【実施例】
【0052】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
まず、スチレン−メタクリル酸系樹脂シート(発泡シート)を作製するための原材料として以下のようなものを用意した。
(A1)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂:
PSジャパン社製 商品名「ML195」
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
(A2)スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体樹脂:
PSジャパン社製 商品名「MM290」
成分:スチレン単量体含有量84質量%、メタクリル酸単量体含有量11質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量:5質量%
(A1/A3)スチレン−メタクリル酸共重合体とMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)とのブレンド品:
PSジャパン社製 商品名「AMM11」
成分:スチレン単量体含有量62.8質量%、メタクリル酸単量体含有量6.3質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量6.4質量%、ポリブタジエンブロック含有量24.6質量%
(A2/A3)スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体とMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)とのブレンド品:
PSジャパン社製 商品名「AMM10」
成分:スチレン単量体含有量56.4質量%、メタクリル酸単量体含有量8.4質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量9.4質量%、ポリブタジエンブロック含有量25.7質量%
(A4+α)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂に脂肪酸アミドが添加されたもの:
PSジャパン社製 商品名「MA100」
成分:スチレン単量体含有量96質量%、メタクリル酸単量体含有量4質量%、脂肪酸アミド系添加剤1.5質量部
(B2)シス型スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂:
PSジャパン社製 商品名「H8117」
成分:ポリスチレンブロック含有量88質量%、ポリブタジエンブロック含有量12質量%
(X)気泡調整剤:
東洋スチレン社製 商品名「TM401A」(タルクを配合した配合樹脂)
【0054】
(実施例1)
(発泡シートの作製)
まず、第一押出機(L/D:32、口径φ:50mm)の先端に接続配管を介して第二押出機(L/D:30、口径:65mm)が接続されてなるタンデム型押出機を用意した。
そして、下記配合内容となるように調製した発泡シート用の原料をタンデム型押出機の第一押出機に供給し該押出機内で溶融混練を実施した。
(A1)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂:80質量%
PSジャパン社製 商品名「ML195」
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
(A1/A3)スチレン−メタクリル酸共重合体とMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)とのブレンド品:11質量%
PSジャパン社製 商品名「AMM11」
成分:スチレン単量体含有量62.8質量%、メタクリル酸単量体含有量6.3質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量6.4質量%、ポリブタジエンブロック含有量24.6質量%
(B2)シス型スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂:9質量%
PSジャパン社製 商品名「H8117」
成分:ポリスチレンブロック含有量88質量%、ポリブタジエンブロック含有量12質量%
(X)気泡調整剤:「ML195」、「AMM11」、及び、「H8117」の合計100質量部に対して0.3質量部
東洋スチレン社製 商品名「TM401A」(タルクを配合した配合樹脂)
【0055】
次に、第一押出機の途中から発泡剤としてブタンを圧入し、上記溶融混練物に対して前記ブタンを加えた上で更なる溶融混練を行った。
そして、溶融混練物中にブタンを均一に分散させた上で、この発泡剤を含む溶融混練物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練を継続しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後、第二押出機の先端に取り付けたスリット口径70mmのサーキュラーダイから該溶融混練物を押出発泡させ、水冷されているマンドレル上にダイスリットから押出発泡された筒状の発泡体を沿わせて内側から冷却するとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却し、カッターにより切開して、平坦シート状のスチレン−メタクリル酸系樹脂シート(発泡シート)を作製した。
この発泡シートの作製に際しては、坪量が140g/m
2で厚みが1.65mm、発泡倍率12.4倍となるように引取り速度およびブタンガス注入量を調整した。
【0056】
(実施例2)
気泡調整剤を増量するとともに坪量を220g/m
2、厚みが1.11mm、発泡倍率5.3倍となるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0057】
(実施例3)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「TM401A」=78/13/9/0.3
の質量割合とし、坪量を130g/m
2、厚みが1.59mm、発泡倍率12.8倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0058】
(実施例4)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「TM401A」=85/15/0.3
の質量割合とし、坪量を140g/m
2、厚みが1.64mm、発泡倍率12.3倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0059】
