(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱及び潜熱を回収する熱交換部が設けられた給湯回路を有すると共に、浴槽に接続される追い焚き循環路を有しており、該追い焚き循環路は、接続路を介して前記給湯回路と接続可能とされて、前記熱交換部によって発生するドレンを内部に所定量貯留するドレン貯留手段と、前記ドレン貯留手段に貯留した前記ドレンを前記追い焚き循環路に導くドレン導出路を有し、前記追い焚き循環路には、該追い焚き循環路に導かれた前記ドレンを排出するための排出路が接続可能とされており、前記給湯回路から前記接続路を介して前記追い焚き循環路に通される湯水によって前記浴槽への湯張りを行う湯張り制御手段と、前記ドレン貯留手段におけるドレン貯留量が前記所定量を超過したときに、前記ドレン貯留手段に貯留した前記ドレンを、前記ドレン導出路と前記追い焚き循環路と前記排出路とを通して該追い焚き循環路の外部に排出するドレン排出制御手段と、を備えた給湯器付風呂装置であって、
前記ドレン排出制御手段による前回の前記ドレンの排出後において、前記湯張り制御手段による前回の前記湯張りから次回の前記湯張りの開始前の時間であると推定した推定時間であって、次回の前記湯張りが開始されると想定される想定時間よりも予め定められた時間前の時間が経過したときに前記熱交換部によって発生する第1ドレン発生量に、前記次回の湯張りを行うときに前記熱交換部によって発生すると予想される第2ドレン発生量を加算した合計値を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出した前記合計値が前記所定量を超過したことを条件として、強制的に前記ドレン排出制御手段による前記ドレンの排出を行うように制御する強制制御手段と、
を設けたことを特徴とする給湯器付風呂装置。
前記ドレン排出制御手段は、前記ドレンを前記外部に排出した後に、前記給湯回路から前記接続路を介して前記追い焚き循環路に通される湯水によって該追い焚き循環路内を洗浄することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器付風呂装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の給湯器付風呂装置のように、前回のドレンの排出動作の終了時から予め定められた時間が経過したときに強制的に前記排出動作を行うようにすると、浴槽への湯張りの最中であっても、強制的に前記排出動作を行うことが考えられる。このように、浴槽への湯張りの最中に前記排出動作を行うことで前記湯張りが中断すると、該排出動作の後に再度浴槽への湯張りが開始されることが原因で、浴槽への湯張りが終了するまでの時間が長くなるという不都合があった。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、浴槽への湯張りが中断されず、該湯張りが終わるまでの時間が長くなることを防止した給湯器付風呂装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱及び潜熱を回収する熱交換部が設けられた給湯回路を有すると共に、浴槽に接続される追い焚き循環路を有しており、追い焚き循環路は、接続路を介して給湯回路と接続可能とされて、熱交換部によって発生するドレンを内部に所定量貯留するドレン貯留手段と、ドレン貯留手段に貯留したドレンを追い焚き循環路に導くドレン導出路を有し、追い焚き循環路には、追い焚き循環路に導かれたドレンを排出するための排出路が接続可能とされており、給湯回路から接続路を介して追い焚き循環路に通される湯水によって浴槽への湯張りを行う湯張り制御手段と、ドレン貯留手段におけるドレン貯留量が所定量を超過したときに、ドレン貯留手段に貯留したドレンを、ドレン導出路と追い焚き循環路と排出路とを通して追い焚き循環路の外部に排出するドレン排出制御手段と、を備えた給湯器付風呂装置であって、ドレン排出制御手段による前回のドレンの排出後において、湯張り制御手段による前回の湯張りから次回の湯張りの開始前の時間であると推定した推定時間
