【実施例】
【0136】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するものであり、これを制限するものと解釈されるべきではない。温度は摂氏温度で示されている。他に述べられていない限り、すべての蒸発は減圧下で、通常約15mmHg〜100mmHg(=20〜133mbar)の間で実施される。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準的分析法、例えば、ミクロ分析および分光学的特性、例えば、MS、IR、NMRにより確認される。使用されている略語は、当技術分野において慣用的なものである。
【0137】
本発明の化合物を合成するために利用されるすべての出発物質、構成ブロック、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、および触媒は、市販のものであるか、または当業者に公知の有機合成法により生成することができる(Houben-Weyl、4版、1952、Methods of Organic Synthesis、Thieme、21巻)。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示されているような当業者に公知の有機合成法で生成することができる。
【0138】
他に特定されていない限り、出発物質は、Aldrich Chemicals Co.(Milwaukee、Wis.)、Lancaster Synthesis、Inc.(Windham、N.H.)、Acros Organics(Fairlawn、N.J.)、Maybridge Chemical Company、Ltd.(Cornwall、England)、Tyger Scientific(Princeton、N.J.)、Chem−Impex International、Inc.(Wood Dale、IL)、およびAstraZeneca Pharmaceuticals(London、England)などの販売元から一般的に入手可能である。
【0139】
略語
以下の実施例において使用されている略語は、以下に列挙した対応する意味を有する。
AcOH 酢酸
aq 水性
ax 軸の
Boc tert−ブトキシカルボニル
Brine 塩化ナトリウム飽和溶液(室温で)
br s 幅広い一重線
CDCl
3 重水素化クロロホルム
CHCl
3−d 重水素化クロロホルム
CH
2Cl
2 ジクロロメタン
CH
3CN アセトニトリル
conc. 濃縮
CsF フッ化セシウム
CuSO
4 硫酸銅
d 二重線
DIPEA ジ−イソプロピルエチルアミン
DME ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO−d
6 重水素化ジメチルスルホキシド
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
eq エクアトリアル
ESI−MS エレクトロスプレー質量分析法
Et
2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
Hyflo Hyflo Super Cel(登録商標)
1HNMR プロトン核磁気共鳴
KOAc 酢酸カリウム
KHSO
4 硫酸水素カリウム
K
2CO
3 炭酸カリウム
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
LDA リチウムジイソプロピルアミン
MeOH メタノール
MgSO
4 硫酸マグネシウム
M モル
m 多重線
MS 質量分析法
min 分
mL ミリリットル
m.p. 融点
MgSO
4 硫酸マグネシウム
MHz メガヘルツ
N 正常
NaHMDS ヘキサメチルジシラザンナトリウム
NMR 核磁気共鳴
NEt
3 トリエチルアミン
Na
2S
2O
3 チオ硫酸ナトリウム
Na
2SO
4 硫酸ナトリウム
Pd
2(dba)
3 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
PdCl
2(dppf) 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド
PdCl
2(dppf)−CH
2Cl
2 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体
PPh
3 トリフェニルホスフィン
Pd(PPh
3)
4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
Pd パラジウム
qt 5重
Raney−Ni ラネーニッケル
RT 室温
R
f TLC保持因子
Rt 保持時間
s 一重線
SiO
2 シリカゲル
t 三重線
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TBDPSCl 塩化tert−ブチルジフェニルシリル
TBME tert−ブチルメチルエーテル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
t
R 保持時間
UV 紫外線
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
【0140】
一般的方法
トリメチルシランを内部標準として使用してまたはしないで、1H−NMR測定をBruker Ultrashield(商標)400(400MHz)、Bruker Ultrashield(商標)600(600MHz)または500MHz DRX Bruker CryoProbe(500MHz)分光器で実施した。化学シフト(d値)は、テトラメチルシランから低磁場においてppmで報告され、結合定数(J)はHzで示され、スペクトル分割パターンは、一重線(s)、二重線(d)、二重線二重線(dd)、三重線(t)、四重線(q)、多重線またはさらに重複する信号(m)、幅広い信号(br)として表されている。溶媒は括弧の中に示されている。
【0141】
それぞれの命名された溶媒系を使用して、プレコートしたシリカゲル60F
254ガラスプレート(Merck、Darmstadt、Germany)を用いてTLCを実施した。可視化は一般的に紫外光(254nm)で行った。
【0142】
LC−MS:
LC−MS法1
カラム:Acquity HSS T3、1.8μm、2.1×50mm;
溶離液:水(+0.05%ギ酸+3.75mM 酢酸アンモニウム):アセトニトリル(+0.04%ギ酸)、1.4minで95:5〜2:98、0.75minの間98%を保持;
流量/温度:60℃で1.0mL/min
LC−MS法2
カラム:Acquity HSS T3、1.8μm、2.1×50mm;
溶離液:水(+0.05%ギ酸+3.75mM 酢酸アンモニウム):アセトニトリル(+0.04%ギ酸)、1.4minで98:2〜2:98、0.75minの間98%を保持;
流量/温度:50℃で1.2mL/min
UPLC 1
カラム:Acquity UPLC HSS T3 C18、1.7μm 2.1×50mm、流量:1.0mL/min。勾配:1.5minで5%〜100%B、100%Bを1min、A=水+0.1%TFA、B=アセトニトリル+0.1%TFA
検出:218nmまたは254nm
【0143】
ボロン酸エステル中間体の合成
本発明の化合物の調製に使用されるボロン酸エステル中間体は、市販のものであっても、または文献に記載の通りもしくは類似の方式で調製してもよく、またはこれより以下に記載されている通り、もしくは類似の方式で調製することもできる。
【0144】
中間体1:5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4−トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン
【0145】
【化9】
【0146】
a)5−ブロモ−4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミン
2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリミジン(25g、0.15モル)のCH
3CN(600mL)中溶液に、N−ブロモスクシンイミド(34.8g、195mmol)のアセトニトリル(200mL)中溶液を2.5hの期間にわたり暗所で加えた。反応混合物をRTで4.5h撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEtOAcおよびH
2O中に溶解し、有機溶媒を分離し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc10%〜40%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによってベージュ色の固体として表題化合物を得た(31.2g、85%)。LC−MS:Rt 0.82min;(LCMS法2)。
【0147】
b)5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン
5−ブロモ−4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イルアミン(16.2g、66.3mmol)、ビス−ピナコラトジボロン(18.5g、72.9mmol)およびKOAc(19.5g、199mmol)のジオキサン(300mL)中懸濁液に、アルゴン下で、PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2付加物(2.44g、2.98mmol)を加え、混合物を4h115℃で撹拌した。反応混合物を50℃に冷却し、EtOAcで処理した。結果として得た懸濁液をHyflo上で濾過し、EtOAcで洗浄した。合わせ、濾過したものを濃縮した。残渣を2M NaOH中に懸濁させ、RTで5min撹拌し,次いでEt
2OおよびH
2Oを加えた。二成分混合物を、Hyfloを介して再び濾過し、相を分離した。生成した水層のpHを4MのHCl水溶液で5〜6に調節し、生成物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をH
2Oおよびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をEt
2O/ヘキサン中で粉砕し、濾別し、乾燥させることによって、淡黄色の固体として、表題化合物を生成した(8.33g、42%)。LC−MS:[M+H]290.2;Rt 1.00min;(LCMS法2)。
【0148】
オキサゾリジノン中間体の合成
中間体2:(4S
*,5S
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0149】
【化10】
【0150】
a)(1S
*,2S
*)−1−(4−メトキシフェニル)−2−ニトロブタン−1−オール
0℃で30min撹拌しておいたLiAlH
4(THF中2M)(1.84mL、3.67mmol)の乾燥THF(100mL)中溶液に、1−ニトロプロパン(16.3mL、184mmol)をアルゴン下で加えた。30min後、4−メトキシベンズアルデヒド(4.45mL、36.7mmol)を一度に加えた。混合物を0℃で6時間および室温で18時間撹拌した。反応混合物をHCl(H
2O中1M)でクエンチし、CH
2Cl
2で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中CH
2Cl
20%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、表題化合物を得た(1.4g、34%)。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6): 7.35 (d, 2H), 6.94 (d, 2H), 5.94 (d, 1 H), 4.80 (dd, 1H), 4.68 - 4.52 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 1.75-1.69 (m, 1H), 1.25-1.20 (m, 1H), 0.74 (t, 3H).
【0151】
b)(1S
*,2S
*)−2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)ブタン−1−オール
(1S
*,2S
*)−1−(4−メトキシフェニル)−2−ニトロブタン−1−オール(1.0g、4.44mmol)のエタノール(20mL)中溶液を、アルゴンでパージし、室温でPd/C(100mg、0.094mmol)を加えた。次いで、密封した容器をパージし、H
2を再充填し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をセライト上で濾過し、エタノールで洗浄し、濃縮した。残渣を、CH
2Cl
2/MeOH/(H
2O中NH
4OH)100:0:0〜80:20:1を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、白色の固体として、表題化合物を得た(450mg、51.4%)。LC−MS:[M+H]196.1;Rt 0.44min;(LCMS法2)。
【0152】
c)(4S
*,5S
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
(1S
*,2S
*)−2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)ブタン−1−オール(440mg、2.25mmol)のCH
2Cl
2(15mL)中溶液に、アルゴン下、0℃で、NEt
3(0.78mL、5.63mmol)を加えた。次いで、ジホスゲンを5分間の期間にわたり加え、温度を0℃で30分間保持した。反応混合物を氷冷水およびNa
2CO
3の2M水溶液でクエンチし、CH
2Cl
2で抽出し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をTBMEで粉砕し、濾過し、乾燥させることによって、白色の粉末として中間体2[(4S
*,5S
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン]を得た(220mg、44%)。LC−MS:[M+H]222.2;Rt 0.77min;(LCMS法2)。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6): 7.94 (br s, 1H), 7.32 (d, 2H), 6.96 (d, 2H), 5.06 (d, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.51 (q, 1H), 1.53 (qt, 2H), 0.85 (t, 3H).
