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特許6262340緩い電極のモニタリングを含む発作を検出するセンサシステムおよびその作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262340
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】緩い電極のモニタリングを含む発作を検出するセンサシステムおよびその作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0488 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A61B5/04 330
【請求項の数】28
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-524597(P2016-524597)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-538022(P2016-538022A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】US2014061783
(87)【国際公開番号】WO2015061459
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/894,793
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513092671
【氏名又は名称】ブレイン センティネル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Brain Sentinel,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジルアード、マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハレック、マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハレック、マイケル ディ.
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0012830(US,A1)
【文献】 特表2010−538775(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0027338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋電図センサを用いてデータを収集することによって発作活動について患者をモニタし、前記センサに含まれる電極の接触完全性をチェックするためのセンサシステムの作動方法であって、前記作動方法は、
位置決めされた電極を得るために、一対の検出電極と共通電極とを患者の皮膚の少なくとも1つの筋肉又はその近傍に位置決めするステップと、
テスト信号を前記共通電極に印加するステップと、
収集された信号を得るために、前記一対の検出電極から信号を収集するステップであって、接触完全性が前記皮膚と前記位置決めされた電極との間で維持される場合、前記テスト信号が前記収集され信号の中に含まれるように、前記位置決めされた電極が構成される、前記収集するステップと、
増幅器を使用して前記収集された信号を増幅するステップであって、前記増幅器が入力を有し、かつ前記接触完全性が維持される場合、前記増幅器の前記入力において不均衡電位を維持するように前記筋電図センサが構成される、前記増幅するステップと、
前記テスト信号の検出について収集された信号を分析するステップであって、前記不均衡電位は、前記テスト信号の検出に対する感度を強化するものである、前記分析するステップと、
前記テスト信号の前記検出に基づいて、前記接触完全性が前記皮膚と前記位置決めされた電極との間に維持されているか否かを判断するステップと
を含む、作動方法。
【請求項2】
前記接触完全性が前記皮膚と前記位置決めされた電極との間に維持されるか否かの前記判断するステップは、前記テスト信号の検出の閾値レベルが満たされるか否かを確立することを含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記位置決めされた電極は、前記皮膚と前記位置決めされた電極との接触完全性が低下する場合、前記検出されるテスト信号の振幅が低減するように構成される、請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
前記一対の検出電極の少なくとも1つが抵抗素子に接続されるため、前記不均衡電位は維持される或いは
前記一対の検出電極の少なくとも1つがローパスフィルタに接続されるため、前記不均衡電位は維持されるか、のいずれかである、請求項に記載の作動方法。
【請求項5】
前記抵抗素子は、20Ω〜200Ωの抵抗である、請求項に記載の作動方法。
【請求項6】
記一対の検出電極は、異なるインピーダンス値を有し、前記インピーダンスの差は、前記接触完全性が前記患者の皮膚と前記位置決めされた電極との間で維持される場合、前記増幅器の前記入力において前記不均衡電位を維持するのに適するか、
或いは、
前記接触完全性が前記患者の皮膚と前記位置決めされた電極との間に維持される場合、前記一対の検出電極の少なくとも1つは、前記増幅器の前記入力において前記不均衡電位を生み出すのに十分なインピーダンスで抵抗素子に接続されるか、
のいずれかである、請求項1に記載の作動方法。
【請求項7】
前記一対の検出電極の中の第1の検出電極は、2KΩ〜20KΩの範囲にある入力インピーダンスを有し、
前記一対の検出電極のうちの他方は、前記第1の検出電極よりも大きさが1〜10%低い入力インピーダンスを有する、請求項に記載の作動方法。
【請求項8】
前記一対の検出電極の中の前記検出電極の前記インピーダンス値の少なくとも1つは、20Hz〜500Hzの範囲内の周波数の場合よりも、1KHzを超える周波数の場合に大きい、請求項に記載の作動方法。
【請求項9】
前記位置決めされた電極の前記位置決めおよび皮膚と前記位置決めされた電極の間に配置される他の組織のインピーダンスは、前記接触完全性が前記皮膚と前記位置決めされた電極との間に維持される場合、前記不均衡電位を生み出すのに十分である、請求項1に記載の作動方法。
【請求項10】
