(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記心臓内に定置された更なるプローブの更なる遠位端部を備え、前記プロセッサは、前記マッピングに応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定するように構成されている、請求項6に記載の機器。
前記心臓内に定置された更なるプローブの更なる遠位端部を備え、前記プロセッサは、前記心臓の前記新たな平均位置に応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定するように構成されている、請求項1に記載の機器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概要
本発明のある実施形態は、生体の心臓内にて基準プローブの遠位端部を追跡するためのシステム及び方法を提供する。通常、追跡式の遠位端部は、心臓内にて他のプローブの遠位端部を追跡するための基準として使用され得る。
【0016】
基準遠位端部は、遠位端部に取り付けられた位置センサーと電極と、を備える。通常は冠状静脈洞を含む心臓の基準部位に基準遠位端部を挿入した後、プロセッサが、センサーからの位置信号と電極からの体内電気信号を記録する。プロセッサは、位置信号を心拍動として監視する。信号の供給は、基準遠位端部の平均位置に実質的に変化がなくなるように、事前に設定された心拍動の回数にわたって反復され、プロセッサはこの平均位置を心臓の平均位置として使用する。
【0017】
位置信号が基準遠位端部の位置の変化を示す場合、プロセッサは、信号が再び反復的となるまで待機し、遠位端部の新たな平均位置を心臓の新たな平均位置として使用する。
【0018】
通常、位置信号によって示される変化は、位置を測定するために利用された身体基準系の変化によって、かつ/又は、基準部位に対する基準遠位端部の移動によって生じ得る。本発明の各実施形態は、両方の原因を修正するものである。身体基準系の変化は、上述した平均位置測定値を使用するために修正される。基準遠位端部の移動を原因とする変化は、体内電気信号と、遠位端部が移動し得る種々の基準部位との間のマッピングを生成することによって修正され得る。遠位端部の移動の場合、そのマッピングは、新たな基準部位の位置を推定するために利用され得る。
【0019】
基準遠位端部の位置は、心臓内に定置された他のプローブの遠位端部の基準として利用され得る。そのような利用は、身体基準系の再較正を回避するものであるが、この再較正は、従来技術のシステムでは系を規定するセンサーが変化した場合に必要となる。この利用はまた、心臓の除細動の間に生じ得るような、胸腔内における心臓の全体的な移動を補正するものである。
【0020】
システムの説明
ここで、本発明の実施形態による、心臓運動補正システム20の概略図である
図1と、システム20におけるプローブ22の遠位端部の概略図である
図2を参照する。簡単にかつ明確にするため、以下の説明では、本明細書ではヒトの心臓を含むと想定される心臓24に対して、プローブ22を使用して医療処置が実施されている間、システム20が動作すると想定される。システム20は、プローブ22を追跡するための、並びに本明細書において体内心電計(ECG)信号とも呼ばれる電気信号を受信するための機構を含んでおり、その電気信号はプローブによって検知されるものである。システム20は通常、心臓24の1つ以上の領域を焼灼するための機構など、医療処置の間に使用される他の機構を含む。
【0021】
プローブ22はカテーテルを備え、そのカテーテルは、医療処置の間に被験者26の身体に挿入される。医療処置は、システム20のユーザー28によって実施され、本明細書の説明において、ユーザー28は、一例として、医療専門家であると想定される。プローブの遠位端部30は、本明細書において総称して電極32と呼ばれる、概ね同様の複数の電極32A、32B、32C、...を備えている。本明細書で説明するように、電極32A、32B、32C、...は、被験者の心臓内の対応する部位33A、33B、33C、...から電気信号を受け取り、それらの信号がシステム20によって解析される。遠位端部30は、心臓24の血管34内に定置されると想定されている。
【0022】
遠位端部30は位置センサー36を備えており、位置センサー36は本明細書において、遠位端部の位置、すなわち動径及び偏角によって異なる信号を供給する1つ以上のコイル37を備えると想定される。センサー36の動作については、以下でより詳細に説明する。
