(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タグは、前記タグ側判定部での判定結果に応じて、前記第1要求信号に対応する第1タイミングと前記第2要求信号に対応する第2タイミングとのうちいずれかの送信タイミングで、前記返信信号の送信を行う、請求項1に記載の通信システム。
前記リーダー部は、前記リーダー側受信部において受信した前記返信信号の受信タイミングに基づいて、前記タグの存在位置を判定する、請求項1に記載の通信システム。
前記タグ側送信部は、前記第1要求信号に対応する第1ID情報と前記第2要求信号に対応する第2ID情報とのうちいずれか一方を前記返信信号として送信する、請求項1〜3に記載の通信システム。
前記タグは、前記タグ側判定部において室内に存在すると判定した一方、前記リーダー部からの検知情報が前記第2検知情報でなく前記第1検知情報であった場合に、前記タグ側送信部による信号送信を行わない、請求項6に記載の通信システム。
前記タグ側判定部は、前記第1要求信号と前記第2要求信号とのうち信号受信強度の高い方の送信部側に前記タグが存在すると判定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の通信システム。
前記リーダー部は、前記リーダー側受信部での受信結果に基づいて、前記タグが室内及び室外のどちらに存在するかについて判定する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の通信システム。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、タグ側において自己の存在位置を判定可能であり、かつ、タグの消費電力を抑制しつつ、リーダー側にタグの存在位置を確実に認識可能にさせる通信システム、ドアシステム及び通信用のタグを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信システムは、タグと、タグとの通信を可能にするリーダー部とを備え、リーダー部は、第1要求信号を送信する室外送信部と、第2要求信号を送信する室内送信部と、タグからの信号を受信するリーダー側受信部とを有し、タグは、室外及び室内送信部から受けた第1要求信号と第2要求信号との信号受信強度を比較して自己の存在位置を判定するタグ側判定部と、タグ側判定部における比較判定結果から自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみ返信信号をリーダー側受信部へ送信可能とするタグ側送信部とを有し、タグ側判定部での判定結果に応じて、タグ側送信部による返信信号の送信のタイミング又は送信の可否を決定する。ここで、室内と室外との文言については、例えばドアや窓のような仕切りを設けた場合における便宜上用いた言葉であり、例えばドア等を二重三重に設けた場合において、仕切られた複数の空間のうち中間の空間は相対的関係から室内と捉える場合も室外と捉える場合もあるものとする。
【0008】
上記通信システムでは、タグは、リーダー部からの第1及び第2要求信号の信号受信強度を比較することで、自己の存在位置を判定可能とし、また、自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみ返信信号を送信することで、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、タグにおいて、タグ側送信部による返信信号の送信のタイミング又は送信の可否を決定するものとなっていることで、タグからの情報を受けるリーダー側においてタグの存在位置を確実に認識できる。
【0009】
本発明の具体的な側面によれば、タグは、タグ側判定部での判定結果に応じて、第1要求信号に対応する第1タイミングと第2要求信号に対応する第2タイミングとのうちいずれかの送信タイミングで、返信信号の送信を行う。この場合、判定結果に応じて第1タイミングと第2タイミングとの違いによりリーダー側において確実にタグの存在位置を識別できる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、リーダー部は、リーダー側受信部において受信した返信信号の受信タイミングに基づいて、タグの存在位置を判定する。この場合、リーダー部は、受信タイミングを利用してタグの存在位置を判定できる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、タグ側送信部は、第1要求信号に対応する第1ID情報と第2要求信号に対応する第2ID情報とのうちいずれか一方を返信信号として送信する。この場合、複数のID情報を利用してタグからの情報を受けるリーダー側においてタグの存在位置を確実に認識できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、スイッチ又はセンサーによる室外及び/又は室内についての検知情報を第1及び第2要求信号に付与して室外及び室内送信部から送信し、タグは、タグ側判定部での判定結果と要求信号に付与された検知情報とに基づいて、返信信号の送信の可否を決定する。この場合、スイッチ又はセンサーによる室外及び/又は室内についての検知情報をタグの存在位置とともに利用することができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、室外についての検知情報である第1検知情報と、室内についての検知情報である第2検知情報とを受け付け、タグは、タグ側判定部における室外及び室内についての判定結果と、検知情報が第1検知情報であったか第2検知情報であったかとが齟齬するか否かに応じて、返信信号の送信の可否を決定する。