(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉カバー部の閉止時において、前記カバー保持部および前記印字ヘッド部を前記搬送ローラ側に付勢する第2の付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1、2または3記載のプリンタ。
前記剥離機構部の移動をガイドするガイド部を設け、前記剥離機構部の前記一対の支持部に前記ガイド部に係合される第2の係合突部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、兼用型のラベルプリンタにおいては、通常発行状態と剥離発行状態との切換作業が面倒な場合がある。特に、プリンタが小型の場合、各部品が小さいので切換作業の際に取り扱いが難しい場合がある。したがって、兼用型のラベルプリンタにおいては、通常発行と剥離発行との切換作業を如何にして簡単かつ快適に行えるようにするかが課題となっている。
【0006】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性を向上させることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のプリンタは、
台紙に仮着されたラベルからなる印字媒体に印字を施すプリンタであって、筐体と
、前記筐体に開閉
可能に支持された開閉カバー部と、前記開閉カバー
部に設けられ、前記印字媒体を搬送する搬送ローラと
、前記開閉カバー部の閉止時において
、前記開閉カバー部を保持するカバー保持部と
、前記カバー保持部による前記開閉カバー部の保持状態を解除す
る操作部と、前記開閉カバー部の閉止時において、前記搬送ローラに対向するように前記カバー保持部に設けられ、前記印字媒体に印字を施す印字ヘッド部と、前記印字媒体の発行口側において、前記印字媒体の通常発行位置と、該通常発行位置から離れた剥離発行位置とに移動可能な状態で設けられ、前記印字媒体の剥離発行時に前記剥離発行位置に配置されて
前記台紙から前記ラベルを剥離
する剥離機構部と
、前記剥離機構部を構成する部材であって
、前記剥離発行時に前記搬送ローラに対向するように設けられたニップローラと、前記剥離発行時に前記剥離機構部を前記剥離発行位置に保持するとともに、前記開閉カバー部の保持状態を解除する際の前記カバー保持部の動作に連動して前記剥離機構部の保持状態を解除する剥離機構保持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明のプリンタは、上記請求項1記載の発明において、前記カバー保持部の向かい側に前記剥離機構保持部を揺動自在の状態で設け、前記カバー保持部において、該カバー保持部の揺動動作に連動して前記剥離機構保持部に対して前記剥離機構部の保持状態を解除するように作用する保持解除部を設けるとともに、前記剥離機構保持部において、前記保持解除部に係合するように係合部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明のプリンタは、上記請求項1または2記載の発明において、前記カバー保持部の向かい側に前記剥離機構保持部を揺動自在の状態で設け、前記カバー保持部と前記剥離機構保持部との間に前記剥離機構保持部を前記カバー保持部に向かって付勢する第1の付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明のプリンタは、上記請求項1、2または3記載の発明において、前記開閉カバー部の閉止時において、前記カバー保持部および前記印字ヘッド部を前記搬送ローラ側に付勢する第2の付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明のプリンタは、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記剥離機構部
を構成する一対の支持部において前記剥離機構保持部側の端部に、前記剥離機構保持部の爪部が係合される第1の係合突部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明のプリンタは、上記請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記剥離機構部を前記剥離発行位置から前記通常発行位置に向かって付勢する第3の付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明のプリンタは、上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記剥離機構部の移動をガイドするガイド部を設け、前記剥離機構部の前記一対の支持部に前記ガイド部に係合される第2の係合突部を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明のプリンタは、上記請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記開閉カバー部の他端側に設けられ、前記開閉カバー部を開方向に付勢する第4の付勢部