特許第6262173号(P6262173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジキカイの特許一覧

<>
  • 特許6262173-製箱装置 図000002
  • 特許6262173-製箱装置 図000003
  • 特許6262173-製箱装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262173
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】製箱装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/06 20170101AFI20180104BHJP
   B31B 50/12 20170101ALI20180104BHJP
   B31B 50/44 20170101ALI20180104BHJP
   B31B 50/62 20170101ALI20180104BHJP
【FI】
   B31B50/06
   B31B50/12
   B31B50/44
   B31B50/62
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-131535(P2015-131535)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-13335(P2017-13335A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年2月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日:平成27年6月9日〜平成27年6月12日 展示会名:FOOMA JAPAN 2015 国際食品工業展 開催場所:東京都江東区有明3−10−1 東京ビッグサイト 東展示棟 2ホール
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】華井 健臣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 幸雄
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3486732(JP,B2)
【文献】 特開2006−297636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B50/00−70/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシート(10)を箱状体(23)に成形する製箱装置であって、
前記ブランクシート(10)を取り出し可能な積層状態で貯留するシートマガジン(11)と、
第1吸着手段(28)を移動可能に支持する第1移送手段(24)と、
所定間隔離間する第2吸着手段(38)および第3吸着手段(39)を一体的に移動可能に支持する第2移送手段(33)と、
前記箱状体(23)に合わせた収容部(20)を有する成形型(18)とを備え、
前記第1移送手段(24)は、前記第1吸着手段(28)を、前記シートマガジン(11)のブランクシート(10)を吸着保持するシート取出位置(H)と、吸着保持してシートマガジン(11)から取り出したブランクシート(10)を受渡す受渡位置(M)とに移動するよう構成されると共に、受渡位置(M)の変更に応じて第1吸着手段(28)の移動経路および向きを変更可能に構成され、
前記第2移送手段(33)は、前記第2吸着手段(38)を、前記受渡位置(M)の第1吸着手段(28)で吸着保持されているブランクシート(10)を吸着保持する受取位置(F)と、吸着保持したブランクシート(10)を前記成形型(18)の収容部(20)に押し込んで箱状体(23)に成形する成形位置(G)とに移動するよう構成され、
前記第3吸着手段(39)は、前記第2吸着手段(38)の受取位置(F)において前記成形型(18)の収容部(20)に位置して箱状体(23)を吸着保持すると共に、第2吸着手段(38)の受取位置(F)から成形位置(G)への移動に伴って箱状体(23)を収容部(20)外に取り出すよう構成され、
前記第1移送手段(24)は、前記受取位置(F)で第2吸着手段(38)がブランクシート(10)を吸着保持した後に前記第1吸着手段(28)の吸着を解除するよう構成された
ことを特徴とする製箱装置。
【請求項2】
前記第1移送手段(24)は、複数のアーム(26,27)を相互に回転自在に接続した作動部(32a)を備え、該作動部(32a)に前記第1吸着手段(28)が回転自在に支持されて、各アーム(26,27)および第1吸着手段(28)を夫々駆動手段(29,30,31)によって独立して回転駆動することで、第1吸着手段(28)の移動経路および向きを変更し得るよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の製箱装置。
【請求項3】
前記第2移送手段(33)は、前記受渡位置(M)で第1吸着手段(28)が吸着保持しているブランクシート(10)を、第1吸着手段(28)の吸着側とは反対側から前記第2吸着手段(38)で吸着保持し、該第2吸着手段(38)で吸着保持したブランクシート(10)を前記成形型(18)の収容部(20)に押し込むよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の製箱装置。
【請求項4】
前記シートマガジン(11)から第1移送手段(24)で取り出されるブランクシート(10)の複数箇所に糊を付ける糊付手段(15,15)を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の製箱装置。
【請求項5】
前記成形型(18)は、支持台(17)に対して着脱自在に配設されるよう構成したことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の製箱装置。
【請求項6】
前記第1移送手段(24)は、前記第1吸着手段(28)の移動経路および向きを、ブランクシート(10)の品種に応じて変更可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の製箱装置。
【請求項7】
前記第2移送手段(33)は、前記第2吸着手段(38)によるブランクシート(10)の前記収容部(20)に対する挿脱方向および該挿脱方向と交差する方向に第2吸着手段(38)および第3吸着手段(39)を移動するよう構成され、
前記第2移送手段(33)は、前記第2吸着手段(38)および第3吸着手段(39)の挿脱方向への移動距離を変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の製箱装置。
