(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る付加音制御装置、音響機器、付加音制御方法について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、本発明の音響機器を、DJ機器の一種であるDJエフェクターに適用した場合について例示する。
【0015】
図1に示す図は、本実施形態のDJエフェクター1である。DJエフェクター1は、上ケース61および下ケース64(
図7参照)から成る筐体の上面に、左右1つずつの操作エリア22を備えている。各操作エリア22には、操作部12およびボタン群20が設けられている。操作部12については後述する。
【0016】
左側の操作エリア22に設けられたボタン群20は、操作部12の操作摘み21(後述する)の平面視上方を囲むように設けられたAUDIO EFFECT群23と、操作摘み21の平面視下方を囲むように設けられたINSTRUMENT群24とを有している。AUDIO EFFECT群23は、入力した楽曲を加工して効果を与える各種オーディオエフェクトを選択するためのものであり、入力された音を繰り返し発音する「ROLL44」や、入力された音を断続的にカットする「TRANS41」などを備える。また、INSTRUMENT群24は、自機にて音声生成し、入力音声の有無にかかわらず自発音できる各種オーディオエフェクト(オシレータエフェクト)を選択するためのものであり、手拍子のような音を追加する「CLAP42」や、ドラムセットのハイハットの音を追加する「HIHAT43」などを備える。
【0017】
一方、右側の操作エリア22に設けられたボタン群20は、操作摘み21の平面視上方を囲むように設けられたBUILD UP群25と、操作摘み21の平面視下方を囲むように設けられたBREAK DOWN群26とを有している。BUILD UP群25は、音圧が上がる各種オーディオエフェクトを選択するためのものである。BREAK DOWN群26は、音圧が下がる各種オーディオエフェクトを選択するためのものである。
【0018】
各種オーディオエフェクトのボタン類は押下式となっており、選択され押下されたエフェクトボタンの内側にあるランプ60が点灯するようになっている。
【0019】
操作者は、入力した楽曲に付加したいオーディオエフェクトを、ボタン群20のなかの各ボタンを押すことで選択する。複数のオーディオエフェクトを選択した場合、選択順、すなわちボタンを押した順に、楽曲に付加されるエフェクトが切り替わる。なお、DJエフェクター1をPCと接続して使用する場合、PC側において、楽曲に付加したいオーディオエフェクトの選択やその順番設定を行ってもよい。
また、以下の説明では、左側の操作エリア22に設けられた操作部12を操作する場合について説明するが、本発明は、右側の操作エリア22に設けられた操作部12にも、同様に適用されるものである。
【0020】
図2は、DJエフェクター1の機能構成を示すブロック図である。DJエフェクター1は、信号入力部11、操作部12、ボタン群20、パラメーター発生部14、音声信号処理部15および信号出力部16を備えている。
【0021】
信号入力部11は、DJプレーヤー46等の外部機器から楽曲の音声信号を入力する。操作部12は、詳細は後述するが、回転操作および押込み操作可能な操作摘み21を備えている。操作部12は、可変抵抗器51により操作摘み21の回転角度を検出し、圧力センサー52により操作摘み21の押込み量を検出し、その検出結果をパラメーター発生部14に出力する。
なお、操作部12は、特許請求の範囲における「操作装置」の一例である。可変抵抗器51は、特許請求の範囲における「回転検出部」の一例である。圧力センサー52は、特許請求の範囲における「圧力検出部」の一例である。
【0022】
パラメーター発生部14は、操作摘み21の回転角度に基づいて、切替え周期パラメーターを発生させ、操作摘み21の押込み量に基づいて、発音回数パラメーターを発生させる。切替え周期パラメーターは、複数種のオーディオエフェクトから、信号入力部11に入力した楽曲に付加されるオーディオエフェクトを、順次切り替える切替え周期を、変化させるためのものである。発音回数パラメーターは、切替え周期におけるオーディオエフェクトの発音回数を変化させるためのものである。パラメーター発生部14は、オーディオエフェクトが付加される楽曲の拍位置に合わせたタイミングで、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターを発生させ、音声信号処理部15へ出力する。
