特許第6262010号(P6262010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6262010-ラウリン系油脂の収縮抑制剤 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262010
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ラウリン系油脂の収縮抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/005 20060101AFI20180104BHJP
   C11B 5/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A23D7/005
   C11B5/00
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-27452(P2014-27452)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2014-183840(P2014-183840A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-29897(P2013-29897)
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山根 晋哉
【審査官】 小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−052048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00 − 7/06
C11B 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記条件(A)及び(B)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とするラウリン系油脂の収縮抑制剤。
(A):構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30%以上;
(B):エステル化率が30〜85%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウリン系油脂の収縮抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヤシ油やパーム核油などのラウリン系油脂は、例えば起泡性水中油型乳化物などの油脂成分として好ましく使用されている。そして、このような乳化物をホイップして得られるクリーム類は、口溶けが良好で、水々しく、天然の生クリームを使用したものに近い品質を有している。しかし、ラウリン系油脂は、保存中に収縮する(体積が減少して硬くなる)性質があるため、ラウリン系油脂を含有するクリーム類は、経時的に収縮して硬くなる「しまり」という現象が起きやすく、その食感がボソボソして悪くなるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するための方法として、例えば、構成脂肪酸中にラウリン酸を40%以上含み、且つ融点50℃未満である油脂Aと、融点50℃以上の油脂Bとを、重量比で油脂A:油脂B=99:1〜87:13の割合で含み、35℃のSFCが6%以上、16%未満であり、15℃における固体脂含有量と35℃における固体脂含有量の差が55〜69%である混合油脂10〜35重量%を含有することを特徴とする起泡性水中油型乳化物(特許文献1)、油脂、無脂乳固形分、乳化剤、水を含む起泡性水中油型乳化物において、構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30〜40%、ステアリン酸含有量が7%以下で、SFCが10℃で55〜70、30℃で0〜3.5の油脂を30〜40重量%、乳化剤として炭素数18〜22の飽和脂肪酸からなるモノグリセリン脂肪酸モノエステルとレシチンとを合計で0.25〜0.5重量%含有し、かつモノグリセリン脂肪酸モノエステルとレシチンとの割合が、重量比でモノグリセリン脂肪酸モノエステル:レシチン=20:80〜50:50であることを特徴とする起泡性水中油型乳化物(特許文献2)などが提案されている。
【0004】
ここで、上記技術は、ラウリン系油脂を原料して製造される起泡性水中油型乳化物に関するものである。しかし、ラウリン系油脂は、起泡性水中油型乳化物以外の様々な油脂組成物にも利用されており、例えばココアバターの代替油脂としてチョコレート類等に利用されている。そこで、ラウリン系油脂の収縮を直接抑制すれば、ラウリン系油脂を原料とする様々な形態の油脂組成物について、ラウリン系油脂の収縮に起因する好ましくない現象を抑制できると考えられる。従って、ラウリン系油脂に添加することにより、その収縮を抑制できる収縮抑制剤が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−083195号公報
【特許文献2】特開2012−213369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ラウリン系油脂に添加することにより、その収縮を抑制可能なラウリン系油脂の収縮抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、脂肪酸組成及びエステル化率が特定の範囲内にあるソルビタン脂肪酸エステルにより上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の(1)及び(2)からなっている。
(1)下記条件(A)及び(B)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とするラウリン系油脂の収縮抑制剤。
(A):構成脂肪酸中の炭素数10〜14の脂肪酸含有量が20%以上;
(B):エステル化率が30〜85%。
(2)前記(1)に記載の収縮抑制剤を含有することを特徴とするラウリン系油脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のラウリン系油脂の収縮抑制剤を添加したラウリン系油脂組成物は、ラウリン系油脂による収縮が抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例及び比較例のラウリン系油脂の収縮抑制剤を添加したラウリン系油脂組成物について、その収縮の程度を、その上面の凹みにより示す写真である。
図2図2は、実施例及び比較例のラウリン系油脂の収縮抑制剤を添加したラウリン系油脂組成物について、その収縮の程度を、その側周面と容器内面との間隙により示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、下記条件(A)及び(B)を満たすものである。
【0012】
[条件(A)について]
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、構成脂肪酸100%中、炭素数10〜14の脂肪酸(好ましくは飽和脂肪酸)の含有量が20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。炭素数10〜14の脂肪酸の含有量が20%未満であると、ラウリン系油脂の収縮抑制効果が十分に得られず、好ましくない。炭素数が10〜14の脂肪酸としては、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)およびミリスチン酸(炭素数14)が挙げられ、好ましくはラウリン酸である。
【0013】
ここで、条件(A)の構成脂肪酸の含有量とは、ソルビタン脂肪酸エステルの製造の原料となる脂肪酸100%中の含有量を指すが、この含有量は、製造されたソルビタン脂肪酸エステルについて下記工程(1)〜(3)を実施して測定しても良い。
(1)試料の調製
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.1.2−1996 メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)]に準じて試料を調製する。
(2)測定方法
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)]に準じて測定する。
(3)定量
データ処理装置により記録されたピーク面積の総和に対する各ピーク面積の百分率をもって構成脂肪酸の含有量とする。
【0014】
