(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定子における複数のティースにそれぞれ巻き付けられ、一対の端部が前記固定子の軸線方向一方側に引き出されている複数の固定子コイルの前記一対の端部を電気的に接続するバスリングユニットであって、
前記複数の固定子コイルのうちの同相コイルにおける前記一対の端部の一方同士を電気的に接続する単相用バスリングと、
前記複数の固定子コイルにおける前記一対の端部の他方同士を電気的に接続する中性点用バスリングとを備え、
前記中性点用バスリングは、前記固定子と同軸上の基準円上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置され且つ少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置する複数の中性点側円弧領域と、一の中性点側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の中性点側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する中性点側連結領域とを有し、
前記中性点側連結領域は、一の前記中性点側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記中性点側円弧領域の対向する周方向エッジから径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の中性点側延在片を有し、
前記単相用バスリングは、前記固定子と同軸上で且つ前記基準円より小径の円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置される複数の単相側円弧領域と、一の単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の単相側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する単相側連結領域とを有し、
前記単相側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する単相側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し前記軸線方向第1位置よりも前記固定子から離間された軸線方向第2位置に位置するように前記単相側基準部位に対して周方向及び軸線方向に変位された単相側エッジ部位とを有し、
前記単相側連結領域は、一の前記単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記単相側円弧領域の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の単相側延在片を有していることを特徴とするバスリングユニット。
前記単相側円弧領域は、前記単相側基準部位及び前記単相側エッジ部位の間に位置する単相側移行部位であって、前記単相側基準部位から前記単相側エッジ部位へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置する単相側移行部位を有していることを特徴とする請求項1に記載のバスリングユニット。
前記中性点側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する中性点側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが軸線方向第2位置に位置するように前記中性点側基準部位に対して軸線方向に変位された中性点側エッジ部位とを有し、
前記中性点側連結領域は、軸線方向第2位置に位置していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のバスリングユニット。
前記中性点側円弧領域は、前記中性点側基準部位及び前記中性点側エッジ部位の間に位置する中性点側移行部位であって、前記中性点側基準部位から前記中性点側エッジ部位へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置する中性点側移行部位を有していることを特徴とする請求項5に記載のバスリングユニット。
前記一対の中性点側延在片及び前記一対の単相側延在片は共に、基端側から先端側へ亘って前記固定子コイルの端部の挿通を許容し得る幅で離間された平面視U状とされていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のバスリングユニット。
前記一対の中性点側延在片及び前記一対の単相側延在片は共に、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記固定子コイルの端部が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側においては前記固定子コイルの端部の挿通を許容し得る幅で離間された平面視Ω状とされていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のバスリングユニット。
前記一対の中性点側延在片、前記一対の第1単相側延在片、前記一対の第2単相側延在片及び前記一対の第3単相側延在片は、先端部が径方向同一位置に位置するように長さが設定されていることを特徴とする請求項10に記載のバスリングユニット。
【背景技術】
【0002】
図12に、回転電動機200の模式横断面図を示す。
図12に示すように、回転電動機200は、略円筒状の固定子201と、前記固定子201の中央開口内に配置される回転子(
図12においては図示せず)と、前記固定子201における複数のティースに巻き付けられた複数の固定子コイル202と、前記複数の固定子コイル202における端部を電気的に接続するバスリングユニット210とを備えている。
【0003】
前記バスリングユニット210は、同相の固定子コイル202を電気的に接続する単相用バスリング211、212、213と、前記複数の固定子コイル202の電気的中性点を電気的に接続する中性点用バスリング215とを有している。
なお、
図12においては、前記単相用バスリングは、U相用バスリング211、V相用バスリング212及びW相用バスリング213の3種類のバスリングを有している。
【0004】
前記バスリングユニット200には、前記単相用バスリング211、212、213及び前記中性点用バスリング215が相互に干渉することを防止しつつ、前記固定子の軸線方向及び径方向の双方に関し全体としてコンパクト化を図ること、さらには、前記固定子コイル202の端部と前記単相用バスリング211、212、213及び前記中性点用バスリング215との接続作業の容易化を図ることが望まれる。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、固定子の軸線方向一方側に配置された絶縁性樹脂製のホルダーと、前記ホルダーに装着される第1〜第3単相用バスリング及び中性点用バスリングとを備えたバスリングユニットが開示されている。
