(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の箱状看板装置は、有線で広域通信網に接続可能であり、さらに高所に設置可能な環境で適用されること、つまり広域通信網と接続された建物の高所に設置される看板に適用されることを前提としている。従って、特許文献1の箱状看板装置は、このような高所の建物の周辺については、携帯端末をインターネットに接続可能な環境とできる。しかしながら、建物から離れた公園又は街角駅前等に設置された照明灯、ベンチ、案内板(サイン板)、フラッグポール又は柵等の屋外ファニチュア(街路備品)については、そもそも看板事態を備えるものが少なく、備えるものであっても広域通信網と接続されているものは殆どなく、その周辺をインターネットに接続可能な環境とすることは困難である。
【0006】
また、特許文献1の箱状看板装置では、その周辺をインターネットに接続可能な環境とできたとしても、携帯端末のユーザは外観上、箱状看板装置を看板パネルと認識するに留まり、その周辺がインターネットに接続可能な環境であることを認識することは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、携帯端末のユーザに認識可能な状態で、屋外ファニチュアの周辺をインターネットに接続可能な環境とすることが可能な無線中継器ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る無線中継器ユニットは、屋外ファニチュアに取り付け可能な無線中継器ユニットであり、無線LANによりインターネット及び携帯端末と通信可能であり、携帯端末とインターネットとの通信を中継する無線中継器と、前記無線中継器が内部に配置される筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記屋外ファニチュアの周辺において前記携帯端末がインターネットに通信可能であることを示す文字、図形及び記号のいずれかが表された標識板と、前記筐体を支持する支柱と、前記筐体を屋外ファニチュアに取り付け可能とする取付具とを備え
ており、前記標識板は、前記屋外ファニチュアと別体に形成された前記筐体を挟み込むように取り付けられると共に、該標識板の表面全体に前記携帯端末がインターネットに通信可能であることを示す表示が表されていることを特徴とする。
また、屋外ファニチュアに取り付け可能な無線中継器ユニットであり、無線LANによりインターネット及び携帯端末と通信可能であり、携帯端末とインターネットとの通信を中継する無線中継器と、前記無線中継器が内部に配置される筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記屋外ファニチュアの周辺において前記携帯端末がインターネットに通信可能であることを示す文字、図形及び記号のいずれかが表された標識板と、前記筐体を支持する支柱と、前記筐体を屋外ファニチュアに取り付け可能とする取付具とを備え
ており、前記標識板は、前記屋外ファニチュアと別体に形成された前記筐体の前面側及び後面側の大きさよりも大きな形状に形成されて該筐体を前後方向で挟み込むように取り付けられると共に、前記標識板の表面全体に前記携帯端末がインターネットに通信可能であることを示す表示が表されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記無線中継器ユニットは、さらに、前記筐体又は前記標識板に取り付けられ、前記無線中継器と接続されたアンテナと、前記筐体及び前記取付具が取り付けられる支柱とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末のユーザに認識可能な状態で、屋外ファニチュアの周辺をインターネットに接続可能な環境とすることが可能な無線中継器ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る無線中継器ユニットの構成について、
図1〜2を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係る無線中継器ユニット30の構成を示す図である。なお、
図2において、
図2(a)は無線中継器ユニット30の斜視図であり、
図2(b)は無線中継器ユニット30の側面図である。
【0014】
無線通信システムは、太陽光照明灯60及び案内板装置20等の屋外ファニチュアの周辺領域を、無線LAN(Local Area Network)により携帯端末10がインターネット40に通信可能な環境とするシステムである。
【0015】
無線通信システムは、
図1に示されるように、携帯端末10と、無線LANルータ51が備えられた施設50と、施設50の無線LANルータ51と携帯端末10との通信を中継する無線中継器31が備えられた無線中継器ユニット30と、無線中継器ユニット30が取り付けられる太陽光照明灯60及び案内板装置20とから構成されている。
インターネット40は、インターネット・プロトコル技術を用いて相互接続されたコンピュータネットワークである。
【0016】