前記テスト信号は、制御されたテスト信号周期を有する時変テスト信号であり、かつ前記テスト信号の検出について前記収集された信号を分析することは、
前記収集された信号を分析窓に分割することであって、前記分析窓は、前記テスト信号の周期の整数の倍数である、前記分割することと、
前記分析窓が、前記テスト信号の周期性に一致する1つ又は複数の反復特徴を含むか否かを判断することと
を含む、請求項に記載の作動方法。
【請求項11】
前記分析窓と前記印加されたテスト信号との間の位相遅延は一定である、請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
前記分析窓は、クロック又は発振器の発振の何らかの整数倍であり、
前記テスト信号の周期は、前記クロック又は前記発振器を使用して決定される、請求項10に記載の作動方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の反復特徴は、位相遅延、信号の振幅、正振幅ピーク数および負振幅ピーク数から選択される、請求項10に記載の作動方法。
【請求項14】
前記テスト信号は、制御されたテスト信号周期を有する時変テスト信号であり、かつ前記テスト信号の前記検出について前記収集された信号を分析することは、
前記収集された信号を分析窓に分割することであって、前記分析窓は、前記テスト信号の周期の整数の倍数である、前記分割することと、
前記収集された信号の振幅が、前記テスト信号を検知する閾値検出レベルを満たすか否かを判断することと
を含む、請求項に記載の作動方法。
【請求項15】
前記テスト信号は、制御されたテスト信号周期を有する時変テスト信号であり、かつ前記テスト信号の前記検出について前記収集された信号を分析することは、
前記収集された信号を分析窓に分割することであって、前記分析窓は、前記テスト信号の周期の整数の倍数である、前記分割することと、
正の振幅ピーク及び負の振幅ピークのうちの少なくとも一方の数を特定することと、
前記正の振幅ピーク及び負の振幅ピークのうちの少なくとも一方の数が期待値に一致するか否かを判断することと
を含む、請求項に記載の作動方法。
【請求項16】
筋電図検査法を使用して発作活動について患者をモニタし、センサの中に含まれる電極の接触完全性をチェックするためのセンサシステムであって、前記センサシステムは、
一対の検出電極と共通電極とを含むセンサ電極と、
制御された周期を有する時変テスト信号を生成するための回路経路であって、前記テスト信号を前記共通電極に印加するように構成されている、回路経路と、
トリガ信号を前記回路経路に送信するように構成されているクロック要素であって、前記トリガ信号は前記制御された周期の確立に使用されるものである、クロック要素と、
前記センサ電極は、前記センサ電極が患者の筋肉近傍の皮膚に位置決めされ、接触完全性が前記皮膚と前記センサ電極との間に維持される場合、印加されたテスト信号が、筋活性化からの電気信号と共に収集できるように構成されていることと、
収集されたテスト信号及び筋活性化からの前記電気信号を処理し検出するように構成される検出回路と、
前記検出回路は、前記トリガ信号に応答して動作し、かつ前記収集されたテスト信号の分析について時間窓を確立するように構成される少なくとも1つの要素を含むことと、
を備えるセンサシステム。
【請求項17】
前記検出回路は、前記収集されたテスト信号及び筋活性化からの前記電気信号の両方の分析に使用される少なくとも1つの増幅器を含む、請求項16に記載のセンサシステム。
【請求項18】
前記テスト信号を生成するための前記回路経路は、デジタル/アナログ変換器に接続されている電圧源を備える、請求項16に記載のセンサシステム。
【請求項19】
前記デジタル/アナログ変換器は、ルックアップテーブルを使用して、様々な振幅のセグメントで前記テスト信号を構築するように構成されている、請求項18に記載のセンサシステム。
【請求項20】
前記セグメントの間の時間周期は、前記トリガ信号を使用して設定されている、請求項19に記載のセンサシステム。
【請求項21】
前記時間窓も前記トリガ信号を使用して設定されている、請求項20に記載のセンサシステム。
【請求項22】
前記検出回路は、前記収集されたテスト信号及び筋活性化からの前記信号の両方の分析に使用される少なくとも1つの増幅器を含み、
前記センサシステムは、前記接触完全性が前記皮膚と前記センサ電極との間に維持される場合、前記増幅器の入力において不均衡電位を生み出すように構成されており、
前記不均衡電位は、前記テスト信号を検出する前記検出回路の感度を強化する、請求項16に記載のセンサシステム。
【請求項23】
筋電図検査法を使用して発作活動について患者をモニタし、センサの中に含まれる電極の接触完全性をチェックするためのセンサシステムであって、前記センサシステムは、
一対の検出電極と共通電極とを含むセンサ電極と、
制御された周期を有する時変テスト信号を生成するための回路経路であって、前記テスト信号を前記共通電極に印加するように構成されている、回路経路と、
トリガ信号を前記回路経路に送信するように構成されているクロック要素であって、前記トリガ信号は前記周期の確立に使用されるものである、クロック要素と、
前記電極は、筋肉近傍で皮膚に適切に接触する場合、印加されたテスト信号の少なくとも一部が、前記一対の検出電極を使用して筋活性化からの電気信号と共に収集できるように構成されていることと、
筋活性化から収集された電気信号を処理し検出するように構成される検出回路と、
収集されたテスト信号を処理し検出するように構成されている第2の回路であって前記一対の検出電極の中の少なくとも1つの検出電極に接続されている第2の回路と、
前記第2の回路は、前記トリガ信号に応答して動作し、かつ前記収集されたテスト信号を分析するための時間窓を確立するように構成されている少なくとも1つの要素を含むことと、
を備えるセンサシステム。
【請求項24】
前記テスト信号を生成する前記回路経路は、デジタル/アナログ変換器に接続されている電圧源を備える、請求項23に記載のセンサシステム。
【請求項25】
前記デジタル/アナログ変換器は、ルックアップテーブルを使用して、様々な振幅のセグメントで前記テスト信号を構築するように構成されている、請求項24に記載のセンサシステム。
【請求項26】
前記セグメント間の時間周期は、前記トリガ信号を使用して設定されている、請求項25に記載のセンサシステム。
【請求項27】
EMG電極−皮膚界面の完全性を特定するためのセンサシステムの作動方法であって、前記作動方法は、