【0153】
中間体3:(4S
*,5S
*)−4−エチル−5−(3−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0154】
【化11】
中間体2[(4R
*,5R
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン]に対して記載されている手順に従い表題化合物を調製することによって、無色の油状物として、中間体3を得た。LC−MS:[M+H]222.1;Rt 0.79min;(LCMS法2)。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6): 7.98 (br s, 1H), 7.35 - 7.29 (m, 1H), 6.83 - 6.96 (m, 3H), 5.10 (d, 1H), 3.72 - 3.78 (m, 3H), 3.36 - 3.29 (m, 1H), 1.49 - 1.63 (m, 2H), 0.88 (t, 3H).
【0155】
中間体4:(4S
*,5R
*)−4−エチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン
【0156】
【化12】
中間体2[(4R
*,5R
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン]に対して記載されている手順に従い表題化合物を調製することによって、白色の固体として中間体4を得た。LC−MS:[M+H]192.1;Rt 0.77min;(LCMS法2)
【0157】
中間体5:(4S,5S)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン
【0158】
【化13】
(1S,2S)−(+)−ノルプソイドエフェドリン(2.00g、13.2mmol)のCH
2Cl
2(60mL)中溶液に、アルゴン下、0℃でEt
3N(4.61mL、33.1mmol)を加えた。次いで、20mLのCH
2Cl
2中に溶解したトリホスゲン(1.57g、5.29mmol)をゆっくりと加え、温度を0℃から室温に温めておいた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、NH
4Cl水溶液の添加により反応混合物をクエンチした。有機層を分離し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって所望の生成物を得た(2.10g、89%)。LC−MS:[M+H]178.1;Rt 0.67min;(LCMS法2)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) 7.88 (br s, 1H), 7.50-7.32 (m, 5H), 5.09 (d, 1H), 3.78-3.62 (m, 1H), 1.26 (d, 3H).
【0159】
中間体6:(4S,5R)−4−エチル−5−(チアゾール−2−イル)オキサゾリジン−2−オン
【0160】
【化14】
【0161】
a)(S)−2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブタン酸
(S)−2−アミノブタン酸(11.2g、109mmol)のTHF(200mL)中溶液および2Mの炭酸ナトリウム水溶液(65.2ml、130mmol)に、ベンジルカルボノクロリデート(17.06mL、119mmol)を0℃で滴加した。室温で16時間撹拌後、反応混合物をH
2O/TBMEで抽出し、pH=2になるまで水層をHCl(H
2O中2M)で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濾液を濃縮することによって、無色の油状物として、表題化合物を得た(22.8g、77%)。生成物を次のステップにおいてさらなる精製なしで使用した。LC−MS:[M−H]236.2;Rt 0.76min;(LCMS法1)。
【0162】
b)(S)−メチル2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブタノエート
(S)−2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブタン酸(10.0g、42.1mmol)のメタノール(100mL)およびトルエン(300mL)中溶液に、アルゴン下、室温でトリメチルシリルジアゾメタン(23.2mL、46.4mmol)を滴加した。室温で1時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAcおよびブラインの溶液で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濾液を濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜30%を使用するカラムクロマトグラフィー(120gのSiO
2)で精製することによって、無色の油状物として、表題化合物を得た(5.2g、48%)。LC−MS:[M+H]252.1;Rt 0.93min;(LCMS法1)。
【0163】
c)(S)−ベンジル(1−オキソブタン−2−イル)カルバメート
(S)−メチル2−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブタノエート(2.0g、7.96mmol)のトルエン(50mL)中溶液にアルゴン下、−78℃で20分間の期間にわたり、DIBAL−H(トルエン中1M)(15.9mL、15.9mmol)を滴加し、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物を、1.5Mの酒石酸カリウムナトリウム水溶液(20mL)で、−78℃でクエンチし、室温まで温めておいた。反応混合物をEtOAcおよびブラインの溶液で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜30%を使用するカラムクロマトグラフィー(24gのSiO
2)で精製することによって、無色の油状物として、表題化合物を得た(1.18g、64%)。LC−MS:[M+H]222.2;Rt 1.01min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 9.61 (s, 1H), 7.27 - 7.43 (m, 5H), 5.39 (br s, 1H), 5.15 (m, 2H), 4.15 (q, 1H), 1.96 - 2.11 (m, 1H), 1.64 - 1.82 (m, 1H), 1.01-0.79 (m, 3H).
【0164】
d)ベンジル((1R,2S)−1−ヒドロキシ−1−(チアゾール−2−イル)ブタン−2−イル)カルバメート
(S)−ベンジル(1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(1.1g、4.97mmol)のジクロロメタン(30mL)中溶液に、アルゴン下、−30℃で10minの期間にわたり、2−(トリメチルシリル)チアゾール(939μL、5.97mmol)を滴加した。次いで、反応混合物を−30℃で20分間撹拌し、室温まで温めておき、室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を30℃で濃縮し、THF(30mL)中に溶解した。TBAF(THF中1M)(5.97mL、5.97mmol)をアルゴン下、0℃で加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濾液を濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜30%を使用するカラムクロマトグラフィー(24gのSiO
2)で精製することによって、無色の油状物として、表題化合物を得た(1.18g、64%)。残渣を、CH
2Cl
2ヘキサン中MeOH0%〜4%を使用するカラムクロマトグラフィー(24gのSiO
2)で精製することによって、無色の油状物として、表題化合物を得た(340mg、43%)。LC−MS:[M+H]307.5;Rt 0.86min;(LCMS法1)。
【0165】
e)(1R,2S)−2−アミノ−1−(チアゾール−2−イル)ブタン−1−オール
ベンジル((1R,2S)−1−ヒドロキシ−1−(チアゾール−2−イル)ブタン−2−イル)カルバメート(330mg、1.077mmol)のアセトニトリル(25mL)中溶液に、アルゴン下、0℃でピペリジン(0.213mL、2.154mmol)を加え、ヨードトリメチルシラン(293μL、2.15mmol)を5分間の期間にわたり滴加した。次いで、反応混合物を室温まで温めておき、室温で2時間撹拌した。反応混合物に、0℃でチオ硫酸ナトリウム(500mg)を加え、続いて水(0.5mL)を加え、反応混合物を0℃で15分間激しく撹拌した。さらに500mgのチオ硫酸ナトリウムを加え、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をEtOAcで粉砕し、濾過し、濾液を濃縮することによって、黄色の油状物として、表題化合物を得た(250mg、67%)。
【0166】
f)(4S,5R)−4−エチル−5−(チアゾール−2−イル)オキサゾリジン−2−オン
中間体2に対して記載されている手順に従い、表題化合物を(1R,2S)−2−アミノ−1−(チアゾール−2−イル)ブタン−1−オールから調製することによって、茶色の油状物として中間体6(410mg、95%)を得た。この生成物を、次の反応ステップにおいてさらなる精製なしで使用した。
【0167】
中間体7:4−エチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン
【0168】
【化15】
【0169】
a)2−ニトロ−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オール
LiAlH
4(THF中2M)(0.93mL、1.87mmol)の乾燥THF(80mL)中溶液に、アルゴン下、0℃で、1−ニトロプロパン(8.30mL、93mmol)をゆっくりと加えた。60分後、ニコチンアルデヒド(2.00g、18.7mmol)を一度に加えた。温度を0℃から室温に上昇させながら、混合物を16時間撹拌した。1mLの2MのHCl水溶液の添加、続いて4グラムのNa
2SO
4の添加により、反応混合物をクエンチした。生成した懸濁液を15分間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(40gのSiO
2)で精製することによって、白色の固体として、ジアステレオ異性体AとBの混合物としての表題化合物を得た(2.6g、71%)。LC−MS:[M+H]197.1;Rt 0.52min;(LCMS法1)。A)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.70-8.60 (m, 2H), 7.80-7.74 (m, 1H), 7.42 - 7.32 (m, 1H), 5.28 (dd, 1H), 4.70-4.58 (m, 1H), 2.97 (d, 1H), 2.29-2.12 (m, 1H), 1.65-1.42 (m, 1H), 0.99 (t, 3H). B)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.70-8.60 (m, 2H), 7.80-7.74 (m, 1H), 7.42-7.32 (m, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.70-4.58 (m, 1H), 2.81 (d, 1H), 1.99-1.85 (m, 1H), 1.65-1.42 (m, 1H), 0.94 (t, 3H).
【0170】
b)2−アミノ−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オール
2−ニトロ−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オール(1.0g、4.44mmol)のエタノール(20mL)中溶液をアルゴンでパージし、100mgのラネーニッケルを室温で加えた。反応混合物を3回排気し、水素を再充填した。反応物を室温で16時間撹拌した。次いで、ラネーニッケルをHyflo上で濾過し、EtOHでHyfloを洗浄した。次いで、濾液を濃縮した。残渣を、CH
2Cl
2中MeOH0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(40gのSiO
2)で精製することによって、黄色の油状物として表題化合物を得た(180mg、21%)。LC−MS:[M+H]167.1;Rt 0.21min;(LCMS法1)。
【0171】
c)4−エチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン
2−アミノ−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オール(150mg、0.90mmol)のCH
2Cl
2(5mL)中溶液に、アルゴン下、0℃で、NEt
3(314μL、5.63mmol)を加えた。次いで、ジホスゲンを5分間の期間にわたり加え、温度を2時間以内で0℃から室温に温めておいた。反応混合物を氷冷水およびNa
2CO
3の2M溶液でクエンチし、CH
2Cl
2で抽出し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、ジアステレオ異性体AとBの混合物として、表題化合物を得た(100mg、58%)。LC−MS:[M+H]193.1;Rt 0.43min;(LCMS法1)。A)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.70-8.62 (m, 1H), 8.60-8.56 (m, 1H), 7.76-7.71 (m, 1H), 7.42-7.35 (m, 1H), 5.78 (d, 1H), 4.08-3.98 (m, 1H), 1.21-1.05 (m, 2H), 0.84 (t, 3H). B)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.70-8.62 (m, 2H), 7.80-7.76 (m, 1H), 7.42-7.35 (m, 1H), 5.21 (d, 1H), 3.75-3.68 (m, 1H), 1.89-1.69 (m, 2H), 1.05 (t, 3H).