施設50は、有線によりインターネット40と接続され、無線LANルータ51が備えられた店舗等の施設である。無線LANルータ51は、公衆回線網であるインターネットと無線LANとのゲートウェイ装置であり、ルータ機能を有すると共に、無線LANにより接続する携帯端末10のために無線LANと有線LANとを相互変換するアクセスポイント機能を有する。
【0017】
無線LANルータ51は、無線LAN用の平板状又は棒状等のアンテナに接続されている。この無線LANルータ51のアンテナは、無線LANルータ51とのデータ通信に係る無線電波の通信(送受信)に用いられている。無線LANルータ51のアンテナとしては、例えば遠距離通信に有利な指向性のアンテナが用いられ、そのアンテナ方向は太陽光照明灯60及び案内板装置20を向く方向とされる。
【0018】
案内板装置20は、周辺の地図等の案内図が表面に表示された案内板21と、案内板21を支持する支柱22とを有している。案内板21の案内図は、ユーザが視覚を通じて直接的に認識可能な状態で案内板装置20周辺の施設の所在地等を示している。
【0019】
太陽光照明灯60は、下方に向けて光を照射する灯具61と、太陽光を受ける太陽光パネル63と、灯具61及び太陽光パネル63を支持する支柱62とを有している。太陽光照明灯60では、太陽光パネル63による太陽光の光電変換により発生した電力が灯具61に供給されて灯具61による照明が行われる。
【0020】
無線中継器ユニット30は、太陽光照明灯60及び案内板装置20に取り付けられ、施設50から離れた太陽光照明灯60及び案内板装置20の周辺領域を、インターネット40と通信可能な環境としている。
【0021】
携帯端末10は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末及びノートパソコン等の可搬式の情報通信端末である。携帯端末10は、太陽光照明灯60及び案内板装置20の周辺領域、つまり無線中継器ユニット30の無線中継器31と無線通信可能な領域において、無線中継器ユニット30の無線中継器31と施設50の無線LANルータ51とを介してインターネット40に接続可能である。
【0022】
無線中継器ユニット30は、
図2に示されるように、無線中継器31と、標識板32a及び32bと、筐体36と、アンテナ33と、支柱34と、取付具35とを有している。
【0023】
無線中継器31は、無線LANリピータであり、無線LANルータ51と無線通信可能な領域(無線LANスポット)を拡大するための機器である。無線中継器31は、無線LANルータ51と無線通信可能であると共に携帯端末10と無線通信可能である。無線中継器31の電源は、例えば筐体36の上面に太陽光パネルを設置することにより実現される太陽電池を用いたり、屋外ファニチュアで生成された、又は屋外ファニチュアに供給された電力を用いたりすることで実現できる。
【0024】
筐体36は、無線中継器31が内部に配置される箱体であり、無線中継器31による無線通信の電波障害を考慮してプラスチック(樹脂)から構成されている。筐体36は、その内部に雨水等が侵入しないように無線中継器31を収納した状態で密閉可能であることが好ましい。本実施形態において、筐体36は中空の直方体である。
【0025】
アンテナ33は、平板状又は棒状等の無線LAN用のアンテナであり、無線中継器31と接続されて無線中継器31とのデータ通信に係る無線電波の通信に用いられる。この無線中継器31のアンテナ33は、筐体36又は標識板32a及び32bに取り付けられている。無線中継器31のアンテナ33としては、無線中継器ユニット30の周囲を全て無線LANスポットとする場合には無指向性のアンテナが用いられ、無線中継器ユニット30の周囲の一部のみ無線LANスポットとする場合には指向性のアンテナが用いられる。本実施形態において、アンテナ33は棒状であり、筐体36に取り付けられる。
【0026】
標識板32a及び32bは、無線中継器31による無線通信の電波障害を考慮してプラスチックから構成され、筐体36を前後方向で挟み込むように筐体36に取り付けられる。標識板32a及び32bにおける筐体36に取り付けられた一表面(取付面)とは反対側の他表面には、文字、図形及び記号のいずれかが付されている。この標識板32a及び32bの他表面の文字、図形及び記号は、筐体36の周辺つまり無線中継器ユニット30が取り付けられる屋外ファニチュアの周辺が無線LANスポットであること、つまり携帯端末10がインターネット40に通信可能な環境にあることを示している。本実施形態において、標識板32a及び32bの他表面には、無線電波を示す図形と、「FREE」の文字と、「Wi−Fi」の文字とが無線LANスポットであることを示すために付されており、標識板32a及び32bは筐体36の前面及び後面に取り付けられている。
【0027】
