(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、鉱山等で採掘した砕石や鉱物等を運搬する大型の運搬車両であるダンプトラックに適用した場合を例にとって本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、本発明の適用はダンプトラックに限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態を備えたダンプトラックを示す側面図である。
図1に示すダンプトラック(自車両)1は、頑丈なフレーム構造で形成された車体2と、車体2上に起伏可能に搭載されたベッセル(荷台)3と、車体2に装着された左前輪4A(L)及び左後輪4B(L)を主に備えている。
【0017】
車体2には、後輪4Bを駆動するエンジン(図示せず)が配設されている。エンジンは、例えば、エンジン制御装置(以下ECUという)を有し、ECUからの指令信号によって、供給される燃料流量が制御されることで、その回転数が制御されている。
【0018】
ベッセル3は、砕石物等の荷物を積載するために設けられた容器であり、ピン結合部5等を介して車体2に対して起伏可能に連結されている。ベッセル3の下部には、車両の幅方向に所定の間隔を介して2つの起伏シリンダ6が設置されている。起伏シリンダ6に圧油が供給・排出されると、起伏シリンダ6が伸長・縮短してベッセル3が起伏される。また、ベッセル3の前側上部には庇部7が設けられている。
【0019】
庇部7は、その下側(すなわち車体2の前部)に設置された運転室8を岩石等の飛散物から保護するとともに、車両転倒時等に運転室8を保護する機能を有している。運転室8の内部には、車体近傍障害物報知システムを構成する制御装置100(
図4参照)と、操舵用のハンドル(図示せず)と、アクセルペダル及びブレーキペダル等(図示せず)とが設置されている。
【0020】
図2は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における周囲映像入力部を構成するカメラの配置を説明する概念図、
図3は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態を構成するカメラが撮影した映像を示す概念図である。
【0021】
図2において、ダンプトラック1の車体2の前側面と後側面とには、ダンプトラック1の前方を広角で撮影する前方カメラ301と、ダンプトラック1の後方を広角で撮影する後方カメラ303とが設けられている。また、車体2の左側面と右側面とには、ダンプトラック1の左方向を広角で撮影する左方向カメラ302と、ダンプトラック1の右方向を広角で撮影する右方向カメラ304とが設けられている。これらのカメラ301〜304は、それぞれの地表面を主に撮影できるように、車体2の各面に俯角をつけて取付けられている。また、ダンプトラック1の車体2には、右前輪4A(R)と左後輪4B(R)とが装着されている。
【0022】
図3はこれらのカメラ301〜303が撮影した周囲映像の例を示す。401は前方カメラ301が撮影した前方映像の例を示す。402は左方向カメラ302が撮影した左方向映像の例を示す。403は後方カメラ303が撮影した後方映像の例を示す。404は右方向カメラ304が撮影した右方向映像の例を示す。
【0023】
周囲映像401〜404は、それぞれ広角で撮影されるため遠方、すなわち各映像の上部に映し出されている地平線が湾曲して見えている。また、近傍、すなわち各映像の下部に車体2の一部や左右前輪4A(R),4A(L)の一部や左右後輪4B(R),4B(L)の一部が映っている。前方映像401、左方向映像402、後方映像403、右方向映像404を合わせたものが本実施の形態における周囲映像である。
【0024】
図4は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図4において、車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態は、車体近傍障害物報知装置100と、周囲映像入力部101とを備えている。
【0025】
周囲映像入力部101は、ダンプトラック1の周囲の様子をそれぞれ撮影する複数のカメラ301〜304を備えている。周囲映像入力部101は、撮影結果である複数の周囲映像401〜404を車体近傍障害物報知装置100へ送信する。
【0026】
車体近傍障害物報知装置100は、物体検知部102と領域判定部103と映像情報抽出部104と合成映像構築部105と出力部106とを備えている。
【0027】
物体検知部102は、周囲映像入力部101が送信した複数の周囲映像401〜404に関して検知処理を行い、移動障害物が映像中に存在するか否かを判断し、その結果を領域判定部103と合成映像構築部105とへ出力する。
【0028】