【0172】
中間体8:4−メチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン
【0173】
【化16】
【0174】
a)2−ニトロ−1−ピリジン−3−イル−プロパン−1−オール
LiAlH
4(THF中2M)(1.4mL、2.8mmol)の乾燥THF(110mL)中溶液に、アルゴン下、0℃で、1−ニトロエタン(2.00mL、28mmol)をゆっくりと加えた。0℃で20分後、ニコチンアルデヒド(2.64mL、28mmol)を一度に加えた。温度を0℃から室温に上昇させながら、混合物を16時間撹拌した。5mLの1M HClの添加、続いてCH
2Cl
2およびNa
2SO
4の添加により、反応混合物をクエンチした。生成した懸濁液を15分間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮した。次いで、残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(40gのSiO
2)で精製することによって、油状物として、ジアステレオ異性体混合物としての生成物を得た(3.2g、63%)。LC−MS:[M+H]183.4;Rt0.41 min;(LCMS法1)。A)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.58-8.48 (m, 2H), 7.68 (d, 1H) 7.33 - 7.23 (m, 1H) 5.42-5.38 (m, 1H), 4.70-4.60 (m, 1H), 3.30-2.90 (brs, 1H), 1.46 (d, 3H). B)
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.58-8.48 (m, 2H), 7.68 (d, 1H) 7.33 - 7.23 (m, 1H) 5.04 (d, 1H), 4.76-4.69 (m, 1H), 3.30-2.90 (brs, 1H), 1.31 (d, 3H).
【0175】
b)4−メチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン
2−ニトロ−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オール(3.20g、17.6mmol)のエタノール(90mL)中溶液を、アルゴンでパージし、200mgのラネーニッケルを室温で加えた。反応混合物を3回排気し、水素を再充填した。反応物を、H2下、室温で16時間撹拌した。次いで、ラネーニッケルをHyflo上で濾過し、EtOHでHyfloを洗浄した。次いで、濾液を濃縮することによって、生成物として、2−アミノ−1−ピリジン−3−イル−プロパン−1−オールを得た(2.35g、88%)。これを、次の反応ステップにおいて精製なしで使用した。2−アミノ−1−ピリジン−3−イル−プロパン−1−オール(700mg、4.60mmol)のCH
2Cl
2(20mL)中溶液に、アルゴン下、0℃でEt
3N(1.60mL、11.5mmol)を加え、続いてトリホスゲン(819mg、2.76mmol、5mLのCH
2Cl
2中に溶解)を加えた。反応温度を1時間以内に0℃から室温に温めておいた。次いで、反応混合物を氷冷水およびNa
2CO
3の2M溶液でクエンチし、CH
2Cl
2で抽出し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、生成物を得た(160mg、20%)。LC−MS:[M+H]179.1;Rt 0.31min;(LCMS法1)。
【0176】
中間体9:(4S,5S)−4−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン
【0177】
【化17】
【0178】
a)(4S,5S)−4−ヒドロキシメチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン
(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニルプロパン−1,3−ジオール(20.0g、120mmol)、炭酸ジエチル(29.7mL、245mmol)、およびK
2CO
3(1.65g、12.0mmol)を、機械撹拌装置およびvigreux−カラム付のフラスコに充填した。この懸濁液を油浴内で、135℃で加熱することによって、黄色の溶液を得た。未収のEtOHをvigreuxカラム上で留去した。EtOHがこれ以上の留去できなくなるまで反応物を3hの期間にわたり撹拌した。次いで、反応混合物を50℃に冷却し、EtOAcおよびNaHCO
3水溶液で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc33%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(550gのSiO
2)で精製することによって、ベージュ色の油状物として、表題化合物を得た(7.50g、33%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): 7.87 (br s, 1H), 7.50-7.30 (m, 5H), 5.37 (d, 1H), 5.23-5.17 (m, 1H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 2H).
【0179】
b)(4S,5S)−4−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン
(4S,5S)−4−ヒドロキシメチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(3.50g、17.2mmol)、NEt
3(4.80mL、34.4mmol)、およびDMAP(105mg、861μmol)のDMF(20mL)中溶液に、室温でTBDPSCl(4.86mL、18.9mmol)を滴加した。反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、TBMEで希釈し、有機層を分離し、NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜60%を使用するカラムクロマトグラフィー(120gのSiO
2)で精製することによって、白色の固体として、表題化合物を得た(4.28g、57%)。LC−MS:[M+H]432.2;Rt 1.36min;(LCMS法2)。
【0180】
中間体10:(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0181】
【化18】
(4S,5S)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン[545435−91−4](0.68g、3.05mmol)およびイミダゾール(0.249g、3.66mmol)のDMF(10mL)中溶液に、0〜5℃でTBDPSCl(0.97mL、3.66mmol)を滴加した。反応混合物をRTに温め、RTで一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留する油をTBME中に溶解し、10%のKHSO
4、H
2O、NaHCO
3飽和溶液およびブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc5%〜50%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、白色の泡状物として、表題化合物を得た(1.62g、55%)。TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.44;LC−MS:[M+H]462;Rt 1.36min;(LCMS法2)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.65 (d, 4H), 7.35-7.60 (m, 6H), 7.24 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 5.24 (d, 1H), 5.20 (br s, 1H), 3.84 (m, 4H), 3.77 (m, 2H), 1.09 (s, 9H).
【0182】
中間体11:(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0183】
【化19】
【0184】
a)(R)−メチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(4−(2−エトキシエトキシ)フェニル)プロパノエート
(R)−メチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパノエート(4.43g、15.00mmol)、K
2CO
3(4.15g、30.0mmol)およびヨウ化ナトリウム(112mg、750μmol)のアセトニトリル(100mL)中懸濁液に、1−ブロモ−2−メトキシエタン(5.64mL、60.0mmol)を加え、生成した混合物を2日間還流させながら撹拌した。反応混合物をTBMEで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄した。合わせた抽出物をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮することによって、黄色の油状物として、表題化合物を得た(5.3g、95%)。TLC(トルエン/TBME2:1)R
f=0.44;t
R=1.084min(UPLC1);LC−MS:[M+H]354;Rt 1.02min;(LCMS法2);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 7.05 (d, 2H), 6.88 (d, 2H), 4.96 (br d, 1H), 4.58 (m, 1H), 4.12 (dd, 2H), 3.76 (dd, 2H), 3.73 (s, 3H), 3.47 (s, 3H), 3.05 (m, 2H), 1.44 (s, 9H).
【0185】
b)(4R,5S)−メチル5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)−2−オキソオキサゾリジン−4−カルボキシレート
(R)−メチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパノエート(5.34g、14.35mmol)のアセトニトリル(260mL)中溶液に、アルゴン下で、過硫酸カリウム(7.76g、28.7mmol)のH
2O(190mL)中溶液およびH
2O(70mL)中に溶解したCuSO
4(0.458g、2.87mmol)溶液を加えた。生成した混合物を70℃で3h撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc20%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、黄色の油状物として、表題化合物を得た(2.33g、52%)。TLC(ヘプタン/EtOAc1:2)R
f=0.19;t
R=0.680min(UPLC1);LC−MS:[M+H]296;Rt 0.68min;(LCMS法2);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.36 (d, 2H), 6.99 (d, 2H), 5.86 (br d, 1H), 5.62 (d, 1H), 4.30 (d, 1H), 4.16 (dd, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.79 (dd, 2H), 3.48 (s, 3H).
【0186】
c)(4S,5S)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン
(4R,5S)−メチル5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)−2−オキソオキサゾリジン−4−カルボキシレート(2.30g、7.79mmol)のEtOH(45mL)中懸濁液に、0〜5℃で水素化ホウ素ナトリウム(648mg、17.1mmol)を少しずつ加えた。反応混合物をRTで0.5h撹拌し、次いで、4MのHCl水溶液(10mL)で、0〜5℃で酸性化した。反応混合物を濃縮し、生成物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮することによって、ベージュ色の泡状物として、表題化合物を生成した(1.80g、81%)。t
R=0.498min(UPLC1);LC−MS:[M+H]268;Rt 0.55min;(LCMS法2);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.31 (d, 2H), 6.96 (d, 2H), 6.45 (br s, 1H), 5.33 (d, 1H), 5.30 (br s, 1H), 3.75-4.30 (m, 7H), 3.47 (s, 3H).
【0187】
d)(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)−オキサゾリジン−2−オン
中間体10[(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン]に対して記載されている手順と同様に、(4S,5S)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オンおよびTBDMS−Clから表題化合物を調製することによって、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン中EtOAc5%〜50%を使用)による精製後、淡黄色の油状物として、中間体11を生成した。TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.26;t
R=1.28min(UPLC1);LC−MS:[M+H]382.2;Rt 1.17min;(LCMS法2);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.30 (d, 2H), 6.97 (d, 2H), 5.44 (br s, 1H), 5.23 (d, 1H), 4.18 (dd, 2H), 3.70-3.85 (m, 5H), 3.48 (s, 3H), 0.91 (s, 9H), 0.11 (s, 6H).