支柱34は、プラスチック又は金属等から構成され、その一端に筐体36が取り付けられており、筐体36を所望の高さに位置させている。支柱34は、筐体36つまりはアンテナ33を高所に位置させることにより、太陽光照明灯60及び案内板装置20と施設50との間に位置する障害物等により無線LANルータ51と無線中継器31との無線通信が妨げられる悪影響を低減することができる。支柱34は、アンテナ33を無線LANルータ51との無線通信に優れた高さに位置させるために、高さを変更可能な構成であることが好ましい。特に、無線LANルータ51のアンテナが指向性のアンテナである場合、このような構成が有効となる。
【0028】
取付具35は、支柱34の他端に固定されて支柱34の他端を屋外ファニチュアの所望の部位に取り付けるための部材である。本実施形態において、取付具35は、側面視が逆U字状のクランプ金具であり、上面に支柱34の他端が固定され、凹部内で屋外ファニチュアの所望の部位を挟み込んで挟着固定する。
【0029】
なお、
図2は案内板装置20に取り付けられる無線中継器ユニット30を示しており、本実施形態において、支柱34の一端は筐体36の下面に取り付けられ、取付具35は、案内板装置20の支柱22の上端部を上方から狭着している。しかし、太陽光照明灯60に取り付けられる無線中継器ユニット30も、支柱34の一端が筐体36の側面に取り付けられ、取付具35が太陽光照明灯60の支柱62を側方から狭着する点を除けば
図2と同様の構成を有する。
【0030】
以上のように本実施形態の無線中継器ユニット30は、屋外ファニチュアである太陽光照明灯60及び案内板装置20に取り付け可能なユニットであり、無線LANによりインターネット40及び携帯端末10と通信可能であり、携帯端末10とインターネット40との通信を中継する無線中継器31を備える。そして、無線中継器ユニット30は、さらに、無線中継器31が内部に配置される筐体36と、筐体36に取り付けられ、屋外ファニチュアの周辺において携帯端末10がインターネット40に通信可能であることを示す文字、図形及び記号のいずれかが表された標識板32a及び32bと、筐体36を屋外ファニチュアに取り付け可能とする取付具35とを備える。
【0031】
このような構成により、無線中継器ユニット30を屋外ファニチュアに取り付けることにより、屋外ファニチュアの周辺をインターネット40に接続可能な環境とすることができる。また、携帯端末10のユーザは標識板32a及び32bを介して屋外ファニチュアの周辺がインターネット40に接続可能な環境であることを認識することができる。
ここで、本実施形態の無線中継器ユニット30では、は、標識板32a及び32bは、筐体36を挟み込むように筐体36に取り付けられる。
【0032】
このような構成により、標識板32a及び32bにより筐体36を視認し難くして街中の美観が損なわれることを抑えつつ、屋外ファニチュアの周辺において標識板32a及び32bを視認可能な領域を広げることができる。
【0033】
また、本実施形態の無線中継器ユニット30は、さらに、筐体36又は標識板32a及び32bに取り付けられ、無線中継器31と接続されたアンテナ33と、筐体36及び取付具35が取り付けられる支柱34とを備える。
【0034】
このような構成により、無線中継器31のアンテナ33を高所に位置させ、太陽光照明灯60及び案内板装置20と施設50との間に位置する障害物等により無線LANルータ51と無線中継器31との無線通信が妨げられる悪影響を低減することができる。
【0035】
以上、本発明の無線中継器ユニットについて、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
例えば、上記実施形態において、無線中継器ユニットは筐体に取り付けられた支柱を備え、支柱に固定された取付具により屋外ファニチュアに取り付けられるとしたが、支柱を備えず、筐体に直接固定された取付具により屋外ファニチュアに取り付けられてもよい。
【0037】
また、上記実施形態において、無線中継器のアンテナは無線中継器とは別に備えられるとしたが、無線中継器に内臓され、一体化されてもよい。また、無線LANルータのアンテナは、無線LANルータに内臓されても、別に備えられてもよい。
【0038】
また、上記実施形態において、標識板は2枚で筐体を挟み込むように筐体に取り付けられるとした。しかし、無線中継器ユニットが取り付けられる屋外ファニチュアの周辺がインターネットに接続可能な環境であることを携帯端末のユーザに認識させることができれば、例えば1枚の標識板のみが筐体に取り付けられてもよいし、隣り合うように2枚の標識板が筐体に取り付けられてもよい。
【0039】
また、上記実施形態において、施設の無線LANルータと無線中継器ユニットとの間に、無線LANルータと無線中継器ユニットとの通信を中継する無線中継器が設けられてもよい。
【0040】
また、上記実施形態において、筐体は無線中継器が内部に配置される箱体であるとしたが、開口部が標識板により蓋される枠体であり、枠体の内部に無線中継器が配置されてもよい。この場合、筐体及び標識板により囲まれる空間に無線中継器が配置される。
【0041】
また、上記実施形態において、取付具は狭着により屋外ファニチュアに取り付けられるとしたが、屋外ファニチュアにネジ穴等が形成されている場合には、取付具にネジ等が備えられてネジ止めにより屋外ファニチュアに取り付けられてもよい。