であって、次回の湯張りが開始されると想定される想定時間よりも予め定められた時間前の時間が経過したときに熱交換部によって発生する第1ドレン発生量に、次回の湯張りを行うときに熱交換部によって発生すると予想される第2ドレン発生量を加算した合計値を算出する算出手段と、算出手段によって算出した合計値が所定量を超過したことを条件として、強制的にドレン排出制御手段によるドレンの排出を行うように制御する強制制御手段と、を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、推定時間は、前回の湯張りから20時間ないし23時間後であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、ドレン排出制御手段は、ドレンを外部に排出した後に、給湯回路から接続路を介して追い焚き循環路に通される湯水によって追い焚き循環路内を洗浄することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1ドレン発生量に第2ドレン発生量を加算した合計値が、ドレン貯留手段におけるドレンの貯留可能量に相当する所定量を超過して、湯張り制御手段による次回の浴槽への湯張りの開始前に、強制制御手段によってドレンの排出を行えば、前記次回の浴槽への湯張りの最中に、ドレン排出制御手段によってドレンの排出が行われることがない。これにより、次回の浴槽への湯張りが途中で中断されることを防止して、該湯張りが終わるまでの時間が長くなることを防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、翌日(次回)の浴槽への湯張りが前日(前回)とほぼ同じ時間(前日の前記湯張りから20時間ないし23時間後)に行われることを想定して、算出手段が、第1ドレン発生量と第2ドレン発生量との合計値を算出するようにした。このため、前記合計値が所定量を超過したことを条件として、強制制御手段によって強制的にドレンの排出を行うようにすれば、翌日(次回)の浴槽への湯張りの最中に、ドレン排出制御手段によってドレンの排出が行われることを防止できる。
請求項3に記載の発明によれば、仮に、ドレンを追い焚き循環路の外部に排出する際に該ドレンの一部が該追い焚き循環路内に付着した場合でも、ドレンを前記外部に排出した後に、追い焚き循環路に通される湯水によって該追い焚き循環路内を洗浄することで、この追い焚き循環路内にドレンが残留することを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を
図1ないし
図3を参照しつつ説明する。
図1には本発明の実施形態の給湯器付風呂装置1の概略システム図を示した。この給湯器付風呂装置1は、風呂給湯器2と、浴室3に設置された浴槽4とを備えている。風呂給湯器2内には、図示しない第1バーナが配設されている。風呂給湯器2内で前記第1バーナの燃焼ガスの上流側に顕熱回収用熱交換器(図示せず。)が配設され、前記燃焼ガスの下流側に潜熱回収用熱交換器7(
図1参照。)が配設されている。この顕熱回収用熱交換器は前記燃焼ガスの顕熱を回収する。一方、潜熱回収用熱交換器7は前記燃焼ガスの顕熱及び潜熱を回収する。そして風呂給湯器2内には、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを備えた給湯回路が形成されている。この給湯回路では、図示しない給水管が潜熱回収用熱交換器7の入口側に接続され、該潜熱回収用熱交換器7の出口側が、前記顕熱回収用熱交換器の入口側に接続されている。これに加えて、該顕熱回収用熱交換器の出口側に出湯管(図示せず。)が接続されている。なお、顕熱回収用熱交換器及び潜熱回収用熱交換器7は本発明の熱交換部の一例である。
【0010】
一方、風呂給湯器2内には、図示しない第2バーナが配設されている。風呂給湯器2内で第2バーナの上側には、
図1に示す追い焚き熱交換器10が配設されている。この追い焚き熱交換器10は、浴槽4に接続される追い焚き循環路11に設けられている。追い焚き循環路11は、往き管12と戻り管13とによって形成されている。この往き管12は、風呂循環ポンプ14の吐出口側に接続されている。さらに往き管12には、該往き管12内を湯水が流通するときにオン状態になる水流スイッチ15が設けられている。加えて往き管12には、該往き管12内を流通する湯水の温度を検出するサーミスタ16が設けられている。また、往き管12の途中には第1三方切替弁17が接続されている。この第1三方切替弁17には、浴室3と連通する排出路18が接続されている。この第1三方切替弁17によって、往き管12と戻り管13とが連通する状態と、往き管12と排出路18とが連通して往き管12と戻り管13とが連通しない状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0011】