【0188】
中間体12:(4S,5S)−5−(4−(2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)−4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキサゾリジン−2−オン
【0189】
【化20】
(R)−メチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートおよび(2−ブロモエトキシ)(tert−ブチル)ジメチルシランから開始して、中間体11に対して記載されている手順と同様に表題化合物を調製した。TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.51;t
R=1.764min(UPLC1);LC−MS:[M+H]482;Rt 1.57min;(LCMS法1);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.31 (d, 2H), 6.96 (d, 2H), 5.26 (br s, 1H), 5.22 (d, 1H), 4.13 (m, 2H), 4.00 (m, 2H), 3.79 (m, 1H), 3.67 (m, 2H), 0.93 (s, 9H), 0.92 (s, 9H), 0.11 (m, 12H).
【0190】
中間体13:(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−(3−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロポキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0191】
【化21】
(R)−メチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートおよび(3−ブロモプロポキシ)(tert−ブチル)ジメチルシランから開始して、中間体12に対して記載されている手順と同様に表題化合物を調製した。TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.49;t
R=1.832min(UPLC1);LC−MS:[M+H]496;Rt 1.62min(LC−MS法1);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.30 (d, 2H), 6.95 (d, 2H), 5.27 (br s, 1H), 5.22 (d, 1H), 4.13 (dd, 2H), 4.00 (m, 2H), 3.80 (m, 3H), 3.74 (m, 2H), 2.01 (m, 2H), 0.93 (s, 9H), 0.91 (s, 9H), 0.10 (s, 6H), 0.06 (s, 6H).
【0192】
中間体14:(4S,5R)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
【0193】
【化22】
【0194】
a)(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−チアゾール−2−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Boc−L−alanal(9.99g、57.7mmol)を200mLのCH
2Cl
2中に溶解した。70mLのCH
2Cl
2中に溶解した2−(トリメチルシリル)−チアゾール(9.90g、62.9mmol)を、アルゴン下、−20℃で反応混合物に加えた。21時間後−20℃で、反応混合物を濃縮した。次いで、TBAF(THF中1M、63.4mL、63.4mmol)を加えた時点で、残渣を180mLのTHF中に溶解し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(120gのSiO
2)で精製することによって、ジアステレオマー混合物として、表題化合物を得た(14.0g、93%)。LC−MS:[M+H]259.2;Rt 0.78min;(LCMS法1)。
【0195】
b)2−アミノ−1−チアゾール−2−イル−プロパン−1−オール
2−ヒドロキシ−1−メチル−2−チアゾール−2−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(13.8g、53.4mmol)を50mLのジオキサン中に溶解した。ジオキサン中の134mL(534mmol)の4M HClを加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣をジエチルエーテルで希釈し、濾過することによって、白色塩として、ジアステレオマー混合物としての表題化合物を得た(11.5g、92%)。LC−MS:[M+H]159.1;Rt 0.22min;(LCMS法1)。
【0196】
c)(4S,5R)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
2−アミノ−1−チアゾール−2−イル−プロパン−1−オール(4.20g、18.2mmol)のジアステレオ異性体混合物を、160mLのCH
2Cl
2中に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(11.1mL、63.6mmol)を0℃で加え、続いて40mLのCH
2Cl
2中に溶解したトリホスゲン(2.70g、9.09mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いでCH
2Cl
2で希釈した。有機溶媒を分離し、NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用する残渣をカラムクロマトグラフィー(80gのSiO
2)で精製することによって、単一のエナンチオマーとして表題化合物を得た(2.16g、64%)。LC−MS:[M+H]185.3;Rt 0.45min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 7.75 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 5.60 (br s, 1H), 5.32 (d, 1H), 4.18-4.09 (m, 1H), 1.45 (d, 3H).
【0197】
中間体15:(4S,5S)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
【0198】
【化23】
(1S,2S)−2−アミノ−1−チアゾール−2−イル−プロパン−1−オールおよび(1R,2S)−2−アミノ−1−チアゾール−2−イル−プロパン−1−オール(2.9g、12.5mmol)のCH
2Cl
2(40mL)中混合物に、アルゴン下、0℃でNEt
3(10.5mL、75mmol)を加えた。次いで、40mLのCH
2Cl
2中に溶解したトリホスゲン(1.86g、6.27mmol)をゆっくりと加え、温度を0℃から室温に温めておいた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NaHCO
3水溶液の添加によりクエンチした。有機層を分離し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得た(330mg、13%)。LC−MS:[M+H]185.0;Rt 0.48min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 7.79 (d, 1H), 7.34 (d, 1H), 5.91 (d, 1H), 5.71 (br s, 1H), 4.48-4.38 (m, 1H), 0.89 (d, 3H).
【0199】
実施例化合物の合成
【0200】
実施例1:(4S,5R)−3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
【0201】
【化24】
a)(4S,5R)−3−(6−クロロ−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
(4S,5R)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン(中間体14)(4.70g、20.1mmol)を70mLのDMF中に溶解し、0℃に冷却した。NaH(964mg、油中60%、24.1mmol)をアルゴン下で加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。30mLのDMF中に溶解した4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イル)モルホリン(3.70g、20.1mmol)を加え、反応混合物を0℃で3時間撹拌し、続いてRTで2時間撹拌した。次いで反応物を、NH
4Cl水溶液の添加によりクエンチし、続いてEtOAcで希釈した。有機溶媒を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(80gのSiO
2)で精製することによって、表題化合物を得た(3.64g、48%)。LC−MS:[M+H]382.2、384.1;Rt 1.10min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 7.77 (d, 1H), 7.38-7.33 (m, 2H), 5.39 (d, 1H), 5.07-4.98 (m, 1H), 3.75-3.55 (m, 8H), 1.64 (d, 3H).
【0202】
b)(4S,5R)−3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン
ステップa)で得た、(4S,5R)−3−(6−クロロ−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン(1.30g、3.40mmol)の20mLのジメトキシエタン中溶液に、アルゴン下で、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(1.08g、3.75mmol)、PdCl
2(dppf)−CH
2Cl
2(214mg、262μmol)、および2Mの炭酸ナトリウム水溶液(5.11mL、10.2mmol)を加えた。反応混合物を80℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物をRTに冷却し、80mLのEtOAcで希釈し、有機溶媒をNH
4Cl水溶液およびブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜100%を使用するカラムクロマトグラフィー(80gのSiO
2)で精製することによって、非晶質の固体として実施例1を得た(1.20g、69%)。LC−MS:[M+H]509.0;Rt 0.99min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): 8.58 (s, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.64 (br s, 2H), 7.41 (s, 1H), 5.89 (d, 1H), 5.10-5.04 (m, 1H), 3.75-3.55 (m, 8H), 1.62 (d, 3H).
【0203】
実施例2:(4S
*,5S
*)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0204】
【化25】
a)(4S
*,5S
*)−3−(6−クロロ−2−モルホリノピリミジン−4−イル)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
(4R
*,5R
*)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン(中間体2)(217mg、0.98mmol)のDMF(2mL)中溶液に、アルゴン下、室温でNaH(51.4mg、1.18mmol)を加えた。20分後、4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イル)モルホリン(230mg、0.98mmolのDMF(1mL)中懸濁液を加え、反応混合物を85℃で20分間撹拌した。溶液を、0℃で、NH
4Cl水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。この粗生成物を、ヘキサン中EtOAc0%〜20%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって白色の固体として、表題化合物を得た(375mg、91%)。LC−MS:[M+H]419.1;Rt 1.26min;(LCMS法1)。
【0205】
b)(4S
*,5S
*)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
ステップa)で得た、(4R
*,5R
*)−3−(6−クロロ−2−モルホリノピリミジン−4−イル)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オンのDME(2mL)中溶液に、アルゴン下、室温で5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(76mg、0.26mmol)、Na
2CO
3(0.36mL、0.72mmol)2M水溶液およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(27.6mg、24μmol)を加えた。混合物を80℃で1時間撹拌し、RTに冷却し、濃縮した。残渣を、ヘキサン中EtOAc0%〜20%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、黄色の油状物として、表題化合物を得た(125mg、95%)。LC−MS:[M+H]546.2;Rt 1.17min;(LCMS法1)。
1H NMR (400 MHz, CHCl
3-d): 8.63 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.31 (d, 2H), 6.96 (d, 2H), 5.49 (br s, 2H), 5.27 (d, 1H), 4.66-4.61 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.80-3.73 (m, 8H), 2.30-2.00 (m, 2H), 1.08 (t, 3H).
【0206】
実施例3:(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
【0207】
【化26】
a)(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−3−(6−クロロ−2−モルホリノピリミジン−4−イル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
アルゴンでパージした後、(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−メトキシフェニル)−オキサゾリジン−2−オン(中間体10)(1.65g、3.57mmol)、4−(4,6−ジ−クロロピリミジン−2−イル)−モルホリン(920mg、3.93mmol)およびCs
2CO
3(1.75g、5.36mmol)のジオキサン(20mL)中溶液に、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(145mg、250μmol)およびPd
2(dba)
3(65mg、0.071mmol)を加え、反応混合物を100℃で5h加熱した。反応混合物を10%のNaHCO
3水溶液に加え、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜50%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、白色の固体として、表題化合物を得た(2.33g、94%)。TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.52;LC−MS:[M+H]659、661;Rt 1.58min;(LCMS法2)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): 7.64 (m, 4H), 7.54 (s, 1H), 7.55-7.35 (m, 6H), 7.26 (m, 2H), 6.95 (d, 2H), 5.21 (d, 1H), 4.56 (m, 1H), 4.22 (dd, 1H), 3.96 (dd, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.60-3.40 (m, 8H), 1.09 (s, 9H).
