(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、樹脂材料の長所を備えながら、電気抵抗値の上昇を確実に防ぐことが可能となり、電磁ノイズの放射を確実に抑制することができる軸受ホルダ及び直流モータに関するものである。
【0021】
図1乃至
図3は、本発明の第一実施形態を示すものであり、
図1は第一直流モータの概略構成を示す説明図、
図2は第一軸受ホルダの分解説明図、
図3は第一軸受ホルダ付近の電気回路図である。
図4乃至
図6は、本発明の第二実施形態を示すものであり、
図4は第二直流モータの概略構成を示す説明図、
図5は第二軸受ホルダの分解説明図、
図6は第二軸受ホルダ付近の電気回路図である。
図7は本発明の第三実施形態に係る第三軸受ホルダの分解説明図、
図8は本発明の第四実施形態に係る第四軸受ホルダの分解説明図である。
なお、
図9は第一実施形態乃至第四実施形態における導電性部材の改変例に係る説明図である。
また、
図10は第五実施形態に係る第五軸受ホルダの平面図、
図11は第五実施形態に係る第五軸受ホルダとヨークハウジングとの間に形成される電気回路の模式図、
図12は第六実施形態に係る第六軸受ホルダの平面図、
図13は第五実施形態及び第六実施形態に係る電磁ノイズの状態を従来技術との比較により示したチャートである。
なお、
図14は第五実施形態及び第六実施形態における導電部材の改変例に係る説明図、
図15は第五実施形態及び第六実施形態における軸受の改変例に係る説明図である。
【0022】
図1により、本実施形態に係る第一直流モータM1の構成の一例について説明する。
本実施形態に係る第一直流モータM1は、ブラシ付き直流モータの構成を採用したものである。
本実施形態に係る第一直流モータM1は、
図1(a)及び(b)に示すように、出力軸となるシャフト1と、コイル2が形成された電機子3と、整流子4と、ブラシ装置5と、磁石61が内壁に貼付されたヨークハウジング6と、第一軸受ホルダ7と、軸受8と、を有して構成されている。
なお、ヨークハウジング6が特許請求の範囲の「筐体」に相当する。
【0023】
シャフト1は、軸受8を介して回転自在にヨークハウジング6に支持されている。
本実施形態においては、軸受8は2個使用されており、ヨークハウジング6の動力出力側と反対側に備えられ、シャフト1の同側端部を回転可能に支承する基端側軸受81と、電機子3を挟んで出力側に配設され、シャフト2の同側を回転可能に支承する出力側軸受82とで構成される。
本発明の主要構成要件であるため後に詳述するが、本実施形態においては、この出力側軸受82は、第一軸受ホルダ7に配設される。
【0024】
また、シャフト1には電機子3及び整流子4が固定されており、その周囲には電機子3の外周を囲むように磁石61が配置されている。
電機子3は公知の電機子が使用されていればよく、例えば、平板状のコアシートが軸方向に複数積層して構成される電機子コアにコイル2が巻回された構成をとる。
【0025】
整流子4は、シャフト1と一体的に一方向に回転する円筒状の部材であり、その回転方向に沿って一定間隔毎に配置された複数の整流子片4aを備える。
この整流子4は、シャフト1の回転に伴って、ブラシ装置5に備えられるブラシ本体51と当接する整流子片4aが切り替わることとなり、この構成により、コイル2を流れる電流の向きが切り替わる。
【0026】
次いで、本実施形態に係るブラシ装置5について説明する。
ブラシ装置5は、整流子4を通じてコイル2に電流を流すものであり、一端面が整流子片4aと当接するブラシ本体51が備えられている。このブラシ本体は、例えば、銅を含有した黒鉛から構成された立体形状の部材として構成される。
ブラシ装置5は、公知の構成が使用されていればよいが、例えば、ブラシ本体51を収納(搭載)する収納ボックスや、ブラシ本体51を整流子4方向に押圧する付勢バネや、給電用のリード線であるピグテールを備えて構成できる。
【0027】
ヨークハウジング6は、電機子3を被覆する底面円形カップ形状の部材であり、その開口部を動力出力方向に配設した状態で、電機子3を被覆する。
ヨークハウジング6は導電性部材として構成されており、その側面内壁には磁石61が貼付されており、この磁石61が電機子3の外側面と対向するように配置されている。
【0028】
また、ヨークハウジング6の開口側端部には、ホルダ取付部62が形成されている。
ホルダ取付部62の形状は、第一軸受ホルダ7を固定できる構造であればどのような構造であってもよいが、
