特許第6262189号(P6262189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262189
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】リニア型振動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-234380(P2015-234380)
(22)【出願日】2015年12月1日
(62)【分割の表示】特願2013-194516(P2013-194516)の分割
【原出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-36254(P2016-36254A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年9月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-28705(P2013-28705)
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片田 好紀
(72)【発明者】
【氏名】園木 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】東 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 吏紗
(72)【発明者】
【氏名】上野 清香
(72)【発明者】
【氏名】中澤 穂苗美
(72)【発明者】
【氏名】殿貝 佳英
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−189337(JP,A)
【文献】 特開昭62−081963(JP,A)
【文献】 特開2011−030403(JP,A)
【文献】 特開平06−315255(JP,A)
【文献】 特開2012−217236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットと分銅とが固定され、ケース内のコイルによって前記分銅及び前記マグネットを往復運動させるリニア型振動アクチュエータにおいて、
前記ケースで立設されると共に、磁性体からなり磁気回路を構成するシャフトと、
前記シャフトによって支持される前記コイルと、
前記コイル及び前記シャフトを囲むように配置されたリング状の前記マグネットと、
前記マグネットに固定された前記分銅と、
前記ケース内に配置され、前記マグネット及び前記分銅を前記シャフトの軸線方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記コイルが巻回されたボビンが前記シャフトの周囲に配置され、前記ボビンには、前記マグネットの内周面に向かって前記ボビンに逆巻で巻回された第1のコイル部と第2のコイル部の外周面から突出する仕切部が設けられており、
前記仕切部遊端は、前記マグネットの内周面に対向し、前記マグネットの内周面と前記仕切部の遊端との距離は,前記コイルと前記マグネット内周面との距離より短く、衝撃時には、前記仕切り部の遊端と前記マグネットの内周面とが衝突するようにされていることを特徴とするリニア型振動アクチュエータ。
【請求項2】
リング状の前記分銅が前記マグネットの外周面に固定され、前記分銅の外周面と前記ケースとの間の隙間は、前記マグネットの内周面と前記コイルの外周面との間の隙間より小さいことを特徴とする請求項1記載のリニア型振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記分銅において、前記軸線に対して直交する平面には、前記分銅の質量調整用の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のリニア型振動アクチュエータ。
【請求項4】
前記マグネットは、対向してなる一対のリング状の平面部を有し、前記各平面部には、ヨークが固定されていないことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のリニア型振動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分銅が往復運動することにより振動を発生させるリニア型振動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2011−30403号公報がある。この公報に記載されたリニア型振動アクチュエータは、マグネットによる磁気力と、コイル部で発生する所定の周波数の電磁気力との相互作用によって分銅が直線的に上下に振動するものである。