【0023】
プローブ22に加えて、専門家28はまた、医療処置の間、本明細書において総称してプローブ23と呼ばれるプローブ23A、23B、...を使用する。プローブ23は、構造と動作においてプローブ22と概ね類似しており、本明細書において総称して遠位端部31と呼ばれる各遠位端部31A、31B、...を有している。簡潔にするため、プローブ23Aと遠位端部31Aのみが
図1に示されている。
【0024】
システム20は通常、システムプロセッサ38によって制御され、システムプロセッサ38は汎用コンピュータとして実現されてもよい。システムプロセッサは、メモリ42と通信する処理装置40を備える。プロセッサ38は、動作制御器46を備える制御卓44内に搭載されていてもよく、動作制御器46は、キーパッドと、マウス又はトラックボールなどのポインティング装置とを含み、専門家28はこのポインティング装置を使用してプロセッサと相互に作用する。プロセッサ38によって実施された演算の結果が、専門家に向けてスクリーン47上に提示され、スクリーン47は、システム20によって生成された結果の略
図48を表示する。スクリーンは通常、心臓が調べられている間、遠位端部30の位置、及び専門家28が使用する他のカテーテルの位置など、心臓に関する付加的情報の他の項目を表示する。また、スクリーン47は通常、グラフィックユーザーインターフェースを専門家に提示する。システム20の動作においてプロセッサ38が使用するパラメータの値を入力するために、専門家28は制御器46を使用することができる。
【0025】
プロセッサ38は、プローブ追跡モジュール50を含めたコンピュータソフトウェアを使用してシステム20を稼働する。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサ38にダウンロードされてもよく、あるいは、それに代わって、若しくはそれに加えて、磁気的、光学的、又は電子的メモリなどの非一時的な有形のメディア上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0026】
プローブ追跡モジュール50は、プローブが被験者26の体内にある間に遠位端部30を追跡する。追跡モジュールは通常、被験者26の心臓内における、プローブの遠位端部の動径と偏角の両方を追跡する。いくつかの実施形態において、モジュール50はプローブの他の区間を追跡する。追跡モジュールは、適切な位置センサーを使用して当該技術分野で既知のプローブを追跡するための任意の方法を利用してもよいが、この説明においては明確にかつ簡潔にするため、モジュール50は、カリフォルニア州ダイアモンドバーのバイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster Inc.)によって生産されているCarto(登録商標)システムなどの磁気トラッカーを備えると想定されている。モジュール50は、発信器から発せられた磁界が遠位端部30に設置された追跡コイル37と相互作用するように、被験者26の近傍にある磁界発信器52を動作させる。
【0027】
磁界と相互作用するコイルは、モジュールに発信される信号を生成し、モジュールはその信号を解析して、遠位端部30の動径及び偏角を判定する。それに代わってあるいはそれに加えて、追跡モジュール50は、電極32のうちの1つ以上と、被験者26の皮膚上の電極との間のインピーダンスを測定することによって、プローブ22の遠位端部を追跡してもよい。(この場合、電極32はまた、体内ECG検出のためにも追跡のためにも使用される位置センサーとして働く。)バイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster)によって生産されているCarto3(登録商標)システムは、磁界とインピーダンス測定値の両方を追跡のために用いている。その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、ゴバリ(Govari)らへ付与された米国特許第7,848,789号には、磁界測定とインピーダンス測定の両方をプローブ追跡に利用することについて記載されている。
【0028】