図1に示すように戻り管13は、風呂循環ポンプ14の吸込口側に接続されている。加えて戻り管13には、該戻り管13内を流通する湯水の温度を検出するサーミスタ25が設けられている。また、戻り管13の途中には第2三方切替弁26が接続されている。この第2三方切替弁26には、本発明の接続路としての注湯路27の一端側が接続されている。また注湯路27の他端側は、前記出湯管に接続可能とされている。この注湯路27の他端側には、出湯管を開閉可能な電磁弁28が設けられている。さらに注湯路27には、追い焚き循環路11から注湯路27への逆流や後述するドレン導出路42から注湯路27への逆流を防止する逆止弁29と、注湯路27から出湯管への逆流を防止する逆止弁30とが設けられている。これに加えて注湯路27には、該注湯路27内の湯水の流量を検出する流量センサ31が設けられている。この注湯路27の途中には、第3三方切替弁32が接続されている。
【0012】
図1に示すように潜熱回収用熱交換器7の下側には、中和器35が設けられている。この中和器35では、潜熱回収用熱交換器7で発生した酸性のドレンが中和される。そして、中和器35の出口にはドレン排出管36が接続されており、このドレン排出管36の出口側はドレンタンク37と接続されている。このドレンタンク37の内部には、中和器35によって中和された所定量のドレンが一時的に貯留可能とされている。さらにドレンタンク37には、該ドレンタンク37内のドレン水位を検出する水位センサ38〜40と、オーバーフローレベルを超過したドレンをドレンタンク37の外部に排出する排出口41とが設けられている。加えてドレンタンク37の下部には、該ドレンタンク37に貯留されたドレンを追い焚き循環路11側へ導くためのドレン導出路42の一端側が接続されている。このドレン導出路42の他端側は前記第3三方切替弁32(
図1参照。)と接続されている。またドレン導出路42には、注湯路27からドレンタンク37への逆流を防止する逆止弁43が設けられている。なお、ドレンタンク37は本発明のドレン貯留手段の一例である。
【0013】
また
図1に示すように第1三方切替弁17には、後述するように第1三方切替弁17が備える弁体の回転角度を所定の回転角度に制御する第1角度制御回路63(
図2参照。)を備えた電気回路基板45が接続されている。この電気回路基板45には、浴室3に設置された風呂リモコン46と、風呂給湯器2に備えられたコントローラ47とが接続されている。本実施形態では、ユーザが風呂リモコン46の運転スイッチをオン操作すると、コントローラ47(第1演算処理部53、
図2参照。)が、風呂リモコン46から電気回路基板45を介して給湯開始指令信号を受信することで、出湯管から注湯路27を介して追い焚き循環路11に湯水が通るように各三方切替弁17,26,32の弁体の回転角度を切り替える。これにより前記湯水を、給湯管から注湯路27及び追い焚き循環路11を通じて浴槽4に供給することで、浴槽4への湯張りを行うことができる。なお、コントローラ47の第1演算処理部53は本発明の湯張り制御手段の一例である。
【0014】
図2には、本実施形態の給湯器付風呂装置1が、ドレンタンク37の内部に貯留したドレンを浴室3の外部へ排出するための概略制御ブロック図を示した。
図2に示すように給湯器付風呂装置1は、風呂給湯器2のコントローラ47(
図1参照。)に備えられたメイン基板51と、上述した電気回路基板45とを備えている。
【0015】
メイン基板51は、電源検知回路52と、第1演算処理部53と、第1通信回路54と、記憶部55と、第2角度制御回路56と、第3角度制御回路57と、風呂循環ポンプ駆動回路58と、電磁弁駆動回路59とを備えている。電源検知回路52は、風呂給湯器2の電源コードが商用交流電源のコンセントに挿入されて風呂給湯器2が通電状態であることを検出するために用いられる。第1演算処理部53には、第1通信回路54と、記憶部55とが接続されている。第1通信回路54は、電気回路基板45に各種の信号を送信したり、該電気回路基板45から送信された各種の信号を受信するために用いられる。記憶部55には、ドレンタンク37に貯留したドレンが所定量を超過したときに第1ないし第3三方切替弁17,26,32の回転角度を切り替えてドレンタンク37内のドレンを浴室の外部へ排出する処理を実行するプログラムや、後述するように前記ドレンが所定量を超過していなくてもドレンタンク37内のドレンを浴室3の外部へ強制的に排出する処理を実行するプログラムが記憶されている。さらに、第1演算処理部53には第2角度制御回路56が接続され、この第2角度制御回路56には第2三方切替弁26が接続されている。第2角度制御回路56は、第1演算処理部53からの指令信号に基づいて、第2三方切替弁26の弁体を回転させて該弁体の回転角度を所定の角度に制御する。
【0016】
