(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子写真法等で使用する乾式現像剤は、結着樹脂中に着色剤を分散したトナーそのものを用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別できる。これらの現像剤に用いられるトナーには、流動性、耐ケーキング性、定着性及びクリーニング性等の各種の性能を高めることを目的として、無機微粒子等の外添剤をトナーに添加することがしばしば行われている。
【0003】
トナーに添加する無機微粒子として、特許文献1には非晶質カルシウム・ソジュウム・アルミノシリケート球状粒子、及び乾式コロイダルシリカが記載されている。同文献の記載によれば、乾式コロイダルシリカはトナー表面に付着し、流動性を向上させる役目として作用し、非晶質カルシウム・ソジュウム・アルミノシリケート球状粒子はトナー粒子間に遊離して存在することにより、流動性を損なうことなく、トナー粒子との間で摩擦帯電を生じ、帯電を付与する役目として作用するとされている。
【0004】
ところで、高速印刷を行う場合には、そのことに起因して外添剤の埋め込みが生じやすくなる。外添剤が埋め込まれるとトナーの帯電量が減少したり、スペーサー効果の低下に伴って感光体への付着力が増し転写性が悪くなったりすることがある。特に近年、トナーに用いられているポリエステル樹脂として軟質のものが用いられることが多く、そのことに起因しても、外添剤の埋め込みが生じやすい。
【0005】
また電子写真用トナーの外添剤として、疎水化表面処理をしたシリカ微粒子が知られているところ、このようなシリカ微粒子は、トナー母体と比重差があることに起因して、経時的にトナー母体からシリカ微粒子が脱落しやすかった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の静電荷像現像用トナー外添剤(以下、単に「外添剤」とも言う。)は、非晶質アルミノシリケートを含むものである。アルミノシリケートは、酸化アルミニウム(アルミナ)と二酸化ケイ素(シリカ)とを主成分とする無機化合物である。本発明で好適に用いられるアルミノシリケートは、それに含まれるアルミニウムの割合が、Al
2O
3に換算して8.5質量%以上26.5質量%以下であることが好ましく、9.0質量%以上24.4質量%以下であることが更に好ましい。また本発明で好適に用いられるアルミノシリケートは、それに含まれるケイ素の割合が、SiO
2に換算して62.5質量%以上80.5質量%以下であることが好ましく、64.6質量%以上80.0質量%以下であることが更に好ましい。更に本発明で好適に用いられるアルミノシリケートは、ナトリウム及び/又はカリウムの塩であることが好ましく、ナトリウム及びカリウムの総量は、M
2O(Mはナトリウム及び/又はカリウムを表す)に換算して5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、7質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
【0014】
更に、本発明で用いられるアルミノシリケートにおいて、SiO
2/Al
2O
3モル比は4.00以上16.0以下であることが好ましく、4.50以上15.5以下であることがより好ましく、6.00以上14.0以下であることが更に好ましく、8.00以上12.0以下であることが一層好ましい。この範囲のSiO
2/Al
2O
3モル比を有するアルミノシリケートを外添剤として用いることで、該外添剤はトナーから脱落しづらくなり、またトナー内に埋め込まれにくくなる。
【0015】
特に、アルミノシリケートは、パーライト由来のものであることが好ましい。かかるアルミノシリケートを外添剤として用いることで、意外にも、該外添剤がトナーから脱落しづらくなり、またトナー内に埋め込まれにくくなることを、本発明者らは知見した。パーライト(perlite)は、天然火山ガラスであり、加熱によって膨張する性質を有している。パーライトはその組成に応じて真珠岩、黒曜石、松脂岩などと呼ばれる。
【0016】
