(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記焼結体を切削加工する際に、前記切削装置を鉛直下方向に移動させるとともに前記粉体層形成装置を鉛直上方向の切削加工に干渉しない位置まで移動させるように構成される、
請求項1に記載の積層造形装置。
前記粉体層形成装置には、前記材料粉体を前記造形領域に吐出する材料吐出部と、前記材料吐出部を開閉させるシャッターと、前記シャッターがスライド可能に収容されるシャッター導通孔と、前記シャッター導通孔の側面と前記シャッターの間の隙間部分を介した前記材料粉体の飛散を防止するシール部材とが設けられる、
請求項3に記載の積層造形装置。
前記材料粉体層を形成しこれを前記レーザ光で焼結する造形サイクルを、前記造形領域における互いに異なる複数の局所領域に対して実行するように構成され、且つ同層における互いに隣接する前記局所領域が部分的に重なるように構成される、
請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の積層造形装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る積層造形装置は、不活性ガスが充満されるチャンバ1内に粉体層形成装置11及び切削装置50が設けられる。本明細書において、「不活性ガス」とは、材料粉体と実質的に反応しないガスであり、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が例示される。
【0015】
また、積層造形装置はチャンバ1内に、造形領域Rを有するベース台4を備え、造形領域Rには、上下方向(
図1の矢印A方向)に移動可能な造形テーブル5が設けられる。換言すれば、造形テーブル5の水平投影面積と造形領域Rとは略一致する。積層造形装置の使用時には、造形テーブル5上に造形プレート7が配置され、その上に材料粉体層8が形成される。なお、以下において造形領域Rとは材料粉体層8を形成することができる領域をいう。また、照射領域とは材料粉体層8に対しレーザ光Lが照射される領域をいう。
【0016】
造形テーブル5の周りには、粉体保持壁26が設けられる。粉体保持壁26と造形テーブル5とによって囲まれる粉体保持空間には、未焼結の材料粉体が保持される。
図1においては不図示であるが、粉体保持壁26の下側には、粉体保持空間内の材料粉体を排出可能な粉体排出部が設けられてもよい。かかる場合、積層造形の完了後に造形テーブル5を降下させることによって、未焼結の材料粉体が粉体排出部から排出される。排出された材料粉体は、シューターガイドによってシューターに案内され、シューターを通じてバケットに収容されることになる。
【0017】
図1に示すように、粉体層形成装置11及び切削装置50は、どちらも同一の水平駆動装置55に設けられる。換言すると、水平駆動装置55は、第1鉛直駆動装置51に設けられた切削装置50と、第2鉛直駆動装置52に設けられた粉体層形成装置11とを備える。水平駆動装置55は、造形領域Rに略平行な水平2軸方向(すなわち、
図1における矢印B方向及び紙面前後方向であって
図2における矢印B方向及び矢印C方向)に切削装置50と粉体層形成装置11とを、ともに移動させる。
【0018】
切削装置50は、加工ヘッド57とスピンドルヘッド60とを有する。加工ヘッド57には、スピンドルヘッド60が設けられ、加工ヘッド57は、第1鉛直駆動装置51を介して、スピンドルヘッド60を鉛直1軸方向(すなわち
図1における矢印A方向)に移動させる。すなわち、スピンドルヘッド60に装着される回転切削工具の高さを調節することができる。なお、第1鉛直駆動装置51は例えばリニアモータである。
【0019】
スピンドルヘッド60は、不図示のエンドミル等の回転切削工具を取り付けて回転させることができるように構成されており、材料粉体を焼結して得られた焼結層の表面や不要部分に対して切削加工を行うことができる。また回転切削工具は複数種類の回転切削工具であることが好ましく、使用する回転切削工具は不図示の自動工具交換装置によって、造形中にも交換可能である。
【0020】
粉体層形成装置11は、
図3〜
図5に示すように、材料収容部11aと、材料吐出部11bと、ブレード11cと、シャッター11dと、シャッター導通孔11eと、シャッター開閉部11fと、シャッター溝ガイド11gと、シール部材11hとを有する。粉体層形成装置11は、第1鉛直駆動装置51とは異なる第2鉛直駆動装置52により鉛直1軸方向(すなわち
