【実施例】
【0049】
次に、試験例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0050】
まず、試験例の発泡シート、発泡シート積層体、繊維強化複合体の物性値の測定方法を説明する。なお、上述した測定方法は以下では割愛する。
【0051】
<連続気泡率>
連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定した。
【0052】
<圧縮強度>
発泡シート積層体の圧縮特性の評価は、「25%変形圧縮応力」を「発泡シート積層体の見掛け密度」で除した「比25%変形圧縮応力」によって評価した。
発泡シート積層体の25%変形圧縮応力は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定した。
すなわち、試験片のサイズは、縦50mm×横50mm×発泡シート積層体の厚み(mm)とした。そして、テンシロン万能試験機UCT−10T((株)オリエンテック製)、万能試験機データ処理(UTPS−237ソフトブレーン(株)製)を用い、圧縮速度を1分当たり発泡シート積層体の厚みの10%厚み(mm)として、この試験片の25%変形圧縮応力を求めた。試験片の数は最少5個とし、試験片を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下に16時間以上置いた後、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で試験片の25%変形圧縮応力を求めた。
なお、25%変形圧縮応力は次式により算出した。
(25%変形圧縮応力)
σ
25=F
25/A
0
σ
25:25%変形圧縮応力(MPa)
F
25:25%変形時の力(N)
A
0:試験片の初めの断面積(mm
2)
また、比25%変形圧縮応力は次式により算出した。
(比25%変形圧縮応力)
C
25=σ
25/ρ
C
25:比25%変形圧縮応力(MPa/(g/cm
3))
σ
25:25%変形圧縮応力(MPa)
ρ:試験片の見掛け密度(g/cm
3)
そして、以下の基準で評価した。
○:6.5MPa/(g/cm
3)以上
×:6.5MPa/(g/cm
3)未満
【0053】
<曲げ強度>
発泡シート積層体の曲げ特性の評価は、「曲げ最大点応力」を「発泡シート積層体の見掛け密度」で除した「比曲げ最大点応力」によって評価した。
発泡シート積層体の曲げ最大点応力は、JIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部:たわみ特性の求め方」記載の方法により測定した。
すなわち、試験片のサイズは、幅25mm×長さ120mm×発泡シート積層体の厚み(mm)とした。そして、テンシロン万能試験機UCT−10T((株)オリエンテック製)、万能試験機データ処理(UTPS−237ソフトブレーン(株)製)を用い、試験速度を10mm/minとし、加圧くさびを5Rとし、支持台を5Rとし、支点間距離を100mmとして、試験片の曲げ最大点応力を求めた。試験片の数は5個とし、試験片を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下に16時間以上置いた後、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で試験片の曲げ最大点応力を求めた。
なお、曲げ最大点応力は次式により算出した。
(曲げ最大点応力)
R=1.5FR×L/bd
2
R:曲げ最大点応力(MPa)
FR:最大点荷重(N)
L:支点間距離(mm)
b:試験片の幅(mm)
d:試験片の厚さ(mm)
また、比曲げ最大点応力は次式により算出した。
(比曲げ最大点応力)
FL=R/ρ
FL:比曲げ最大点応力(MPa/(g/cm
3))
R:曲げ最大点応力(MPa)
ρ:試験片の見掛け密度(g/cm
3)
そして、以下の基準で評価した。
○:20MPa/(g/cm
3)以上
△:15MPa/(g/cm
3)以上20MPa/(g/cm
3)未満
×:15MPa/(g/cm
3)未満
【0054】
<比吸収エネルギー>
発泡シート積層体を芯材として備える繊維強化複合体の比吸収エネルギーは、JIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部:たわみ特性の求め方」記載の方法により測定した。
すなわち、試験片サイズは、幅25mm×長さ150mm×繊維強化複合体の厚み(mm)とした。そして、テンシロン万能試験機UCT−10T((株)オリエンテック製)、万能試験機データ処理(UTPS−237ソフトブレーン(株)製)を用い、試験速度を10mm/min、加圧くさびを10Rとし、支持台を10Rとし、支点間距離を100mmして、試験片の比吸収エネルギーを求めた。試験片の数は5個とし、試験片を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下に16時間以上置いた後、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で試験片の吸収エネルギーを求めた。
なお、比吸収エネルギーは、試験開始から最大点荷重を示した変位までの荷重−変位グラフの積分値を吸収エネルギーとし、該吸収エネルギーを繊維強化複合体の見掛け密度で除することで求めた。
比吸収エネルギーは次式により算出した。
E
C=E/ρ×10
3
E
C:比吸収エネルギー(mJ/(g/cm
3))
E:吸収エネルギー(J)
ρ:試験片の見掛け密度(g/cm
3)
【0055】
(試験例1)
熱可塑性ポリエステル系樹脂としてのポリエチレンテレフタレート(The Far Eastern Industry社製、商品名「CH611」、融点:251℃、ガラス転移温度:78.1℃、結晶化温度:132℃、IV値1.04)96.4質量部、ポリエチレンテレフタレートに気泡調整剤としてのタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60質量%、タルク含有量:40質量%)3.6質量部および無水ピロメリット酸0.20質量部を、発泡シートを形成させるための樹脂原料として用意した。