この場合、各検知情報と室外及び室内についての判定結果とから、各部の動作制御の判断を総合的に行うことができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、タグは、タグ側判定部において室内に存在すると判定した一方、リーダー部からの検知情報が第2検知情報でなく第1検知情報であった場合に、タグ側送信部による信号送信を行わない。この場合、例えばタグを持たないものの室内への侵入を防ぐことが可能になる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、自己を識別可能にするための固有情報を第1及び第2要求信号に付与して送信し、タグは、タグ側判定部での判定結果と要求信号に付与されたリーダー部の固有情報とに基づいて生成された返信信号をタグ側送信部により送信する。この場合、例えば複数のリーダー部が隣接する場合であっても、リーダー部間での信号の交錯や混同を抑制できる。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部において、第1及び第2要求信号に付与される固有情報は、乱数に基づく情報である。この場合、乱数に基づいて簡易かつ確実に固有情報を識別できる。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、複数設けられ、互いに識別可能にするために異なる固有情報を要求信号にそれぞれ付与する。この場合、複数設けられたリーダー部において、それぞれの適正な動作を確保できる。
【0018】
本発明のさらに別の側面によれば、タグ側判定部は、第1要求信号と第2要求信号とのうち信号受信強度の高い方の送信部側にタグが存在すると判定する。この場合、信号受信強度に基づき確実な判定ができる。
【0019】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、第1要求信号と第2要求信号とを交互に送信する。この場合、第1要求信号に対する処理と第2要求信号に対する処理とを分離でき、上方の衝突を回避できる。
【0020】
本発明のさらに別の側面によれば、リーダー部は、リーダー側受信部での受信結果に基づいて、タグが室内及び室外のどちらに存在するかについて判定する。この場合、リーダー部は、タグからの情報に基づいてタグが室内及び室外のどちらに存在するかを判定できる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に係るドアシステムは、上記いずれかに記載の通信システムを有し、タグを備えるキーと、リーダー部からの情報に基づきドアの施解錠を行うドア駆動部とを備える。この場合、上記通信システムを有することで、キーが自己の存在位置を判定可能となり、また、キーの電力消費を抑制できる。さらに、キーからの情報を受けるドア側においてキーの存在位置を確実に認識できる。
【0022】
本発明の具体的な側面によれば、室外及び/又は室内について通過対象の存在を検知するためのスイッチ又はセンサーをさらに備える。この場合、スイッチ又はセンサーでの検知を利用したエントリーシステムを構築できる。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信用のタグは、リーダー部からの第1要求信号と第2要求信号との信号受信強度を比較して自己の存在位置を判定する判定部と、判定部における比較判定結果から自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみ返信信号を送信する送信部とを備え、判定部での判定結果に応じて、送信部による返信信号の送信のタイミング又は送信の可否を決定する。
【0024】
上記通信用のタグでは、リーダー部からの第1及び第2要求信号の信号受信強度を比較することで、自己の存在位置を判定可能とし、また、自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみ返信信号を送信することで、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、送信部による返信信号の送信のタイミング又は送信の可否を決定するものとなっていることで、タグからの情報を受けるリーダー側にタグの存在位置の情報を確実に認識させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る通信システム及びこれを備えるドアシステムの一例について説明する。なお、本実施形態では一例として、玄関ドアに設けたドアシステムを示している。
【0027】
図1に示すドアシステム500は、ドアDRとドアDRに対応する鍵であるキーKYとを備える。ドアDRは、板状の本体部分40と、本体部分40に取り付けられるリーダー部50とで構成されている。また、キーKYは、リーダー部50との通信を行うタグ10のほか、例えばドアDRの鍵穴部43の挿入口に差し込んで施解錠するための先端部分等(図示略)を有している。なお、通信システム100は、タグ10と、リーダー部50とで構成される。すなわち、ドアシステム500は、通信システム100を有するものとみることもできる。
【0028】
ドアDRのうち、本体部分40は、施解錠ともに開閉される木製や金属製等の板状の部材である。本体部分40には、手動での施解錠を行うためのサムターン41やサムターン41を動作させるサムターン駆動部42のほか、例えばキーKYが挿入されることでサムターン41を動作可能にすべく接続される鍵穴部43を有する。また、サムターン駆動部42は、リーダー部50と接続されており、リーダー部50からの指令信号に従って施解錠の動作をする。
【0029】
