特許第6262013号(P6262013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262013
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20180104BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F28F9/02 F
   F28D7/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-27797(P2014-27797)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-152265(P2015-152265A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】北口 佳範
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0183867(US,A1)
【文献】 特開2009−127888(JP,A)
【文献】 特開平04−309765(JP,A)
【文献】 特開2001−091099(JP,A)
【文献】 実開昭62−160170(JP,U)
【文献】 実開昭56−018594(JP,U)
【文献】 実開昭64−008087(JP,U)
【文献】 実開昭63−134292(JP,U)
【文献】 特開昭58−012997(JP,A)
【文献】 特開2002−129979(JP,A)
【文献】 特開昭51−013002(JP,A)
【文献】 特開昭52−123541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次流体が流れる一次流路と、
次流体が流れる二次流路と、
前記一次流路と前記二次流路とが集合した位置で一次流体と二次流体とで熱交換を行う複数の熱交換部と、
前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つの熱交換部をバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路を流れる一次流体の流量を調整する流量調整弁と、
前記複数の熱交換部の出口側における一次流体の温度を計測する温度センサと、
前記温度センサが検出した一次流体の温度に応じて前記流量調整弁の開度を調整する制御部と、
を有し、
前記複数の熱交換部は、直列に接続された第1熱交換部と第2熱交換部を有し、前記バイパス流路は、一端部が前記第1熱交換部の入口に接続され、他端部が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部の接続部に接続され、
前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、平行をなして配置され、一端部に前記第1熱交換部の入口部と前記第2熱交換部の出口部が配置され、他端部に前記接続部が配置される、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記接続部は、前記第1熱交換部における下流側端部と前記第2熱交換部における上流側端部が接続されるヘッダであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1熱交換部における下流側端部と前記第2熱交換部における上流側端部とを接続する接続配管であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記流量調整弁は、前記バイパス流路に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記流量調整弁は、前記一次流路と前記バイパス流路との分岐部に設けられる三方弁であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次流体と二次流体との間で熱交換を行う熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一次流体と二次流体との間で熱交換を行うことで、一次流体の温度を調整する場合、一次流体の一部を熱交換せずに熱交換後の一次流体に混合させることが考えられる。例えば、一次流体流路に熱交換器を設けると共に、一次流体流路に熱交換器を迂回するバイパス流路を設ける。そして、このバイパス流路を流れる一次流体の流量を増減することで、一次流体の温度を調整する。
【0003】
このような熱交換器としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−221180号公報