領域判定部103は、物体検知部102から移動障害物を検知した信号を受信した場合に、合成映像構築部105からの合成映像上の移動障害物の検知位置座標等の位置情報を基に、移動障害物の位置が映像領域の内か外かを判定する。映像領域外の場合には、検知位置座標を周囲映像とともに映像情報抽出部104へ出力する。
【0029】
映像情報抽出部104は、領域判定部103から入力した検知位置座標を基に、周囲映像の中から検知位置に該当する映像を抽出し、検知結果抽出映像として検知位置座標とともに合成映像構築手段部105へ出力する。
【0030】
合成映像構築部105は、周囲映像入力部101の送信した複数の周囲映像401〜404と、物体検知部102から移動障害物を検知した信号と、位置映像情報抽出部104から移動障害物の位置を示す検知位置座標信号と検知結果抽出映像とを入力する。合成映像構築部104は、まず、移動障害物の検知結果の座標情報に対して合成映像上の座標変換を行い、その信号を領域判定部103へ出力する。次に、合成俯瞰映像を生成するために入力した周囲映像の中から必要な部分を切り出し座標変換後に合成を行うと共に、入力した検知位置座標を基に障害物の検知位置検知結果抽出映像を合成し、得られた合成映像を出力部105へ出力する。
【0031】
出力手段105は、ディスプレイ等を備え、合成映像構築部105から入力した合成映像を利用者に対して出力する。
【0032】
次に、本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における移動障害物の検知と表示の処理内容について
図5乃至
図9を用いて説明する。
図5は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における処理内容を示すフローチャート図、
図6は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における移動障害物の検知の例を示す概念図、
図7は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における周囲映像からの抽出領域の例を示す概念図、
図8は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における合成映像表示の一例を示す概念図、
図9は本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態における映像領域外に存在する障害物の検知の例を説明する概念図である。
図5乃至
図9において、
図1乃至
図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図5において、車体近傍障害物報知装置100は、周囲映像入力を行う(ステップS201)。具体的には、周囲映像入力部101で撮影した周囲映像401〜404を入力する。
【0034】
車体近傍障害物報知装置100は、障害物の検知処理を実行する(ステップS202)。具体的には、
図4に示す物体検知部102にて移動障害物の検知処理を実行する。検知の対象とする映像は、周囲映像入力部101から入力する前方映像401、左方向映像402、後方映像403、右方向映像404である。
【0035】
検知処理の一例を
図6を用いて説明する。
図6は左方向映像402における障害物の検知を示すものであって、上から順に、(a)ある特定時刻t
0より前の時刻である時刻t
0−1における映像、(b)ある特定時刻t
0における映像、(c)障害物検知結果を示す映像、(d)検知結果映像を示している。
【0036】
ここで、
図6(a)には、時刻t
0−1における障害物501が左方向映像402上に撮影されている様子が示され、
図6(b)には特定時刻t
0における障害物502が左方向映像402上に撮影されている様子が示されている。これらの障害物501と502は人物であって同一のものであり、時間の推移に伴って移動している様子が左方向カメラ302によって撮影されている。
図6(a)〜(c)では、障害物である人物が前輪4A(L)と後輪4B(L)の間に立った状態で存在している。この状況で映像を撮影した場合は、映像内で向かって下側に頭部が、上側に脚部が映され、脚部より頭部の方がカメラにより近いため頭部がより大きく映されている。
【0037】
図4に示す物体検知部102は、周囲映像入力部101から入力するこれらの映像を比較し、時間の推移に伴って映像に変化が発生した箇所を算出する。算出により得られた、
図6(c)に示す後述する抽出領域外の検知結果503は左方向映像402上での座標情報を保持している。なお、映像に変化が発生していない場合はこのような検知結果は得られない。
【0038】
図5に戻り、車体近傍障害物報知装置100は、(ステップS202)における検知処理による移動障害物の検知の有無を判断する(ステップS203)。移動障害物を検知した場合には、(ステップS204)へ進み、それ以外の場合には、(ステップS207)へ進む。
