(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(PAEK)ポリマーが、前記組成物(C)の総重量を基準として、35〜75重量%の量で存在し、ただし、強化充填材が不在である、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物(C)。
前記(PAEK)ポリマーが、前記組成物(C)の総重量を基準として、5〜30重量%の量で存在し、ただし、強化充填材が存在する、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物(C)。
前記強化充填材が、前記ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、40重量%に等しいかもしくは最大でも40重量%の量で存在するガラス繊維である、請求項1および4〜9および11のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
作業実験に関連してそれが本明細書においてより詳細に説明されるように、本出願人は、上に詳述されたように、(PAEK)ポリマーと(P1)ポリマーとの混合物への(PPSU)ポリマーの添加が、機械的特性を改善するのに、より正確には靱性を高めるのに特に有効であることを意外にも見いだしたし、この理論に制約されることなく本出願人は、(PPSU)ポリマーが(PAEK)ポリマーと(P1)ポリマーとの間の相溶化剤として働き、こうして予期されない特性改善を提供すると考える。
【0011】
本文の残りにおいて、表現「(PAEK)ポリマー」は、本発明の目的のためには、複数形および単数形での両方で、すなわち、本発明の組成物が1つもしくは2つ以上の(PAEK)ポリマーを含んでもよいと理解される。同じことが表現「(PPSU)ポリマー」、「(P1)ポリマー」、「(PAES
HT)ポリマー」、「(PESU)ポリマー」、および「強化充填材」に適用されると理解される。
【0012】
ポリ(アリールエーテルケトン)ポリマー
述べたように、(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAEK)である。
【0013】
繰り返し単位(R
PAEK)において、それぞれのフェニレン部分は独立して、繰り返し単位においてR’とは異なる他の部分に対して1,2−、1,4−または1,3−結合を有していてもよい。好ましくは、前記フェニレン部分は1,3−または1,4−結合を有し、より好ましくは、それらは1,4−結合を有する。
【0014】
さらに、繰り返し単位(R
PAEK)において、J’は好ましくは出現ごとにゼロである、すなわち、フェニレン部分は、ポリマーの主鎖での結合を可能にするもの以外の他の置換基をまったく有しない。
【0015】
好ましい繰り返し単位(R
PAEK)はしたがって、ここで以下の式(J’−A)〜(J’−O):
のものから選択される。
【0016】
さらにより好ましくは、(R
PAEK)は、
から選択される。
【0017】
上記で詳述されたような、(PAEK)ポリマーにおいて、繰り返し単位の好ましくは60%モル超、より好ましくは80%モル超、さらにより好ましくは90%モル超が、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAEK)である。
【0018】
さらに、(PAEK)ポリマーの実質的にすべての繰り返し単位が、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAEK)であることが一般に好ましく;鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAEK)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解される。
【0019】
(PAEK)ポリマーはとりわけ、ホモポリマー、ランダム、交互またはブロックコポリマーであってもよい。(PAEK)ポリマーがコポリマーである場合、それはとりわけ、(i)式(J−A)〜(J−O)から選択される少なくとも2つの異なる式の繰り返し単位(R
PAEK)、または(ii)1つもしくは複数の式(J−A)〜(J−O)の繰り返し単位(R
PAEK)および繰り返し単位(R
PAEK)とは異なる繰り返し単位(R
*PAEK)を含有してもよい。
【0020】
後で詳述されるように、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトンポリマー[本明細書では以下、(PEEK)ポリマー]であってもよい。あるいは、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルケトンケトンポリマー[本明細書では以下、(PEKK)ポリマー]、ポリエーテルケトンポリマー[本明細書では以下、(PEK)ポリマー]またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンポリマー[本明細書では以下、(PEKEKK)ポリマー]であってもよい。
【0021】
(PAEK)ポリマーはまた、上に詳述されたような、(PEKK)ポリマー、(PEEK)ポリマー、(PEK)ポリマーおよび(PEKEKK)ポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの異なる(PAEK)ポリマーからなるブレンドであってもよい。
【0022】
本発明の目的のためには、用語「(PEEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Aの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0023】
(PEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Aの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Aの繰り返し単位である。
【0024】
本発明の目的のためには、用語「(PEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が、式J’−Bの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0025】
(PEEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Bの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEEK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Bの繰り返し単位である。
【0026】
本発明の目的のためには、用語「(PEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Cの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0027】
(PEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Cの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Cの繰り返し単位である。
【0028】
本発明の目的のためには、用語「(PEKEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Lの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0029】
(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Lの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Lの繰り返し単位である。
【0030】
優れた結果は、(PAEK)ポリマーが(PEEK)ホモポリマー、すなわち、(PEEK)ポリマーのその繰り返し単位が実質的にすべて式J’−Aの繰り返し単位であるポリマーである場合に得られ、この場合、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は(PEEK)ホモポリマーの特性を実質的に変性しないと理解される。
【0031】
(PAEK)ポリマーは、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、少なくとも0.50dl/g、好ましくは少なくとも0.60dl/g、より好ましくは少なくとも0.70dl/gの固有粘度(IV)を有することができる。
【0032】
(PAEK)ポリマーのIVはとりわけ、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、1.40dl/g以下、好ましくは1.30dl/g以下、より好ましくは1.20dl/g以下、最も好ましくは1.15dl/g以下であり得る。
【0033】
良好な結果は、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、0.70dl/g〜1.15dl/gのIVを有する(PAEK)ポリマーで得られた。
【0034】
測定は一般に、No 50 Cannon−Fleske粘度計を用いて行われ;IVは、25℃で、溶解後4時間未満の時間内に測定される。
【0035】
(PAEK)ポリマーは、ASTM D3835に従って毛管レオメーターを用いて測定されるように、400℃および1000s