【特許文献2】特開2005−226957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、一次流体流路からバイパス流路に流れる一次流体の流量を増加させると、熱交換器を流れる一次流体の流量が減少する。すると、熱交換器は、熱交換量が増加し、出口部で一次流体の過熱状態または過冷却状態となってしまう。熱交換器にて、二次流体が過熱状態または過冷却状態になると、熱交換器の構成部材(例えば、伝熱管)に大きな熱負荷が作用するため、予め対策を講じる必要があり、熱交換器の高コスト化を招いてしまう。また、一次流体が過熱状態または過冷却状態になると、副生物が生成することがあり、この副生物が熱交換器に悪影響を与えてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、一次流体の温度を高精度に調整することができると共に、一次流体の過熱または過冷却を抑制することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の熱交換器は、一次流体が流れる一次流路と、前記一次流路内で二次流体が流れる二次流路と、一次流体と二次流体とで熱交換を行う複数の熱交換部と、前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つの熱交換部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を流れる一次流体の流量を調整する流量調整弁と、前記複数の熱交換部の出口側における一次流体の温度を計測する温度センサと、前記温度センサが検出した一次流体の温度に応じて前記流量調整弁の開度を調整する制御部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、熱交換部の出口側における一次流体の温度に応じて流量調整弁の開度を調整するため、複数の熱交換部のうち少なくとも1つの熱交換部をバイパスする一次流体の流量が調整される。このとき、一次流体は、少なくとも1つの熱交換部をバイパスするため、熱交換部を通った一次流体は、その流量が一時的に減少しても、高温化や低温化が抑制される。その結果、一次流体の温度を高精度に調整することができると共に、一次流体の過熱または過冷却を抑制することができる。
【0009】
本発明の熱交換器では、前記複数の熱交換部は、直列に接続された第1熱交換部と第2熱交換部を有し、前記バイパス流路は、一端部が前記第1熱交換部の入口に接続され、他端部が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部の接続部に接続されることを特徴としている。
【0010】
従って、バイパス流路を通る一次流体は、第1熱交換部と第2熱交換部の接続部に供給されることで、第1熱交換部で熱交換した一次流体がバイパス流路を通った一次流体と混合することとなり、第2熱交換部での一次流体の高温化や低温化が抑制され、一次流体の過熱または過冷却を抑制することができる。
【0011】
本発明の熱交換器では、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、平行をなして配置され、一端部に前記第1熱交換部の入口部と前記第2熱交換部の出口部が配置され、他端部に前記接続部が配置されることを特徴としている。
【0012】
従って、第1熱交換部と第2熱交換部を平行に配置し、一次流体を効率良く循環させるように構成したことで、装置を小型化することができる。
【0013】
本発明の熱交換器では、前記接続部は、前記第1熱交換部における下流側端部と前記第2熱交換部における上流側端部が接続されるヘッダであることを特徴としている。
【0014】
従って、接続部をヘッダとすることで、第1熱交換部と第2熱交換部を容易に接続することができ、また、熱交換部を通った一次流体とバイパス流路を通った一次流体とを適正に混合させることができる。
【0015】
本発明の熱交換器では、前記接続部は、前記第1熱交換部における下流側端部と前記第2熱交換部における上流側端部とを接続する接続配管であることを特徴としている。
【0016】
従って、接続部を接続配管とすることで、第1熱交換部と第2熱交換部をコンパクトに接続することができ、構造を簡素化することができる。
【0017】
本発明の熱交換器では、前記流量調整弁は、前記バイパス流路に設けられることを特徴としている。
【0018】
従って、構造を簡素化することができると共に、製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明の熱交換器では、前記流量調整弁は、前記一次流路と前記バイパス流路との分岐部に設けられる三方弁であることを特徴としている。