遠位端部30を追跡するために利用される方法と概ね類似した方法により、プローブ追跡モジュール50はまた、遠位端部31の動径と偏角を追跡する。以下で更に説明するように、プローブ22の遠位端部30は通常、遠位端部31を追跡するための基準として利用されるものであり、そのため、プローブ22はまた本明細書において基準プローブ22とも呼ばれ、遠位端部30はまた本明細書において基準遠位端部30とも呼ばれる。
【0029】
トランスミッタ52は固定されており、トランスミッタに対して固定された直交軸x
T、y
T、z
Tの第1の組に関するトランスミッタ基準系を規定している。しかしながら、センサー36及びプローブ23のセンサーから導出された信号は、トランスミッタ基準系を基準とした、遠位端部30及び遠位端部31の動径及び偏角の座標を与えるが、専門家28は通常、被験者26を基準とした、遠位端部の動径及び偏角を知ることを必要とする。この後者の動径及び偏角を与えるために、概ねセンサー36と類似した患者位置センサー54の組が、被験者26の皮膚に取り付けられる。通常、センサー54は、被験者の背中の上の既知の位置に取り付けられる。モジュール50はセンサー54から信号を受信し、その信号を利用して身体座標基準系を規定するが、その身体座標基準系は、被験者26に対して固定された身体座標直交軸x
B、y
B、z
Bの第2の組に関するものである。以下で説明するように、処置の間、プロセッサ38は、2つの基準系を整合し、したがって、被験者に対する遠位端部の動径及び偏角を生成することが可能である。
【0030】
図3Aは、本発明の実施形態による、基準遠位端部30の動作を示す概略的グラフであり、
図3B及び3Cは、本発明の実施形態による、遠位端部上の電極のうちの1つから導出された信号を示す概略的グラフである。グラフ100は、身体座標軸x
B、y
B、z
B上に空間的にプロットされた動作を示している。上記のように、プローブ22は基準プローブとして使用されると想定されており、そのため、専門家28は、本明細書では心臓の冠状静脈洞内にあると想定される、心臓24内の既知の位置に、プローブの基準遠位端部30を置く。遠位端部30を置くと、専門家28は、遠位端部30を移動させることはなく、また本明細書の以下で説明されている場合を除いて、基準遠位端部は、依然として冠状静脈洞内に実質的に固定されると想定されている。理解されたいこととして、システム20は遠位端部30の位置を利用して心臓24の位置を判定してもよく、したがって、例えば、遠位端部の平均位置が心臓の平均位置に対応する。
【0031】
冠状静脈洞内で(あるいは心臓24内の任意の他の基準位置で)、遠位端部30は心臓24の拍動に従って移動する。心臓24に対する処置の間、プロセッサ38は位置センサー36からの信号を利用して、遠位端部の位置、すなわち動径及び偏角を測定する。心臓の拍動のため、一定の期間にわたって取得された基準遠位端部の位置及び方向φは、重なり合うグラフの線106によって概略的に示されるように、空間的に反復される。基準遠位端部の動作が、通常は所定の回数の心拍動にわたって、実質的に反復する性質が出現することで、有効システム追跡状態が規定される。そのような有効システム追跡状態の間、遠位端部の位置pは、平均位置p
1の付近で変動すると想定される。式(1)は、平均位置p
1を表すものである。
p
1≡(r
1、φ
1) (1)
ここでr
1は、心臓24内における基準遠位端部の平均動径であり、
φ
1は、心臓内における基準遠位端部の平均偏角である。
【0032】
線106で示す状況は、プロセッサ38がトランスミッタ基準系に身体基準系を整合した後のものである。図示の状況は通常、基準系が有効である間に、また有効システム追跡状態(すなわち、基準遠位端部が反復的に移動すること)が存在する間に存在する。線106で示すように、有効な基準系の記録が存在する間、プロセッサ38は、遠位端部31と基準遠位端部30との間の相対位置ベクトルを評価することによって、遠位端部31を有効に追跡するための基準として遠位端部30を使用してもよい。(簡潔にするため、遠位端部31と、基準遠位端部30から遠位端部31への相対位置ベクトルは図には示されていない。)
【0033】
線106によって例示される基準系の整合は通常、発信器52に対する位置センサー54の移動がある限りは引き続き有効である。2つの基準系の整合が有効である場合でも、患者26の体内における心臓24の移動(例えば、患者が除細動されていることに起因)など、他の要因によって、遠位端部30の追跡が無効となり、したがって遠位端部30が基準として使用されるので、遠位端部31の追跡が無効となり得る。