−1のせん断速度で有利には少なくとも0.05kPa.s、好ましくは少なくとも0.08kPa.s、より好ましくは少なくとも0.1kPa.s、さらにより好ましくは少なくとも0.12kPa.sの溶融粘度を有する。
【0036】
毛管レオメーターとして、Kayeness Galaxy V Rheometer(Model 8052 DM)を用いることができる。
【0037】
PAEKポリマーは、ASTM D3835に従って毛管レオメーターを用いて測定されるように、400℃および1000s
−1のせん断速度で有利には最大でも1.00kPa.s、好ましくは最大でも0.80kPa.s、より好ましくは最大でも0.70kPa.s、なお一層より好ましくは最大でも0.60kPa.s、最も好ましくは最大でも0.50kPa.sの溶融粘度を有する。
【0038】
本発明に好適な商業的に入手可能な(PAEK)ポリマーの非限定的な例としては、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能なKETASPIRE(登録商標)ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。
【0039】
(PAEK)ポリマーは、ポリ(アリールエーテルケトン)の製造のための当技術分野で公知の任意の方法によって製造することができる。
【0040】
ポリエーテルエーテルケトンホモポリマーは、KETASPIRE(登録商標)およびGATONE(登録商標)ポリ(エーテルエーテルケトン)としてとりわけSolvay Specialty Polymers,L.L.C.から商業的に入手可能である。
【0041】
組成物(C)が強化充填材を含まない場合には、組成物(C)中の(PAEK)ポリマーの重量パーセントは、組成物(C)の総重量を基準として、一般に少なくとも10重量%の、好ましくは少なくとも20重量%の、より好ましくは少なくとも30重量%の、より好ましくは少なくとも35重量%の、より好ましくは少なくとも40重量%のものである。強化充填材の不在下では、組成物(C)中の(PAEK)ポリマーの重量パーセントは一般に、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも85重量%の、より好ましくは最大でも80重量%の、より好ましくは最大でも75重量%の、より好ましくは最大でも70重量%のものであろうとさらに理解される。
【0042】
強化充填材の不在下では、優れた結果は、組成物(C)が、組成物(C)の総重量を基準として35〜75重量%の量で(PAEK)ポリマーを含む場合に得られた。
【0043】
組成物(C)が強化充填材を含む場合には、組成物(C)中の(PAEK)ポリマーの重量パーセントは、組成物(C)の総重量を基準として、一般に少なくとも2重量%の、好ましくは少なくとも5重量%のものである。強化充填材の存在下では、組成物(C)中の(PAEK)ポリマーの重量パーセントは一般に、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも70重量%の、より好ましくは最大でも60重量%の、より好ましくは最大でも50重量%の、より好ましくは最大でも40重量%の、最も好ましくは最大でも30重量%のものであろうとさらに理解される。
【0044】
強化充填材の存在下では、優れた結果は、組成物(C)が、組成物(C)の総重量を基準として、5〜30重量%の量で(PAEK
HMF)ポリマーを含む場合に得られた。
【0045】
ポリフェニルスルホン(PPSU)ポリマー
述べたように、ポリマー組成物(C)は、少なくとも1種の(PPSU)ポリマーを含む。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、(PPSU)ポリマーの75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が式(A)の繰り返し単位(R
PPSU)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、特性を実質的に変性しないと理解される。
【0047】
(PPSU)ポリマーはとりわけ、ホモポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマーなどのコポリマーであってもよい。(PPSU)ポリマーがコポリマーである場合、その繰り返し単位は有利には、式(A)の繰り返し単位(R
PPSU)のならびに、とりわけ本明細書で後に示される式(D)、(E)または(F):
およびそれらの混合物の、繰り返し単位などの、(R
PPSU)とは異なる、繰り返し単位(R
PPSU*)の混合物である。
【0048】
(PPSU)ポリマーはまた、前述のホモポリマーとコポリマーとのブレンドであり得る。
【0049】
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.製のRADEL(登録商標)R PPSUは、商業的に入手可能なポリフェニルスルホンホモポリマーの例である。
【0050】
(PPSU)ポリマーは、公知の方法によって製造することができる。
【0051】
(PPSU)ポリマーは有利には、ASTM法D1238に従って測定されるように、365℃でおよび5.0kgの荷重下で5g/10分以上、好ましくは365℃でおよび5.0kgの荷重下で10g/10分以上、より好ましくは365℃でおよび5.0kgの荷重下で14g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有し;前記メルトフローレートを測定するために、Tinius Olsen Extrusion Plastometerメルトフロー試験装置を用いることができる。
【0052】
(PPSU)ポリマーのメルトフローレートについての上方境界は決定的に重要であるわけではなく、日常業務の事柄として当業者によって選択されるであろう。それにもかかわらず、(PPSU)ポリマーが組成物(C)中に場合により含まれる場合、365℃でおよび5.0kgの荷重下でASTM法D1238に従って測定されるときに、最大でも100g/10分、好ましくは最大でも60g/10分、より好ましくは最大でも40g/10分、さらにより好ましくは最大でも25g/10分、最も好ましくは最大でも20g/10分のメルトフローレートを有利にも有すると理解される。
【0053】
ある特定の実施形態によれば、組成物(C)は、25g/10分以下、好ましくは20g/10分以下のメルトフローレートを有する(PPSU)ポリマーを含むであろう:言い換えれば、この実施形態のPPSUポリマーは、少なくとも10g/10分〜25g/10分以下の範囲の、好ましくは少なくとも14g/10分〜20g/10分以下の範囲の、上に詳述されたように測定される、メルトフローレートを有するであろう。RADEL(登録商標)R PPSUは、この実施形態に使用されるのに好適な(PPSU)ポリマーの例である。
【0054】
(PPSU)ポリマー重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使ってASTM D5296を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるようにモル当たり20,000〜100,000グラム(g/モル)であり得る。ある実施形態ではPPSUポリマーの重量平均分子量は、モル当たり40,000〜80,000グラム(g/モル)であり得る。
【0055】
本出願人は、(PPSU)ポリマーが相溶化されたポリマー組成物(C)を提供するのにとりわけ好適であることを見いだした。
【0056】
ポリマー組成物(C)中に、(PPSU)ポリマーは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、有利には少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、さらにより好ましくは少なくとも4重量%、なお一層より好ましくは少なくとも5重量%の量で存在する。
【0057】
(PPSU)ポリマーはまた、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、有利には最大でも25重量%、好ましくは最大でも20重量%、より好ましくは最大でも15重量%、さらにより好ましくは最大でも10重量%の量で存在する。
【0058】
好ましくは、(PPSU)ポリマーは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、2〜20重量%、さらにより好ましくは3〜15重量%、最も好ましくは4〜10重量%の範囲の量で存在する。
【0059】
(P1)ポリマー
述べたように、(P1)ポリマーは、(i)上に詳述されたような、少なくとも1種の(PAES
HT)ポリマーおよび(ii)上に詳述されたような、少なくとも1種の(PESU)ポリマーからなる群から選択することができる。
【0060】
(PAES
HT)ポリマー
述べたように、(PAES
HT)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、繰り返し単位(R
PAES)であり、ここで、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、前記繰り返し単位(R
PAES)は、上に詳述されたような、式(B)に従っている。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、上述の、式(E)中のAr
1、Ar
2およびAr
4は、互いに等しいかもしくは異なり、次式:
(式中、互いに等しいかもしくは異なる各Rは、
水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され、互いに等しいかもしくは異なるj、kおよびlは独立して、0、1、2、3または4である)
に従うものからなる群から好ましくは選択される芳香族部分である。
【0062】
これらの好ましい繰り返し単位(R
PAES)において、互いに等しいかもしくは異なる、Tのそれぞれは、結合、−CH
2−;−O−;−SO
2−;−S−;−C(O)−;−C(CH
3)
2−;−C(CF
3)
2−;−C(=CCl
2)−;−C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)−;−N=N−;−R
aC=CR
b−からなる群から選択され;ここで、各R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素またはC
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、またはC
6〜C
18アリール基;q=1〜6の整数の−(CH
2)
q−および−(CF
2)
q−、または6個以下の炭素原子の、直鎖状もしくは分岐の、脂肪族二価基;ならびにそれらの混合物である。
【0063】
より好ましい繰り返し単位(R
PAES)は、下に詳述されるような、次式(G):
[式中、− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− 互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、j’のそれぞれは独立して、ゼロであるかまたは0〜4の整数であり;
− Ar
1およびAr
2は、互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なり、独立して次式:
(式中、Rのそれぞれは、
水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され、互いに等しいかもしくは異なるj、kおよびlは独立して、0、1、2、3または4である)
に従うものからなる群から好ましくは選択される芳香族部分であり;
− 互いに等しいかもしくは異なる、Tのそれぞれは、結合、−CH
2―;−O−;−SO
2−;−S−;−C(O)−;−C(CH
3)
2−;−C(CF
3)
2−;−C(=CCl
2)−;−C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)−;−N=N−;−R
aC=CR
b−からなる群から選択され;ここで、各R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素またはC
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、またはC
6〜C
18アリール基;q=1〜6の整数の−(CH
2)
q−および−(CF
2)
q−、または6個以下の炭素原子の、直鎖状もしくは分岐の、脂肪族二価基;ならびにそれらの混合物であり;
− nは、0、1、2、3または4である]
に従うものである。
【0064】
なお一層より好ましい繰り返し単位(R
PAES)は、下に詳述されるような、式(H)〜(K)、およびそれらの混合物:
からなる群から選択されるものである。
【0065】
好ましい実施形態では、繰り返し単位(R
PAES)は、以下に示される、式(H):
のものである。
【0066】
別の好ましい実施形態では、繰り返し単位(R
PAES)は、以下に示される、式(I):
のものである。
【0067】
上記で詳述されたような、(PAES
HT)ポリマーにおいて、繰り返し単位の好ましくは60%モル超、より好ましくは80%モル超、さらにより好ましくは90%モル超が、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAES)である。
【0068】
さらに、(PAES
HT)ポリマーの実質的にすべての繰り返し単位が、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAES)であることが概して好ましく;鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は(PAES
HT)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解される。
【0069】
(PAES
HT)ポリマーはとりわけ、ホモポリマー、ランダム、交互またはブロックコポリマーであってもよい。(PAES
HT)ポリマーがコポリマーである場合、それはとりわけ、(i)互いに異なるが両方とも式(B)に従っている繰り返し単位(R
PAES)、または(ii)式(B)の繰り返し単位(R
PAES)および繰り返し単位(R
PAES)とは異なる繰り返し単位(R
PAES*)を含有してもよい。(R
PAES*)はとりわけ、ここで以下の式(L)〜(N):
(式中、− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− 互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、i’のそれぞれは独立して、ゼロであるかまたは0〜4の整数であり;
− 互いに等しいかもしくは異なる、Tのそれぞれは、結合、−CH
2−;−O−;−SO
2−;−S−;−C(O)−;−C(CH
3)
2−;
−C(CF
3)
2−;−C(=CCl
2)−;−C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)−;−N=N−;−R
aC=CR
b−からなる群から選択され;ここで、各R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素またはC
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、またはC
6〜C
18アリール基;q=1〜6の整数の−(CH
2)
q−および−(CF
2)
q−、または6個以下の炭素原子の、直鎖状もしくは分岐の、脂肪族二価基;ならびにそれらの混合物である)
のものからなる群から選択することができる。
【0070】
具体的な繰り返し単位(R
PAES*)はとりわけ、ここで以下の式(A)、(D)〜(F):
のものからなる群から選択することができる。
【0071】
本発明の一実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの50モル%超、75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が繰り返し単位(R
PAES−1)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAES
HT)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解され、ここで、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、次式(O):
(式中、− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− 互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、j’のそれぞれは独立して、ゼロであるかまたは0〜4の整数である)
に従っている。
【0072】
本発明のより好ましい実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの50モル%超、75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が繰り返し単位(R
PAES−1)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAES
HT)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解され、ここで、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、上に詳述されたような、式(I)のものである。
【0073】
本発明の別の実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの50モル%超、75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が繰り返し単位(R
PAES−1)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAES
HT)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解され、ここで、出現ごとに互いに等しいかもしくは異なる、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、次式(P):
(式中、− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− 互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、j’のそれぞれは独立して、ゼロであるかまたは0〜4の整数である)
に従っている。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの50モル%超、75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が繰り返し単位(R