図1(a)では、ヨークハウジング6の開口側端部内壁に溝状の凹部を内周に渡って(若しくは、開口側端部内壁の数か所に凹部を)形成し、この溝状の凹部に第一軸受ホルダ7の端部(後述する「第一ヨーク当接部171」)を嵌合するように構成している。
【0029】
また、
図1(b)では、ヨークハウジング6の開口側端部内壁から中心に向かって突出する複数の突出片(若しくは、開口側端部開口内周に渡って形成されて円環状の突出縁)に第一軸受ホルダ7の端部(後述する「第一ヨーク当接部171」)を嵌合するように構成している。
【0030】
次いで、
図2により、第一軸受ホルダ7について説明する。
第一軸受ホルダ7は、第一導電性部材7Aと、第一非導電性部材7Bとで形成された円環柱状の部材である。
第一導電性部材7Aは、円環状の第一埋設部71aと、この第一埋設部71aに形成された(本実施形態では等間隔に4か所形成された)第一突出片71bと、を有して構成されている。
【0031】
なお、第一導電性部材7Aの構成材としては、導電性の部材であれば本発明の趣旨を逸脱しない範囲でどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、鉄、銅、真鍮等の金属、または導電性フィラーを含有する樹脂等を使用することができる。
【0032】
第一突出片71bは、四角柱形状の部材であり、第一埋設部71aから外側へ突出する第一ヨーク当接部171と、内側へ突出する第一軸受当接部172とを有して構成されている。
なお、円環状の第一埋設部71aの中心に向かう側を内側、中心から離隔する側に向かう側を外側と記している。
この第一ヨーク当接部171が、特許請求の範囲の「筐体当接部」に相当し、第一埋設部71aが、特許請求の範囲の「円環部」に相当する。
【0033】
そして、
図2(a)に記すように、出力側軸受82は、第一軸受当接部172の内側端面にて支持される。
つまり、複数(本実施形態においては4個)の第一軸受当接部の内側端面で構成される円形空間に嵌合されることとなる。
そして、この状態で、第一非導電性部材7Bにて樹脂モールドを行うことにより、
図2(b)に示すように、円環柱状の第一軸受ホルダ7が完成する。
【0034】
このとき、第一ヨーク当接部171は、第一非導電性部材7Bの外側面から外側へ突出するように構成されている。
そして、複数の(本実施形態においては4個の)第一ヨーク当接部171は、ヨークハウジング6の開口端部内壁に形成されたホルダ取付部62に当接するよう構成される。
なお、本実施形態においては、第一ヨーク当接部171が、第一非導電性部材7Bの外側面から外側へ突出するように構成したが、これに限られるものではない。
つまり、第一ヨーク当接部171の外側端面が露出していて、ヨークハウジング6と電気的に接続されていればよく、例えば、第一非導電性部材7Bの外側面と面一であって、第一ヨーク当接部171の外側端面が第一非導電性部材7Bの外側面上で露出している構成であってもよい。
【0035】
このように、出力側軸受82と、第一導電性部材7Aと、ヨークハウジング6とが電気的に接続されることとなる。
つまり、このときの回路図を
図3に示すが、出力側軸受82から、第一導電性部材7Aを介してヨークハウジング6へと至る電気的経路が形成される。
このように構成されているため、シャフト1とヨークハウジング6とを導通させ、電磁ノイズの伝導経路を確実に形成することができる。
【0036】
また、第一軸受ホルダ7が出力側軸受82及びヨークハウジング6と電気的に接触するため、ロータとなる電機子3部分の電位が安定するとともに、電磁ノイズの放射源となる電位が不安定なジャフト1の出力側(当該部分が、電磁ノイズの放射アンテナとなる)の長さを短縮することができ、有効に電磁波ノイズを低減することができる。
【0037】
(第二実施形態)
次いで、
図4乃至
図6により、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、モータ自体の基本構成等は、第一実施形態と同様であるため、重ねての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施形態に係る第二モータM2は、基本構成は、第一モータM1と同様であるが、放射ノイズ抑制シールド9を備える点、及び第一軸受ホルダ7とは構成が異なる第二軸受ホルダ207を備える点で、上記第一実施形態とは異なるものである。
【0038】
本実施形態に係る第二モータM2には、その動力出力側に、ヨークハウジング6の開口を覆うように配置されるとともに、ヨークハウジング6と電気的に接続された矩形状の放射ノイズ抑制シールド9が配設されている。