【0034】
以下で説明するように、本発明の実施形態では、基準遠位端部30の追跡が変化しているか否かが確認され、そのような変化をシステム20で補正する方法が提供される。
【0035】
重なり合う線108は、基準遠位端部30の追跡が変化しており、遠位端部の新たな有効追跡状態が存在する状況を示している。この変化は、身体基準系の移動によるものであり、したがって、
図3Aに示す身体基準系は適切ではなくなっている可能性がある。それに代わってあるいはそれに加えて、この変化は、胸腔内における心臓の移動によるものである可能性もある。いずれの場合にも、基準遠位端部の平均位置は、
図3Aに示すように、初期の値p
1から新たな値p
2へと変化する。式2は、平均位置p
2を表すものである。
p
2≡(r
2、φ
2) (2)
ここでr
2は、第2の有効追跡状態の間における基準遠位端部の平均動径であり、
φ
2は、第2の状態における基準遠位端部の平均偏角である。
【0036】
遠位端部の2つの有効追跡状態間の移行が、破線の矢印110によって模式的に示されている。
【0037】
また、有効追跡状態からの変化が、心臓24内における基準遠位端部30の移動によって生じ得る。そのような移動は、専門家28がプローブ22の近位端部を移動させていない場合でも、例えば、除細動が原因で起こり得る。本発明の各実施形態では、基準遠位端部30が心臓内で移動したか否かが確認される。そのような移動がある場合、本発明のある実施形態では、以下で説明するように、その移動が測定され、それに対する補正が与えられる。
【0038】
プロセッサ38はセンサー36を使用して遠位端部30の位置を測定するが、プロセッサ38はまた、電極32から受信した体内電気信号も記録する。グラフ102及び104は、単一電極32Bから受信した信号を示している。これらの信号は、それぞれ、線106が生成される期間内に(グラフ102)、そして線108が生成される期間内に(グラフ104)受信された電位対時間のグラフとしてプロットされている。
【0039】
これら2つのグラフは、基準パラメータと比較した信号を示しており、その基準パラメータは通常、電極32からの心臓内信号と同時に記録された皮膚ECG信号を利用してプロセッサによって生成されるものである。簡潔にかつ明確にするため、本明細書の説明において、基準パラメータは、基準時間t
Rに対して測定された体内信号の局所的活性化時間(LAT)を含むと想定される。しかしながら、信号の位相、QRS群のRピークの発生時刻、ピークの振幅、又はそのようなパラメータの組合わせなど、任意の他の好都合な基準パラメータが、基準パラメータとして利用され得る。プロセッサ38は、順次的な体内電気信号を定量的に比較するために、基準パラメータを適用する。
【0040】
体内電気信号のLATは、心臓24内における電極32の位置に依存する。グラフ102及び104で示すように、これら2つのグラフの間にLATの変化はない。グラフ102と104との間でLATの変化がないため、遠位端部30は心臓24内で移動しておらず、専門家28によって置かれた通り、心臓の冠状静脈洞内の最初の部位にある。したがって、プロセッサ38は、新たな基準遠位端部の平均位置の値p
2を、冠状静脈洞内の最初の部位に対する基準として利用することが可能である。加えて、新たな平均位置p
2を基準として利用して、プロセッサは、有効追跡状態に変化がある前に記録された、遠位端部31と基準遠位端部30との間の相対位置ベクトルを適用することによって、遠位端部31の位置、すなわち動径及び偏角を引き続き追跡することが可能である。
【0041】
図4A〜4Dは、本発明の実施形態による、体内電気信号の概略的グラフである。グラフ120、122、及び124はそれぞれ、電極32A、32B、及び32Cからプロセッサ38(
図1及び2)に伝送された信号を示している。上述のように、それぞれの信号は、心臓内の対応する部位33A、33B、33Cによって生成され、それらの部位は冠状静脈洞内にあると想定される。種々の部位で生成された信号は、形態において、そして周期において概ね類似しているが、それらの部位の物理的配置が異なるため、信号の特定の区間のレベルが異なること、及び/又は位相が異なることなどの相違が存在する。
【0042】