一対のEMG検出電極と共通電極とを患者の皮膚の少なくとも1つの筋肉又はその近傍に位置決めするステップと、
テスト信号を前記共通電極に印加するステップと、
収集された信号を提供するために前記EMG電極の少なくとも1つから信号を収集するステップと
前記収集された信号を増幅するステップと、
前記テスト信号の検出について前記収集された信号を分析するステップであって、前記EMG電極は、同EMG電極が前記患者の皮膚に適切に接触している場合、増幅器の入力において不均衡電位を維持するように位置決めされており、前記不均衡電位は、前記テスト信号の検出に対する感度を強化するものである、前記分析するステップと、
前記テスト信号に基づいて、前記EMG電極が前記患者の皮膚に適切に接触しているか否かを判断するステップと
を含む、作動方法。
【請求項28】
記EMG電極が前記患者の皮膚に適切に接触しているか否かの前記判断するステップは、前記テスト信号の検出の閾値レベルが満たされているか否かを確立することを含む、請求項27に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩い電極のモニタリングを含む発作の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
発作は、脳の異常又は過度の同期活動として特徴付けられ得る。発作の開始時、脳内のニューロンは、特定の場所で発射を開始し得る。発作が進むにつれて、ニューロンのこの発射は脳に拡散し、幾つかの場合、脳の多くの部位がこの活動に巻き込まれ得る。脳内の発作活動は、脳に、末梢神経系を通して様々な筋に電気信号を送らせ、筋の活性化は、筋繊維内でのイオンの再分配を開始させ得る。筋電図検査(EMG:electromyography)では、電極が皮膚又は皮膚近傍に配置され、この筋活性化中にイオンの流れから生じる電位変化を測定するように構成され得る。
【0003】
EMG検出は、侵襲性が最小であり、日常活動への妨害が最小であり、睡眠中に快適に使用できる装置での使用に特に適し得る。したがって、外来又は家庭設定でモニタする方法を含め、患者の発作活動をモニタする方法は、EMG検出の使用から恩恵を受け得る。EMG中に電気信号を測定するために、電極が皮膚に配置される。しかしながら、電極が緩くなるか、又は皮膚との接触完全性を失う場合、予測不可能なノイズをシステムに結合する恐れがある。皮膚と電極との界面の自動検出が可能なシステムが、そのようなイベントを患者又は医療従事者に通知するために使用され、患者をモニタするシステムに統合され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態では、発作活動について患者をモニタし、かつEMGセンサの中に含まれる電極の接触完全性(contact integrity)をモニタするための方法は、既知の周期性のテスト信号を生成することと、信号をセンサシステム内の少なくとも1つの電極に印加することとを含み得る。例えば、センサ電極は、共通電極又は参照電極と、一対の検出電極とを含んでいてもよく、テスト信号は、センサの共通電極に印加され得る。センサ電極は、皮膚に適切に接触する場合、印加されたテスト信号が検出電極に存在し、検出電極内で収集されて、筋活性化に関連付けられた電気活動と共に検出され得るように更に取り付けられ、かつ位置決めされ得る。
【0005】
幾つかの実施形態では、印加されたテスト信号及び筋肉電気活性化から収集される任意の信号は両方とも、共通信号経路を使用して増幅に続きモニタされ得る。例えば、印加されたテスト信号及び筋活性化からの電気活動は、少なくとも1つの共有増幅器を使用して処理され得る。幾つかの実施形態では、テスト信号は、筋活動を収集するように構成される回路とは別の1つ又は複数の経路に沿ってモニタされてもよい。幾つかの実施形態では、印加されたテスト信号の生成又は調整は、クロック又は発振器に基づいて印加テスト信号周波数を設定することを含んでいてもよく、幾つかの実施形態では、印加されたテスト信号の周期は、テスト信号の検出を促進するのに使用される分析窓(analysis window)を確立するのに使用することもできる。例えば、印加されたテスト信号の周期は、分析窓を定義し、テスト信号から他の信号成分を区別するのに使用してもよく、データは、テスト信号の周期性に一致する各特徴の存在について分析され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】緩い(loose)電極モニタリング性能を含む検出システムの一実施形態を示す。
図2】緩い電極モニタリング性能を含む検出システムの別の実施形態を示す。
図3】時変テスト信号と、テスト信号の生成とテスト信号の検知との間のシステム遅延とを示す。
図4】発作活動を検出し、接触完全性についてセンサ電極をモニタする方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される以下の用語は、示される意味を有するものと理解されるべきである。
物品が「a」又は「an」で紹介される場合、1つ又は複数のその物品を意味するものと理解されるべきである。
【0008】
「〜を備える」という用語は、〜を含むが、〜に限定されないことを意味する。
「〜を備えている」という用語は、〜を含むが、〜に限定されないことを意味する。
「検出増幅器」という用語は、筋活動及び発作活動の存在について患者をモニタするのに使用される電気信号を収集し処理するように構成された回路経路に沿って位置決めされた増幅器又は増幅器の組合せを意味する。
【0009】
「検出電極」という用語は、筋活動及び発作活動の存在について患者をモニタするのに使用される電気信号を収集し処理するように構成される回路経路に沿って位置決めされる電極を意味する。
【0010】
「〜を有する」という用語は、〜を含むが、〜に限定されないことを意味する。
本明細書に記載される装置及び方法は、1つ又は複数のセンサを使用して発作を検出し、発作関連イベントを介護者に適時に警告するのに使用され得る。センサは、患者又は患者の衣服に取り付けられる電極を含んでいてもよく、筋電図検査法(EMG)を使用して筋肉電気活動を測定するように構成され得る。EMG電極を使用しての発作の検出については、本出願人の米国特許出願第13/275,309号明細書及び同第13/542,596号明細書に更に記載されており、これらのそれぞれの開示は参照により本明細書に完全に援用される。本明細書に記載されるように、テスト信号は、センサ電極群の中に含まれる少なくとも1つの電極に印加され、テスト信号の検出は、センサの状態をモニタするために使用され得る。テスト信号は、例えば、センサの参照電極に印加され、1つ又は複数の他のセンサ電極における検出のために収集され得る。収集された信号は処理されて、電極と皮膚との界面の完全性の変化を検出し得る。電極が緩くなるか、又は皮膚との接触完全性を失う場合、障害(fault)又は警告状況が示され得る。
