特許第6261912号(P6261912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261912
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】遮蔽部付き付箋
(51)【国際特許分類】
   B42D 9/00 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   B42D9/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-176559(P2013-176559)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-44341(P2015-44341A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】595137239
【氏名又は名称】株式会社カンミ堂
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】末永 卓
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−097966(JP,U)
【文献】 特開平11−342690(JP,A)
【文献】 特開2008−179162(JP,A)
【文献】 実開昭54−077655(JP,U)
【文献】 実開昭59−055777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/00
G09B 3/00−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の透明な基材(4)と、基材(4)の裏面に形成した着脱可能な粘着層(6)と、基材(4)の表面の長手方向の一部に印刷された、透視を妨げるための遮蔽部(10)とで形成され、
遮蔽部(10)は、不透明な地色部(12)を有し、
上記遮蔽部(10)は、遮蔽部(10)の全体に亘って地色部(12)を細分するように線又はマークで描かれた撹乱パターン(14)を有し、かつ撹乱パターン(14)を、乱れ線模様としたことを特徴とする、遮蔽部付き付箋。
【請求項2】
上記基材(4)のうち遮蔽部(10)と隣接る透明部分を、線の書き込みが可能に形成したことを特徴とする、請求項記載の遮蔽部付き付箋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽部付き付箋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、参考書などのテキストの記載内容を覚えるための学習ツールとして、テキストのうちのキーワードを例えば赤字で記載し、これに赤い透明な下敷きを重ねて、キーワード部分を見えにくくするという技術が知られている(特許文献1の段落0002)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−131866
【特許文献2】特開2011−051145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、キーワードを周囲の文字と違う色で印刷する必要があり、予め決められたキーワードにしか適用できない。他方、付箋として、透明で書き込み可能な合成樹脂製フィルムで形成したものが知られているが(特許文献2)、文字を隠すという目的のものではない。透明なフィルムを採用する理由として、特許文献2の段落0014には不透明な紙製であると下の文字が隠れてしまうという記載があるが、積極的に文字を隠すためには付箋の構造をどうしたらよいかという発想はなかった。
【0005】
出願人は、付箋を使って任意の文字を隠す方法を研究した。普通の大きさの付箋では文字を隠すという用途には大きすぎることが多いし、他方、2〜3文字が隠れる程度の付箋にすると、摘持するのに小さ過ぎ、扱いにくい。
【0006】
本発明の目的は、文字を隠す用途に適した遮蔽部付き付箋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、帯状の透明な基材4と、基材4の裏面に形成した着脱可能な粘着層6と、基材4の表面の長手方向の一部に印刷された、透視を妨げるための遮蔽部10とで形成され、
遮蔽部10は、不透明な地色部12を有し、
上記遮蔽部10は、遮蔽部10の全体に亘って地色部12を細分するように線又はマークで描かれた撹乱パターン14を有し、かつ撹乱パターン14を、乱れ線模様としている。
【0008】
本手段では、図2に示す如く、付箋の基材4の表面の長手方向一部に不透明な遮蔽部10を形成することを提案する。この遮蔽部10で所定のキーワードを隠すことができる。
【0010】
また本手段では、図2に示す如く、上記遮蔽部10に撹乱パターン14を設けた態様を設けることを提案する。付箋の基材4の素材としてフィルムなどの薄い材料を用いると、基板の材料自体が不透明としても、テキストを付箋で覆ったときに、下の文字がある程度遮蔽部の表側から透けて見えることが想定される。しかし遮蔽部10の地色部12を細分化する撹乱パターンがあると、利用者は、そのパターンの印象が強いので、僅かに透けて見える文字を目で追うことが困難になり、結果として遮蔽機能が高まる。本明細書において、「撹乱パターン」とは、見る者の視覚認識を撹乱し、下側から透ける文字などの認識を妨げるパターンという程度の意味である。
【0014】
また本手段では、撹乱パターンを乱れ線模様としている。ランダムな模様であるので、仮に文字がわずかに透けて見えても、模様の間からのぞく文字を利用者が目で追うことが一層困難となる。これについてはさらに後述する。
【0015】
の手段は、第の手段を有し、かつ上記基材4のうち遮蔽部10と隣接る透明部分を、線の書き込みが可能に形成した。
【0016】
本手段では、図5に示すように遮蔽部10の乱れ線に加えて隣接部分に手書きで乱れ線を書き足すことが可能な態様を提案している。
【発明の効果】
【0017】
第1の手段に係る発明によれば、付箋2の一部を遮蔽部としたから、テキストのキーワードを隠すことができ、隠す必要が無くなったら、付箋を除去することで再びキーワードが表れるので便利である。