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、開閉カバー部の保持状態を解除すると剥離機構部の保持状態も解除することができるので、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、開閉カバー部の保持状態の解除時に剥離機構保持部の保持状態を容易に解除することができるので、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性を向上させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性を簡単な構造で向上させることができる上、剥離発行時に第1の付勢部材によりニップローラを搬送ローラに良好に押し付けることができるので印字媒体の搬送安定性を向上させることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、開閉カバー部の閉止時において搬送ローラを良好に保持することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性を簡単な構造で向上させることができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、剥離機構部の保持状態が解除されると剥離機構部を剥離発行位置から通常発行位置に自動的に戻すことができるので、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性をさらに向上させることができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、通常発行位置と剥離発行位置との間において前記剥離機構部を滑らかに移動させることができるので、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性をさらに向上させることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、開閉カバー部の保持状態を解除すると開閉カバー部を自動的に開くことができるので、通常発行状態と剥離発行状態との切り換えが可能なプリンタの発行状態の切換作業性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
図1(a)は本実施の形態に係るプリンタの通常発行状態の全体斜視図、
図1(b)は本実施の形態に係るプリンタの剥離発行状態の全体斜視図、
図2は開閉カバー部の開放状態における
図1のプリンタおよび連続紙の全体斜視図、
図3は
図1のプリンタの開閉カバー部の全体斜視図である。
【0026】
本実施の形態のプリンタ1は、
図1に示すように、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタであり、本体ケース(筐体)2と、開閉カバー部3と、剥離ユニット(剥離機構部)4と、フロントカバー部5とを備え、1台で通常発行と剥離発行との切り換えが可能な兼用型の構成を備えている。なお、プリンタ1は、発行口側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面に設けられたベルトフック(図示せず)を作業者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して作業者の肩に掛けたりすることにより発行口側を横に向けた状態(縦置き)で使用することも可能である。
【0027】
本体ケース2は、プリンタ1の外形一部を形成する筐体であり、その一面には、
図2に示すように、開口部2aが形成されている。この開口部2a内には、用紙収容部(印字媒体収容部)6が設けられている。用紙収容部6は、ロール状の連続紙Pを収容する領域であり、その内部には用紙ガイド部6aが設置されている。用紙ガイド部6aは、ロール状の連続紙Pの軸方向両端面に接触した状態でロール状の連続紙Pを回転自在の状態で支持して連続紙Pの搬送をガイドする部材であり、連続紙Pの幅(連続紙Pの軸方向の長さ)に応じて位置を変えられるように連続紙Pの軸方向に沿って移動可能な状態で設置されている。
【0028】
連続紙Pは、
図2に示すように、例えば、長尺状の台紙PMと、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有しており、ロール状に巻回された状態で用紙収容部6内に収容される。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。ラベルPLの表面(印字面)には、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
【0029】
なお、本体ケース2の片側側面には、
図1および
図2に示すように、バッテリーカバー部7が開閉可能な状態で軸支されている。このバッテリーカバー部7は、後述のバッテリー収容部(
図1〜
図3には図示せず)の開閉カバーである。
【0030】
