(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正極ダミータブの第1領域および前記負極ダミータブの第1領域には、絶縁テープが貼られ、当該絶縁テープの上に導電板が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の接触抵抗測定システム。
蓄電装置の正極タブおよび負極タブとそれぞれ接触する、充放電試験装置の正極接触部および負極接触部の少なくとも一方の接触抵抗を測定する接触抵抗測定システムであって、
前記充放電試験装置の正極接触部および負極接触部のうちの一方である第1接触部の複数の爪部と接触すべき第1ダミータブと、
前記充放電試験装置の負極接触部および正極接触部のうちの他方である第2接触部の複数の爪部と接触すべき第2ダミータブと、
前記第1ダミータブの第1領域と第2領域の電位差を測定する電圧測定装置と、を備え、
前記第1ダミータブの第1領域と第2領域は絶縁されており、
前記第1ダミータブの第2領域と前記第2ダミータブは電気的に接続されており、
前記第1ダミータブの第1領域には、前記第1接触部の複数の爪部の一つが接触され、
前記第1ダミータブの第2領域には、前記第1接触部の複数の爪部の残りの少なくとも一つが接触される、
ことを特徴とする接触抵抗測定システム。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)が普及してきており、車載用二次電池の出荷が伸びてきている。それに伴い二次電池の充放電試験装置(例えば、特許文献1参照)の需要も伸びている。車載用二次電池セルとして、ラミネート型リチウムイオン電池が普及してきている。一般的にラミネート型リチウムイオン電池の外装には、アルミラミネートフィルムが使用される。
【0003】
図1は、ラミネート型リチウムイオン電池300の構成例を示す図である。
図1に示すリチウムイオン電池300では、方形板状の正極タブ10及び負極タブ20がアルミラミネートフィルムから突出している。電極タブには、ニッケル、アルミ、銅およびメッキ加工品などが使用される。
【0004】
充放電試験装置の充放電端子と試料の電極端子との接触部に、チャック機構が使用されることがある。
図2は、充放電試験装置の、チャック機構で構成された接触部80の概略図である。
図2の接触部80は、正極接触部60及び負極接触部70で形成される。正極接触部60は複数の正極接触部60a〜60dで形成され、同様に負極接触部70は複数の負極接触部70a〜70dで形成される。
【0005】
各正極接触部60a〜60dは、リチウムイオン電池300(以下、試料という)の正極タブ10が挿入されるべきスペースを挟んで両側にそれぞれ複数の爪部を有する。充放電試験時、そのスペースに挿入された試料の正極タブ10を、両側の複数の爪部で正極タブ10の両面から挟持する。同様に各負極接触部70a〜70dも負極タブ20を、両側の複数の爪部で負極タブ20の両面から挟持する。
図2では同時に4チャンネルの充放電試験が可能な接触部80を描いているが、
図2の接触部80は一例であり、さらに多チャンネル(例えば32チャンネル)の充放電試験装置が広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2のようなチャック機構は使用回数が増えると摩耗したり、埃などの付着物が溜まってくる。それらはチャック機構と試料のタブとの接触抵抗を増加させる要因となる。接触抵抗の増加は試験精度の低下につながる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、充放電試験装置の接触部の接触抵抗を簡単に測定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の接触抵抗測定システムは、蓄電装置の正極タブおよび負極タブとそれぞれ接触する、充放電試験装置の正極接触部および負極接触部の接触抵抗を測定する接触抵抗測定システムであって、前記充放電試験装置の正極接触部の複数の爪部と接触すべき正極ダミータブと、前記充放電試験装置の負極接触部の複数の爪部と接触すべき負極ダミータブと、前記正極ダミータブの第1領域と第2領域の電位差、及び前記負極ダミータブの第1領域と第2領域の電位差を測定する電圧測定装置と、を備える。前記正極ダミータブの第1領域と第2領域は絶縁されており、前記負極ダミータブの第1領域と第2領域は絶縁されており、前記正極ダミータブの第2領域と前記負極ダミータブの第2領域は電気的に接続されており、前記正極ダミータブの第1領域には、前記正極接触部の複数の爪部の一つが接触され、前記正極ダミータブの第2領域には、前記正極接触部の複数の爪部の残りの少なくとも一つが接触され、前記負極ダミータブの第1領域には、前記負極接触部の複数の爪部の一つが接触され、前記負極ダミータブの第2領域には、前記負極接触部の複数の爪部の残りの少なくとも一つが接触される。
