(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の撮像装置は、複数の撮像素子により撮影された複数の画像を統合するが、各撮像範囲毎に一つの撮像素子で撮像するように構成されている。この特許文献1に記載の撮像装置は、複数の撮像素子を要するので、製造コストが比較的大きい、小型化することが困難である、などの問題がある。
【0005】
ところで、撮像光学系と異なる光軸を有する観察光学系を備えた撮像装置において、小型の撮像装置が望まれている。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、撮像光学系と異なる光軸を有する観察光学系を備えた撮像装置において、小型化を図ること、簡単な構成で、複数の撮像範囲を1つの撮像部により撮像することができる撮像装置を提供すること、複数の撮像範囲のうち、いずれかの撮像範囲を選択して又は同時に撮像することができる撮像装置を提供すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による撮像装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
撮像部を備えた撮像装置であって、
撮像光学系と、
前記撮像光学系の絞りの位置に、絞りの範囲の一部分に配置された
第1の反射光学素子と、
第1の観察光学系と、
前記第1の観察光学系と異なる光軸を有する第2の観察光学系と、
前記絞りの範囲のうち、前記第1の反射光学素子の配置された部分以外の位置に、前記第1の観察光学系に隣接して設けられた第2の反射光学素子と、を有し、
前記撮像光学系の光軸に対して異なる角度の光軸を有する前記
第1の観察光学系からの光を、前記
第1の反射光学素子により、前記撮像光学系を介して前記撮像部に結像させるように構成され、
前記第2の反射光学素子により、前記第2の観察光学系からの光を前記撮像光学系を介して前記撮像部に結像させるように構成され、
前記第1の反射光学素子、及び前記第2の反射光学素子は、前記撮像部側からの平面視で、前記撮像光学系の光軸に対して互いに逆方向に傾斜した半円形の反射部を有し、前記第1の反射光学素子の半円形の反射部と前記第2の反射光学素子の半円形の反射部とにより、所定口径の円形の反射部が形成され、前記円形の反射部の中心に前記撮像光学系の光軸が通るように、前記第1の反射光学素子、及び前記第2の反射光学素子が隣接して設けられ、且つ、前記円形の反射部よりも径方向外側部分に遮光部が形成され、
前記撮像部側からの平面視で、前記第1の反射光学素子、及び前記第2の反射光学素子それぞれの反射部の半円形の直線部分が、前記第1の観察光学系の光軸、及び前記第2の観察光学系の光軸に沿って配置されていることを特徴とする撮像装置。
【0008】
また、本発明の実装部品撮像装置は、上記本発明の撮像装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で、複数の撮像範囲を1つの撮像部により撮像することができる。また、本発明によれば、低コストで製造可能な小型の撮像装置を提供することができる。また、本発明によれば、簡単な構成で、複数の撮像範囲のうち、いずれかの撮像範囲を選択して又は同時に撮像することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。なお、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置100の一例を示す正面側からの斜視図である。
図2は撮像装置100の一例を示す背面側からの斜視図である。
図3は撮像装置100の一例を示す背面側からの部分断面斜視図である。
図4は撮像装置100の一例を示す透過背面図である。
図5は
図4に示した撮像装置100の断面図である。
【0013】
図6は撮像装置100の撮像光学系6と観察光学系8と反射光学素子7の一例を示す斜視図である。
図7は撮像装置100の観察光学系8と反射光学素子7の一例を示す上面図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る撮像装置100は、1つの撮像部としてCCDなどの撮像素子を備え、撮像光学系と、撮像光学系の絞りの位置に、絞りの範囲の一部分に配置された反射光学素子と、観察光学系と、などを備える。この撮像装置100は、撮像光学系の光軸に対して異なる角度の光軸を有する観察光学系からの光を、全反射ミラーなどの反射光素子により、撮像光学系を介して撮像部に結像させるように構成されている。
【0015】
本発明の実施形態に係る撮像装置は、例えば、基板等に実装される部品を実装前に撮像し、その部品の正誤を確認する、部品の位置を確認する、などの処理を行うために用いられる。詳細には、吸着ノズルにより電子部品などの部品を吸着してピックアップし、その部品を基板等の所定位置に移動させて実装する部品実装装置に、実装部品撮像装置として本発明に係る撮像装置を採用している。部品実装装置は、撮像装置により部品や吸着ノズルなどを撮像し、得られた画像データに基づいて部品と吸着ノズルとの相対的な位置関係を特定し、部品の僅かな位置ずれを補正することで、部品を基板等に高精度に実装することができる。
【0016】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る撮像装置100は遮光性の筐体10を備え、筐体10は直方体形状の暗箱部1、暗箱部1の下部に設けられた略円筒形状の中間筒部2、中間筒部2の下部に設けられた略四角筒形状の筒部3、筒部3の下部に設けられた横長の略四角筒形状の収容ケース部4を有する。