開閉カバー部3は、用紙収容部6の開閉カバーであり、開閉カバー部3の長手方向一端部(本体ケース2の長手方向中央側)が本体ケース2に対して離間および接近する方向に移動可能なように、開閉カバー部3の長手方向他端部が本体ケース2の長手方向一端部にヒンジ等により軸支されている。また、開閉カバー部3は、その長手方向他端側に配置されたトーションバネ(
図1〜
図3には図示せず)により開方向(開閉カバー部3の長手方向一端部が本体ケース2から離間する方向)に付勢されている。
【0031】
この開閉カバー部3の長手方向一端部には、
図2および
図3に示すように、プラテンローラ(搬送ローラ)10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。このプラテンローラ10は、連続紙Pを搬送する搬送手段である。このプラテンローラ10のプラテン軸10aの一端には、
図2に示すように、ギア10bが接続されている。このギア10bは、開閉カバー部3の閉止時に図示しないギア等に係合され、そのギア等を介してローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
【0032】
また、
図2および
図3に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部においてプラテンローラ10の近傍には剥離ピン11がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離ピン11は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その長手方向両端側は開閉カバー部3に軸支されている。
【0033】
また、
図2に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部において開閉カバー部3の閉止時に通紙ルートに対向する面部分には、センサ12(12a,12b)が設置されている。センサ12aは、例えば、ラベルPLの位置(上記台紙PMの位置検出マークや隣り合うラベルPL間の台紙PM部分等)を検出するセンサであり、反射型の光センサ等により構成されている。一方、センサ12bは、例えば、連続紙Pの有無を検出するセンサであり、透過型の光センサ等により構成されている。
【0034】
剥離ユニット4は、剥離発行時に台紙PMからラベルPLを剥がして台紙PMとラベルPLとの搬送経路を分ける機能を備えており、その先端を、プリンタ1の内部の通常発行位置と、プリンタ1の外部の剥離発行位置とに移動させることが可能な状態で設置されている。なお、剥離ユニット4の構成については後述する。
【0035】
フロントカバー部5は、
図1および
図2に示すように、本体ケース2の開口部2aにおいて開閉カバー部3の向かい側および本体ケース2の両側面近傍部分を覆うように本体ケース2に固定されている。このフロントカバー部5には、表示部15と、操作ボタン16a,16bと、電源ボタン17と、カバーオープンボタン18と、一対の解除レバー部19,19と、カッタ20とが備えられている。
【0036】
表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16a,16bは、プリンタ1の動作を操作するボタンであり、電源ボタン17は、プリンタ1の電源をオンオフするボタンである。
【0037】
カバーオープンボタン18は、開閉カバー部3を開くためのボタンである。解除レバー部19,19は、剥離ユニット4を通常発行位置に保持する部材であり、これらを互いに接近する方向に移動させることにより剥離ユニット4の保持状態を解除することが可能になっている。
【0038】
カッタ20は、通常発行後の連続紙Pの台紙PMを切断する部材であり、フロントカバー部5において開閉カバー部3の向かい側の先端部に設置されている。なお、開閉カバー部3とフロントカバー部5との間に発行口が形成されている。
【0039】
次に、剥離ユニット4について
図4〜
図6を参照して説明する。
図4は
図1のプリンタの内部の要部斜視図、
図5は剥離ユニットの移動をガイドするガイド部の拡大斜視図、
図6は剥離ユニットの拡大斜視図である。
【0040】
図4に示すように、開閉カバー部3の向かい側(
図1のフロントカバー部5の裏側)においてプリンタ1の幅方向(短方向)の両端には、一対のガイド部25が設置されている。この一対のガイド部25は、剥離ユニット4の移動をガイドする部分である。各ガイド部25は、プリンタ1の長手方向に沿って延在する直方体形状のブロックにより形成されており、互いの長辺を向き合わせた状態で設置されている。
【0041】
各ガイド部25,25には、
図4および
図5に示すように、ガイド部25の内側から外側に窪むガイド溝25aがプリンタ1の長手方向に沿って延在した状態で穿孔されている。ガイド溝25aは、
図5に示すように、下側のレール長さが、上側のレール長さよりも短くなっている。これは、剥離ユニット4を下方に誘導するためである。なお、各ガイド部25,25の外側側面には、ガイド溝25aの延在方向に対して交差するように複数個の抑止板25bが設置されている。
【0042】
一方、
図6に示すように、剥離ユニット4は、ニップローラ4aと、一対の支持部4b,4bとを備えている。ニップローラ4aは、一対の支持部4b,4bの長手方向一端側の間に回動自在の状態で軸支されている。