(実施例5)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM10」/「H8117」/「TM401A」=80/11/9/0.3
の質量割合とし、坪量を140g/m
2、厚みが1.63mm、発泡倍率12.2倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0060】
(実施例6)
配合内容を、下記表に示すように
「MM290」/「MA100」/「AMM10」/「H8117」/「TM401A」=60/15/10/15/0.2
の質量割合とし、坪量を133g/m
2、厚みが1.6mm、発泡倍率12.6倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0061】
次に、前記のような材料に加え、以下のような原材料をも用いて発泡シートを作製した。
(B1)スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SBS):
旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフプレン125」
スチレンブロック含有量40質量%、トランスブタジエンブロック含有量60質量%
(C1)水添スチレン系熱可塑性エラストマー
旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックH1043」
スチレンブロック含有量67%、エチレン−ブチレンブロック含有量33%
(C2)水添スチレン系熱可塑性エラストマー
旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフテックH1041」
スチレンブロック含有量30%、エチレン−ブチレンブロック含有量70%
(A1)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂:
東洋スチレン社製 商品名「T080」
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
(A4)架僑型スチレン−メタクリル酸系共重合樹脂:
東洋スチレン社製 商品名「CM140」
(Z)超低密度ポリエチレン(VLDPE)
東ソー社製 商品名「LUMITAC12−1」
(A1)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂:
PSジャパン社製 商品名「G9001」
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
【0062】
(比較例1)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「タフプレン125」/「H8117」/「TM401A」=86/5/9/0.3
の質量割合とし、坪量を180g/m
2、厚みが1.86mm、発泡倍率10.8倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0063】
(比較例2)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「タフテックH1043」/「H8117」/「TM401A」=83/8/9/2.0
の質量割合とし、坪量を177g/m
2、厚みが1.83mm、発泡倍率10.9倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0064】
(比較例3)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「タフテックH1041」/「H8117」/「TM401A」=87/4/9/2.0
の質量割合とし、坪量を181g/m
2、厚みが1.80mm、発泡倍率10.4倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0065】
(比較例4)
配合内容を、下記表に示すように
「T080」/「タフプレン125」/「CM140」/「TM401A」=95/5/3/2.0
の質量割合とし、坪量を179g/m
2、厚みが1.89mm、発泡倍率11.1倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製した。
【0066】
(参考例1)
配合内容を、下記表に示すように
「G9001」/「VLDPE」/「タフテックH1043」/「タフプレン125」/「TM401A」=85/5/5/5/2.0
の質量割合とし、坪量を130g/m
2、厚みが1.61mm、発泡倍率13.0倍になるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更し発泡シートを作製した。
【0067】
なお、それぞれの配合における各主成分については、下記の測定方法にて定量することができ、一部の結果を下記表に示す。
【0068】
(樹脂中メタクリル酸含有量の測定方法)
樹脂の吸光度比A=D1697/D1600を次の要領で測定する。
まず、樹脂適量を乳鉢中にKBr(臭化カリウム)粉末とともに入れて良く混ぜ合わせ、得た混合粉末を錠剤成形機にてプレス成形してKBr錠剤を作製後、赤外分光分析を下記条件にて実施して赤外吸収スペクトルを得る。
この際、吸光度が1Absorbanceを越えないような試料量とする。
なお、赤外吸収スペクトルの測定(吸光度D1697およびD1600の測定)は、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック株式会社から商品名「iS10」で販売されているフーリエ変換赤外分光分析装置を使用して実施する。
・測定法:透過法
・測定波数領域:4000cm
−1〜400cm
−1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器およびKBrビームスプリッター
・分解能:4cm
−1
・積算回数:32回(バックグランド測定時も同様)
得られた赤外吸収スペクトルの吸光度比A=D1697/D1600を計算し、予めメタクリル酸量既知の樹脂とポリスチレン樹脂を一定割合で混合した標準試料を用いて作成した検量線から、メタクリル酸量を算出する。
D1697とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1780cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとした、波数1697cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