【0020】
従って、バイパス流路に流す一次流体の流量を高精度に調整することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の熱交換器によれば、一次流体と二次流体とで熱交換を行う複数の熱交換部を設けると共に、複数の熱交換部のうち少なくとも1つの熱交換部をバイパスするバイパス流路を設け、複数の熱交換部の出口側における一次流体の温度に応じてバイパス流路を流れる一次流体の流量を調整するので、一次流体の温度を高精度に調整することができると共に、一次流体の過熱または過冷却を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ガスタービンを表す概略構成図である。
図2図2は、熱交換装置を表す概略図である。
図3図3は、第1実施形態の熱交換器の概略構成図である。
図4図4は、第1実施形態の変形例を表す熱交換器の概略構成図である。
図5図5は、従来の熱交換器の作用を表す概略図である。
図6図6は、第1実施形態の熱交換器の作用を表す概略図である。
図7図7は、第2実施形態の熱交換器の概略構成図である。
図8図8は、第2実施形態の変形例を表す熱交換器の概略構成図である。
図9図9は、第3実施形態の熱交換器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る熱交換器の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、ガスタービンを表す概略構成図である。
【0025】
第1実施形態において、図1に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービン10は、発電機14が連結されており、発電可能となっている。
【0026】
圧縮機11とタービン13は、回転軸21により一体回転可能に連結されている。圧縮機11は、空気取り込みライン22から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器12は、圧縮機11から圧縮空気供給ライン23を通して供給された圧縮空気A1と、燃料ガス供給ライン24から供給された燃料ガスLとを混合して燃焼する。タービン13は、燃焼器12から燃焼ガス供給ライン25を通して供給された燃焼ガスGにより回転する。
【0027】
また、ガスタービン10は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気A1の一部の圧縮空気A2と、外部から取り込んだ冷却空気ACと、燃料ガスLとの間で熱交換を行う熱交換装置26が設けられている。この熱交換装置26は、燃料ガス供給ライン24と、圧縮空気A2を供給する圧縮空気分岐ライン27と、冷却空気ライン28とが集合した位置に設けられている。熱交換装置26は、圧縮空気A2を冷却空気ACにより冷却すると共に、燃料ガスLを温度上昇した加熱空気AHにより加熱する。冷却された圧縮空気A2は、タービン13の車室を通して供給され、冷却空気として翼などを冷却する。
【0028】
発電機14は、圧縮機11と同軸上の回転軸29により一体回転可能に連結されており、タービン13が回転することで発電することができる。
【0029】
図2は、熱交換装置を表す概略図である。
【0030】
熱交換装置26は、図2に示すように、ハウジング31内に2つの熱交換器32,33が配置されている。ハウジング31は、下部に空気取込口34が設けられ、空気取込口34に取込ファン35が設けられる一方、上部に空気排出口36が設けられている。
【0031】
第1熱交換器32は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気A2と、外部から取り込んだ冷却空気ACとの間で熱交換を行う。即ち、第1熱交換器32は、常温の冷却空気ACにより圧縮空気A2を冷却する。また、第2熱交換器33は、圧縮空気A2を冷却して高温となった加熱空気AHと燃料ガスLとの間で熱交換を行う。即ち、冷却空気ACは、圧縮空気A2を冷却することで高温の加熱空気AHとなり、第2熱交換器33は、この加熱空気AHにより燃料ガスLを加熱する。
【0032】
以下、第1実施形態の熱交換器としての第2熱交換器について説明する。図3は、第1実施形態の熱交換器の概略構成図である。
【0033】
第1実施形態の第2熱交換器33は、図3に示すように、一次流路としての燃料ガス供給ライン24と、二次流路としての冷却空気ライン28と、複数(本実施形態では、2個)の熱交換部としての第1熱交換部41及び熱交換部としての第2熱交換部42と、バイパス流路43と、流量調整弁44と、温度センサ45と、制御部46とを有している。ここで、一次流体は、燃料ガスLであり、二次流体は、加熱空気AHである。