【0043】
また、各支持部4b,4bの外側側面には、例えば、3つの突部4c,4d,4eが設けられている。ニップローラ4aから最も離れている突部(第2の係合突部)4c,4cは、剥離ユニット4をガイド部25のガイド溝25aに沿って移動させる役割を備えており、ガイド部25のガイド溝25aに嵌り込むことでガイド部25と係合されている。
【0044】
この突部4cに隣接する突部(第2の係合突部)4d,4dは、突部4cとともに剥離ユニット4を安定した状態で移動させる役割を備えており、ガイド部25のガイド溝25aに嵌り込むことでガイド部25と係合されている。各突部4d,4dは、その突出長さが突部4cよりも短い。
【0045】
さらに、ニップローラ4aに最も近い突部(第1の係合突部)4e,4eは、後述のユニットホルダ(
図4〜
図6には図示せず)により保持される部分である。これについては後述する。
【0046】
次に、プリンタ1の内部構造について
図7〜
図14を参照して説明する。
図7(a)は通常発行状態における
図4のプリンタの内部を側面側から透かして見せた要部構成図、
図7(b)は剥離発行状態における
図4のプリンタの内部を側面側から透かして見せた要部構成図、
図8(a),(b)は
図7(b)のプリンタの要部拡大構成図、
図9〜
図11は
図4のプリンタの内部を示した要部斜視図、
図12は
図4のプリンタの内部の剥離ユニット、ヘッドブラケットおよびユニットホルダの拡大斜視図、
図13は
図12のヘッドブラケットおよびユニットホルダを抜き出して示した斜視図、
図14は
図13のヘッドブラケットを抜き出して示した斜視図である。
【0047】
図1に示した本体ケース2の開口部2a内には、
図7に示す印字本体部26が用紙収容部6に隣接した状態で設置されている。印字本体部26は、連続紙PのラベルPLに印字を施すための機能部であり、ヘッドブラケット(カバー保持部)27、サーマルヘッド(印字ヘッド部)28(
図8(b)参照)、コイルバネ(第2の付勢部材)29(
図8(a),(b)参照)、剥離ユニット4、ガイド部25、コイルバネ(第3の付勢部材)30(
図7および
図8参照)、ユニットホルダ31、コイルバネ(第1の付勢部材)32(
図8(b)参照)およびバッテリー収容部33(
図7参照)等を備えている。
【0048】
ヘッドブラケット27は、閉止状態の開閉カバー部3を保持する部材であり、
図8に示すように、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10の向かい側に位置するように設置されている。このヘッドブラケット27は、基板部27a(
図10、
図13および
図14参照)と、一対の側部27b,27bと、回転軸27cと、保持解除部27dと、押圧部(操作部)27eとを備えている。
【0049】
基板部27aは、
図14等に示すように、例えば、略長方形状の薄板により形成されている。この基板部27aの長手方向両端には、一対の側部27b,27bが基板部27aと一体に形成されている。各側部27b,27bは、基板部27aの長手方向両端部を、プラテンローラ10の方向にほぼ垂直に折り曲げることで形成されている。
【0050】
各側部27b,27bには、その先端から基板部27aに向かって延びる溝27fが形成されている。
図8〜
図11に示すように、この溝27f内に、プラテンローラ10のプラテン軸10aが嵌め込まれることにより、開閉カバー部3はヘッドブラケット27に保持されている。
【0051】
また、
図14等に示すように、各側部27b,27bには、孔27gが形成されている。この孔27gには、回転軸27cが挿通されている。これにより、ヘッドブラケット27は、回転軸27cを中心にして揺動自在の状態で印字本体部26に設置されている。
【0052】
また、
図14等に示すように、基板部27aの片側長辺中央には、押圧部27eが基板部27aと一体に形成されている。押圧部27eは、基板部27aの片側長辺の一部分をプラテンローラ10から離れる方向にほぼ垂直に折り曲げることで形成されている。この押圧部27eは、
図1に示したカバーオープンボタン18に対向する位置(直下)に配置されており、カバーオープンボタン18を押すと押圧部27eも押され、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が解除されるようになっている。そして、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が解除されると、開閉カバー部3は、その長手方向他端側に配置されたトーションバネ(第4の付勢部材)35(
図7参照)の付勢力により自動的に開くようになっている。
【0053】
保持解除部27dは、ユニットホルダ31に対して剥離ユニット4の保持状態を解除するように作用する部分である。この保持解除部27dは、ヘッドブラケット27の動作に連動するように回転軸27cに軸支されている。すなわち、保持解除部27dは、ヘッドブラケット27と共に揺動するようになっている。この保持解除部27dにおいて、ユニットホルダ31に対向する部分は、ユニットホルダ31に向かって突出した状態で形成されており、後述のようにユニットホルダ31の一部と係合されている。