またの手段に係る発明によれば、遮蔽部10に撹乱パターン14を設けたから、遮蔽機能を高めることができる。
またの手段に係る発明によれば、撹乱パターン14を乱れ線模様としており、その撹乱作用が一層高まる。
の手段に係る発明によれば、基材4のうち遮蔽部10と隣接する透明部分に線の書き込みが可能としたから、遮蔽部10の乱れ線に加えて手書きの乱れ線を書き足して遮蔽範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る遮蔽部付き付箋の斜視図である。
図2図1の付箋の平面図である。
図3図1の付箋の側面形状を、厚みを誇張して描いた図である。
図4図1の付箋の使用方法の説明図である。
図5図1の付箋の作用説明図である。
図6図1の付箋の積層体の一つの実施例の平面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る遮蔽部付き付箋の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1から図5は、本発明の第1の実施形態に係る付箋である。なお、図1及び図2では、実施の好適例として、多数の付箋を重ね合せ、台紙20に取り付けたもの(付箋積層体1)を、想像線で描いている。
【0020】
付箋2は、細長い透明な基材4を有し、基材4の裏面に着脱可能な粘着層6を形成するとともに、基材4の表面に遮蔽部10を、印刷などの手段により形成している。
【0021】
上記基材4は、帯状の薄い板又はシートとして形成される。その基材4の巾Dは、印刷物の一般的な文字のサイズ(例えば8〜12ポイント)に対応してそれよりやや大きく設ける。また基材4は、透明な材料で形成する。遮蔽する箇所以外の文字を透視することが可能とするためである。
【0022】
上記基材4の裏面には、粘着層6を設ける。粘着層6は、基材4の基端E寄りの一定範囲(図示例では全長の3/4程度)に亘って形成する。粘着層6が設けられていない、基材4の先端E側の端部は、例えば彩色により区分された摘み部8としている。
【0023】
遮蔽部10は、基材4の表面に、長手方向の一部を占めるように形成する。
【0024】
この遮蔽部10の長さLは、付箋の巾Dのほぼ整数倍とすることが好適である。平均的な文字の縦・横のサイズは大よそ同じであるから、付箋の巾Dを、ある文字サイズの一文字分とすれば、遮蔽部10の長さLをそのN倍(Nは整数)とすることで、N個の文字を隠すことが可能な遮蔽部10が得られる。本発明の一実施例として、図6に示すように、付箋の巾Dが同じで遮蔽部10の長さLが異なる(但しDの整数倍であるという条件を満たす)複数の付箋積層体の組を台紙20に貼り付けて販売してもよい。図示例では、2文字隠蔽用、3文字隠蔽用、4文字隠蔽用の長さを有する隠蔽部付きの付箋を開示しているが、何文字用とするのかは適宜変更することができる。
【0025】
遮蔽部10は、地色部12と、乱れ線模様の撹乱パターン14とで構成されている。地色部12は、不透明であり、撹乱パターン14は、地色とは異なる色で地色部12を細分するように地色部12のほぼ全体に亘って形成される。もっとも上記構成のうち撹乱パターンは省略することができる。また不透明な地色部を透明な地色部に変更する例について後述する。
【0026】
図4は、(A)遮蔽部10に撹乱パターン14を設けた場合と、(B)遮蔽部10に撹乱パターン14を設けていない場合との作用を対比可能に示している。付箋を合成樹脂製のフィルムで形成したときには、フィルムの材料自体が不透明でも、テキストの文字の太さや色彩次第では図4(B)のようにある程度透けて見える可能性がある。そこで図4(A)のように乱れ線模様の撹乱パターン14を設けると、利用者の注意は撹乱パターン14に惹かれるため、僅かに透けている文字を認識しにくい。撹乱パターン14としては、規則正しい複数の平行線(ハッチングなど)のパターンなどでもよいが、ランダムな乱れ線がより効果的である。
【0027】
図5は、本発明の使用例を説明している。図5(A)に示す如く、テキストBを開いて、テキスト中の、あるキーワード(例えば「大化改新」)に遮蔽部10が重なるように付箋2を貼り付ける(図5(B)の如く参照)。そうすると、キーワード以外の部分は透視して見えるので、この状態でキーワードの暗記作業を行うとよい。
【0028】
必要がなくなったときには、上記付箋2を貼付箇所から剥離することができる。そして別のキーワード(例えば「班田収授の法」)に同様の手順で付箋2を貼付してもよい。このときに、キーワードの語数に適合する長さの遮蔽部10を有する付箋2が利用者の手元にあれば、それを用いればよい。しかし、手元に有する付箋の遮蔽部10がキーワードの語数を隠すのに短すぎるときには、取りあえずその付箋2を貼付するとともに、その付箋2の透明部分に乱れ線を書き込んでキーワードを隠すようにするとよい。
【0029】
以下本発明の他の実施形態を説明する。この説明において第1実施形態と同じ構造に関しては解説を省略する。
【0030】
図7は、本発明の第2実施形態に係る遮蔽部付きの付箋を示している。この構成において、遮蔽部10は、不透明な地色部12に代えて、想像線で示す透明な地色部13を採用している。本実施形態では、文字を隠す機能は専ら撹乱パターン14により達成される。図示はしていないが、当該機能を発揮するために、撹乱パターンの線の太さを第1実施形態のそれに比べて大とすることができる。なお、想像線は観念的に基板の残りの部分と区別をするために作図している。実際には、遮蔽部10の地色部13と残りの基材部分とは、境目が全く区別できないものでもよく、またデザイン上の都合で、両者の一方又は双方を色付き透明部分として、色の違いで境目を認識できるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…付箋積層体 2…付箋 4…基材 6…粘着層 8…摘み部
10…遮蔽部 12…地色部 13…地色部 14…撹乱パターン
B…テキスト D…巾 E…基端 E…先端 L…長さ W…文字

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7