図1における矢印A方向)に制御可能に構成される。これにより、切削装置50の高さとは独立に、材料吐出部11bやブレード11cの高さを調節することができる。なお、第2鉛直駆動装置52としては例えばシリンダが挙げられる。
【0021】
材料収容部11aは材料粉体を収容する。なお、材料粉体は、例えば金属粉(例:鉄粉)であり、例えば平均粒径20μmの球形である。材料収容部11aの材料粉体の供給については、例えばチャンバ1外に設けられた別体の装置からダクトを介してエアーで運搬されるとよい。或いは、粉体層形成装置11がチャンバ1内に設けられた別体の装置まで移動して、材料粉体が供給されてもよい。これらの構成はあくまでも例示であり、この限りではない。
【0022】
材料吐出部11bは、材料収容部11aの底部に設けられた貫通孔である。収容された材料粉体は、材料吐出部11bを介して造形領域Rにおける所要の領域に吐出される。後述するように本発明による積層造形においては、所定の層の材料粉体層8の形成にあたり、造形物の大きさに応じて複数回に分けて材料粉体層8の形成を行ってよい。以下、1回の材料粉体層8の形成動作(リコート)につき材料粉体層8が形成される各領域を局所領域という。ブレード11cは、粉体層形成装置11の下部に設けられる。ブレード11cは、材料吐出部11bから吐出された材料粉体を平坦化する。かかる吐出と平坦化とからなる工程により材料粉体層8が形成される。
【0023】
シャッター11dは、シャッター開閉部11fにおけるシャッター溝ガイド11gに嵌合してスライド可能に設けられる。シャッター11dは、材料収容部11aの下方に設けられたシャッター導通孔11eに差し込まれ、シャッター開閉部11fにより材料吐出部11bを開閉可能に構成される。なお、シャッター開閉部11fは、例えばシリンダによりシャッター溝ガイド11gに沿ってシャッター11dを開閉する機構である。シャッター11dの開閉にともない、材料吐出部11bからの材料粉体の吐出の開始と停止が切り替えられる。
図4は、シャッター11dが閉じている状態を示しており、矢印X方向にシャッター11dをスライドさせることで、シャッター11dが開放される(
図5)。なお、切削装置50との物理的干渉に関して問題がなければ、このような一方向スライド型のシャッター11dに限定されず、例えば絞り型のもの、蓋状のもの、分割され互いに逆方向にスライドするもの等であってもよい。
【0024】
更に、特に
図6に示すように、シャッター導通孔11eの側面とシャッター11dの間の隙間部分には、例えば略長方形の断面を有するシール部材11hが設けられ当該隙間部分はシールされる。シャッター11dの開放時に材料粉体の一部を巻き込んで飛散することが考えられるが、このようにシール部材11hを設けることにより、かかる巻き込み飛散を防止することができる。なお、シャッター11dの可動性を考慮して、摩擦係数が小さく耐摩耗性の高いシール部材11hを選択することが好ましい。
【0025】
切削装置50と粉体層形成装置11とは、ともに水平駆動装置55に設けられているものの、同時に使用することは考えにくい。所定の層数の焼結層が形成された後に切削装置50によって切削加工が実施される。したがって、物理的干渉を防止する観点から、切削装置50を使用する場合は、切削装置50を鉛直下方向に移動させるとともに粉体層形成装置11を鉛直上方向に退避させることが好ましい。同様に、粉体層形成装置11を使用する場合は、粉体層形成装置11を鉛直下方向に移動させるとともに切削装置50を鉛直上方向に退避させることが好ましい。また、工具の自動交換を行う際も、粉体層形成装置11を鉛直上方向に退避させることが好ましい。
【0026】
上記のような構成とすることで従来よりも小型なチャンバ1が実現される。また、従来のリコータヘッドは、
図1の矢印B方向に相当する方向に駆動させるための駆動機構(ボールねじ等)がチャンバ1外に設けられるため、チャンバ1の密閉性を高くすることが困難であった。一方、本実施形態では、切削装置50と粉体層形成装置11とが水平方向での駆動装置を水平駆動装置55として共有するため、別途粉体層形成装置11の水平方向での移動のために駆動装置を設ける必要がない。上記のような構成とすることで、より容易にチャンバ1の密閉性が高めることができる。また、造形領域R周辺の構造も簡略化されるため、接近性が向上しメンテナンス等がしやすくなる。
【0027】
レーザ光照射部13は、チャンバ1の上方に設けられる。レーザ光照射部13は、造形領域R上に形成される材料粉体層8の所定箇所にレーザ光Lを照射して照射位置の材料粉体を焼結させる。具体的には、