プロセッサ28は、種々の部位からの信号を記録することができ、種々の信号とそれらの信号を生成する種々の部位とのマッピングを生成及び記憶することができる。以下の説明では、明確にかつ簡潔にするため、このマッピングは、それぞれのLATと部位の動径とのマッピングを含むと想定され、当業者であれば、その説明を、必要に応じて変更を加えて、他のタイプのマッピングに合わせて修正することが可能となろう。したがって、グラフに示すように、LATは、部位33A(グラフ120)から部位33B(グラフ122)へ、部位33C(グラフ124)へと進むにつれて増加している。
【0043】
プロセッサ28は、マッピングされたLATを使用して、部位33A、33B、及び33Cに対して遠位端部30が移動したか否かを判断することが可能である。移動がない場合、グラフ102及び104(
図3B、3C)に関連して例示したように、電極信号は概ね不変である。
【0044】
グラフ126(
図4D)は、電極32Bからの信号のグラフであり、その信号は、グラフ122の記録時間とは異なる時間に記録されると想定されている。グラフ126の信号のLATはグラフ122のLATよりも大きいものであり、電極32Bが、したがって遠位端部30が部位33A、33B、及び33Cに対して移動したことを示唆している。プロセッサ28は、上述のように、記憶したマッピングを利用して移動を定量化する。したがって、グラフ126のLATは、領域33B及び33Cに対応する、グラフ122及び124のLATの間にあるので、プロセッサ28は、部位33Bと33Cとの間で、電極33Bの新たな部位の動径を補間によって決定することができる。
【0045】
一般に、上述した信号と電極の位置との間の、記憶済みのマッピングから、プロセッサ28は、補間及び/又は補外を利用して、所与の電極の新たな動径を、したがってその電極の遠位端部の新たな動径を、その電極で生成された新たな体内電気信号から決定することができる。更に、上記の説明では、遠位端部の新たな動径を決定することに関して触れているが、当業者には明らかとなる同様の方法が、新たな体内電気信号から遠位端部の新たな偏角を決定するために、必要に応じて変更を加えて利用されてもよい。したがって、新たな体内電気信号は、基準遠位端部の新たな位置、すなわち新たな場所及び方向を発見するために利用されてもよい。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、
図5Aは、基準遠位端部30の動作を示す概略的グラフであり、
図5B及び5Cは、遠位端部上の電極のうちの1つから導出された信号を示す概略的グラフである。以下で述べる相違は別にして、
図5Aのグラフ140はグラフ100(
図3A)と概ね類似しており、それらのグラフにおいて同じ参照符号で示されている要素は、特性も概ね類似している。グラフ140及び100は共に、身体座標軸x
B、y
B、z
B上に空間的にプロットされた基準遠位端部30の運動を示している。
図5Bのグラフ142はグラフ102(
図3B)に概ね類似している。これらのグラフは共に、線106で示される第1の有効システム追跡状態の間に、本明細書では電極32Bであると想定される、遠位端部上の電極のうちの1つから導出された体内電気信号を示している。
【0047】
図3A〜3Cに示す状況では、端部が2つの有効システム追跡状態の間で移行するので心臓24内における遠位端部30の移動が存在しないが、この状況とは対照的に、
図5A〜5Cに示す状況では、心臓24内における遠位端部30の移動が存在する。
図5Aに示すように、遠位端部30は、第1の有効状態から移行しており、この第1の有効状態は、重なり合う線106によって示されており、式(1)で定義される平均位置p
1を有している。その移行は新たな有効追跡状態へと向かうものであり、その新たな有効追跡状態は、重なり合う線148によって示されており、式(3)で定義される平均位置p
3を有している。
P
3≡(r
3、φ
3) (3)
ここでr
3は、新たな有効追跡状態の間における基準遠位端部の平均動径であり、
φ
3は、新たな状態における基準遠位端部の平均偏角である。
【0048】
新たな有効追跡状態への移行は、破線の矢印150によって模式的に示されている。
【0049】
グラフ144は、新たな有効追跡状態の間に取得された、電極32Bからの信号のグラフである。グラフ142及び144に示すように、2組の信号の間でLATの変化があり、つまり、グラフ144のLATは、グラフ142のLATよりも大きなものとなっている。したがって、これらのLATを測定することにより、プロセッサ38は、遠位端部30が移動したこと推論することが可能である。加えて、