【0006】
前記ホルダーには、軸線方向一方側(前記固定子とは反対側)に開き、前記第1〜第3単相用バスリングがそれぞれ装着される第1〜第3単相用環状溝と、軸線方向他方側(前記固定子に面する側)に開き、前記中性点用バスリングが装着される中性点用環状溝とが設けられている。
【0007】
前記第1単相用バスリングは、第1直径の第1環状部と前記第1環状部から径方向外方へ延在された第1接続端子部とを有している。
【0008】
前記第2単相用バスリングは、第1直径より小径の第2直径の第2環状部と前記第2環状部から径方向外方へ延在された第2接続端子部とを有している。
【0009】
前記第3単相用バスリングは、第2直径より小径の第3直径の第3環状部と前記第3環状部から径方向外方へ延在された第3接続端子部とを有している。
【0010】
前記第1単相用環状溝は、前記第1環状部が装着されるように第1直径を有している。
前記第2単相用環状溝は、前記第2環状部が装着されるように第2直径を有しつつ、溝深さが前記第1単相用環状溝よりも浅く形成されている。
前記第3単相用環状溝は、前記第3環状部が装着されるように第3直径を有しつつ、溝深さが前記第2単相用環状溝よりも浅く形成されている。
【0011】
そして、前記第1単相用バスリングにおいては、前記第1接続端子部は、前記第1環状部が前記第1環状溝に装着された状態で、先端部が径方向に関し前記ホルダーより外方の所定位置に位置するように、形成されている。
【0012】
前記第2単相用バスリングにおいては、前記第2接続端子部は、前記第2環状部が前記第2環状溝に装着された状態で、周方向に関し前記第1接続端子部とは変位され且つ先端部が径方向に関し前記第1接続端子部の先端部と略同一位置に位置するように、形成されている。
【0013】
前記第3単相用バスリングにおいては、前記第3接続端子部は、前記第3環状部が前記第3環状溝に装着された状態で、周方向に関し前記第1及び第2接続端子部とは変位され且つ先端部が径方向に関し前記第1及び第2接続端子部の先端部と略同一位置に位置するように、形成されている。
【0014】
このように、前記従来のバスリングユニットは、前記第1〜第3単相用バスリングを軸線方向に関し変位させて設置することにより、これらのバスリングが相互に干渉することを防止しつつ、前記接続端子部と前記固定子コイルの端部との接続作業の容易化を図ると共に、前記接続端子部を径方向同一位置に位置させることにより、径方向に関し全体としてのコンパクト化を図っている。
【0015】
しかしながら、前記従来のバスリングユニットにおいては、前述の通り、前記第1〜第3単相用バスリングは軸線方向に関し変位された状態で設置されている。従って、軸線方向に関しては大型化してしまうという問題があった。
【0016】
また、前記従来のバスリングユニットにおいては、前記単相用バスリング及び前記中性点用バスリングは断面円形の丸形導線によって形成されており、これらを安定保持する為には専用の前記ホルダーが必要であった。前記専用のホルダーも前記バスリングユニット全体の大型化を招くと共に、コスト高を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、固定子に装着された複数の固定子コイルの端部を電気的接続するバスリングユニットであって、前記固定子の軸線方向及び径方向の双方に関しコンパクト化を図り得るバスリングユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前記目的を達成するために、固定子における複数のティースにそれぞれ巻き付けられ、一対の端部が前記固定子の軸線方向一方側に引き出されている複数の固定子コイルの前記一対の端部を電気的に接続するバスリングユニットであって、前記複数の固定子コイルのうちの同相コイルにおける前記一対の端部の一方同士を電気的に接続する単相用バスリングと、前記複数の固定子コイルにおける前記一対の端部の他方同士を電気的に接続する中性点用バスリングとを備え、前記中性点用バスリングは、前記固定子と同軸上の基準円上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置され且つ少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置する複数の中性点側円弧領域と、一の中性点側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の中性点側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する中性点側連結領域とを有し、前記中性点側連結領域は、一の前記中性点側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記中性点側円弧領域の対向する周方向エッジから径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の中性点側延在片を有し、前記単相用バスリングは、前記固定子と同軸上で且つ前記基準円より小径の円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置される複数の単相側円弧領域と、一の単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の単相側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する単相側連結領域とを有し、前記単相側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する単相側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し前記軸線方向第1位置よりも前記固定子から離間された軸線方向第2位置に位置するように前記単相側基準部位に対して周方向及び軸線方向に変位された単相側エッジ部位とを有し、前記単相側連結領域は、一の前記単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記単相側円弧領域の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の単相側延在片を有しているバスリングユニットを提供する。
【0020】
好ましくは、前記単相側円弧領域は、前記単相側基準部位及び前記単相側エッジ部位の間に位置する単相側移行部位であって、前記単相側基準部位から前記単相側エッジ部位へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置する単相側移行部位を有し得る。
【0021】
前記単相側円弧領域が前記単相側移行部位を有する場合には、より好ましくは、前記単相用バスリングは、断面形状が一対の長辺及び一対の短辺によって画される矩形状とされた導電性平角線によって形成され得る。