【0034】
第1熱交換部41及び第2熱交換部42は、燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLと加熱空気AHとで熱交換を行うものであり、直列に接続されると共に、互いに平行をなして配置されている。第1熱交換部41は、一端部に入口ヘッダ51が設けられ、入口ヘッダ51のノズル52に燃料ガス供給ライン24の上流側端部が接続されている。第2熱交換部42は、一端部に出口ヘッダ53が設けられ、出口ヘッダ53のノズル54に燃料ガス供給ライン24の下流側端部が接続されている。また、第1熱交換部41の他端部と第2熱交換部42の他端部が接続ヘッダ55により接続されている。なお、第1熱交換部41及び第2熱交換部42は、多数の伝熱管からなる伝熱管群により構成されており、各伝熱管の端部は、ヘッダ51,53,55の管板に支持されている。
【0035】
バイパス流路43は、第1熱交換部41及び第2熱交換部42のうちの第1熱交換部41をバイパスするものである。このバイパス流路43は、基端部が第1熱交換部41より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続ヘッダ55のノズル56に接続されている。流量調整弁44は、バイパス流路43に設けられており、このバイパス流路43を流れる燃料ガスLの流量を調整するものである。
【0036】
温度センサ45は、第2熱交換部42の出口側における燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLの温度を計測し、制御部46に出力する。制御部46は、温度センサ45が計測した燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁44の開度を調整するものである。制御部46は、燃料ガスLの温度が予め設定された所定温度領域に入るように流量調整弁44の開度を調整する。即ち、制御部46は、燃料ガスLの温度が所定温度領域より高くなったら、流量調整弁44の開度を大きくし、燃料ガスLの温度が所定温度領域より低くなったら、流量調整弁44の開度を小さくする。
【0037】
第2熱交換器33は、通常、流量調整弁44の開度を0(全閉)として運転する。燃料ガスLは、燃料ガス供給ライン24を流れ、第1熱交換部41に供給されて流れ、接続ヘッダ55を通って第2熱交換部42に供給されて流れる。そして、燃料ガスLは、加熱空気AHと熱交換することで加熱され、排出される。
【0038】
制御部46は、燃料ガスLの温度が所定温度領域に入るように流量調整弁44の開度を調整する。例えば、気温の上昇により冷却空気ACの温度が高くなると、加熱空気AHの温度も高くなり、第1熱交換部41及び第2熱交換部42での熱交換量(燃料ガスLの熱吸収量)が増加し、燃料ガスLの温度が所定温度領域を超えてしまう。このとき、制御部46は、燃料ガスLの温度が所定温度領域より高くなると、流量調整弁44の開度を大きくする。すると、燃料ガスLは、流量調整弁44の開度に応じて一部が燃料ガス供給ライン24からバイパス流路43に流れ、接続ヘッダ55から第2熱交換部42に供給される。即ち、一部の燃料ガスLが第1熱交換部41を迂回して直接第2熱交換部42に供給されることとなる。そのため、第1熱交換部41で加熱された高温の燃料ガスLに対して、第1熱交換部41を迂回した低温の燃料ガスLが接続ヘッダ55で混合するため、第2熱交換部42を流れる燃料ガスLの温度が低下する。その結果、第2熱交換部42から排出された燃料ガスLの温度が低下し、所定温度領域内に入る。
【0039】
なお、第2熱交換器33の構成は、上述したものに限定されるものではない。図4は、第1実施形態の変形例を表す熱交換器の概略構成図である。
【0040】
図4に示すように、第2熱交換器33Aは、燃料ガス供給ライン24と、冷却空気ライン28と、第1熱交換部41及び第2熱交換部42と、バイパス流路43と、流量調整弁47と、温度センサ45と、制御部46とを有している。
【0041】
バイパス流路43は、第1熱交換部41をバイパスするものであり、基端部が第1熱交換部41より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続ヘッダ55のノズル56に接続されている。流量調整弁47は、燃料ガス供給ライン24とバイパス流路43との分岐部に設けられる三方弁である。流量調整弁(三方弁)47は、燃料ガス供給ライン24に対して、第1熱交換部41側の開度とバイパス流路側の開度を調整するものであり、バイパス流路43側に流れる燃料ガスLの流量を調整する。
【0042】
ここで、第2熱交換器33,33Aの作用を従来の熱交換器と比較して説明する。図5は、従来の熱交換器の作用を表す概略図、図6は、第1実施形態の熱交換器の作用を表す概略図である。