【0039】
車体近傍障害物報知装置100は、検知箇所の座標を算出する(ステップS204)。具体的には、
図4に示す物体検知部102において前方映像401、左方向映像402、後方映像403、右方向映像404の中で得られた移動障害物の部位を座標情報に変換し、その信号を合成映像構築部105へ出力する。合成映像構築部105では、入力信号を変換することで合成映像における座標情報を算出する。この変換は後述する(ステップS207)で行う合成映像の構築のための処理と同じであり、具体的には、前方映像401、左方向映像402、後方映像403、右方向映像404から一部を切り出して境界を接するように並べることにより、ダンプトラック(自車両)1の前後左右にわたる周囲の状況を表示させる。
【0040】
この例を
図7及び
図8を用いて説明する。
図7の周囲映像401〜404において、それぞれの内部に前方抽出領域601、左方向抽出領域602、後方抽出領域603、右方向抽出領域604を設ける。これらの抽出領域は、広角カメラの特性を基に、ダンプトラック1の真下から始まって一定距離だけ離れた部分までの間が映ることと、隣接するカメラから入力する映像における抽出領域と当該カメラから入力する映像における抽出領域とが重ならずに隣接することを基に範囲が設定されている。
【0041】
次に、これら抽出領域601〜604に対して座標変換及び合成を行うことで、
図8に示す合成映像605を構築する。
図8の合成映像605の内部では、前方抽出領域601は前方変換映像606へと変換されている。同様に、左方向抽出領域602は左方向変換映像607に、後方抽出領域603は後方変換映像608に、右方向抽出領域604は右方向変換映像609へと変換されている。
【0042】
合成映像605では、これらの変換映像606〜609は順次隣接するように配置されていて、本実施の形態においては、ダンプトラック1の周囲を俯瞰した映像を表現している。なお、座標変換及び配置の結果映像が存在しない部分は、にはダンプトラック(自車両)1が存在している領域を示すため、利用者にこれを明示するために自車アイコン610を合成している。
【0043】
図5に戻り、車体近傍障害物報知装置100は、(ステップS204)における検知箇所の座標が変換映像の領域外にあるか否かを判断する(ステップS205)。具体的には領域判定部103が、合成映像構築部105からの合成映像上の移動障害物の検知位置座標等の位置情報を基に、移動障害物の位置が映像領域の内か外かを判定する。移動障害物が変換映像の領域外の場合には、(ステップS206)へ進み、それ以外の場合には、(ステップS207)へ進む。
【0044】
本実施の形態においては、
図6(c)に示すように、抽出領域外における検知結果を配置した映像503は、左方向映像402の内部にはあるものの左方向抽出領域602の外部に存在する。この座標情報に変換を加えると、変換後の座標情報は、
図8に示す左方向変換映像607の外部を指し示す。
【0045】
図5に戻り、車体近傍障害物報知装置100は、検知箇所の映像を抽出する(ステップS206)。具体的には、変換前の映像内で、検知結果の位置に該当する箇所の映像を、映像情報抽出部104が抽出する。本実施の形態においては、
図6(d)に示す左方向映像402内における抽出領域外の検知結果503の位置に該当する、抽出領域外の検知結果映像504を抽出し後述する合成映像構築部102が保持する。
【0046】
(ステップS203)にて移動障害物を検知しない場合、又は(ステップS205)で移動障害物が変換映像の領域外でない場合、又は(ステップS206)の処理が実行された後には、車体近傍障害物報知装置100は、合成映像の構築を実行する(ステップS207)。具体的には、上述した(ステップS204)の合成映像の構築のための処理であって、合成映像構築部102において前方映像401、左方向映像402、後方映像403、右方向映像404から一部を切り出し座標変換した上で境界が接するように配置することにより、ダンプトラック(自車両)1の前後左右にわたる周囲の状況を表示させる。
【0047】
ここで、(ステップS206)の処理が実行された後における合成映像構築部102の処理は、他の場合の処理と異なる。(ステップS203)において移動障害物を検知していると判定した場合は、本システムは検知結果の座標情報を保持している。さらに(ステップS205)において、検知結果の座標が映像領域の外部に存在していると判定した場合は、本システムは
図6(d)に示す検知結果映像504を保持している。これらを利用者に示すために、合成映像構築部102は
図9に示す合成映像605に強調表示の設定を行う。
【0048】
具体的には、
図6(c)の抽出領域外の検知結果503に変換を加え、この変換後の座標上に抽出領域外の検知結果映像504を設定することにより、