加えて、第1演算処理部53には第3角度制御回路57が接続され、この第3角度制御回路57には第3三方切替弁32が接続されている。第3角度制御回路57は、第1演算処理部53からの指令信号に基づいて、第3三方切替弁32の弁体を回転させて該弁体の回転角度を所定の角度に制御する。さらには、第1演算処理部53には風呂循環ポンプ駆動回路58が接続され、この風呂循環ポンプ駆動回路58には風呂循環ポンプ14(
図1参照。)が接続されている。風呂循環ポンプ駆動回路58は、第1演算処理部53からの指令信号に基づいて、風呂循環ポンプ14の運転を制御する。これ加えて、第1演算処理部53には電磁弁駆動回路59が接続され、この電磁弁駆動回路59には電磁弁28(
図1参照。)が接続されている。電磁弁駆動回路59は、第1演算処理部53からの指令信号に基づいて、電磁弁28の開閉を制御する。また、第1演算処理部53には水位センサ38〜40(
図1参照。)が接続されている。本実施形態では第1演算処理部53は、水位センサ38によって検出されたドレン水位が所定量(排出設定水位)を超過したと判断すると、ドレン導出路42と注湯路27と追い焚き循環路11と排出路18とを接続するように各三方切替弁17,26,32の弁体の回転角度を切り替える。これにより、ドレンタンク37に貯留したドレンを、ドレン導出路42と注湯路27と追い焚き循環路11とを順番に流通させた後に、排出路18及び浴室3内に設けられて浴槽4の下側に配置される防水パン(図示せず。)の排出部を通じて浴室3の外部に排出する。
【0017】
図2に示すように電気回路基板45は、第2通信回路61と、第2演算処理部62と、第1角度制御回路63とを備えている。第2通信回路61は、メイン基板51の第1通信回路54及び第2演算処理部62に接続されている。第2通信回路61は、前記第1通信回路54に各種の信号を送信したり、該第1通信回路54から送信された各種の信号を受信するために用いられる。第2演算処理部62には第1角度制御回路63が接続され、この第1角度制御回路63には第1三方切替弁17が接続されている。第1角度制御回路63は、第2演算処理部62からの指令信号に基づいて、第1三方切替弁17の弁体を回転させて該弁体の回転角度を所定の角度に制御する。
【0018】
次に、
図3を用い、メイン基板51の第1演算処理部53が、ドレンタンク37に貯留したドレンを、浴室3に設けられた防水パンで受けた後に浴室3の外部に排出する処理の例を説明する。第1演算処理部53は、所定の時間毎に記憶部55に記憶されたプログラムに基づいて、
図3に示すスタートからエンドまでの処理を繰り返し実行する。
図3に示すように第1演算処理部53は、風呂給湯器2の電源が投入されているか否かを判断する(S1)。ここでは、風呂給湯器2の電源コードが商用交流電源のコンセントに挿入されて風呂給湯器2が通電状態になることで、第1演算処理部53が、
図2に示す電源検知回路52から電圧検知信号を受信したか否かを判断する。S1において、第1演算処理部53が前記電圧検知信号を受信して前記電源が投入されていると判断した場合には、ドレンタンク37に貯留した現在のドレンの水位が所定量(排出設定水位)を超過したか否かを判断する(S2)。ここでは第1演算処理部53は、水位センサ38(
図1参照。)から受信した水位検出信号がドレンの水位が前記所定量を超過したことを示すハイレベル信号であるか否かを判断する。
【0019】
S2において、第1演算処理部53が前記ハイレベル信号を受信せず、現在のドレンの水位が所定量を超過していないと判断した場合には、後述する排出運転処理(S6)によって、ドレンタンク37内のドレンを前回浴室3の外部に排出してから推定時間が経過したか否かを判断する(S3)。この推定時間とは、ユーザが風呂リモコン46の運転スイッチをオン操作して前回の浴槽4への湯張りが行われてから、次回の浴槽4への湯張りが開始される前の時間であると推定した時間である。本実施形態では、翌日の浴槽4への湯張りが前日とほぼ同じ時間に行われることを想定して、前記浴槽4への湯張りが開始される前の時間とは、翌日において前日に浴槽4への湯張りが行われた時間とほぼ同じ時間とする。このように翌日の浴槽4への湯張りが前日とほぼ同じ時間に行われることを想定して、本実施形態では、この推定時間を、一例として前回の浴槽4への湯張りから20時間後と定めた。S3においては、前記ドレンを浴室3の外部に排出したことで、第1演算処理部53が、水位センサ39(
図1参照。)からドレンの水位が下限水位になったことを示すローレベル信号を受信した時から該第1演算処理部53に備えられたタイマによって計測した時間が20時間を経過したか否かを判断する。
【0020】