【0010】
本発明の別の態様もまた、接触抵抗測定システムである。この接触抵抗測定システムは、蓄電装置の正極タブおよび負極タブとそれぞれ接触する、充放電試験装置の正極接触部および負極接触部の接触抵抗を測定する接触抵抗測定システムであって、前記充放電試験装置の正極接触部の複数の爪部と接触すべき複数の領域を有する正極ダミータブと、前記充放電試験装置の負極接触部の複数の爪部と接触すべき複数の領域を有する負極ダミータブと、前記正極ダミータブの複数の領域の内の2つの領域間の電位差を測定する第1電圧測定部と、前記負極ダミータブの複数の領域の内の2つの領域間の電位差を測定する第2電圧測定部と、前記正極ダミータブの複数の領域の一つと前記第1電圧測定部の一端とを選択的に導通させるための第1スイッチ部と、前記正極ダミータブの複数の領域の一つと前記第1電圧測定部の他端とを選択的に導通させるための第2スイッチ部と、前記負極ダミータブの複数の領域の一つと前記第2電圧測定部の一端とを選択的に導通させるための第3スイッチ部と、前記正極ダミータブの複数の領域の一つと前記第2電圧測定部の他端とを選択的に導通させるための第4スイッチ部と、前記正極ダミータブの複数の領域の一つと、前記負極ダミータブの複数の領域
の一つを選択的に導通させるための第5スイッチ部と、を備える。前記正極ダミータブの複数の領域間は絶縁されており、前記正極ダミータブの複数の領域には、前記正極接触部の複数の爪部がそれぞれ接触され、前記負極ダミータブの複数の領域間は絶縁されており、前記負極ダミータブの複数の領域には、前記負極接触部の複数の爪部がそれぞれ接触され、前記正極ダミータブの複数の領域の一つと、前記負極ダミータブの複数の領域の一つは、前記第5スイッチ部を介して電気的に接続されており、前記第2スイッチ部は、前記第5スイッチ部により前記負極ダミータブの一つの領域に電気的に接続されている前記正極ダミータブの一つの領域と、前記第1電圧測定部の
他端とを導通させ、前記第1スイッチ部は、前記第2スイッチ部で選択されている正極ダミータブの領域以外の一つの領域と、前記第1電圧測定部の
一端とを導通させ、前記第4スイッチ部は、前記第5スイッチ部により前記正極ダミータブの一つの領域に電気的に接続されている前記負極ダミータブの一つの領域と、前記第2電圧測定部の
他端とを導通させ、前記第3スイッチ部は、前記第4スイッチ部で選択されている負極ダミータブの領域以外の一つの領域と、前記第2電圧測定部の
一端とを導通させる。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、接触抵抗測定システムである。この接触抵抗測定システムは、蓄電装置の正極タブおよび負極タブとそれぞれ接触する、充放電試験装置の正極接触部および負極接触部の少なくとも一方の接触抵抗を測定する接触抵抗測定システムであって、前記充放電試験装置の正極接触部
および負極接触部
のうちの一方である第1接触部の複数の爪部と接触すべき第1ダミータブと、前記充放電試験装置の負極接触部
および正極接触部
のうちの他方である第2接触部の複数の爪部と接触すべき第2ダミータブと、前記第1ダミータブの第1領域と第2領域の電位差を測定する電圧測定装置と、を備える。前記第1ダミータブの第1領域と第2領域は絶縁されており、前記第1ダミータブの第2領域と前記第2ダミータブは電気的に接続されており、前記第1ダミータブの第1領域には、前記
第1接触部の複数の爪部の一つが接触され、前記第1ダミータブの第2領域には、前記