図9に示す合成映像605上には抽出領域外における検知結果を配置した映像701を表示している。なお、(ステップS205)において、検知結果の座標が映像領域の内部に存在していると判定した場合は、その位置に矩形を描画する等の他の強調表示を行い、抽出領域外の検知結果映像504は使用しない。このことにより、利用者に対して、合成映像605上では表示されていない移動障害物に関しても、その存在を強調表示にて通知することが可能である。
【0049】
図5にもどり、車体近傍障害物報知装置100は、合成映像を出力する(ステップS208)。具体的には、合成映像構築部104が合成映像605を出力部105へ出力する。上述した処理において、移動障害物を検知している場合には、出力部105には座標変換後の検知結果701のような強調表示が行われた合成映像605が出力される。
【0050】
車体近傍障害物報知装置100は、移動障害物の検知及び出力が完了したかどうかを判定する(ステップS209)。これらの処理が完了した場合は終了し、それ以外の場合は(ステップS201)に戻る。
【0051】
上述したように、本実施の形態における移動障害物の検知と報知の処理がなされるので、どの位置にどのような移動障害物を検知したかを利用者に報知し、その内容によって利用者が次に取るべき行動を迅速に判断できるよう作業を促進することが可能になる。
【0052】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第1の実施の形態によれば、直下用車載カメラを配置せずに、自車両1周囲の状況において、自車両1の車体下部などの合成俯瞰映像として表示されない箇所における移動障害物の検知を行うと共に、その移動障害物の位置と映像とを合成表示させるので、利用者は、どこにどのような移動障害物が存在するかを迅速に把握できる。これにより、利用者は、検知結果である移動障害物に対してどのように対処すべきかを容易に判断できる、この結果、作業全体の運用効率を向上することができる。
【実施例2】
【0053】
以下、本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態を図面を用いて説明する。
図10は本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態における強調表示の処理内容を示すフローチャート図、
図11は本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態における映像領域外に存在する障害物の検知の例を説明する概念図である。
図10及び
図11において、
図1乃至
図9に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施の形態における車体近傍障害物報知システムは、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第2の実施の形態においては、自車両1の下部にあって合成映像605上では表示されていない移動障害物を検知した場合に、検知した箇所を強調表示すると共に、その検知結果の映像(障害物の映像)は自車アイコン610と合成映像605の外側に引出線を介して表示することで利用者に報知する点が第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態における処理の流れも
図5に類似するが、(ステップS206)の後に処理を追加する点が異なるため、この部分に関して
図10を用いて説明する。
【0055】
図10において、(ステップS203)にて移動障害物を検知し、かつ(ステップS205)にて検知結果の座標が映像領域の外部に存在していると判定した場合、(ステップS206)の処理の後で、本システムの保持する抽出領域外の検知結果映像504を利用者に示すために、強調表示の設定(ステップS801)が実行される。
【0056】
具体的には、
図11に示すような合成映像605等が出力部106に出力される。
図11に示すように合成映像605の周縁部には表示余剰領域901が存在している。表示余剰領域901は、出力部106において合成映像605の全体を表示する際、映像の縦横比を保つといった理由等により映像を表示しきれない領域を指し、通常この領域には何も表示しない。
【0057】
本実施の形態においては、(ステップS801)において、合成映像構築部105が、抽出領域外の検知結果503に変換を加え、この変換後の座標上に検知箇所の強調表示902を設定する。本例では、太線で円を描いて表示している。
【0058】
次に、合成映像構築部105は、検知箇所の強調表示902が存在する位置に最も近く、かつ抽出領域外の検知結果映像504を描画するのに足りる面積を持つ領域を表示余剰領域901から探索する。探索の結果発見した位置まで連結矢印903の描画を設定する。本例では、合成映像605の上部の位置まで連結矢印903が表示されている。