S3において、前回ドレンを浴室3の外部に排出してから推定時間(20時間)が経過した場合には、予想ドレン発生量算出処理(S4)を実行する。この予想ドレン発生量算出処理(S4)では、以下に説明するように、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3を算出する。この第1ドレン発生量W1とは、前回ドレンを浴室3の外部に排出してから推定時間(20時間)が経過したときに潜熱回収用熱交換器7によって発生すると予想されるドレン量であり、第2ドレン発生量W2とは、次回の浴槽4への湯張りを行うときに該潜熱回収用熱交換器7によって発生すると予想されるドレン量である。本実施形態では第1演算処理部53が、記憶部55に記憶された下記の式(1)ないし式(5)を読み出す。その後第1演算処理部53は、この式(1)ないし式(5)を用い、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3を算出する。この合計値W3のデータは、第1演算処理部53によって記憶部55に記憶される。なお、第1演算処理部53は本発明の算出手段の一例である。
W1=L1×σ×t・・・(1)
W2=H3×L3×σ・・・(2)
W3=W1+W2・・・(3)
L1=(H1/H2)×L2・・・(4)
H3={(T1−T2)×C}/η・・・(5)
ここで、W1は第1ドレン発生量、W2は第2ドレン発生量、W3は第1ドレン発生量と第2ドレン発生量との合計値、L1は第1バーナの燃焼による単位時間当たりの発生水量、σは第1バーナから噴出する燃焼ガス中の潜熱が占める割合、tは推定時間(ここでは20時間、20×60×60[秒])、H3は浴槽4への湯張りの際の第1バーナから潜熱回収用熱交換器7への供給熱量、L3は浴槽4への湯張りの際の第1バーナの燃焼による発生水量 、H1は第1バーナから潜熱回収用熱交換器7への単位時間当たりの供給熱量、H2は第1バーナから噴出する燃焼ガスの単位体積当たりの熱量、L2は該燃焼ガスの単位体積当たりに含まれる水分量、T1は浴槽4への湯張りの際の給湯設定温度、T2はサーミスタ16によって検出した往き管12内を流通する湯水の温度、Cは浴槽4への湯張りの際の設定給湯量、ηは第1バーナの熱効率である。
【0021】
予想ドレン発生量算出処理(S4)の後には、該予想ドレン発生量算出処理(S4)によって算出した第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2の合計値W3が、前記所定量(排出設定水位)を超過するか否かを判断する(S5)。ここでは、第1演算処理部53が、記憶部55に記憶された前記所定量のデータと前記合計値W3のデータとを読み出すと共に、該所定量のデータと該合計値W3のデータとを比較する。
【0022】
S5において、第1演算処理部53が所定量のデータと合計値W3のデータとの比較によって、この合計値W3が所定量を超過すると判断した場合には、排出運転処理(S6)を実行する。この排出運転処理(S6)では、以下に説明するように、ドレンタンク37に貯留したドレンを、浴室3内の防水パンによって受けた後に浴室3の外部に排出することと、このドレンの排出後に出湯管からの湯水によって追い焚き循環路11内を洗浄することとの双方を行う。本実施形態では、第1演算処理部53は、S2においてドレンタンク37の現在のドレンの水位が前記所定量を超過していないと判断した場合であっても、S5において前記合計値W3が該所定量を超過すると判断すれば、強制的にドレンタンク37からドレンを排出する。このようにすることで、次回の浴槽4への湯張りの最中にドレンタンク37のドレンの水位が前記所定量を超過した後に排出運転処理(S6)が実行されて、浴槽4への湯張りが途中で中断することを防止できる。なお、第1演算処理部53は本発明の強制制御手段の一例である。
【0023】
この排出運転処理(S6)では、以下に説明する処理を実行する。第1演算処理部53は、弁体の駆動指令信号を第2及び第3角度制御回路56,57(
図2参照。)に送信する。これに加えて第1演算処理部53は、弁体の駆動指令信号を、
図2に示す第1及び第2通信回路54,61、第2演算処理部62を通じて第1角度制御回路63に送信する。続いて第2角度制御回路56は、第2三方切替弁26に弁体を回転させるモータの駆動信号を送信して、該弁体を回転させて回転角度を切り替えることで、この第2三方切替弁26を介して
図1に示す注湯路27と追い焚き循環路11とを接続する。加えて第3角度制御回路57は、第3三方切替弁32に弁体を回転させるモータの駆動信号を送信して、該弁体を回転させて回転角度を切り替えることで、この第3三方切替弁32を介して