PAES−1)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAES
HT)ポリマーの特性を実質的に変性しないと理解され、ここで、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、上に詳述されたような、式(H)のものである。
【0075】
Solvay Specialty Polymers US,L.L.C製のSUPRADEL
TMHTS高温スルホンポリマーは、式(H)の50モル%超の繰り返し単位を含む商業的に入手可能な(PAES
HT)ポリマーの例である。
【0076】
本発明のより好ましい実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が、繰り返し単位(R
PAES−1)と(R
PAES−2)との混合物であり、ここで、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、上に述べられたような、式(O)に従っており、前記繰り返し単位(R
PAES−2)は、上に述べられたような、式(P)に従っている。
【0077】
本発明のなお一層より好ましい実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、なお一層より好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が、繰り返し単位(R
PAES−1)と(R
PAES-2)との混合物であり、ここで、前記繰り返し単位(R
PAES−1)は、上に述べられたような、式(I)に従っており、前記繰り返し単位(R
PAES−2)は、上に述べられたような、式(H)に従っている。
【0078】
(PAES
HT)ポリマーが、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAES−1)とR
PAES−2)との混合物を含む、好ましくは混合物から本質的になる場合、(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量は、(PAES
HT)ポリマーに含まれる繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総重量を基準として、一般に少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、なお一層より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも87%のものである。(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量は一般に、最大でも1%、好ましくは最大でも5%、好ましくは最大でも15%、好ましくは最大でも30%、好ましくは最大でも50%、より好ましくは最大でも75%、なお一層より好ましくは最大でも92%、なお一層より好ましくは最大でも95%、なお一層より好ましくは最大でも98%、最も好ましくは最大でも99%のものであろうとさらに理解される。
【0079】
良好な結果は、(PAES
HT)ポリマーが、(PAES
HT)ポリマーに含まれる繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総量を基準として、50〜98%の、好ましくは75〜95%の、より好ましくは87〜92%の量で繰り返し単位(R
PAES−1)を含む場合に得られた。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、組成物(C)は(PAES
HT)ポリマーを含み、ここで、(PAES
HT)ポリマーの繰り返し単位の75モル%超は、上に述べられたような、式(O)による繰り返し単位(R
PAES−1)および、上に述べられたような、式(P)による(R
PAES−2)であり、(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量は、繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総量を基準として、75〜95モル%の範囲である。
【0081】
本発明のより好ましい実施形態では、組成物(C)は(PAES
HT)ポリマーを含み、ここで、(PAES
HT)ポリマーの繰り返し単位の75モル%超は、上に述べられたような、式(I)による繰り返し単位(R
PAES-1)および、上に述べられたような、式(H)による(R
PAES−2)であり、(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量は、繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総重量を基準として、75〜95モル%の範囲である。
【0082】
Solvay Specialty Polymers US,L.L.C.製のEpispire(登録商標)HTS高温スルホンポリマーは、75モル%超の、上に述べられたような、式(I)による繰り返し単位(R
PAES−1)および、上に述べられたような、式(H)による(R
PAES−2)を含み、(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量が、繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総重量を基準として、75〜95モル%の範囲である商業的に入手可能な(PAES
HT)ポリマーの例である。
【0083】
(PAES
HT)ポリマーは、任意の方法によって製造することができる。当技術分野で周知の方法はとりわけ、米国特許出願公開第2005/0228149 A1号明細書、米国特許第3,647,751号明細書および同第4,000,149号明細書;PCT特許出願国際公開第2005/095491 A1号パンフレットおよび国際公開第2007/039538 A1号パンフレットに記載されているものであり、その全体内容は、参照により本明細書に援用される。
【0084】
(PAES
HT)ポリマーの分子量は、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドンなどの適切な溶媒における低下した粘度データによって示唆されるように、0.3dl/g以上、より特に0.4dl/g以上であり得、典型的には、1.5dl/gを超えないであろう。(PAES
HT)ポリマー分子量は、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドンなどの適切な溶媒における低下した粘度データによって示唆されるように、0.3dl/g以上、より特に0.4dl/g以上であり得、典型的には、1.5dl/gを超えないであろう。
【0085】
ASTM法D1238に従って測定されるような、400℃でおよび5.0kgの荷重下での(PAES
HT)ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、一般に最大でも80g/10分、好ましくは最大でも50g/10分、好ましくは最大でも40g/10分である。
【0086】
ASTM法D1238に従って測定されるような、400℃でおよび5.0kgの荷重下での(PAES
HT)ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、一般に少なくとも2g/10分、好ましくは少なくとも4g/10分、より好ましくは少なくとも8g/10分である。
【0087】
2g/10分〜50g/10分のASTM法D1238に従って測定されるような、400℃でおよび5.0kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR)を有する(PAES
HT)ポリマーがとりわけ、本発明の組成物(C)を提供するのに好適である。
【0088】
(PAES
HT)ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使ってASTM D5296を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるようにモル当たり20,000〜100,000グラム(g/モル)であり得る。ある実施形態では、(PAES
HT)ポリマーの重量平均分子量はモル当たり40,000〜80,000グラム(g/モル)であり得る。
【0089】
本発明の(PAES
HT)ポリマーは有利には、少なくとも220℃、好ましくは少なくとも225℃、より好ましくは少なくとも230℃、なお一層より好ましくは少なくとも240℃の、最も好ましくは少なくとも255℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0090】
(PAES
HT)ポリマーは、220〜290℃のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。
【0091】
良好な結果は、(PAES
HT)ポリマーが255〜275℃の範囲のガラス転移温度を有する場合に得られた。
【0092】
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D 3418標準に従って示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されてもよい。
【0093】
(PESU)ポリマー