【0011】
幾つかの実施形態では、センサは、一対の検出電極と、参照電極又は共通電極とを含んでいてもよく、収集された信号の双極検出を実行するように構成され得る。検出電極は、関心のある筋肉の近傍に配置されてもよく、検出電極によって収集された信号は、検出回路に接続され、発作活動について分析され得る。例えば、筋活動から発せられた信号は、収集され、差動信号増幅及びアナログ/デジタル信号処理に続いて検知され得る。時変テスト信号は、システムの共通電極に更に印加され、印加されたテスト信号は、筋活性化に関連付けられた任意の電気活動と共に検知され得る。幾つかの実施形態では、印加されたテスト信号及び筋肉電気活性化から収集される任意の信号が両方とも、共有信号経路を使用して、増幅に続いてモニタされ得る。例えば、印加されたテスト信号及び筋活性化からの電気活動は、少なくとも1つの共有増幅器を使用して処理され得る。他の実施形態では、テスト信号は、1組の双極電極の共通電極に注入することもできるが、テスト信号は、筋活性化に関連付けられた電気活動を収集するように構成される回路とは別個の1つ又は複数の経路に沿ってモニタされ得る。例えば、検出電極は、差動検出増幅器の反転入力及び非反転入力に接続されてもよく、筋活性化からの電気信号は、検出増幅器を使用した増幅に続けて検出され得るが、検出電極のうちの1つ又は複数から収集されるテスト信号は、検出増幅器を含まない回路経路を使用してモニタされてもよい。
【0012】
緩い(loose)電極モニタリング性能を含む発作検出システムの一実施形態を図1に示す。検出システム10では、テスト信号は、共通電極20に注入され、共有検出増幅器を使用して筋活動と共に検知され得る。検出システム10は、テスト信号の生成に適する回路構成要素12を含み得る。例えば、正弦波テスト信号が、直流電圧源14(例えば、安定電圧源又は適宜参照される電池)及びデジタル/アナログ変換器16を使用して生成され得る。別々の時間間隔で、電圧源14の出力電圧の調整可能部分は、デジタル/アナログ変換器16によって選択的に渡され得る。したがって、電圧源14の出力は、テスト信号の望ましいプロファイルを導出するようにセグメント化され得る。増幅器18が更に使用されて、テスト信号の大きさを調節又は調整し得る。例えば、幾つかの実施形態では、増幅器18の利得は、印加されたテスト信号の強度又は検出テスト信号の振幅を制御するように調整され得る。テスト信号は、センサの参照電極又は共通電極20に印加され、センサ電極が患者の皮膚に適切に接触する場合、テスト信号の一部が存在し、検出電極24、26において収集され得る。検出電極24、26において収集された信号は、検出増幅器22の入力28、30に向けられてもよく、増幅器22の出力は、信号検出のために処理され得る。例えば、増幅器22は、デジタル処理のためにアナログ/デジタル変換器34に接続され、次に、分析及び/又は視覚化のためにマイクロプロセッサ(図示せず)に供給され得る。クロック又はトリガ要素19が、アナログ/デジタル変換器34又は内部で接続された関連するマイクロプロセッサのいずれかに接続され得る。クロック要素19は、テスト信号の生成において使用することもできる。例えば、図1に示されるように、クロック要素19は、デジタル/アナログ変換器16にリンクされてもよく、電圧源14のセグメント化の時間間隔は、クロック要素19を使用して設定又はトリガされ得る。したがって、以下に更に説明するように、テスト信号及び検出された信号の分析に使用される回路は、幾つかの実施形態では、同期して動作し得る。
【0013】
テスト信号の生成及び検出の同期は、幾つかの実施形態では、テスト信号周期の既知の倍数である分析の周期に収集された信号を分割することを含み得る。分析周期は、既知であり、且つ/又は一定の数のテスト信号周期であり得る持続時間に設定され得るため、テスト信号の一定数又は期待される数の任意の反復特徴が、任意の所与の分析窓中に期待され得る。他の信号成分は一般に、分析窓と同期しない。したがって、他の信号成分は、様々な分析窓と、ランダムな、又は非一定の関係のみを維持し得る。したがって、テスト信号と他の信号成分との区別は、印加されたテスト信号の期待される周期性を維持する反復信号特徴を探すことによって強化され得る。テスト信号は、好都合なことに、所与の周期内で振幅の正弦波変動を辿り得るが、幾つかの実施形態では、他の周期的に変化するテスト信号プロファイルが使用されてもよい。非限定的な例として、テスト信号は、正弦波、鋸歯、三角形、正方形、又は他の周期的な形態又は形状に基づいて変化する振幅を有するものとして特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、上述した形状は、直流電圧源14及びデジタル/アナログ変換器16の組合せを使用して生成され得る。例えば、デジタル/アナログ変換器16は、渡される電圧を選択的に調整する時変フィルタとして機能して、電圧源14の一定振幅出力をセグメント化してもよく、例えば、適切なルックアップテーブルを使用して、個々のセグメントの振幅が選択される。幾つかの実施形態では、テスト信号は、16又は32ポイントルックアップテーブルを使用して可変振幅のセグメントで生成される3KHz正弦波であり得る。しかしながら、当業者によって理解されるように、時変信号を生成する他の適する方法が使用されてもよい。
【0014】
幾つかの実施形態では、テスト信号は、EMGを用いる発作検出のために分析される周波数範囲外の周波数を有する時変信号であり得る。例えば、テスト信号は、約1KHz〜約5KHz又は約2.8KHz〜約3.2KHzの反復周波数を有する波形を含んでいてもよく、発作活動について分析される信号は、約20Hz〜約500Hzの範囲の周波数データを含み得る。幾つかの実施形態では、発作活動について分析される信号は、30Hz〜約240Hzの範囲の周波数データを含んでいてもよく、テスト信号は、約1KHz〜約5KHz又は約2.8KHz〜約3.2KHzの反復周波数を有する波形であり得る。
【0015】