【請求項8】
前記収容部(20)内の箱状体(23)を吸着保持する第4吸着手段(50)を備え、前記第2移送手段(33)は、前記第4吸着手段(50)が箱状体(23)を吸着保持した状態で第2吸着手段(38)を収容部(20)から離脱するよう構成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の製箱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブランクシートを箱状体に成形する製箱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートマガジンから取り出したブランクシートを成形する製箱装置として、特許文献1には、シートマガジンから取出装置によって取り出されて一対のガイドレール上に水平に載置されたブランクシートを、水平方向に進退するプッシャーによって成形位置まで移送し、両ガイドレール間を昇降動するマンドレルによって成形位置のブランクシートを押し下げて箱状に成形する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3486732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドレールに載置されたブランクシートを成形位置に移送する際に、ブランクシートが擦れて表面に傷が付く問題がある。また、ブランクシートの移送時における左右のガイドレールとの間の摩擦力に違いが生じて、ブランクシートが水平面上において斜めに傾いてしまい、成形位置に対するブランクシートの位置がずれてマンドレルでの成形精度が低下する難点が指摘される。
【0005】
本発明は、前述した従来技術に係る製箱装置に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ブランクシートを良好に成形することができる製箱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る製箱装置は、
ブランクシートを箱状体に成形する製箱装置であって、
前記ブランクシートを取り出し可能な積層状態で貯留するシートマガジンと、
第1吸着手段を移動可能に支持する第1移送手段と、
所定間隔離間する第2吸着手段および第3吸着手段を一体的に移動可能に支持する第2移送手段と、
前記箱状体に合わせた収容部を有する成形型とを備え、
前記第1移送手段は、前記第1吸着手段を、前記シートマガジンのブランクシートを吸着保持するシート取出位置と、吸着保持してシートマガジンから取り出したブランクシートを受渡す受渡位置とに移動するよう構成されると共に、受渡位置の変更に応じて第1吸着手段の移動経路および向きを変更可能に構成され、
前記第2移送手段は、前記第2吸着手段を、前記受渡位置の第1吸着手段で吸着保持されているブランクシートを吸着保持する受取位置と、吸着保持したブランクシートを前記成形型の収容部に押し込んで箱状体に成形する成形位置とに移動するよう構成され、
前記第3吸着手段は、前記第2吸着手段の受取位置において前記成形型の収容部に位置して箱状体を吸着保持すると共に、第2吸着手段の受取位置から成形位置への移動に伴って箱状体を収容部外に取り出すよう構成され、
前記第1移送手段は、前記受取位置で第2吸着手段がブランクシートを吸着保持した後に前記第1吸着手段の吸着を解除するよう構成されたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、第1吸着手段で吸着保持したブランクシートを、ブランクシートを成形型と協同して箱状体に成形する第2吸着手段に直接受渡すよう構成したので、ブランクシートがガイドレール等に擦れて傷付くことはない。また、第2吸着手段にブランクシートが受渡されるまで第1吸着手段による吸着保持を維持しているので、ブランクシートが受渡し時に位置ずれするのを防止でき、ブランクシートを精度よく折曲げて箱状体を成形できる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記第1移送手段は、複数のアームを相互に回転自在に接続した作動部を備え、該作動部に前記第1吸着手段が回転自在に支持されて、各アームおよび第1吸着手段を夫々駆動手段によって独立して回転駆動することで、第1吸着手段の移動経路および向きを変更し得るよう構成されたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、ブランクシートを任意の経路および姿勢で移送することができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記第2移送手段は、前記受渡位置で第1吸着手段が吸着保持しているブランクシートを、第1吸着手段の吸着側とは反対側から前記第2吸着手段で吸着保持し、該第2吸着手段で吸着保持したブランクシートを前記成形型の収容部に押し込むよう構成したことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、ブランクシートにおける第1吸着手段の吸着側とは反対側を第2吸着手段で吸着保持するよう構成したので、第1吸着手段と干渉することなく第2吸着手段によるブランクシートの吸着位置を任意に設定することができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記シートマガジンから第1移送手段で取り出されるブランクシートの複数箇所に糊を付ける糊付手段を備えたことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、シートマガジンから取り出されるブランクシートに糊を付けるよう構成したので、シートマガジンから取り出されたブランクシートを別の場所にコンベヤで移送する際に糊付けする構成に比べて装置の小型化を図り得る。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記成形型は、支持台に対して着脱自在に配設されるよう構成したことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、支持台に対して成形型を着脱自在に配設したので、ブランクシートの品種切替えに際して対応する成形型に簡単に交換することができる。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記第1移送手段は、前記第1吸着手段の移動経路および向きを、ブランクシートの品種に応じて変更可能に構成されたことを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、切替えられた品種のブランクシートの適正な位置を吸着保持することができる。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記第2移送手段は、前記第2吸着手段によるブランクシートの前記収容部に対する挿脱方向および該挿脱方向と交差する方向に第2吸着手段および第3吸着手段を移動するよう構成され、