【0054】
サーマルヘッド28(
図8(b)参照)は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をラベルPLに印字する印字手段であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド28の印字面を通紙ルートに向けた状態でヘッドブラケット27の基板部27aに回路基板36を介して実装されている。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)が連続紙Pの幅方向(台紙PMの短方向)に沿って並んで設置されている。なお、回路基板36は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する配線基板である。
【0055】
コイルバネ29(
図8参照)は、開閉カバー部3の閉止時にヘッドブラケット27およびサーマルヘッド28をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の基板部27aの背面側(回路基板36の実装面の裏面)に設定されている。このコイルバネ29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押されるので、ヘッドブラケット27の溝27f内に嵌り込んだプラテン軸10aもしっかりと押さえられ、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が維持されるようになっている。
【0056】
剥離ユニット4は、
図7および
図8に示すように、剥離ユニット4の突部4cに接続されたコイルバネ30によりプリンタ1の内部の通常発行位置(印字本体部26側)に向かって付勢されている。剥離ユニット4は、剥離発行時にユニットホルダ31により剥離発行位置に保持されているが、その保持状態が解除されると、
図7(a)および
図9に示すように、コイルバネ30の付勢力により通常発行位置に自動的に戻るようになっている。
【0057】
一方、剥離発行時の剥離ユニット4は、
図7(b)、
図8〜
図12に示すように、剥離ユニット4の突部4eにユニットホルダ31の爪部31aが引っ掛かることによりユニットホルダ31に保持され剥離発行位置に配置される。すなわち、本実施の形態においては、剥離ユニット4を簡単な構造で保持することができる。剥離発行位置の剥離ユニット4のニップローラ4aは、
図8(b)に示すように、プラテンローラ10に押し付けられている。
【0058】
ユニットホルダ31は、剥離発行時に剥離ユニット4を剥離発行位置に保持する機構部であり、
図7〜
図13に示すように、ヘッドブラケット27に対して向き合うように配置されている。
【0059】
このユニットホルダ31は、
図13等に示すように、一対の爪部31a,31aと、一対の支持部31b,31bと、回転軸31cとを備える簡単な構成とされている。各爪部31a,31aは、各支持部31b,31bの長手方向一端部が支持部31bに対して交差するようにほぼ垂直に折り曲げることで形成されている。
【0060】
各支持部31b,31bの長手方向他端部には孔31d,31dが形成されている。この孔31d,31d内には回転軸31cが挿入されている。そして、ユニットホルダ31は、回転軸31cを中心にして揺動自在の状態で印字本体部26に軸支されている。
【0061】
さらに、各支持部31b,31bの孔31d,31dの近傍において各支持部31b,31bの対向面側には、係合部31eが各支持部31bに一体的に形成されている。この係合部31eは、各支持部31b,31bからヘッドブラケット27に向かって突出した状態で形成されており、ヘッドブラケット27の保持解除部27dの突出部に噛み合うようにして係合されている。このため、ヘッドブラケット27の保持解除部27dが係合部31eを押す方向に移動すると、ユニットホルダ31の爪部31aが、剥離ユニット4の突部4eから離れる方向に移動し、ユニットホルダ31による剥離ユニット4の保持状態が解除されるようになっている。
【0062】
また、ヘッドブラケット27とユニットホルダ31とは、
図7および
図8に示すように、コイルバネ32によって係合されている。コイルバネ32は、ユニットホルダ31をヘッドブラケット27側に付勢する手段であり、ユニットホルダ31の揺動を許容しつつ、ヘッドブラケット27とユニットホルダ31との距離を一定に保つように作用する。このため、剥離ユニット4の突部4eにユニットホルダ31の爪部31aが引っ掛かっている間は、突部4eはコイルバネ32の付勢力によって爪部31aにしっかりと保持され、その保持状態が維持される。
【0063】