図1に示すドレン導出路42と注湯路27とを接続する。さらに第1角度制御回路63は、第1三方切替弁17に弁体を回転させるモータの駆動信号を送信して、該弁体を回転させて回転角度を切り替えることで、この第1三方切替弁17を介して
図1に示す追い焚き循環路11(往き管12)と排出路18とを接続する。その後に第1演算処理部53が、駆動指令信号を風呂循環ポンプ駆動回路58に送信する。続いて、風呂循環ポンプ駆動回路58が
図1に示す風呂循環ポンプ14に駆動信号を送信することで、該風呂循環ポンプ14を駆動させる。すると、ドレンタンク37に貯留したドレンが、ドレン導出路42と注湯路27と追い焚き循環路11とを順番に流通した後に、排出路18及び浴室3内の防水パンに設けられた排出部を通じて浴室3の外部に排出される。
【0024】
これに加えて排出運転処理(S6)では、ドレンが浴室3の外部に排出された後に、第1演算処理部53が、第3三方切替弁32の弁体を回転させる駆動指令信号を第3角度制御回路57に送信する。その後に第3角度制御回路57は、第3三方制御弁32に弁体を回転させるモータの駆動信号を送信して、該弁体を回転させて回転角度を切り替えることで、この第3三方切替弁32を介して出湯管と注湯路27とを接続する。そして、第1演算処理部53が、開弁指令信号を電磁弁駆動回路59に送信する。続いて、電磁弁駆動回路59が
図1に示す電磁弁28に駆動信号を送信して該電磁弁28を開弁した後に、第1演算処理部53から風呂循環ポンプ駆動回路58に送信される駆動指令信号に応じ、風呂循環ポンプ14を駆動させる。これにより、出湯管からの湯水を、注湯路27を介して追い焚き循環路11内に流通させる。したがって、この湯水によって追い焚き循環路11内を洗浄できる。このようにすれば、仮に、ドレンを追い焚き循環路11と接続された排出路18から該追い焚き循環路11の外部に排出する際に、該ドレンの一部が追い焚き循環路11内に付着していた場合でも、前記追い焚き循環路11内の洗浄を行うことで、この追い焚き循環路11内にドレンが残留することを抑制できる。
【0025】
図3に示すように、排出運転処理(S6)の後には待機運転処理(S7)を実行する。この待機運転処理(S7)では、以下に説明する処理を実行する。第1演算処理部53は、弁体の駆動指令信号を
図2に示す第1及び第2角度制御回路63,56に送信する。その後、第1角度制御回路63は、前記駆動指令信号に応じ、第1三方切替弁17の弁体の回転角度を切り替えることで、この第1三方切替弁17を介して往き管12と戻り管13とを連通させる。これと共に、第2角度制御回路56は、前記駆動指令信号に応じ、第2三方切替弁26の弁体の回転角度を切り替えることで、この第2三方切替弁26を介して注湯路27と追い焚き循環路11とを接続する。その後は、第1演算処理部53からの指令信号を待つ待機状態を継続する。
【0026】
また
図3中のS2において、現在のドレンの水位が所定量を超過したと判断した場合には、第1演算処理部53が、上述した排出運転処理(S6)を実行して、ドレンの排出と追い焚き循環路11内の洗浄との双方を行う。なお、第1演算処理部53は本発明のドレン排出制御手段の一例である。
【0027】
その他にも、
図3中のS3において、ドレンを前回浴室3の外部に排出してから推定時間(20時間)が経過していないと判断した場合や、S5において、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3が、前記所定量(排出設定水位)を超過しないと判断した場合には、S2の判断に戻る処理を実行する。
【0028】
<本実施形態の効果>
本実施形態の給湯器付風呂装置1では、
図3中のS5において、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3が、ドレンタンク37におけるドレンの貯留可能量に相当する所定量を超過すると判断して、次回の浴槽4への湯張りの開始前に、
図3中の排出運転処理(S6)によって、強制的にドレンタンク37からドレンを排出する。このようにすれば、前記次回の浴槽4への湯張りの最中に、
図3中のS2において、現在のドレンの水位が所定量(排出設定水位)を超過したと判断することで、排出運転処理(S6)によって前記ドレンの排出が行われることがない。これにより、次回の浴槽4への湯張りが途中で中断されることを防止して、該湯張りが終わるまでの時間が長くなることを防止できる。
【0029】
また本実施形態では、翌日(次回)の浴槽4への湯張りが前日(前回)とほぼ同じ時間(例えば、前日の前記湯張りから20時間後)に行われることを想定して、