この場合、前記単相側基準部位は前記一対の長辺が軸線方向に沿った状態で形成され、前記単相側移行部位は前記短辺に沿った軸を曲げ支点として前記単相側基準部位から曲げ加工されて形成され、前記単相側エッジ部位は前記短辺に沿った軸を曲げ支点として前記単相側移行部位から曲げ加工されて形成される一方で、前記一対の単相側延在片は前記長辺に沿った軸を曲げ支点として前記一の単相側円弧領域及び前記他の単相側円弧領域の周方向エッジからそれぞれ曲げ加工されて形成され、前記一対の単相側延在片の先端部は前記長辺に沿った軸を曲げ支点として曲げ加工された部位を介して連結される。
【0022】
前記中性点側円弧領域及び前記中性点側連結領域は、前記軸線方向第1位置に位置され得る。
【0023】
これに代えて、前記中性点側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する中性点側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが軸線方向第2位置に位置するように前記中性点側基準部位に対して軸線方向に変位された中性点側エッジ部位とを有し得る。
この場合、前記中性点側連結領域は、軸線方向第2位置に位置される。
【0024】
前記中性点側円弧領域が軸線方向第2位置に位置された前記中性点側エッジ部位を有する場合には、好ましくは、前記中性点側円弧領域は、前記中性点側基準部位及び前記中性点側エッジ部位の間に位置する中性点側移行部位であって、前記中性点側基準部位から前記中性点側エッジ部位へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置する中性点側移行部位を有し得る。
【0025】
前記中性点側円弧領域が前記中性点側移行部位を有する場合には、好ましくは、前記中性点用バスリングは、断面形状が一対の長辺及び一対の短辺によって画される矩形状とされた導電性平角線によって形成され得る。
この場合、前記中性点側基準部位は前記一対の長辺が軸線方向に沿った状態で形成され、前記中性点側側移行部位は前記短辺に沿った軸を曲げ支点として前記中性点側基準部位から曲げ加工されて形成され、前記中性点側エッジ部位は前記短辺に沿った軸を曲げ支点として前記中性点側移行部位から曲げ加工されて形成される一方で、前記一対の中性点側延在片は前記長辺に沿った軸を曲げ支点として前記一の中性点側円弧領域及び前記他の中性点側円弧領域の周方向エッジからそれぞれ曲げ加工されて形成され、前記一対の中性点側延在片の先端部は前記長辺に沿った軸を曲げ支点として曲げ加工された部位を介して連結される。
【0026】
前記種々の形態において、前記一対の中性点側延在片及び前記一対の単相側延在片は共に、基端側から先端側へ亘って前記固定子コイルの端部の挿通を許容し得る幅で離間された平面視U状とされ得る。
【0027】
これに代えて、前記一対の中性点側延在片及び前記一対の単相側延在片は共に、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記固定子コイルの端部が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側においては前記固定子コイルの端部の挿通を許容し得る幅で離間された平面視Ω状とされ得る。
【0028】
一形態においては、前記単相用バスリングは、第1〜第3単相用バスリングを含み得る。
前記第1単相用バスリングは、前記固定子と同軸上で且つ前記基準円より小径の第1円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置される複数の第1単相側円弧領域と、一の第1単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の第1単相側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する第1単相側連結領域とを有し、前記第1単相側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する第1単相側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置するように前記第1単相側基準部位に対して周方向及び軸線方向に変位された第1単相側エッジ部位とを有し、前記第1単相側連結領域は、一の前記第1単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記第1単相側円弧領域の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の第1単相側延在片を有するものとされる。
【0029】
前記第2単相用バスリングは、前記固定子と同軸上で且つ前記第1円形より小径の第2円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置される複数の第2単相側円弧領域と、一の第2単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の第2単相側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する第2単相側連結領域とを有し、前記第2単相側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する第2単相側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域及び前記第1単相側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置するように前記第2単相側基準部位に対して周方向及び軸線方向に変位された第2単相側エッジ部位とを有し、前記第2単相側連結領域は、一の前記第2単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記第2単相側円弧領域の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域及び前記第1単相側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の第2単相側延在片を有するものとされる。
【0030】
