成されている。接続体9は、ケーブル接続部品1とは反対側に第2の雄ねじ山29を有している。この雄ねじ山29は回転可能であって、従って対応する接続ソケットにねじ込むことができる。
【0034】
スプライス部分6をシールドエレメント7に組み付けるために、まずは、ケーブル受入れ部分11の係止アーム13が拡開され、これによりシールドエレメント7の中央区分15を係止アーム13の間に挿入することができる。この場合、外側のばねアーム17は、係止アーム13の間の空間20を通って延在し、外側のばねアーム17の端部18はケーブル受入れ部分11から側方に突出する。シールドエレメント7が完全に、ケーブル受入れ部分11の係止アーム13の間に挿入され、係止アーム13の拡開が戻されると、中央区分15は係止アーム13の間にしっかりと挟まれ、これによりシールドエレメント7は半径方向でその位置を固定される。次いで、心線ガイド部分12の、スリーブ状の領域19を、ケーブル受入れ部分11に被せ嵌め、この際に係止フック14が係止アーム13に係止する。同時に、ケーブル受入れ部分11から側方に突出する、外側のばねアーム17の区分が、ケーブル受入れ部分11に面した心線ガイド部分12の端面によって、ケーブル受入れ部分11によって形成された当接フランジ30へと押し付けられ、これによりシールドエレメント7は軸方向でその位置を固定される。
【0035】
シールドされた多芯ケーブル2を導電接続するためには、まず、ケーブル2がケーブル接続部品1内に導入される。この際に、ケーブル2の端部は、ユニオンナット4に設けられた後方の開口を通されて、個々の心線端部が、ユニオンナット4とは反対側の端面側で、スプライス部分6若しくは心線ガイド部分12から突出するまでスプライス部分6内に押し込まれる。次いで、個々の心線端部は外方に向かって約90°曲げられ、心線ガイド部分12に形成された、心線端部用の保持ロック部として機能する切欠31内へ導入される(図2参照)。この場合、ケーブル2をスプライス部分6若しくはケーブル受入れ部分11内に導入する際に、ケーブル2のシールド22は自動的に、内側のばねアーム16の端部によって接触されるので、ケーブル2のシールド22への接触には付加的なステップは必要ない。
【0036】
金属製の接続体9の雄ねじ山8へユニオンナット4をねじり嵌める際に、スプライス部分6が接続体9内へと押し込まれ、この際に、接続体9に配置されている圧接コネクタ10が、心線ガイド部分12に形成された端面側で開かれた切れ口5内に侵入し、これにより、切れ口5と交差している、外方に曲げられた心線端部の、圧接コネクタ10による確実な接触が保証される。同時に、外側のばねアーム17の端部18は、金属製の接続体9の内周にばね弾性的に接触し、これによりシールド22は、シールドエレメント7を介して金属製の接続体9に確実に電気的に接続される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7