特許第6262004号(P6262004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6262004-導光板 図000006
  • 特許6262004-導光板 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262004
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】導光板
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20180104BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180104BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F21V8/00 355
   F21S2/00 432
   G02F1/13357
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-20499(P2014-20499)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-149155(P2015-149155A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】500199479
【氏名又は名称】PSジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 淳
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/094641(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/151055(WO,A1)
【文献】 特開2014−001295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系樹脂100質量部に対して、平均分子量200〜4000のポリエチレングリコールを0.1〜0.3質量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物からなる導光板。
【請求項2】
前記スチレン系樹脂中に高級脂肪酸及び/又は高級脂肪族アルコールを0.1〜1.0質量部さらに含有する、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記スチレン系樹脂中にリン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及びフェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部をさらに含有する、請求項1又は2に記載の導光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層する光学シートとの擦れで、表面に微細な傷付きが発生することを抑えたポリスチレン系樹脂組成物からなる導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトには、光源を表示装置の正面に配置する直下型と側面に配置するエッジライト型がある。導光板は、エッジライト型バックライトに用いられ、側面に配置された光源の光を正面に導く役割を果たす。エッジライト型バックライトは、テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター(例えば、デスクトップ用、ノートブック用など)、カーナビゲーションシステム用モニター、携帯電話、PDAなどのように、より薄型が求められる用途で使用されることが多く、以前は直下型がほとんどだった大画面サイズ(32インチ以上)テレビでもエッジライト型バックライトが使用される機会が増えており、現在ではバックライトの主流となっている。
【0003】
エッジライト方式では、導光板中の光透過距離が比較的長いため導光板中での光損失が大きく、光損失を防止するには材料に高い光線透過率を有することが求められている。このため、導光板にはメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂が使用される場合が多いが、アクリル樹脂の高吸水性のために、片面から吸水したときの成形品の反り又は全面から吸水したときの寸法変化が発生するという問題があり、この問題は、大画面サイズになるとより顕著になる。
他方、ポリスチレン系樹脂では、低い吸水率(約0.05%)を有するので、成形品の反り又は寸法変化という問題は無い。吸水性という観点では優れるポリスチレン系樹脂であるが、表面硬度は、アクリル系樹脂と比較してやや劣る。そのため、導光板として用いる際に積層する光学シート(例えば、拡散シート)と、運搬時などに擦れた時、表面に微細な傷がつくという問題が考えられる。
【0004】
表面硬度を向上する手段として、メタクリル酸メチルを共重合すること(MS樹脂)が挙げられるが、同時に吸水性も付与されるため、成形品の反り又は寸法変化は、ポリスチレンと比較すると悪化する。
導光板表面の傷付きを改善する手段として、以下の特許文献1には、表面硬度を向上する以外に導光板の表面に不揮発性の潤滑剤を塗布する方法が提案されているが、必要量を均一に塗布する必要がある。過剰量を塗布すれば、光学シートの貼り付きによる画面内の輝度の不均一が生じ、また、均一な塗布ができなければ、同様に画面内の輝度の不均一の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−3971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、積層する光学シートとの擦れで、表面に微細な傷付きが発生することを抑えたポリスチレン系樹脂組成物からなる導光板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、スチレン系樹脂に対して、特定量のポリエチレングリコール類のみを添加する、あるいは特定量のポリエチレングリコール類に追加して特定量の飽和脂肪酸類及び/又は高級脂肪族アルコールを添加することで得られるスチレン系樹脂組成物を用いて導光板を製造することにより、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]スチレン系樹脂100質量部に対して、平均分子量200〜4000のポリエチレングリコールを0.1〜0.3質量部含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物からなる導光板。