前記第3単相用バスリングは、前記固定子と同軸上で且つ前記第2円形より小径の第3円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置される複数の第3単相側円弧領域と、一の第3単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の第3単相側円弧領域の対向する周方向エッジを連結する第3単相側連結領域とを有し、前記第3単相側円弧領域は、前記軸線方向第1位置に位置する第3単相側基準部位と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域、前記第1単相側連結領域及び前記第2単相側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置するように前記第3単相側基準部位に対して周方向及び軸線方向に変位された第3単相側エッジ部位とを有し、前記第3単相側連結領域は、一の前記第3単相側円弧領域の周方向エッジ及び隣接する他の前記第3単相側円弧領域の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域、前記第1単相側円弧領域及び前記第2単相側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の第3単相側延在片を有するものとされる。
【0031】
前記単相用バスリングが前記第1〜第3単相用バスリングを含む場合には、好ましくは、前記一対の中性点側延在片、前記一対の第1単相側延在片、前記一対の第2単相側延在片及び前記一対の第3単相側延在片の先端部が径方向同一位置に位置するように前記各延在片の長さが設定される。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るバスリングユニットにおいては、中性点用バスリングが、基準円上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置され、少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置された複数の中性点側円弧領域と、隣接する中性点側円弧領域の周方向エッジを連結する中性点側連結領域とを有しており、前記中性点側連結領域が、隣接する前記中性点側円弧領域の周方向エッジからそれぞれ径方向外方へ延在し、先端部において連結された一対の中性点側延在片を有している。一方、単相用バスリングは、前記基準円より小径の円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置された複数の単相側円弧領域であって、周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第1位置より固定子から離間された軸線方向第2位置に位置された複数の単相側円弧領域と、隣接する前記単相側円弧領域の周方向エッジからそれぞれ径方向外方へ延在して前記中性点側円弧領域のうち軸線方向第1位置に位置する部分を超えて径方向外方へ延び、先端部において連結された一対の単相側延在片とを有している。
斯かる構成を備えた前記バスリングユニットによれば、固定子コイルの端部を前記一対の中性側延在片及び前記単相側延在片に接続する作業の容易化を図りつつ、軸線方向及び径方向の双方に関しコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施の形態1
以下、本発明に係るバスリングユニットの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図1〜
図3に、それぞれ、本実施の形態に係るバスリングユニット1の斜視図、平面図及び正面図を示す。
【0036】
前記バスリングユニット1は、固定子(図示せず)に装着された複数の固定子コイル(図示せず)における端部と電気的に接続され、外部から供給される電力を前記複数の固定子コイルに伝達する為の部材である。
【0037】
詳しくは、前記固定子は、周方向に沿って間隙を存しつつ配置された複数のティース(図示せず)を有しており、前記複数の固定子コイルは前記複数のティースに巻き付けられた状態で、一対の端部が前記固定子の軸線方向一方側へ引き出される。
【0038】
図1〜
図3に示すように、前記バスリングユニット1は、前記複数の固定子コイルのうちの同相コイルにおける前記一対の端部の一方(以下、単相側端部という)同士を電気的に接続する単相用バスリングユニットと、前記複数の固定子コイルにおける前記一対の端部の他方(以下、中性点側端部90(下記
図5参照)という)同士を電気的に接続する中性点用バスリング50とを備えている。
【0039】
本実施の形態に係る前記バスリングユニット1においては、
図1〜
図3に示すように、前記単相用バスリングは、第1〜第3単相用バスリング10、20、30を有している。
【0040】
前記第1単相用バスリング10は、U相、V相又はW相の何れかの相(例えば、U相)の固定子コイルの単相側端部同士を電気的に接続し、前記第2及び第3単相用バスリング20、30は、U相、V相及びW相のうち前記第1単相用バスリング10によって接続される相以外の残余の相の一方(例えば、V相)及び他方(例えば、W相)の固定子コイルの単相側端部同士を、それぞれ、電気的に接続する。
【0041】
図4に、前記中性点用バスリング50の斜視図を示す。
図1〜
図4に示すように、前記中性点用バスリング50は、複数の中性点側円弧領域51及び複数の中性点側連結領域55を有している。
【0042】
前記複数の中性点側円弧領域51は、前記固定子と同軸上の基準円上に位置するように前記固定子の軸線を基準にして周方向に沿って間隙を存しつつ配置されている。
【0043】
前記中性点側円弧領域51は、前記固定子の軸線方向に沿った位置に関しては、少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置するように構成されている。
本実施の形態においては、
図1〜
図4に示すように、前記中性点側円弧領域51の全体が前記軸線方向第1位置に位置している。
【0044】
前記中性点側連結領域55は、一の前記中性点側円弧領域51の周方向エッジ及び隣接する他の前記中性点側円弧領域51の対向する周方向エッジを連結し、前記複数の固定子コイルにおける前記中性点側端部90(下記
図5参照)が接続される中性点用接続端子として作用する。
【0045】
詳しくは、
図1〜
図4に示すように、前記中性点側連結領域55は、一の前記中性点側円弧領域51の周方向エッジ及び隣接する他の前記中性点側円弧領域51の対向する周方向エッジから径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の中性点側延在片56を有している。
【0046】
前述の通り、本実施の形態においては、前記中性点側円弧領域51は、前記周方向エッジを含む全体が前記軸線方向第1位置に位置されている。
そして、前記周方向エッジから延在される前記一対の中性点側延在片56も前記軸線方向第1位置に位置されている。
【0047】
図5(a)及び(b)に、前記固定子コイルの前記中性点側端部を前記中性点側連結領域55に接続させる工程の模式図を示す。
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、前記一対の中性点側延在片56は、両者の間に前記中性点側端部90の挿入を許容するスペース57を有している。
【0048】
図5に示すように、前記中性点側端部90を前記スペース57に挿入した状態(