テスト信号は、参照電極又は共通電極20に印加され、参照電極又は共通電極20は、図1に示されるように、検出増幅器22の参照入力21に接続され得る。電極20は、患者の皮膚に取り付けられるように更に構成され得る。検出システム10は一対の検出電極24、26を含み得、これらも患者の皮膚に取り付けられるように構成され得る。検出電極24、26は、検出増幅器22の反転入力28及び非反転入力30に接続されていてもよく、入力28、20間の電位又は電圧の任意の差は、電極24、26近傍から発せられた筋活動からの局所電気信号の高感度検出を促進するように増幅され得る。テスト信号又はテスト信号の一部は更に、例えば、テスト信号振幅、電極20、24、26の相対位置決め、皮膚と1組の電極(20、24、及び26)間に配置される他の組織の相対インピーダンス、並びに電極20、24、及び26の入力インピーダンスに依存する強度で、電極24、26に存在し得る。幾つかの実施形態では、電極20、24、26の集まりは、別個に提供されてもよく、又は取り付けユニット(mounting unit)内で一緒に提供されてもよい。例えば、取り付けユニットはスロットを含んでいてもよく、スロット内に個々の電極が挿入され、且つ/又は集積組立体内に一緒に再現可能に位置決めされ得る。
【0016】
幾つかの実施形態では、印加されたテスト信号の強度及び電極の位置決めは、印加されたテスト信号の少なくとも一部が1つ又は複数の検出電極に存在するように調整され得る。例えば、幾つかの実施形態では、約1mV〜約750mVのテスト信号が、一対の検出電極から一般に約0.5cm〜約3cmの箇所に配置され得る共通電極に印加され得る。テスト信号は、高調波歪みが低い正弦波を生成するのに十分に大きくしてもよく、幾つかの実施形態では、テスト信号は、適した強度であり、EMG検出に使用される帯域幅領域内のテスト信号から高調波信号の存在を最小にするのに十分に低い高調波歪みであり得る。
【0017】
幾つかの実施形態では、検出電極24、26は、差動検出増幅器に接続され、環境に典型的であり得るか、又は検出領域から離れた所で生成され、検出が意図される筋活性化からの信号に関連しないノイズ成分等の電極間で共通する任意の信号は、拒絶され得る。例えば、当分野で理解されるように、検出増幅器22は、差動増幅器であってもよく、検出電極24、26のそれぞれに存在し得る信号成分の同相除去(common−mode rejection)性能を有するものとして特徴付けられ得る。テスト信号は、検出電極24、26のそれぞれで等しい振幅で存在し、したがって、低感度で検出される傾向があり得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、システム10は、システムが適切に接続されている(且つセンサ電極が皮膚との適切な接触を維持する)場合、検出増幅器22の入力28、30間に不均衡電位32(imbalance potential)を維持するように構成されていてもよく、その不均衡電位は印加されたテスト信号に関連し得る。したがって、不均衡電位はテスト信号に関連し得るため、テスト信号は連続してモニタされ、高感度で検出され得る。例えば、幾つかの実施形態では、システム10は、電極が皮膚に適切に接触している場合、約0.1mV〜約10mV又は典型的には約0.5mV〜約2mVの不均衡電位32を維持するように構成され得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、電極の相対位置及び/又は電極24、26の相対インピーダンス値は、不均衡な電位又は電圧32の存在を促進するように調整され得る。例えば、電極24又は26の一方の相対インピーダンス値の低減は、インピーダンスが低減された電極で収集される任意の信号の電位降下の大きさを低減し、したがって、電極からの電位出力(又はインピーダンスが低減された電極に接続された増幅器入力での電位)は上がり得る。電極(20、24、及び26)のそれぞれが皮膚との接触完全性を維持する場合、電極接点及び電極間の隣接皮膚は、テスト信号を共通電極20から検出電極24、26のそれぞれに接続し得るが、検出電極24、26の出力における電位は、上述したインピーダンス不均衡により、わずかに異なり得る。したがって、幾つかの実施形態では、テスト信号が2つの検出電極24、26にわたり異なる電位降下を受け得るため、不均衡な電位又は電圧32が促進され得る。
【0019】
幾つかの実施形態では、電極24、26は、約2KΩ〜約20KΩの入力抵抗値(又は約3KHzでの同様のインピーダンス)を有し得るが、電極24、26の一方は、他方の電極よりも約1%〜約10%大きさが低い入力抵抗を含み得る。幾つかの実施形態では、検出電極の1つ又は複数は、電極又は電極/素子組合せにわたる電位降下を調整するのに適する抵抗素子を含み得るか、又は同抵抗素子に接続されていてもよく、したがって、不均衡電位32を変更又は設定し得る。例えば、電極24、26のそれぞれは、約2KΩ〜約20KΩの入力抵抗値を有し得るが、電極の一方は、電極24、26の抵抗値の約1%〜約10%である抵抗に直列接続され得る。例えば、電極は、約2KΩの入力抵抗を有し得るが、電極の一方は、電極の抵抗値の約20Ω〜約200Ωである抵抗に直列接続され得る。さらなる例として、電極は約20KΩの入力抵抗を有し得るが、電極の一方は、電極の抵抗値の約200Ω〜約2KΩである抵抗に直列接続され得る。幾つかの実施形態では、検出電極24、26のうちの少なくとも一方は、電極及び/又は接続された素子及び電極の組合せにわたる電圧降下を変更するのに適するように、素子に接続され得る。
【0020】
幾つかの実施形態では、回路要素は、検出電極24、26のうちの少なくとも一方に含まれ得るか、又は増幅器入力28、30のうちの少なくとも一方に繋がる回路経路に沿って追加されてもよく、要素は、高周波数値ではより大きく、低周波数値ではより低いインピーダンス値を有し得る。したがって、幾つか(しかしながら、全てではない実施形態)では、不均衡電位は周波数依存であり得る。例えば、検出電極の一方又は追加された回路要素は、テスト信号の周波数においてあるインピーダンスを有し得るが、そのインピーダンスは、テスト信号周波数よりも低い周波数の信号では低くなり得る。幾つかの実施形態では、検出電極24、26と増幅器入力28、30との間に繋がる回路経路のいずれか一方又は両方は、容量性要素(capacitive element)又は1つ又は複数の抵抗、キャパシタ、及び/又はインダクタの組合せを含み、インピーダンスを調整し、且つ/又はインピーダンスを周波数依存にし得る。例えば、上述した要素の1つ又は複数は、適するフィルタとして構成され得る。幾つかの実施形態では、ローパスフィルタが、検出電極24、26の一方と増幅器入力28、30との間に追加されてもよく、不均衡32は周波数依存であり得る。例えば、不均衡32は、システム10が適切に接続されている場合、約1KHzを超える周波数では第1の電位にて維持(例えば、約0.1mV〜約10mVの電位を維持)され得るが、はるかに低い値(例えば、約50マイクロボルト未満)では、インピーダンスの低周波成分(例えば、約500Hz未満の周波数)のみが存在し得る。