リング状のコイルは、回路基板上に固定され、マグネットはカップ状のヨークの底に固定され、このヨークの外周面にはリング状の分銅の内周面が当接し、接着剤によりヨークに分銅が固定されている。また、円筒状のケースの底面には、薄板からなる円錐台形状のスプリングの底部が固定され、スプリングの頂部にはヨークの外面が固定されている。そして、円筒状のコイルは、回路基板上に固定されると共に、カップの筒部の内周面とマグネットの外周面との間の隙間を出入りするように配置されている。従って、コイルに所定の周波数の電流を入力(通電)することで、マグネットとコイルとの協働により、分銅を上下動に振動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−30403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のリニア型振動アクチュエータにあっては、コイルは、カップ状ヨークの筒部の内周面とマグネットの外周面との間の隙間を出入りするので、回路基板上に正確に固定されていないと、コイルが、ヨークの筒部の内周面側か或いはマグネットの外周面側に寄ってしまうので、落下衝撃時に、ヨークの内周面か或いはマグネットの外周面に衝突する可能性が高くなる。従って、コイルをケース内で正確な位置に固定させためには、アクチュエータの組立て前に、回路基板上にコイルを予め正確な位置に固定させておく必要があり、この対策として、回路基板側又はコイル側に、コイル位置決め用の特殊な構成が必要になり、このような対策を施さない場合には、回路基板にコイルを精度良く固定するための特殊な治具が必要になる。このことから、ケース内でコイルの位置
精度を高め難いといった問題点があった。
【0005】
本発明は、ケース内でのコイルの位置精度を容易に高めるようにしたリニア型振動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マグネットと分銅とが固定され、ケース内のコイルによって分銅及びマグネットを往復運動させるリニア型振動アクチュエータにおいて、
ケースで立設されると共に、磁性体からなり磁気回路を構成するシャフトと、
シャフトによって支持されるコイルと、
コイル及びシャフトを囲むように配置されたリング状のマグネットと、
マグネットに固定された分銅と、
ケース内に配置され、マグネット及び分銅をシャフトの軸線方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記コイルが巻回されたボビンが前記シャフトの周囲に配置され、前記ボビンには、前記マグネットの内周面に向かって前記ボビンに逆巻で巻回された第1のコイル部と第2のコイル部の外周面から突出する仕切部が設けられており、
前記仕切部は遊端が前記マグネットの内周面に対向していることを特徴とする。
【0007】
このリニア型振動アクチュエータにおいては、マグネットとシャフトとで磁気回路を構成し、コイルは、磁気回路の一部をなすシャフトで支持され、シャフトを中心にしてその周囲を巻回するように配置されているので、シャフトの有効利用を図ってコイルの位置決めが可能となる。すなわち、本発明では、ケース内で立設させたシャフトを基準としたコイルの位置決めを可能にし、これによって、ケース内におけるコイルの位置精度を容易に高めることができる。
【0008】
また、コイルが巻回されたボビンがシャフトの周囲に配置され、ボビンには、マグネットの内周面に向かって突出する仕切部が設けられ、この仕切部は、ボビンに逆巻きで巻回された第1のコイル部と第2のコイル部の外周面から突出し、仕切部の遊端がマグネットの内周面に対向する。
このような構成は、第1のコイル部と第2のコイル部とを仕切るための仕切部の有効利用を図っている。すなわち、落下衝撃時に仕切部の遊端がマグネットの内周面と衝突するようにしているので、コイルとマグネットとが衝突する事態が起こらず、落下衝撃によりコイルが断線し難くなる。なお、この仕切部は、ボビンに異なる巻き方向のコイル線を巻き易くしている。
【0009】
また、リング状の分銅がマグネットの外周面に固定され、分銅の外周面とケースとの間の隙間は、マグネットの内周面とコイルの外周面との間の隙間より小さい。
このような構成を採用すると、落下衝撃時に分銅の外周面とケースの内面とが衝突することはあっても、コイルの外面とマグネットの内周面とが衝突することがないので、落下衝撃によりコイルが断線し難くなる。
【0010】
また、分銅において、軸線に対して直交する平面には、分銅の質量調整用の凹部が形成されている。