図2に示すように、レーザ光照射部13は、レーザ光源42と2軸のガルバノミラー43a、43bと集光レンズ44とを有する。なお、各ガルバノミラー43a、43bは、それぞれガルバノミラー43a、43bを回転させるアクチュエータを備えている。
【0028】
レーザ光源42はレーザ光Lを照射する。ここで、レーザ光Lは、材料粉体を焼結可能なレーザであって、例えば、CO
2レーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザ等である。
【0029】
2軸のガルバノミラー43a、43bは、レーザ光源42より出力されたレーザ光Lを制御可能に2次元走査する。特にガルバノミラー43aは、レーザ光Lを
図2の矢印B方向に走査し、ガルバノミラー43bは、レーザ光Lを
図2の矢印C方向に走査する。ガルバノミラー43a、43bは、それぞれ、不図示の制御装置から入力される回転角度制御信号の大きさに応じて回転角度が制御される。かかる特徴により、ガルバノミラー43a、43bの各アクチュエータに入力する回転角度制御信号の大きさを変化させることによって、所望の位置にレーザ光Lを照射することができる。
【0030】
集光レンズ44は、例えばfθレンズであり、レーザ光源42より出力されたレーザ光Lを集光する。なお、集光レンズ44は、レーザ光Lに沿ってレーザ光源42とガルバノミラー43a、43bとの間に位置するように配置されていてもよい。
【0031】
ガルバノミラー43a、43b及び集光レンズ44を通過したレーザ光Lは、チャンバ1に設けられたウィンドウ1aを透過して造形領域Rにおける局所領域に形成された材料粉体層8に照射される。ウィンドウ1aは、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。例えば、レーザ光Lがファイバーレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0032】
次に、不活性ガス給排系統について説明する。不活性ガス給排系統は、チャンバ1に設けられる複数の不活性ガスの供給口及び排出口と、各供給口及び各排出口と不活性ガス供給装置15及びヒュームコレクタ19とを接続する配管を含む。本実施形態では、チャンバ供給口1b、副供給口1e及びヒューム拡散装置供給口17gを含む供給口と、チャンバ排出口1c及び副排出口1fを含む排出口とを備える。
【0033】
チャンバ排出口1cは、チャンバ1の側板に設けられる。また、チャンバ排出口1cに接続するように不図示の吸引装置が設けられるとよい。当該吸引装置は、レーザ光Lの照射経路からヒュームを効率よく排除することを助ける。また、吸引装置によってチャンバ排出口1cにおいて、より多くの量のヒュームを排出することができ、造形空間1d内にヒュームが拡散しにくくなる。
【0034】
チャンバ供給口1bは、ベース台4の端上に所定の照射領域を間に置いてチャンバ排出口1cに対面するように設けられる。かかる構成により、常に同じ方向に不活性ガスの流れを作り出し、安定した焼結を行える点で有利である。
【0035】
また、本実施形態の不活性ガス給排系統は、チャンバ排出口1cに対面するようにチャンバ1の側板に設けられヒュームコレクタ19から送給されるヒュームが除去された清浄な不活性ガスを造形空間1dに供給する副供給口1eを備える。更に、チャンバ排出口1cの上側に設けられチャンバ1の上側に残留するヒュームを多く含む不活性ガスを排出する副排出口1fを備える。
【0036】
チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うようにヒューム拡散装置17が設けられる。ヒューム拡散装置17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間17dが設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔17eが設けられており、ヒューム拡散装置供給口17gを通じて不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスは細孔17eを通じて清浄室17fに充満される。そして、清浄室17fに充満された清浄な不活性ガスは、開口部17bを通じてヒューム拡散装置17の下方に向かって噴出される。この噴出された清浄な不活性ガスは、レーザ光Lの照射経路に沿って流れ出てレーザ光Lの照射経路からヒュームを排除し、ウィンドウ1aがヒュームによって汚れることを防止する。
【0037】
チャンバ1への不活性ガス供給系統には、不活性ガス供給装置15と、ヒュームコレクタ19が接続されている。不活性ガス供給装置15は、不活性ガスを供給する機能を有し、例えば、周囲の空気から窒素ガスを取り出す膜式窒素セパレータを備える装置である。本実施形態では、