【0056】
なお、ポリエチレンテレフタレートの融点及び結晶化温度は、以下のようにして求めた。
すなわち、結晶化熱量を求める際に用いたDSC曲線と同様にしてDSC曲線を求め、DSC曲線から得られる融解ピーク温度を融点とし、DSC曲線から得られる結晶化ピーク温度を結晶化温度とした。
【0057】
また、前記したガラス転移温度は以下のようにして求めた。
すなわち、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと10℃/minの昇温速度で30℃から290℃まで昇温し、10分間保持後速やかに取出し、25±10℃の環境下にて放冷させた後、10℃/minの昇温速度で30℃から290℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より中間点ガラス転移温度を算出した。この時に基準物質としてアルミナを用いた。この中間点ガラス転移温度は該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
【0058】
スクリュー径65mmφの単軸押出機のホッパーに前記樹脂原料を供給し、該押出機内で最高温度290℃で前記樹脂原料を加熱溶融させ、前記樹脂原料を溶融混練することにより、樹脂組成物を得た。
その後、前記樹脂原料100質量部に対する割合が0.38質量部となる割合で発泡剤としてのブタン(イソブタン:35質量%、ノルマルブタン:65質量%)をこの押出機の途中において圧入し、樹脂組成物と発泡剤とを溶融混練させることにより、発泡性樹脂組成物を得た。
【0059】
そして、押出機の先端部において、溶融状態の前記発泡性樹脂組成物を275℃に冷却した後、押出機の先端に装着された円環状の吐出口を有するサーキュラーダイ(吐出口の口径70mm、スリット幅1.00mm)から押出して円筒状の発泡シートを形成した。
次に、該サーキュラーダイの下流側(押出方向前方)に配した直径210mmの冷却用マンドレルの外周面に前記発泡シートの内面を摺接させつつ該発泡シートを引き取り、該冷却用マンドレルで発泡シートを拡径するとともに発泡シートの内側からマンドレルで発泡シートを冷却し、発泡シートの外側から発泡シートに空気を吹き付けて発泡シートを冷却し、該冷却用マンドレルの下流側に設けたカッターで前記発泡シートを押出方向に向けて連続的に切断して平坦なシートとなるように展開し、長尺帯状のポリエステル系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ともいう。)を作製した。
【0060】
なお、作製した発泡シートは、厚みが1.8mmであり、見掛け密度が0.35g/cm
3であり、連続気泡率が6%であり、シート表面部分の結晶化熱量が23.0mJ/mgであり、気泡のアスペクト比の平均値が0.38であった。
なお、発泡シートの気泡のアスペクト比の平均値は、発泡シート積層体の気泡のアスペクト比の平均値を求める際の「積層方向」を「厚み方向」に変えて測定した。
また、シート表面の結晶化度は、表面から、厚み方向に0.3mm、厚み方向と平行に発泡シートをスライスし、前記したJIS K7122:1987に従って測定した。
【0061】
2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから7.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
【0062】
なお、作製した発泡シート積層体は、厚みが7.0mmであり、見掛け密度が0.17g/cm
3であった。
【0063】
<繊維強化複合体の作製>
繊維強化合成樹脂体としての繊維強化合成樹脂シート(厚み300μm、目付:200g/m
2、三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルプリプレグ TR3523 381KMP」)を2枚用意した。繊維強化合成樹脂シートは、炭素繊維からなる綾織の織物からなる強化繊維基材に、未硬化のエポキシ樹脂が40質量%含浸されているシートである。繊維強化合成樹脂シートは、縦180mm×横180mmの平面正方形状とした。
そして、2枚の繊維強化合成樹脂シートを、互いに隣接する繊維強化合成樹脂シートの強化繊維基材の経糸の長さ方向が直交するように重ね合わせた。
【0064】
次に、アルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製 商品名「ケムリース2166」)を塗布して一日放置することにより、アルミニウム板の上面に離型処理を施した。なお、アルミニウム板上面の外周縁部には、後記する封止材やバックバルブを配置するため、離型処理は施さなかった。
【0065】
図1に示すように、上面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材3aとして用い、押圧部材3aの離型処理を施した面上に、重ね合わせた2枚の繊維強化合成樹脂シート2を載置し、これらの繊維強化合成樹脂シート2上に発泡シート積層体1を載置した。
【0066】
上記の繊維強化合成樹脂シートとは別に、上記と同一の繊維強化合成樹脂シートを更に2枚用意し、2枚の繊維強化合成樹脂シートを上記と同様の要領で重ね合わせた。これらの重ね合わせた2枚の繊維強化合成樹脂シート2を発泡シート積層体1上に載置して繊維強化積層体Aを作製した。
【0067】
次に、押圧部材3aの離型処理を施した面上に、繊維強化積層体Aの幅方向両端部の外側に一対の棒状で直方体状のスペーサ4a、4bを載置した。なお、スペーサ4a、4bはアルミニウム板からなり、8.0mmの厚みを有していた。また、スペーサ4a、4bにおいて後述する押圧部材3bと接触する上面には予め離型処理を施した。そして、下面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材3bとして用意し、繊維強化積層体A及びスペーサ4a、4b上に押圧部材3bを積層した。この時、押圧部材3bの離型処理面が繊維強化積層体A及びスペーサ4a、4bと接触するようにした。