第1接触部の複数の爪部の残りの少なくとも一つが接触される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充放電試験装置の接触部の接触抵抗を簡単に測定できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3は、本発明の実施の形態1に係る、充放電試験装置200及び接触抵抗測定システム100のシステム構成を示す図である。充放電試験装置200は、試料の充放電試験を行う。試験対象の試料は蓄電デバイスであり、蓄電デバイスにはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池、ニッケルカドミウム電池などの二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタが該当する。
【0015】
充放電試験装置200は、接触部80、電源装置90、回生インバータ92及び制御部94を備える。電源装置90は双方向DC−DCコンバータである。回生インバータ92は、交流電源(商用電源)400と電源装置90との間に接続される。回生インバータ92は回生機能付きの双方向AC−DCコンバータである。回生インバータ92は力行時、交流電源400からの交流電圧を直流電圧に変換し、電源装置90に供給する。回生時、電源装置90からの直流電圧を交流電圧に変換し、交流電源400に供給する。なおインバータは回生機能付きでなくてもよいが、その場合、余った放電電流をヒータ抵抗により消費する必要がある。
【0016】
接触部80は、試料の電極と電気的に接触する部材である。本明細書では
図2に示したようなチャック機構を想定する。電源装置90は接触部80を介して、試料に対して充放電する。電源装置90にはスイッチング電源を用いることができる。例えば、フルブリッジ型のDC−DCコンバータを用いることができる。定電流(CC)充放電および定電圧(CV)充放電が可能な電源装置90であれば、そのタイプは問わない。
【0017】
制御部94は、各種アナログ素子、各種論理回路、プロセッサ、メモリの任意の組み合わせにより構成される。制御部94は電源装置90に制御信号を送信して、電源装置90の充放電電圧および充放電電流を制御する。また制御部94は接触部80に制御信号を送信して、チャック機構の開閉を制御する。
【0018】
試料となる複数のリチウムイオン電池300は、図示しない電池収納容器(以下、マガジンという)に並べて収納される。その際、電極タブがマガジンから露出される向きに収納される。複数のリチウムイオン電池300はマガジンに収納された状態で、
図2に示すような多チャンネルの接触部80に物理的および電気的に接続される。即ちチャンネルごとに、リチウムイオン電池300の正極タブ10及び負極タブ20が、接触部80の正極接触部60及び負極接触部70にそれぞれ接触される。
【0019】
本実施の形態では接触部80の正極接触部60及び負極接触部70の接触抵抗値を測定するために、正極接触部60及び負極接触部70に、リチウムイオン電池300の正極タブ10及び負極タブ20の代わりに正極ダミータブ10d及び負極ダミータブ20dを接触させる。
【0020】
接触抵抗測定システム100は、ダミーマガジン30、電圧データロガー40及び演算装置50を備える。ダミーマガジン30は、充放電試験装置200の接触部80のチャンネル数に対応した複数対のダミータブを収納する。電圧データロガー40はチャンネルごとに、正極接触部60の接触抵抗値を求めるための正極側の電圧と、負極接触部70の接触抵抗値を求めるための負極側の電圧を測定する。電圧データロガー40は、測定した電圧値を演算装置50に送信する。
【0021】
演算装置50は、電圧データロガー40から受信した電圧値と、充放電試験装置200の正極接触部60または負極接触部70に供給されている電流値をもとに、正極接触部60または負極接触部70の接触抵抗値を算出する。演算装置50には例えば、PC、タブレット等の情報端末を使用できる。電圧データロガー40及び演算装置50間は、有線/無線LAN等の通信回線で接続される。
【0022】
図4は、本発明の実施の形態1に係る接触抵抗測定システム100の回路構成を説明するための図である。
図4では1チャンネル分の回路構成を示している。充放電試験装置200の正極接触部60は、複数の爪部として第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63を有する。