【0208】
b)(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
ステップa)で得た、(4S,5S)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−3−(6−クロロ−2−モルホリノピリミジン−4−イル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン(150mg、228μmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−4−(トリフルオロ−メチル)ピリミジン−2−アミン(108mg、364μmol)、20%のNa
2CO
3水溶液(0.24mL、2.28mmol)、およびPdCl
2(dppf)−CH
2Cl
2(18.6mg、23μmol)のDME(2mL)中溶液を、アルゴン下、80℃で8h撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO
3飽和溶液、H
2Oおよびブラインで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中EtOAc0%〜33%を使用するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、淡黄色の泡状物として表題化合物を得た(68mg、28%):TLC(ヘプタン/EtOAc1:1)R
f=0.32;t
R=1.663min(UPLC1);LC−MS:[M+H]786;Rt 1.48min;(LCMS法2)。
【0209】
c)(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
ステップb)で得た、(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン(68mg、65μmol)のTHF(2mL)中溶液に、0℃でTHF中1M TBAF(0.05ml、0.05mmol)を滴加し、生成した混合物を0℃で30minおよびRTで1h撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を、ヘキサン/CH
2Cl
2/MeOH比、100:100:5〜0:100:5を使用するカラムクロマトグラフィーで精製し、続いて分取HPLC(Waters Sun Fire C18、30×100mm、5um;0.1%TFA−水/アセトニトリル;勾配アセトニトリル、20minで30〜50%)で精製することによって、白色の固体として表題化合物を得た(18mg、50%);TLC(CH
2Cl
2/MeOH19:1)R
f=0.40;t
R=0.998min(UPLC1);LC−MS:[M+H]548;Rt 0.96min;(LCMS法2)。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6): 8.60 (s, 1H), 7.64 (br s, 2H), 7.53 (s, 1H), 7.34 (d, 2H), 7.00 (d, 2H), 5.58 (d, 1H), 5.32 (t, 1H), 4,59 (m, 1H), 4.00 (m, 1H), 3.82 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.75-3.55 (m, 8H).
【0210】
実施例4〜14
以下の表1の中の実施例4〜14は、適当なボロン酸エステル中間体およびオキサゾリジノンを使用し、実施例1〜3に記載されているものと類似の手順を使用して作ることができる。
【0211】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0212】
生物活性
本発明による化合物の活性は、以下のインビトロおよびインビボの方法により評価することができる。
【0213】
化合物希釈物の調製(384−ウェル)
試験化合物をDMSO(10mM)中に溶解し、個々のNovartisコンパウンドハブにより、独自の2Dマトリクスチップを保持する1.4mLの平底またはV形状のマトリクス管に移した。これらのチップの数は、Novartis Pharma Numbersにはっきりと連結されていた。直ちに使用しない場合、保存液は−20℃で保存した。試験手順に対して、バイアルは霜取りし、スキャナーで特定し、これによって、作業シートを作成し、これに従いそれに続く作業ステップを行った。
【0214】
化合物は、記載されているように、個々の実験(8つの濃度(シングルポイント)で10の化合物を可能とする96ウェル)用にDMSO中で、手作業で希釈するか、または384−ウェルでプロファイリング用に試験する場合、以下に記載されているように調製した。このフォーマットは、4つの参照化合物を含む、8つの濃度(シングルポイント)で、最大40の個々の試験化合物のアッセイを可能にした。希釈プロトコルには、「事前希釈プレート」、「マスタープレート」および「アッセイプレート」の生成が含まれる。
【0215】
事前希釈プレート:96ポリプロピレンウェルプレートを事前希釈プレートとして使用した。プレート位置A1〜A10上にそれぞれ10の試験化合物を含み、1つの標準化合物をA11に、1つのDMSO対照をA12に含む、全部で4つの事前希釈プレートを調製した。希釈ステップのパターンは表1に要約されている。プログラムは、これらのピペットステップを、HamiltonSTARロボットで実行するように書かれている。
【0216】
【表2】
【0217】
マスタープレート:4つの「事前希釈プレート」の標準化合物および対照を含む、個々の化合物希釈物100μLを、それぞれ90%DMSO中の以下の濃度、1’820、564、182、54.6、18.2、5.46、1.82および0.546μMを含む、384の「マスタープレート」に移した。
【0218】
アッセイプレート:次いで、「マスタープレート」の化合物希釈物のそれぞれ50nLを384−ウェル「アッセイプレート」へとピペットで取ることによって同一の「アッセイプレート」を調製した。化合物を、1:181希釈に対応するアッセイ成分4.5μLプラス酵素4.5μLと混合し、それぞれ10、3.0、1.0、0.3、0.1、0.03、0.01および0.003μMの最終濃度を可能にした。「マスタープレート」の調製は、Matrix PlateMate Plusロボットで、「アッセイプレート」の複製はHummingBirdロボットで操作した。
【0219】
発現構造体を生成する方法
触媒活性物質ヒトPI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、およびmTORを、記載されているように、クローン化し、発現させ、精製した(Maira SM、Stauffer F、Brueggen J、Furet P、Schnell C、Fritsch C、Brachmann S、Chene P、de Pover A、Schoemaker K、Fabbro D、Gabriel D、Simonen M、Murphy L、Finan P、Sellers W、Garcia-Echeverria C (2008)、Mol Cancer Ther.7:1851〜63頁およびMaira SM、Pecchi S、Brueggen J、Huh K、Schnell C、Fritsch C、Nagel T、Wiesmann M、Brachmann S、Dorsch M、Chene P、Schoemaker K、De Pover A、Menezes D、Fabbro D、Sellers W、Garcia-Echeverria C、Voliva CF (2011)、Mol. Cancer Ther. 受理済み)。
【0220】
PI3Kアルファ、PI3Kベータに対する生化学的試験法
ルミネセンスベースのATP検出試薬KinaseGloを、Catalys、Wallisellen、Switzerlandを介してPromega、(Cat.No.V6714、Lot No.236161)から入手した。(L−アルファ−ホスファチジルイノシトール(PI)、Liver、Bovine)をAvanti Polar Lipid(Cat.No.840042C、Lot#LPI−274)から入手し、ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェート(PIP(4,5)2(Avanti、Cat.No.840046X)またはL−α−ホスファチジルイノシトール(PI)をAvanti Polar Lipid(Cat.No.840042C、Lot#LPI−274)から入手した。L−α−ホスファチジルセリン(PS)は、Avanti Polar Lipid(Cat.No.840032C)製のもので、n−オクチルグルコシドはAvanti Polar Lipid(Cat.No.10634425001)製のものであった。ルミネセンスは、ATP濃度を求めるための確実な読出しであり、したがって、多くのキナーゼの活性を、これらの基質に関わらず追跡調査するために使用されている。Kinase Glo Luminescent Kinase Assay(Promega、Madison/WI、USA)は、キナーゼ反応後に溶液中に残存するATPの量を定量化することによって、キナーゼ活性を測定する均質なHTS方法である。
【0221】
セクション8.2に記載されている通り、50nLの化合物希釈物をブラック384−ウェル低容量Non Binding Styrene(NBS)プレート(Costar Cat.No.NBS#3676)上に分配した。メタノール中10mg/ml溶液として提供されるL−α−ホスファチジルイノシトール(PI)をガラス管に移し、窒素ビーム下で乾燥させた。次いでこれをボルテックスすることにより3%のオクチルグルコシド中に再懸濁させ、4℃で保存した。PI/OGのミックス5μLを、PI3KaおよびPi3Kbサブタイプと共に加えた。最終容量10μLの10mM トリス−HCl pH7.5、3mM MgCl
2、50mM NaCl、0.05%CHAPS、1mM DTTおよび1μM ATPを含有するATP−ミックス5μlの添加によりキナーゼ反応が開始し、反応は室温で生じた。10μlのKinaseGloにより反応を停止し、10mins後、各ウェル当たり0.1秒の統合時間を使用して、Synergy2リーダーにおいてプレートを読み取った。2.5μMのNVP−BGT226(標準)をアッセイプレートに加えることによって、キナーゼ反応の100%阻害を生成し、0%阻害は溶媒ビヒクル(水中90%DMSO)により得た。NVP−BGT226は参照化合物として使用し、これを16の希釈ポイントの形態で(2通り)すべてのアッセイプレートに含めた。
【0222】
各化合物の8つの濃度(普通10、3.0、1.0、0.3、0.1、0.030、0.010および0.003μM)でのパーセンテージ阻害のIC
50値、n=2は、記載されているように、シグモイドの用量反応曲線を、阻害剤の濃度にわたりアッセイの読出しプロットにフィッティングさせることによって導いた。すべてのフィッティングは、プログラムXLfit4(ID Business Solutions、Guildford、UK)を用いて実施した。
【0223】
PI3Kデルタ、PI3Kガンマに対する生化学的試験法
TR−FRET Adapta(商標) Universal Kinase Assay KitをInvitrogen Corporation(Carlsbad/CA、USA)(Cat.No.PV5099)から購入した。キットは以下の試薬を含有している:Adapta Eu−anti−ADP Antibody(HEPES緩衝生理食塩水中のユウロピウム標識した抗ADP抗体、Cat.No.PV5097)、Alexa Fluor(登録商標)647標識したADPトレイサー(Alexa Fluor(登録商標)、HEPES緩衝生理食塩水中の647標識したADPトレイサーCat.No.PV5098)、専売のTR−FRET希釈緩衝液pH7.5(Cat.No.PV3574)。
【0224】