述べたように、繰り返し単位の50モル%超は、上に詳述されたような、式(C)の繰り返し単位(R
PESU)である。
【0094】
好ましい繰り返し単位(R
PESU)は、以下に示される、式(D):
に従うものである。
【0095】
(PESU)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が、式(C)の繰り返し単位である。最も好ましくはポリエーテルスルホンの繰り返し単位はすべて式(C)の繰り返し単位であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、特性を実質的に変性しないと理解される。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、(PESU)ポリマーの75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、さらに一層好ましくは実質的にすべての繰り返し単位が、式(D)のものであり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は特性を実質的に変性しないと理解される。
【0097】
(PESU)ポリマーはとりわけ、ホモポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマーなどのコポリマーであってもよい。(PESU)ポリマーがコポリマーである場合、その繰り返し単位は有利には、式(D)の繰り返し単位(R
PESU)のおよび繰り返し単位(R
PESU*)の混合物である。これらの繰り返し単位(R
PESU*)はとりわけ、ここで以下の式(L)、(M)および(Q):
(式中、− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− 互いにおよび出現ごとに等しいかもしくは異なる、i’のそれぞれは独立して、ゼロであるかまたは0〜4の整数であり;
− 互いに等しいかもしくは異なる、Tのそれぞれは、結合、−CH
2−;−O−;−S−;−C(O)−;−C(CH
3)
2−;−C(CF
3)
2−;
−C(=CCl
2)−;−C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)−;−N=N−;−R
aC=CR
b−からなる群から選択され;ここで、各R
aおよびR
bは、互いに独立して、水素またはC
1〜C
12アルキル、C
1〜C
12アルコキシ、またはC
6〜C
18アリール基;q=1〜6の整数の−(CH
2)
q−および−(CF
2)
q−、または6個以下の炭素原子の、直鎖状もしくは分岐の、脂肪族二価基;ならびにそれらの混合物である)
のものからなる群から選択することができる。
【0098】
具体的な繰り返し単位(R
PESU*)はとりわけ、ここで以下の式(A)、(E)および(F):
のもの、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0099】
(PESU)ポリマーはまた、前述のホモポリマーとコポリマーとのブレンドであり得る。
【0100】
(PESU)ポリマーはとりわけ、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.CからVERADEL(登録商標)PESUとして入手可能である。
【0101】
(PESU)ポリマーは、公知の方法によって製造することができる。
【0102】
(PESU)ポリマーは有利には、ASTM法D1238に従って測定されるように、380℃でおよび2.16kgの荷重下で4g/10分以上、好ましくは380℃でおよび2.16kgの荷重下で7g/10分以上、より好ましくは380℃でおよび2.16kgの荷重下で10g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有し;前記メルトフローレートを測定するために、Tinius Olsen Extrusion Plastometerメルトフロー試験装置を用いることができる。
【0103】
(PESU)ポリマーのメルトフローレートについての上方境界は決定的に重要であるわけではなく、日常業務の事柄として当業者によって選択されるであろう。それにもかかわらず、(PESU)ポリマーが組成物(C)中に場合により含まれる場合、380℃でおよび2.16kgの荷重下でASTM法D1238に従って測定されるときに、有利には最大でも100g/10分、好ましくは最大でも80g/10分、より好ましくは最大でも70g/10分、さらにより好ましくは最大でも60g/10分、最も好ましくは最大でも50g/10分のメルトフローレートを有すると理解される。
【0104】
ある特定の実施形態によれば、組成物(C)は、50g/10分以下の、好ましくは380℃でおよび2.16kgの荷重下で40g/10分以下の、好ましくは380℃でおよび2.16kgの荷重下で25g/10分以下のメルトフローレートを有する(PESU)ポリマーを含むであろう:言い換えれば、この実施形態の(PESU)ポリマーは、380℃でおよび2.16kgの荷重下で、少なくとも4g/10分〜50g/10分以下の範囲の、好ましくは少なくとも15g/10分〜40g/10分以下の範囲の、上に詳述されたように測定される、メルトフローレートを有するであろう。VERADEL(登録商標)A−201 NT PESUおよびVERADEL(登録商標)A−301 NT PESUは、この実施形態に使用されるのに好適な(PESU)ポリマーの例である。
【0105】
VERADEL(登録商標)PESUの重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使ってASTM D5296を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるようにモル当たり20,000〜100,000グラム(g/モル)であり得る。ある実施形態ではVERADEL(登録商標)PESUの重量平均分子量は、モル当たり40,000〜80,000グラム(g/モル)であり得る。
【0106】
組成物(C)が強化充填材を含まない場合には、組成物(C)中の(P1)ポリマーの重量パーセントは、組成物(C)の総重量を基準として、一般に少なくとも10重量%の、好ましくは少なくとも20重量%の、より好ましくは少なくとも30重量%のものである。強化充填材の不在下では、組成物(C)中の(P1)ポリマー)の重量パーセントは一般に、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも85重量%の、好ましくは最大でも80重量%の、より好ましくは最大でも75重量%の、より好ましくは最大でも70重量%のものであろうとさらに理解される。
【0107】
強化充填材の不在下では、優れた結果は、組成物(C)が、組成物(C)の総重量を基準として、30〜70重量%の量で(P1)ポリマーを含む場合に得られた。
【0108】
組成物(C)が強化充填材を含む場合には、組成物(C)中の(P1)ポリマーの重量パーセントは、組成物(C)の総重量を基準として、一般に少なくとも5重量%の、好ましくは少なくとも10重量%の、より好ましくは少なくとも20重量%の、より好ましくは少なくとも30重量%のものである。強化充填材の存在下では、組成物(C)中の(P1)ポリマーの重量パーセントは一般に、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも70重量%の、好ましくは最大でも65重量%の、より好ましくは最大でも60重量%の、より好ましくは最大でも50重量%のものであろうとさらに理解される。
【0109】
強化充填材の存在下では、良好な結果は、組成物(C)が、組成物(C)の総重量を基準として、30〜65重量%の量で(P1)ポリマーを含む場合に得られた。
【0110】
(P1)ポリマーはまた、(PAES
HT)ポリマーおよび(PESU)ポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの(P1)ポリマーからなるブレンドであってもよい。
【0111】
強化充填材
いろいろな強化充填材が、組成物(C)に添加されてもよい。それらは好ましくは、繊維状および粒子状充填材から選択される。繊維状強化充填材は、平均長さが幅および厚さの両方よりもかなり大きい、長さ、幅および厚さを有する材料であると本明細書では見なされる。一般に、そのような材料は、少なくとも5の、長さと最大の幅および厚さとの間の平均比と定義される、アスペクト比を有する。好ましくは、強化充填材のアスペクト比は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも50である。
【0112】
好ましくは、強化充填材は、とりわけタルク、雲母、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシムなどの、無機充填材);ガラス繊維;とりわけグラファイト状炭素繊維(それらのいくつかは、99%よりも上のグラファイト含有率を場合により有する)、非晶質炭素繊維、ピッチ系炭素繊維(それらのいくつかは、99%よりも上のグラファイト含有率を場合により有する)、PAN系炭素繊維などの炭素繊維;合成ポリマー繊維;アラミド繊維;アルミニウム繊維;ケイ酸アルミニウム繊維;アルミニウム繊維などの金属の酸化物;チタン繊維;マグネシウム繊維;炭化ホウ素繊維;ロックウール繊維;スチール繊維;石綿;ウォラストナイト;炭化ケイ素繊維;ホウ素繊維、窒化ホウ素、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などから選択される。