なお、DJエフェクター1が、楽曲の拍位置を検出する拍位置検出部(図示なし)を備えていてもよく、DJプレーヤー46などの外部機器において楽曲の拍位置が検出され、DJエフェクター1が拍位置データを取得するようにしてもよい。
【0023】
音声信号処理部15は、パラメーター発生部14からの切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターに基づいて、入力された音声信号に対し、オーディオエフェクトの付加などを行う。また、信号出力部16は、音声信号処理部15による処理後の音声信号を、DJミキサー45に出力する。これにより、楽曲にオーディオエフェクトが付加された音がスピーカー47から出力される。
【0024】
次に、
図3を参照し、操作摘み21の回転角度に基づいた付加音の切替え周期の変化について説明する。操作摘み21の周りには、4分音符マーク30a、8分音符マーク30b、16分音符マーク30cおよび32分音符マーク30dが表示されている。操作摘み21を4分音符マーク30aの回転角度、8分音符マーク30bの回転角度、16分音符マーク30cの回転角度、32分音符マーク30dの回転角度に回転操作すると、その回転角度の検出結果に基づいて、パラメーター発生部14は、第1切替え周期パラメーター、第2切替え周期パラメーター、第3切替え周期パラメーター、第4切替え周期パラメーターをそれぞれ発生させる。音声信号処理部15は、第1切替え周期パラメーターを受信すると、複数種のオーディオエフェクトから付加されるオーディオエフェクトを切り替える切替え周期を、1拍とする。音声信号処理部15は、第2切替え周期パラメーターを受信すると、切替え周期を1/2拍に、第3切替え周期パラメーターを受信すると、切替え周期を1/4拍に、第4切替え周期パラメーターを受信すると、切替え周期を1/8拍にする。
例えば、ここでは、オーディオエフェクトとして、「TRANS41」、「CLAP42」、「HIHAT43」および「ROLL44」が選択されているものとする。DJプレーヤー46などの操作者が、操作摘み21を4分音符マーク30aの回転角度に回転操作した場合、パラメーター発生部14が第1切替え周期パラメーターを発生させ、音声信号処理部15が切替え周期を1拍にする。その結果、楽曲に付加されるオーディオエフェクトが、1拍ごとに、「TRANS41」、「CLAP42」、「HIHAT43」および「ROLL44」の順に切り替わる(
図3(a)参照)。また、操作者が操作摘み21を8分音符マーク30bの回転角度に回転操作した場合は、パラメーター発生部14が第2切替え周期パラメーターを発生させ、音声信号処理部15が切替え周期を1/2拍にする。その結果、オーディオエフェクトが、1/2拍ごとに、「TRANS41」、「CLAP42」、「HIHAT43」および「ROLL44」の順に切り替わる(
図3(b)参照)。以下、操作摘み21を16分音符マーク30cの回転角度、32分音符マーク30dの回転角度に回転操作した場合も同様である。
【0025】
以上、操作摘み21の回転角度に基づいたオーディオエフェクトの切替え周期の変化について説明をしたが、回転操作による切替え周期の選択数は、本実施形態のように4つではなく、3つ以下あるいは5つ以上であっても良い。また、本実施形態では、切替え周期の選択肢が、1拍、1/2拍、1/4拍、1/8拍に固定されているが、これを、操作者が複数の切替え周期のなかから選択できる構成にしても良い。
【0026】
次に、
図4を参照し、操作摘み21の押込み量に基づいたオーディオエフェクトの発音回数の変化について説明する。操作摘み21は、詳細は後述するが、押込み可能量が3mmとなっている。操作摘み21を、押込み量が「小」(例えば0mm以上1mm未満)の位置、押込み量が「中」(例えば1mm以上2mm未満)の位置、押込み量が「大」(例えば2mm以上3mm以下)の位置に押込み操作すると、その押込み量の検出結果に基づいて、パラメーター発生部14は、第1発音回数パラメーター、第2発音回数パラメーター、第3発音回数パラメーターをそれぞれ発生させる。音声信号処理部15は、第1発音回数パラメーターを受信すると、切替え周期におけるオーディオエフェクトの発音回数を1回とする。音声信号処理部15は、第2発音回数パラメーターを受信すると、発音回数を2回に、第3発音回数パラメーターを受信すると、発音回数を4回にする。
【0027】