[条件(B)について]
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルのエステル化率は30〜85%であり、より好ましくは35〜80%である。エステル化率が30%未満であると、ラウリン系油脂の収縮抑制効果が十分に得られず、好ましくない。またエステル化率が85%を超えるソルビタン脂肪酸エステルは、反応時間が著しく延長することや、得られるソルビタン脂肪酸エステルが着色するなどの問題があるため、工業的な生産又は商業的に販売されている市販品の入手が困難であるため好ましくない。
【0015】
ここで、エステル化率(%)は下記式により算出される。なお、下記式中のエステル価及び水酸基価は、「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.3.3−1996 エステル価]及び[2.3.6−1996 ヒドロキシル価]に準じて測定される。
【0016】
【数1】
【0017】
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられるソルビトールとしては、例えば、D−ソルビトールを約50.0〜70.0質量%含有するD−ソルビトール液或いは白色粉末又は粒状のD−ソルビトールが挙げられる。
【0018】
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、上記条件(A)を満たすものが好ましく用いられる。
【0019】
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの製造(エステル化反応)において、ソルビトールに対する脂肪酸の仕込み量は、ソルビトール1モルに対して約1.4〜3.5モル程度であるのが好ましい。
【0020】
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの製造方法は特に限定されないが、例えばソルビトールと脂肪酸とのエステル化反応は無触媒で行って良く、又は酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いて行っても良いが、アルカリ触媒の存在下で行われるのが好ましい。酸触媒としては、例えば、濃硫酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ触媒の使用量は、全仕込み量(乾燥物換算)の約0.01〜1.0質量%、好ましくは約0.05〜0.5質量%である。
【0021】
上記製造に用いる製造装置としては特に限定されないが、例えば上記エステル化反応は、例えば攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板、不活性ガス吹き込み管、温度計及び冷却器付き水分分離器などを備えた通常の反応容器に、ソルビトール、脂肪酸、及び触媒を供給して攪拌混合し、窒素又は二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で一定時間加熱して行われる。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜4時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、約10以下を目安に決められる。
【0022】
エステル化反応終了後、触媒を用いた場合は、反応混合物中に残存する触媒を中和しても良い。その際、エステル化反応の温度が200℃以上の場合は液温を約180〜200℃に冷却してから中和処理を行うのが好ましい。また反応温度が200℃以下の場合は、そのままの温度で中和処理を行って良い。中和後、その温度で好ましくは約0.5時間以上、更に好ましくは約1〜10時間放置する。未反応のソルビトール又はソルビトール分子内縮合物が下層に分離した場合はそれを除去するのが好ましい。
【0023】
本発明においてラウリン系油脂とは、油脂の構成脂肪酸組成において炭素数12の飽和脂肪酸含量が50質量%以上である油脂をいい、具体的にはヤシ油、パーム核油、さらには、これらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を挙げることができる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いても良く、又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0024】
本発明のラウリン系油脂の収縮抑制剤(以下、単に「油脂収縮抑制剤」ともいう)は、上記条件(A)及び(B)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とするものである。本発明の油脂収縮抑制剤は、そのままラウリン系油脂に添加して用いても良く、又は該ソルビタン脂肪酸エステルを含有する製剤を調製し、これを油脂収縮抑制剤としてラウリン系油脂に添加して用いても良い。その添加方法に特に制限はないが、例えば本発明の油脂収縮抑制剤をラウリン系油脂に加え、これを約60〜120℃に加熱して混合溶解することより容易に実施することができる。
【0025】
本発明のラウリン系油脂組成物は、本発明の油脂収縮抑制剤を添加したラウリン系油脂及び該ラウリン系油脂を原料として製造される油脂組成物である。具体的には、本発明の油脂収縮抑制剤をラウリン系油脂に直接添加してなる油脂組成物の他、該油脂組成物を原料として製造される食用油脂組成物が挙げられ、そのような食用油脂組成物としては、例えばチョコレート類、ホイップクリーム用油脂組成物(起泡性水中油型乳化組成物)、サンドクリーム用油脂組成物、冷菓の被覆用油脂組成物、菓子又はパンの被覆用油脂組成物、マーガリン、ファットスプレッド又はショートニング等の可塑性油脂組成物等が挙げられる。これら食用油脂組成物の製造方法に特に制限はなく、これらは、慣用の装置を用いて、常法により製造することができる。
【0026】
本発明のラウリン系油脂組成物中の上記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、該油脂組成物の形態、該油脂組成物中のラウリン系油脂の含有量、目的とする油脂の収縮抑制効果の程度等により異なり一様ではないが、例えば該油脂組成物に含有されるラウリン系油脂100質量部に対して、通常約0.1〜2.0質量部、好ましくは約0.2〜1.2質量部となるように調整することができる。
【0027】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
[製造例1]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを443g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)188.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)377.3g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)62.9gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.33gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品A;エステル化率30%)約830gを得た。
【0029】
[製造例2]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを428g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)330.5g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)264.4g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)66.1gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.38gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品B;エステル化率35%)約850gを得た。
【0030】