PIK3CD基質ホスファチジルイノシトールをInvitrogenから入手した(50mM HEPES pH7.5中2mM PIからなるベシクル;Cat.No.PV5371)。PIK3CG基質ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェート(PIP(4,5)2をInvitrogenから入手した(PIP2:PS、1mM PIP2:50mM HEPES pH7.5中19mM PS、3mM MgCl2、1mM EGTAからなる大単層ベシクル;Cat.No.PV5100)。
【0225】
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動法(TR−FRET)は、1つの色素(ドナー)内の励起させた電子から、共鳴を介して、隣接する色素(アクセプター)の電子へ伝達され、次いでフォトンとして放出される、2つの隣接する色素間のエネルギー伝達に基づく技術である。このエネルギー伝達は、アクセプターの蛍光発光の増加、およびドナーの蛍光発光の低減により検出される。タンパク質キナーゼに対するTR−FRETアッセイは、化合物の自己蛍光からの干渉または沈殿した化合物からの光散乱を、フラッシュランプ励起源による励起後に遅延を導入することによって克服する、長寿命のランタニドテルビウムまたはユウロピウムキレートをドナー種として使用している。結果は多くの場合、アクセプターおよびドナー蛍光体の強度の比として表現される。このような値のレシオメトリックな(ratiometric)性質は、ウェルの間のアッセイ量の差を補正し、ならびに有色の化合物によるクエンチ作用を補正する。Adapta(商標)アッセイは、2つの段階:キナーゼ反応段階およびADP検出段階に分割することができる。キナーゼ反応段階では、すべてのキナーゼ反応成分をウェルに加え、各キナーゼに対して特異的に設定した期間の間、反応物をインキュベートさせておく。反応後、Eu標識した抗ADP抗体の検出溶液、Alexa Fluor(登録商標)647標識したADPトレイサー、およびEDTA(キナーゼ反応を停止するため)をアッセイウェルに加える。キナーゼ反応で形成されたADPが、抗体からのAlexa Fluor(登録商標)647標識したADPトレイサーに取って代わり、結果としてTR−FRET信号の低減が生じる。阻害剤の存在下では、キナーゼ反応により形成されるADPの量は減少し、結果として得られる、影響無しの抗体トレイサー相互作用は高いTR−FRET信号を維持する。Adapta(商標)アッセイでは、ドナー(ユウロピウム抗ADP抗体)は340nmにおいて励起し、そのエネルギーをアクセプターへと移す(Alexa Fluor(登録商標)647標識したADPトレイサー)。Alexa Fluor(登録商標)647からの発光は、これがドナーの発光ピーク(615/620nmで測定)の間に位置することから、665nmに中心を置くフィルターでモニターすることができる。
【0226】
セクション2.2に記載されている通り、50nLの化合物希釈物を白色の384−ウェル小容量ポリスチレンプレートに分配した。次いで、5μLのPI3KgおよびPI3Kdおよび脂質基質(PIまたはPIP2:PS)、続いて5μLのATP(最終アッセイ量10μL)をRTでインキュベートする。Adapta(商標)TR−FRETアッセイ用の標準反応緩衝液は、10mM Tris−HCl pH7.5、3mM MgCl2、50mM NaCl、1mM DTT、0.05%CHAPSを含有した。Eu標識した抗ADP抗体およびTR−FRET希釈緩衝液中のAlexa Fluor(登録商標)647標識したADPトレイサー(IVG専売)を含有するEDTA混合物5μLで反応を停止させた。15〜60mins後、統合時間0.4秒および遅延0.05秒を使用して、Synergy2リーダーにおいてプレートを読み取る。キナーゼ反応の100%阻害に対する対照は、PI3Kを、標準反応緩衝液で置き換えていることにより実施した。0%阻害に対する対照は、化合物の溶媒ビヒクル(H
2O中90%DMSO)より得た。標準的化合物NVP−BGT226は、参照化合物として使用し、これを16の希釈ポイントの形態で(2通り)すべてのアッセイプレートに含めた。
【0227】
ExcelフィットのソフトウエアまたはGraphpad Prismを使用してデータを分析した。EC
50値は、シグモイド用量反応曲線を、阻害剤濃度にわたりアッセイ読出しプロットにフィッティングさせることによって導かれた。すべてのフィッティングは、プログラムXLfit4(ID Business Solutions、Guildford、UK)を用いて実施した。8つの濃度(普通10、3.0、1.0、0.3、0.1、0.030、0.010および0.003μM)での各化合物のパーセンテージ阻害のEC
50値の測定、n=2は、シグモイドの用量反応曲線を、阻害剤濃度にわたりアッセイ読出しのプロットにフィッティングさせることによって導いた。すべてのフィッティングは、プログラムXLfit4(ID Business Solutions、Guildford、UK)を用いて実施した。
【0228】
mTORに対する生化学的試験法
タンパク質キナーゼに対するTR−FRETアッセイは、化合物の自己蛍光による干渉または沈殿した化合物からの光散乱を、フラッシュランプ励起源による励起後に遅延を導入することによって克服する、長寿命のランタニドテルビウムまたはユウロピウムキレートをドナー種として使用する。結果は、多くの場合、アクセプターとドナー蛍光体の強度の比として表現される。このような値のレシオメトリック性質は、ウェル間のアッセイ量の差を補正し、ならびに有色の化合物によるクエンチ作用を補正する。
【0229】
結合アッセイは、Alexa Fluor(登録商標)647標識した、ATP−競合的キナーゼ阻害剤の、対象となるキナーゼへの結合および置換に基づく。Invitrogenの「キナーゼトレイサー」は、広範囲なキナーゼターゲットに対処するために開発され、ATP−競合的キナーゼ阻害剤に基づくもので、これにより、Invitrogenの「キナーゼトレイサー」はATP部位またはATP部位の構造を変化させるアロステリック部位に結合する任意の化合物の検出に適切となっている。ATP部位に結合する阻害剤は、ATP部位だけに結合するタイプIキナーゼ阻害剤と、ATP部位およびDFG−out(非活性)構造において曝露された疎水性部位の両方に結合するタイプII阻害剤(例えば、Gleevec(登録商標)/イマチニブ、ソラフェニブ、BIRB−796)の両方を含む。III型阻害剤は、ATPと競合しない化合物であり、大まかには、アロステリック阻害剤と呼ばれる。15種の多様なIII型阻害剤の研究では、1種を除く全部の化合物が、活性アッセイに相当する能力で、結合実験において検出されたことが実証された。ただひとつの例外は、基質競合的化合物であり、したがって真のアロステリック阻害剤ではなかった。
【0230】
大部分の蛍光ベースのキナーゼ活性アッセイとは対照的に、LanthaScreen(登録商標)Eu
3+キナーゼ結合実験は、持続的に読み取ることができ、これは、遅い結合反応速度を有する化合物の評価を促進する。また、大部分の活性アッセイとは異なり、結合実験は、活性のあるまたは非活性化したキナーゼ製剤のいずれかを使用して実施することができ、これによって、非活性化キナーゼ、例えば、Gleevec(登録商標)/イマチニブおよび一部のアロステリック阻害剤などに優先的に結合する化合物の特徴付けが可能となる。
【0231】
Lanthascreen(商標)キナーゼ結合実験において、ドナー(Eu
3+−抗GST抗体)は340nmで励起し、そのエネルギーをアクセプター(Alexa Fluor(登録商標)647標識したATP競合的キナーゼ阻害剤=Tracer−314)に移す。Tracer−314(Alexa Fluor(登録商標)647阻害剤)からの発光は、これがドナーの発光ピーク(615/620nmで測定)の間に位置することから、665nmに中心を置くフィルターでモニターすることができる。トレイサー314とEu
3+−抗GST抗体の両方のキナーゼへの結合は、Eu
3+−ドナー蛍光体からトレイサー314上のAlexa−Fluor(登録商標)647−アクセプター蛍光体への高度のFRETを結果として生じる。阻害剤のキナーゼへの結合は、トレイサーとの結合と競合し、結果としてFRETの損失が生じる。
【0232】
セクション2.2に記載されている通り、50nLの化合物希釈物を、白色384−ウェル小容量ポリスチレンプレートに分配した。次いで5μLのGST−mTORおよびユウロピウム−抗GST抗体、続いて5μLのトレイサー−314(最終アッセイ量10μL)をRTでインキュベートする。Lanthascreen(商標)キナーゼ結合実験用の標準反応緩衝液は、50mM HEPES pH7.5、5mM MgCl2、1mM EGTA、0.01%PluronicF−127を含有した。60mins後、統合時間0.2ミクロ秒および遅延0.1ミクロ秒を使用して、Synergy2リーダーにおいてプレートを読み取る。
【0233】
発光比を計算するために、アクセプター(Alexa Fluor(登録商標)647標識したトレイサー−314)から665nmで発光した信号を、ドナー(Eu
3+抗GST抗体)から620nmで発光した信号で割る。
【0234】
0%阻害に対する対照は、化合物の溶媒ビヒクル(H
2O中90%DMSO)より得た。相対的100%阻害に対する対照は、GST−mTORおよびユウロピウム抗GST抗体を含有するミックスに10μMを加えることによって実施した。絶対的0%阻害に対する追加の対照は、GST−mTORなしでのEu
3+抗GST抗体により得る。
【0235】
PI3Kアルファ、ベータおよびデルタに対する細胞アッセイ
AlphaScreen(増幅発光近接均質解析(Amplified Luminescent proximity Homogeneous assay)、ALPHA、Perkin Elmer)は、均質のマイクロタイタープレートフォーマットにおける生体分子の相互作用を研究するための非放射性ビーズベースの近接アッセイ技術である。商品名SureFireは、抗ホスホキナーゼおよび抗キナーゼ抗体からなるマッチさせた抗体ペアを使用することによって、細胞溶解物中の内因性細胞タンパク質のリン酸化を定量化することに適応したAlphaScreenアッセイを意味する。アッセイは、細胞におけるキナーゼシグナル伝達の特徴付けならびにキナーゼ阻害剤作用の測定を可能にする。AlphaScreen技術は、多大な時間を必要とする洗浄手順を回避し、プレートの取扱いを減少させることから、標準的アッセイ技術、例えば、ELISAなどを超えたいくつかの利点を提供する。さらに、AlphaScreenは、少なくとも384−ウェルフォーマットに小型化可能であり、個々のAlphaScreen SureFire アッセイキットに含まれている抗体の親和性に応じて、フェムトモルの範囲までの感度を提供する。高い感度は、一重項酸素分子の生成を含む内因性増幅機構により達成される。SureFireアッセイキットは、特定のターゲットに対して市販されており、有効な抗体のペアを含む(PerkinElmer)。この報告は、AlphaScreen SureFire アッセイに対して適用される一般的手順および細胞ベースアッセイにおける慣用的キナーゼ阻害剤プロファイリングに対してそれぞれ半自動化されたステップについて記載している。
【0236】
活性化したPI3KクラスIアイソフォームRat−1 pBABEpuro Myr−HA−hp110デルタ(Rat−1_PI3Kデルタ)およびRat−1 pBABEpuro Myr−HA−hp110アルファ(Rat−1_PI3Kアルファ)およびRat−1pBABEpuro Myr−HA−hp110ベータ(Rat−1_PI3ベータ)を安定して過剰発現するラット−1細胞株を(Maira SM、Stauffer F、Brueggen J、Furet P、Schnell C、Fritsch C、Brachmann S、Chene P、de Pover A、Schoemaker K、Fabbro D、Gabriel D、Simonen M、Murphy L、Finan P、Sellers W、Garcia-Echeverria C (2008)、Mol Cancer Ther. 7:1851-63頁およびMaira SM、Pecchi S、Brueggen J、Huh K、Schnell C、Fritsch C、Nagel T、Wiesmann M、Brachmann S、Dorsch M、Chene P, Schoemaker K、De Pover A、Menezes D、Fabbro D、Sellers W、Garcia-Echeverria C、Voliva CF (2011)、Mol. Cancer Ther.、受理済み)に記載されている通りに調製した。すべて細胞株は、完全な成長培地内(DMEM高グルコース、10%(v/v)ウシ胎児血清、1%(v/v)MEM NEAA、10mM HEPES、2mM L−グルタミン、ピューロマイシン(Rat−1_PI3KデルタおよびRat−1_PI3Kアルファに対して10μg/mL、Rat−1_PI3ベータに対して4μg/mL)、1%(v/v)Pen/Strep)、90%密集度まで、加湿したCO