本発明で用いられるアルミノシリケートは、パーライト由来のものでなくてもよい。例えばアルミノシリケートとして、化学合成されたアルミノシリケートを用いることができる。アルミノシリケートを化学合成によって得るには、例えばケイ酸塩水溶液とアルミン酸塩水溶液を混合し、液のpHを弱酸性に調整して沈殿物を生成させ、その沈殿物を洗浄し乾燥させればよい。乾燥物は必要に応じて焼成処理に付してもよい。尤も、以下に述べるとおり、アルミノシリケートは非晶質のものであることが好ましいことから、アモルファスである場合が多い乾燥物をそのまま用いることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられるアルミノシリケートは、非晶質のものであることも好ましい。かかるアルミノシリケートを外添剤として用いることで、意外にも、該外添剤がトナーから脱落しづらくなり、またトナー内に埋め込まれにくくなることを、本発明者らは知見した。
【0018】
本発明で用いられるアルミノシリケートは粒子の形状を有していることが好ましい。粒子の形態としては、例えば板状、柱状、針状、球状、テトラポッド状、塊状、不定形などが挙げられる。これらの形状のうち、投影像において少なくとも1つの角部を有する形状をしていることが、外添剤がトナーから脱落しづらくなり、またトナー内に埋め込まれにくくなる観点から好ましい。この効果を一層顕著なものとする観点から、前記角部のなす角度(内角)は60度以上180未満であることが好ましく、65度以上175度未満であることが更に好ましい。とりわけアルミノシリケートの粒子は、投影像において、略直線状の複数の辺によって画定される輪郭を有し、かつ隣り合う辺とのなす角がすべて60度以上180未満であることが好ましく、65度以上175度未満であることが更に好ましい。
【0019】
また、アルミノシリケートの粒子は向きの異なる少なくとも2つの面を有し、該2つの面が交わることによって形成される少なくとも1つの稜線を有する形状をしていることも、外添剤がトナーから脱落しづらくなり、またトナー内に埋め込まれにくくなる観点から好ましい。稜線は直線でもよく、曲線でもよく、あるいは直線と曲線との双方を有していてもよい。特に、外添剤がトナーから一層脱落しづらくなり、またトナー内に一層埋め込まれにくくなる観点から、アルミノシリケートの粒子は、互いに交差する少なくとも2つの稜線を有し、両稜線のなす角度が60度以上180度未満であることが好ましく、65度以上175度未満であることが更に好ましい。
【0020】
アルミノシリケートの粒子の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D
50で表して、0.05μm以上2μm以下であることが好ましく、0.06μm以上1.9μm以下であることが更に好ましく、0.07μm以上1.9μm以下であることが一層好ましく、0.07μm以上1.0μm以下であることが更に一層好ましく、0.07μm以上0.8μm以下であることが特に好ましい。中でも、0.07μm以上0.4μm以下であることが最も好ましい。この粒径に設定することで、トナーの流動性を効果的に高めることができる。
【0021】
アルミノシリケートの粒子は、その表面が疎水化されていてもよい。表面の疎水化によって、トナーとのなじみが良好になり、またトナーの流動性が向上する。表面の疎水化には、例えば各種のシランカップリング剤や、ヘキサメチルジシラザンなどを用いることができる。シランカップリング剤としては、例えばR
1−Si(−OR
2)
3で表される構造のものを用いることが好ましい。式中R
1及びR
2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。特にR
1の鎖長が、R
2の鎖長よりも長いことが好ましい。とりわけ、R
1とR
2との炭素数の差は1以上8以下であることが好ましく、2以上7以下であることが好ましく、3以上6以下であることが一層好ましい。
【0022】
アルミノシリケートの粒子は、好適には天然火山ガラスであるパーライトを原料として用いて製造される。詳細には、パーライト原石を所定の大きさに粉砕した後、粉砕物を加熱する。加熱によってパーライト原石は発泡し、元の体積の約4倍ないし約20倍の体積に膨張する。このようにして得られたパーライト膨張物を、ピンミル等を用いて粗く粉砕した後に、湿式粉砕することが好ましい。湿式粉砕には例えばメディアミルを用いることが好ましい。メディアミルを用いた湿式粉砕によって、投影像において角部を有する形状を有する粒子を容易に得ることができる。また、メディアミルを用いた湿式粉砕によって、向きの異なる少なくとも2つの面を有し、該2つの面が交わることによって形成される少なくとも1つの稜線を有する形状をしている粒子を容易に得ることができる。
【0023】