図5(a))で、前記一対の中性点側延在片56を一対の電極99によって狭圧することで、前記中性点側端部90を前記中性点側連結領域55にヒュージングによって電気的に接続することができる(
図5(b))。
【0049】
斯かる構成によれば、前記中性点側端部90が前記スペース57内に位置される状態を、前記中性点側端部90に対して前記中性点用バスリング50を前記固定子の軸線方向へ相対移動させることのみならず、前記中性点側端部90に対して前記中性点用バスリング50を前記固定子の中心軸を基準にして径方向へ相対移動させることによっても現出させることができる。
【0050】
本実施の形態においては、
図2等に示すように、前記一対の中性点側延在片56は、基端側から先端側へ亘って前記中性端側端部90の挿通を許容し得る幅の前記スペース57を有するように、前記一対の中性点側延在片56を平面視U状とされている。
【0051】
これに代えて、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記中性点側端部90(
図5参照)が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側に前記スペース57が設けられた平面視Ω状に形成することも可能である。
【0052】
斯かる構成によれば、前記中性点側端部90を前記スペース57に挿入させてヒュージングによって前記中性点側連結領域55に接続させる際に、前記中性点側端部90が前記固定子の軸線を基準にして径方向に位置ズレすることを有効に防止することができる。
【0053】
なお、本実施の形態に係る前記バスリングユニット1は、12個の固定子コイルを電気的に接続する為に、12個の前記中性点側連結領域55を有している。
【0054】
図6〜
図8に、それぞれ、前記第1〜第3単相用バスリング10、20、30の斜視図を示す。
図1〜
図3及び
図6に示すように、前記第1単相用バスリング10は、複数の第1単相側円弧領域11及び複数の第1単相側連結領域15を有している。
【0055】
前記複数の第1単相側円弧領域11は、前記固定子と同軸上で且つ前記基準円より小径の第1円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置されている。
【0056】
前記第1単相側円弧領域11は、周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55とは変位され且つ軸線方向位置に関し前記軸線方向第1位置よりも前記固定子から離間された軸線方向第2位置に位置するように形成されている。
【0057】
詳しくは、
図6等に示すように、前記第1単相側円弧領域11は、軸線方向第1位置に位置する第1単相側基準部位12と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55とは変位され且つ軸線方向に関し前記軸線方向第1位置よりも前記固定子から離間された軸線方向第2位置に位置するように前記第1単相側基準部位12に対して周方向及び軸線方向に変位された第1単相側エッジ部位13とを有している。
【0058】
図6等に示すように、本実施の形態においては、前記第1単相側円弧領域11は、前記第1単相側基準部位12及び前記第1単相側エッジ部位13の間に第1単相側移行部位14を有している。
【0059】
前記第1単相側移行部位14は、前記第1単相側基準部位12から前記第1単相側エッジ部位13へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置するように傾斜されている。
【0060】
本実施の形態においては、
図6に示すように、前記第1単相側基準部位12は周方向所定距離に亘って存在しているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1単相側基準部位12が、周方向に関し一点においてのみ存在するように構成することも可能である。
【0061】
前記第1単相側連結領域15は、一の前記第1単相側円弧領域11の周方向エッジ及び隣接する他の第1単相側円弧領域11の周方向エッジを連結し、前記複数の固定子コイルのうちの一の相(例えば、U相)の固定子コイルの単相側端部が接続される第1相用接続端子として作用する。
【0062】
詳しくは、
図1〜
図3及び
図6に示すように、前記第1単相側連結領域15は、一の前記第1単相側円弧領域11の周方向エッジ及び隣接する他の前記第1単相側円弧領域11の対向する周方向エッジからそれぞれ径方向外方へ延びる一対の第1単相側延在片16を有している。
【0063】
前述の通り、前記第1単相側円弧領域11の周方向エッジは、周方向に関し前記中性点側連結領域55とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置されている。
【0064】
そして、対向する前記周方向エッジから径方向外方へ延びる前記一対の第1単相側延在片16は、軸線方向第2位置に位置された状態で前記中性点側円弧領域51のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結されている。
【0065】
図6等に示すように、前記一対の第1単相側延在片16は、両者の間に、対応する相の固定子コイルの単相側端部が挿入され得るスペース17を有している。
【0066】
斯かる構成により、前記中性点側連結領域55におけると同様に、対応する前記単相側端部を前記スペース17に挿入した状態で、前記一対の第1単相側延在片16を一対の電極によって狭圧することで、前記単相側端部を前記第1単相側連結領域15にヒュージングによって電気的に接続することができる。
【0067】
本実施の形態においては、
図2等に示すように、前記一対の第1単相側延在片16は、基端側から先端側へ亘って前記単相側端部の挿通を許容し得る幅の前記スペース17を有するように、前記一対の第1単相側延在片16を平面視U状とされている。
【0068】
斯かる構成によれば、前記単相側端部が前記スペース17内に位置される状態を、前記単相側端部に対して前記第1単相用バスリング10を前記固定子の軸線方向へ相対移動させることのみならず、前記単相側端部に対して前記第1単相用バスリング10を前記固定子の中心軸を基準にして径方向へ相対移動させることによっても現出させることができる。
【0069】
これに代えて、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記単相側端部が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側に前記スペース17が設けられた平面視Ω状に形成することも可能である。
【0070】
斯かる構成によれば、前記単相側端部を前記スペース17に挿入させてヒュージングによって前記第1単相側連結領域15に接続させる際に、前記単相側端部が前記固定子の軸線を基準にして径方向に位置ズレすることを有効に防止することができる。