【0043】
図5に示すように、従来の熱交換器001は、燃料ガス供給流路002に設けられ、燃料ガス供給流路002に対して熱交換器001を迂回するバイパス流路003が設けられ、このバイパス流路003に流量調整弁004が設けられている。流量調整弁004を所定開度だけ開放すると、燃料ガスは、位置t1にて、燃料ガス供給流路002から熱交換器001に流れ込んで加熱されることで温度が上昇する。一方、バイパス流路003に流れた一部の燃料ガスは加熱されずに温度上昇はない。そして、位置t2にて、燃料ガスは、熱交換器001から排出され、位置t3にて、高温の燃料ガスとバイパス流路003を通った低温の燃料ガスとが混合することで、温度が低下して所定温度となる。従来は、熱交換器001に流れる燃料ガスの流量が減少することから、この燃料ガスの熱負荷が増加し、熱交換器001の出口で、上限温度taを超えてしまう。
【0044】
一方、図6に示すように、本実施形態の第2熱交換器33は、第1熱交換部41及び第2熱交換部42を有し、バイパス流路43が第1熱交換部41と第2熱交換部42の接続部に接続している。そのため、流量調整弁44を所定開度だけ開放すると、燃料ガスは、位置t1にて、燃料ガス供給流路43から第1熱交換部41に流れ込んで加熱されることで温度が上昇する。一方、バイパス流路43に流れた一部の燃料ガスは加熱されずに温度上昇はない。そして、位置t2にて、加熱された燃料ガスは、第1熱交換部41から第2熱交換部42に流れると共に、バイパス流路43を通った低温の燃料ガスが第2熱交換部42に流れる。ここで、高温の燃料ガスと低温の燃料ガスが混合することで、温度が低下する。その後、全ての燃料ガスは、第2熱交換部42で加熱されることで温度が上昇し、位置t3にて、所定温度となる。本実施形態は、低温の燃料ガスを熱交換部41,42の接続部に戻すことから、第2熱交換器33の出口で、上限温度taを超えてしまうことが防止される。
【0045】
このように第1実施形態の熱交換器にあっては、一次流体としての燃料ガスLが流れる燃料ガス供給ライン24と、二次流体としての加熱空気AHが流れる冷却空気ライン28と、燃料ガスLと加熱空気AHとで熱交換を行う第1熱交換部41及び第2熱交換部42と、第1熱交換部41をバイパスするバイパス流路43と、バイパス流路43を流れる燃料ガスLの流量を調整する流量調整弁44と、熱交換部42の出口側における燃料ガスLの温度を計測する温度センサ45と、温度センサ45が検出した燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁44の開度を調整する制御部46とを設けている。
【0046】
従って、第2熱交換部42の出口側における燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁44の開度を調整するため、第1熱交換部41をバイパスする燃料ガスLの流量が調整される。このとき、燃料ガスLは、一部が第1熱交換部41だけをバイパスするため、第1熱交換部41を通る燃料ガスLは、その流量が一時的に減少しても、極度な高温化が抑制される。その結果、第1実施形態の熱交換器では、燃料ガスLの温度を高精度に調整することができると共に、燃料ガスLの過熱を抑制することができる。
【0047】
そして、燃料ガスLの過熱が抑制されることで、熱交換部42の構成部材(例えば、伝熱管など)に大きな熱負荷が作用することはなく、板厚の増加などを不要として製造コストの増加を抑制することができる。また、燃料ガスLの過熱が抑制されることから、副生物(例えば、硫化鉄:FeS)が生成されることはなく、この副生物による熱交換器33,33Aへの悪影響を防止することができる。
【0048】
第1実施形態の熱交換器では、第1熱交換部41と第2熱交換部42を直列に接続し、バイパス流路43の一端部を第1熱交換部41の入口側に接続し、他端部を第1熱交換部41と第2熱交換部42の接続ヘッダ55に接続している。従って、バイパス流路43を通る燃料ガスLは、接続ヘッダ55に供給されることで、第1熱交換部41で加熱された燃料ガスLとバイパス流路43を通った低温の燃料ガスLとを混合することとなり、第2熱交換部42での燃料ガスLの高温化が抑制され、燃料ガスLの過熱を抑制することができる。
【0049】
第1実施形態の熱交換器では、第1熱交換部41と第2熱交換部42を平行に配置し、一端部に第1熱交換部41の入口ヘッダ51と第2熱交換部42の出口ヘッダ53を配置し、他端部に接続ヘッダ55を配置している。従って、第1熱交換部41と第2熱交換部42を平行に配置し、燃料ガスLを効率良く循環させるように構成したことで、装置を小型化することができる。
【0050】