【0059】
次に、探索の結果発見した位置に、抽出領域外における検知結果を配置した映像701の描画を設定する。このことにより、例えば、抽出領域外の検知結果映像504の色や形状が、自車アイコン610の色や形状と類似していた場合でも、抽出領域外の検知結果映像504が表示余剰領域901に示されているので、抽出領域外の検知結果映像504の色や形状といった特徴が強調されはっきりと認識することができる。この結果、利用者が次に取るべき行動を迅速に判断できるので、作業全体の運用効率を向上することができる。
【0060】
本実施の形態においては、移動障害物の位置は、その検知位置に表示されるが、検知結果である障害物の映像は、検知位置とは別の部位に表示されることを特徴としている。
【0061】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0062】
また、上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態によれば、利用者は、検知結果の映像(障害物の映像)504を表示余剰領域901で認識するので、検知結果の映像504の色や形状が、自車アイコン610の色や形状と類似していた場合でも、特徴が強調されはっきりと認識できる。この結果、より安全性を確保できる。
【実施例3】
【0063】
以下、本発明の車体近傍障害物報知システムの第3の実施の形態を図面を用いて説明する。
図12は本発明の車体近傍障害物報知システムの第3の実施の形態における映像領域外に存在する障害物の検知の例を説明する概念図である。
図12において、
図1乃至
図11に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施の形態における車体近傍障害物報知システムは、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第3の実施の形態においては、自車両1の下部にあって合成映像605上では表示されていない移動障害物を検知した場合に、検知した箇所を強調表示すると共に、その検知結果の映像(障害物の映像)を自車アイコン610の中心部に表示することで利用者に報知する点が第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態における処理の流れは、
図11に示す処理と同様である。但し(ステップS801)の処理内容が異なるため、この部分に関して説明する。
【0065】
強調表示の設定(ステップS801)が実行されると、
図12に示すような合成映像605が出力部106に出力される。具体的には、合成映像構築部105が、抽出領域外の検知結果503に変換を加え、この変換後の座標上に検知箇所を明示するための強調表示を設定する。本例では、自車アイコン610の中心部付近から変換後の座標に向かって検知箇所を示す矢印1001を表示している。
【0066】
次に、合成映像構築部105は、自車アイコン610の中心部分に、抽出領域外における検知結果を配置した映像701の描画を設定する。なお、移動障害物を複数検知した場合は、最後に検知した移動障害物に関してこの処理を適用する。このことにより、移動障害物を検知した位置が変換映像の領域外にある場合、自車アイコン610の位置を見れば必ず抽出領域外における検知結果を配置した映像701が存在する。この結果、利用者は検知結果を発見するための視点移動を抑えることができ、迅速に状況を把握することが可能になる。
【0067】
本実施の形態においては、移動障害物の位置は、その検知位置に表示されるが、検知結果である障害物の映像は、検知位置とは別の部位に表示されることを特徴としている。
【0068】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第3の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0069】
また、上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第2の実施の形態によれば、利用者は、移動障害物の映像を発見するための視点移動を抑えることができる。この結果、迅速に状況を把握することが可能になり、より安全性を確保できる。
【実施例4】
【0070】
以下、本発明の車体近傍障害物報知システムの第4の実施の形態を図面を用いて説明する。
図13は本発明の車体近傍障害物報知システムの第4の実施の形態における強調表示の処理内容を示すフローチャート図、
図14は本発明の車体近傍障害物報知システムの第4の実施の形態における映像領域内に存在する障害物の検知の例を説明する概念図である。
図13及び
図14において、
図1乃至