【0071】
図1〜
図3及び
図7に示すように、前記第2単相用バスリング20は、複数の第2単相側円弧領域21及び複数の第2単相側連結領域25を有している。
【0072】
前記複数の第2単相側円弧領域21は、前記固定子と同軸上で且つ前記第1円形より小径の第2円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置されている。
【0073】
前記第2単相側円弧領域21は、周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55及び前記第1単相側円弧領域15とは変位され且つ軸線方向位置に関し前記軸線方向第2位置に位置するように形成されている。
【0074】
詳しくは、
図7等に示すように、前記第2単相側円弧領域21は、軸線方向第1位置に位置する第2単相側基準部位22と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55及び前記第1単相側連結領域15から変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置するように前記第2単相側基準部位22に対して周方向及び軸線方向に変位された第2単相側エッジ部位23とを有している。
【0075】
図7等に示すように、本実施の形態においては、前記第2単相側円弧領域21は、前記第2単相側基準部位22及び前記第2単相側エッジ部位23の間に第2単相側移行部位24を有している。
【0076】
前記第2単相側移行部位24は、前記第2単相側基準部位22から前記第2単相側エッジ部位23へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置するように傾斜されている。
【0077】
本実施の形態においては、
図7に示すように、前記第2単相側基準部位22は周方向所定距離に亘って存在しているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、前記第2単相側基準部位22が、周方向に関し一点においてのみ存在するように構成することも可能である。
【0078】
前記第2単相側連結領域25は、一の前記第2単相側円弧領域21の周方向エッジ及び隣接する他の第2単相側円弧領域21の周方向エッジを連結し、前記複数の固定子コイルのうちの他の相(例えば、V相)の固定子コイルの単相側端部が接続される第2相用接続端子として作用する。
【0079】
詳しくは、
図1〜
図3及び
図7に示すように、前記第2単相側連結領域25は、一の前記第2単相側円弧領域21の周方向エッジ及び隣接する他の前記第2単相側円弧領域25の対向する周方向エッジからそれぞれ径方向外方へ延びる一対の第2単相側延在片26を有している。
【0080】
前述の通り、前記第2単相側円弧領域21の周方向エッジは、周方向に関し前記中性点側連結領域55及び前記第1単相側連結領域15とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置されている。
【0081】
そして、対向する前記周方向エッジから径方向外方へ延びる前記一対の第2単相側延在片26は、軸線方向第2位置に位置された状態で前記中性点側円弧領域51及び前記第1単相側円弧領域11のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結されている。
【0082】
図7等に示すように、前記一対の第2単相側延在片26は、両者の間に、対応する相の固定子コイルの単相側端部が挿入され得るスペース27を有している。
【0083】
斯かる構成により、前記中性点側連結領域55及び前記第1単相側連結領域15におけると同様に、対応する前記単相側端部を前記スペース27に挿入した状態で、前記一対の第2単相側延在片26を一対の電極によって狭圧することで、前記単相側端部を前記第2単相側連結領域25にヒュージングによって電気的に接続することができる。
【0084】
本実施の形態においては、
図2等に示すように、前記一対の第2単相側延在片26は、基端側から先端側へ亘って前記単相側端部の挿通を許容し得る幅の前記スペース27を有するように、前記一対の第2単相側延在片26を平面視U状とされている。
【0085】
斯かる構成によれば、前記単相側端部が前記スペース27内に位置される状態を、前記単相側端部に対して前記第2単相用バスリング20を前記固定子の軸線方向へ相対移動させることのみならず、前記単相側端部に対して前記第2単相用バスリング20を前記固定子の中心軸を基準にして径方向へ相対移動させることによっても現出させることができる。
【0086】
これに代えて、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記単相側端部が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側に前記スペース27が設けられた平面視Ω状に形成することも可能である。
【0087】
斯かる構成によれば、前記単相側端部を前記スペース27に挿入させてヒュージングによって前記第2単相側連結領域25に接続させる際に、前記単相側端部が前記固定子の軸線を基準にして径方向に位置ズレすることを有効に防止することができる。
【0088】
図1〜
図3及び
図8に示すように、前記第3単相用バスリング30は、複数の第3単相側円弧領域31及び複数の第3単相側連結領域35を有している。
【0089】
前記複数の第3単相側円弧領域31は、前記固定子と同軸上で且つ前記第2円形より小径の第3円形上に位置するように周方向に沿って間隙を存しつつ配置されている。
【0090】
前記第3単相側円弧領域31は、周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55、前記第1単相側円弧領域15及び前記第2単相側連結領域25とは変位され且つ軸線方向位置に関し前記軸線方向第2位置に位置するように形成されている。
【0091】
詳しくは、
図8等に示すように、前記第3単相側円弧領域31は、軸線方向第1位置に位置する第3単相側基準部位32と、前記周方向エッジを含み、前記周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55、前記第1単相側連結領域15及び前記第2単相側連結領域25から変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置するように前記第3単相側基準部位32に対して周方向及び軸線方向に変位された第3単相側エッジ部位33とを有している。
【0092】
図8等に示すように、本実施の形態においては、前記第3単相側円弧領域31は、前記第3単相側基準部位32及び前記第3単相側エッジ部位33の間に第3単相側移行部位34を有している。
【0093】