【0113】
当業者は、その組成物およびもたらされる最終用途に最良にフィットする強化充填材を容易に認めるであろうと理解される。一般に、強化充填材は、その化学的性質、その長さ、直径、ブリッジングおよび表面処理なしに配合装置へうまく供給される能力(とりわけ、強化充填材とポリマーとの間の良好な界面接着がブレンドの強度および靱性を向上させるので)に依存して選択される。
【0114】
一実施形態では、充填材は、繊維状充填材から選択される。好ましくは、繊維状充填材はガラス繊維である。
【0115】
他の実施形態では、充填材は非繊維状である。
【0116】
ガラス繊維は、異なる種類のガラスを生成させるために特注され得るいくつかの金属酸化物を含有するシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態のシリカであり;カルシウム、ナトリウムおよびアルミニウムなどの他の酸化物が、溶融温度を低下させ、かつ、結晶化を妨げるために組み込まれる。ガラス繊維は、長円形、楕円形または長方形などの、円形断面または非円形断面を有していてもよい(いわゆる「扁平ガラス繊維」)。ガラス繊維は、エンドレス繊維としてかまたはチョップドガラス繊維として添加されてもよい。ガラス繊維は一般に、5〜20μm、好ましくは5〜15μm、より好ましくは5〜10μmの等価直径を有する。A、C、D、E、M、S、R、Tガラス繊維(Additives for Plastics Handbook,2nd ed,John Murphyの章5.2.3、43〜48ページに記載されているような)、または任意のそれらの混合物もしくはそれらの混合物などの、すべてのガラス繊維タイプが使用されてもよい。例えば、R、SおよびTガラス繊維は、ASTM D2343に従って測定されるように少なくとも76、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも82GPaの弾性率を典型的には有する高弾性率ガラス繊維である。
【0117】
E、R、SおよびTガラス繊維は、当技術分野で周知である。それらはとりわけ、Fiberglass and Glass Technology,Wallenberger,Frederick T.;Bingham,Paul A.(Eds.),2010,XIV、第5章、197〜225ページに記載されている。R、SおよびTガラス繊維は、ケイ素、アルミニウムおよびマグネシウムの酸化物から本質的になる。特に、それらのガラス繊維は典型的には、62〜75重量%のSiO
2、16〜28重量%のAl
2O
3および5〜14重量%のMgOを含む。ポリマー組成物に広く使用されている通常のEガラス繊維とは対照的に、R、SおよびTガラス繊維は、10重量%未満のCaOを含む。
【0118】
繊維状充填材、特にガラス繊維は、好ましくは40μmよりも下の直径を有し、より好ましくは、その直径は20μmよりも下、さらにより好ましくは15μmよりも下である。他方では、繊維状充填材、特にガラス繊維の直径は、好ましくは5μmよりも上である。
【0119】
繊維状充填材、特にガラス繊維は、好ましくは20mmよりも下、より好ましくは10mmよりも下の長さを有する。加えて、それは、好ましくは1mmよりも上、より好ましくは2mmよりも上の長さを有する。
【0120】
好ましくは、繊維状充填材、特にガラス繊維は、高温サイズ剤と調合される。本出願人は、前記高温サイズ剤が、(PEEK)、(PEKK)および(PPSU)ポリマーのような、高温で加工されるのを一般に必要とするポリマーとの秀でた界面接着を提供することを観察した。
【0121】
とりわけ好適な強化充填材は、Owens−Corning Vetrotex 910Aチョップド繊維ガラスおよびその等価物である。
【0122】
別の実施形態では、ポリマー組成物(C)中の強化充填材は炭素繊維である。
【0123】
本発明の目的のためには、用語「炭素繊維」は、グラファイト化、部分グラファイト化および非グラファイト化炭素強化繊維またはそれらの混合物を含むことを意図する。
【0124】
本発明の目的のためには、用語「繊維」は、比較的高いテナシティおよび長さ対直径の高い比で特徴づけられる固体(多くの場合結晶性)の基本的な形態を意味する。
【0125】
用語「グラファイト化」は、炭素繊維の高温熱分解(2000℃超)によって得られる炭素繊維を意味することを意図し、ここで、炭素原子は、グラファイト構造と類似した様式で位置している。
【0126】
本発明に有用な炭素繊維は有利には、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミドまたはフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体の熱処理および熱分解によって得ることができ;本発明に有用な炭素繊維はまた、ピッチ材料からも得られ得る。
【0127】
本発明に有用な炭素繊維は好ましくは、PAN系炭素繊維(PAN−CF)、ピッチ系炭素繊維、グラファイト化ピッチ系炭素繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0128】
PAN系炭素繊維(PAN−CF)は有利には、3〜20μm、好ましくは4〜15μm、より好ましくは5〜10μm、最も好ましくは6〜8μmの直径を有する。良好な結果は、7μmの直径を有するPAN系炭素繊維(PAN−CF)で得られた。
【0129】
PAN−CFは任意の長さのものであってもよい。一般に、PAN−CFの長さは少なくとも50μmである。
【0130】
少なくとも約50重量%のグラファイト状炭素、約75重量%超のグラファイト状炭素、実質的に100%までのグラファイト状炭素を含有するグラファイト化ピッチ系炭素繊維が、商業的供給源から容易に入手可能である。本発明の実施に使用するのに特に好適な高度グラファイト状炭素繊維は、高導電性としてさらに特徴づけられてもよく、1平方インチ当たり約80〜約120百万ポンド、すなわち約80〜約120百万ポンド/インチ
2(MSI)の弾性率を有する、そのような繊維が一般に使用される。ある特定の実施形態では、高度グラファイト状炭素繊維は、約85〜約120MSIの弾性率を有し、他のある特定の実施形態では、約100〜約115MSIを有する。
【0131】
ピッチ系CFは有利には、5〜20μm、好ましくは7〜15μm、より好ましくは8〜12μmの直径を有する。
【0132】
ピッチ系CFは任意の長さのものであってもよい。ピッチ系CFは有利には、1μm〜1cm、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜500μm、さらにより好ましくは50〜150μmの長さを有する。
【0133】
炭素繊維は、チョップド炭素繊維としてかまたは繊維をミルにかけるかもしくは粉末状にすることによって得られ得るような微粒子形態で用いられてもよい。本発明の実施に使用するのに好適な粉末状にされたグラファイト化ピッチ系炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維のThermalGraph DKD XおよびCKD X銘柄としてCytec Carbon FibersならびにDialead炭素繊維としてMitsubishi Carbon Fibersからなどの商業的供給源から入手され得る。本発明に好ましくは使用されるチョップドPAN系炭素繊維は、商業的供給源から入手され得る。
【0134】
強化充填材がポリマー組成物(C)中に存在する場合、少なくとも1種の強化充填材が、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、有利には少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%の量で存在する。
【0135】
強化充填材はまた、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、有利には最大でも45重量%、より好ましくは最大でも40重量%、さらにより好ましくは最大でも30重量%の量で存在する。
【0136】
他の原料
ポリマー組成物(C)はさらに任意選択的に、とりわけ染料などの着色剤および/またはとりわけ二酸化チタン、硫化亜鉛および酸化亜鉛などの顔料、紫外線安定剤、熱安定剤、とりわけ有機ホスファイトおよびホスホナイトなどの酸化防止剤、酸捕捉剤、加工助剤、核形成剤、内部滑剤および/または外部滑剤、難燃剤、煙抑制剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、ならびに/またはカーボンブラックおよびカーボンナノフィブリルなどの導電性添加剤などの他の原料(I)を含んでもよい。
【0137】
ポリマー組成物(C)はまたさらに、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマー、(PPSU)ポリマーおよび(P1)ポリマーとは異なる他のポリマーを含んでもよい。特に、ポリマー組成物(C)はさらに、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリエステルおよびポリフェニレンスルフィドなどのポリマーを含んでもよい。それらの添加は、組成物(C)が、ある種の特別な最終用途によって必要とされるような、ある特定の要件を満たさなければならない場合にとりわけ有用であり得る。
【0138】
1つもしくは複数の他の原料が存在する場合、ポリマー組成物(C)の総重量を基準とする、それらの総重量は、通常20%よりも下、好ましくは10%よりも下、より好ましくは5%よりも下、なお一層より好ましくは2%よりも下である。