リーダー部50は、図中において破線で囲んで示すように、ドアDRを基準として室外へ向けて第1要求信号を送信する室外送信部21tと、ドアDRを基準として室内へ向けて第2要求信号を送信する室内送信部22tと、タグ10からの信号を受信するリーダー側受信部23rと、ドアシステム500の周囲の状況について検知を行う一対の室外検知センサー24a及び室内検知センサー24bと、リーダー部50の各部の動作制御をするドア制御部30とを備える。ドア制御部30は、各種情報を受け付ける情報受付部31と、リーダー側主制御部35と、データを格納するリーダー側記憶部36とを備える。ドア制御部30は、リーダー側主制御部35において、各種動作の制御のうち、特にタグ10との通信に基づく施解錠の動作制御を行う。また、検知センサー24a,24bについては、種々の態様が考えられるが、例えばドアDRの周辺についてある程度の範囲を検知可能な赤外線センサー等で構成することが考えられる。
【0030】
一方、タグ10は、リーダー部50からの信号を受信するタグ側受信部11rと、リーダー部50に返信信号を送信するタグ側送信部11tと、タグ10の各部の動作制御をするタグ側主制御部15と、データを格納するタグ側記憶部16とを備える。タグ側主制御部15は、例えばタグ10自身の位置すなわち自己の位置が、ドアDRに対して室内と室外のどちらであるかを判断するためのタグ側判定部である位置判定部15aや、リーダー部50への返信信号を生成するための信号生成部15b等として機能する。なお、タグ側主制御部15は、上記のほか、各種判断等を行う。
【0031】
以上のような構成により、通信システム100において、リーダー部50とタグ10とが、矢印A1に示すように双方向の通信を行うことで、キーKYとドアDRとの間でのいわゆるスマートエントリーのシステムを構築可能としている。すなわち、キーKYを構成するタグ10とドアDRを構成するリーダー部50との間で各種信号のやり取りがなされることで、キーKYを身に付けている状態でドアDRに近づくか、ドアDRの一部(例えば本体部分40のハンドル等)に触れるだけで開錠するようにできる。本実施形態の一例では、検知センサー24a,24bによってドアシステム500の周辺において人等の検知がなされることを契機として、リーダー部50からの通信動作が開始され、キーKYすなわちタグ10を身に付けている人が近づくと、施解錠のための動作が適宜行われるものとする。具体的には、まず、リーダー部50の検知センサー24a,24bにおいてドアDRの近辺として設定された検知センサー24a,24bで検知可能な検知範囲内において、外(室外)あるいは内(室内)に人や物等が検知されると、室外及び室内送信部21t,22tからタグ10に対するウェイクアップ信号である第1及び第2要求信号がそれぞれ送信される。この場合において、タグ10がリーダー部50と通信可能な範囲内にあれば、タグ10は、第1要求信号又は第2要求信号あるいはその双方を受信するとともに、受信血管基づく返信信号をリーダー部50に対して送信する。リーダー部50は、タグ10からの返信信号を受信することで、タグ10の存在さらにタグ10が室内室外のどちらにいるかを把握できる。
【0032】
以下、
図2等を参照して、通信システム100におけるリーダー部50とタグ10との通信の信号に関しての具体例について説明する。ここでは、リーダー部50については、送受信に係る部分を中心に概念的に示している。すなわち、リーダー部50のうち、室外に関する通信については、第1アンテナ部ANaにより行われ、室内に関する通信については、第2アンテナ部ANbにより行われるものとする。この場合、第1アンテナ部ANaは、室外送信部21t及びリーダー側受信部23rで構成され、第2アンテナ部ANbは、室内送信部22t及びリーダー側受信部23rで構成されるものと捉えることができる。室外送信部21tは、室外に向けて送信される第1要求信号として第1送信信号LF1を発信し、室内送信部22tは、室内に向けて送信される第2要求信号として第2送信信号LF2を発信する。なお、第1及び第2送信信号LF1,LF2は、例えば周波数134.2KHzの信号であり、所定の範囲内でタグ10による受信が可能となっている。一方、タグ10は、受け付けた送信信号LF1,LF2に応じて自己のID情報を付したID付返信信号RSを送信する。なお、ID付返信信号RSは、例えばUHF帯(315MHz)の信号であり、所定の範囲内でリーダー部50による受信が可能となっている。リーダー部50は、付与されたID情報について照合を行う。すなわち、タグ10で構成されるキーKYが、リーダー部50で構成されるドアDRに対応するものであるか否かを確認する。以上の場合において、例えば、図中左側に示すタグ10Aのように、室外に存在する場合には、タグ10Aは、室外送信部21tからの第1送信信号LF1を受ける。これにより、タグ10Aは、自己が室外にいると判断し、判断した結果をID付返信信号RSとしてリーダー部50に送信する。すなわち、タグ10Aは、自己のID情報を第1送信信号LF1に付与して生成したID付返信信号RSをリーダー部50に送信する。リーダー部50は、リーダー側受信部23rにおいてタグ10Aからの信号を受けることで、タグ10Aが室外にあることを認識し、状況に応じてドアDRの施解錠の動作を行う。同様に、図中右側に示すタグ10Bのように、室内に存在する場合には、タグ10Bは、室内送信部22tからの第2送信信号LF2を受ける。これにより、タグ10Aは、自己が室内にいると判断し、判断した結果をID付返信信号RSとしてリーダー部50に送信する。リーダー部50は、リーダー側受信部23rにおいてタグ10Bからの信号を受けることで、タグ10Bが室内にあることを認識し、状況に応じてドアDRの施解錠の動作を行う。
【0033】