前記第2移送手段は、前記第2吸着手段および第3吸着手段の挿脱方向への移動距離を変更可能な構成としたことを特徴とする。
請求項7に係る発明によれば、箱状体に成形された際に成形型からパネルやフラップが延出するブランクシートの品種切替えによってパネルやフラップの延出長が異なる場合であっても、品種切替えに容易に対応し得る。
【0013】
請求項8に係る発明では、前記収容部内の箱状体を吸着保持する第4吸着手段を備え、前記第2移送手段は、前記第4吸着手段が箱状体を吸着保持した状態で第2吸着手段を収容部から離脱するよう構成したことを特徴とする。
請求項8に係る発明によれば、第2吸着手段が収容部内から離脱する際に発生する摩擦力や負圧などによって箱状体が収容部から引き出されてしまうのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製箱装置によれば、ブランクシートを適正に折曲げ成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係る製箱装置の概略側面図である。
図2】実施例に係る製箱装置の概略平面図である。
図3】実施例に係る製箱装置による製箱工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る製箱装置につき、実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0017】
図1,図2は、実施例に係る製箱装置の概略構成を示すものであって、該製箱装置は、箱状体23を展開した形状をなす複数のブランクシート10を起立した積層状態で貯留すると共に移送するシートマガジン11と、ブランクシート10を箱状に成形する成形型18と、シートマガジン11に貯留されているブランクシート群の前端側(移送方向下流側)からブランクシート10を1枚づつ取り出して受渡位置Mまで移送する第1移送手段24と、受渡位置Mの第1移送手段24から受取ったブランクシート10を成形型18に押し込んで箱状体23に成形すると共に、該箱状体23を搬送コンベヤ51に移載する第2移送手段33とを備えている。
【0018】
前記シートマガジン11に貯留されるブランクシート10は、図3に示す如く、底面パネル10aにおけるブランクシート10の長手方向の両側に折罫K,Kを介して第1側面パネル10bと第2側面パネル10cとが連設されると共に、第1側面パネル10bおよび第2側面パネル10cの幅方向の左右両側には折罫K,Kを介して糊代フラップ10d,10dが夫々連設されている。また、底面パネル10aの幅方向の左右両側に折罫K,Kを介してフラップ10e,10eが連設されると共に、前記第2側面パネル10cにおける底面パネル10aとは反対側に折罫Kを介して天面パネル10fが連設される。更に、天面パネル10fにおける第2側面パネル10cとは反対側に折罫Kを介してボディフラップ10gが連設されると共に、天面パネル10fの幅方向の左右両側に折罫K,Kを介してフラップ10h,10hが連設されている。そして実施例では、ブランクシート10は、製箱された際に内側となる内面がシートマガジン11での移送方向の後側(上流側)を向くと共に外側となる外面が前側(下流側)を向き、第1側面パネル10bが上側となる起立した姿勢でシートマガジン11に整列積層状態で貯留される。
【0019】
前記シートマガジン11には、前記ブランクシート10を起立した姿勢で送るシート送り手段12が、取出口52aが画成されているマガジンフレーム52の後側に配設されており、シート送り手段12によりブランクシート群を取出口52aに向けて送って、先頭のブランクシート10を取出口52aに臨ませるよう構成されている。シートマガジン11の取出口52aには、先頭のブランクシート10における天面パネル10fに当接する位置に支持ローラ13がブランクシート10の幅方向に延在するように配置されている。また、シートマガジン11の取出口52aには、支持ローラ13より上方位置で第1側面パネル10bの上端部を係止する支持具14が設けられ、先頭のブランクシート10は支持ローラ13および支持具14で支持されて起立状態に保持される(図3参照)。そして、先頭のブランクシート10は、前記第1移送手段24の後述する第1吸着手段28で底面パネル10aの前側を向く外面が吸着保持された状態で、第1移送手段24によってシートマガジン11から前斜め上方に取り出されるよう構成される。
【0020】
前記シートマガジン11には、前記取出口52aの上方において左右方向(ブランクシート10の幅方向)に離間して一対の糊付手段15,15が配設されている。両糊付手段15,15は、第1移送手段24で取出口52aから取り出されるブランクシート10における底面パネル10aに連設されるフラップ10e,10eの後方に対応して位置しており、該糊付手段15,15の前方を指向するノズル15a,15aによりホットメルト等の糊を、ブランクシート10の取り出し中にフラップ10e,10eに塗布するよう構成される(図3参照)。なお、実施例では、フラップ10e,10eに、第1側面パネル10bと第2側面パネル10cに連設される各糊代フラップ10d,10dを貼着し得るように、フラップ10e,10eの長手方向に離間する2個所に糊を塗布するよう糊付手段15,15が作動制御される。
【0021】
前記左右一対の糊付手段15,15は、ブランクシート10のサイズや形状が異なる品種への切替えに対応し得るように、シートマガジン11にボール螺子機構等の調節手段を介して相互に近接・離間移動調節自在に配設されている。また、調節手段は、目盛が付いたハンドルを備え、該ハンドルを回転することで、左右一対の糊付手段15,15が相互に近接・離間移動するよう構成されており、切替える品種に対応する目盛位置にハンドルの目印を合わせる簡単な回転操作で糊付手段15,15を切換える品種に対応する位置に調節することができる。また、実施例の糊付手段15,15は、上下方向および前後方向の位置についても、左右方向の調節手段と同様の調節手段によって切換える品種に対応する位置に調節し得るよう構成されている。なお、品種が切替えられた場合に、後述するように第1移送手段24がブランクシート10を取出口52aの上方に移送する際の動作に糊付手段15,15による糊の塗布タイミングを合わせることで、糊付手段15,15を上下方向および前後方向に位置調節することなく切替えられた品種のフラップ10e,10eの適正位置に糊を塗布し得るので、上下方向および前後方向の調節手段については省略することができる。