【0068】
そして、押圧部材3b上に、この押圧部材3bを全面的に被覆するように、貫通孔を有するリリースフィルム5(AIRTECH社製 商品名「WL5200B−P」)及びブリーザークロス6(AIRTECH社製 商品名「AIRWEAVE N4」)を順に積層した。
リリースフィルム5は、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムで形成されたものである。また、リリースフィルム5は、両面間に亘って貫通し且つ繊維強化合成樹脂シート2中のエポキシ樹脂が通過可能な貫通孔が多数形成されたものである。
ブリーザークロス6は、ポリエステル樹脂繊維で構成された不織布から形成されており、エポキシ樹脂を含浸可能に構成されたものである。
【0069】
ブリーザークロス6上にバギングフィルム7(AIRTECH社製 商品名「WL7400」)を被せ、バギングフィルム7の外周縁部とこれに対向する押圧部材3aとを封止材8としてのシーラントテープ(AIRTECH社製 商品名「GS43MR」)を用いて気密的に接合して繊維強化積層体Aを密封した。
バギングフィルム7は、ナイロンフィルムから構成されたものである。バギングフィルム7の一部にバックバルブ9(AIRTECH社製 商品名「VAC VALVE 402A」)を配置して積層構造体を作製した。
【0070】
次に、真空ポンプを真空ラインに接続し、積層構造体をオートクレーブ内に供給し、積層構造体のバックバルブ9を真空ラインに接続した。そして、バギングフィルム7で密封された空間部B内の空気を、繊維強化積層体Aからこの繊維強化積層体Aの側面をスペーサ4a、4bを介して被覆しているブリーザークロス6の方向に排出することにより、空間部B内を真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部B内の減圧はその後も継続して行った。
【0071】
しかる後、前記空間部B内の減圧を継続して行うことにより、繊維強化合成樹脂シート2中に存在している空気を吸引、除去しながら、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて90℃となるまで昇温し、そして、繊維強化積層体Aを90℃で90分間に亘って加熱した(予備加熱工程)。この予備加熱工程により、繊維強化合成樹脂シート2中のエポキシ樹脂を軟化させて繊維強化合成樹脂シート2を発泡シート積層体1の表面に沿って変形させると共に、発泡シート積層体1の繊維強化合成樹脂シート2が積層されている面における表面部に含まれている熱可塑性ポリエステル系樹脂を適度に軟化させた。
【0072】
次に、オートクレーブ内をゲージ圧力0.3MPaに加圧して繊維強化積層体Aに押圧部材3a、3bを介して押圧力を加えると共に、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて130℃となるまで昇温し、そして、繊維強化積層体Aを130℃で60分間に亘って加熱した(硬化工程)。この硬化工程により、繊維強化合成樹脂シート2中のエポキシ樹脂を硬化させて繊維強化合成樹脂層を得た。その後、オートクレーブ内を冷却してオートクレーブ内が60℃となった時点でオートクレーブ内の加圧を解除して大気圧に戻して、繊維強化積層体Aを取り出し、繊維強化積層体Aを室温まで冷却した。これにより、発泡シート積層体の両面に繊維強化合成樹脂層2が形成された繊維強化複合体を得た。
なお、繊維強化積層体Aへの加圧によって繊維強化合成樹脂シート2、2中の余分なエポキシ樹脂の一部は、リリースフィルム5の貫通孔を介してブリーザークロス6に吸収され、他の一部は、リリースフィルム5の貫通孔を介さずにブリーザークロス6に吸収されていた。
【0073】
(試験例2)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、3枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(3枚の合計厚み:5.4mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.6mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:4.8mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を4.8mmから10.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ11.0mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0074】
(試験例3)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、4枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(4枚の合計厚み:7.2mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.8mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:6.4mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を6.4mmから14.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ15.0mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0075】
