特許第6262119号(P6262119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262119
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】販売データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20180104BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   G07G1/12 361E
   G07G1/01 301E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-218438(P2014-218438)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-85625(P2016-85625A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳井戸 康一
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−049760(JP,A)
【文献】 特開平01−292597(JP,A)
【文献】 特開2012−053783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00− 1/14
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端数値引を行うための端数値引キーと、
前記端数値引キーの選択操作を受付ける操作受付手段と、
一取引の合計金額を算出する合計額算出手段と、
前記操作受付手段が前記端数値引キーの選択操作を受付けると、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額のうち値引対象とする端数を選択するための選択肢を設けた端数選択画面を表示する表示制御手段と、
前記端数選択画面から端数を選択するよう指示する旨のメッセージを表示する指示表示手段と、
前記表示制御手段が前記端数選択画面に表示した前記選択肢から、前記値引対象とする端数を選択する操作を受付ける端数選択手段と、
前記端数選択手段が選択操作を受付けた前記端数に応じて値引額を決定し、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額から前記値引額を差し引いて値引後の合計金額を計算し、計算した値引後の合計金額を出力する金額出力手段と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
端数値引の理由の選択を受付ける理由受付手段と、
前記理由受付手段が受付けた前記端数値引の理由または当該理由に対応するコードを出力する値引理由出力手段と、
を更に備えた請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
客の会員ランクの入力を受付けるランク受付手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記端数選択画面に設ける前記選択肢を、前記ランク受付手段が受付けた前記会員ランクに応じて切り替えて表示する、請求項1または2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記金額出力手段は、前記金額出力手段が決定した前記値引額を小計額と税額とに按分し、端数値引後の小計額と、端数値引後の税額とを更に出力する、請求項1ないしのいずれか1つに記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
端数値引を行うための端数値引キーを備えた販売データ処理装置を制御するコンピュータを、
前記端数値引キーの選択操作を受付ける操作受付手段と、
一取引の合計金額を算出する合計額算出手段と、
前記操作受付手段が前記端数値引キーの選択操作を受付けると、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額のうち値引対象とする端数を選択するための選択肢を設けた端数選択画面を表示する表示制御手段と、
前記端数選択画面から端数を選択するよう指示する旨のメッセージを表示する指示表示手段と、
前記表示制御手段が前記端数選択画面に表示した前記選択肢から、前記値引対象とする端数を選択する操作を受付ける端数選択手段と、