メディアミルとしては、例えばビーズミル、サンドミル、ペイントシェイカーなどを用いることができる。粉砕メディアとしては、例えばボール及びロッド等が挙げられる。ボールメディアとしてはアルミナボール、ジルコニアボール及びカーボン鋼球等が挙げられる。メディア径は、一般に0.01mm以上0.8mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.8mm以下であることが更に好ましい。
【0024】
粉砕メディアの充填率は、パーライトを所望の粒径に効率よく粉砕する観点から、30体積%以上90体積%以下とすることが好ましく、35体積%以上85体積%以下とすることが更に好ましく、35体積%以上65体積%以下とすることが一層好ましい。
【0025】
メディアミルによるパーライトの粉砕時間は、パーライトを所望の粒径に効率よく粉砕する観点から、1時間以上20時間以下であることが好ましく、2時間以上18時間以下であることが更に好ましく、5時間以上18時間以下であることが一層好ましい。なお、種々の大きさのメディアを用いて複数段の粉砕を行う場合、その合計時間は2時間以上50時間以下であることが好ましい。
【0026】
メディアミルによってパーライトを湿式粉砕するために用いるスラリーとしては、例えば水を媒体とするものや、アルコール等の有機溶媒を媒体とするものや、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を媒体とするものなどを用いることができる。
【0027】
メディアミルによるパーライトの粉砕においては、種々の大きさのメディアを用いて複数段の粉砕を行うことが、目的とする形状の粉砕物を容易に得られる点から好ましい。この場合、サイズの大きなメディアから順次サイズの小さなメディアを用いて複数段の粉砕を行うことが好ましい。なお、目的とする形状の粉砕物を容易に得られるという観点からは複数段の段数の上限は特にないが、効率の観点からは複数段は5段以内であることが好ましく、2段以上4段以下であることが特に好ましい。
【0028】
このようにして得られたアルミノシリケートをトナーの外添剤として用いる場合、アルミノシリケートは、トナーの表面に存在していることが好ましいが、これに限られずトナーの内部に存在していてもよい。あるいはトナーの表面及びトナーの内部に存在していてもよい。本発明によれば、トナーの表面にアルミノシリケートを多量に存在させても、その脱落が効果的に防止され、またトナー内への埋め込みが効果的に防止される。
【0029】
トナーの全量に占めるアルミノシリケートの割合は、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上4.0質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以上4.0質量%以下であることが一層好ましい。
【0030】
本発明の外添剤の添加の対象となるトナーは、一般に結着樹脂及び着色剤を含んでいる。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。先に背景技術の項で述べたとおり、トナーの結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂は軟質化の傾向にあるが、本発明の外添剤を用いることで、軟質のポリエステル樹脂を含むトナーであっても外添剤の埋め込みが効果的に防止される。
【0031】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料や顔料等を使用することができる。その例としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられる。これらの着色剤は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を混合して用いることができる。トナーは黒色トナー、カラートナー及びフルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10重量部以下であることが一層好ましい。
【0032】
トナーには、結着樹脂及び着色剤に加えて、例えば荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0033】
前記の荷電制御剤としては、例えばニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。トナーの帯電性は正帯電性及び負帯電性のいずれであってもよく、正帯電性荷電制御剤と負帯電性荷電制御剤とが併用されていてもよい。
【0034】
離型剤としては、例えばカルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