【0139】
本発明の組成物(C)は好ましくは、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーと、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマーと、上に詳述されたような、(P1)ポリマーと、任意選択的に、上に詳述されたような、強化充填材と、任意選択的に、上に詳述されたような、他の原料(I)とから本質的になっている。
【0140】
本発明の目的のためには、表現「から本質的になっている」は、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーと、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマーと、上に詳述されたような、(P1)ポリマーと、任意選択的に、上に詳述されたような、強化充填材と、任意選択的に、他の原料(I)とは異なる任意の追加の原料が、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも1重量%の量で存在することを意味することを意図する。
【0141】
好ましい一実施形態では、本発明の組成物(C)は、
− 35〜75重量%の少なくとも1種の(PEEK)ポリマー、
− 3〜15重量%の少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、
− 30〜70重量%の少なくとも1種の(PAES
HT)ポリマーであって、前記(PAES
HT)ポリマーにおいて、繰り返し単位の75モル%超が、上に述べられたような、式(I)による繰り返し単位(R
PAES−1)および、上に述べられたような、式(H)による(R
PAES−2)であり、前記(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量が、繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総重量を基準として、75〜95モル%の範囲であることを特徴とするポリマー
を含み、好ましくはそれらから本質的になり;
ここで、すべての%は、組成物(C)の総重量を基準とする。
【0142】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物(C)は、
− 35〜75重量%の少なくとも1種の(PEEK)ポリマー、
− 3〜15重量%の少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、
− 30〜70重量%の少なくとも1種の(PESU)ポリマー
を含み、好ましくはそれらから本質的になり;ここで、すべての%は、組成物(C)の総重量を基準とする。
【0143】
その上別の好ましい実施形態では、本発明の組成物(C)は、
− 5〜30重量%の少なくとも1種の(PEEK)ポリマー、
− 3〜15重量%の少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、
− 30〜65重量%の少なくとも1種の(PAES
HT)ポリマーであって、前記(PAES
HT)ポリマーにおいて、繰り返し単位の75モル%超が、上に述べられたような、式(I)による繰り返し単位(R
PAES−1)および、上に述べられたような、式(H)による(R
PAES−2)であり、前記(PAES
HT)ポリマー中の繰り返し単位(R
PAES−1)の重量が、繰り返し単位(R
PAES−1)および(R
PAES−2)の総重量を基準として、75〜95モル%の範囲であることを特徴とするポリマー、
− 15〜30重量%のガラス繊維
を含み、好ましくはそれらから本質的になり;
ここで、すべての%は、組成物(C)の総重量を基準とする。
【0144】
その上別の好ましい実施形態では、本発明の組成物(C)は、
− 5〜30重量%重量%の少なくとも1種の(PEEK)ポリマー、
− 3〜15重量%の少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、
− 30〜65重量%の少なくとも1種の(PESU)ポリマー、
− 15〜30重量%のガラス繊維
を含み、それらから本質的になり、ここで、すべての%は、組成物(C)の総重量を基準とする。
【0145】
組成物(C)は、ポリマー材料と、調合物において所望される、上に詳述されたような、任意選択の原料のいずれかとの均質混合を含む様々な方法によって、例えば、溶融混合または乾式ブレンディングと溶融混合との組み合わせによって調製することができる。典型的には、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーと、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマーと、上に詳述されたような、(P1)ポリマーと、上に詳述されたような、強化充填材と、任意選択的に、他の原料(I)との乾式ブレンディングは、とりわけHenschel型ミキサーおよびリボンミキサーなどの、高強力ミキサーによって実施される。
【0146】
そのようにして得られた粉末混合物は、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーと、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマーと、上に詳述されたような、(P1)ポリマーと、上に詳述されたような、強化充填材と、任意選択的に、他の原料(I)とを、射出成形もしくは押出などの溶融二次加工プロセスによって完成品を得るのに好適な、上に詳述されたような重量比で含むことができるか、またはマスターバッチとして使用される濃厚混合物であり、その後の加工工程においてさらなる量の、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたような、(P1)ポリマー、任意選択的に、上に詳述されたような、強化充填材、および任意選択的に、他の原料(I)中に希釈することができる。
【0147】
上記のような粉末混合物をさらに溶融配合することによって本発明の組成物を製造することもまた可能である。述べたように、溶融配合は、上に詳述されたような粉末混合物に関して、または好ましくは直接に上に詳述されたような、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたような、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたような、(P1)ポリマー、任意選択的に、上に詳述されたような、強化充填材、および任意選択的に、他の原料(I)に関して達成することができる。共回転および反転押出機、単軸スクリュー押出機、コニーダー、ディスク−パックプロセッサならびに様々な他のタイプの押出装置などの、従来型の溶融配合デバイスを用いることができる。好ましくは、押出機、より好ましくは二軸スクリュー押出機を用いることができる。
【0148】
必要ならば、配合スクリューの設計、例えば、フライトピッチおよび幅、クリアランス、長さならびに運転条件は有利には、粉末混合物または上に詳述されたような原料を有利にも完全に溶融させるのにおよび異なる原料の均質な分配を有利にも得るのに十分な熱および力学的エネルギーが提供されるように選択されるだろう。ただし、最適混合は、バルクポリマーと充填材内容物との間で達成される。本発明の組成物(C)の延性がないストランド押出物を得ることが有利にも可能である。そのようなストランド押出物は、水噴霧を使ったコンベヤ上でのある冷却時間後に、例えば回転刃物を用いて切り刻むことができる。このようにして、例えば、ペレットまたはビーズの形態で存在し得る組成物(C)を次に、物品の製造にさらに使用することができる。
【0149】
本発明の別の態様は、上記のポリマー組成物(C)を含む物品に関する。
【0150】
本発明による物品は、任意の適切な溶融加工方法を用いてポリマー組成物(C)から製造される。特に、それらは、射出成形または押出成形によって製造される。
【0151】
ポリマー組成物(C)は、とりわけ多種多様な最終用途に有用な物品の製造に非常に好適である。
【0152】
本発明による物品の非限定的な例は、
− 管継手、リング、給水栓、弁および多岐管などの、圧力下での水または他の流体の輸送用に使用される配管物品。その一般的な用途としては、家庭用温冷水、ラジエータ加熱システム、床および壁冷暖房システム、圧縮空気システムおよび天然ガス用配管システムが挙げられる;
− 医療機器または機器の部品(とりわけ、ハンドルおよび観察ガラス)、医療処置(麻酔など)で用いられる化学薬品を取り扱うまたは分配する医療装置の構成部品、そのような機器を保持するために使用されるケースおよびトレイなどの、医療/歯科/ヘルスケア物品;
− 航空機でのパネルおよび構成部品(ダクトエレメント、構造ブラケット、ファスナー、客室インテリア構成部品または他の軽量もしくは中量構造エレメントおよび構成部品)などの、航空機インテリア物品;
− 加温トレイ、スチームテーブルトレイ、プラスチック調理器具などの、食品サービス物品;
− ミルクおよび他の乳製品の収集または輸送のために用いられる配管システムなどの、酪農設備物品;
− 実験動物ケージ;
− 漏斗、フィルタ装置および他の実験室装置などの、実験装置物品;
− 電子装置の構造部品などの、電子物品
− 電線および電磁ワイヤー絶縁コーティング
− 携帯エレクトロニクス構造的およびまたは他の機能性エレメントおよび構成部品
− 高温および/または攻撃的な化学環境に遭遇する自動車ボンネット下用途向け部品