【0022】
前記シートマガジン11から前方に離間する位置には、支持台17が装置基台16に配設され、該支持台17に成形型18が着脱自在に配設されている。成形型18は、図2に示す如く、支持台17に対してネジ等の固定手段によって着脱交換可能に取り付けられるベース体19と、該ベース体19に配設されて上下方向に開口する収容部20を画成する複数(実施例では4つ)のガイド体21a,21b,21c,21dとを備えている。収容部20は、前記ブランクシート10における底面パネル10aのサイズおよび形状に対応する開口形状(実施例では四角形状)に形成されて、該底面パネル10aが挿入可能に構成され、収容部20に底面パネル10aが挿入される際には、ブランクシート10の第1および第2側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eが対応するガイド体21a,21b,21c,21dに上方から当接するよう構成されている。ブランクシート10の長手方向に離間して収容部20を画成する前後のガイド体21a,21bと、ブランクシート10の幅方向に離間して収容部20を画成する左右のガイド体21c,21dとは、ベース体19の上面からの突出寸法が異なるよう設定されて、後述する第1吸着手段28に底面パネル10aが吸着保持されたブランクシート10が収容部20に押し込まれる際に、各ガイド体21a,21b,21c,21dに当接した第1および第2側面パネル10b,10cとフラップ10e,10eが夫々折罫Kで所定の順序で折曲げられて上方に開口する箱状体23に成形されるようになっている。実施例では、前後のガイド体21a,21bの突出寸法が左右のガイド体21c,21dの突出寸法より長く設定されて、第1および第2側面パネル10b,10cの折曲げが開始された後に、フラップ10e,10eの折曲げが開始されるよう構成される。また、ベース体19の上面には、第1および第2側面パネル10b,10cに連設されている各糊代フラップ10d,10d,10d,10dに対応する位置に糊代用の折曲げガイド部材22が夫々設けられ、第1吸着手段28により収容部20に押し込まれるブランクシート10は、フラップ10e,10eの折曲げに先立ち、4つの糊代用の折曲げガイド部材22により対応する4枚の糊代フラップ10dが内側に夫々折罫Kで折曲げられるよう構成される。なお、図示する実施例のブランクシート10は、収容部20に押し込まれることで、天面パネル10fとボディフラップ10gとが第2側面パネル10cから上方に延在する上面開口状の箱状体23に成形される(図3参照)。
【0023】
前記第1移送手段24は、図2,図3に示す如く、装置基台16に設置した本体25に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される第1アーム26と、該第1アーム26に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される第2アーム27と、該第2アーム27に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される第1吸着手段28とを備える。第1吸着手段28は、吸引孔が形成された複数(実施例では2つ)の吸着具28aを備え、該吸着具28aによってブランクシート10を吸着し得るよう構成される。第1アーム26、第2アーム27および第1吸着手段28は、駆動手段としてのサーボモータ29,30,31によって夫々が独立して回転駆動されるよう構成される。そして、第1移送手段24は、各サーボモータ29,30,31を駆動制御することによって第1吸着手段28を、前記シートマガジン11のブランクシート10を吸着保持するシート取出位置Hと、吸着保持してシートマガジン11から取り出したブランクシート10を前記第2移送手段33へ受渡す受渡位置Mとに移動するよう構成される。実施例では、相互に回転自在に接続された複数のアーム26,27から作動部32aが構成されると共に、各アーム26,27と第1吸着手段28を夫々独立して回転駆動するサーボモータ29,30,31および作動部32aによって、第1吸着手段28を鉛直面上に規定される二次元座標系において移動させる第1作動機構32が構成される。そして、第1作動機構32は、各サーボモータ29,30,31の回転量、回転方向および回転速度等を変えることで、第1吸着手段28の位置や向きを二次元座標系において自由に変更し得ると共に移動速度も自由に変更し得るようになっている。
【0024】
前記第1吸着手段28は、図示しないブロワや真空発生器等の負圧発生手段に接続されて、該負圧発生手段を適宜のタイミングでON−OFF制御することにより、第1吸着手段28によるブランクシート10の吸着と吸着解除とを行うよう設定してある。また、前記第1移送手段24は、図3に示す如く、前記シートマガジン11からのブランクシート10の取り出し時には、前記第1吸着手段28における吸着具28aをシートマガジン11の取出口52aに位置する先頭のブランクシート10の底面パネル10aを向く姿勢とされ、該シートマガジン11から取り出したブランクシート10を受渡位置Mに移送したときには、吸着具28aが上方を向く姿勢となるように前記第1作動機構32により第1吸着手段28が移動される。また、第1吸着手段28は、シートマガジン11からブランクシート10を取り出す際には、シート取出位置Hから前方に離間移動して先頭のブランクシート10の上端部を支持具14から外して該先頭のブランクシート10の上部側を後続のブランクシート10から分離した後に上方移動するよう構成される。
【0025】
ここで、前記第1吸着手段28に接続する負圧発生手段は、第1吸着手段28が吸着保持してシートマガジン11から取り出したブランクシート10を前記受渡位置Mで第2移送手段33の後述する第2吸着手段38が吸着した後のタイミングでOFF作動されるよう設定される。すなわち、第1吸着手段28は、前記シート取出位置Hで吸着したブランクシート10を第2吸着手段38に受渡すまでは該ブランクシート10の吸着を維持して、ブランクシート10が位置ずれするのを防止し得るよう構成されている。また、第1吸着手段28が受渡位置Mから前記シート取出位置Hに移動するまでの適宜のタイミングで、負圧発生手段がON作動されてシート取出しに際しブランクシート10を確実に吸着保持し得るようになっている。
【0026】