このような構成を採用すると、分銅や付勢手段の個体差によって発生する振動不良を、分銅に設けた凹部内に補填液(例えばタングステン粉と接着剤との混合液)を入れることで、付勢手段の付勢力を調整することなく、分銅側で振動不良を容易に調整することができる。
【0011】
また、マグネットは、対向してなる一対のリング状の平面部を有し、各平面部には、ヨークが固定されていない。
このような構成を採用すると、平面部にコークが固定されているタイプのリニア型振動アクチュエータに比べて、マグネットに固定された分銅の推力を増加させることができ、その結果として、効率の良い振動を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケース内でのコイルの位置精度を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るリニア型振動アクチュエータの第1の実施形態を示す外観斜視図である。
図2図1に示された振動アクチュエータの分解斜視図である。
図3図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4】本発明に係るリニア型振動アクチュエータの第2の実施形態を示す断面図である。
図5】マグネットにヨークが固定されていないタイプと、マグネットにヨークが固定されたタイプとを比較して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るリニア型振動アクチュエータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1図3に示されるように、小型のリニア型振動アクチュエータ1は、携帯通信機器(例えば携帯電話)などの通信機器に内蔵させて、呼び出し機能の振動発生源として利用される直径約10mm、厚さ約3mmのコイン型をなしている。
【0016】
振動アクチュエータ1のケース2は、非磁性材料(例えばステンレス)からなるカップ状の上ケース部11と、上ケース部11の開放側を閉鎖するために、非磁性材料(例えばステンレス)で円板状に形成された下ケース部12と、からなる。下ケース部12は、上ケース部11の円形の開放端の内側に嵌め込まれ、その後、上ケース部11の開放端を内側に折り曲げる。なお、上ケース部11は、下ケース部12に溶接してもよい。
【0017】
ケース2内には、シャフト20の軸線L方向においてN極とS極に着磁されたリング状のマグネット13が収容されている。このマグネット13を上下で対向して挟むようにして、マグネット13の平面部13a,13bには、リング状の薄い磁性体からなるヨーク14,16が接着剤によって固定されている。なお、ヨーク14,16には、十字状の接着剤充填孔14a,16aが周方向に4箇所形成されている。これによって、接着剤による接着効果を高めている。
【0018】
マグネット13の外周面13cには、ドーナツ状の分銅15の内周面15bが接着剤によって接着されている。この分銅15は、例えばタングステンからなり、マグネット13、ヨーク14,16、分銅15によって可動子を構成する。そして、分銅15の下側平面部15aには、付勢手段の一例をなす薄い板バネ17が溶接により固定されている。
【0019】
この板バネ17は、小径のリング状をなす上側着座部17aと、大径のリング状をなす下側着座部17bと、上側着座部17aと下側着座部17bとの間を連結する円弧状の弾性片17cと、で構成されている。そして、上側着座部17aが分銅15の下側平面部15aに溶接され、下側着座部17bは下ケース部12の内壁面に溶接されている。
【0020】
下ケース部12は、上ケース部11の開放端に合致する形状をなす円板状の本体部12aと、本体部12aから径方向に突出する舌片12dと、を有している。下ケース部12の内壁面には、フレキシブル回路基板19が固定されている。このフレキシブル回路基板19は、下ケース部12の内壁面に載置されるリング状の本体部19aと、下ケース部12の舌片12d上に載置される延長部19bと、を有している。そして、本体部19aには、ボビン21及びシャフト20を挿通させるための開口部19dが形成され、延長部19bには給電端子19cが設けられ、給電端子19cを外部に露出させている。
【0021】
下ケース部12の本体部12aの中央には、シャフト20を立設するための圧入孔12cが設けられている。磁性体からなるシャフト20は、樹脂製のボビン21を支持している。ボビン21には、シャフト20を挿入させるための中央孔21aと、軸線L方向において両端に位置するフランジ部21b,21cと、フランジ部21b,21cとの間に位置するフランジ状の仕切部21dと、を有している。そして、フランジ部21bと仕切部21dと支柱21eとで第1のボビン部21Aを構成し、フランジ部21cと仕切部21dと支柱21fとで第2のボビン部21Bを構成し、そして、第1のボビン部21Aと第2のボビン部21Bは、軸線L方向に並置されている。また、支柱21e及び支柱21fを貫通する中央孔21aに対して、シャフト20は圧入若しくは極めて少ない誤差をもって差し込まれている。