図4A〜4Dを参照して上で説明したように、グラフ142及び144のLATの値から、プロセッサは、電極32A、32B、32C、...からの信号に基づいて、記憶されたマッピングを利用して移動を定量化することが可能である。
【0050】
図6は、本発明の実施形態によれば、システム20を動作させる際に実施される工程を示す流れ
図200である。システム段取り工程202において、専門家28は位置センサー54を被験者26に取り付け、発信器52を作動させる。プロセッサ38は次いで、モジュール50を使用して身体座標の基準系を形成する。専門家28はまた、有効システム追跡状態が存在するか否かを判断する際にシステム20が利用する事前設定値として利用される心拍動の回数の値を選択してもよい。典型的な値は10であるが、任意の他の好都合な数が選択されてもよい。段取り工程202において、専門家は通常、流れ図で利用される他の事前設定値を設定する。加えて、専門家は、電極32からの信号が変化したか否かを確認する際に利用されるパラメータを定義する。簡潔にするため、流れ図の説明において、そのパラメータは信号のLATであると想定される。
【0051】
プローブ挿入工程204において、専門家28は、所望の基準領域内にある、本明細書では冠状静脈を含むと想定される選択部位に基準遠位端部30が位置するまで、基準プローブ22を被験者26に挿入する。加えて、必要に応じて、専門家は、他のプローブ23の遠位端部が同様に所望の領域に位するまで、他のプローブ23を被験者26に挿入する。遠位端部の位置は、プロセッサ38とモジュール50によって算出され、通常は専門家に向けて数値的にかつ/又は図形的にスクリーン47上に表示される。
【0052】
第1の記録工程206において、プロセッサは、ある時間間隔にわたって基準遠位端部30の位置を記録する。プロセッサは、基準遠位端部の位置を利用して心臓24の位置を提示する。同じ時間間隔の間、プロセッサはまた、電極32からの電気信号を記録する。加えて、プロセッサは、他のプローブ23の遠位端部31の位置を記録する。この記録は、事前設定された心拍動の回数にわたってなされる。
【0053】
第1の判定工程208において、プロセッサ38は、工程206で記録された基準遠位端部30の位置が反復的であるか否かを確認し、記録の時間間隔にわたって、その位置が実質的に一定となるようにする。反復性に関する確認は、任意の好都合な手段によるものであってもよく、例えば、各心拍動ごとに算出された遠位端部の平均位置が、事前設定範囲を越えて変動しないことを確認することによるものであってもよい。
【0054】
位置が反復する場合、マッピング工程209において、プロセッサは、電極32の電気信号のLATと、電極が接触する心臓内のそれぞれの部位の位置との間のマッピングを生成する。部位の位置は、既知の寸法の基準遠位端部30とその電極からだけでなく、工程206で記録された基準遠位端部の位置からも判定され得る。流れ図は次いで、初期平均位置工程210に進む。
【0055】
初期平均位置工程210において、プロセッサ38は、基準遠位端部30の平均位置を算出し、この位置を心臓の平均位置として利用する。プロセッサは、この基準遠位端部の平均位置を利用して、基準遠位端部30に対する遠位端部31の相対位置を評価する。加えて、プロセッサは、システム20が遠位端部30及び31を追跡していることを専門家28に知らせる通知をスクリーン47上に表示してもよい。工程210より、流れ図は工程206に戻り、工程206、208、及び210が反復法によって反復されるが、工程209は、第1の反復が発生した後には実施される必要がないこともある。各工程の反復は、重なり合う線106によって示される有効システム追跡状態に対応する(
図3A及び5A)。
【0056】
上述した反復のうちの少なくとも1つの後の時点で、判定工程208が負の値を返し、そのため、位置センサー36によって判定される位置が一定でなくなり、工程210で見出された平均位置に対応せず、またそのため、基準遠位端部の平均位置に、非ゼロの変化が存在していた状況が想定される。そのような非ゼロの変化は、心臓の平均位置の変化、及び/又は、身体座標基準系の変化を示唆し得る。
【0057】
この場合、有効な追跡システムはない。そのような状況は、破線の矢印110及び150に相当する(