前記端数選択手段が選択操作を受付けた前記端数に応じて値引額を決定し、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額から前記値引額を差し引いて値引後の合計金額を計算し、計算した値引後の合計金額を出力する金額出力手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS(Point Of Sales)端末に端数値引キーを設け、キー操作回数に応じて売上合計金額の下位からの桁数を選択し、端数値引額を決定するものがある。このようなPOS端末を用いれば、端数値引の処理を簡便に行うことができる。しかしながら、キー押下回数により値引き対象とする桁数を切り替える操作には慣れが必要であり、不慣れな店員でも分かり易く端数値引を行うことができるPOS端末が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、端数値引の桁数を直感的に選択することができる販売データ処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の販売データ処理装置は、端数値引を行うための端数値引キーと、前記端数値引キーの選択操作を受付ける操作受付手段と、合計額算出手段と、表示制御手段と、指示表示手段と、端数選択手段と、金額出力手段とを備える。合計額算出手段は、一取引の合計金額を算出する。表示制御手段は、前記操作受付手段が前記端数値引キーの選択操作を受付けると、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額のうち値引対象とする端数を選択するための選択肢を設けた端数選択画面を表示する。指示表示手段は、前記端数選択画面から端数を選択するよう指示する旨のメッセージを表示する。端数選択手段は、前記表示制御手段が前記端数選択画面に表示した前記選択肢から、前記値引対象とする端数を選択する操作を受付ける。金額出力手段は、前記端数選択手段が選択操作を受付けた前記端数に応じて値引額を決定し、前記合計額算出手段が算出した前記合計金額から前記値引額を差し引いて値引後の合計金額を計算し、計算した値引後の合計金額を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本実施形態に係るPOS端末の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係るキーボードのキー配列例を示した図である。
図3図3は、値引理由選択画面の画面構成例を示す図である。
図4図4は、端数選択画面の画面構成例を示す図である。
図5図5は、POS端末が実行する端数値引処理の手順例を示したフローチャートである。
図6図6は、登録画面の表示例を示す図である。
図7図7は、端数値引に関する情報を表示した登録画面の例を示す図である。
図8図8は、端数値引に関する情報を印字したレシートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、本実施形態に係るPOS端末1の機能構成を示すブロック図である。POS端末1は、店舗における取引データを登録する販売データ処理装置である。尚、以下では、複数の図面に示される同様の構成について同一符号を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0007】
POS端末1は、CPU、ROM、RAM等で構成されるコンピュータ構成の制御部11を備えている。また、制御部11にはバス12及びI/O機器制御部14を介して、キーボード15、スキャナ16、店員用表示器17、客用表示器18、プリンタ19、ドロワ20及びHDD60が接続されている。また、店員用表示器17および客用表示器18の表示画面上には、タッチパネル171、181がそれぞれ積層されている。
【0008】
図2は、本実施形態にかかるキーボード15のキー配列例を示した図である。本実施形態のキーボード15は、端数値引を行うための端数値引キー151を備えている。従来、端数値引処理は自動的に行われることもあるが、本実施形態では専用の操作キーを設け、店員による操作を介して端数値引処理を行うこととした。このようにすることで、得意客を店員自らが判断して端数値引処理を行うという営業スタイルをとることができる。つまり、得意客と店員との間で親密性を高めることでサービスの質向上を目指すものである。
【0009】
尚、ここでは端数値引キー151をキーボード15上に設けた例を示したが、端数値引キーの設置箇所はこれに限定されない。端数値引キー151を店員用表示器17に表示し、タッチパネル171からその選択操作を受付けてもよい。
【0010】
図1に戻って、制御部11は通信I/F13及び接続回線を介して店舗サーバ(不図示)との間でデータ通信を行う。HDD60は、制御部11のCPUを動作させる各種制御プログラムを格納している。また、HDD60は、商品マスタ61、売上ファイル62等のデータファイルを格納している。
【0011】
商品マスタ61は、商品コードに対応付けて、商品の名称、部門コード、価格等の商品情報を格納している。POS端末1の制御部11は、店舗サーバから商品マスタのデータを受信し、商品マスタ61を更新する。尚、商品マスタ61の格納場所は特に限定されない。店舗サーバ等の上位サーバが有する形態とし、POS端末1が当該サーバから払込情報を読み込んでもよい。
【0012】
売上ファイル62は、取引データを店舗控え用として格納しておくためのメモリ領域である。尚、取引データは、明細データ、売上データ、ジャーナルデータなどと称することもある。
【0013】