例えば、ここでは、上記と同様に、オーディオエフェクトとして、「TRANS41」、「CLAP42」、「HIHAT43」および「ROLL44」が選択されているものとする。また、操作摘み21は、4分音符マーク30aの回転角度に回転操作されており、切替え周期は1拍となっているものとする。操作者が、操作摘み21を、押込み量「小」の位置に押込み操作した場合、パラメーター発生部14が第1発音回数パラメーターを発生させ、その結果、楽曲に付加されるオーディオエフェクトが、切替え周期(1拍)のなかで1回発音する(
図4(a)参照)。また、操作者が、操作摘み21を、押込み量「中」の位置に押込み操作した場合、パラメーター発生部14が第2発音回数パラメーターを発生させ、その結果、オーディオエフェクトが、切替え周期(1拍)のなかで2回発音する(
図4(b)参照)。また、操作者が、操作摘み21を、押込み量「大」の位置に押込み操作した場合、パラメーター発生部14が第3発音回数パラメーターを発生させ、その結果、オーディオエフェクトが、切替え周期(1拍)のなかで4回発音する(
図4(c)参照)。
【0028】
このように、楽曲に付加されるオーディオエフェクトの発音回数を、操作摘み21の押込み量に基づいて、1拍ごとに1回、1拍ごとに2回、1拍ごとに4回、と変化させることができる。
【0029】
以上、操作摘み21の押込み量に基づいたオーディオエフェクトの発音回数の変化について説明をしたが、押込み操作による発音回数の選択数は、本実施形態のように3つではなく、2つ以下あるいは4つ以上であっても良い。本実施形態では、発音回数の選択肢が、1回、2回、4回に固定されているが、これを、操作者が複数種の発音回数のなかから選択できる構成にしても良い。
【0030】
次に、
図5を参照し、切替え周期を切り替える操作、および発音回数を切り替える操作を同時に行った場合、つまり操作摘み21の回転操作および押込み操作を、同時に行った場合について説明する。
上述したように、パラメーター発生部14は、楽曲の拍位置に合わせたタイミングで、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターを発生させ、音声信号処理部15へ出力する。そのため、拍の途中で操作摘み21の回転操作および押込み操作を行った場合にも、次の拍の頭から、切替え周期および発音回数が変化するようになっている。
【0031】
まず、1拍目では、操作摘み21の回転角度を4分音符マーク30aの範囲に回転した状態であり、押し込み量は「小」である。このとき、切替え周期は1拍であり、発音回数は1回である。このため、1拍目では、「TRANS41」が1回発音される。
【0032】
1拍目の間に、操作者が、操作摘み21の回転角度を8分音符マーク30bの範囲内とすると共に、押込み量を「中」とする。これにより、2拍目では、切替え周期が1/2拍に、発音回数が2回に変化する。このため、2拍目の頭では「CLAP42」が発音され、その1/2拍後には、「HIHAT」が発音される。また、「CLAP42」は、1/2拍のなかで2回発音する。同様に、「HIHAT43」は、1/2拍のなかで2回発音する。
【0033】
2拍目の間に、操作者が、操作摘み21の回転角度を16分音符マーク30cの範囲内とすると共に、押込み量を「小」に戻す。これにより、3拍目では、切替え周期が1/4拍に、発音回数が1回に変化する。このため、3拍目の頭で「ROLL44」が発音され、その1/4拍後には「TRANS41」が発音され、その1/4拍後には「CLAP42」が発音され、その1/4拍後には「HIHAT43」が発音される。また、「ROLL44」は、1/4拍のなかで1回発音する。同様に、「TRANS41」、「CLAP42」および「HIHAT43」は、それぞれ1/4拍のなかで1回発音する。
【0034】
3拍目の間に、操作者が、操作摘み21の回転角度を4分音符マーク30aの範囲内に戻すと共に、押込み量を「大」にする。これにより、4拍目では、切替え周期が1拍に、発音回数が4回に変化する。このため、4拍目では「ROLL44」が4回発音される。
【0035】
以上のように、本実施形態のDJエフェクター1によれば、操作摘み21を回転操作することで、パラメーター発生部14が切替え周期パラメーターを変化させ、音声信号処理部15が切替え周期を変化させる。また、操作摘み21を押込み操作することで、パラメーター発生部14が発音回数パラメーターを変化させ、音声信号処理部15が発音回数を変化させる。したがって、切替え周期を変化させる操作と、発音回数を変化させる操作とを、1つの操作子で行うことができる。特に、迅速且つ正確な操作が求められるDJプレイにおいては、格段の効果を得ることができる。