図3A及び5A).通常、この場合、有効状態の追跡工程212が欠損すると、追跡が失われたという警告が専門家28に向けて表示され、流れ図は第2の記録工程214に続く。
【0058】
第2の記録工程214及び第2の判定工程216(工程214に続く)は、第1の記録工程206及び第1の判定工程208と実質的に同じである。
【0059】
第2の判定工程216において、位置が反復しない場合、流れ図は後続平均位置工程218に続き、ここでプロセッサ38が基準遠位端部30の新たな平均位置を算出する。
【0060】
新たな平均位置を算出する際、プロセッサは電極32からの電気信号を考慮する。段取り工程202で定義されたパラメータ(信号のLATが含まれると想定される)が変化しておらず、
図3A〜3Cで示す状況に対応している場合、遠位端部30は、冠状静脈洞内の選択された部位から移動していない。この場合、工程214で記録された位置が利用されて、基準遠位端部30の新たな平均位置が算出され、プロセッサは、その新たな基準遠位端部の平均位置が、工程204で選択された基準部位に対応すると想定する。プロセッサは、この新たな基準遠位端部の平均位置を利用して、基準遠位端部30に対する遠位端部31の相対位置を評価する。
【0061】
工程218において信号のLATが変化した場合、これは、
図5A〜5Cで示す状況に対応する。この場合、遠位端部30は、冠状静脈洞内の選択された部位からその冠状静脈洞内の新たな基準部位へと移動している。実質的に
図4A〜4Dに関連して上述したように、工程209で生成されたマッピングを利用して、プロセッサ38は電極32からの信号を解析して、冠状静脈洞内の新たな基準部位の新たな基準位置を判定する。
【0062】
工程214で位置センサー36から記録された位置は、基準遠位端部30の新たな平均位置座標を算出するために利用され、またプロセッサは、その新たな基準遠位端部の平均位置が、マッピングから判定された新たな基準部位に対応すると想定する。この対応を利用して、プロセッサは、この新たな基準遠位端部の平均位置を利用して、新たな基準部位に対する遠位端部31の相対位置を評価する。
【0063】
判定工程216において位置が反復しない場合、流れ図は、無効追跡状態の工程220に進み、ここで通常、追跡が有効でないという警告が発行される。工程220から流れ図は工程214に戻る。通常、工程214、216及び218は、専門家28によって実施される処置が完了するまで、再び繰り返される。
【0064】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組合わせと部分的組合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらは、上述の説明を読めば当業者には思いつくものであり、また従来技術では開示されていないものである。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
可撓性プローブを被験者に挿入することと、
前記被験者の心臓内に前記プローブの遠位端部を定置することであって、前記遠位端部は、前記遠位端部の位置を示す位置信号を生成するように構成された位置センサーと、前記心臓から電気信号を伝送するように構成された電極とを備える、定置することと、
前記被験者の前記心臓の平均位置における変化の第1の
指標を、前記位置信号に応答して形成することと、
前記電気信号における変化の第2の
指標を導出することと、
前記心臓の新たな平均位置を、前記第1及び第2の
指標に応答して判定することと、を含む、方法。
(2) 前記心臓の前記平均位置における前記変化は、前記遠位端部の前記位置における変化に応答するものである、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記遠位端部の前記位置は、事前設定された回数の前記心臓の心拍動の間に測定された前記遠位端部の平均位置を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1の
指標を形成することは、前記遠位端部の前記位置が前記平均位置に対応しないと判定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第2の
指標は、前記平均位置における前記変化が非ゼロの変化であると判定することに応答して導出される、実施態様1に記載の方法。
【0066】
(6) 前記第2の