次に、本実施形態に係るプログラムについて説明する。本実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、図1に示すように、表示制御部51、入力受付部52、登録部53、印字制御部54を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が記憶媒体から本実施形態のプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、表示制御部51、入力受付部52、登録部53、印字制御部54が主記憶装置上に生成される。
【0014】
なお、本実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、ROM或いはHDD60等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0015】
さらに、本実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0016】
表示制御部51は、店員用表示器17、客用表示器18における表示動作全般を制御する。例えば、表示制御部51は、店員用表示器17に商品の売上登録を行うための登録画面70(図6図7参照)等を表示する。また、表示制御部51は、店員用表示器17に値引理由選択画面71(図3参照)を表示する。さらに表示制御部51は、店員用表示器17に端数選択画面72(図4参照)を表示する。各画面の構成例ならびに画面遷移例については後述する。
【0017】
入力受付部52は、キーボード15、スキャナ16、タッチパネル171、181等に対する入力操作に応じて各種指示操作や各種情報の入力を受付ける。例えばスキャナ16が商品に付されたコードシンボル(例えば、バーコード)から商品コードを読み取る。すると入力受付部52は、その商品コードに対応する商品情報を商品マスタ61から読み込んで受付ける。
【0018】
また、入力受付部52は、端数値引キー151が操作されると端数値引処理を行う旨の指示を受付ける。加えて入力受付部52は、キーボード15またはタッチパネル181を介して、値引理由選択画面71(図3参照)、端数選択画面72(図4参照)に対する選択操作を受付ける。
【0019】
ここで、値引理由選択画面71、端数選択画面72の構成例とこれら画面における入力受付について説明する。端数値引キー151が操作されて入力受付部52が端数値引処理を行う旨の指示を受付けると、表示制御部51は登録画面70上に値引理由選択画面71をポップアップ表示する。
【0020】
図3は、値引理由選択画面71の画面構成例を示す図である。値引理由選択画面71には値引理由を登録するための選択肢に対応するアイコンが設けられている。図3では、(1)理由なし、(2)店舗都合、(3)お客様都合の3つのアイコンを設けた例を示している。尚、表示制御部51は値引理由選択画面71をポップアップ表示すると、登録画面70のガイダンス表示領域にガイダンスメッセージ81を表示する。ガイダンスメッセージ81には、値引理由選択画面71から値引理由を選択するようオペレータに指示する旨のメッセージが表示される。
【0021】
入力受付部52は、キーボード15において(1)〜(3)に対応するテンキーが操作されると、当該数値に対応する値引理由の選択を受付ける。或いは、タッチパネル181において(1)〜(3)のいずれか1つのアイコンが選択操作されると、入力受付部52は当該アイコンに対応する値引理由の選択を受付ける。
【0022】
値引理由選択画面71においていずれか1つのアイコンが選択されると、表示制御部51は値引理由選択画面71のポップアップ表示を終了する。そして、表示制御部51は、登録画面70上に端数選択画面72をポップアップ表示する。
【0023】
図4は、端数選択画面72の画面構成例を示す図である。図4に示すように、端数選択画面72には、いくら未満を端数とみなし、端数値引の対象とするかを選択するためのアイコンが設けられている。図4では、以下の(1)、(2)のように選択肢を2つ設けた例を示した。
(1)合計金額のうち10円未満の金額を端数とみなし、10円未満の金額を値引するためのアイコン
(2)合計金額のうち100円未満の金額を端数とみなし、100円未満の金額を値引するためのアイコン
【0024】
無論、端数選択画面72に設ける選択肢の数は2つ以上でもよい。例えばもう1つ別の選択肢として、次に示す(3)を加えてもよい。
(3)合計金額のうち1000円未満の金額を端数とみなし、1000円未満の金額を値引きするためのアイコン
【0025】
さらに、これら選択肢(1)〜(3)のうち、端数選択画面72に表示させるアイコンを適宜設定できるよう構成してもよい。この場合にも無論、(1)〜(3)以外の他の選択肢を予め設定しておき、端数選択画面72に表示させる選択肢として選べるようにしてもよい。
【0026】
尚、端数額については通貨に応じて適宜設定すればよい。即ち、通貨が異なれば紙幣や貨幣の額面も異なる。従って、値引後の合計金額が、細かな釣銭が出ずに切り良く払えるような金額となるように端数をカットすればよい。
【0027】
表示制御部51は端数選択画面72をポップアップ表示すると、登録画面70のガイダンス表示領域にガイダンスメッセージ82を表示する。ガイダンスメッセージ82には、端数選択画面72から端数を選択するようオペレータに指示する旨のメッセージが表示される。
【0028】