放射ノイズ抑制シールド9の中央部には、突出孔が形成されており、この突出孔からシャフト1の出力側が突出する。
本実施形態に係る第二軸受ホルダ207は、第二導電性部材207Aと、第二非導電性部材207Bとで形成された円環柱状の部材である。
【0039】
第二導電性部材207Aは、円環状の第二埋設部271aと、この第二埋設部271aに形成された(本実施形態では等間隔に4か所形成された)第二突出片271bと、を有して構成されている。
なお、第二導電性部材207Aの構成材としては、導電性の部材であれば本発明の趣旨を逸脱しない範囲でどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、鉄、銅、真鍮等の金属、または導電性フィラーを含有する樹脂等を使用することができる。
また、この第二埋設部271aが、特許請求の範囲の「円環部」に相当する。
【0040】
第二突出片271bは、四角柱形状の部材であり、第二埋設部271aから動力出力側へ突出する第二シールド当接部271を有して構成されている。
そして、
図5(a)に記すように、出力側軸受82は、第二埋設部271aの内孔に嵌合している。
この意味で、第二埋設部271aの内孔内壁が、第二軸受当接部272(図示せず)として機能する。
そして、この状態で、第二非導電性部材207Bにて樹脂モールドを行うことにより、
図5(b)に示すように、円環柱状の第二軸受ホルダ207が完成する。
【0041】
このとき、第二シールド当接部271は、第二非導電性部材207Bの動力出力側底面から外側へ突出するように構成されている。
なお、本実施形態においては、第二シールド当接部271が、第二非導電性部材207Bの出力側底面から外側へ突出するように構成したが、これに限られるものではない。
つまり、第二シールド当接部271の動力出力側端面が露出していて、放射ノイズ抑制シールド9と電気的に接続されていればよく、例えば、第二非導電性部材207Bの動力出力側底面と面一であって、第二シールド当接部271の動力出力側端面が第二非導電性部材207Bの動力出力側底面上で露出している構成であってもよい。
【0042】
このように、出力側軸受82と、第二導電性部材207Aと、放射ノイズ抑制シールド9と、ヨークハウジング6とが電気的に接続されることとなる。
つまり、このときの回路図を
図6に示すが、出力側軸受82から、第二導電性部材207A及び放射ノイズ抑制シールド9を介してヨークハウジング6へと至る電気的経路が形成される。
このように構成されているため、シャフト1とヨークハウジング6とを導通させ、電磁ノイズの伝導経路を確実に形成することができる。
また、本実施形態では、放射ノイズ抑制シールド9を使用しているため、当該効果はより確実なものとなる。
【0043】
更に、第二軸受ホルダ207が出力側軸受82及びヨークハウジング6と電気的に接触するため、ロータとなる電機子3部分の電位が安定するとともに、電磁ノイズの放射源となる電位が不安定なジャフト1の出力側(当該部分が、電磁ノイズの放射アンテナとなる)の長さを短縮することができ、有効に電磁波ノイズを低減することができる。
【0044】
(第三実施形態)
次いで、
図7により、本発明の第三実施形態について説明する。
なお、モータ自体の基本構成等は、第一実施形態と同様であるため、重ねての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施形態に係る第三モータM3は、基本構成は、第一モータM1と同様であるが、第一軸受ホルダ7とは構成が異なる第三軸受ホルダ307を備える点で、上記第一実施形態とは異なるものである。
【0045】
本実施形態に係る第三軸受ホルダ307は、第三導電性部材307Aと、第三非導電性部材307Bとで形成された円環柱状の部材である。
第三導電性部材307Aは、円環状の第三埋設部371aと、この第三埋設部371aに形成された(本実施形態では等間隔に4か所形成された)第三突出片371bと、を有して構成されている。
この第三埋設部371aが、特許請求の範囲の「円環部」に相当する。
【0046】
なお、第三導電性部材307Aの構成材としては、導電性の部材であれば本発明の趣旨を逸脱しない範囲でどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、鉄、銅、真鍮等の金属、または導電性フィラーを含有する樹脂等を使用することができる。
【0047】
第三突出片371bは、四角柱形状の部材であり、第三埋設部371aから外側へ突出する第三ヨーク当接部371を有して構成されている。