また、パラメーター発生部14は、オーディオエフェクトが付加される楽曲の拍位置に合わせたタイミングで、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターを発生させることで、操作摘み21の回転操作および押込み操作を、拍の途中で行った場合にも、次の拍の頭から切替え周期および発音回数が変化する。このため、操作者は、回転操作および押込み操作を行うタイミングを、楽曲の拍のタイミングに合わせて行わずとも、オーディオエフェクトを楽曲の拍のタイミングに合わせて付加することができる。
【0036】
図6を参照して、本実施形態の変形例について説明する。変形例に係るDJエフェクター1は、上述したDJエフェクター1と略同様の構成であるが、制御部17をさらに備えている点で相違する。
【0037】
ここでは、パラメーター発生部14は、楽曲の拍のタイミングにかかわらず、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターを発生させる。
【0038】
制御部17は、パラメーター発生部14にて発生された切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターを、オーディオエフェクトが付加される楽曲の拍位置に合わせたタイミングで音声信号処理部15へ出力する。
【0039】
このように、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターの発生をパラメーター発生部14が行い、切替え周期パラメーターおよび発音回数パラメーターの出力制御を制御部17で行う構成であっても良い。この場合も、操作摘み21の回転操作および押込み操作を、拍の途中で行った場合にも、次の拍の頭から切替え周期および発音回数が変化する。このため、操作者は、回転操作および押込み操作を行うタイミングを、楽曲の拍のタイミングに合わせて行わずとも、オーディオエフェクトを楽曲の拍のタイミングに合わせて付加することができる。
【0040】
図7および
図8を参照して、操作部12について説明する。なお、以下の説明では、
図7の紙面上の上下を「上下」として説明する。もちろん、この方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、この方向に限定されることはない。
【0041】
図7に示すように、操作部12は、操作摘み21が上ケース61の上面から突出して設けられたロータリー式可変抵抗器51(以下、単に「可変抵抗器51」ともいう。)と、可変抵抗器51が取り付けられた取付プレート62と、取付プレート62の周縁部に設けられたダンパー63と、下ケース64から取付プレート62の周縁部に向けて突設された位置規制凸部65と、取付プレート62の下方に設けられた支持プレート66と、取付プレート62と支持プレート66との間に設けられた圧縮コイルバネ67と、支持プレート66の下方で下ケース64に固定された圧力センサー52とを備えている。
なお、位置規制凸部65は、特許請求の範囲における「位置規制部」の一例である。
【0042】
可変抵抗器51は、下方から順に、抵抗パターン(図示省略)が形成されたボリューム基板68と、取付プレート62に形成された開口部69に挿通した段付き円筒状のケース部71と、抵抗パターンに摺動する摺動子(図示省略)を回転させる回転軸72と、回転軸72の先端に固定された、有蓋円筒状の操作摘み21と、を備えている。可変抵抗器51は、ボリューム基板68を取付プレート62の下面にネジ止めすることで、取付プレート62に固定されている。
【0043】
操作者が、操作摘み21を回転操作すると、回転軸72および摺動子が回転し、可変抵抗器51の抵抗値が変化する。これにより、出力電圧または出力電流が変化し、操作摘み21の回転角度が検出される。パラメーター発生部14は、検出された回転角度に応じて、上述した4種類の切替え周期パラメーターを発生させる。なお、操作摘み21の回転方向の1または複数箇所に、クリック位置を設けてもよい。
また、操作摘み21の上面および外周面には、タッチセンサー73が取り付けられており、操作者が操作摘み21に触れているか否かを検出できるようになっている。
【0044】
可変抵抗器51は、取付プレート62および圧縮コイルバネ67を介して、支持プレート66上に支持されている。このため、可変抵抗器51の操作摘み21は、圧縮コイルバネ67に抗して、押込み操作可能となっている。
【0045】
取付プレート62は、略円板状に構成されており、中心部に、可変抵抗器51のケース部71が挿通した開口部69が形成されている。
【0046】