しかしながら、室外送信部21tから送信される第1送信信号LF1の一部が室内側に回り込んだり、室内送信部22tから送信される第2送信信号LF2の一部が室外側に回り込んだりすることは、完全には回避できず、使用環境や、タグ10の位置等によっては、第1送信信号LF1と第2送信信号LF2との双方がタグ10において受信される可能性がある。ただし、このような場合、受信した信号の信号受信強度を比較することで誤判断を回避できると考えられる。本実施形態では、タグ10側においてリーダー部50からの第1及び第2要求信号である第1及び第2送信信号LF1,LF2の信号受信強度を比較することで、自己の存在位置を判定可能としている。また、タグ10は、自己が存在すると判定した側の信号についてのみID付返信信号RSを送信することで、送信出力に伴う電力消費を抑制している。さらに、タグ10において、タグ側送信部11tによるID付返信信号RSの送信のタイミングを決定していることで、タグ10からの情報を受けるリーダー部50の側においてタグ10の存在位置を受信したタイミングに基づいて確実に認識できる。
【0034】
以下、
図3を参照して、リーダー部50からタグ10への信号送信からタグ10での自己の位置の判定に基づくリーダー部50への返信とリーダー部50での受信によるタグ10での自己の位置の判断に至るまでについて説明する。
【0035】
まず、工程αに示すように、リーダー部50側において、リーダー部50の室外送信部21tからの第1送信信号LF1と室内送信部22tからの第2送信信号LF2とは、時間(タイミング)をずらして交互に繰り返し送信される。この際、各信号LF1,LF2の送信が完了した旨の通知が、都度、室外及び室内送信部21t,22tからそれぞれリーダー側主制御部35に対してなされる。なお、リーダー側主制御部35は、通知された内容を受理した時間の情報とともにリーダー側記憶部36に格納する。
【0036】
ここで、タグ10側において、各信号LF1,LF2の少なくとも一方が、タグ側受信部11rで受信されると、タグ側主制御部15による各信号LF1,LF2の受信強度の測定を行うことで、比較処理がなされる。なお、受信した信号がどちらか一方のみの場合、他方は強度ゼロとして処理すればよい。位置判定部15aとしてのタグ側主制御部15は、強度測定による比較の結果、強度の大きい方に自己が存在すると判断する。すなわち、第1送信信号LF1の方が大きければ、室外にいると判断し、そうでなければ室内にいると判断する。
【0037】
タグ10での判断に関して、工程βに示すように、タグ側主制御部15が、第2送信信号LF2よりも第1送信信号LF1の方が大きい、すなわち相対的に第1送信信号LF1を強く受信したと判断した場合、タグ10は、第1送信信号LF1に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを所定のタイミングで返信する。ここでは、所定のタイミングで第1送信信号LF1に対してなされる返信を第1スロット送信と呼ぶ。第1スロット送信の送信結果は、リーダー部50のリーダー側受信部23rを介して、リーダー側主制御部35に通知される。また、この場合、相対的に弱く受信したと判断した第2送信信号LF2に対しては、返信をしない。以上の場合、リーダー側主制御部35は、室外及び室内送信部21t,22tからそれぞれ、各信号LF1,LF2の完了通知を受け取るとともに、所定時間経過後、第1スロット送信を受け取ることになる。なお、リーダー側主制御部35は、通知された内容を受理した時間の情報とともにリーダー側記憶部36に格納する。
【0038】
一方、工程γに示すように、タグ側主制御部15が、第1送信信号LF1よりも第2送信信号LF2の方が大きい、すなわち相対的に第2送信信号LF2を強く受信したと判断した場合、タグ10は、第2送信信号LF2に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを、第1スロット送信とは異なる所定のタイミングで返信する。ここでは、所定のタイミングで第2送信信号LF2に対してなされる返信を第2スロット送信と呼ぶ。第2スロット送信の送信結果は、リーダー部50のリーダー側受信部23rを介して、リーダー側主制御部35に通知される。また、この場合、相対的に弱く受信したと判断した第1送信信号LF1に対しては、返信をしない。以上の場合、リーダー側主制御部35は、室外及び室内送信部21t,22tからそれぞれ、各信号LF1,LF2の完了通知を受け取るとともに、所定時間経過後、第2スロット送信を受け取ることになる。なお、リーダー側主制御部35は、通知された内容を受理した時間の情報とともにリーダー側記憶部36に格納する。
【0039】
以上のように、リーダー側主制御部35は、工程βに示す場合と、工程γに示す場合とで、受け取った各通知の種類及び送信返信のタイミングが異なることに基づいて、タグ10の位置に関して認識する。
【0040】
以上のように第1スロット送信と第2スロット送信とを設け、タグ側判定部である位置判定部15aでの判定結果に応じて、タグ側送信部11tによるID付返信信号RSの送信のタイミングを決定するすなわち変化させる構成とする場合、例えば
図2のように、室外のタグ10Aと室内のタグ10Bとの双方が存在する、すなわち複数のキーKYが内側と外側とで同時に存在する、というような場合であっても、これらからの信号が衝突してどちらも検知できなくなる、という事態を回避できる。なお、詳しい一例は後述するが、上記のような構成の場合、リーダー部50側でタグ10の位置を認識できることで、例えば室内であって第2送信信号LF2が届く範囲内にキーKYすなわちタグ10が放置されている場合においても、リーダー部50側での判断処理によって施解錠の動作を環境に応じて適したものに適宜設定できる。