図12に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施の形態における車体近傍障害物報知システムは、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第4の実施の形態においては、合成映像605内に表示されている領域内で移動障害物を検知した場合に、検知した箇所に対して、座標変換を適用する前の検知結果の映像(障害物の映像)を表示して利用者に報知する点が第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態における処理の流れも
図5に類似するが、(ステップS205)の後に処理を追加する点が異なるため、この部分に関して
図13を用いて説明する。
【0072】
図13において、(ステップS203)にて移動障害物を検知し、かつ(ステップS205)にて検知結果の座標が映像領域の内部に存在していると判定した場合、本システムの保持する座標変換を適用する前の検知結果映像を利用者に示すために強調表示の設定(ステップS1101)が実行される。
【0073】
具体的には、
図14の左側に示す左方向映像402を基に
図14の右側に示す合成映像605を構成する。本例では、移動障害物は左方向抽出領域602の内部にあり、抽出領域内の検知結果1201として示されている。上述した他の実施の形態においては、この検知結果は、(ステップS207)の合成映像の構築により、座標変換を適用し出力部106に表示していたが、本例では、座標変換を適用せず、抽出領域内の検知結果映像1202として合成映像605内に設定している。
【0074】
このことにより、抽出領域外における検知結果を配置した映像701と類似した見映えの検知結果映像を合成映像605内に設定でき、利用者が検知結果を把握する際の混乱を減少させることが可能になる。また、座標変換を行わない映像を利用者に示すことで、カメラの存在する位置から実際に観測した状態に近い映像を表示でき、利用者による現場の様子の把握が容易になる。
【0075】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第4の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0076】
また、上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第4の実施の形態によれば、利用者は、カメラの存在する位置から実際に観測した状態に近い映像を認識することができる。この結果、現場の様子の把握が容易になり、より安全性を確保できる。
【実施例5】
【0077】
以下、本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態を図面を用いて説明する。
図15は本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態における合成俯瞰映像と移動障害物の検知結果表示の一例を示す概念図である。
図15において、
図1乃至
図14に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0078】
本実施の形態における車体近傍障害物報知システムは、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第5の実施の形態においては、自車両1の下部にあって合成映像605上では表示されていない移動障害物を検知した場合に、自車両1下部の一部領域を自車アイコン610上に重ねて表示し、その検知結果の映像(障害物の映像)と併せて表示することで利用者に報知する点が第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態における処理の流れは、
図11に示す処理と同様である。但し(ステップS801)の処理内容が異なるため、この部分に関して説明する。
【0079】
強調表示の設定(ステップS801)が実行されると、
図15に示すような合成映像605が出力部106に出力される。具体的には、合成映像構築部105が、抽出領域外の検知結果503に変換を加え、この変換後の座標上に検知箇所を明示するための強調表示を設定する。本例では、抽出領域外における検知結果を配置した映像701の他に、その周囲の様子を示す検知結果周囲映像1301(斜線部)を併せて設定して表示している。
【0080】
検知結果周囲映像1301とは、例えば移動障害物を検知した映像に含まれる自車両1下部の映像とすることができる。この場合、
図7に示す左方向映像402内における左方向抽出領域602以外の部分が該当する。左方向映像402内において、映像の見かけ上、左方向抽出領域602の下側に自車両1の下部が存在するので、
図15において、この部分の映像を使用できる。
【0081】
なお、検知結果周囲映像1301には、座標変換前の映像、あるいは座標変換後の映像のいずれかを設定できる。検知結果とその周囲の状況とを併せて表示できるので、利用者が、検知結果の発生原因や今後の挙動を容易に推測できる。