また、D1600とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1780cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとした、波数1600cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
なお、上記においては、カルボキシル基に由来する1697cm
−1の吸収ピークと芳香族型炭素−炭素結合に由来する1600cm
−1の吸収ピークとを対比してスチレンに対するメタクリル酸の量を求めている。
【0069】
(樹脂中メタクリル酸メチル含有量の測定方法)
試料を約0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業(株)製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工(株)製)装置にて分解させて生成したメタクリル酸メチルをガスクロマトグラフ[GC7820(アジレント・テクノロジー(株)製)、検出器(FID)]を用いて測定し、メタクリル酸メチルに由来するピークの面積を使用して予め準備した検量線より算出する。
具体的な条件は下記の通り。
<測定条件>
・加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(InterCap5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):ジーエルサイエンス(株)製)
<カラム温度条件>
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、さらに320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(25ml/分)
・注入口圧力(100kPa)
・カラム入口圧力(100kPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/50)
検量線作成標準試料は、積水化成品工業(株)製の懸濁重合PMMA微粒子(商品名「MB−8」)を使用する。
【0070】
(樹脂中全ブタジエンゴム量測定方法)
試料を0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業(株)製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工業製)装置にて分解させて生成したブタジエンモノマーと4−ビニルシクロヘキサンとをガスクロマトグラフ[GC7820(アジレント・テクノロジー(株)製)、(検出器:FID)]を用いて測定し、ブタジエンモノマー由来のピークと4−ビニルシクロヘキセン由来のピークの合計面積を使用して予め準備した検量線より算出する。
具体的な条件は下記の通り。
<測定条件>
・加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(InterCap5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):ジーエルサイエンス(株)製)
<カラム温度条件>
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、さらに320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(25ml/分)
・注入口圧力(100kPa)
・カラム入口圧力(100kPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/30)
検量線作成用標準試料は、POLYSCIENCES.INC製スチレン/ブタジエン=85/15(CAT#07073)樹脂を使用する。
【0071】
(樹脂中1,4−トランスブタジエンゴム含有量の測定方法)
樹脂の吸光度比A=D965/D1600を次の要領で測定する。
まず、樹脂約0.1gを良溶媒約20mLで溶解し、溶解液半分程度を利用してガラスプレート上でフィルム化を行う。得られたフィルムの赤外分光分析を下記条件にて実施し、赤外吸収スペクトルを得る。
赤外吸収スペクトルの測定(吸光度D965およびD1600の測定)は、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック株式会社から商品名「iS10」で販売されているフーリエ変換赤外分光分析装置を使用して実施する。
・測定法:透過法
・測定波数領域:4000cm
−1〜400cm
−1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器およびKBrビームスプリッター
・分解能:4cm
−1
・積算回数:32回(バックグランド測定時も同様)
得られた赤外吸収スペクトルの吸光度比A=D965/D1600を計算し、予め1,4−トランスブタジエンゴム量既知の樹脂とポリスチレン樹脂を一定割合で混合した標準試料を用いて作成した検量線から、1,4−トランスブタジエンゴム量を算出した。
D965とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数925cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1045cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとして、波数965cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
また、D1600とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1640cm
−1±10cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとして、波数1600cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
なお、上記においては、スチレンに対するトランス型ブタジエンゴムの量を求めている。
また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂に1,2−ブタジエンが含有されている場合は、1,2−ブタジエンに由来する赤外吸収ピークが911cm
−1付近に観測されることから、トランス型ブタジエンゴムの量と同様に吸光度を使ってスチレンに対する1,2−ブタジエンの量を求めることができる。
なお、シス型ブタジエンゴム量は、上記の熱分解ガスクロマトグラフによる全ブタジエンゴム量測定方法によって定量された全ブタジエンゴム量から、トランス型ブタジエンゴム量と1,2−ブタジエンゴム量とを減じた値をシス型ブタジエンゴムの含有量と判断することができる。