【0022】
コイル24は、第1のボビン部21Aの支柱21eにコイル線が巻回されてなる第1のコイル部22と、第2のボビン部21Bの支柱21fにコイル線が第1のコイル部22と逆方向に巻回されてなる第2のコイル部23とからなり、第1のコイル部22と第2のコイル部23は、軸線L方向に並置されている。そして、第1のコイル部22のコイル線と第2のコイル部23のコイル線は、直列に繋がり、コイル24は、フレキシブル回路基板19に結線されている。
【0023】
リング状のマグネット13は、シャフト20によって支持されたコイル24を軸線Lを中心として囲むように配置され、板バネ17によってケース2内で保持されている。板バネ17は、圧縮バネであり、シャフト20の軸線L方向にマグネット13及び分銅15を付勢しており、電源オフ状態のマグネット13は、マグネット13の内周面13dとボビン21の仕切部21dとが対向するように、第1のコイル部22と第2のコイル部23を跨いで配置されている。
【0024】
このようなリニア型振動アクチュエータ1においては、マグネット13とシャフト20とで磁気回路を構成し、ボビン21に巻かれたコイル24は、磁気回路の一部をなすシャフト20で支持され、シャフト20を中心にしてその周囲を巻回するように配置されているので、シャフト20の有効活用を図って、コイル24の位置決めが可能となる。すなわち、ケース2内で立設させたシャフト20を基準としたコイル24の位置決めを可能にし、これによって、ケース2内におけるコイル24の位置精度を容易に高めることができると共に、振動アクチュエータ1におけるボビン21の組み付けが容易になる。
【0025】
分銅15の外周面15cとケース2の上ケース部11の周壁11bとの間の隙間P1は、マグネット13の内周面13dとコイル24の外周面24aとの間の隙間P2より小さい。このような構成を採用すると、落下衝撃時に分銅15の外周面15cとケース2の周壁11bとが衝突することはあっても、コイル24の外周面24aとマグネット13の内周面13dとが衝突することがないので、落下衝撃によりコイル24が断線し難くなる。
【0026】
ボビン21のフランジ状の仕切部21dは、第1のコイル部22と第2のコイル部23の外周面22a,23aから突出する。このような構成は、第1のコイル部22と第2のコイル部23とを仕切るための仕切部21dの有効利用を図っている。すなわち、落下衝撃時に仕切部21dの遊端がマグネット13の内周面13dと衝突するようにしているので、コイル24とマグネット13とが衝突する事態が起こらず、落下衝撃によりコイル24が断線し難くなる。そして、この仕切部21dは、ボビン21に異なる巻き方向のコイル線を巻き易くしている。
【0027】
分銅15において、軸線Lに対して直交する上側平面部15dには、分銅15の質量調整用の凹部15eが形成されている。このような構成を採用すると、分銅15や板バネ17の個体差によって発生する振動不良を、分銅15に設けた凹部15e内に補填液(例えばタングステン粉と接着剤との混合液)を入れることで、板バネ17のバネ力を調整することなく、分銅15側で振動不良を容易に調整することができる。
【0028】
コイル24に給電端子19cから所定の周波数の電圧(例えば5V、200Hz)を入力(通電)させると、板バネ17を介して分銅15が軸線L方向に振動するが、このとき、分銅15が軽過ぎても重過ぎてもケース2内で振動できない事態や所望の振動が発生しない事態が起こることがある。この場合の補正対策として、分銅15の上側平面部15dには、等間隔に質量調整用の凹部15eが形成され、これに前述した補填液を入れることで、分銅15の質量を上げて、コイル24に入力させる周波数で分銅15をスムーズに振動させることができる。なお、この場合の補正対策は、分銅15がより重過ぎで振動が発生しない場合については考慮されていない。
【0029】
製造後の振動アクチュエータ1は、上ケース部11が外された状態で検査され、適正に振動しない振動アクチュエータ1は、前述したような補正がなされる。
【0030】