【0009】
[2]前記スチレン系樹脂中に高級脂肪酸及び/又は高級脂肪族アルコールを0.1〜1.0質量部さらに含有する、前記[1]に記載の導光板。
【0010】
[3]前記スチレン系樹脂中にリン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及びフェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部をさらに含有する、前記[1]又は[2]に記載の導光板。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスチレン系樹脂組成物からなる導光板は、吸水性が低いことにより、成形品の反り又は寸法変化を抑制することと、導光板表面の傷付きを抑制することを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】押出シートの作製装置の概略図である。
図2】成形品表面の傷付き評価装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<ポリスチレン系樹脂組成物>
前記したように、本発明の実施形態では、ポリスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂、及び平均分子量200〜4000のポリエチレングリコール、並びに所望により、高級脂肪酸及び/又は高級和脂肪族アルコールなど各種の添加剤を、特定割合で含む。
【0014】
<ポリスチレン系樹脂>
ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系単量体を主成分として(具体的には50質量%超で)含む樹脂である。ポリスチレン系樹脂を形成するために使用されるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。また、ポリスチレン系樹脂としては、スチレンと共重合可能なコモノマーを、使用してもよい。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類;N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明の実施形態では、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を含む単量体成分を熱重合するか、あるいは単数又は複数の有機過酸化物を重合開始剤として使用して重合することにより得ることができる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;p−メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の多官能過酸化物類等を挙げることができる。
【0016】
これらの有機過酸化物は、スチレン系単量体を含む単量体成分の重合のいずれかの工程において重合系(重合原料溶液又は重合途中の溶液)に添加される。これらの有機過酸化物は、重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加されてもよい。有機過酸化物の添加量は、重合原料溶液100質量部に対して、好ましくは0.0005質量部〜0.2質量部であり、より好ましくは0.01質量部〜0.1質量部、さらに好ましくは0.03質量部〜0.08質量部である。有機過酸化物の添加量が、0.0005質量部以上であると、重合開始剤添加の所望の効果を得ることができるので好ましく、一方で、0.2質量部以下であると、重合時に反応熱が余り発生しなくなり、重合の制御が容易となるため好ましい。
本発明の態様においては、スチレン系単量体の貯蔵時に、4−t−ブチルカテコールを重合禁止剤として用いることが好ましい。
【0017】
スチレン系単量体を含む単量体成分の重合方法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられる。これらの中でも、塊状重合又は溶液重合が好ましく、さらには、連続塊状重合又は連続溶液重合が、生産性と経済性の両面で特に好ましい。すなわち、スチレン系単量体を含む単量体成分、又は必要に応じてエチルベンゼン、トルエン、キシレン等の重合溶媒、ラジカル開始剤として有機過酸化物、連鎖移動剤、安定剤、流動パラフィン(ミネラルオイル)等の添加剤を混合、溶解した原料溶液を攪拌機付き反応機に供給し、スチレン系単量体を含む単量体成分の重合を行うことができる。重合温度は、ラジカル開始剤として有機過酸化物を用いた場合は、有機過酸化物の分解温度、生産性、反応機の除熱能力、目的としているスチレン系重合体の流動性等を考慮して、既知の技術を用いて設定することができる。重合反応機を出た重合溶液は、脱気工程として、回収装置に導かれ、加熱・減圧脱揮で溶媒と未反応単量体を除去する。回収装置は、ポリスチレン系樹脂の製造で常用される装置、例えば、フラッシュタンクシステム、多段ベント付き押出機等を用いることができる。
スチレン系単量体を含む重合原料のための重合装置としては、完全混合型、プラグフロー型、循環装置を備えたプラグフロー型等の装置のいずれも好適に用いることができる。これらの中でも、組成分布の均一性から完全混合型重合装置が好ましい。
【0018】
<ポリエチレングリコール>
本発明においては、導光板を構成するスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂100質量部に対して、平均分子量200〜4000のポリエチレングリコールを0.1〜0.5質量部含有することを特徴とする。
本発明の実施形態で用いるポリエチレングリコールの平均分子量は、200〜4000、好ましくは200〜2000、より好ましくは300〜1000である。平均分子量が200未満では、成形時など加熱するとガスを発生し、ロールや金型などを汚染するという問題がある。また、平均分子量が4000を超えるとスチレン系樹脂との相溶性の低下のため、光線透過率が低下するという問題がある。