【0072】
(ドメインの形状:シート)
発泡シートを押出方向に対して平行かつシート厚みに対して平行な面(
図1「平面A」)が観察できるよう切片を採取する。
その後、切り出した切片をエポキシ樹脂中に包埋後、60℃の温度で24時間かけて前記エポキシ樹脂を硬化させ、ウルトラミクロトーム(例えば、ライカマイクロシステムズ社製、型名「LEICA ULTRACUT UCT」、DiATOME社 Ultra)を用いて超薄切片(例えば、厚み70nm)を作製する。
切片の切削方向は、厚み方向(VD方向)とし、染色剤は四酸化オスミウムを用いる。
次いで、透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製、型名「H−7600」、AMT社製 カメラシステム ER−B)にて写真撮影を行う。
上記条件により撮影して得られた写真を印刷し、ドメイン寸法と写真上のスケールバー長さを株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、スケールバー実測値とスケールバーの表示値から前記長さ(L
MD)及び前記幅(L
VD)について算出する。
なお、測定範囲は発泡層表面から厚み方向(VD)に2〜10μmまでとし、範囲内に分散しているゴム粒子の中からMD方向の長径200nm以上のものにつき測定する。
該ゴム粒子の寸法はMD方向に最も長い場所を測定し、その平均値を長さ(L
MD)とする。
同様に厚み方向にドメイン粒子が最も長い場所の寸法を測定し、その平均値を幅(L
VD)とする。
計測するドメイン粒子数が約150個程度になるまで撮影を行い、全てのドメイン粒子を計測する。
そして、求められたMD方向の長さ(L
MD)をVD方向の長さ(L
VD)で除することにより前記比率(L
MD/L
VD)を算出する。
【0073】
(ドメインの形状:容器)
積層発泡シートを熱成形して作製した容器の底面部を、該底面部の平面方向に対して平行な面(
図1「平面C」に相当)が観察できるよう切片を採取する。
その後、切り出した切片をエポキシ樹脂中に包埋後、60℃の温度で24時間かけて前記エポキシ樹脂を硬化させ、ウルトラミクロトーム(例えば、ライカマイクロシステムズ社製、型名「LEICA ULTRACUT UCT」、DiATOME社 Ultra)を用いて超薄切片(例えば、厚み70nm)を作製する。
切片の切削方向は、平面C方向とし、染色剤は四酸化オスミウムを用いる。
次いで、透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製、型名「H−7600」、AMT社製 カメラシステム ER−B)にて写真撮影を行う。
上記条件により撮影して得られた写真を印刷し、ドメイン寸法と写真上のスケールバー長さを株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、スケールバー実測値とスケールバーの表示値から前記長さ(L
p)について算出する。
なお、測定は発泡層表面から厚み方向(VD)に2〜10μmまでとし、範囲内に分散しているゴム粒子(ドメイン)の中から長径200nm以上のものにつき測定する。
該ドメインの寸法は平面方向に最も長い場所を測定し、その平均値を長さ(l
p)とする。
また、この長さの方向に直交する方向におけるドメインの幅(l
t)を求める。
この長さ(l
p)と幅(l
t)とを約150個のドメインに対して実施し、求められた平面方向の平均長さ(L
p)を平均幅(L
t)で除して前記比率(L
p/L
t)を算出する。
【0074】
なお、実施例1、比較例4の発泡シートについて撮影したTEM写真を
図3(実施例1)、
図4(比較例4)に示す。
この図において矢印で示した濃点がポリブタジエンを含むドメインDであり、その周囲の淡色部分がスチレン−メタクリル酸共重合体樹脂やスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体樹脂を含むマトリックスMである。
【0075】
(強度評価:シート)
各実施例、比較例の発泡シートに対してフィルムインパクトテスター(安田精機製作所社製 商品名「No.181フィルムインパクトテスター」)による強度評価を実施した。
評価に際しては、発泡シートからそれぞれ100mm×90mmの評価試料を採取し、温度22℃、相対湿度40%となるように調整された環境下で衝撃球サイズ12.7mmR、振子角度90度での各試料の打抜必要エネルギー(単位:J)を求めた。
具体的には、打抜必要エネルギーを求める試料を試料板と試料押さえとの間にセットし、指針を3.0Jの線上に置き、振り子止めハンドルを倒して振り子を落下させた。
そして、これにより試料が破れて振り子が指針を押して示した目盛りを読み取った。
以上の操作を発泡シートの表裏5回ずつ行い、その平均値を求めた。
各発泡シートの厚み、及び、発泡倍率とともに打抜必要エネルギーを求めた結果を下記表に示す。
【0076】
(強度評価:容器)
各実施例、比較例の発泡シートに対してトレー容器形状の備えられた片側真空タイプのマッチモールド型(容器開口部外寸法:115mm×185mm、底部外寸法:70mm×115mm、容器深さ外寸法:30mm)を型内雰囲気温度165℃、雄型温度165℃、及び、雌型温度50℃に設定し、前記熱成形用樹脂発泡シートを型内で15秒予熱した後にマッチモールド成形して発泡成形品(トレー容器)を作製した。
上記トレー容器底面からそれぞれ100mm×60mmの評価試料を採取し、上記と同様の手法で打抜必要エネルギーを求めた。
測定は表裏5回ずつ行い、その平均値を求めた。
【0077】
(耐熱性評価:容器)
前記の強度評価用に作製したトレー容器と同じ形状のトレー容器を同じ条件で作製した。
このトレー容器に130℃に加熱したサラダオイルをトレー深さの約70%まで注ぎ、30秒後にサラダオイルを除いて表面状態を目視にてチェックした。
そして、表面状態がオイル注入前とほとんど変化なければ耐油性良好「○」とし、泡の発生や破れが発生すればNG「×」とした。
【0078】
(シート脆性評価)
前記打抜必要エネルギーと熱成形用樹脂発泡シートの坪量から総合的に判定し、靭性に優れ実用上問題がないと考えられる場合「○」判定とし、靭性に劣り問題があると考えられる場合を「×」判定とし、どちらとも言い切れない場合を「△」判定とした。
【0079】
(容器脆性評価)
前記打抜必要エネルギーとトレー容器底面の坪量から総合的に判定し、靭性に優れ実用上問題がないと考えられる場合「○」判定とし、靭性に劣り問題があると考えられる場合を「×」判定とし、どちらとも言い切れない場合を「△」判定とした。
【0080】
【表1】
【0081】
この表からも本発明によれば、耐熱性と靱性とに優れたスチレン−メタクリル酸系樹脂シート及び容器が得られることがわかる。