取付プレート62の周縁部には、上ケース61から下方に延びるガイドピン(図示省略)が挿通したガイド孔75が3箇所に形成されている。3つのガイド孔75は、取付プレート62の中心周りに、等角度間隔すなわち120°間隔に設けられている。取付プレート62は、ガイドピンにガイドされながら、上下方向にスライド可能となっている。このため、操作摘み21を下方に押込み操作すると、取付プレート62が、圧縮コイルバネ67に抗して下方にスライドする。また、取付プレート62が下方にスライドした状態で、操作摘み21の押込み力を弱めると、取付プレート62が、圧縮コイルバネ67により付勢され、上方にスライドする。
なお、ガイド孔75は、ガイドピンに対して余裕のある径を有している。これにより、操作者が操作摘み21を上下方向に対して斜めに押し込んだ場合、取付プレート62が、斜めに傾いた状態、すなわちガイドピンの延在方向に垂直な面に対して傾いた状態となり、この状態で取付プレート62が上下方向にスライド可能となっている。
【0047】
また、取付プレート62の下面周縁部には、ボス状の上バネ位置決め部76が3箇所に突設されている。3つの上バネ位置決め部76は、上記のガイド孔75と同様に、取付プレート62の中心周りに等角度間隔に設けられている。上バネ位置決め部76により、圧縮コイルバネ67の上端部が位置決めされる。
【0048】
さらに、取付プレート62の周縁部には、ダンパー63が3箇所に設けられている。3つのダンパー63は、上記のガイド孔75などと同様に、取付プレート62の中心周りに等角度間隔に設けられている。
【0049】
ダンパー63は、取付プレート62の周縁部に取り付けられた短円筒状のシリンダー部77と、シリンダー部77を貫通すると共に、上端が上ケース61の下面に固定されたロッド部78とを備えている。ダンパー63は、取付プレート62の下方へのスライドを緩衝する。ダンパー63により、操作摘み21の押込み操作に必要な押込み力が調整されている。すなわち、ダンパー63により、適度な押込み力で操作摘み21を押込み操作できるようになっている。
【0050】
位置規制凸部65は、下ケース64から、取付プレート62の周縁部に向けて、3箇所に突設されている。3つの位置規制凸部65は、上記のガイド孔75などと同様に、取付プレート62の中心周りに等角度間隔に設けられている。位置規制凸部65は、下方にスライドした取付プレート62が度当たりすることで(
図7(b)参照)、取付プレート62の下方へのスライド端位置、すなわち操作摘み21の押込み端位置を規制している。これにより、取付プレート62の上下方向のスライド可能量、すなわち操作摘み21の押込み可能量は、例えば3mmとなっている。
【0051】
支持プレート66は、略角丸正三角形板状に構成されており、各角部の上面には、下バネ位置決め部(図示省略)が形成されている。また、支持プレート66の下面中央部には、円弧面状の押圧部81が突設されている。押圧部81は、操作摘み21を押込み操作した際に、圧力センサー52の受圧部82(後述する)を押圧する部位となる。押圧部81は、円弧面状に形成されていることで、取付プレート62が斜めに傾いた状態となっても、受圧部82を適切に押圧することができる。
【0052】
圧縮コイルバネ67は、取付プレート62と支持プレート66との間において、上記の上バネ位置決め部76および下バネ位置決め部が形成された3箇所に設けられている。すなわち、3つの圧縮コイルバネ67は、取付プレート62に垂直な方向から見て、操作摘み21の周囲に等角度間隔に設けられている。圧縮コイルバネ67は、取付プレート62を、操作摘み21の押込み方向とは反対側、すなわち上方に向けて、付勢している。
なお、圧縮コイルバネ67に代えて、板バネ、ゴム状部材など、他の弾性体を用いてもよい。
【0053】
圧力センサー52は、センサー基板83と、センサー基板83上に設けられた受圧部82とを備えている。受圧部82には、支持プレート66の押圧部81が当接している。操作者が、操作摘み21を押込み操作すると、取付プレート62、圧縮コイルバネ67および支持プレート66を介して、受圧部82が押圧される。圧力センサー52は、受圧部82に掛かった押圧力を検出する。
【0054】
このように構成された操作部12では、操作者が、圧縮コイルバネ67に抗して操作摘み21を押込み操作すると、その押込み量に応じて、取付プレート62が下方にスライドし、圧縮コイルバネ67が収縮する。そして、圧縮コイルバネ67の性質、すなわちフックの法則により、操作摘み21の押込み量が大きくなるほど、つまり圧縮コイルバネ67の収縮量が大きくなるほど、それに必要な操作摘み21に対する押圧力も大きくなる。操作摘み21に対する押圧力は、取付プレート62、圧縮コイルバネ67および支持プレート66を介して受圧部82に掛かり、圧力センサー52により検出される。換言すれば、操作部12は、操作摘み21の押込み量を、操作摘み21と受圧部82との間に介在する圧縮コイルバネ67により押圧力に変換し、その押圧力を圧力センサー52により検出することで、操作摘み21の押込み量を検出している。