(試験例4)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから9.5mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ10.5mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0076】
(試験例5)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)、PETフィルム(東レ社製、商品名「ルミラー U34#50」、縦180mm×横180mm×厚み50μm)及び発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)をこの順で積層したものを挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートとPETフィルムの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートとPETフィルムの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから7.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ7.0mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0077】
(試験例6)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから4.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ5.0mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0078】
(試験例7)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから12.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませた。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ13.0mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0079】
(試験例8)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)を接着剤(HUNTSMAN社製、商品名「アラルダイト2011」)を使用して貼り合わせ、貼り合わせた発泡シートを23℃の環境下に1週間置き、発泡シート積層体を作製した。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ4.7mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0080】
(試験例9)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、145℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから7.0mmまで3分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませたが、熱板間距離を広げている途中、4.2mmの厚みで発泡が止まったため、熱板間の距離を4.2mmとし、熱板で発泡シートを隙間なく挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以上の温度(145℃)で、積層した発泡シートをさらに12分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ5.2mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0081】
(試験例10)
試験例1と同様にして発泡シートを得た。
次に、2枚の熱板(180mm×180mm)を備える加熱プレス機において、100℃に加熱した2枚の熱板の間に、2枚積層した発泡シート(縦180mm×横180mm×厚み1.8mm)(2枚の合計厚み:3.6mm)を挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(100℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、前記熱板同士の間の距離が、積層した発泡シートの合計の厚みよりも0.4mm小さくなるように(積層した発泡シートの合計の厚みの11%分小さくなるように)(熱板同士の間の距離:3.2mm)、積層した発泡シートを前記熱板で加圧した。
次に、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度(100℃)で、積層した発泡シートを加熱しつつ、熱板間の距離を3.2mmから7.0mmまで1分かけて徐々に広げて前記発泡シートを膨らませたが、熱板間距離を広げている途中、5.3mmの厚みで発泡が止まったため、熱板間距離を5.3mmとし、熱板で発泡シートを隙間なく挟んだ。
そして、前記熱板の熱によって、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化温度以下の温度(100℃)で、積層した発泡シートをさらに14分間加熱することにより、前記発泡シートを合計15分間加熱圧着させた。
次に、加熱プレス機の熱板の内部を水冷することで該熱板を60℃まで冷却した後、発泡シート積層体を得た。
また、この発泡シート積層体を用いたこと、及び、高さ6.3mmのスペーサを用いたこと以外は、試験例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0082】
結果を表1に示す。
【0083】
【表1】