【0041】
以下、上述した通信システム100全体の一連の動作に関して、
図4のフローチャートを参照して、タグ10の内部における動作について説明する。
【0042】
まず、タグ10において、タグ側主制御部15は、リーダー部50側からのウェイクアップ信号である第1送信信号LF1又は第2送信信号LF2のうち少なくともいずれか一方を受信したかを確認する(ステップS101)。ステップS101において、いずれの信号の受信も確認されなければ(ステップS101:No)、確認されるまで続け、受信を確認すると(ステップS101:Yes)、第1送信信号LF1と第2送信信号LF2とが時間をずらして交互に送信されることを考慮した所定時間が経過するまで待ち(ステップS102)、所定時間の経過後、第1送信信号LF1と第2送信信号LF2とについて受信強度の測定を行い、強度比較をする(ステップS103)。タグ側主制御部15は、ステップS103において、相対的に第1送信信号LF1を強く受信したと判断したと判断した場合(ステップS103:Yes)、自己が室外にあると判断し(ステップS104a)、第1送信信号LF1に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを第1スロット送信する(ステップS105a)。一方、タグ側主制御部15は、ステップS103において、相対的に第2送信信号LF2を強く受信したと判断したと判断した場合(ステップS103:No)、自己が室内にあると判断し(ステップS104b)、第2送信信号LF2に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを第2スロット送信する(ステップS105b)。タグ10は、ステップS105aあるいはステップS105bの動作を終えると、再びステップS101からの動作を繰り返す。
【0043】
なお、例えばタグ10(キーKY)を持った人が室内から室外へ出るあるいは室外から室内に入るという一連の動作の間、上記が繰り返されることになる。この場合、出入りする間のどこかでステップS103での判断が切り替わることになる。
【0044】
以下、上述した通信システム100全体の一連の動作に関して、
図5のフローチャートを参照して、リーダー部50の内部における動作について説明する。
【0045】
まず、リーダー部50において、リーダー側主制御部35は、情報受付部31を介して一対の室外検知センサー24a及び室内検知センサー24bからドアシステム500の周囲の状況について検知があったかを確認する(ステップS201)。ステップS201において、検知が確認されなければ(ステップS201:No)、確認されるまで続け、検知を確認すると(ステップS201:Yes)、リーダー側主制御部35は、室外送信部21tと室内送信部22tとを動作させて、第1及び第2要求信号としての第1及び第2送信信号LF1,LF2の交互送信を開始させ(ステップS202)、リーダー側受信部23rを介してのタグ10からのID付返信信号RSの受信を待つ(ステップS203)。ステップS203において、タグ10からのID付返信信号RSの受信が確認されると(ステップS203:Yes)、リーダー部50は、受信したID付返信信号RSに関する情報に基づいてタグ10が室外にあるか室内にあるかについての判定を行う(ステップS204)。なお、ステップS204での室内室外判定処理についての詳細は、
図3等を参照して既に説明したのでここでは省略する。次に、リーダー側主制御部35を含むドア制御部30は、ドアDRの制御動作として、タグ10の状況に応じて施錠するか解錠するかについて判断し、判断結果に基づく施解錠の動作を行う(ステップS205)。なお、ステップS205における判断については、ドアシステム500の使用態様に応じて様々に設定できる。典型的には、室外、室内を問わず、ステップS203やステップS204の処理から、タグ10が適正に検知されたと判断される場合、まず、解錠の動作を行い、その後、所定時間が経過したら施錠を行う、といった動作にする、といったものが考えられる。ステップS205における施解錠判断処理がなされると、リーダー側主制御部35は、再びステップS201からの動作を繰り返す。なお、ステップS205が完了した場合、リーダー側主制御部35は、第1及び第2送信信号LF1,LF2の送信を行わない、すなわち送信を終了する。一方、ステップS203において、ID付返信信号RSの受信が確認されない場合(ステップS203:No)、ID付返信信号RSが受信されないままの状態から所定時間が経過したかを確認し(ステップS206)、所定時間が経過するまでは(ステップS206:No)、ステップS203における確認動作を継続する。ステップS206において、所定時間が経過したことを確認すると(ステップS206:Yes)、リーダー側主制御部35は、タグ10が不在であると判断し(ステップS207)、第1及び第2送信信号LF1,LF2の交互送信を終了させる(ステップS208)。リーダー部50は、ステップS208の動作を完了すると、再びステップS201からの動作を繰り返す。
【0046】
なお、上記のうち、ステップS207におけるタグ10の不在との判断については、検知センサー24a,24bでの検知が誤検知であったり、タグ10を持たない人や物を検知したりした場合等が考えられる。これらの場合、ステップS203において一度もID付返信信号RSの受信が確認されないまま動作が終了することになる。
【0047】