【0055】
上記のパラメーター発生部14は、圧力センサー52により検出された圧力、すなわち操作摘み21の押込み量に応じて、3種類の発音回数パラメーターを発生させる。例えば、パラメーター発生部14は、押込み量が「小」すなわち1mm未満(検出圧力が2N未満)のときは、第1発音回数パラメーターを発生させ、押込み量が「中」すなわち1mm以上2mm未満(検出圧力が2N以上4N未満)のときは、第2発音回数パラメーターを発生させ、押込み量が「大」すなわち2mm以上(検出圧力が4N以上)のときは、第3発音回数パラメーターを発生させる。なお、操作摘み21の押込み方向の1または複数箇所に、クリック位置を設けてもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態の操作部12によれば、操作摘み21が押込み操作可能であることで、操作者は、押込みを伴わない押圧のみの操作において操作量すなわち押圧力を加減する場合に比べ、その操作量すなわち押込み量を容易に加減することができる。これにより、操作者が、狙い通りの操作量となるように操作することができる。すなわち、操作者が、操作摘み21を押込み操作することで、狙い通りの発音回数パラメーターを発生させることができる。さらに、操作部12は、上記のとおり、操作摘み21の押込み量を、操作摘み21と受圧部82との間に介在する圧縮コイルバネ67により押圧力に変換し、その押圧力を圧力センサー52により検出することで、操作摘み21の押込み量を検出する。これにより、押込み量が微小量(例えばミリ単位)であっても、その押込み量を検出することができる。
【0057】
さらに、操作部12が、位置規制凸部65を備えたことで、操作摘み21の押込み端位置が規制される。これにより、圧縮コイルバネ67が過度に収縮することがなく、圧力センサー52の受圧部82に対し、定格以上の押圧力が掛かることを防止することができる。
【0058】
また、操作部12では、3個の圧縮コイルバネ67が、取付プレート62に垂直な方向から見て、操作摘み21の周囲に分散して設けられている。これにより、操作者が操作摘み21を上下方向に対して斜めに押し込んだことで、取付プレート62が、斜めに傾いた状態で下方にスライドする場合にも、操作摘み21の押込み量を適切に検出することができる。換言すれば、操作者は操作摘み21を正確に下方に押し込む必要がなく、操作性を向上させている。さらに、3個の圧縮コイルバネ67が、取付プレート62に垂直な方向から見て、操作摘み21の周囲に等角度間隔に設けられていることで、取付プレート62がいずれの向きに傾いた場合にも、操作摘み21の押込み量を適切に検出することができる。
なお、当然ではあるが、圧縮コイルバネ67の個数は、3個に限られるものではない。ガイド孔75やガイドピン、ダンパー63などについても同様である。
【0059】
さらに、操作部12では、操作摘み21の回転軸72方向と押込み方向とが一致しているが、両方向の関係は何ら限定されるものではなく、例えば、回転軸72方向とが直交した構成であってもよい。もっとも、本実施形態のように、操作摘み21の回転軸72方向と押込み方向とが一致していることで、操作者は、操作摘み21をねじ込むような1つの動作により、操作摘み21の回転操作と押込み操作との双方を行うことができる。したがって、操作者は、1つの動作により、切替え周期および発音回数を変化させることができる。
【0060】
なお、上記の実施形態では、押込み操作可能な操作子として、可変抵抗器51の操作摘み21を例示したが、押込み操作可能であれば、操作子の形態は問わない。例えば、DJプレーヤー46に多く搭載されるジョグダイヤルであっても良い。また、これらの操作子をリモートコントローラーに搭載しても良い。操作子は、PCと接続して用いられるDJコントローラー上に搭載されたものであっても良い。
【0061】
また、上記の実施形態では、本発明の付加音制御装置をDJエフェクター1に適用した場合を例示したが、DJエフェクター1以外のDJ機器(DJミキサー45、DJプレーヤー46等)に適用しても良い。また、DJ機器以外の音響機器に本発明の付加音制御装置を適用しても良い。音響機器としては、例えば、CDプレーヤー、電子楽器などがある。