前記第2移送手段33は、図2,図3に示す如く、前記装置基台16に設置した本体34に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される第3アーム35と、該第3アーム35に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される第4アーム36と、該第4アーム36に対して左右方向に延在する水平な軸回りに回転自在に支持される支持部材37と、該支持部材37に配設された第2吸着手段38および第3吸着手段39とを備える。第3アーム35に対する第4アーム36の回転軸にL字状の第1レバー40が回転可能に支持されると共に、第4アーム36に対する支持部材37の回転軸に第2レバー41が回転軸および支持部材37と一体的に回転するよう配設されている。また、第1レバー40における回転中心から径方向に延出する一方の延出部40aに一端部が回転自在に枢支された第1ロッド42の他端部が本体34の支持部34aに回転自在に枢支されると共に、第1レバー40における回転中心から径方向に延出する他方の延出部40bに一端部が回転自在に枢支された第2ロッド43の他端部が第2レバー41における回転中心から径方向に延出する延出部41aに回転自在に枢支されてリンク機構44が構成されている。また、第3アーム35および第4アーム36は、駆動手段としてのサーボモータ45,46によって夫々が独立して回転駆動されるよう構成される。そして、第3アーム35および第4アーム36が夫々傾動する際に、前記リンク機構44の作用下に支持部材37に配設されている第2吸着手段38および第3吸着手段39は常に一定の姿勢に保持されるよう構成される。具体的に、リンク機構44は、第3アーム35、第1ロッド42、支持部34aおよび第1レバー40の一方の延出部40aからなる第1の平行リンク機構と、第4アーム36、第2ロッド43、第2レバー41および第1レバー40の他方の延出部40bからなる第2の平行リンク機構とから構成されて、各アーム35,36を対応するサーボモータ45,46で回転駆動することで、支持部材37、第2吸着手段38および第3吸着手段39を常に一定の姿勢で平行移動し得るよう構成される。実施例では、第3アーム35、第4アーム36、支持部材37、リンク機構44およびサーボモータ45,46によって、第2吸着手段38および第3吸着手段39を鉛直面上に規定される二次元座標系において移動させる第2作動機構47が構成される。そして、第2作動機構47は、各サーボモータ45,46の回転量、回転方向および回転速度等を変えることで、第2吸着手段38および第3吸着手段39の位置を二次元座標系において自由に変更し得ると共に移動速度も自由に変更し得るようになっている。
【0027】
前記第2吸着手段38は、ブランクシート10を前記成形型18の収容部20に押し込む折込み部材48と、該折込み部材48の内部に位置してブランクシート10を吸着保持する吸着具38aとを備える。折込み部材48は、実施例では下方に開口する箱型に形成され、前記吸着具38aは吸引孔を下向きとした姿勢で折込み部材48の内部に配設されている。また、折込み部材48は、前記成形型18の収容部20に対して挿脱可能で、その外形形状は、ブランクシート10の底面パネル10aに対応する形状に設定されており、該底面パネル10aに連設する各側面パネル10b,10cおよび各フラップ10e,10eとの折罫位置(折曲げ基部)に折込み部材48の各辺が合致するようになっている。
【0028】
前記第3吸着手段39は、吸着補助部材49と、該吸着補助部材49の内部に位置して箱状体23を吸着保持する吸着具39aとを備える。吸着補助部材49は、前記成形型18の収容部20に対して挿脱可能な寸法および形状に形成されている。実施例では、吸着補助部材49は下方が開口する円筒形に形成され、前記吸着具39aは吸引孔を下向きとした姿勢で吸着補助部材49の内部に配設されている。なお、前記支持部材37に対して第2吸着手段38および第3吸着手段39は、ネジ等の固定手段によって夫々着脱自在に取り付けられており、ブランクシート10の品種切替えによって底面パネル10aのサイズや形状等が変わった場合は、該切替えた品種に対応する形状およびサイズの折込み部材48および吸着補助部材49に簡単に交換することができるようになっている。
【0029】
前記第2移送手段33は、前記サーボモータ45,46を駆動制御することで、前記支持部材37を、第1位置N1と第2位置N2との間を移動するよう構成されて、該支持部材37に配設されている第2吸着手段38および第3吸着手段39を一体的に移動するよう構成される。支持部材37の第1位置N1では、前記第2吸着手段38が受渡位置Mの第1吸着手段28で吸着保持されているブランクシート10を吸着保持する受取位置Fに位置すると共に、前記第3吸着手段39が成形型18における収容部20内の成形・取出位置(成形位置)Gに位置し、支持部材37の第2位置N2では、第2吸着手段38が収容部20内の成形・取出位置Gに位置すると共に第3吸着手段39が成形型18より前側に配設された搬送コンベヤ51の上方に位置するよう設定されている。また、第2吸着手段38は、受取位置Fではブランクシート10の底面パネル10aにおける前記第1吸着手段28での吸着側とは反対側を、第1吸着手段28の吸着位置と対向する位置で吸着し得るよう構成されている。なお、第2移送手段33の第2吸着手段38および第3吸着手段39は、前記第1移送手段24の第1吸着手段28が移動する同じ鉛直面に沿って移動するよう構成されて、第1吸着手段28、第2吸着手段38および第3吸着手段39がブランクシート10の幅方向にずれて移動しないようになっている。
【0030】
前記第2移送手段33は、支持部材37を第2位置と第1位置との間を移動する際には、第2吸着手段38および第3吸着手段39が、前記成形型18の収容部20に対する第2吸着手段38の挿脱方向(実施例では鉛直方向)に移動すると共に、第2吸着手段38および第3吸着手段39が収容部20から離脱した後に挿脱方向と交差する方向(実施例では水平方向)に移動するよう構成される。実施例では、ブランクシート10を収容部20に押し込むことで成形された箱状体23の第2側面パネル10cから上方に延在する天面パネル10fおよびボディフラップ10gが成形型18から上方に突出するよう構成されており、第2吸着手段38が成形・取出位置Gから受取位置Fへ移動する際(支持部材37が第2位置N2から第1位置N1に移動する際)の第2吸着手段38および第3吸着手段39の鉛直方向(天面パネル10fおよびボディフラップ10gの延在方向)の移動距離は、第2吸着手段38がボディフラップ10gの上を越える長さに設定されて、天面パネル10fおよびボディフラップ10gに第2吸着手段38が接触干渉しないよう構成されている。なお、第2吸着手段38が受取位置Fから成形・取出位置Gへ移動する際(支持部材37が第1位置N1から第2位置N2に移動する際)の第2吸着手段38および第3吸着手段39の鉛直方向の移動距離は、第2吸着手段38がボディフラップ10gを越える長さに設定する必要はなく、第2吸着手段38に吸着保持されているブランクシート10が成形型18の各ガイド体21a,21b,21c,21dの上を越える長さに設定して第2吸着手段38を最短経路で移動させればよい。実施例では、前記第1吸着手段28により受渡位置Mで吸着保持されているブランクシート10を第2吸着手段38が吸着保持する高さレベルと、収容部20内に位置する箱状体23における底面パネル10aを成形・取出位置Gに位置する第3吸着手段39で吸着保持する高さレベルは同一に設定されている。なお、図3において実線で示す第2吸着手段38および第3吸着手段39は、第2吸着手段38が受取位置Fから成形・取出位置Gへ移動する途中の状態を示すものであって、実際には第2吸着手段38がブランクシート10を吸着保持すると共に第3吸着手段39が箱状体23を吸着保持しているが、便宜上、第2吸着手段38および第3吸着手段39からブランクシート10および箱状体23を離間して示している。