図4では片面だけを描いているため、実際はその倍の6つの爪部を有する。正極ダミータブ10dは当該複数の爪部と接触する。具体的には第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63と、それらと対向する3つの爪部により、正極ダミータブ10dの両面から挟持される。
【0023】
正極ダミータブ10dは第1領域11と第2領域12を有する。第1領域11は正極ダミータブ10dの片面の一部に形成される。第1領域11には絶縁テープ11iが貼られ、絶縁テープ11iの上に導電板(例えば、銅板)が設けられる。即ち、第1領域11と第2領域12は絶縁される。
【0024】
正極側と同様に、充放電試験装置200の負極接触部70は、複数の爪部として第1爪部71、第2爪部72及び第3爪部73を有する。
図4では片面だけを描いているため、実際はその倍の6つの爪部を有する。負極ダミータブ20dは当該複数の爪部と接触する。具体的には第1爪部71、第2爪部72及び第3爪部73と、それらと対向する3つの爪部により、負極ダミータブ20dの両面から挟持される。
【0025】
負極ダミータブ20dは第1領域21と第2領域22を有する。第1領域21は負極ダミータブ20dの片面の一部に形成される。第1領域11には絶縁テープ21iが貼られ、絶縁テープ21iの上に導電板が設けられる。即ち、第1領域21と第2領域12は絶縁される。正極ダミータブ10dの第2領域12と、負極ダミータブ20dの第2領域22は電気的に接続される。例えば、導電線やバスバー等で接続されてもよいし、正極ダミータブ10dの第2領域12と負極ダミータブ20dの第2領域22の少なくとも一部が一体的に形成されてもよい。
【0026】
正極接触部60の第1爪部61は、正極ダミータブ10dの第1領域11に接触する。正極接触部60の残りの爪部(
図4の例では5つの爪部)は、正極ダミータブ10dの第2領域12に接触する。負極接触部70の第1爪部71は、負極ダミータブ20dの第1領域21に接触する。負極接触部70の残りの爪部(
図4の例では5つの爪部)は、負極ダミータブ20dの第2領域22に接触する。
【0027】
以上の接続状態にて充放電試験装置200内の電源装置90から、正極接触部60に定電流Iを供給する。この電流Iは、正極接触部60→正極ダミータブ10dの第2領域12→負極ダミータブ20dの第2領域22→負極接触部70と流れる。電圧データロガー40内の第1電圧計41は、正極ダミータブ10dの第1領域11と第2領域12間の電位差を測定する。電圧データロガー40内の第2電圧計42は、負極ダミータブ20dの第1領域21と第2領域22間の電位差を測定する。第1電圧計41及び第2電圧計42は、測定した電位差を演算装置50に送信する。
【0028】
以下、正極接触部60の第1爪部61の接触抵抗をR1、第2爪部62の接触抵抗をR2、第3爪部63の接触抵抗をR3、第4爪部(不図示)の接触抵抗をR4、第5爪部(不図示)の接触抵抗をR5、第6爪部の接触抵抗(不図示)をR6とする。第1爪部61が接触している第1領域11は周囲が絶縁されているため、第1爪部61は終端されず第1爪部61には電流が流れない。なお第1電圧計41の内部抵抗は、接触抵抗R1と比較して極めて大きいため第1電圧計41に流れる電流は無視できる。
【0029】
一方、第2爪部62〜第6爪部は終端されているため電流Iが流れる。従って第2爪部62〜第6爪部の接触抵抗(R2+R3+R4+R5+R6)により、(R2+R3+R4+R5+R6)×Iの電圧降下V1が発生する。第1爪部61の電位と第2爪部62〜第6爪部の電位は等価であるため、第1爪部61に接触している第1領域11と、第2爪部62〜第6爪部に接触している第2領域12との電位差を測定することにより、当該電圧降下V1を検出できる。第1電圧計41は測定した電位差V1を演算装置50に送信する。
【0030】
演算装置50は、受信した電位差V1をもとに正極接触部60の接触抵抗値を算出する。正極接触部60に流れる電流をIとすると、演算装置50はV1/Iを演算して正極接触部60の接触抵抗値を算出する。ただし、この接触抵抗値は第2爪部62〜第6爪部の接触抵抗(R2+R3+R4+R5+R6)であり、第1爪部61の接触抵抗R1は含まれていない。そこで各爪部の接触抵抗を等しいと仮定して、(V1/I)×6/5を演算することにより、正極接触部60の接触抵抗値を算出する。演算装置50は、算出した正極接触部60の接触抵抗値と規定の基準値を比較して、算出した正極接触部60の接触抵抗値が規定の基準値を超えると基準値オーバーを通知する。例えば、演算装置50のディスプレイに基準値オーバーを表示する。作業者はその通知を受けると、正極接触部60をメンテナンスするか、新しいものに交換する。