【0082】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0083】
また、上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態によれば、利用者は、検知結果である移動障害物の発生原因や今後の挙動を容易に推測できる。この結果、迅速に状況を把握することが可能になり、より安全性を確保できる。
【実施例6】
【0084】
以下、本発明の車体近傍障害物報知システムの第6の実施の形態を図面を用いて説明する。
図16は本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態における強調表示の処理内容を示すフローチャート図、
図17は本発明の車体近傍障害物報知システムの第5の実施の形態における映像領域内に存在する障害物の検知の例を説明する概念図である。
図16及び
図17において、
図1乃至
図15に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0085】
本実施の形態における車体近傍障害物報知システムは、その構成及び運用方法は第1の実施の形態と大略同様である。第6の実施の形態においては、自車両1の周囲で検知した移動障害物が、自車両1の下部に移動した場合に、自車両1の周囲で検知した際の映像(障害物の映像)を、自車両1の下部の移動障害物が存在する位置に表示して利用者に報知する点が第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態における処理の流れも
図5に類似するが、(ステップS205)の後に処理を追加する点が異なるため、この部分に関して
図16を用いて説明する。
【0086】
図16において、(ステップS203)にて移動障害物を検知し、かつ(ステップS205)にて検知結果の座標が映像領域の内部に存在していると判定した場合、検知結果映像を抽出し保持する処理(ステップS1401)が実行される。また、(ステップS205)にて検知結果の座標が映像領域の外部に存在していると判定した場合には、(ステップS206)に替えて本システムの保持する映像領域内部での検知結果映像を利用者に示すために強調表示の設定(ステップS1402)が実行される。
【0087】
具体的には、
図17の左側は、移動障害物が映像領域である左方向抽出領域602の内部に存在する時点における左方向映像402を示し、
図17の右側に、その後に、移動障害物が映像領域の外部に移動した時点における合成映像605を示している。
【0088】
ある時点において、映像領域の内部に存在している移動障害物を検知した場合、検知結果映像の抽出(ステップS1401)処理が実行される。具体的には
図17の左側に示す抽出領域内の検知結果1201を取得し映像情報抽出部104が保持する。その後、移動障害物が移動し自車両1の下部に入ると、移動障害物は映像領域の内部から外部へと移動する。このとき、
図16に示す(ステップS205)の判定結果が変化し、強調表示の設定(ステップS1402)処理が実行される。
【0089】
具体的には、
図17の右側に示すように、自車アイコン610に重なるように抽出領域外における検知結果を配置した映像701を表示するが、この映像の内容には(ステップS1401)にて取得した映像情報抽出部104に保持したものを用いる。
【0090】
利用者が肉眼で視認可能な移動障害物の状態に近い映像を表示できるので、利用者による現場の様子の把握が容易になる。
また、自車両1の周囲に比べて光があまり到達しないために相対的に暗い映像の取得が想定される自車両1の下部で検知結果の映像を取得する場合に比べて、より明るい映像の取得が期待できる。このことにより、自車両1の下部に移動障害物が移動した場合でも、利用者は、容易に移動障害物の様子を把握できる。
【0091】
上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第6の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0092】
また、上述した本発明の車体近傍障害物報知システムの第6の実施の形態によれば、肉眼で視認可能な移動障害物の状態に近い映像を表示できるので、利用者による現場の様子の把握が容易になる。この結果、迅速に状況を把握することが可能になり、より安全性を確保できる。
【0093】
なお、本発明の実施の形態は建設機械として大型のダンプトラックに適用した場合を例に説明したが、これに限られるものではない。建設現場における大型機械や災害現場における大型の作業機械にも適用することができる。
【0094】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。