【0031】
前記第2吸着手段38および第3吸着手段39は、図示しないブロワや真空発生器等の負圧発生手段に電磁弁を介して接続されて、対応する電磁弁を適宜のタイミングで開閉制御することにより、第2吸着手段38および第3吸着手段39によるブランクシート10または箱状体23の吸着と吸着解除とを行うよう設定してある。第2吸着手段38に対応する電磁弁は、第1移送手段24の第1吸着手段28により受渡位置Mで内面が上向きの姿勢で保持されているブランクシート10の上面(内面)に第2吸着手段38が当接する前(受取位置Fに到来する前)のタイミングで電磁弁が開放作動されて該ブランクシート10を吸着保持する。また、受取位置Fで受取ったブランクシート10を前記成形型18の収容部20に押し込んで箱状体23に成形した第2吸着手段38が上昇する前のタイミングで、電磁弁が閉成作動されて吸着解除するよう設定される。第3吸着手段39に対応する電磁弁は、第3吸着手段39が成形型18の収容部20内に挿入されるまでの適宜のタイミングで開放作動されて箱状体23を吸着保持する。また、成形型18から取り出した箱状体23を搬送コンベヤ51上まで第3吸着手段39で移送したタイミングで電磁弁が閉成作動されて吸着解除するよう設定される。
【0032】
ここで、実施例の製箱装置では、前記ブランクシート10の品種切替えによってブランクシート10のサイズや形状が変わった場合に、各品種に応じて前記第1移送手段24における第1吸着手段28の移動経路や吸着具28aの向き(角度)および第2移送手段33の第2吸着手段38および第3吸着手段39の移動経路を設定変更可能に構成されている。具体的には、第1移送手段24における各サーボモータ29,30,31の回転量、回転方向および回転速度等の各種制御データ、第2移送手段33における各サーボモータ45,46の回転量、回転方向および回転速度等の各制御データが、各品種に対応して図示しない制御手段の記憶部に記憶可能で、この制御データを基にサーボモータ29,30,31,45,46を駆動制御するよう構成されている。すなわち、品種切替えに際しては、品種変更操作等により品種に対応する制御データに設定変更することで、切替えられた品種のブランクシート10に対応する移動経路や向きとなるように第1吸着手段28、第2吸着手段38、第3吸着手段39を移動させることができる。また、品種切替えに伴い前記受渡位置Mが変更されたり、機械構成に変更によって受渡位置Mが変更された場合においても、品種切替えの場合と同様に、第1吸着手段28の移動経路や吸着具28aの向きを、変更された受渡位置Mに応じて変更し得るよう構成されている。
【0033】
前記成形型18が配設される支持台17に、前記収容部20の下端側において吸引孔を上向きとした姿勢で第4吸着手段50の吸着具50aが設けられている。この第4吸着手段50は、図示しないブロワや真空発生器等の負圧発生手段に接続されて、該負圧発生手段を適宜のタイミングでON−OFF制御することにより、第4吸着手段50による箱状体23の吸着と吸着解除とを行うよう設定してある。実施例では、第2吸着手段38によりブランクシート10が収容部20に押し込まれる適宜のタイミングで負圧発生手段がON作動されて箱状体23の外面(底面パネル10aの下面)を吸着具50aで吸着保持すると共に、第2吸着手段38が収容部20から離脱するまでは吸着保持を維持して、第2吸着手段38の移動に伴って箱状体23が収容部20から引き出されるのを防止するよう構成される。そして、第3吸着手段39が箱状体23を吸着保持するまでの適宜のタイミングで負圧発生手段がOFF作動されて吸着解除するよう設定される。
【0034】
次に、このように構成した実施例に係る製箱装置の作用につき説明する。
【0035】
前記製箱装置を稼働させると、図3に示す如く、前記第1移送手段24は、前記シートマガジン11に貯留されているブランクシート群の先頭のブランクシート10における底面パネル10aの外面をシート取出位置Hで吸着保持した第1吸着手段28を、シート取出位置Hから前方に離間移動して先頭のブランクシート10の上端部を支持具14から外して後続のブランクシート10から分離した後に上方に移動する。これにより、第1吸着手段28に吸着保持されている先頭のブランクシート10がシートマガジン11から取り出される。シートマガジン11にはブランクシート10を鉛直に起立させた姿勢で貯留しているので、先頭のブランクシート10に後続するブランクシート群から加わる圧力は小さく、第1吸着手段28で吸着保持した先頭のブランクシート10を取り出す際の抵抗は小さいのでスムーズに取り出し得る。すなわち、ブランクシート10に対する第1吸着手段28の吸着位置がシート取り出し時にずれるのを防止することができ、受渡位置Mに移送したブランクシート10を受取位置Fで第2吸着手段38が吸着する際に吸着位置がずれるのを防ぐことができる。
【0036】
前記第1吸着手段28で吸着保持されて上方に移動されるブランクシート10の底面パネル10aに連設されるフラップ10e,10eが、前記糊付手段15,15の配設位置の前方を通過するタイミングで、各糊付手段15が作動されてノズル15aから糊が対応するフラップ10e,10eの上下2個所に塗布される。
【0037】