また、上記の例では、検知センサー24a,24bを有し、検知センサー24a,24bによってドアシステム500の周辺において人等の検知がなされることを契機として、室外送信部21tと室内送信部22tとから第1要求信号と第2要求信号とをそれぞれ送信するものとしているが、これに限らず、例えば、検知センサー24a,24bを有さずに、常に第1及び第2要求信号が送信されている態様としてもよい。この場合、タグ10からのID付返信信号RSの受信確認が常時行われることになる。また、検知センサーについても種々の態様があり、例えば室内側と室外側とを区別せず一括で行うもの等も考えられる。そのほか、各種スイッチを利用して、上記センサーと同様或いは類似した機能を持たせることも考えられる。なお、スイッチを適用するものについては、一例を後述する。
【0048】
以下、
図6を参照して、タグ10側とリーダー部50側とでの通信に関する一変形例について説明する。なお、
図6は、
図2に対応する図である。
図2に示した一例では、タグ10におけるリーダー部50への返信信号の生成において、自己のID情報を付与するものとしており、特にID情報についての分類等をしていなかったが、
図6に示す態様では、例えばタグ10側において複数のID情報を用意しておいてもよいものとなっている。具体的に説明すると、
図6の例では、タグ10は、第1要求信号である第1送信信号LF1に対応する第1ID情報と、第2要求信号である第2送信信号LF2に対応する第2ID情報とをタグ側記憶部16に格納しているものとする。この場合、室外に存在するタグ10Aは、第1送信信号LF1を受け、自己が室外にいると判断し、第1ID情報を付与した第1ID付返信信号ID1をリーダー部50に送信する。一方、室内に存在するタグ10Bは、第2送信信号LF2を受け、自己が室内にいると判断し、第2ID情報を付与した第2ID付返信信号ID2をリーダー部50に送信する。リーダー部50は、受け付けた第1ID付返信信号ID1又は第2ID付返信信号ID2に基づき、タグ10の存在位置を把握する。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る通信システム100及びこれを備えるドアシステム500では、キーKYを構成するタグ10が、ドアDRを構成するリーダー部50からの第1及び第2要求信号の信号受信強度を比較することで、自己の存在位置を判定可能とし、また、自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみID付返信信号RSを送信することで、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、タグ10において、タグ側送信部11tによる返信信号の送信のタイミングを、第1要求信号に対して返信する場合と第2要求信号に対して返信する場合とで異なるようにしている。これにより、タグ10から情報を受けたリーダー部50側において、当該情報に基づき、タグ10の存在位置が室内であるか室外であるかを確実に認識できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、
図7等を参照して、本発明の第2実施形態に係る通信システム及びこれを備えるドアシステムについて説明する。なお、第2実施形態に係る通信システム200とこれを備えるドアシステム600とは、第1実施形態を変形したものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であるものとする。本実施形態では、
図1に示す一対の室外検知センサー24a及び室内検知センサー24bに代えて、一対の室外スイッチ224a及び室内スイッチ224bを備える点において、第1実施形態と異なっている。
【0051】
一対の室外スイッチ224a及び室内スイッチ224bは、例えばタッチ式のセンサー等により構成されており、図示のように、例えば手や指先等の接触体OBを感知(検知)する。通信システム200は、各スイッチ224a,224bでの感知がなされることを契機として、リーダー部250からの通信動作が開始され、施解錠のための動作が適宜行われるものとする。つまり、ドアDRの一部である各スイッチ224a,224bに触れるだけで開錠できることで、スマートエントリーのシステムが構築されている。この際、リーダー部250は、第1及び第2要求信号である第1及び第2送信信号LF1,LF2について、各スイッチ224a,224bのうち検知したスイッチに関する情報を付与して送信する。これについては、例えば各スイッチ224a,224b用の1ビット情報として、スイッチ224aの接触を受けた場合は"0"とする第1検知情報と、スイッチ224bの接触を受けた場合は"1"とする第2検知情報とを設定し、これら第1及び第2検知情報をスイッチ検知情報として第1及び第2要求信号にそれぞれ付与して送信を行うことが考えられる。
【0052】
以下、
図8のフローチャートを参照して、通信システム200を構成するタグ210の動作について説明する。なお、タグ210の基本構成は、上述したタグ10と同様であるものとする。また、ここでは、
図7に例示するように、典型的には、外出から帰宅後等において、物置台SSの上にドアのキーであるタグ210を置きっ放しにしてしまっている状態についても併せて考察する。
【0053】
以下、
図8を参照して、タグ210の内部における動作の一例について説明する。なお、
図8のフローチャートは、
図4に対応するものである。
【0054】
まず、タグ210は、リーダー部250側からスイッチ検知情報付の第1送信信号LF1又は第2送信信号LF2のうち少なくともいずれか一方を受信したかを確認されるまで続け、受信を確認すると(ステップS401:Yes)、第1送信信号LF1と第2送信信号LF2とが時間をずらして交互に送信されることを考慮した所定時間が経過するまで待ち(ステップS402)、所定時間の経過後、第1送信信号LF1と第2送信信号LF2とについて受信強度の測定を行い、強度比較をする(ステップS403)。