図1に示すように、チャンバ供給口1b及びヒューム拡散装置供給口17gと接続される。
【0038】
ヒュームコレクタ19は、その上流側及び下流側にそれぞれダクトボックス21、23を有する。チャンバ1からチャンバ排出口1c及び副排出口1fを通じて排出されたヒュームを含む不活性ガスは、ダクトボックス21を通じてヒュームコレクタ19に送られ、ヒュームコレクタ19においてヒュームが除去された清浄な不活性ガスがダクトボックス23を通じてチャンバ1の副供給口1eへ送られる。このような構成により、不活性ガスの再利用が可能になっている。
【0039】
ヒューム排出系統として、
図1に示すように、チャンバ排出口1c及び副排出口1fとヒュームコレクタ19とがダクトボックス21を通じてそれぞれ接続される。ヒュームコレクタ19においてヒュームが取り除かれた後の清浄な不活性ガスは、チャンバ1へと返送され再利用される。
【0040】
本発明に係る小型で密閉性の高いチャンバ1においては、不活性ガスが充満するまでの時間が短縮され、低酸素雰囲気の維持が容易となる。また、チャンバ1を循環する不活性ガスの風量も増加するためヒューム処理の効率が上がり、造形速度や造形物の品質が向上する。
【0041】
次に、
図1及び
図7〜
図14を用いて、上記の積層造形装置を用いた積層造形方法について説明する。なお、
図7〜
図14では、視認性を考慮し
図1では示していた構成要素を一部省略している。
【0042】
まず、造形テーブル5上に造形プレート7を載置した状態で造形テーブル5の高さを適切な位置に調整する(
図7)。次に、水平駆動装置55を
図7における開始位置から矢印B−方向に移動させる。このとき水平駆動装置55に設けられる粉体層形成装置11と切削装置50とは、ともに位置が制御されることとなる(
図8)。
【0043】
続いて、第2鉛直駆動装置52を用いて粉体層形成装置11を
図8における矢印A−方向に移動させる。このとき、第2鉛直駆動装置52は第1鉛直駆動装置51と別体であるため、粉体層形成装置11を移動させても切削装置50の位置は変化しない。なお、ここでは不図示であるが、必要に応じて第1鉛直駆動装置51を用いて切削装置50を鉛直上方向に退避させてもよい。
【0044】
仮に鉛直1軸についても駆動装置を共有してしまうと、かかる粉体層形成装置11の矢印A−方向への移動とともに切削装置50も同方向へ移動し、スピンドルヘッド60に取り付けられた回転切削工具(不図示)が造形テーブル5や造形プレート7と干渉するおそれがある。すなわち、干渉のおそれがほとんど無い水平2軸方向について駆動装置を共有することで装置全体の小型を実現させるとともに、鉛直1軸方向については異なる駆動装置とすることで、物理的な干渉を防止している。
【0045】
続いて、シャッター11dがシャッター開閉部11fにより開放されることで、材料吐出部11bから造形プレート7上に材料粉体が吐出される(
図9)。更に、水平駆動装置55が再び矢印B−方向に移動することで、ブレード11cが
図9において吐出された材料粉体を均し、材料粉体層8が局所領域に形成される(
図10)。このようにして材料粉体層8を形成した後、シャッター11dをシャッター開閉部11fにより閉鎖し、材料粉体の吐出を停止する。そして、第2鉛直駆動装置52によって粉体層形成装置11を鉛直上方向の切削加工に干渉しない位置まで移動させる。
【0046】
続いて、粉体層形成装置11及び切削装置50は、水平駆動装置55によって退避位置に移動される。そして、レーザ光照射部13よりレーザ光Lが材料粉体に照射され、焼結層81faが形成される(
図11)。なお、退避位置としては、
図11に示す位置に限らずレーザ光Lを遮断することがない位置であれば十分機能すると解する。
【0047】
すなわち、1つの局所領域に対して、材料粉体層8を形成しこれをレーザ光Lで焼結する工程(以後、「造形サイクル」と称する。)が実行されることとなる。
【0048】
続いて、
図12に示すように、造形テーブル5の高さを維持したまま焼結層81faと矢印C方向(すなわち、
図11においては焼結層81faよりも紙面奥方向)に略隣接する次の局所領域において造形サイクルが実行される。こうして、焼結層81faに略隣接する新たな焼結層81fbが形成される(
図13)。当該造形サイクルを局所的に実行する構成であるため、このように同一の高さにおける焼結層の形成を矢印C方向について2回以上(本例では2回)に分けて行うことができる。
【0049】
すなわち、粉体層形成装置11のC方向の長さ(