入力受付部52は、キーボード15において(1)〜(2)に対応するテンキーが操作されると、当該数値に対応する端数額の選択を受付ける。或いは、タッチパネル181において(1)または(2)のうち1つのアイコンが選択操作されると、入力受付部52は当該アイコンに対応する端数額の選択操作を受付ける。
【0029】
登録部53は、入力受付部52が受付けた商品コードや商品情報を用いて、商品の売上登録を行う。即ち登録部53は、取引日時、各商品の売上データ、合計金額、登録作業の担当者を示す情報等を含めてレシートデータ及び取引データを生成する。尚、各商品の売上データとしては、商品コード、売上個数、売上個数分の小計金額等が含まれる。登録部53は、生成した取引データを売上ファイル62に格納する。
【0030】
また、登録部53は、値引理由選択画面71において選択された値引理由を、取引データに含めて記録する。これにより、値引処理時の担当者の識別情報と、値引理由、値引額等のデータを関連付けて記録しておくことができる。尚、値引理由の記録において登録部53は、値引理由を示すテキストデータを記録してもよい。或いは登録部53は、値引理由に対応付けられた値引理由コードを記録してもよい。
【0031】
また、登録部53は、端数選択画面72におけるアイコンの選択操作に応じて、端数値引額を計算し、元の合計額から端数値引額を減じて値引後の合計額を計算する。そして、登録部53は、端数値引額および値引後の合計額を含めてレシートデータおよび取引データを生成する。
【0032】
登録部53は、生成したレシートデータを印字制御部54に出力する。尚、登録部53は生成したレシートデータまたは取引データを他の情報処理装置や表示処理装置に出力し、他の情報処理装置または表示処理装置がそれらデータを表示してもよい。
【0033】
印字制御部54(図1参照)は、値引後の合計額を含むレシートデータをプリンタ19に出力する。プリンタ19はレシートデータを用いてレシート(図8参照)を印字発行する。
【0034】
次に、POS端末1の動作例について説明する。図5は、POS端末1が実行する端数値引処理の手順例を示したフローチャートである。
【0035】
制御部11は、取引客ごとに売上登録処理を行う。即ち、表示制御部51は店員用表示器17に登録画面70(図6参照)を表示する。入力受付部52は、商品に付されたコードシンボルから商品コードを読み取り、その商品コードに対応する商品情報を商品マスタ61から読み込む。そして、登録部53は、入力受付部52が読み込んだ商品情報やキーボード15から受付けた販売個数等を用いて取引データを生成する(ステップS1)。
【0036】
次に、入力受付部52はキーボード15において小計キーが操作されたか否かを判定する(ステップS2)。小計キーが操作されない間(ステップS2:No)はステップS1に戻り売上登録処理を続ける。小計キーが操作されると(ステップS2:Yes)、登録部53はステップS1で登録した全商品の合計金額を計算する。そして表示制御部51は、店員用表示器17の登録画面70(図6参照)および客用表示器18に合計金額を表示する(ステップS3)。
【0037】
次に、入力受付部52はキーボード15において端数値引キー151(図2参照)が操作されたか判定する(ステップS4)。端数値引キー151が操作されない場合(ステップS4:No)は、ステップS10に移行する。端数値引キー151が操作された場合(ステップS4:Yes)、表示制御部51は登録画面70上に値引理由選択画面71(図3参照)をポップアップ表示する(ステップS5)。そして、値引理由選択画面71において値引理由を示したアイコンが1つ選択されると、登録部53は選択された値引理由を取引データに含めて記録する。
【0038】
続いて、表示制御部51は店員用表示器17に端数選択画面72(図4参照)を表示する(ステップS6)。入力受付部52は、端数選択画面72において端数額を示したアイコンの選択を受付ける。そして登録部53は、アイコンの選択に応じて端数値引額と値引後の合計額を計算する(ステップS7)。
【0039】
次に、登録部53は端数値引額を、小計額と外税額(消費税)とに按分し、税額を再計算する(ステップS8)。表示制御部51は、値引に関する情報として、端数値引額と、値引後の合計額を店員用表示器17の登録画面70(図6参照)に表示する(ステップS9)。また、表示制御部51は、客用表示器18に値引後の合計額を表示する。
【0040】
図7は、端数値引に関する情報を表示した登録画面70の例を示す図である。図7に示すように、表示制御部51は値引きの種類名「端数値引」を表記するとともに、その端数値引額83を登録画面70上に表示する。また、表示制御部51は、登録部53が計算した値引後の合計額84を登録画面70に表示する。また、表示制御部51は、値引き分を按分したことにより税額が変わった場合には、外税85の税額表示を更新する。
【0041】
そして、印字制御部54は、プリンタ19にレシートデータの印字データを出力し、レシートを印字発行する(ステップS10)。
【0042】