ポリエチレングリコールの含有量としては、スチレン系樹脂100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であり、好ましくは0.1〜0.3質量部である。ポリエチレングリコールの含有量が0.1質量部未満だと、傷付き性を改善しない虞があり、0.5質量部を超えると、ポリスチレングリコールの吸水性により成型品の寸法安定性が損なわれる虞れがある。
【0019】
<添加剤>
本発明の実施形態では、ポリスチレン系樹脂の製造時の、ポリスチレン系樹脂の回収工程の前後の任意の段階、又は、ポリスチレン系樹脂組成物を用いた押出加工、成形加工等を行う段階において、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエチレングリコールに加え、各種の添加剤を系中に添加してもよい。好ましい態様において、ポリスチレン系樹脂組成物は、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、マスキング剤、難燃剤、染料又は顔料、蛍光増白剤、並びに選択波長吸収剤から成る群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことができる。より好ましい態様において、ポリスチレン系樹脂組成物は、ポリエチレングリコールに加え、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、リン系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤から成る群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことができる。好適な添加剤のより具体的な例を以下に説明する。
【0020】
<高級脂肪酸>
高級脂肪酸としては炭素数が12〜20の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等である。
高級脂肪酸の含有量としては、スチレン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部、より好ましくは、0.1〜0.3質量部である。高級脂肪酸の含有量が0.1質量部以上であれば、傷付き性が改善でき、また、1.0質量部以下であれば耐熱性や強度などの低下を抑えることができる。
【0021】
<高級脂肪族アルコール>
高級脂肪族アルコールとしては、炭素数が6〜20の一価のアルコールが挙げられ、具体的にはオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等である。
高級脂肪族アルコールの含有量としては、スチレン系樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部、より好ましくは、0.1〜0.3質量部である。高級脂肪族アルコールの含有量が0.1質量部以上であれば、傷付き性が改善でき、1.0質量部以下であれば耐熱性や強度などの低下を抑えることができる。
【0022】
<リン系酸化防止剤>
リン系酸化防止剤は、分子中にリン原子を有する化合物を含む酸化防止剤である。リン系酸化防止剤は、高温下で劣化の原因となるヒドロペルオキシドを還元することで安定化するため、比較的短い波長(例えば、波長420〜500nm)の光の透過率の向上に寄与し、特に薄黄色着色の低減に寄与する。リン系酸化防止剤としては、例えば、アルキルホスファイト類、アルキルアリールホスファイト類、アリールホスファイト類が挙げられ、工業的には、(株)ADEKA製の、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112等が入手可能である。これらの中でも、下記構造式(I):
【化1】
で表される亜リン酸トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)であるアデカスタブ2112が薄黄色着色の低減という観点から好ましい。
【0023】
ポリスチレン系樹脂組成物中のリン系酸化防止剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部当たり、0.02質量部〜0.2質量部である。この含有量が0.02質量部以上であると、成形時等樹脂が溶融するような高温での劣化による光線透過率の低下を抑えることができ、また、0.2質量部以下であると、モールドデポジットが発生しなくなる点又はコストの点で有利である。この含有量としては、0.03質量部〜0.15質量部が好ましく、0.04質量部〜0.12質量部がより好ましい。
【0024】
<フェノール系酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤は、分子中にヒンダードフェノール構造を含む酸化防止剤である。フェノール系酸化防止剤は、自動酸化において発生するペルオキシラジカルを捕捉し、準安定なヒドロペルオキシドとすることで、連鎖的な劣化の進行を抑制する。さらにヒドロペルオキシドは、リン系酸化防止剤により還元されて安定化される。このことに起因して、高温曝露時の光線透過率の保持率の向上に寄与し、特に高温環境での使用時の薄黄色着色の低減に寄与する。フェノール系酸化防止剤として、工業的には、BASFジャパン(株)製の、イルガノックス1010、イルガノックス1076等が入手可能である。これらの中でも、下記構造式(II):
【化2】
で表される3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルであるイルガノックス1076が高温環境での使用時の薄黄色着色の低減という観点から好ましい。
また、同一分子内にフォスファイト構造も併せ持つフェノール系酸化防止剤として、住友化学(株)製スミライザーGP(6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン)も好適に用いることができる。
【0025】