第1実施形態の熱交換器では、第1熱交換部41における下流側端部と第2熱交換部42における上流側端部を接続ヘッダ55により接続している。従って、接続部を接続ヘッダ55とすることで、第1熱交換部41と第2熱交換部42を容易に接続することができ、また、熱交換部41を通った燃料ガスLとバイパス流路43を通った燃料ガスLとを適正に混合させることができる。
【0051】
第1実施形態の熱交換器では、流量調整弁44をバイパス流路43に設けている。従って、構造を簡素化することができると共に、製造コストを低減することができる。
【0052】
第1実施形態の熱交換器では、流量調整弁47を燃料ガス供給ライン24とバイパス流路43との分岐部に設けられる三方弁としている。従って、バイパス流路43に流す燃料ガスLの流量を高精度に調整することができる。
【0053】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の熱交換器の概略構成図、図8は、第2実施形態の変形例を表す熱交換器の概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
第2実施形態において、図7に示すように、第2熱交換器33Bは、燃料ガス供給ライン24と、冷却空気ライン28と、第1熱交換部41及び第2熱交換部42と、バイパス流路43と、流量調整弁44と、温度センサ45と、制御部46とを有している。
【0055】
第1熱交換部41及び第2熱交換部42は、燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLと加熱空気AHとで熱交換を行うものであり、直列に接続されると共に、互いに平行をなして配置されている。第1熱交換部41は、一端部に入口ヘッダ51が設けられ、入口ヘッダ51のノズル52に燃料ガス供給ライン24の上流側端部が接続されている。第2熱交換部42は、一端部に出口ヘッダ53が設けられ、出口ヘッダ53のノズル54に燃料ガス供給ライン24の下流側端部が接続されている。また、第1熱交換部41は、他端部に出口ヘッダ57が設けられ、第2熱交換部42は、他端部に入口ヘッダ58が接続されている。そして、第1熱交換部41の出口ヘッダ57と第2熱交換部42の入口ヘッダ58は、接続部としての接続配管59により接続されている。
【0056】
バイパス流路43は、複数の熱交換部41,42のうち1つの熱交換部41をバイパスするものである。このバイパス流路43は、基端部が第1熱交換部41より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続配管59に接続されている。流量調整弁44は、バイパス流路43に設けられており、このバイパス流路43を流れる燃料ガスLの流量を調整するものである。
【0057】
温度センサ45は、第2熱交換部42の出口側における燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLの温度を計測し、制御部46に出力する。制御部46は、温度センサ45が計測した燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁44の開度を調整するものである。制御部46は、燃料ガスLの温度が予め設定された所定温度領域に入るように流量調整弁44の開度を調整する。
【0058】
第2熱交換器33Bの構成は、上述したものに限定されるものではない。図8に示すように、第2熱交換器33Cは、燃料ガス供給ライン24と、冷却空気ライン28と、第1熱交換部41及び第2熱交換部42と、バイパス流路43と、流量調整弁47と、温度センサ45と、制御部46とを有している。
【0059】
バイパス流路43は、第1熱交換部41をバイパスするものであり、基端部が第1熱交換部41より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続配管59に接続されている。流量調整弁47は、燃料ガス供給ライン24とバイパス流路43との分岐部に設けられる三方弁である。流量調整弁(三方弁)47は、燃料ガス供給ライン24に対して、第1熱交換部41側の開度とバイパス流路43側の開度を調整するものであり、バイパス流路43側に流れる燃料ガスLの流量を調整する。
【0060】
なお、第2熱交換器33B,33Cの作用は、前述した第1実施形態とほぼ同様であることから、ここでの説明は省略する。
【0061】
このように第2実施形態の熱交換器にあっては、第1熱交換部41の出口ヘッダ57と第2熱交換部42の入口ヘッダ58とを接続部としての接続配管59により接続している。従って、接続部を接続配管59とすることで、第1熱交換部41と第2熱交換部42をコンパクトに接続することができ、構造を簡素化することができる。