【0021】
幾つかの実施形態では、不均衡は、約0.1mV〜約10mVの範囲又は典型的には約0.5mV〜約2mVの範囲に能動的又は受動的に制御され得る。それらの範囲内で、テスト信号の高感度検出を促進するために、適する不均衡電位が存在し得る。テスト信号は一般に、不均衡電位32の値が高いほど、より検出可能であり得るが、高すぎる不均衡電位32は一般に、増幅器22の同相除去比に影響を及ぼし得る。例えば、不均衡電位が高すぎる場合、不要なノイズ源が増幅器22に不注意で結合されて、筋肉関連信号が区別される背景信号が、高感度検出に望ましい場合よりも高くなり得る。システム10では、EMG検出回路も増幅器22を介して指向され、一般に、システム感度を改善するために、高い同相除去が望まれ得る。したがって、約0.1mV〜約10mVの不均衡電位32は、驚くことに、筋活性化からの信号及びテスト信号の両方が、システムノイズを超えるレベルで検出回路に存在し、それぞれが適切な回路を使用して検出可能な妥協値であり得る。さらに、システム10は、テスト信号及び筋活性化からの電気信号の両方を連続して検出するように構成されてもよい。例えば、システム10は、システムをテスト信号のモニタに適する状態と筋活性化から導出される電気信号のモニタに適する状態とで周期的に切り換えることなく、テスト信号及び筋活性化からの信号の両方を能動的にモニタし得る。さらに、歩行設定で患者をモニタするために、電池を最小化する要件が有益であり得る。システム10では、テスト信号及び筋活動からの信号の両方を増幅する共有増幅器22が使用され、複数の増幅器及び/又は信号経路に対する必要性(及び関連付けられた追加の回路要素に付随するエネルギー使用又は消失)が低減され得る。
【0022】
上述したように、電位不均衡32の値は一般に、検出増幅器22の同相除去比及び全体的なシステムノイズに影響し得、幾つかの実施形態では、システム10は、システムが皮膚に適切に接続されている場合、有限な(finite)不均衡32で動作するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、システム10は、システム較正中の電位を直接測定することによって不均衡電位32をモニタするように構成され得る。幾つかの実施形態では、システム10は、較正中の検出テスト信号の強度をモニタするように構成され得る。例えば、システム10の1つ又は複数の要素は調整可能であり得、幾つかの実施形態では、システムが患者に適切に接続される場合、調整が使用されて、システムを較正し、有限な不均衡電位32又は検出可能なテスト信号を維持し得る。例えば、較正中の不均衡は、約0.1mV〜約10mV又は約0.5mV〜約2mVの値を有するように制御され得る。非限定的な例として、生成又は印加されるテスト信号の強度及び又は電極に接続された1つ若しくは複数の電極若しくは要素のインピーダンスは、較正中に不均衡32を設定するように調整され得る。例えば、検出電極に接続され得る上述した任意の抵抗又は抵抗素子は、例えば、可変抵抗であり得る。幾つかの実施形態では、不均衡32は、電極が患者の皮膚に取り付けられている場合、直接測定してもよく、不均衡32が期待される範囲内にない場合、システムは較正されていないと見なされ得る。幾つかの実施形態では、不均衡32は、テスト信号の検出可能レベルをノイズレベルよりも上に維持するのに適するレベルに設定又は調整され得る。例えば、検出の適する感度が、所定の閾値を超える不均衡でのみ達成される場合、システムは、仕様内にないことの警告を送出し得る。幾つかの実施形態では、不均衡32は、テスト信号の検出に適するレベルに設定又は調整され得るとともに、検出増幅器22の最小同相除去を維持するようにも設定又は調整され得る。例えば、テスト信号の検出に適する感度が、較正中に達成されるが、閾値同相除去比が満たされない場合、システムが較正されておらず、且つ/又は不適切に接続されていることの警告が示され得る。幾つかの実施形態では、検出されるテスト信号の強度は、較正中にモニタしてもよく、幾つかの実施形態では、検出されるテスト信号の強度が低い場合、印加されるテスト信号の強度は増大されてもよい。例えば、印加されるテスト信号は、幾つかの実施形態では、増幅器18の利得、電圧源14の大きさ、ルックアップテーブルの値、又はそれらの組合せを調整することによって増大されてもよい。
【0023】
システム10では、テスト信号及びEMG信号のそれぞれは、処理のために検出増幅器22に接続され、検出増幅器22の出力は、両信号から導出される信号を含み得る。さらに、図1に示されるように、増幅器22は、アナログ/デジタル変換器34に接続され得る。アナログ/デジタル変換器34から提供されるデジタル出力は、分析及び/又は視覚化のためにマイクロプロセッサ(図示せず)に供給され得る。クロック又は発振要素19は、アナログ/デジタル変換器34又は内部で接続された関連付けられたマイクロプロセッサのいずれかに接続され、以下に更に説明するように、検知信号の生成及び分析を同期するのに使用され得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、バンドパス又はハイパスフィルタ(図示せず)が回路経路の検出増幅器22とアナログ/デジタル変換器34との間に追加されてもよく、テスト信号を検知する感度を改善するために、フィルタが選択され得る。例えば、注入されたテスト信号は、約1KHz〜約5KHz又は約2KHz〜約4KHzの周波数を有していてもよく、幾つかの実施形態では、適するバンドパスフィルタは、筋活動に関連付けられた成分を含む他の周波数成分からテスト信号周波数を分離するよう追加され得る。幾つかの実施形態では、検出システム10は、3KHzテスト信号を検知するとともに、約20Hz〜約500Hzの1つ又は複数の周波数帯を検知するようにも構成され得る。約20Hz〜約500Hzの周波数内で検知されたデータは、例えば、筋活性化に関連し、発作活動に相関し得る1つ又は複数の値を計算するのに使用され得る。幾つかの実施形態では、収集された信号が発作活動に対応するか否かの判断は、収集された信号が筋肉電気活動に関連する特徴の閾値を満たすか否かを判断することを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、閾値は、T二乗統計値、複数のEMGデータバーストの検出、特徴的なGTC波形の検出、又はそれらの組合せの1つに関連付けられ得る。