ポリスチレン系樹脂組成物中のフェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部当たり、0.02質量部〜0.2質量部である。この含有量が0.02質量部以上であると、導光板として使用される環境温度(室温〜約70℃)での劣化による光線透過率の低下を抑えることができ、また、0.2質量部以下であると、フェノール系酸化防止剤自身が原因となる光線透過率の低下を防ぐことができる点又はコストの点で有利である。この含有量としては、0.03質量部〜0.15質量部が好ましく、0.04質量部〜0.12質量部がより好ましい。
【0026】
リン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤の両者として作用する化合物(例えば、分子内にフォスファイト構造及びヒンダードフェノール構造の両者を含む化合物、より具体的には、例えば、前述の住友化学(株)製スミライザーGP等)(以下、リン系−フェノール系−酸化防止剤ともいう)を用いる場合には、リン系−フェノール系−酸化防止剤の含有量にて、リン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤のそれぞれが含まれているものと考える。例えば、ポリスチレン系樹脂100質量部に対してリン系−フェノール系−酸化防止剤が0.1質量部含まれている場合には、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、リン系酸化防止剤0.1質量部及びフェノール系酸化防止剤0.1質量部が含まれていると考える。
尚、本開示における、ポリスチレン系樹脂組成物中のリン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤の含有量は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定する。
【0027】
<紫外線吸収剤及び/又は光安定剤>
導光板に適したポリスチレン系樹脂組成物は、光源から発生する紫外線による着色を防止する目的で、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2−(1−アリールアルキデン)マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサルアニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。また、光安定剤としては、例えば、ヒンダートアミン系光安定剤等が挙げられる。ヒンダートアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。紫外線吸収剤及び光安定剤は、それぞれ単独若しくは複数での使用が可能であり、その添加量は、紫外線吸収剤と光安定剤の総和として、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.02質量部〜2.0質量部であることが好ましく、0.1質量部〜1.5質量部であることがより好ましい。
【0028】
<滑剤>
滑剤の例としては、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系滑剤等が挙げられる。滑剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部である。
【0029】
<帯電防止剤>
帯電防止剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤や芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の高分子界面活性剤等が挙げられる。帯電防止剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜25質量部である。
【0030】
<マスキング剤>
更に、導光板に適したスチレン系樹脂組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤、ブルーイング剤等のマスキング剤を任意に使用することが可能である。
【0031】
(導光板)
本発明の実施形態では、導光板は、上述のポリスチレン系樹脂組成物を成形して得られるものである。成形の方法としては既知の方法を用いることができ、シート成形押出機で成形することによりシート状成形体を得る方法、又は圧縮成形、射出成形等により、所望の形状の成形体を得る方法等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、各実施例、比較例で用いた評価、及び試験方法は次の通りであった。
【0033】
(1)ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリルアルコール、リン系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤の濃度の測定方法
組成物(ペレット、成型品など)1gをメチルエチルケトン20mlに十分溶解した後、メタノールを5ml滴下し、約20分間攪拌した。遠心分離によって分離した上澄み液をガスクロマトグラフィー(GC)にて測定した。濃度の決定には、ステアリン酸、ステアリルアルコール、それぞれの酸化防止剤について、予め作成した検量線を用いた。
<GC測定条件>
GC装置 :島津製作所GC−2010
カラム :DB−1(0.25mmi.d.×30m)液相厚0.10mm
カラム温度:240℃(1min保持)→(10℃/min昇温)→320℃(5min保持)合計14min
注入口温度:320℃
注入法 :スプリット法(スプリット比1:5)
試料量 :1μL
【0034】
(2)押出シートの作製
図1を参照して、押出シートの作製手順を説明する。
実施例、比較例に記載のスチレン系樹脂組成物を用いて、押出機1(スクリュー径50mmΦ、L/D=32、単軸)にギアポンプ2を連結し、Tダイ3、艶付けロール4(直径300mm)を用いる常法によりシート成形を行った。シート押出時の樹脂温度は260℃に設定し、艶付けロール温度は、85〜95℃に温度調節した。シート押出速度、Tダイ吐出口と艶付けロールの間隔、及び回転速度を調整し、シート幅240mm、厚み2mmの押出シート(導光原板)を得た。尚、本シートを切出し、端面研磨加工、印刷などの処理を施すことで、導光板が得られる。
【0035】
(3)成形品表面の傷付き抑制効果の評価
図2を参照して、成形品表面の傷付き抑制効果の評価手順を説明する。