【0062】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態の熱交換器の概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
第3実施形態において、図9に示すように、第2熱交換器60は、燃料ガス供給ライン24と、冷却空気ライン28と、第1熱交換部61と、第2熱交換部62と、第3熱交換部63と、バイパス流路64,65と、流量調整弁66,67と、温度センサ68と、制御部69とを有している。
【0064】
熱交換部61,62,63は、燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLと加熱空気AHとで熱交換を行うものであり、直列に接続されると共に、互いに平行をなして配置されている。第1熱交換部61は、一端部に入口ヘッダ71が設けられ、入口ヘッダ71のノズル72に燃料ガス供給ライン24の上流側端部が接続されている。また、第1熱交換部61は、他端部に出口ヘッダ73が設けられている。第2熱交換部62は、他端部に入口ヘッダ74が設けられ、一端部に出口ヘッダ75が設けられている。第3熱交換部63は、一端部に入口ヘッダ76が設けられ、他端部に出口ヘッダ77が設けられ、出口ヘッダ77のノズル78に燃料ガス供給ライン24の下流側端部が接続されている。
【0065】
そして、第1熱交換部61の出口ヘッダ73と第2熱交換部62の入口ヘッダ74が接続配管79により接続されている。また、第2熱交換部62の出口ヘッダ75と第3熱交換部63の入口ヘッダ76が接続配管80により接続されている。
【0066】
第1バイパス流路64は、第1熱交換部61をバイパスするものであり、第2バイパス流路65は、第1熱交換部61及び第2熱交換部62をバイパスするものである。第1バイパス流路64は、基端部が第1熱交換部61より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続配管79に接続されている。第2バイパス流路65は、基端部が第1熱交換部61より上流側の燃料ガス供給ライン24に接続され、先端部が接続配管80に接続されている。第1流量調整弁66は、第1バイパス流路64に設けられており、この第1バイパス流路64を流れる燃料ガスLの流量を調整するものである。第2流量調整弁67は、第2バイパス流路65に設けられており、この第2バイパス流路65を流れる燃料ガスLの流量を調整するものである。
【0067】
温度センサ68は、第3熱交換部63の出口側における燃料ガス供給ライン24に設けられており、燃料ガスLの温度を計測し、制御部69に出力する。制御部69は、温度センサ68が計測した燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁66,67の開度を調整するものである。制御部69は、燃料ガスLの温度が予め設定された所定温度領域に入るように流量調整弁66,67の開度を調整する。即ち、制御部69は、燃料ガスLの温度が所定温度領域より高くなったら、流量調整弁66,67の開度を大きくし、燃料ガスLの温度が所定温度領域より低くなったら、流量調整弁66,67の開度を小さくする。
【0068】
第2熱交換器60は、通常、流量調整弁66,67の開度を0(全閉)として運転する。燃料ガスLは、燃料ガス供給ライン24を流れ、各熱交換部61,62,63を流れるとき、燃料ガスLは、加熱空気AHと熱交換することで加熱される。
【0069】
制御部69は、燃料ガスLの温度が所定温度領域に入るように流量調整弁66,67の開度を調整する。例えば、気温の上昇により冷却空気ACの温度が高くなると、加熱空気AHの温度も高くなり、各熱交換部61,62,63での熱交換量(燃料ガスLの熱吸収量)が増加し、燃料ガスLの温度が所定温度領域を超えてしまう。このとき、制御部69は、燃料ガスLの温度が所定温度領域より高くなると、まず、第2流量調整弁67の開度を大きくする。すると、燃料ガスLは、第2流量調整弁67の開度に応じて一部が燃料ガス供給ライン24からバイパス流路65を通って第3熱交換部63に供給される。即ち、一部の燃料ガスLが第1熱交換部61及び第2熱交換部62を迂回して直接第3熱交換部63に供給されることとなる。そのため、第1熱交換部61及び第2熱交換部62で加熱された高温の燃料ガスLに対して、第1熱交換部61及び第2熱交換部62を迂回した低温の燃料ガスLが接続配管80で混合するため、第3熱交換部63を流れる燃料ガスLの温度が低下する。その結果、第3熱交換部63から排出された燃料ガスLの温度が低下し、所定温度領域より低くなる。
【0070】