【0025】
図1では、テスト信号及び筋肉から発せられる電気活動は両方とも、好都合なことに、共通回路を使用してモニタされ、幾つかの実施形態では、信号は、単一の検出増幅器を使用してモニタされ得る。図2は、検出システム40の別の実施形態を示し、検出システム40は、電極接触完全性をモニタする能力も含み、テスト信号及び筋活動を検出する別個の回路経路を含む。明確にするために、検出システム10及び40の幾つかの実施形態において同様であり得るか、又は関連する機能を果たし得る要素は、同じ参照番号で記されている。検出システム40において、テスト信号が生成され、且つ/又は回路経路12に沿って調整され得、システム10のように、テスト信号は時変信号であり得る。検出電極24、26は、検出増幅器22に接続され、電極から収集された信号又は電極間の差動信号が増幅され得る。しかしながら、検出システム10の実施形態とは異なり、システム40では、検出電極24、26のいずれか一方又は両方も対応する回路経路42、44に接続され得る。信号経路42、44のそれぞれは、印加されたテスト信号の存在をモニタするのに適切な処理要素を含み得る。筋活動から導出される信号は、増幅器22に関連付けられた回路を使用して指向されるとともにモニタされ得るため、テスト信号周波数を通すことに高度に選択的であり得る高除去比バンドパス又はハイパスフィルタ等の高効率周波数依存回路要素が、発作特徴のモニタリングに有用な周波数内の信号を低下させる危険性なく、信号経路42、44に沿った任意のポイントに含められてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、信号経路42、44は、増幅器46、48及びアナログ/デジタル変換器50、52を含み得る。増幅器46、48は差動増幅器であり得るが、より単純且つ/又はエネルギー効率的な加算増幅器であってもよい。幾つかの実施形態では、バンドパス又はハイパスフィルタが含まれるか、又はテスト信号の検出を強化するのに適切な他の要素が追加されていてもよい。アナログ/デジタル変換器50、52から提供されるデジタル出力は、分析のために1つ又は複数のマイクロプロセッサ(図示せず)に供給され得る。さらに、システム40では、検出増幅器22からの出力は、アナログ/デジタル変換器34によって処理され得る。幾つかの実施形態では、ローパスフィルタは、例えば、増幅器22とアナログ/デジタル変換器34との間に追加されて、筋活性化からの信号を検出する感度を強化し得る。アナログ/デジタル変換器(34、50、及び52)のいずれか1つ又は関連付けられたマイクロプロセッサは、クロック又は発振要素19を使用して、本明細書において更に説明するようにトリガされ得る。
【0027】
上述したように、検出システム10、40のそれぞれは、テスト信号を生成し(例えば、回路経路12を使用して)、テスト信号を1つの電極に注入し、収集及び処理に続けてテスト信号を検出するように構成され得る。例えば、印加されたテスト信号の検出は、1つ又は複数のマイクロプロセッサに供給され得る信号の分析を含み得る。信号は、一連の離散した分析時間窓(a series of discrete analysis time windows)にわたり信号を収集するか、又は分割することによって分析されてもよく、幾つかの実施形態では、分析時間窓は、生成されたテスト信号の時間変動に相関し得る。例えば、検知信号は、生成されたテスト信号周期の既知の倍数である持続時間の時間窓に分割され得る。したがって、幾つかの実施形態では、検知信号の分析に使用される時間窓は、印加されたテスト信号が発信する時間周期に関連し得る。更なる実施形態では、検知信号を分析する時間窓の持続時間は、印加されたテスト信号の周期に関連し得、時間窓と印加されたテスト信号との位相は一定に保持され得る。
【0028】
印加されたテスト信号の周期と検知信号を分析する時間窓との相関は、非限定的な例として、アナログ/デジタル変換器(34、50、若しくは52)の少なくとも1つ又は関連付けられたマイクロプロセッサの集積回路及びテスト信号を作成するか、若しくは作り出すのに使用される1つ又は複数の要素(例えば、回路経路12に関連付けられた要素)の動作を同期することによって達成され得る。例えば、回路の分析側で使用される少なくとも1つの要素及びテスト信号の生成に使用される1つの要素が同期され得る。幾つかの実施形態では、分析窓及びテスト信号生成の相関は、共通クロック又は発振要素を使用して、分析窓及びテスト信号の生成に使用される1つの要素(例えば、デジタル/アナログ変換器16)をトリガすることによって達成され得る。例えば、検知信号の周波数変換の積分及び/又は実行の開始時間及びテスト信号の生成に使用される1つの要素のトリガは、同じクロック信号で設定され得るか、又は同じクロック信号に基づき得る。例えば、幾つかの実施形態では、アナログ/デジタル変換器(34、50、及び/又は52)の1つからのデータのサンプリングは、生成中、テスト信号のセグメント化と同期してトリガされ得る。例えば、デジタル/アナログ変換器16が、テスト信号をセグメント化するためにルックアップテーブルの値を使用する都度(又は整数の回数のそれぞれで)、アナログ/デジタル変換器(34、50、及び/又は52)は、分析のためにデータをマイクロプロセッサに送信し得る。したがって、所与の分析窓内で、検知データもテストパルスと同期してセグメント化され得る(検出側で)。さらに、データセグメント化のレートは、検知信号の検出側及びテストパルスの生成側の両方で既知であり得るため、分析窓は、生成されたテスト信号の周期(又は整数の周期)に一致するセグメント数を含むように定義され得る。さらに、この手法では、テストパルスの処理中、例えば、テスト信号のセグメント化と分析窓に使用されるデータのサンプリングとの間で生じ得る任意の位相遅延は、一定のままであり得る。したがって、分析窓(又は分析窓内の離散したデータ値)のタイミング及び長さ並びにテスト信号周期は、一定の位相関係を維持し得、再現可能に同期し得る。
【0029】