【0055】
ステップS403において、相対的に第1送信信号LF1を強く受信したと判断したと判断した場合(ステップS403:Yes)、自己が室外にあると判断する(ステップS404a)。次に、タグ210は、第1送信信号LF1に付与されたスイッチ検知情報について確認する(ステップS405a)。具体的には、スイッチ検知情報として、検知されるべき第1検知情報ではなく第2検知情報を取得しているか否かを確認する。ステップS405aにおいて、検知されるべき第1検知情報を取得していれば(ステップS405b:No)、問題がないものとして、
図4の場合と同様に、第1送信信号LF1に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを第1スロット送信する(ステップS406a)。一方、ステップS405aにおいて、第1検知情報ではなく第2検知情報を取得している場合(ステップS405a:Yes)、室内室外の判定結果と検知情報が齟齬するものと判断し、ID付返信信号RSを送信せずに動作を終了する(ステップS407)。この場合、例えば、ステップS407においては、リーダー部250に信号は送信されず、リーダー部250側においてタグ210が存在しないものとして処理されることになる。
【0056】
ステップS403において、相対的に第2送信信号LF2を強く受信したと判断したと判断した場合(ステップS403:No)、自己が室内にあると判断する(ステップS404b)。次に、タグ210は、第2送信信号LF2に付与されたスイッチ検知情報について確認する(ステップS405b)。具体的には、スイッチ検知情報として、検知されるべき第2検知情報ではなく第1検知情報を取得しているか否かを確認する。ステップS405bにおいて、検知されるべき第2検知情報を取得していれば(ステップS405b:No)、問題がないものとして、
図4の場合と同様に、第2送信信号LF2に対して自己のID情報を付与してID付返信信号RSを第2スロット送信する(ステップS406b)。一方、ステップS405bにおいて、第2検知情報ではなく第1検知情報を取得している場合(ステップS405b:Yes)、室内室外の判定結果と検知情報が齟齬するものと判断し、ID付返信信号RSを送信せずに動作を終了する(ステップS407)。タグ210は、ステップS406a,S406bあるいはステップS407の動作を終えると、再びステップS401からの動作を繰り返す。なお、リーダー部250における動作については、
図5等を参照して説明した場合とほぼ同様であるので、記載を省略する。以上により、各スイッチ224a,224bでの感知を契機とするスマートエントリーのシステムが構築される。
【0057】
ここで、
図8のステップS407のような動作制御を行う必要性が生じ得る一態様について
図7を参照して考察する。
図7に示すように、例えば室内に放置されたタグ210がリーダー部250との通信が可能な範囲R1(図示において破線で示す範囲)内にあると、リーダー部250とタグ210とでの通信可能な状態が維持され得ることになる。このような状況下において、室外からの接触体OBによる接触を受けてスマートエントリーのシステムが起動して、室内に放置されたタグ210に基づいて解錠されてしまう可能性がある。つまり、室内にタグ210を放置することで、タグ210を持たない者が、外部から侵入可能となってしまう。掛かる事態を抑制すべく、ステップS407のような動作制御をしている。すなわち、タグ210での判定結果と要求信号に付与された検知情報とに基づいてID付返信信号RSの送信の可否を決定するものとなっており、特に、タグ210において室内に存在すると判定した一方、検知情報が第2検知情報でなく第1検知情報であった場合に、ID付返信信号RSの送信を行わないものとしている。
【0058】
なお、以上では、スイッチ検知情報を付与した場合について説明したが、例えばスイッチではなく、センサー検知の場合においても、例えば室外検知センサー24aと室内検知センサー24bとについてそれぞれ専ら室外及び室内を検知するものとし、上記と同様に第1及び第2検知情報をセンサー検知情報として定め、第1及び第2要求信号にそれぞれ付けて送信を行うものとした場合には、同様のことが考察できる。
【0059】
以上のように、本実施形態においても、通信システム200及びこれを備えるドアシステム600では、タグ210が自己の存在位置を判定可能とし、また、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、タグ210において、返信信号の送信の可否を、他の情報を勘案して総合的に判断している。これにより、タグ210から情報を受けたリーダー部250側において、当該情報に基づき、タグ210の存在位置が室内であるか室外であるかを確実に認識できる。
【0060】
〔第3実施形態〕
以下、
図9等を参照して、本発明の第3実施形態に係る通信システム及びこれを備えるドアシステムについて説明する。なお、第3実施形態に係る通信システム300とこれを備えるドアシステム700は、第1実施形態等を変形したものであり、特に説明しない部分については、第1実施形態等と同様であるものとする。
【0061】
本実施形態では、