図3中の予想ドレン発生量算出処理(S4)によって、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3を算出するようにした。このため、
図3中のS5において、前記合計値W3が所定量(排出設定水位)を超過したと判断した後に、
図3中の排出運転処理(S6)によって、強制的にドレンタンク37からドレンを排出すれば、翌日(次回)の浴槽4への湯張りの最中に、
図3中のS2において、現在のドレンの水位が前記所定量を超過したと判断することで、排出運転処理(S6)によってドレンタンク37からドレンを排出することを防止できる。
【0030】
さらに、
図3中の排出運転処理(S6)において、仮に、ドレンを追い焚き循環路11と接続された排出路18から該追い焚き循環路11の外部に排出する際に、該ドレンの一部が追い焚き循環路11内に付着した場合でも、排出運転処理(S6)では、ドレンを前記外部に排出した後に、出湯管からの湯水によって、追い焚き循環路11内を洗浄する。これにより、この追い焚き循環路11内にドレンが残留することを抑制できる。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態では、ドレンを浴室3の外部に排出してから推定時間である20時間を経過した場合に、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3を算出するようにしたが、これに限らない。例えば、推定時間を20時間ないし23時間のうちの適宜の時間に定めて、ドレンを浴室3の外部に排出してからこの定めた適宜の時間が経過した場合に前記合計値W3を算出するようにしてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、ドレンタンク37に貯留した現在のドレンの水位が所定量(排出設定水位)を超過した場合や、第1ドレン発生量W1と第2ドレン発生量W2との合計値W3が前記所定量を超過すると判断した場合に、排出運転処理(S6)によって、ドレンの排出と追い焚き循環路11内の洗浄との双方を行うようにしたが、これに限らない。例えば、排出運転処理(S6)では前記ドレンの排出のみを行って、その後に排出運転処理(S6)とは別の処理により、前記排出運転処理(S6)における方法と同様にして、追い焚き循環路11内の洗浄を行ってもよい。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、風呂給湯器2内に、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを別体にして設けた例を示したが、これに限らず、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器7とを一体にして風呂給湯器2内に設けてもよい。加えて、上述した実施形態では、浴室3に設置された風呂リモコン46の運転スイッチをオン操作することで、浴槽4への湯張りを行う例を示したが、これに加えて、例えば台所に設置された給湯リモコンの運転スイッチをオン操作することでも、浴槽4への湯張りが行われるようにしてもよい。さらに加えて、上述した実施形態では、第3三方切替弁32を介してドレン導出路42と注湯路27とを接続可能としたが、これに代えて、三方切替弁を介してドレン導出路42と追い焚き循環路11とを接続可能としてもよい。さらには、上述した実施形態とは異なり風呂給湯器2内では、追い焚き熱交換器10に代えて、第2バーナの燃焼ガスの上流側に顕熱回収用熱交換器を配設し、前記燃焼ガスの下流側に潜熱回収用熱交換器を配設してもよい。また、上述した実施形態では、式(1)及び式(4)を用い、第1ドレン発生量W1を算出する例を示したが、これに限らず、前回ドレンを浴室3の外部に排出してから推定時間(20時間ないし23時間)が経過したときに、水位センサ38〜40によって検出されたドレン水位に基づいて計測したドレン量を、第1ドレン発生量としてもよい。この場合には、
図3中の予想ドレン発生量算出処理(S4)において、計測した第1ドレン発生量と、式(2)及び式(5)を用いて算出した第2ドレン発生量W2とを加算した合計値を算出するようにしてもよい。このような場合には、第1及び第2ドレン発生量W1,W2の双方を計算によって算出する場合と比較して、前記合計値の計算負荷を下げることができる。加えて、水位センサ38〜40以外にも、例えばレーザ光を利用した光波式水位計測装置やこれ以外の水位計測装置によって検出されたドレン水位に基づいて計測したドレン量を、第1ドレン発生量としてもよい。