また、制御部69は、第2流量調整弁67の開度を大きくしても、燃料ガスLの温度が十分に低下しないと、次に、第1流量調整弁66の開度を大きくする。このとき、第2流量調整弁67を閉じてもよい。すると、燃料ガスLは、第1流量調整弁66の開度に応じて一部が燃料ガス供給ライン24からバイパス流路64を通って第2熱交換部62に供給される。即ち、一部の燃料ガスLが第1熱交換部61を迂回して直接第2熱交換部62に供給されることとなる。そのため、第1熱交換部61で加熱された高温の燃料ガスLに対して、第1熱交換部61を迂回した低温の燃料ガスLが接続配管79で混合するため、第2熱交換部62を流れる燃料ガスLの温度が低下する。その結果、第2熱交換部62から排出された燃料ガスLの温度が低下し、所定温度領域内に入る。
【0071】
このように第3実施形態の熱交換器にあっては、燃料ガス供給ライン24と、冷却空気ライン28と、燃料ガスLと加熱空気AHとで熱交換を行う各熱交換部61,62,63と、第1熱交換部61をバイパスする第1バイパス流路64と、第1熱交換部61及び第2熱交換部62をバイパスする第2バイパス流路65と、バイパス流路64,65を流れる燃料ガスLの流量を調整する流量調整弁66,67と、第3熱交換部63の出口側における燃料ガスLの温度を計測する温度センサ68と、温度センサ68が検出した燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁66,67の開度を調整する制御部69とを設けている。
【0072】
従って、最も下流側に配置された第3熱交換部63の出口側における燃料ガスLの温度に応じて流量調整弁66,67の開度を調整するため、各熱交換部61,62をバイパスする燃料ガスLの流量が調整される。このとき、燃料ガスLは、一部が第1熱交換部61だけ、または、各熱交換部61,62をバイパスするため、各熱交換部62,63、または、第3熱交換部63を通る燃料ガスLは、その流量が一時的に減少しても、極度な高温化が抑制される。その結果、第3実施形態の熱交換器では、燃料ガスLの温度を高精度に調整することができると共に、燃料ガスLの過熱を抑制することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、2個の熱交換部41,42または3個の熱交換部61,62,63を設けたが、熱交換部の個数は、複数あればよく、3個以上の熱交換部を設けてもよい。また、このとき、バイパス流路43,64が第1熱交換部41,61をバイパスし、バイパス流路65が第1、第2熱交換部61,62をバイパスするように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、バイパス流路が第2熱交換部62だけをバイパスしたり、バイパス流路が第3熱交換部63だけをバイパスしたりしてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、各熱交換部41,42,61,62,63を直管の伝熱管により構成したが、U字形状をなす伝熱管により構成してもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、本発明の熱交換器をガスタービン10に適用し、加熱空気(二次流体)AHにより燃料ガス(一次流体)Lを加熱するものとしたが、この構成に限定されるものではない。即ち、本発明の熱交換器は、ガスタービン10における別の部分やガスタービン10以外の分野(例えば、ボイラなど)にも適用することができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、二次流体により一次流体を加熱する熱交換器としたが、二次流体により一次流体を冷却する熱交換器としてもよく、この場合、熱交換器による過冷却を抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 ガスタービン
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
14 発電機
24 燃料ガス供給ライン(一次流路)
26 熱交換装置
27 圧縮空気分岐ライン
28 冷却空気ライン(二次流路)
32 第1熱交換器
33,33A,33B,33C,60 第2熱交換器(熱交換器)
41,61 第1熱交換部
42,62 第2熱交換部
43,64,65 バイパス流路
44,66,67 流量調整弁
45,68 温度センサ
46,69 制御部
51,58,71,74,76 入口ヘッダ
53,57,73,75,77 出口ヘッダ
55 接続ヘッダ(接続部)
59 接続配管(接続部)
63 第3熱交換部
AC 冷却空気
AH 加熱空気(二次流体)
L 燃料ガス(一次流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9