【0031】
以下、負極側について説明する。負極接触部70の第1爪部71の接触抵抗をR7、第2爪部72の接触抵抗をR8、第3爪部73の接触抵抗をR9、第4爪部(不図示)の接触抵抗をR10、第5爪部(不図示)の接触抵抗をR11、第6爪部の接触抵抗(不図示)をR12とする。第1爪部71が接触している第1領域21は周囲が絶縁されているため、第1爪部71は終端されず第1爪部71には電流が流れない。
【0032】
一方、第2爪部72〜第6爪部は終端されているため電流Iが流れる。従って第2爪部72〜第6爪部の接触抵抗(R8+R9+R10+R11+R12)により、(R8+R9+R10+R11+R12)×Iの電圧降下V2が発生する。第1電圧計41は、第1爪部71に接触している第1領域21と、第2爪部72〜第6爪部に接触している第2領域22との電位差V2を測定し、測定した電位差V2を演算装置50に送信する。
【0033】
演算装置50は、受信した電位差V2をもとに正極接触部60の接触抵抗値を算出する。負極接触部70に流れる電流をIとすると、演算装置50はV2/Iを演算して負極接触部70の接触抵抗値を算出する。ただし、この接触抵抗値は第2爪部72〜第6爪部の接触抵抗(R8+R9+R10+R11+R12)であり、第1爪部71の接触抵抗R7は含まれていない。そこで各爪部の接触抵抗を等しいと仮定して、(V1/I)×6/5を演算することにより、負極接触部70の接触抵抗値を算出する。演算装置50は、算出した負極接触部70の接触抵抗値と規定の基準値を比較して、算出した負極接触部70の接触抵抗値が規定の基準値を超えると基準値オーバーを通知する。
【0034】
以上説明したように実施の形態1によれば、充放電試験装置の接触部に挟持されたダミータブの、絶縁された第1領域と第2領域間の電位差を測定することにより、当該接触部の接触抵抗値を簡単に測定できる。絶縁された第1領域を持たない通常のダミータブを用いて接触抵抗値を測定する場合、接触部側の電位を検出するポイントが必要となり、接触部に計測線を取り付ける煩雑な作業が必要となる。この点、本実施の形態に係る接触抵抗測定システムでは、充放電試験装置に何ら手を加える必要がない。複数のリチウムイオン電池を収納したマガジンを充放電試験装置の接触部に装着する場合と同様に、複数のダミータブを収納したダミーマガジンを装着するだけで足りる。
【0035】
実施の形態1では正極接触部60または負極接触部70全体の接触抵抗値を測定する例を挙げた。実施の形態2では正極接触部60または負極接触部70の各爪部の接触抵抗値を測定する例を挙げる。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態2に係る、充放電試験装置200及び接触抵抗測定システム100のシステム構成を示す図である。充放電試験装置200の構成は、実施の形態1と実施の形態2で共通である。実施の形態2に係る接触抵抗測定システム100は、ダミーマガジン30、スイッチ部SW、電圧データロガー40、演算装置50、及びスイッチ制御回路52を備える。スイッチ部SWの詳細は後述する。スイッチ制御回路52は演算装置50からの制御信号に応じて、スイッチ部SWに含まれる各スイッチのオン/オフを制御する。スイッチ制御回路52及び演算装置50間は、有線/無線LAN等の通信回線で接続される。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態2に係る接触抵抗測定システム100の回路構成を説明するための図である。正極ダミータブ10dは、正極接触部60の複数の爪部とそれぞれ接触すべき複数の領域を有する。
図6では第1爪部61と接触すべき第1領域11、第2爪部62と接触すべき第2領域12、第3爪部63と接触すべき第3領域13、第4爪部と接触すべき第4領域(不図示)、第5爪部と接触すべき第5領域(不図示)、第6爪部と接触すべき第6領域(不図示)を有する。正極ダミータブ10dの複数の領域間はそれぞれ絶縁されている。
【0038】