【0017】
暗箱部1の内部には、1つの撮像部5(撮像手段)が配置されている。筒部3の内部には、撮像光学系6(結像レンズ群など)が配置されている。収容ケース部4の内部には、撮像光学系6のレンズ、全反射ミラーなどの反射光学素子7、観察光学系8(物体側レンズ群や照明部など)が配置されている。
【0018】
撮像部5は、CCD、CMOS、MOSなどの撮像素子で構成されている。
【0019】
撮像光学系6は、複数のレンズで構成された結像レンズユニットなどにより構成されている。本実施形態では、レンズ61〜65などで撮像光学系6が構成されている。撮像光学系6の光軸L6上に撮像部5、各レンズ61〜65が配置されている。尚、撮像光学系6の構成はこの形態に限られるものではなく、被撮像体や外部環境などに応じた態様であってもよい。
【0020】
収容ケース部4には、前面側に開口部が形成されている。本実施形態では、収容ケース部4の前面の左右それぞれに開口部41,42が形成されている。この略円形状の開口部41,42の前方に、電子部品などの被撮像体(不図示)が配置される。
【0021】
開口部41,42内には、環状に配列された複数のLEDなどの発光素子で構成された照明部9(91,92)が設けられている。
【0022】
収容ケース部4に配置された観察光学系8は、開口部41側に観察光学系81(第1の観察光学系)、開口部42側に観察光学系82(第2の観察光学系)が設けられている。
【0023】
観察光学系81は、凹レンズなどの光学素子811、ハーフミラーなどの反射光学素子821を有する。観察光学系82は、凹レンズなどの光学素子812、ハーフミラーなどの反射光学素子822を有する。
【0024】
また、複数のLEDなどの発光素子が面状に配置された照明部911,912が、収容ケース部4内の反射光学素子821,822の後方に配置されている。
【0025】
開口部41に設けられた照明部91、開口部42に設けられた照明部92の一方または両方が発光することにより、開口部41,42の前方に配置された電子部品などの被撮像体(不図示)を照らすように構成されている。また、必要に応じて、複数のLEDなどの発光素子が面状に配置された照明部911,912が発光することにより、開口部41,42の前方に配置された電子部品などの被撮像体(不図示)を照らすように構成されている。撮像部5は、照らされた電子部品などの被撮像体を撮像するように構成されている。
【0026】
本発明の実施形態に係る撮像装置100は、撮像光学系6への光量を制限する開口絞りとしての絞り部75を有する。絞り部75は、撮像光学系6と観察光学系8の間に配置されている。この絞り部75は撮像光学系6の絞りとして機能する。また、絞り部75は観察光学系の絞りとして機能する。絞り部75を設けることにより、収差を低減させている。
本実施形態では、全反射ミラーなどの反射光学素子7の表面などに遮光部76が形成されており、その遮光部76が絞り部75として機能する。遮光部76は、例えば、アルマイト処理により形成してもよい。また、遮光部76は、梨地処理などの表面処理により形成してもよい。
【0027】
本実施形態では、光路合成用ミラーとして、2つの全反射ミラーなどの反射光学素子71,72が側面視で斜めに角度45°で交差するように配置されている。
反射光学素子71,72としての2つの全反射ミラーを上面視した場合(光軸L6側から見た場合)、略半円形状の反射部が並んで配置されることにより、略円形状の反射部が形成されており、その反射部よりも径方向外側部分に遮光部761,762が形成されている。このように、絞り部75としての遮光部761,762は、光軸L6側から見た場合、略円形状に絞りとして機能するように構成されている。
【0028】
尚、上記実施形態では、全反射ミラーなどの反射光学素子7に遮光部76を設けることにより、絞り部75が形成されていたが、この形態に限られるものではない。例えば、絞り部75は、全反射ミラーなどの反射光学素子7の近傍に、絞り機能を備えた開口部を備える部材を設けてもよい。
【0029】
上記実施形態では、反射光学素子7として2つの全反射ミラーが絞りの位置の一部分に配置されていたが、その形態に限られるものではない。一つまたは2つ以上の反射光学素子7が絞りの位置の一部分または全部に配置されていてもよい。
【0030】
尚、本実施形態では、2つの全反射ミラーを側面から見た場合、各全反射ミラーの角度が90°となるように配置されていたが、この形態に限られるものではない。観察光学系と撮像光学系の光軸が90°以外の角度となるように構成されている場合、それらの光軸に応じた角度となるように、2つの全反射ミラーが配置されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、観察光学系8は、ハーフミラーなどの光学素子、対物レンズなどを有する。観察光学系8には、ハーフミラーなどの光学素子が設けられ、絞りの位置に配置されている。
【0032】
被撮像体で反射した光は、開口部41,42、観察光学系8を通って、反射光学素子7により反射され、撮像光学系6を介して撮像部5で受光される。撮像装置100は、1つの撮像部5上で、開口部41,42を通った光に基づいた像を同時に又は選択的に撮像することができるように構成されている。このように、撮像装置100は、異なる位置の2つの撮像部位を同時または選択的に撮像することができる。
【0033】
撮像部5、撮像光学系6の各レンズ61〜65は、光軸L6上に配置されている。