図9に示すように、本実施形態の通信システム300あるいはドアシステム700は、複数のドアDR1〜DR3を隣接して設けており、各ドアDR1〜DR3を制御する第1〜第3ドア制御部331〜333をそれぞれ有し、さらにこれらを統括する管理装置MTを備える点において、第1実施形態等と異なっている。第1実施形態では一例として、玄関ドアに設けたドアシステムを示したが、本実施形態では、例えばホテルや集合住宅等のエントランスに設けたドアシステムを示している。図示の例では、建物PKに設置された第1ドアDR1及び第2ドアDR2は、隣接して設けられた自動ドアであり、第3ドアDR3は、建物PK内のエレベーターの自動ドアである。なお、各ドアDR1〜DR3は、対応する第1〜第3ドア制御部331〜333の制御に従って、矢印B1〜B3に示す方向に開閉する。また、この場合、例えばドアが二重三重に設けられ、第1ドアDR1と第3ドアDR3との間の空間(ホテルや集合住宅等のエントランスとなる空間)は、相対的関係から室内と捉える場合も室外と捉える場合もあるものとする。つまり、このエントランスの空間は、第1ドアDR1の立場で言えば建物PKの室内であるが、第3ドアDR3の立場で言えばエレベーターの室外である。また、動作制御の詳細については、省略するが、第1〜第3ドア制御部331〜333には、第1実施形態等の場合と同様の構成でリーダー部がそれぞれ設けられており、第1〜第3ドア制御部331〜333とキーとしてのタグ310との通信を介して室内であるか室外であるかを確実に認識しつつ施解錠の制御がなされる。なお、キーとしてのタグ310は、例えばカード式の物等であってもよい。特に、この場合、多数のタグ310が存在し、各タグ310のID情報は、管理装置MTにおいて一括管理されている。また、管理装置MTは、各ドアごとに施解錠を行う際の条件等についても管理をしており、各ドア制御部331〜333は、管理装置MTによる管理下で、制御動作を行う。この場合、複数のキーすなわちタグ310が存在することになるが、上記のように、各タグ310からの信号についての衝突を抑制することができる。また、本実施形態では、複数のドアすなわちリーダー部が併存することにもなる。この場合、隣接するリーダー部同士の間で信号の交錯が生じてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、各リーダー部すなわちドア制御部331〜333が、自己を識別可能にするための固有情報を第1及び第2要求信号に付与して送信するものとなっており、タグ310は、自己の位置に関する判定結果と要求信号に付与されたドア制御部331〜333の固有情報とに基づいて生成された返信信号をドア制御部331〜333に返信する。
【0062】
以下、
図10を参照して、タグ310側とリーダー部であるドア制御部331〜333側とでの通信の一例について説明する。
図10は、なお、
図10は、
図2や
図6に対応する図である。
図10に示す態様では、例えば第1ドア制御部331からの第1及び第2要求信号である第1及び第2送信信号LF1,LF2において第1ドア制御部331で発生させた乱数が暗号化された状態で付与されている。各タグ310は、乱数付の第1送信信号LF1又は第2送信信号LF2に対して、自己のID情報を付与し、乱数付のID付返信信号RSの送信を行う。第1ドア制御部331は、自ら付した乱数に基づいて返信されたID付返信信号RSに関する判定を行う。この場合、ID付返信信号RSが各ドア制御部331〜333が自らそれぞれ付与した乱数を自己を識別可能にするための固有情報として利用することで、隣接する他のドア制御部へ送信すべきID付返信信号RSが交錯して受信されても、これに基づく誤動作を生じさせないようにできる。
【0063】
以上のように、本実施形態においても、通信システム300及びこれを備えるドアシステム700では、タグ310が自己の存在位置を判定可能とし、また、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、タグ310から情報を受けたリーダー部をそれぞれ有する複数のドア制御部331〜333において、当該情報についての交錯を回避でき、また、各情報に基づき、タグ310の存在位置が室内であるか室外であるかを確実に認識できる。
【0064】
〔その他〕
以上各実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、タグを組み込んだキーについては、種々の態様があり、上記した例には限られない。また、ドアについても種々の物が考えられる。また、ドアに限らず、室内と室外とを隔てる門やシャッター、窓等、種々の物について同様の構成を取ることが考えられる。さらに、室内外へ通行する対象についても、人に限らず、自動車やバイク、自転車、自走式ロボット等種々のものが考えられる。
【0065】
また、スイッチやセンサーについても、光によるものや、接触式のもののほか、熱によるもの等種々の態様の物が適用できる。
【0066】
また、例えば第1実施形態において、リーダー部50は、ドアDRの本体部分40に取り付けられるものとしているが、これに限らず、リーダー部50を構成する各部は、例えばドアDRのうち、本体部分40以外の部分であって本体部分40の開閉に際して動かない箇所に設けられていてもよい。
【0067】
また、第3実施形態において、自己を識別可能にするための固有情報として乱数を利用したものを説明したが、これ以外にも種々の態様を適用できる。
【課題】 タグ側において自己の存在位置を判定可能であり、かつ、タグの消費電力を抑制しつつ、リーダー側にタグの存在位置を確実に認識可能にさせる通信システム、ドアシステム及び通信用のタグを提供すること。
【解決手段】 タグ10が、リーダー部50からの要求信号の信号受信強度を比較することで、自己の存在位置を判定可能とし、また、自己が存在すると判定した側の要求信号についてのみID付返信信号RSを送信することで、送信出力に伴う電力消費を抑制できる。さらに、タグ10において、タグ側送信部11tによる返信信号の送信のタイミングを異なるようにしている。これにより、タグ10から情報を受けたリーダー部50側において、当該情報に基づき、タグ10の存在位置が室内であるか室外であるかを確実に認識できる。