図6では正極ダミータブ10dの複数の領域間が空間的に分離され、複数の領域が絶縁部材19で連結される構成を描いているが、この構成は一例である。例えば
図4に示したように1つのタブに6枚の絶縁テープを貼り、それぞれ絶縁テープ上に導電板を取り付けてもよい。
【0039】
正極側と同様に、負極ダミータブ20dは、負極接触部70の複数の爪部とそれぞれ接触すべき複数の領域を有する。
図6では第1爪部71と接触すべき第1領域21、第2爪部72と接触すべき第2領域22、第3爪部73と接触すべき第3領域23、第4爪部と接触すべき第4領域(不図示)、第5爪部と接触すべき第5領域(不図示)、第6爪部と接触すべき第6領域(不図示)を有する。負極ダミータブ20dの複数の領域間はそれぞれ絶縁されている。
【0040】
第1電圧計41は、正極ダミータブ10dの複数の領域の内の2つの領域間の電位差を測定する。第2電圧計42は、負極ダミータブ20dの複数の領域の内の2つの領域間の電位差を測定する。これらを実現するために第1スイッチSW1〜第6スイッチSW6を使用する。
【0041】
第1スイッチSW1は、正極ダミータブ10dの複数の領域の一つと、第1電圧計41の一端とを選択的に導通させる。第2スイッチSW2は、正極ダミータブ10dの複数の領域の一つと、第1電圧計41の他端とを選択的に導通させる。第3スイッチSW3は、負極ダミータブ20dの複数の領域の一つと、第2電圧計42の一端とを選択的に導通させる。第4スイッチSW4は、負極ダミータブ20dの複数の領域の一つと、第2電圧計42の他端とを選択的に導通させる。第5スイッチSW5は、正極ダミータブ10dの複数の領域の一つと、第6スイッチSW6の一端とを選択的に導通させる。第6スイッチSW6は、負極ダミータブ20dの複数の領域の一つと、第5スイッチSW5の一端とを選択的に導通させる。スイッチ制御回路52は、第1スイッチSW1〜第6スイッチSW6のオン/オフを制御する。
【0042】
図6では第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4に、1:Nタイプのスイッチを使用する例を描いているが、1:1タイプのスイッチをそれぞれに複数使用してもよい。また第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6の代わりに、1:1タイプのスイッチを複数使用してもよい。
【0043】
正極ダミータブ10dの複数の領域の一つと、負極ダミータブ20dの複数の領域の一つは、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を介して電気的に接続可能な構成である。第2スイッチSW2は、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を介して負極ダミータブ20dの一つの領域に電気的に接続されている正極ダミータブ10dの一つの領域と、第1電圧計41の一端とを導通させる。第1スイッチSW1は、第2スイッチSW2で選択されている正極ダミータブ10dの領域以外の一つの領域と、第1電圧計41の他端とを導通させる。
【0044】
第4スイッチSW4は、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を介して正極ダミータブ10dの一つの領域に電気的に接続されている負極ダミータブ20dの一つの領域と、第2電圧計42の一端とを導通させる。第3スイッチSW3は、第4スイッチSW4で選択されている負極ダミータブ20dの領域以外の一つの領域と、第2電圧計42の他端とを導通させる。
【0045】
図6の例では、正極ダミータブ10dの第3領域13と、負極ダミータブ20dの第3領域23が、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を介して電気的に接続されている。第2スイッチSW2は正極ダミータブ10dの第3領域13と、第1電圧計41の一端とを導通させている。第1スイッチSW1は、第2スイッチSW2で選択されている正極ダミータブ10dの第3領域13以外の第1領域11と、第1電圧計41の他端とを導通させている。
【0046】
第4スイッチSW4は負極ダミータブ20dの第3領域23と、第2電圧計42の一端とを導通させている。第3スイッチSW3は、第4スイッチSW4で選択されている負極ダミータブ20dの第3領域23以外の第1領域21と、第2電圧計42の他端とを導通させている。