観察光学系81の光軸L81は、光軸L6に対して異なる角度、本実施形態では、角度90°などに設定されている。観察光学系82の光軸L82は、光軸L6に対して異なる角度、本実施形態では、角度90°などに設定されている。
また、本実施形態では、観察光学系81と、観察光学系82の光軸L81,L82は、反射光学素子7の近傍領域では、略直線となるように構成されている。
【0034】
撮像光学系6の光軸L6に対して異なる角度の光軸を有する観察光学系からの光を、全反射ミラーなどの反射光素子により、撮像光学系を介して撮像部に結像させるように構成されている。
【0035】
<撮像装置100の動作>
本発明の実施形態に係る撮像装置100は、2つの異なる撮像範囲それぞれに対応する位置に観察光学系81,82が配置されている。撮像範囲に配置された実装部品などの被撮像体を照明部9により照らし、絞り部75
(751,752)による開口絞りの位置に配置された全反射ミラーなどの反射光学素子7(71,72)により、観察光学系81,82からの光を合成し、撮像光学系6(結像レンズ群)を介して1つの撮像部5に結像する。
この際、照明部91,92の両方を同時に発光させることにより、2つの異なる撮像範囲の像を撮像部5に結像することができる。
また、照明部91,92の一方を選択的に発光させることにより、一方の撮像範囲の像を撮像部5に結像することができる。
【0036】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る撮像装置100は、撮像部5と、撮像光学系6と、撮像光学系6の絞りの位置に、絞りの範囲の一部分に配置された反射光学素子7と、観察光学系8と、を有する。撮像装置100は、撮像光学系6の光軸L6に対して異なる角度の光軸L81,L82を有する観察光学系8からの光を、反射光学素子7により、撮像光学系6を介して撮像部5に結像させるように構成されている。
つまり、撮像光学系6の絞りの位置に、絞りの範囲の一部分に反射光学素子7を配置し、その反射光学素子7により、観察光学系8からの光を撮像光学系6を介して撮像部5で結像させることで、他の位置に反射光学素子7を配置した場合と比較して、撮像装置100を小型化することができる。
また、本実施形態では、反射光学素子7としての全反射ミラーの表面に遮光部76を設けることにより、所定口径の絞り部75を形成したので、つまり、反射光学素子7は絞り部75と一体に形成されているので、部品点数が少なく、撮像装置100を小型化することができる。
【0037】
また、撮像光学系6と異なる光軸を有する観察光学系8を備えた撮像装置100において、反射光学素子7として全反射ミラーを採用することで、例えば、使用条件に影響を受けるハーフミラーと比べて、撮像装置100を簡単な構成とすることができる。
また、本発明の撮像装置100は、ハーフミラーが組み合わされたハーフプリズムを用いることなく、撮像光学系6の絞りの位置に、反射光学素子7として全反射ミラーを備えているので、簡単な構成で、小型の撮像装置100を提供することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る撮像装置100は、絞りの範囲のうち、反射光学素子7(71)の配置された部分以外の位置に、他の反射光学素子7(72)を設け、他の反射光学素子7(72)により、観察光学系8(81)の光軸L81と異なる光軸L82を有する他の観察光学系8(82)からの光を撮像光学系6を介して撮像部5に結像させるように構成されている。また、反射光学素子7(71)により、観察光学系8(81)からの光を撮像光学系6を介して撮像部5で結像させるように構成されている。
このように、絞りの範囲に上記反射光学素子71,72を設けたので、観察光学系81、観察光学系82、撮像光学系6、1つの撮像部5を有する小型の撮像装置100を提供することができる。
【0039】
また、観察光学系8(81)、観察光学系8(82)からの光を同時に又は選択的に1つの撮像部に入射させることにより、2つの撮像範囲を合成した画像またはいずれか一方の画像を容易に得ることが可能な撮像装置100を提供することができる。
【0040】
また、観察光学系81の近傍位置に設けられ撮像範囲を照射可能な照明部91(照明部911)、観察光学系82の近傍位置に設けられた他の撮像範囲を照射可能な照明部92(照明部912)を、同時または選択的に発光させることにより、各撮像範囲を同時にまたは選択的に撮影することができる。
【0041】
また、本発明の実施形態では、基板等に実装される部品を実装前に撮像し、その部品の正誤を確認する、部品の位置を確認する、などの所定の処理を行う実装部品撮像装置として、撮像装置100を採用している。このため、簡単な構造で、小型の実装部品撮像装置を提供することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、絞りの位置に設けられた反射光学素子71としての全反射ミラーにより、撮像光学系6の光軸L6に対して90°以外の任意の角度の光軸を有する観察光学系81からの光を、撮像光学系6を介して撮像部5に結像させてもよい。
例えば、絞りの位置に設けられた反射光学素子72としての全反射ミラーにより、撮像光学系6の光軸L6に対して90°以外の任意の角度の光軸を有する観察光学系82からの光を、撮像光学系6を介して撮像部5に結像させてもよい。
【0044】
また、絞りの範囲内に複数の反射光学素子7を設け、それぞれ複数の観察光学系8からの光を撮像光学系6を介して撮像部5に結像させてもよい。