図3における奥行きd)を従来に比して短くし小型化を実現することができる。また小型化できるからこそ、粉体層形成装置11を切削装置50と同一の水平駆動装置55に設けることが可能となる。結果として、チャンバ1を従来に比して1/2程度に小さくすることができる。
【0050】
なお、各局所領域における焼結層の端面は他の部分と比べて造形密度が低くなる。そのため、同じ造形テーブル5の高さに係る焼結層を形成するにあたり、
図12、
図13に示すように、同層における互いに隣接する局所領域が部分的に重なることが好ましい。以下、局所領域が重複する箇所をオーバーラップ部という。かかる構成により、オーバーラップ部における造形密度を高くすることができ、高精度な焼結層の形成を実現することができる。なお、
図12、
図13においては視認性を考慮し隣接する局所領域の前後方向(矢印C方向)を敢えてずらして図示しているが、これに限るものではない。
【0051】
また、例えば、同層における全ての局所領域においてリコートを行ってからレーザ光Lによる焼結層の形成を行ってもよいが、リコートを行う度に余剰の材料粉体が局所領域の端部に隆起するため、平坦な材料粉体層8を得ることが困難である。そのため、造形サイクルは1つの造形領域毎に実行することが好ましい。すなわち、1つの局所領域における造形サイクルを完了させてから、他の局所領域の造形サイクルを開始する構成が望ましい。かかる構成によれば、平坦な材料粉体層8に対して焼結層の形成が行えるため造形不良の発生を抑制できる。
【0052】
また、一般に粉末積層造形法では、材料粉体層8にレーザ光Lを照射すると、材料粉体層8の厚みより薄い焼結層が形成される。そのため、オーバーラップ部においては一度所望の厚みの焼結層が形成された後、再度造形サイクルが実行されるため、他の箇所よりも厚い焼結層が形成されることになる。そのため、オーバーラップ部の上面を回転切削工具により一部切削除去して均一な厚みの焼結層を得るよう構成してもよい。或いは、各層毎にオーバーラップ部の位置を変えて、複数の焼結層を形成後に平坦な焼結層が得られるよう構成してもよい。或いは、均一な厚みの焼結層を得るように、オーバーラップ部におけるレーザ光Lの照射条件を変更してもよい。
【0053】
以上の工程を繰り返すことによって、
図14に示すように、2層目の焼結層82fa、82fb、3層目の焼結層83fa、83fb、4層目の焼結層84fa、84fbが形成される。上下についても隣接する焼結層は、互いに強く固着される。
【0054】
また、造形物の表面精度を高める等の目的で、所定数の焼結層を形成する毎に焼結層の表面(主に端面)に対して回転切削工具により切削加工を行ってもよい。このとき粉体層形成装置11は、シャッター11dが閉鎖された状態で、切削加工に干渉しない位置に移動されている。
【0055】
なお、レーザ光Lによって焼結層を形成する際に火花が飛び散り、この火花に含まれる材料粉体の残滓が焼結層の表面に付着して突起状の異常焼結部となってしまうことがある。材料粉体層8の形成時にブレード11cが異常焼結部に衝突した場合、シャッター11dを閉じて材料粉体層8の形成を一時中止し、回転切削工具により異常焼結部を切削除去することが好適である。この場合も他の切削加工時と同様に粉体層形成装置11は鉛直上方向に退避されるが、材料吐出部11bはシャッター11dにより閉鎖されているので徒に材料粉体が吐出されることはない。このようにして異常焼結部を除去した後、材料粉体層8の形成が再開される。
【0056】
必要数の焼結層を形成した後、未焼結の材料粉体を除去することによって、造形した焼結体を得ることができる。この焼結体は、例えば樹脂成形用の金型として利用可能である。
【0057】
なお、各局所領域は、材料粉体層8を形成する領域(リコート領域)、ブレード11cの幅、オーバーラップ部の位置及び面積などから、不図示の制御装置によって算出される。リコート領域、すなわち各局所領域の和は、少なくとも照射領域を含むように構成される。例えば、各層毎の照射領域の位置や面積に応じてリコート領域を各層毎に可変に設定してもよい。あるいは、最終的な造形物の投影面積と略一致するようにリコート領域を設定してもよい。後者の構成の場合は、リコート領域の算出が造形開始時の1回で済み、各層毎に照射領域が大きく変化しない、例えば金型等の略直方体形状の造形物の造形において特に有効である。また所定層毎、例えば前述の所定数の焼結層を形成する毎の切削加工を行う際に、リコート領域を設定しなおすよう構成してもよい。本構成の場合は、リコート領域算出に係る演算回数を減らすことができるとともに、好適に材料粉体の使用量を削減できる。