前記第3単相側移行部位34は、前記第3単相側基準部位32から前記第3単相側エッジ部位33へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置するように傾斜されている。
【0094】
本実施の形態においては、
図8に示すように、前記第3単相側基準部位32は周方向所定距離に亘って存在しているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、前記第3単相側基準部位32が、周方向に関し一点においてのみ存在するように構成することも可能である。
【0095】
前記第3単相側連結領域35は、一の前記第3単相側円弧領域31の周方向エッジ及び隣接する他の第3単相側円弧領域31の周方向エッジを連結し、前記複数の固定子コイルのうちのさらに他の相(例えば、W相)の固定子コイルの単相側端部が接続される第3相用接続端子として作用する。
【0096】
詳しくは、
図1〜
図3及び
図8に示すように、前記第3単相側連結領域35は、一の前記第3単相側円弧領域31の周方向エッジ及び隣接する他の前記第3単相側円弧領域35の対向する周方向エッジからそれぞれ径方向外方へ延びる一対の第3単相側延在片36を有している。
【0097】
前述の通り、前記第3単相側円弧領域31の周方向エッジは、周方向に関し前記中性点側連結領域55、前記第1単相側連結領域15及び前記第2単相側連結領域25とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置されている。
【0098】
そして、対向する前記周方向エッジから径方向外方へ延びる前記一対の第3単相側延在片36は、軸線方向第2位置に位置された状態で前記中性点側円弧領域51、前記第1単相側円弧領域11及び前記第2単相側円弧領域21のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結されている。
【0099】
図8等に示すように、前記一対の第3単相側延在片36は、両者の間に、対応する相の固定子コイルの単相側端部が挿入され得るスペース37を有している。
【0100】
斯かる構成により、前記中性点側連結領域55、前記第1単相側連結領域15及び前記第2単相側連結領域25におけると同様に、対応する前記単相側端部を前記スペースに挿入した状態で、前記一対の第3単相側延在片36を一対の電極によって狭圧することで、前記単相側端部を前記第3単相側連結領域35にヒュージングによって電気的に接続することができる。
【0101】
本実施の形態においては、
図2等に示すように、前記一対の第3単相側延在片36は、基端側から先端側へ亘って前記単相側端部の挿通を許容し得る幅の前記スペース37を有するように、前記一対の第3単相側延在片36を平面視U状とされている。
【0102】
斯かる構成によれば、前記単相側端部が前記スペース37内に位置される状態を、前記単相側端部に対して前記第3単相用バスリング30を前記固定子の軸線方向へ相対移動させることのみならず、前記単相側端部に対して前記第3単相用バスリング30を前記固定子の中心軸を基準にして径方向へ相対移動させることによっても現出させることができる。
【0103】
これに代えて、基端側から先端側へ向かう所定距離においては前記単相側端部が挿通できない程度に互いに対して近接される一方で、先端側に前記スペース37が設けられた平面視Ω状に形成することも可能である。
【0104】
斯かる構成によれば、前記単相側端部を前記スペース37に挿入させてヒュージングによって前記第3単相側連結領域35に接続させる際に、前記単相側端部が前記固定子の軸線を基準にして径方向に位置ズレすることを有効に防止することができる。
【0105】
このように、本実施の形態に係る前記バスリングユニット1においては、前記中性点側円弧領域51は、少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置された状態で基準円上に配置されており、隣接する中性点側円弧領域51の対向する周方向エッジを連結する中性点側連結領域55が、一の前記中性点側円弧領域51の周方向エッジ及び隣接する他の前記中性点側円弧領域51の対向する周方向エッジから径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の中性点側延在片56を有している。
【0106】
一方、前記単相側円弧領域11、21、31は、少なくとも一部が軸線方向第1位置に位置された状態で前記基準円より小径の円形上に配置されつつ、周方向エッジが周方向に関し前記中性点側連結領域55とは変位され且つ軸線方向に関し軸線方向第1位置より前記固定子から離間された軸線方向第2位置に位置するように形成されている。
【0107】
そして、隣接する単相側円弧領域11、21、31の対向する周方向エッジを連結する単相側連結領域15、25、35が、一の前記単相側円弧領域11、21、31の周方向エッジ及び隣接する他の前記単相側円弧領域11、21、31の対向する周方向エッジから軸線方向第2位置に位置された状態でそれぞれ径方向外方へ延びて前記中性点側円弧領域51のうち軸線方向第1位置に位置する部分を越えて径方向外方へ延在し、先端部において互いに対して連結された一対の単相側延在片16、26、36を有している。
【0108】
斯かる構成によれば、前記単相用バスリング10、20、30及び前記中性点用バスリング50が相互に干渉することを防止しつつ、前記単相用バスリング10、20、30及び前記中性点用バスリング50を含むバスリングユニット1の全体のコンパクト化、特に、軸線方向に関するコンパクト化を図ることができる。
【0109】
さらに、前記固定子コイルの端部との接続端子として作用する一対の中性点側延在片56及び前記一対の単相側延在片16、26、36が周方向に関し互いに対して変位された状態で先端部が径方向に関し前記基準円より外方へ延在されている。
従って、前記固定子コイルの前記単相用バスリング10、20、30及び前記中性点用バスリング50への接続作業の容易化を図ることができる。
【0110】
図9に、
図2におけるIX−IX線に沿った断面図を示す。
本実施の形態においては、
図9にも示さ、且つ、前述した通り、前記単相側エッジ部位13、23、33は前記単相側移行部位14、24、34を介して軸線方向第2位置に位置されている。
【0111】
斯かる構成によれば、断面形状が一対の長辺81及び一対の短辺82によって画される矩形状とされた導電性平角線80を用い、前記導電性平角線80に対してフォーミング加工を行うことによって、剪断加工やプレス加工を行うこと無く、前記一対の単相側延在片16、26、36が軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置し且つ前記長辺81が軸線方向に沿った状態で前記一対の単相側延在片16、26、36が互いに対して対向している前記単相用バスリング10、20、30を形成することができる。
【0112】
詳しくは、