2インキュベーター内で、37℃/5%CO
2/90%湿度で培養し、週2回分割した。
【0237】
ラット−1細胞溶解物中のp−AKT(S473)検出用に以下の物質を使用した:Dulbecco改質Eagle培地(DMEM)高グルコース(Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Cat.No.41965)、加熱した不活化ウシ胎児血清、承認済み(HI FBS;Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Lot.No.16140)、MEM非必須アミノ酸(NEAA;Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Cat.No.11140)、HEPES(Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Cat.No.15630)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep、100x;Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Cat.No.15140−122)、L−グルタミン(Gibco Invitrogen、Basel、Switzerland、Cat.No.25030)、ピューロマイシン(Sigma Aldrich、Buchs、Switzerland、Cat.No.P9620)、DMSO(MERCK、Dietikon、Switzerland、Cat.No.8.02912.2500)、H
2O、MilliQ−H
2O(他に述べられていない限り)(MILLIPORE QGARDOOR1、Millipore、Zug、Switzerland)、ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma Aldrich、Buchs、SwitzerlandCat.No.A8412)、SureFire p−Akt1/2(Ser473)アッセイキット(PerkinElmer、Schwerzenbach、Switzerland、Cat.No.TGRAS50K)。
【0238】
p−Akt(S473)SureFireアッセイは、細胞溶解物中のSer473における内因性細胞Akt1/2のリン酸化を測定する。myr−HA−タグ付きバージョンのヒトPI3Kデルタ、PI3Kアルファ、またはPI3Kベータのp110触媒サブユニットアイソフォームを安定して発現するRat−1細胞を使用して、アッセイは、384−ウェルフォーマットの2プレートプロトコルとして開発された。
【0239】
化合物試験のため、細胞を、20μlの完全成長培地中、4000(ラット−1_PI3Kデルタ)、7500(ラット−1_PI3Kアルファ)または6200(Rat−1_PI3Kベータ)細胞の密度で細胞培養処理した384ウェルプレートに播種し、37℃/5%CO
2/90%の湿度で24h培養した。化合物を移す直前に、完全培地を除去し、30μlのアッセイ緩衝液(DMEM高グルコース、1×MEM NEAA、10mM HEPES、2mM L−グルタミン、0.1%(w/v)BSA)を加え、10μlの化合物の前希釈物を細胞に移した。2010年2月以降の試験のため、アッセイ緩衝液を完全な成長培地と置換し、これにより同様の結果が明らかにされた(データは示されていない)。化合物を1h処理した後、0.24%(w/v)BSAを補充した20μlの溶解緩衝液の添加により、細胞を溶解した。全検出量12μl中の細胞溶解物5μlを使用して、製造者の指示書に従い、SureFire p−Akt1/2(Ser473)アッセイキットを用いて、p−AKT(Ser473)の検出を実施した。
【0240】
8つの濃度(普通10、3.0、1.0、0.3、0.1、0.030、0.010および0.003μM)での各化合物のパーセンテージ阻害のIC
50値、n=2は、記載されている通り、シグモイドの用量反応曲線を、阻害剤濃度わたりアッセイ読出しのプロットにフィッティングさせることによって導いた。すべてのフィッティングは、プログラムXLfit4(ID Business Solutions、Guildford、UK)を用いて実施した。
【0241】
mTORに対する細胞アッセイ
細胞ベースのアッセイ(384−ウェルフォーマット)が、TSC1(結節性硬化症複合体1)、mTOR活性の強力な抑制剤が欠如しているマウスから誘導された、MEF(マウス胎仔線維芽細胞)細胞における細胞mTOR活性に対する化合物の作用の測定のために開発された。TSC1の欠如により、mTORは、構成的に活性化され、結果として、mTORの下流ターゲットの1つであるS6キナーゼ1(S6K1)のThr389の永久的リン酸化が生じる。
【0242】
S6K1上のThr389のリン酸化を求めることを可能にするSureFireキットを使用して、細胞溶解物におけるS6K1のホスホ−T389の定量的測定を可能にするアルファ−スクリーニングフォーマットで、アッセイを開発し、有効化し、実行した。mTOR特異的な(またはmTOR経路−)阻害剤でMEFTSC1−/−細胞を処理することにより、S6K1上のホスホ−T389のレベルを投与量依存的に減少させ、IC50値の計算を可能にした。これらは、生化学的mTOR ATP−結合実験を用いて得た値と一致し、mTOR阻害剤の能力の定量的比較を可能にした。
【0243】
TSC1−/−MEF細胞(Kwiatkowski、D. J.、Zhang、H.、Bandura、J. L.、Heiberger、K. M.、Glogauer、M.、el-Hashemite、N.、およびOnda、H. (2002) Hum. Mol. Genet. 11、525-534頁)を、10%FBS(Invitrogen)、2mMグルタミンおよび1%(w/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM高グルコース培地内で、37℃、5%CO
2で培養した。
【0244】
P70S6キナーゼのリン酸化の測定のためのSureFireキットを、Perkin Elmer(p70S6K p−T389、#TGR70S50K)から購入し、供給元の指示に従い、およびSureFireアッセイに対する一般的な方法に従いアッセイを実施した。直ちに、1ウェル当たり5μLの細胞溶解物を384−ウェル白色プロキシプレート(発光の読出し用)に移し、7μLのAおよび5μLのB(最終容量:12μL)と混合した。暗所で、RTでの3hのインキュベーション後、ルミネセンスをEnvision Reader(Perkin Elmer)で読み取った。未処理の細胞を対照(高度の対照)として使用し、3μM BEZ235で処理した細胞を低度の対照として使用した。高度および低度の対照に対して得た信号間のアッセイウィンドウを100%と定義し、化合物作用をパーセント阻害と表現した。グラフの外挿による用量反応曲線からIC50値を計算した。
【0245】
上に記載されたアッセイを使用して得た結果を、以下の表に示す。
【0246】
【表3】
【0247】
【表4】
【0248】
【表5】
【0249】
【表6】
【0250】
【表7】
【0251】
【表8】
【0252】
【表9】
【0253】
【表10】
【0254】
【表11】
【0255】
光安定性
光安定性について調査する試料を、光安定性チャンバー(Atlas CPS+、シリアル番号0704013)内で処置した。各分子に対して1.0mg/mlのエタノール中溶液を調製し、0.5mLのアリコートを適切なミクロ管に分配した。すべての測定は二重に行い、光曝露中にアルミニウムホイルの中に包んだ参照と比較した。溶液を13hにわたり19620kJ/m
2に曝露した。実験中は試料を15℃で保持した。光チャンバー内での処理後、溶液を254nmでUPLC(UPLC 1、実験パート)により分析した。ピーク領域は自動的に統合され、参照試料の対応するピーク領域パーセンテージと曝露した試料の平均ピーク領域パーセンテージとの間の差異として分解パーセンテージが計算された(重複して行う)。
【0256】
この方法を使用して得たデータが以下の表に示されている:
【0257】
【表12】
【0258】
細胞株の増殖に対する抗増殖性阻害
化合物プロファイリングに対して使用された細胞および細胞培養物
SCL−1およびSCC12B2は、自然発生の、あまり区別されていないSCC由来のヒト皮膚扁平上皮癌(SCC)細胞株である。SCL−1細胞株は、HeidelbergにあるCancer Reserach CenterのN.Fusenigの実験室において最初に完成し、そのインビトロでの成長の特徴が正常なケラチノサイトと比較されて、以前に記載された(Neelyら、1991)。このSCC12B2細胞株は、以前に記載されたように(RheinwaldおよびBeckett、1981)、7年間免疫抑制薬療法を受けた、顔の皮膚移植をした男性患者由来のものから完成した。ヒトSCC細胞株Detroit562は、American Tissue Culture Collection(ATCC)から得た。Detroit562は頭部および頸部扁平上皮癌(HNSCC)と呼ばれ、咽頭SCC腫瘍由来のものであった。このDetroit562細胞株は、PIK3CA遺伝子のH1047Rの活性化突然変異を保持する。この突然変異体は、p110α−鎖の「ホットスポット」突然変異体の1つとして公知であり、このキナーゼアイソフォームを構成上活性のあるものにし、増殖因子受容体の活性化に関係なくAkt/mTOR経路を刺激する。すべてのSCC細胞株は、5%FCS(Gibco;#16000−044)、100μMピルビン酸ナトリウム(Gibco;#11360−039)、10mM HEPES(Gibco;#91002−066)、50U/mlペニシリンおよび50μg/mlストレプトマイシン混合物(Gibco;#15070−063)、ならびに2mM L−グルタミン(Gibco;#25030−024)をさらに補充した、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)培地(Gibco;カタログ番号:#10938)内で維持および培養された。すべての濃度は最終濃度として表されている。細胞は、75cm2(Corning;#430641)、または150cm2(Corning、#430825)増殖領域を有する2つのフラスコサイズのいずれかを使用して、換気キャップ付Corning Costarフラスコ内で繁殖させた。細胞培養物は、5%CO2および80%相対湿度(Heraeus型)を含有する雰囲気内で、常に37℃で維持した。
【0259】
細胞増殖の測定
SCCまたはケラチノサイト系(Detroit562、SCC12B2、SCL1、HaCaT)の細胞は、約80%〜90%の密集度に到達した時点で増殖アッセイに使用した。次いで、細胞は、培養物フラスコからトリプシン媒介により除去した後に収集し、10%FCSを含有する培地中で洗浄し、血球計算板でカウントし、5%FCSで完全培地を希釈することによって、細胞密度5×10
4細胞/mlを得た。100μlのこの細胞懸濁液(例えば5000個の細胞)を96−ウェル白色壁組織培養物プレート(Corning−Costar製品#3917)の各ウェルに移した。次いで、細胞をCO