前記第1移送手段24は、第1吸着手段28をシートマガジン11から離間しつつ吸着具28aの向きを徐々に上向きとなる姿勢に変化させ、前記受渡位置Mにおいてブランクシート10の内面が上向きとなる姿勢で該ブランクシート10を第1吸着手段28で吸着したまま保持する。第1移送手段24によりブランクシート10が受渡位置Mに移送されるのに同期して、第2移送手段33は、前記サーボモータ45,46を駆動制御して第2作動機構47により前記支持部材37を第2位置N2から第1位置N1に移動する。これにより、前記第2吸着手段38は、受渡位置Mにおいて第1吸着手段28で下側から水平に支持されているブランクシート10の底面パネル10aに上方から接近して受取位置Fに至り、該第2吸着手段38でブランクシート10の内面を吸着する。第2吸着手段38は、前記折込み部材48の下端の各辺が、ブランクシート10の底面パネル10aとこれに連設する各側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eとの折罫位置に合致する内面に当接した状態で該底面パネル10aの中央部を吸着具38aで吸着保持する。そして、第2吸着手段38がブランクシート10を吸着保持した後のタイミングで第1吸着手段28に接続する負圧発生手段がOFF作動し、該第1吸着手段28によるブランクシート10の吸着を解除する。すなわち、ブランクシート10が第2吸着手段38で吸着保持されるまでは第1吸着手段28によるブランクシート10の吸着が維持されるので、該ブランクシート10の受渡し時にブランクシート10の位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0038】
前記第2移送手段33は、前記サーボモータ45,46を駆動制御することで、ブランクシート10の底面パネル10aを吸着具38aで吸着保持すると共に折込み部材48で支持する第2吸着手段38を、第2作動機構47により姿勢を維持したまま前記成形型18における収容部20の上方まで移動させた後、該第2吸着手段38を下降する。第2吸着手段38の下降により、前記ブランクシート10の糊代フラップ10d,10d,10d,10dが、前記糊代用の折曲げガイド部材22,22,22,22に対応的に当接して内側に夫々折曲げられる。また、第1および第2側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eの順で、該側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eが対応する前後および左右のガイド体21a,21b,21c,21dに当接して内側に夫々折曲げられる。このとき、ブランクシート10の底面パネル10aの各折罫位置に第2吸着手段38の前記折込み部材48の各辺が位置しているから、該ブランクシート10が位置ずれすることなく、各側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eや各糊代フラップ10dの正確な折曲げが達成される。
【0039】
前記第2吸着手段38が成形・取出位置Gまで下降したときには、前記ブランクシート10の底面パネル10aに連設されて糊付けされているフラップ10e,10eが、既に折曲げられている糊代フラップ10d,10dの外側に重ね合わされて貼着され、前記天面パネル10fとボディフラップ10gとが第2側面パネル10cから上方に延在する上面開口状の箱状体23に成形される(図3参照)。また、糊代フラップ10d,10d,10d,10dは内側から折込み部材48で支持されているので、該糊代フラップ10d,10d,10d,10dにフラップ10e,10eが確実に貼着される。また、成形された箱状体23の底面パネル10a外面は、前記第4吸着手段50の吸着具50aにより吸着保持される。
【0040】
前記第2移送手段33が第2吸着手段38で受取ったブランクシート10を受取位置Fから成形型18の上方まで移送すると共に該成形型18で箱状に成形する動作を行っている間に、前記第1移送手段24は、前記第1吸着手段28を受渡位置Mとシート取出位置Hとの間を移動して次のブランクシート10を受渡位置Mに移送する動作を行う。
【0041】
次に、前記第4吸着手段50による箱状体23の吸着保持を維持したまま、前記第2吸着手段38に対応する電磁弁が開放作動し、該第2吸着手段38による箱状体23の吸着を解除し、第2移送手段33は第2吸着手段38を成形型18の収容部20から上方に離脱させる動作を行う。すなわち、箱状体23は第4吸着手段50によって収容部20内で吸着保持されているので、第2吸着手段38が収容部20から離脱する際に第2吸着手段38における吸着具38aの残圧や折込み部材48と箱状体23との摩擦等によって箱状体23が収容部20から引き出されてしまうのを防止し得る。
【0042】
前記第2吸着手段38は、箱状体23の第2側面パネル10cから上方に延在する天面パネル10fおよびボディフラップ10gを越える位置まで上昇した後に、受取位置Fの上方位置まで水平移動し、既に受渡位置Mに第1吸着手段28で移送されているブランクシート10に向けて下降する。また、第2吸着手段38と一体的に移動する第3吸着手段39は、第2吸着手段38の受取位置Fへの移動に伴って成形型18の収容部20内に位置する箱状体23の内部に挿入されて、該第3吸着手段39の吸着具39aにより箱状体23の底面パネル10a内面を吸着保持する。そして、第2吸着手段38の受取位置Fから成形・取出位置Gへの移動に伴って第3吸着手段39で吸着保持した箱状体23は、収容部20から取り出されて前記搬送コンベヤ51の上方まで移送され、該第3吸着手段39に対応する電磁弁が開放作動して吸着が解除されることで箱状体23が搬送コンベヤ51に移載される。
【0043】
実施例の製箱装置では、シートマガジン11から取り出したブランクシート10を第2移送手段33の第2吸着手段38に受渡すまでの間、ブランクシート10を第1吸着手段28で吸着保持しているので、ブランクシート10の位置ずれが生ずるのを防止し得る。すなわち、第2吸着手段38によりブランクシート10の適正な位置を吸着保持することができ、前記成形型18の収容部20にブランクシート10を押し込む際に、各ガイド体21a,21b,21c,21dや折曲げガイド部材22,22,22,22と対応する各パネル10b,10cおよびフラップ10d,10eとの位置関係が適正に保たれ、ブランクシート10の成形不良が生ずるのを好適に防止し得る。また、シートマガジン11から第1吸着手段28で取り出したブランクシート10を第2吸着手段38に直接受渡すので、ブランクシート10がガイドレール等に擦れて傷が付くのを防ぐことができる。
【0044】
また、コンベヤで搬送しながら糊をフラップに付けたりフラップを折ったりする従来方式の装置では装置全体が大型を招くものであったが、実施例の製箱装置は、コンベヤを省いて第1吸着手段28での移送中にフラップ10e,10eに糊を塗布すると共に、第1吸着手段28からブランクシート10を直接受取った第2吸着手段38で該ブランクシート10を箱状体23に成形するよう構成したので、装置全体を簡素な構造にすると共に小型化を図ることができる。また、前記第2移送手段33によるブランクシート10の成形動作中に、前記第1移送手段24でのブランクシート10の取出し動作を並行して行い得るので、高速処理に対応し得る。
【0045】