トナーは、好適には混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等の従来公知のいずれの方法で製造してもよい。混練粉砕法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は一軸若しくは二軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。重合法では、界面活性剤を含む水に、結着樹脂の原料となるモノマーと、着色剤とを添加し、次いで乳化混合を行い、得られた乳化物を重合することでトナーを得ることができる。
【0036】
このようにして得られたトナーに、本発明の外添剤を添加する。外添剤は、トナーの表面に付着させることが好ましい。トナーと外添剤との混合は例えば乾式で行うことができる。乾式混合には、各種の混合機、例えばヘンシェルミキサーを用いることができる。
【0037】
外添剤が付着したトナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として使用することができる。トナーが磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分現像剤として、又はキャリアと混合して二成分現像剤として使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0039】
〔実施例1〕
三井金属鉱業株式会社の発泡パーライト(商品名パーライト6号)を、ピンミルによって粗く粉砕した。次に湿式粉砕した。湿式粉砕にはビーズミルを用いた。ビーズはジルコニア製であった。2kgの粉砕物を10リットルの水に分散させ、直径0.8mmのビーズで900分間粉砕した。次に、直径0.3mmのビーズで500分間粉砕した。引き続き、直径0.2mmのビーズで500分間粉砕した。最後に、直径0.1mmのビーズで300分間粉砕した。粉砕後、乾燥を行い、その後、ピンミルを用いて再粉砕した。このようにして得られた粉砕物をシランカップリング剤でその表面を疎水化した。シランカップリング剤としてはn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。粉砕物に対して7%のシランカップリング剤を添加してミキサーで混合し、120℃で加熱してシランカップリング剤を粉砕物の表面に結合させた。このようにして、目的とするアルミノシリケートの粒子を得た。このアルミノシリケートの粒子はICP発光分光分析法による元素分析の結果、Al
2O
3が12.7%、SiO
2が69.9%であり、SiO
2/Al
2O
3モル比は9.32であった。このアルミノシリケートの粒子のCuKα線を用いたXRD測定を行ったところ、2θで10度から40度付近にかけてブロードな盛り上がりは観察されたが、結晶質に基づく明確な回折ピークは観察されず、非晶質のものであることが確認された。
【0040】
得られたアルミノシリケートの粒子の透過型電子顕微鏡像を
図1に示す。得られたアルミノシリケートの粒子の体積累積粒径D
50は、以下の表1に示すとおりであった。体積累積粒径D
50は次の方法で測定した。0.5%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100mlに、濃度20%のアルミノシリケートの粒子を5ml添加し、3分間超音波バスで分散させることにより粒子分散液を得た。この分散液の体積累積粒径D
50を、マイクロトラック3300(日機装)を用いて測定した。
【0041】
更に、得られたアルミノシリケートの粒子の疎水化度を測定した。測定方法は次のとおりである。50%のメタノール水溶液にアルミノシリケートの粒子を0.05g添加した。次いでメタノールを3ml/minの速度で添加した。そして、水溶液の光透過度が80%を下回った時点での水溶液中のメタノール濃度を疎水化度とした。
【0042】
〔実施例2〕
本実施例においては、実施例1において湿式粉砕したアルミノシリケートの粒子をそのまま外添剤として用いた。したがって、このアルミノシリケートの粒子には疎水化処理が施されていない。それゆえ、疎水化度は測定しなかった。
【0043】
〔実施例3〕
本実施例においては、実施例1において湿式粉砕したアルミノシリケートの粒子に対し、n−ヘキシルトリメトキシシランに代えて、ヘキサメチルジシラザンを用いた疎水化処理を行った。これ以外は実施例1と同様にした。
【0044】
〔実施例4〕