押出成形により作製したポリスチレンシートから、PS試験片7(長さ120mm、幅60mm、厚さ2mm)を切り出し、そのPS試験片7を枠5の中に固定し、長さのみがPS試験片よりも2mm短い液晶TV用拡散シート6(長さ118mm、幅60mm、厚さ3mm)を載せて、長さ方向に振とう回数200往復/分、振とう距離20mmで振とうした後、拡散シート6を取り除き、PS試験片7の表面の状態を目視にて確認し、以下の評価基準に基づき評価した:
◎:傷付きなし
○:微細な傷が数本ある
△:微細な傷が十数本ある
×:微細な傷が数十本ある
【0036】
(4)高温高湿暴露時の反り量
吸水による成形品の寸法変化を、片面のみから吸水せしめることにより、成形品の反りにより評価する。
押出成形により作製したポリスチレンシートから、PS試験片(長さ300mm、幅20mm、厚さ2mm)を切り出し、その片面に、アルミ箔を貼り付けた状態で、温度60℃、湿度95%RHで24時間暴露したときの試験片の反り量(単位:mm)を測定した。
【0037】
[実施例1]
スチレン85質量%とエチルベンゼン15質量%の混合液100質量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.05質量部を添加した重合液を5.4リットルの完全混合型反応器に0.70リットル/Hrで連続的に仕込み、温度を101℃に調整した。得られた溶液を引き続き、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な3.0リットルの層流型反応器に連続的に仕込んだ。層流型反応器の温度を113℃/121℃/128℃に調整した。以上により重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を2段ベント付き脱揮押出機に連続的に供給し、押出機温度225℃、1段ベント及び2段ベントの真空度15torrで、未反応単量体及び溶媒を回収した後、添加剤フィード口からリン系酸化防止剤(亜リン酸トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル、商品名:アデカスタブ2112)、フェノール系酸化防止剤(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、商品名:イルガノックス1076)、ポリエチレングリコール300(商品名、平均分子量300、和光純薬工業(株)製)を重合体100質量部に対して、それぞれ0.05、0.05、0.15質量部の濃度になるように添加して、スチレン系樹脂組成物を得た。単量体の重合率は、質量収量から68%と算出された。
【0038】
[実施例2]
ポリエチレングリコール300の代わりに、ポリエチレングリコール400(商品名、平均分子量400、和光純薬工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0039】
[実施例3]
ポリエチレングリコール300の代わりに、ポリエチレングリコール1000(商品名、平均分子量1000、和光純薬工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0040】
[実施例4]
ポリエチレングリコール300の代わりに、ポリエチレングリコール2000(商品名、平均分子量2000、和光純薬工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0041】
[実施例5]
ポリエチレングリコール300を0.3質量部用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0042】
参考例6]
ポリエチレングリコール300を0.5質量部用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0043】
[実施例7]
ポリエチレングリコール300と合わせて、ステアリン酸(商品名NAA−175、日油(株)製)0.30質量部を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0044】
[実施例8]
ポリエチレングリコール300と合わせて、ステアリルアルコール(商品名NAA−45、日油(株)製)0.30質量部を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0045】
[比較例1]
ポリエチレングリコール300用いなかった以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0046】
[比較例2]
ポリエチレングリコール300を0.05質量部用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0047】
[比較例3]
ポリエチレングリコール300を1.00質量部用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0048】
[比較例4]
ポリエチレングリコール300の代わりに、ステアリン酸(商品名NAA−175、日油(株)製)0.30質量部を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0049】
[比較例5]
ポリエチレングリコール300の代わりに、ステアリルアルコール(商品名NAA−45、日油(株)製)0.30質量部を用いた以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂組成物を得た。
【0050】
評価結果を以下の表1と2に纏めて示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る導光板は、表面に微細な傷が発生し難く、かつ、低吸水性に因り成形品の反り量が少ないため、テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター(例えば、デスクトップ用、ノートブック用)、カーナビゲーションシステム用モニター、携帯電話、室内外空間の照明装置等に使用される表示装置、並びに看板等の幅広い用途において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 押出機
2 ギアポンプ
3 Tダイ
4 艶付けロール
5 枠
6 液晶TV用拡散シート
7 PS試験片
図1
図2