また、本実施の形態においては、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態を解除すると、ヘッドブラケット27の動作に連動してユニットホルダ31による剥離ユニット4の保持状態も解除されるようになっている。このため、剥離発行状態から通常発行状態への切換作業を簡単かつ快適に行うことができる。その上、上記したように剥離ユニット4の保持状態が解除されると剥離ユニット4も自動的に通常発行位置に戻るようになっているので、剥離発行状態から通常発行状態への切換作業性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施の形態においては、剥離ユニット4の保持および保持解除の機構(剥離ユニット4、ユニットホルダ31およびヘッドブラケット27等により構成される機構)が簡単な構造で構成されている。このため、プリンタ1の小型軽量化を実現できる上、プリンタ1のコストの増大を抑えることができる。
【0065】
次に、プリンタ1の通常発行および剥離発行について
図15および
図16を参照して説明する。
図15(a)は
図1(a)の通常発行時のプリンタの概略構成図、
図15(b)は
図15(a)のプリンタの要部の概略構成図、
図16(a)は
図1(b)の剥離発行時のプリンタの概略構成図、
図16(b)は
図16(a)のプリンタの要部の概略構成図である。
【0066】
通常発行および剥離発行のいずれの場合も印字工程においては、用紙収容部6から繰り出された連続紙Pをサーマルヘッド28とプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させることにより連続紙Pを搬送する。この搬送の際、センサ12により検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド28に送信された印字信号によりサーマルヘッド28の発熱抵抗体を選択的に発熱させて連続紙PのラベルPLに所望の情報を印字する。
【0067】
ここで、通常発行においては、
図15に示すように、剥離ユニット4をプリンタ1の内部の通常発行位置に配置する。印字後のラベルPLは、台紙PMから剥がされることなく排出される。通常発行の場合、必要枚数のラベルPLが貼られた台紙PMを作成しておき、現場でラベルPLを台紙PMから剥がして貼り付けることができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。
【0068】
一方、剥離発行においては、
図16に示すように、剥離ユニット4を剥離発行位置に配置するとともに、剥離ピン11を介して台紙PMを剥離ユニット4のニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態にする。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させ連続紙Pを搬送すると、台紙PMはニップローラ4aとプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルPLは1枚毎に台紙PMから剥がされて機外に排出される。剥離発行の場合、ラベルPLが1枚ずつ排出されるので、ラベルPLを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。
【0069】
本実施の形態のプリンタ1においては、通常発行と剥離発行とを切り換えることができ、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1に近い場合と遠い場合との2つの状況に1台で対応できるので使い勝手が良く経済的である。
【0070】
次に、本実施の形態のプリンタ1の作用について
図17(a),(b)を参照して説明する。
図17(a)は剥離発行状態のプリンタの要部の概略構成図、
図17(b)は剥離発行状態から通常発行状態に戻す際のプリンタの要部の概略構成図である。
【0071】
本実施の形態においては、
図17(a)に示すように、剥離発行に際して剥離ユニット4の突部4eにユニットホルダ31の爪部31aを引っ掛けることにより、剥離ユニット4を保持している。この場合、ユニットホルダ31の爪部31aがコイルバネ32の付勢力によりプラテンローラ10に向かって付勢されることにより、爪部31aが引っ掛かっている突部4eと一体の剥離ユニット4のニップローラ4aがプラテンローラ10に押し付けられるようになっている。このため、剥離発行時において、剥離ユニット4のニップローラ4aをプラテンローラ10にしっかりと安定した状態で押し付けることができるので、台紙PMを安定した状態で搬送することができ、ラベルPLを安定した状態で排出することができる。したがって、ラベルPLに対して安定した状態で印字を施すことができるので、ラベルPLに対して印字情報を良好に印字することができる。
【0072】
次に、
図17(a)の剥離ユニット4を剥離発行位置から通常発行位置に移動させるには、
図1に示したカバーオープンボタン18を押すと、
図17(b)に示すように、ヘッドブラケット27の押圧部27eが矢印A1に示す方向に押される。これにより、ヘッドブラケット27がコイルバネ29の付勢力に抗して回転軸27cを中心に
図17(b)の左方向に傾くため、ヘッドブラケット27の溝27fがプラテン軸10aから離れる。このため、ヘッドブラケット27によるプラテン軸10aの保持状態が解除され、開閉カバー部3がトーションバネ35(
図16等参照)の付勢力によって開く。