テストパルスが回路の検出側で検知される場合、分析窓は、最大振幅及び/又は最小振幅の1つ又は複数の整数のピークを繰り返し含み得るため(及びテストパルスの検知は適切な電極接触に依存し得るため)、検知信号のピークツーピーク変動は、電極の接触完全性が維持される場合、最小化され得る。例えば、上述したように、生成及びサンプリングの同期は、未知数のピーク最大及び/又は最小値のランダムな変動を阻止し得る。したがって、幾つかの実施形態では、テスト信号の1つのみの周期がサンプリングされる場合(すなわち、テスト信号の1つの周期であるサンプル窓を用いる場合)であっても、テストパルスは高い信頼性で検出され得る。
【0030】
例えば、図3では、デジタル/アナログ変換器16から出力される時変テスト信号が、アナログ/デジタル変換器34、50、52の1つから出力され得る等の信号を分析する窓と一緒に概略的に示されている。図3に示されるように、窓のサンプリング及びテスト信号の生成は両方とも、共通の発振器からトリガされるため、位相遅延は既知であるか、又は一定であり得、信頼性が高く整数の最大及び/又は最小値ピークが、任意の分析窓内で検出され得る。テスト信号から他の信号成分を区別するために、データは、テスト信号の周期性に一致する反復特徴の存在について分析され得る。例えば、幾つかの実施形態では、収集された時間窓についてのデータは、正及び/又は負の振幅ピークの数が期待値に一致する場合、振幅が適切に高い場合、又はシステム遅延が1つ若しくは複数の分析窓で再現可能に検出される場合、テスト信号を示し得る。幾つかの実施形態では、収集された時間窓についてのデータは、正及び/又は負振幅ピークの数が期待値に一致し、合計信号のピーク又は整流値が閾値レベルに達する場合、テスト信号の検知を示し得る。
【0031】
筋電図検査法を使用して発作活動についてセンサシステムをモニタし、センサに含まれる少なくとも1つの電極の皮膚接触完全性をチェックする方法60を図4に示す。ステップ62において、電気活動がモニタされ得るとともに発作特徴に関連し得る患者の少なくとも1つの筋肉又はその近傍にセンサ電極が配置され得る。例えば、好ましい実施形態では、一対の検出電極が、関心のある筋肉(上腕二頭筋又は上腕三頭筋等)に配置され得、共通電極又は参照電極が、一対の検出電極から適切な距離に配置され得る。共通電極は、例えば、電気的に関連しない組織の領域又は関心のある電気信号が比較的存在しない組織の領域の近傍に配置され得る。
【0032】
ステップ64において、既知の周期性のテスト信号が生成され、且つ/又はセンサシステムの中に含まれる電極に印加され得る。例えば、テスト信号は、双極検出構成で配置されるセンサ電極の共通電極に印加され得る。幾つかの実施形態では、テスト信号は、約1KHz〜約5KHz信号、2KHz〜約4KHz、又は約3KHzの周波数を有し得る。テスト信号データは、例えば、クロック又は発振器を使用して確立された周期性を有する一連のセグメントで生成され得る。印加されたテスト信号の強度及び電極の位置決めは、印加されたテスト信号の少なくとも一部が1つ又は複数の検出電極に存在するように調整され得る。例えば、幾つかの実施形態では、約1mV〜約750mVのテスト信号が、一対の検出電極から一般に約0.5cm〜約3cmに配置された共通電極に印加され得る。
【0033】
ステップ66において、信号は、1つ又は複数の検出電極において収集され得る。例えば、信号は、テスト信号の一部及び筋活性化からの信号(存在する場合)を含み得る。幾つかの実施形態では、信号の収集は、一対の検出電極を使用して達成されてもよく、検出電極の入力インピーダンスは約2KΩ〜約20KΩである。幾つかの実施形態では、検出電極の入力インピーダンスは等しくてもよく、電極での概ね同じ入力電圧の印加は、平衡された出力信号を生成し得る。他の実施形態では、検出電極の入力インピーダンスは、非平衡であり得、検出電極に概ね同じ電圧が印加される場合、不均衡電位が存在し得る。
【0034】
ステップ68において、収集された検出電極信号(EMG信号)は処理され得る。例えば、検出電極から収集された信号は、EMG信号及び印加されたテスト信号を含み得る。幾つかの実施形態では、収集された検出電極信号の処理は、非限定的な例として、信号を1つ又は複数の増幅器に向けること、1つ又は複数のフィルタ(テスト信号データ又は筋活性化から生じた信号のいずれかを分離するのに使用するフィルタ等)の適用、検知信号データのセグメント化、アナログデータのデジタル化、他の処理、及びそれらの任意の組合せを含み得る。
【0035】
ステップ70において、収集された信号は発作活動の特徴について分析され得る。例えば、幾つかの実施形態では、収集された信号は、非限定的な例として、閾値T二乗統計値、振幅バーストの存在、特徴的GTC波形の検出、又はそれらの組合せを含む発作活動に関連する1つ又は複数の特徴又は閾値の存在について分析され得る。
【0036】
ステップ72において、収集された信号は、検出されたテスト信号の存在について分析され得る。幾つかの実施形態では、テスト信号の存在について分析された信号は、テスト信号の生成中のセグメント化に相関するようにセグメント化され得る。例えば、分析された信号及び生成されたテスト信号は、持続時間及び/又は位相において同期され得る。
【0037】
ステップ74において、検出されたテスト信号の存在に基づいて、1つ又は複数のセンサ電極が皮膚に適切に接触しているか否かが判断され、かつ適切なアクションが取られ得る。例えば、テスト信号が検出されないか、又は閾値レベルに満たないと判断される場合、警告が示され得る。
【0038】
開示される方法及び装置並びのそれらの利点について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱せずに、様々な変更、置換、及び代替が本明細書において行われ得ることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成又は物質、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。例えば、「含む」という言葉の使用は、「備える」という言葉が解釈されるように、すなわち、オープンエンドとして解釈されるべきである。本開示から容易に理解されるように、本明細書において記載される対応する実施形態とほぼ同じ機能を実行するか、又はほぼ同じ結果を達成する、現在存在するか、又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップが利用可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを範囲内に包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4