【実施例1】
【0022】
図2〜
図3は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す図である。最初に、
図2(a)に示すように、圧電基板10上にIDT(InterDigital Transducer)12及び反射電極(不図示)を含む機能部14と、下部金属層16を形成する。下部金属層16のうち、符号16aで示す構成は、機能部14からの信号を外部に伝達するための柱状電極(
図4の符号30)の一部となり、断面形状は例えば円形とすることができる。また、下部金属層16のうち、符号16bで示す構成は、機能部14を封止するための金属枠体(
図4の符号32)の一部となる。下部金属層16bは、機能部14及び下部金属層16aの周囲を取り囲むように環状に形成される。
【0023】
圧電基板10には、例えば厚さ180μmのタンタル酸リチウム(LiTaO
3)またはニオブ酸リチウム(LiNbO
3)等の圧電体を用いることができる。また、IDT12及び下部金属層16には、例えばアルミニウム(Al)または銅(Cu)等を用いることができる。
【0024】
次に、
図2(b)に示すように、圧電基板10の表面のうち、下部金属層16が形成されていない領域(IDT12の上部も含む)に、レジスト18を形成する。次に、
図2(c)に示すように、レジスト18から露出した下部金属層16上に、中部金属層20を形成する。中部金属層20のうち、符号20aで示す構成は、前述の柱状電極30の一部となり、符号20bで示す構成は、前述の金属枠体32の一部となる。中部金属層20は、例えば電解メッキ法により形成することができ、その厚みは、下部金属層16と合わせて例えば20μmとすることができる。
【0025】
次に、
図2(c)に示すように、レジスト18から露出した中部金属層20上に、上部金属層22を形成する。上部金属層22は、後述のセラミック基板40上の金属層との接続を図るための層であり、例えば厚み10μmの半田(SnAg)を用いることができる。上部金属層22のうち、符号22aで示す構成は、前述の柱状電極30の一部となり、符号22bで示す構成は、前述の金属枠体32の一部となる。次に、
図2(d)に示すように、レジスト18を除去する。以上の工程により、圧電基板10側の製造工程が完了する。
【0026】
次に、
図3(a)に示すように、表面に金属層が形成されたセラミック基板40を用意する。セラミック基板40に形成された金属層は、圧電基板10側の柱状電極30と接合する端子部42(第1金属層)と、圧電基板10側の金属枠体32と接合する封止部44(第2金属層)とを含む。端子部42(第1金属層)は、セラミック基板40に形成された貫通孔を介して、セラミック基板40の反対側に引き出されている。封止部44は、圧電基板10における金属枠体32に対応する位置に、端子部42の周囲を取り囲むように環状に形成されている。
【0027】
セラミック基板40の厚みは、例えば90μmとすることができる。端子部42及び封止部44は、例えばセラミック基板40の側からタングステン(W)、ニッケル(Ni)、金(Au)を順に積層した金属層を用いることができ、その厚みは例えば10μmとすることができる。従って、金属層を含めたセラミック基板40の厚みは、例えば110μmとなる。
【0028】
次に、
図3(b)に示すように、セラミック基板40を切断(ダイシング)し、封止部44が形成された側と反対側の面を、耐熱テープ50に貼り付ける。このとき、セラミック基板40は、ウェハ状態にある個々の圧電基板10と整合する位置に貼り付けられる。耐熱テープ50としては、例えばポリイミドテープを用いることができる。
【0029】
次に、
図3(c)に示すように、セラミック基板40が貼り付けられた耐熱テープ50を、セラミック基板40の形成された側から、圧電基板10の表面に貼り付ける。このとき、端子部42は柱状電極30上の上部金属層22aと、封止部44は金属枠体32上の上部金属層22bと、それぞれ接触する。その後、半田の融点以上の温度(260℃)まで過熱すると共に、セラミック基板40を加圧することにより、上記の金属層同士が接合し、封止が行われる。
【0030】
次に、
図3(d)に示すように、耐熱テープを剥がした後、圧電基板10を切断し、個片化(ダイシング)する。以上の工程により、実施例1に係る弾性波デバイスが完成する。
【0031】
図4は、実施例1に係る弾性波デバイス100の構成を示す図である。