本実施例においては、実施例1における湿式粉砕の程度を変更してアルミノシリケートの粒子の粒径を大きくした。具体的には、0.2mmのビーズ及び0.1mmのビーズを使用しないこと以外は実施例1と同様の条件で粉砕した。また、このアルミノシリケートの粒子に対し、n−ヘキシルトリメトキシシランに代えて、i−ブチルトリメトキシシランを用いた疎水化処理を行った。これ以外は実施例1と同様にした。
【0045】
〔実施例5〕
本実施例では、アルミノシリケートとして化学合成によって得られたものを用いた。合成の手順は以下のとおりである。すなわち0.9mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液10Lと、0.1mol/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液10Lを混合し、液のpH4.5に調整した。これによって沈殿物を生成させた。この沈殿物を50℃の温水で洗浄した後、80℃で12時間乾燥させ、アルミノシリケートを得た。このアルミノシリケートを実施例4と同じ条件で粉砕した。このアルミノシリケートの粒子はICP発光分光分析法による元素分析の結果、Al
2O
3が8.5%、SiO
2が48.8%であり、SiO
2/Al
2O
3モル比は9.70であった。このアルミノシリケートの粒子のCuKα線を用いたXRD測定を行ったところ、2θで10度から40度付近にかけてブロードな盛り上がりは観察されたが、結晶質に基づく明確な回折ピークは観察されず、非晶質のものであることが確認された。このアルミノシリケート粒子には疎水化処理が施されていない。それゆえ、疎水化度は測定しなかった。また、このアルミノシリケートの粒子は、電子顕微鏡観察の結果、向きの異なる少なくとも2つの面を有し、該2つの面が交わることによって形成される少なくとも1つの稜線を有する形状をしていることが確認された。
【0046】
〔比較例1〕
本比較例は、実施例3で用いたアルミノシリケートの粒子に代えてヒュームドシリカの粒子を用いた例である。このヒュームドシリカに対し、実施例3と同様にしてヘキサメチルジシラザンを用いた疎水化処理を行った。これ以外は実施例3と同様にした。
【0047】
〔比較例2〕
本比較例においては、比較例1において用いたヒュームドシリカの粒子をそのまま外添剤として用いた。したがって、このヒュームドシリカの粒子には疎水化処理が施されていない。それゆえ、疎水化度は測定しなかった。
【0048】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた粒子をトナー外添剤として用い、以下の方法でトナーからの外添剤の脱落率、及び疑似トナーの安定性を測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0049】
〔トナーからの外添剤の脱落率〕
外添剤0.2gとアクリル粒子(綜研化学製 「MX−500」)20gとをミキサーを用いて混合し、疑似トナーを得た。得られた疑似トナーを、100mlのエタノールに2g添加し、超音波ホモジナイザー(BRANSON製)を用いて出力30Wで3分間分散させた。この分散液を12時間かけて沈降させ、上澄み液を除去した。それによって得られた沈降微粒子を乾燥させ、ICP発光分光分析法によって沈降微粒子中のSiを定量した。この量をトナー表面に残存した外添剤の量とみなした。トナーから脱落した外添剤の量を、(トナーに添加された外添剤の量 − トナー表面に残存した外添剤の量)とし、トナーに添加された外添剤の量に対する、トナーから脱落した外添剤の量の割合を、脱落率と定義してその値を算出した。
【0050】
〔疑似トナーの安定性〕
上述の疑似トナーをミキサーによって5分間処理してずり応力を加えた。処理前後での疑似トナーのタップ嵩を測定し、(処理前のタップ嵩 − 処理後のタップ嵩)/処理前のタップ嵩×100の値(絶対値)を算出し、この値を、外添剤を添加した疑似トナーの安定性の尺度とした。タップ嵩は、パウダテスタPT−X(ホソカワミクロン製)によって測定した。タッピング回数は180回(60回 /分)、ストロークは18mmとした。前記の値が小さいほど、疑似トナーの安定性が高く、外添剤がトナーから脱落しづらく、トナー内に埋没しにくいことを意味する。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例の外添剤は、トナーからの粒子の脱落率が、比較例の外添剤に比べて小さいことが判る。また、各実施例の外添剤は、比較例の外添剤に比べて、トナーに安定性を付与していることが分かる。