品種切替えによりブランクシート10のサイズや形状等が変わる場合は、前記第1移送手段24および第2移送手段33において、各サーボモータ29,30,31,45,46の制御データの設定変更を行うことで、第1吸着手段28、第2吸着手段38、第3吸着手段39を、切替えられた品種のブランクシート10に適した移動経路や向きで移動させることができ、該ブランクシート10の移送および成形を良好に行い得る。すなわち、箱状に成形された際に成形型18から上方に延在する天面パネル10fおよびボディフラップ10gの長さが変わった場合は、第2移送手段33におけるサーボモータ45,46の回転量および回転方向を変更するだけで、第2吸着手段38を天面パネル10fおよびボディフラップ10f,10gに接触干渉させることなく移動することができる。また、第1移送手段24は、第1吸着手段28の移動経路および向きを任意に変更可能であるので、受渡位置Mが変更された場合において、変更された受渡位置Mに適切な経路および向きでブランクシート10を移送することができる。
【0046】
また、前記成形型18は、ガイド体21a,21b,21c,21d等の位置調節等を行うことなく、成形する箱状体23に合った形状の収容部20を備えたものと交換することで品種切替えに対応し得るので、品種切替えに要する時間を短縮することができる。また、第2移送手段33における第2吸着手段38および第3吸着手段39についても、支持部材37に対して着脱自在に配設されているので、ブランクシート10の品種切替えに際して対応するサイズや形状の折込み部材48や吸着補助部材49に簡単に交換することができる。更に、前記糊付手段15,15は、調節手段のハンドル操作によって簡単に品種切替えに対応することができ、品種切替えに要する時間をより短縮し得る。
【0047】
(変更例)
本発明は、以上に例示した実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 第2吸着手段38については、吸着具38aを連続的に囲う折込み部材48を例示したが、ブランクシート10の底面パネル10aに連設された側面パネル10b,10cおよびフラップ10e,10eとの折罫位置を支持し得るものであれば、複数の部材を離間して配置した構成の折込み部材を採用し得る。
(2) 第2吸着手段38および第3吸着手段39は、折込み部材48や吸着補助部材49の内部に吸着具38a,39aを配置して構成したが、折込み部材48や吸着補助部材49の内部に負圧を形成し得るよう構成して、該折込み部材48や吸着補助部材49を吸着部材として機能させる構成を採用し得る。
(3) 第2吸着手段38の向き(角度)を、別途サーボモータなどの駆動手段によって調節し得るようにしてもよい。
(4) 第2吸着手段38および第3吸着手段39の姿勢を一定に保つ手段としてリンク機構44を採用したが、支持部材37を独立したサーボモータ等の駆動手段によって第4アーム36に対して回転することで第2吸着手段38および第3吸着手段39の姿勢を一定に保つ構成を採用し得る。
(5) 第1移送手段24から第2移送手段33へのブランクシート10の受渡しに際し、第1吸着手段28と第2吸着手段38とでブランクシート10の同じ側の面を吸着保持する構成としてもよい。このようにブランクシート10の同一面を両吸着手段28,38で吸着保持する構成では、ブランクシート10における底面パネル10aや天面パネル10f等の同じシート部分を吸着保持することが好ましい。なお、シートマガジン11に対してブランクシート10の表裏を実施例とは逆にして貯留すると共に、糊付手段15の配設位置やノズル15aの向きを変更し、第1吸着手段28によるブランクシート10の吸着面が受渡位置Mで上側を向く姿勢となるように第1吸着手段28を移動させれば、ブランクシート10の同一面を2つの吸着手段28,38で吸着保持する構成とすることができる。
【0048】
(6) 第1〜第3吸着手段28,38,39を、水平面あるいは鉛直面や水平面に対して傾斜する傾斜面に沿って移動させる構成を採用し得る。すなわち、第1移送手段24は、第1吸着手段28を移動させる移動経路を任意に変更することができ、ブランクシート10の品種切替えや受渡位置Mの変更等に応じて第1吸着手段28を水平面、鉛直面、傾斜面等の任意の面に沿って移動させることで、ブランクシート10を適切な移動経路や向きで移送することができる。
(7) 第1吸着手段28と、第2吸着手段38および第3吸着手段39とを、異なる面に沿って移動してブランクシート10の取り出し、ブランクシート10の受渡しおよび成形を行う構成を採用し得る。
(8) 第2吸着手段38の向きを前記(3)の変更例の構成によって変更可能とした場合は、第1吸着手段28と第2吸着手段38との受渡し時におけるブランクシート10の姿勢は水平に限らず鉛直または傾斜した姿勢とすることができる。
(9) シートマガジン11に対するブランクシート10の貯留姿勢は、上端側または下端側が移送方向の下流側に傾斜した姿勢であってもよい。
(10) ブランクシート10は、収容部20に押し込まれた際に成形型18からパネル10fやフラップ10gが突出しない形状であってもよい。
(11) 実施例では、支持部材37に対して第2吸着手段38および第3吸着手段39を着脱自在に配設したが、第2吸着手段38の折込み部材48および第3吸着手段39の吸着補助部材49のみを支持部材37に対して着脱自在に配設する構成を採用し得る。
(12) 第1移送手段24として、支持体を第1サーボモータによって上下方向に直線移動し得るようにした昇降装置を、第2サーボモータによって水平方向に直線移動し得るよう構成すると共に、支持体に対して吸着具(第1吸着手段)を、支持体が移動する二次元座標系の面に沿う回転軸回りに第3サーボモータによって回転するよう構成した移送手段を採用し得る。この移送手段によれば、第1〜第3サーボモータの回転方向、回転量を変えることで、吸着部を任意の位置に移動し得ると共に、該吸着部の向きを任意に変えることができる。
また、第1移送手段24としては、第1サーボモータによって回転される伸縮自在なアームの先端部に吸着具(第1吸着手段)を回転自在に支持し、アームを第2サーボモータによって伸縮すると共に、吸着具を第3サーボモータによって回転する構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0049】
10 ブランクシート,11 シートマガジン,15 糊付手段,18 成形型
20 収容部,23 箱状体,24 第1移送手段,26 第1アーム(アーム)
27 第2アーム(アーム),28 第1吸着手段,32a 作動部,33 第2移送手段
38 第2吸着手段,39 第3吸着手段,50 第4吸着手段,F 受取位置
G 成形・取出位置,H シート取出位置,M 受渡位置
図1
図2
図3