図8は、端数値引に関する情報を印字したレシート90の例を示す図である。図8に例示するように、レシート90には、値引に関する情報として、端数値引の対象額91や、値引きの種類92(「端数値引」)、端数値引額93、値引後の合計金額94などが印字される。また、レシート90には、値引後の小計額95と、値引後の外税対象額96と、値引後の外税額97とが印字される。即ちステップS8で上述したように、登録部53は値引額を小計額と外税額とに按分する。従って印字制御部54は、按分後の小計額を値引後の小計額95または値引後の外税対象額96として印字出力する。また、印字制御部54は按分後の外税額を、値引後の外税額97として印字出力する。
【0043】
値引額を小計額と外税額に按分する際の計算方法について説明する。尚、按分を計算する方法は特に限定されるものではなく、ここで示す例で本実施形態が限定されるものではない。
【0044】
登録部53は、値引後の外税額(例えば消費税)を次に示す式(1)および式(2)により計算する。
値引後の外税額=値引前の外税額+外税への値引額割当分…(1)
外税への値引額割当分=値引き前の外税額/値引き前の合計額×端数値引額…(2)
従って図8の例では、
外税への値引額割当分=67/1417×17=0.8円
となる。ここで、1円未満は切り捨てとするので、図8の例では外税への値引額割当分は0円となり、値引後の外税額は値引前の外税額と同額の67円となる。
【0045】
また、登録部53は値引後の小計額を次式(3)により計算する。
値引後の小計額=値引前の小計額−端数値引額−外税への値引額割当分…(3)
従って図8の例では、
値引後の小計額=1350−17−0=1333円
となる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、印字制御部54はレシート90以外の記録媒体に端数値引に関する情報を出力してもよい。一例として印字制御部54はジャーナル用紙またはジャーナルデータにおいて、上述した端数値引に関する情報を出力してもよい。この際に、値引理由選択画面71において選択された値引理由または値引理由のコードを出力してもよい。
【0048】
また、図4の例では、端数選択画面72において下位からの桁数を選択するよう構成したが、端数選択画面72の表示構成はこれに限定されない。端数選択画面72に実際の端数金額あるいは値引き後の合計金額を選択肢として表示し、値引額または値引後の合計金額を選択するように構成してもよい。
【0049】
また、上述では、端数値引キー151が操作された際に(ステップS4:Yes)、値引理由選択画面71を表示したが(ステップS5)、処理手順はこれに限定されない。一例として、ステップS5とステップS6の順番を入れ替えて、先に端数選択画面72を表示した後に、値引理由選択画面71を表示してもよい。或いは、ステップS5の手順を省いてもよい。即ち、端数値引キー151が操作されると(ステップS4:Yes)、端数選択画面72を表示する(ステップS6)処理手順としてもよい。また、ステップS5を処理手順に含めるか否かを設定により変更できるようにしてもよい。
【0050】
<会員ランクに応じた端数選択画面72の表示切替>
端数選択画面72の選択アイコンは、客の会員ランクや累積ポイント数、累積購入金額等(一括して会員ランクと称することとする)に応じて切り替えて表示してもよい。即ち、HDD60等の記憶装置に、会員ランクと選択肢として表示するアイコンの種類とを対応付けて格納しておく。例えば、通常ランクに対する設定として、10円未満を端数値引するためのアイコンと、100円未満を端数値引するためのアイコンとを表示する旨を記憶させておく。また、上級ランクに対しては、上記2つのアイコンに加え、1000円未満を端数値引するためのアイコンも表示する旨を設定しておく。或いは、上級ランクに対しては、100円未満を端数値引するためのアイコンと、1000円未満を端数値引するためのアイコンを2つ表示する。即ち、上級ランクの客には、予め値引き幅の大きい選択肢を表示させるよう設定しておく。尚、ここで上級ランクとは、累積ポイントや累積購入金額が多い客に対するランクである。
【0051】
そして、POS端末1はカードリーダを介して会員カードから会員コードを読み取り、会員マスタにその会員の会員ランクを問い合わせる。そして表示制御部51は、受信した会員ランクに応じて端数選択画面72に表示するアイコンを切り替えて表示する。これにより、会員ランクに応じた値引サービスをより正確に行うことができ、どの店員が対応しても統一された値引サービスを提供しやすくできる。
【0052】
以上説明した通り、本実施形態のPOS端末1は、端数選択画面72に表示された選択肢から、値引対象とする端数を択一的に選択する操作を受付ける。これによりオペレータは、端数画面72に設けられた選択肢を視覚的に確認しつつ、一度の選択操作で所望する端数値引額を直接選択することができる。従って、本実施形態のPOS端末1によれば、端数値引の桁数を直感的に選択することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…POS端末、17…店員用表示器、51…表示制御部、52…入力受付部、53…登録部、54…印字制御部、70…登録画面、71…値引理由選択画面、72…端数選択画面、151…端数値引キー。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2000−293756号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8