図4(a)はセラミック基板40を透過した斜視図(セラミック基板40及び端子部42の構成に相当する構成を点線で示す)を、
図4(b)は全体の断面図をそれぞれ示す。
図4(a)及び(b)に示すように、圧電基板10には、柱状電極30及び金属枠体32が形成されている。柱状電極30は、圧電基板10上のIDT12及びセラミック基板40上の端子部42のそれぞれと電気的に接続されている。
図4(b)に示すように、端子部42はセラミック基板40の上面側(機能部14の反対側)に引き出されているため、当該端子部42により、弾性波デバイス100を外部と電気的に接続することができる。
【0032】
図5は、封止構造の詳細を示す平面図である。
図5(a)は圧電基板10の上面図を、
図5(b)はセラミック基板40の上面側の構成を、
図5(c)はセラミック基板40の下面側(機能部14側)の構成を、それぞれ示す。
図5(a)に示すように、金属枠体32は、IDT12及び柱状電極30の周囲を囲むように形成されている。また、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、柱状電極30の断面形状は円形、端子部42の断面形状は矩形となっているが、これら以外の形状を採用することも可能である。また、
図5(a)及び
図5(c)に示すように、金属枠体32と封止部44とは、互いに重なり合う位置に形成されている。本実施例では、セラミック基板40の上下方向(圧電基板10の貫通方向)から見た場合の大きさが、圧電基板10より小さい。このため、セラミック基板40の外縁部と封止部44との距離は、圧電基板10の外縁部と金属枠体32の距離に比べて小さくなっている。
【0033】
実施例1に係る弾性波デバイス100によれば、予め端子部42及び封止部44が形成されたセラミック基板40を、圧電基板10上に形成された柱状電極30及び金属枠体32に重ねることにより、封止を行っている。これにより、弾性波デバイス100の機能部を封止するための工程と、外部との電気的接続を図るための工程とを、同時に行うことができる。これにより、製造工程数を削減することができる。
【0034】
また、実施例1に係る弾性波デバイス100によれば、封止の側壁として金属製の金属枠体を用い、封止の蓋体としてセラミック基板40を用いている。これにより、比較例(樹脂による封止)の場合に比べ、耐湿性・放熱性・耐電力性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。以上のように、実施例1によれば、製造工程を効率化すると共に、信頼性を高めた弾性波デバイスを得ることができる。
【0035】
また、実施例1に係る弾性波デバイスによれば、セラミック基板40を切断し、耐熱テープ50に貼り付けた上で、封止を行っている(
図3(a)〜(c))。セラミック基板40は、金属パターン(端子部42及び封止部44)の形成後に焼成されるため、焼成時の収縮等により形状が非線形となる場合がある。このため、セラミック基板40を個片化した上で、封止する圧電基板10の位置に合わせて耐熱テープ(支持体)に貼り付けることにより、封止を安定して行うことができる。
【0036】
また、実施例1に係る弾性波デバイスによれば、柱状電極30及び金属枠体32は同一の高さに設定されている。これにより、封止工程(
図3(c))において、セラミック基板40を重ねるだけで、封止及び外部との電気的接続の確保を同時に行うことができる。
【0037】
また、実施例1に係る弾性波デバイスによれば、圧電基板10の大きさよりも小さいセラミック基板40を用いて、封止を行うことができる(
図5)。これにより、装置の小型化を図ることができる。
【0038】
実施例1では、弾性波デバイスとして、弾性表面波(SAW)を用いる共振器を例に説明を行ったが、弾性波デバイスとしては、他にもバルク波を用いる圧電薄膜共振器(FBAR)や、ラブ波、境界波、及びLamb波を用いる弾性波デバイスを採用することも可能である。これらの弾性波デバイスは、実施例1のものと同様に弾性波を励振するための機能部を有しており、当該機能部を封止するにあたって、実施例1に係る方法を用いることが好適である。なお、実施例1では圧電基板10を用いる例について説明を行ったが、SAW共振器以外の弾性波デバイスを用いる場合には、圧電基板以外の基板を用いてもよい。
【0039】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。