【0073】
これと同時に、上記のようにヘッドブラケット27が回転軸27cを中心に
図17(b)の左方向に傾くと、ユニットホルダ31をヘッドブラケット27側に引きつけていたコイルバネ32の付勢力が弱まるとともに、ヘッドブラケット27の保持解除部27dの突出部分が上方に移動するので、この保持解除部27dに係合するユニットホルダ31の係合部31eが突き上げられて上方に移動する。その結果、ユニットホルダ31が回転軸31cを中心に
図17(b)の右方向に傾くため、ユニットホルダ31の爪部31aが剥離ユニット4の突部4eから離れる。このため、ユニットホルダ31による剥離ユニット4の保持状態が解除され、剥離ユニット4がコイルバネ30の付勢力によって自動的に通常発行位置に戻る。したがって、剥離発行状態から通常発行状態への切換作業を簡単かつ快適に行うことができる。
【0074】
一方、剥離ユニット4を通常発行位置から剥離発行位置に移動させるには、まず、
図1に示した一対の解除レバー部19,19を互いに接近する方向に移動して剥離ユニット4の保持状態を解除する。続いて、剥離ユニット4を剥離発行位置まで引き出す。この時、台紙PMをプラテンローラ10上に配置する。その状態で剥離ユニット4のニップローラ4aを、台紙PMを介してプラテンローラ10に押し付ける。すると、剥離ユニット4の突部4eがユニットホルダ31の爪部31aに当たり爪部31aをコイルバネ32の付勢力に抗してプラテンローラ10から離間する方向に押し退けるが、突部4eが爪部31aの先端部を越えると爪部31aがコイルバネ32の付勢力により元の位置に戻り突部4eに引っ掛かる。これにより、剥離ユニット4はユニットホルダ31によって保持される。したがって、通常発行状態から剥離発行状態への切換作業も簡単かつ快適に行うことができる。
【0075】
兼用型のプリンタの場合、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1に近い場合と遠い場合との2つの状況に1台で対応できるので使い勝手が良く経済的であるが、通常発行と剥離発行との切換作業が面倒な場合がある。特に、プリンタが小型の場合、各部品が小さいので切換作業の際に取り扱いが難しい場合がある。したがって、兼用型のプリンタにおいては、通常発行と剥離発行との切換作業を如何にして簡単かつ快適に行えるようにするかが課題となっている。
【0076】
これに対して本実施の形態においては、剥離発行状態から通常発行状態への切換は、プリンタ1のカバーオープンボタン18を押すだけで良い。また、通常発行状態から剥離発行状態への切換は、主に解除レバー部19を操作して剥離ユニット4を剥離発行位置まで引き出せば良い。すなわち、剥離発行状態と通常発行状態との相互の切換作業を簡単かつ快適に行うことができるので、兼用型のプリンタ1の発行状態の切換作業性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態においては、ヘッドブラケット27とユニットホルダ31とをプラテンローラ10を挟んで向かい合わせに配置するとともに、ヘッドブラケット27とユニットホルダ31とをプラテンローラ10に押しつける方向に付勢したことにより、プラテンローラ10の保持状態の安定性を向上させることができる。これにより、ラベルPLに対して安定した状態で印字を施すことができるので、ラベルPLに対して印字情報を良好に印字することができる。すなわち、本実施の形態においては、印字の際にはプラテンローラ10およびニップローラ4aの保持状態を充分に確保することができる一方で、発行状態の切換時にはプラテンローラ10および剥離ユニット4(ニップローラ4a)の保持状態を簡単に解除することができる。
【0078】
また、剥離ユニット4に突部4c,4dを設け、これをガイド部25のガイド溝25aに嵌め込み、剥離ユニット4をガイド溝25aに沿って移動することが可能な構成にしたことにより、剥離ユニット4を通常発行位置と剥離発行位置との間において滑らかに移動させることができる。このため、通常発行状態と剥離発行状態との切換作業を簡単かつ快適に行うことができるので、兼用型のプリンタ1の発行状態の切換作業性をさらに向上させることができる。
【0079】
さらに、剥離ユニット4の保持および保持解除の機構(剥離ユニット4、ユニットホルダ31およびヘッドブラケット27等により構成される機構)や剥離ユニット4の移動機構が簡単な構造で構成されている。このため、プリンタ1の小型軽量化を実現できる上、プリンタ1のコストの増大を抑えることができる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0081】
例えば、前記実施の形態においては、印字媒体として複数枚のラベルを台紙に仮着した連続紙を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。台紙無しラベル、連続シートまたはフィルムは位置検出マークを設けることができる。また、粘着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非粘着剤で被覆するとともにシリコーンを含有したローラを設けることができる。