この第三ヨーク当接部371が、特許請求の範囲の「筐体当接部」に相当する。
そして、
図7(a)に記すように、出力側軸受82は、第三埋設部371aの内孔に嵌合している。このため、この第三埋設部371aの内孔内壁が、第三軸受当接部372(図示せず)として機能する。
そして、この状態で、第三非導電性部材307Bにて樹脂モールドを行うことにより、
図7(b)に示すように、円環柱状の第三軸受ホルダ307が完成する。
【0048】
このとき、第三ヨーク当接部371は、第三非導電性部材307Bの外側面から外側へ突出するように構成されている。
なお、本実施形態においては、第三ヨーク当接部371が、第三非導電性部材307Bの外側面から外側へ突出するように構成したが、これに限られるものではない。
つまり、第三ヨーク当接部371の外側端面が露出していて、ヨークハウジング6と電気的に接続されていればよく、例えば、第三非導電性部材307Bの外側面と面一であって、第三ヨーク当接部371の外側端面が第三非導電性部材307Bの外側面上で露出している構成であってもよい。
【0049】
このように、出力側軸受82と、第三導電性部材307Aと、ヨークハウジング6とが電気的に接続されることとなる。
このように構成されているため、シャフト1とヨークハウジング6とを導通させ、電磁ノイズの伝導経路を確実に形成することができる。
【0050】
また、第三軸受ホルダ307が出力側軸受82及びヨークハウジング6と電気的に接触するため、ロータとなる電機子3部分の電位が安定するとともに、電磁ノイズの放射源となる電位が不安定なジャフト1の出力側(当該部分が、電磁ノイズの放射アンテナとなる)の長さを短縮することができ、有効に電磁波ノイズを低減することができる。
【0051】
(第四実施形態)
次いで、
図8により、本発明の第四実施形態について説明する。
なお、モータ自体の基本構成等は、第一実施形態と同様であるため、重ねての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施形態に係る第四モータM4は、基本構成は、第一モータM1と同様であるが、第一軸受ホルダ7とは構成が異なる第四軸受ホルダ407を備える点で、上記第一実施形態とは異なるものである。
【0052】
本実施形態に係る第四軸受ホルダ407は、第四導電性部材407Aと、第四非導電性部材407Bとで形成された円環柱状の部材である。
第四導電性部材407Aは、円環状の第四埋設部471aと、この第四埋設部471aに形成された(本実施形態では等間隔に4か所形成された)第四突出片471bと、を有して構成されている。
この第四埋設部471aが、特許請求の範囲の「円環部」に相当する。
【0053】
なお、第四導電性部材407Aの構成材としては、導電性の部材であれば本発明の趣旨を逸脱しない範囲でどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、鉄、銅、真鍮等の金属、または導電性フィラーを含有する樹脂等を使用することができる。
【0054】
第四突出片471bは、四角柱形状の部材であり、第四埋設部471aから内側へ突出する第四軸受当接部472を有して構成されている。
そして、
図8(a)に記すように、出力側軸受82は、第四軸受当接部472の内側端面にて支持される。
つまり、出力側軸受82は、複数の(本実施形態では4個の)第四軸受当接部472の内側端面で形成された空間に嵌合することとなる。
そして、この状態で、第四非導電性部材407Bにて樹脂モールドを行うことにより、
図8(b)に示すように、円環柱状の第四軸受ホルダ407が完成する。
【0055】
このとき、第四埋設部471aの外周部分は、第四非導電性部材407Bの外側面から外側へ突出するように構成されている。
つまり、第四非導電性部材407Bの外側面から外側へ突出する凸縁が外周の周方向に沿って露出することとなる。
この外側へ突出する凸縁が第四ヨーク当接部471となり、特許請求の範囲の「筐体当接部」に相当する。
【0056】
なお、本実施形態においては、第四ヨーク当接部471が、第四非導電性部材407Bの外側面から外側へ突出するように構成したが、これに限られるものではない。
つまり、第四埋設部471aの外側端面が露出していて、ヨークハウジング6と電気的に接続されていればよく、例えば、第四非導電性部材407Bの外側面と面一であって、第四埋設部471aの外側端面が第四非導電性部材407Bの外側面上で露出している構成であってもよい。
【0057】