シャフト20の両端は、上ケース部11の圧入孔11cと下ケース部12の圧入孔12cに圧入され、シャフト20は、ケース2の中央に立設され、このようなシャフト20で支持されるボビン21のフランジ部21bの平端面には、半球状の凸部26が周方向で等間隔で形成されている。樹脂からなる各凸部26が、組立て時に、上ケース部11の内壁面に押し当てられることで、上ケース部11と下ケース部12とでボビン21をしっかりと挟み込むことができる。これによって、ボビン21のガタ付きを押さえ、異音の発生防止や耐落下衝撃性を高めることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
図4に示される第2の実施形態に係わるリニア型振動アクチュエータ100が、第1の実施形態に係わるリニア型振動アクチュエータ1と異なる点は、マグネット13において、対向してなる一対のリング状の平面部13a,13bには、第1実施形態で採用されているヨーク14,16が固定されていないことにある。なお、他の構成については、第2の実施形態に係るリニア型振動アクチュエータ100は、第1の実施形態に係るリニア型振動アクチュエータ1と、同一の構成を有しているので、図4において、同一の符合を付し、その説明は省略する。
【0032】
図5(b)に示されるように、リニア型振動アクチュエータ1にあっては、マグネット13が最大移動位置にある場合、つまりマグネット13が最も端、例えば最上端にある場合、ヨーク14,16の採用によって、マグネット13からシャフト20に向かう磁束が最短経路を通ろうとする。これによって効率の良い磁気回路が構成される。しかしながら、マグネット13の下側の平面部13bからシャフト20に向かう磁束において、第1のコイル部22を通過する磁束が多くなり、これによって、推力F1に対する反対方向の推力F2が大きくなり、結果的に、推力F2が推力F1のブレーキとして大きく作用することになるので、矢印A方向に向かうマグネット13の推力を低下させる。そのことが、分銅15を利用した効率の良い振動を得に難くしている。
【0033】
これに対して、図5(a)に示されるように、リニア型振動アクチュエータ100にあっては、マグネット13が最大移動位置にある場合、つまりマグネット13が最も端、例えば最上端にある場合、ヨーク14,16が採用されていないので、ヨーク14,16が存在する場合のように、マグネット13からシャフト20に向かう磁束が最短経路を通ろうとしない。これによって、マグネット13の下側の平面部13bからシャフト20に向かう磁束において、第1のコイル部22を通過する磁束が少なくなり、これによって、推力F1に対する反対方向の推力F2が、振動アクチュエータ1(図5(b)参照)に比べて小さくなり、結果的に、推力F2が推力F1のブレーキとして作用することが少なくなるので、矢印A方向に向かうマグネット13の推力を増加させる。そのことが、分銅15を利用した効率の良い振動を得やすくしている。
【0034】
リニア型振動アクチュエータ100の振動効率をアップさせるにあたっては、第1のコイル部22の下端22bとマグネット13の下側の平面部13bとの間の距離Rの影響が大きく、距離Rが大きくなればなる程、マグネット13の下側の平面部13bからシャフト20に向かう磁束において、第1のコイル部22を通過する磁束が少なくなり、そのことが、分銅15を利用した振動効率をアップさせるには有利である。なお、図示しないが、マグネット13が最下端にある場合も同様であり、第2のコイル部23の上端23bとマグネット13の上側の平面部13aとの間の距離が大きくなればなる程、分銅15を利用した振動効率をアップさせるには有利である。
【0035】
このような結果を踏まえると、マグネット13が薄くなればなるほど、ヨーク14,16があることによる不利益が大きくなるので、マグネット13の往復移動距離を長くするために、マグネット13の薄型化を図る場合には、リニア型振動アクチュエータ100のようなヨーク14,16が無いタイプのものが有利であると言える。
【0036】
なお、図5において、分銅15は省略しているが、リニア型振動アクチュエータ1,100が、分銅15を有していることは言うまでもない。
【0037】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
【0038】
例えば、付勢手段として、板バネ17に代えて圧縮コイルバネの適用が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1,100…リニア型振動アクチュエータ、2…ケース、13…マグネット、14,16…ヨーク、15…分銅、15e…凹部、17…板バネ(付勢手段)、20…シャフト、21…ボビン、21d…仕切部、22…第1のコイル部、23…第2のコイル部、24…コイル、L…軸線、P1,P2…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5