指標は、前記電気信号における変化がないことを示す、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記電極は、前記遠位端部に取り付けられた複数の電極を含み、前記複数の電極は、前記心臓内の各部位から各電気信号を伝送するように構成されている、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記各電気信号の各パラメータと前記各部位の各位置との間のマッピングを形成することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記心臓内に更なるプローブの更なる遠位端部を定置することと、前記マッピングに応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定することとを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記各パラメータは、前記各電気信号の各局所的活性化時間を含む、実施態様8に記載の方法。
【0067】
(11) 前記マッピングに応答して前記遠位端部の前記位置における変化を判定することを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記心臓内に更なるプローブの更なる遠位端部を定置することと、前記心臓の前記新たな平均位置に応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定することとを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 機器であって、
遠位端部を有する可撓性プローブであって、被験者に挿入するように構成されている可撓性プローブと、
前記遠位端部に含められた位置センサーであって、前記被験者の心臓内における前記遠位端部の位置を示す位置信号を生成するように構成されている位置センサーと、
前記遠位端部に含められた電極であって、前記心臓から電気信号を伝送するように構成されている電極と、
プロセッサであって、
前記被験者の前記心臓の平均位置における変化の第1の
指標を、前記位置信号に応答して形成し、
前記電気信号における変化の第2の
指標を導出し、
前記心臓の新たな平均位置を、前記第1及び第2の
指標に応答して判定するように構成されたプロセッサと、を備える、機器。
(14) 前記心臓の前記平均位置における前記変化は、前記遠位端部の前記位置における変化に応答するものである、実施態様13に記載の機器。
(15) 前記遠位端部の前記位置は、事前設定された回数の前記心臓の心拍動の間に測定された前記遠位端部の平均位置を含む、実施態様13に記載の機器。
【0068】
(16) 前記第1の
指標を形成することは、前記遠位端部の前記位置が前記平均位置に対応しないと判定することを含む、実施態様15に記載の機器。
(17) 前記第2の
指標は、前記平均位置における前記変化が非ゼロの変化であると判定することに応答して導出される、実施態様13に記載の機器。
(18) 前記第2の
指標は、前記電気信号における変化がないことを示す、実施態様13に記載の機器。
(19) 前記電極は、前記遠位端部に取り付けられた複数の電極を含み、前記複数の電極は、前記心臓内の各部位から各電気信号を伝送するように構成されている、実施態様13に記載の機器。
(20) 前記プロセッサは、前記各電気信号の各パラメータと前記各部位の各位置との間のマッピングを形成するように構成されている、実施態様19に記載の機器。
【0069】
(21) 前記心臓内に定置された更なるプローブの更なる遠位端部を備え、前記プロセッサは、前記マッピングに応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定するように構成されている、実施態様20に記載の機器。
(22) 前記各パラメータは、前記各電気信号の各局所的活性化時間を含む、実施態様20に記載の機器。
(23) 前記プロセッサは、前記マッピングに応答して前記遠位端部の前記位置における変化を判定するように構成されている、実施態様20に記載の機器。
(24) 前記心臓内に定置された更なるプローブの更なる遠位端部を備え、前記プロセッサは、前記心臓の前記新たな平均位置に応答して前記更なる遠位端部の更なる位置を判定するように構成されている、実施態様13に記載の機器。