このように、出力側軸受82と、第四導電性部材407Aと、ヨークハウジング6とが電気的に接続されることとなる。
このように構成されているため、シャフト1とヨークハウジング6とを導通させ、電磁ノイズの伝導経路を確実に形成することができる。
また、第四軸受ホルダ407が出力側軸受82及びヨークハウジング6と電気的に接触するため、ロータとなる電機子3部分の電位が安定するとともに、電磁ノイズの放射源となる電位が不安定なジャフト1の出力側(当該部分が、電磁ノイズの放射アンテナとなる)の長さを短縮することができ、有効に電磁波ノイズを低減することができる。
【0058】
(改変例)
次いで、
図9により、改変例を説明する。
上記第一導電性部材7A、第二導電性部材207A、第三導電性部材307A、第四導電性部材407A全てにおいて、同様に、第一突出片71b、第二突出片271b、第三突出片371b、第四突出片471bの形状及び形成個数は、上記例に限られることはない。
つまり、
図9(a)のように(第一実施形態の改変例を示すが、全ての実施形態に適用可能)、第一突出片71bの形状が各々異なっていてもよいし、
図9(b)のように(第一実施形態の改変例を示すが、全ての実施形態に適用可能)、奇数個形成されていてもよい。
【0059】
(第五実施形態)
次いで、
図10及び
図11により、本発明の第五実施形態について説明する。
なお、モータ自体の基本構成等は、第一実施形態と同様であるため、重ねての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施形態に係る第五モータM5は、基本構成は、第一モータM1と同様であるが、第一軸受ホルダ7とは構成が異なる第五軸受ホルダ507を備える点で、上記第一実施形態とは異なるものである。
【0060】
本実施形態に係る第五軸受ホルダ507は、2個の第五導電部材507Aを有して構成されている。
この第五導電部材507Aは、矩形の導電性平板を電機子3の出力側の形状に沿うように屈曲形成することにより構成されている。
そして、第五導電部材507Aは、一端が第五ヨーク当接部571となり、ヨークハウジング6と電気的に接続されるとともに、他端が第五軸受当接部572となり、出力側軸受82と電気的に接続されている。
この構成により、出力側軸受82は、ヨークハウジング6に支持されるとともに、電気的に接続されることとなる。
なお、本実施形態においては、第五軸受ホルダ507は、2個の第五導電部材507A,507Aが、軸線に対して対称となる位置に配置されており、2個の第五軸受当接部572,572において出力側軸受82が支持されるとともに、双方において電気的にヨークハウジング6と接続されている。
【0061】
図11に電気回路の模式図を示す。
図11(a)のように、出力側軸受82やシャフト1がヨークハウジング6に接続されていない状態であれば、電磁ノイズが放射される。
つまり、一般的に、モータのシャフトはモータ回路から絶縁されているが、コイルと電機子コアとの間で生じる浮遊容量により、電磁ノイズは電機子コアに伝わる。
電機子コアは一般的に導体であるとともに、金属製のシャフトに固定されるため、電磁ノイズはシャフトに現れ、このシャフトをアンテナとして電磁ノイズが放射されることとなる。
一方、出力側軸受82として使用されるすべり軸受けは、一般的に使用されているオイレスベアリングで、第五モータM5回転中には、オイルによりシャフト1と出力側軸受82の内壁面とは絶縁され、よって、DC的には接続されてはいないが、シャフト1と出力側軸受82の内壁面との間には静電容量が発生しており、このため、交流ノイズは導通がとれていることと等価となる。
よって、本実施形態のように、出力側軸受82をヨークハウジング6と電気的に接続することにより、
図11(b)のような電気回路を構築することが可能となり、シャフト1を最終的に接地して電磁ノイズを減少させることができる。
【0062】
(第六実施形態)
次いで、
図12により、本発明の第六実施形態について説明する。
なお、モータ自体の基本構成等は、第一実施形態(第五実施形態)と同様であるため、重ねての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
本実施形態に係る第六モータM6は、基本構成は、第一モータM1及び第五モータM5と同様であるが、第五軸受ホルダ507の構成に加え、第六放射ノイズシールド609が備えられる点で、第五実施形態とは異なる。
【0063】
本実施形態に係る第六軸受ホルダ607は、2個の第六導電部材607Aを有して構成されている。