[製造例3]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを367g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)446.0g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)356.8g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)89.2gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.58gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品C;エステル化率60%)約1070gを得た。
【0031】
[製造例4]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを361g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)740.7g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)185.2gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.59gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品D;エステル化率75%)約1090gを得た。
【0032】
[製造例5]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを356g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)914.8g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)48.1gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.61gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品E;エステル化率80%)約1120gを得た。
【0033】
[製造例6]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを337g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)341.1g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)682.1g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)113.7gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.70gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品F;エステル化率80%)約1250gを得た。
【0034】
[製造例7]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを492g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)523.7g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)27.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.22gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品G;エステル化率30%)約810gを得た。
【0035】
[製造例8]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを382g仕込み、次にステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)570.8g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)244.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.61gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品H;エステル化率40%)約930gを得た。
【0036】
[製造例9]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを355g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)126.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)682.0g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)165.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.62gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品I;エステル化率60%)約1130gを得た。
【0037】
[製造例10]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトール347gを仕込み、次にステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)1035.4gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.65gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品J;エステル化率65%)約1140gを得た。
【0038】
[製造例11]
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトール550gを仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)295.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)172.4g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)24.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.13gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品K;エステル化率23%)約800gを得た。
【0039】
ここで、製造例1〜11で製造したソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜K)の構成脂肪酸100%中、炭素数10〜14、炭素数16〜18及び炭素数20〜22の脂肪酸含有量(%)並びにこれらのエステル化率を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
なお、表1に示したソルビタン脂肪酸エステルのうち、試作品A〜G(製造例1〜7)は、本発明に係る実施例であり、試作品H〜K(製造例8〜11)は、これらに対する比較例である。
【0042】
[試験例]
[ラウリン系油脂の収縮抑制試験]
製造例1〜11で得たソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜K)各0.5gを油脂収縮抑制剤としてヤシ硬化油99.5gに添加し、これを80℃に加熱して混合・溶解し、ラウリン系油脂組成物を調製した。得られた油脂組成物のうち各60gを容量70mLのマヨネーズビン(略円筒形状の透明な容器)に流し込み、10℃に設定した恒温器内で4時間静置して固化させた。その後、固化した油脂組成物の形状を観察することにより、ラウリン系油脂の収縮の程度を評価した。また、対照として、油脂収縮抑制剤を添加せずに同様にラウリン系油脂組成物を調製して評価した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の結果から明らかなように、本発明の油脂収縮抑制剤(試作品A〜G)を添加したラウリン系油脂組成物は、わずかな収縮が見られるものが一部あったものの、いずれも収縮が十分に抑制されていた。これに対し、比較例の油脂収縮抑制剤(試作品H〜K)を添加したラウリン系油脂組成物及び対照のラウリン系油脂組成物では、いずれも大きな収縮が見られ、本発明に比べて劣っていた。
図1
図2