2インキュベーター内に45〜60分間配置することによって沈降させた。その後、試験化合物の所望の最終濃度の2倍を含有する100μlの容量の培地を4つ組ウェルの各ウェルに加えた。4つ組のうちの1つには、対照として、試験製品を含まない100μlの培地を入れた(データの数字において、x軸上に略語no cpdとして示されている)。次いで、細胞培養物を、試験化合物の存在下でまたは不在下で、全部で26〜28時間インキュベートした。化学発光性BrdU細胞増殖ELISA(Roche製品#11 669 915 001)を使用して、細胞DNAへのブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込みに基づき細胞増殖を求めた。簡単に説明すると、BrdU試薬を、完全培地で、1:100で希釈することによって、100μM BrdUの濃度を得た。この溶液から、20μlを各ウェルに加え、細胞培養物を、5%CO
2、37℃で16〜18時間さらにインキュベートした。44〜46時間後、培地を完全に排除し、室温で30分間200μlの定着液(ELISAキットと共に提供)を添加することにより増殖アッセイを停止した。これより後のすべてのインキュベーション、洗液およびアッセイ増殖手順は、製造業者(Roche)により提供されるELISAアッセイマニュアルに記載されているその通りに実施した。DNAへのBrdUの取込みをBrdUに特異的な抗体により検出し、抗体にカップリングしたルシフェラーゼにより媒介される信号生成に基づき定量化した。Victorライト1420ルミネセンスカウンター(PerkinElmer)でルミネセンス発光を測定し、毎秒の相対的発光単位(例えば、データポイントはRLU/sとして示される)として表現した。各ウェルのデータポイントを、Windows(登録商標) Excel表計算に移して平均値および標準偏差値を計算した。Origin7.5(登録商標)ソフトウエアで使用可能なシグモイドのカーブフィッティング関数を使用してこれらの値をプロットした。
【0260】
SCC細胞株において測定された化合物の抗増殖性の効力 これらのSCCおよびケラチノサイト細胞株を使用して得たデータが以下の表に示されている。抗増殖性効力を示すすべての値は、SCC細胞株SCL−1、SCC12B2、Detroit562またはHaCaTケラチノサイト細胞株のいずれかを使用した2つの独立したアッセイで得たナノモルIC
50濃度を示している:
【0261】
【表13】
【0262】
皮膚への浸透
1つの代表的な本発明の化合物の皮膚浸透/透過特性を以下の通り試験した:
【0263】
皮膚の浸透および透過特性を求めるためのインビトロ試験
化合物を、エタノールまたはオレイルアルコールのいずれかと混合したプロピレングリコール中0.5%溶液として、静的フランツ−型拡散セル内に固定したブタの皮膚に塗布した。48時間の曝露時間の終わりに、皮膚(角質層の排除後)およびレシーバー中の薬物濃度を測定した。レシーバーの溶液は、2容量部のリン酸緩衝食塩水(PBS)と1容量部のウシ胎児血清(FCS)の混合物である。
【0264】
【表14】
【0265】
実施例1の化合物は、インビトロで、ブタの皮膚へと十分浸透する一方で、ブタの皮膚を介する透過速度は低く、全身暴露が低いことを示している。ブタの皮膚は、バリア機能および構造に関してヒト皮膚と同様である。
【0266】
局所的に処置したブタの真皮への浸透を求めるインビボ試験
薬物濃度の測定前、幼い、飼い慣らしたブタの背側部の上の小さな皮膚領域(4cm
2)を、異なる時間間隔(2および24h)で、0.5%溶液または懸濁液で局所的に処置した。この実験では、4匹のブタを処置し、化合物を、4つの異なる部位にそれぞれの製剤で投与した。処置した部位を有する皮弁の中央を切開し、除去した。皮弁を広げ、試験部位上に配置した金属ブロックを1分間加熱して、真皮からの表皮の分離を誘発した。緩んだ表皮のシートの排除後、皮節を有する、処置した、表皮を排除した皮膚から1mmの厚さの真皮のシートを調製した。これらのシートから、6mmパンチで得た試料(6mmΦ)を収集し、LC/MSで試験化合物濃度について分析した。表皮の表面に結合した化合物を有する真皮の試料の汚染を注意深く回避しながら、記載されている手順を行った。
【0267】
以下の表は、特定されている製剤において皮膚上へ適用した際の、ブタ真皮への実施例1の化合物の真皮の濃度を提供している。このデータ表は、8回の測定の平均値±平均値の標準誤差(例えば、各時間点に対して分析した8つの皮膚試料)を提供している。
【0268】
【表15】
【0269】
実施例1の化合物は、1回の塗布後、ブタの皮膚に十分に浸透し、インビボで真皮に到達する。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 式(I)の化合物および/または薬学的に許容されるその塩および/または溶媒和物:
【化27】
[式中、
R1はメチル、エチルまたはヒドロキシメチルであり、
R2はフェニルであるか(ここで、このフェニルは、非置換であるか、またはメタ位および/またはパラ位において、メタ位に対してはD、Fもしくはメトキシから、およびパラ位に対してはD、F、メトキシ、C1〜C5−アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4−アルコキシもしくはC1〜C2−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシから独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)、
あるいは
ピリジルであるか(ここで、このピリジルは、非置換であるか、またはメタ位および/もしくはパラ位において、メタ位に対してはD、Fもしくはメトキシから、およびパラ位に対してはD、F、メトキシ、C1〜C5−アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4−アルコキシもしくはC1〜C2−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシから独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)、
あるいは
N、OまたはSから選択される2〜3個のヘテロ原子を含有する5員の単環式ヘテロアリールであり(ここで、この5員の単環式ヘテロアリールは、非置換であるか、またはDもしくはFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されている)、
R3はHまたはメチルである]。
[2] 式(Ib)
【化28】
を有する、[1]に記載の化合物。
[3] R2がフェニルである(ここで、このフェニルは、非置換であるか、またはメタ位および/またはパラ位において、メタ位に対してはD、Fもしくはメトキシから、およびパラ位に対してはD、F、メトキシ、C1〜C5−アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4−アルコキシもしくはC1〜C2−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシから独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)、[1]または[2]に記載の化合物。
[4] R2がピリジルである(ここで、このピリジルは、非置換であるか、またはメタ位および/またはパラ位において、メタ位に対してはD、Fもしくはメトキシから、およびパラ位に対してはD、F、メトキシ、C1〜C5−アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4−アルコキシもしくはC1〜C2−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシから独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)、[1]または[2]に記載の化合物。
[5] R2が、N、OまたはSから選択される2〜3個のヘテロ原子を含有する5員の単環式ヘテロアリールである(ここで、この5員の単環式ヘテロアリールは、非置換であるか、またはDもしくはFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されている)、[1]または[2]に記載の化合物。
[6] R1がメチルである、[1]から[5]のいずれかに記載の化合物。
[7] R1がエチルである、[1]から[5]のいずれかに記載の化合物。
[8] R1がヒドロキシメチルである、[1]から[5]のいずれかに記載の化合物。
[9] (4S,5R)−3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン、
(4S*,5S*)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン、
(4S*,5R*)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン、
(4R*,5R*)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−(3−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5R)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−エチル−5−(チアゾール−2−イル)オキサゾリジン−2−オン、
3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−エチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン、
3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−メチル−5−ピリジン−3−イル−オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−ヒドロキシメチル−5−フェニル−オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリン−4−イル−4’−トリフルオロメチル−[4,5’]ビピリミジニル−6−イル)−4−メチル−5−チアゾール−2−イル−オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン、
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−5−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オンまたは
(4S,5S)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−(4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)オキサゾリジン−2−オン
から選択される、[1]に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
[10] [1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の治療有効量と、1種以上の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[11] [1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の治療有効量と、1種以上の治療的活性助剤とを含む、組合せ。
[12] 対象を治療する方法であって、[1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
[13] 医薬品として使用するための、[1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
[14] 非メラノーマ皮膚がん、非メラノーマ皮膚がんの前悪性段階、または皮膚線維芽細胞の調節不全により引き起こされる他の過剰増殖性皮膚障害の治療において使用するための、[1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
[15] 非メラノーマ皮膚がん、非メラノーマ皮膚がんの前悪性段階、または皮膚線維芽細胞の調節不全により引き起こされる他の過剰増殖性皮膚障害の治療のための医薬品の製造における、[1]から[9]のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。