− 室温および高温での化学薬品、溶剤、油または有機流体のポンプ送液および配送用の部品および構成部品。これには、化学プロセス工業においておよび水理学においておよび伝熱流体配送システムにおいて用いられる配管および管継手が含まれる。
【0153】
参照により本明細書に援用されるあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示が、用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合には、本発明の記載が優先するものとする。
【実施例】
【0154】
本発明はこれから、下記の実施例に関連してより詳細に説明されるが、その目的は単に例証的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
原材料
− KETASPIRE(登録商標)KT−880[MV(400℃、1000s
−1)は、0.12〜0.18kPa.sの範囲であり;IVは、0.75dl/g〜0.77dl/gである]は、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能な芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーである。
− KETASPIRE(登録商標)KT−820 [MV(400℃、1000s
−1)は、0.38〜0.50kPa.sの範囲である]は、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能な芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーである。
− RADEL(登録商標)R 5100 PPSU[MFR(365℃/5kg)は、14〜20g/10分の範囲にある]は、Solvay Specialty Polymers USA,LLC製のポリフェニルスルホン(PPSU)ホモポリマーである。
− Veradel(登録商標)A−201 NT PESU[MFR(380℃/2.16kg)は、15〜25g/10分の範囲にある]は、Solvay Specialty Polymers USA,LLC製のポリエーテルスルホン(PESU)ホモポリマーである。
− Veradel(登録商標)A−301 NT PESU[MFR(380℃/2.16kg)は、25〜35g/10分の範囲にある]は、Solvay Specialty Polymers USA,LLC製のポリエーテルスルホン(PESU)ホモポリマーである。
− EpiSpire(登録商標)EP−340P高温スルホンポリマー[MFR(400℃/5.0kg)は、8〜15g/10分の範囲にある]は、式(I)に従う繰り返し単位(R
PAES−1)および式(H)に従う繰り返し単位(R
PAES−2)を含む(PAES
HT)ポリマーである。それは、268℃の、ガラス転移温度、Tgを有し、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能である。
− Owens−Corning Vetrotex製のOCV 910Aチョップド繊維ガラス
− Hostanox PEPQ、Clariantから入手可能な芳香族有機ホスホナイト溶融熱安定剤
− Sachtolith−L、Sachtleben Chemie GmbHから入手可能な硫化亜鉛銘柄
− 酸化亜鉛、Lanxess Corpから入手可能な銘柄Aktiv(登録商標)
【0155】
実施例の原材料に関して実施される下記の特性評価は、本明細書で以下に示される:
メルトフローレート(MFR)
PEEKポリマーのメルトフローレート(MFR)は、両方ともASTM法D1238に従って、400℃でおよび2.16kgの荷重下で測定した。
【0156】
PPSUポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM法D1238に従って、365℃でおよび5kgの荷重下で測定した。
【0157】
PESUポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM法D1238に従って、380℃でおよび2.16kgの荷重下で測定した。
【0158】
(PAES
HT)ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、両方ともASTM法D1238に従って、400℃でおよび5kgの荷重下で測定した。
【0159】
粘度測定
PEEKポリマーの溶融粘度(MV)測定は、ASTM D3835に従って毛管レオメーターで行った。測定値は、次の特性:直径:1.016mm、長さ:20.32mm、円錐角 120°および1000s
−1のせん断速度
のダイを用いて400℃で取った。
【0160】
KETASPIRE(登録商標)KT−880 PEEKポリマーの溶融体の粘度はまた、LCR−7000 Capillary Rheometerを用いておよび次の特性:直径:1.016mm、長さ:20.32mm、円錐角120°のダイを用いて、下の表1に示されるように、400℃でせん断速度の関数として測定した。
【0161】
【0162】
PEEKポリマーの固有粘度(IV)は、ASTM D2857に従ってCannon−Fenske粘度計チューブ(No.50)を用いて25℃で0.1g/100mlのポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定した。
【0163】
PEEK/PPSU/PESUおよびPEEK/PPSU/PAES
HTポリマー組成物の配合プロセスの概要
ある特定のポリマー組成物(例えば、表5に示されるPEEK/PPSU/PESUポリマー組成物;表6に示されるPEEK/PPSU/PAES
HTポリマー組成物)は、ブレンドされる樹脂のペレットを所望の組成比で約20分間最初にタンブルブレンドし、続いて、30:1のL/D比を有する18mmのLeistritz製共回転部分噛み合い二軸スクリュー押出機を用いてそれにより溶融配合することによって調製した。押出機は、(表2においてそれぞれ、ゾーン1〜5に対応する)バレル区域2〜6が加熱される6つのバレル区域を有した。真空ガス抜きを配合中にバレル区域5で適用してコンパウンドから水分およびあらゆる可能な残留揮発物をストリッピングして除いた。配合条件を、PEEK/PPSU/PESUおよびPEEK/PPSU/PAES
HTポリマー組成物について表2に要約する。
【0164】
PEEK/PPSU/PESU/ガラス繊維およびPEEK/PPSU/PAES
HT/ガラス繊維ポリマー組成物の配合プロセスの概要
表7に示すような、PEEK/PPSU/PESU/ガラス繊維およびPEEK/PPSU/PAES
HT/ガラス繊維ポリマー組成物は、ブレンドされる樹脂のペレットを所望の組成比で約20分間最初にタンブルブレンドし、続いて、Berstorff製25mm二軸スクリュー共回転部分噛み合い押出機を用いてそれにより溶融配合することによって調製した。真空ガス抜きを配合中にバレル区域7で適用してコンパウンドから水分およびあらゆる可能な残留揮発物をストリッピングして除いた。PEEKポリマーおよびPAES
HTポリマーを、バレル区域1(押出機の供給スロート)中へ正確な比率で重力的に(gravimetrically)供給した。繊維ガラスをバレル区域5中へ正確な比率で重力的に供給した。PPSUが調合物中に存在する場合、それをPAES
HTポリマーペレットとペレット形態で予備ブレンドし、次にその混合物を、重力式フィーダーを用いて所望の供給量で供給した。配合条件を、PEEK/PPSU/PESU/ガラス繊維およびPEEK/PPSU/PAES
HT/ガラス繊維ポリマー組成物について表3に要約する。
【0165】
【0166】
【0167】
調製されたポリマー組成物の機械的特性は、ASTM標準に従って試験した。試験検体の調製に関しては、特に1)タイプI引張試験片、2)5インチ×0.5インチ×0.125インチ曲げ試験片、および3)計装衝撃(Dynatup)試験用の4インチ×4インチ×0.125インチのプラーク。
【0168】
ポリマー組成物は、表4に示したような条件に従って150トンToshiba射出成形機で成形した。
【0169】
【0170】
用いられた様々なASTM試験方法は、以下のとおりであった。
− 曲げ特性:D790
− 引張特性:D638
− ノッチ付アイゾット衝撃:D256
− ノッチなしアイゾット衝撃:D4812
− 名称Dynatup衝撃でも知られる計装耐衝撃性:D3763
− 熱たわみ温度(HDT):D648
【0171】
熱たわみ温度(HDT)は、264psiの負荷応力で、そして部品における一様な結晶化度とさもなければ測定の正確さを危うくし得る残留成形応力(molded−in stresses)の除去とを確実にするために200℃で2時間アニールされた0.125インチ厚さの曲げ検体を使用して測定した。
【0172】
機械的特性測定に加えて、ポリマー組成物の熱特性評価をまた、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定法(DSC)を用いて行った。
【0173】
ASTM D4065に従った動的機械分析(DMA)をまた、ポリマー組成物のガラス転移温度を検出しおよび定量化し、それによってこれらのポリマー組成物の相溶性レベルに関する情報を提供するための代わりの、より高感度の方法として用いた。DMA法によるガラス転移は、減衰係数(tanデルタとしても知られる)曲線における最大値に相当する温度として定義された。
【0174】
機械的および熱的特性を表5、6および7に要約する。
【0175】
【0176】
【0177】