図9に示すように、前記単相側基準部位12、22、32は前記一対の長辺81が軸線方向に沿った状態で形成され、前記単相側移行部位14、24、34は前記短辺82に沿った軸を曲げ支点として対応する前記単相側基準部位12、22、32から曲げ加工されて形成され、前記単相側エッジ部位13、23、33は前記短辺82に沿った軸を曲げ支点として対応する前記単相側移行部位14、24、34から曲げ加工されて形成される。
【0113】
そして、前記単相側延在片16、26、36は前記長辺81に沿った軸を曲げ支点として対応する前記単相側円弧領域11、21、31の周方向エッジから曲げ加工されて形成され、前記一対の単相側延在片16、26、36の先端部は前記長辺81に沿った軸を曲げ支点として曲げ加工された部位によって互いに対して連結される。
【0114】
前記一対の単相側延在片16、26、36を前記長辺81が軸線方向に沿った状態で互いに対して対向配置させることにより、前記一対の単相側延在片16、26、36の間に前記固定子コイルの端部を挿入させた状態で両者を一対の電極によって押圧させて前記固定子コイルの端部を前記一対の単相側延在片16、26、36に電気的に接続させるヒュージングを容易に行うことができる。
【0115】
なお、本実施の形態においては、
図9に示すように、前記中性点用バスリング50も、断面形状が一対の長辺81及び一対の短辺82によって画される矩形状とされた導電性平角線80を用い、設置状態において前記長辺81が軸線方向に沿うようにフォーミング加工によって形成されている。
【0116】
好ましくは、
図2に示すように、前記一対の中性点側延在片56、前記一対の第1単相側延在片16、前記一対の第2単相側延在片26及び前記一対の第3単相側延在片36の先端部を径方向同一位置に位置させることができる。
【0117】
詳しくは、前記一対の中性点側延在片56は、先端部が前記軸線を基準にして所定半径上に位置するように形成され、前記一対の第1単相側延在片16は、先端部が前記所定半径上に位置するように前記中性点側延在片56より長く形成され、前記一対の第2単相側延在片26は、先端部が前記所定半径上に位置するように前記第1単相側延在片16よりも長く形成され、前記一対の第3単相側延在片36は、先端部が前記所定半径上に位置するように前記第2単相側延在片26よりも長く形成される。
【0118】
斯かる構成によれば、前記固定子コイルの端部の前記一対の中性点側延在片56、前記一対の第1単相側延在片16、前記一対の第2単相側延在片26及び前記一対の第3単相側延在片36への接続作業の効率化を図ることができる。
【0119】
なお、前記第1〜第3単相用バスリング10、20、30及び前記中性点用バスリング50を専用の絶縁性ホルダー(図示せず)に装着させることによって互いに対する相対位置を固定させることもできるし、若しくは、絶縁テープによって互いの相対位置を固定することも可能である。
【0120】
後者の場合には、前記バスリング10、20、30、50のうち少なくとも互いに対して接触される部分は絶縁性被膜によってコーティングされる。
【0121】
実施の形態2
以下、本発明に係るバスリングユニットの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0122】
図10に、本実施の形態に係るバスリングユニット2の斜視図を示す。
又、
図11に、前記バスリングユニット2における中性点用バスリング150の斜視図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材及び同一部分には同一符号を付して、その詳細な説明を適宜省略する。
【0123】
前記実施の形態1に係るバスリングユニット1においては、前記中性点側連結領域55は軸線方向第1位置に位置されており、軸線方向第2位置に位置された前記第1〜第3単相側連結領域15、25、35に対して周方向に変位されると共に、軸線方向にも変位されている。
【0124】
これに対し、本実施の形態に係るバスリングユニット2においては、中性点側連結領域155は、軸線方向第2位置に位置されている。
【0125】
詳しくは、本実施の形態に係る前記バスリングユニット2は、前記実施の形態1に係るバスリングユニット1に比して、前記中性点用バスリング50に代えて中性点用バスリング150を有している。
【0126】
図10及び
図11に示すように、前記中性点用バスリング150は、複数の中性点側円弧領域151及び複数の中性点側連結領域55を有している。
【0127】
前記複数の中性点側円弧領域151は、径方向に関しては前記中性点側円弧領域51と同様に、基準円上に位置されている。
【0128】
一方、軸線方向位置に関しては、前記中性点側円弧領域151は、前記中性点側円弧領域51と異なる構成を有している。
【0129】
詳しくは、
図11に示すように、前記中性点側円弧領域151は、軸線方向第1位置に位置する中性点側基準部位152と、前記中性点側延在片56の基点となる周方向エッジを含み、前記周方向エッジが軸線方向第2位置に位置するように前記中性点側基準部位152に対して軸線方向に変位された中性点側エッジ部位153とを有している。
【0130】
なお、周方向に関しては、前記中性点側円弧領域151の周方向エッジは、前記中性点側円弧領域51の周方向エッジと同様に、前記第1〜第3単相側連結領域15、25、36に対して変位されている。
【0131】
このように、前記周方向エッジを含む前記中性点側エッジ部位153を軸線方向第2位置に位置させることにより、前記周方向エッジから径方向外方へ延びる前記一対の中性点側延在片56も軸線方向第2位置に位置することになり、これにより、前記端子コイルの単相側端部が接続される前記第1〜第3単相側連結領域15、25、35及び前記端子コイルの中性点側端部が接続される前記中性点側連結領域155の全てが軸線方向同一位置(軸線方向第2位置)に位置することになる。
【0132】
斯かる構成によれば、前記実施の形態1における効果に加えて、前記端子コイルにおける前記単相側端部及び前記中性点側端部を対応する前記連結領域15、25、35、155に接続する作業のさらなる容易化を図ることができる。
【0133】
図11に示すように、本実施の形態においては、前記中性点側円弧領域151は、前記中性点側基準部位152及び前記中性点側エッジ部位153の間に中性点側移行部位154を有している。
【0134】
前記中性点側側移行部位154は、前記中性点側基準部位152から前記中性点側エッジ部位153へ向かうに従って軸線方向第1位置から軸線方向第2位置に位置するように傾斜されている。
【0135】
前記中性点側移行部位154を備えることにより、断面形状が一対の長辺及び一対の短辺によって画される矩形状とされた導電性平角線を用い、前記導電性平角線に対してフォーミング加工を行うことによって、剪断加工やプレス加工を行うこと無く、前記一対の中性点側延在片156が軸線方向に関し軸線方向第2位置に位置し且つ前記長辺が軸線方向に沿った状態で前記一対の中性点側延在片156が互いに対して対向している前記中性点用バスリング150を形成することができる。