【0047】
以上の接続状態にて充放電試験装置200内の電源装置90から、正極接触部60に定電流Iを供給する。この電流Iは、正極接触部60→正極ダミータブ10dの第3領域13→負極ダミータブ20dの第3領域23→負極接触部70と流れる。第1電圧計41は、正極ダミータブ10dの第1領域11と第3領域13間の電位差を測定する。第2電圧計42は、負極ダミータブ20dの第1領域21と第3領域32間の電位差を測定する。第1電圧計41及び第2電圧計42は、測定した電位差を演算装置50に送信する。
【0048】
正極接触部60の第1爪部61は終端されておらず、第1爪部61には電流が流れない。一方、正極接触部60の第3爪部63は終端されているため電流Iが流れる。従って第3爪部63の接触抵抗R3により、R3×Iの電圧降下V1が発生する。第1爪部61の電位と第3爪部63の電位は等価であるため、第1爪部61に接触している第1領域11と、第3爪部63に接触している第3領域13との電位差を測定することにより、当該電圧降下V1を検出できる。第1電圧計41は測定した電位差V1を演算装置50に送信する。
【0049】
演算装置50は、受信した電位差V1をもとに第3爪部63の接触抵抗値を算出する。第3爪部63に流れる電流をIとすると、演算装置50はV1/Iを演算して第3爪部63の接触抵抗値を算出する。演算装置50は、算出した第3爪部63の接触抵抗値と規定の基準値を比較して、算出した第3爪部63の接触抵抗値が規定の基準値を超えると基準値オーバーを通知する。
【0050】
第1電圧計41の第3領域13に接続されない方の端子は、第1領域11ではなく第2領域12、第4領域〜第6領域のいずれかに接続されてもよい。即ち、負極接触部70と通電していない領域であれば、いずれの領域に接続してもよい。第3爪部63と同様に接触抵抗測定システム100は、第1爪部61、第2爪部62、第4爪部〜第6爪部の各接触抵抗値を求めることができる。接触抵抗値を求めたい爪部を負極接触部70と電気的に接続させ、当該爪部に接触している領域と、それ以外の爪部に接触している領域とを電位差を測定すればよい。
【0051】
以下、負極側について説明する。負極接触部70の第1爪部71は終端されておらず、第1爪部71には電流が流れない。一方、負極接触部70の第3爪部73は終端されているため電流Iが流れる。従って第3爪部73の接触抵抗R3により、R3×Iの電圧降下V2が発生する。第1爪部71の電位と第3爪部73の電位は等価であるため、第1爪部71に接触している第1領域21と、第3爪部73に接触している第3領域23との電位差を測定することにより、当該電圧降下V2を検出できる。第2電圧計42は測定した電位差V2を演算装置50に送信する。
【0052】
演算装置50は、受信した電位差V2をもとに第3爪部73の接触抵抗値を算出する。第3爪部73に流れる電流をIとすると、演算装置50はV2/Iを演算して第3爪部73の接触抵抗値を算出する。演算装置50は、算出した第3爪部73の接触抵抗値と規定の基準値を比較して、算出した第3爪部73の接触抵抗値が規定の基準値を超えると基準値オーバーを通知する。第3爪部73と同様に接触抵抗測定システム100は、第1爪部71、第2爪部72、第4爪部〜第6爪部の各接触抵抗値を求めることができる。接触抵抗値を求めたい爪部を正極接触部60と電気的に接続させ、当該爪部に接触している領域と、それ以外の爪部に接触している領域とを電位差を測定すればよい。
【0053】
以上説明したように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏しつつ、さらに爪部ごとの接触抵抗値を測定できるため、よりきめ細かな測定が可能となる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
図4、
図6に示した回路構成の代わりに、一方の極のダミータブ、電圧計及びそれらの付随回路を
図4、
図6と同様に構成し、他方の極をプレーンなダミータブのみで構成してもよい。この構成では、正極接触部60及び負極接触部70の一方の接触抵抗値を測定し、その後、ダミーマガジン30を180度回転させて接触部80に装着し、他方の接触抵抗値を測定する。