この構成は、第五導電部材507Aと同様であるため、説明は省略するが、この第六導電部材607Aによって、出力側軸受82は、ヨークハウジング6に支持されるとともに、電気的に接続されることとなる。
なお、本実施形態においては、第五軸受ホルダ507の例と同様に、2個の第六導電部材607A,607Aが、軸線に対して対称となる位置に配置されており、2個の第六軸受当接部672,672において出力側軸受82が支持されるとともに、双方において電気的にヨークハウジング6と接続されている。
【0064】
そして、本実施形態においては、これら第六導電部材607A,607Aは、第六放射ノイズシールド609により外側が覆われている。
これにより、電磁ノイズが外部に放射されることを有効に防止することが可能となり、更なる電磁ノイズ低減を図ることができる。
【0065】
ここで、第五実施形態及び第六実施形態の電磁ノイズの低減効果結果を
図13により示す。
図13(a)が対照となるチャートであり、従来のモータ(本発明に係る構成を利用しないもの)での電磁ノイズの状態を示す。
また、
図13(b)は第五実施形態に係る電磁ノイズを示すチャートであり、
図13(c)は第六実施形態に係る電磁ノイズを示すチャートである。
この
図13に示すように、第五実施形態及び第六実施形態においては、対照となる従来のモータに比して、電磁ノイズが減少していることがわかる。
特に、
図13(c)に示した第六放射ノイズシールド609を採用した例においては、更に効果が大きいことがわかる。
【0066】
次いで、
図14及び
図15により第五実施形態及び第六実施形態の改変例を示す。
図14(a)は、第五導電部材507A又は第六導電部材607Aの個数を4個に変更したものである。
4個の第五導電部材507A又は4個の第六導電部材607Aは、2個ずつ軸線に対して対称となる位置に配置されており、各々、中心角約90°(軸線と垂直な方向の面で切断した場合に、軸線の通る点を中心点とした中心角)離隔して配置されている。
なお、第五導電部材507A又は4個の第六導電部材607Aの個数は、本発明の趣旨を逸脱するものでなければ、特に限定されるものではなく、例えば、出力側軸受82の保持が可能であれば、
図14(b)に示すように1個でもよい。
【0067】
図14(c)には、第五導電部材507A又は第六導電部材607Aが、矩形平板を屈曲させたものではなく、棒状部材を屈曲させたものとした例である。
本例に示す通り、本発明の趣旨を逸脱するものでなければ、第五導電部材507A又は4個の第六導電部材607Aの形状は特に限定されるものではない。
【0068】
図15には、第五実施形態及び第六実施形態の軸受8の改変例を示す。
軸受8は、
図15(a)に示すようにボールベアリングでもよく、
図15(b)に示すように、二重ベアリングでもよい。
また、
図15(c)に示すように、二重ベアリングの場合、径の異なるベアリングの組合せであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1・・シャフト、2・・コイル、3・・電機子、4・・整流子、4a・・整流子片、
5・・ブラシ装置、51・・ブラシ本体、
6・・ヨークハウジング(筐体)、61・・磁石、62・・ホルダ取付部、
7・・第一軸受ホルダ、
7A・・第一導電性部材、7B・・第一非導電性部材、
71a・・第一埋設部(円環部)、71b・・第一突出片、
171・・第一ヨーク当接部(筐体当接部)、172・・第一軸受当接部、
8・・軸受、81・・基端側軸受、82・・出力側軸受、
9・・放射ノイズ抑制シールド、
207・・第二軸受ホルダ、
207A・・第二導電部材、207B・・第二非導電部材、
271a・・第二埋設部(円環部)、271b・・第二突出片、
271・・第二シールド当接部、272・・第二軸受当接部、
307・・第三軸受ホルダ、
307A・・第三導電部材、307B・・第三非導電部材、
371a・・第三埋設部(円環部)、371b・・第三突出片、
371・・第三ヨーク当接部(筐体当接部)、372・・第三軸受当接部、
407・・第四軸受ホルダ、
407A・・第四導電部材、407B・・第四非導電部材、
471a・・第四埋設部(円環部)、471b・・第四突出片、
471・・第四ヨーク当接部(筐体当接部)、472・・第四軸受当接部、
507・・第五軸受ホルダ、
571・・第五ヨーク当接部、572・・第五軸受当接部、507A・・第五導電部材、
607・・第六軸受ホルダ、
607A・・第六導電部材、
672・・第六軸受当接部、609・・第六放射ノイズシールド、
M1〜M6・・第一モータ〜第六モータ