(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備えるスライダー本体(100)と、
前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部(210)を含む閉塞部材(200)を備えるスライドファスナー用のスライダー(400)であって、
前記閉塞部材(200)が、前記閉塞部材(200)の上部に設けられ、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)に対して係合する上部係合部(215)と、前記閉塞部(210)の下部に設けられた脚部(220)を含み、
前記脚部(220)が、前記閉塞部(210)から前記連結柱(30)に沿って延びる棒部(224)と、前記棒部(224)に対して連結し、前記下翼板(20)に対して係合する下部係合部(225)を含み、
前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)の上面(51)に前記上部係合部(215)が係合する上部被係合部(55)が凹設される、スライダー。
前記連結柱(30)は、当該連結柱(30)を上下に貫通する前方解放の縦溝(33)を有し、前記棒部(224)が少なくとも部分的に前記縦溝(33)に収容される、請求項1又は2に記載のスライダー。
前記下部係合部(225)は、前記棒部(224)に対して屈曲して設けられた平板部であり、前記下翼板(20)の下面に凹設された下部被係合部(25)に収容される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスライダー。
前記連結柱(30)が延びる方向を上下方向とし、前記上下方向に直交し、かつ前記スライダーの摺動方向に一致する方向を前後方向とし、前記上下方向及び前記前後方向に直交する方向を左右方向とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスライドファスナー用のスライダー(400)であって、
前記上部係合部(215)及び前記下部係合部(225)は、各々、前記左右方向において突出する少なくとも1つの突出部を有する、スライダー。
前記閉塞部(210)の前記引手取付柱(50)に対向する面には、前記引手取付柱(50)の前記基端部(52)から離間するに応じて上方に上る傾斜面(213)が設けられる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスライダー。
上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備えるスライダー本体(100)に対して取り付けられる閉塞部材(200)であって、
前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部(210)と、
前記閉塞部(210)の上部に設けられ、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)の上面(51)に凹設された上部被係合部(55)に対して係合する上部係合部(215)と、
前記閉塞部(210)の下部に設けられた脚部(220)を備え、
前記脚部(220)が、前記閉塞部(210)から前記連結柱(30)に沿って延びる棒部(224)と、前記棒部(224)に対して連結し、前記下翼板(20)に対して係合する下部係合部(225)を含む、閉塞部材。
上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備え、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部材(200)が取り付け可能であるスライダー本体(100)であって、
前記閉塞部材(200)の上部係合部(215)が係合する上部被係合部(55)が前記引手取付柱(50)の自由端部(54)の上面(51)に凹設され、
前記閉塞部材(200)の下部係合部(225)が係合する下部被係合部(25)が前記下翼板(20)に設けられ、
前記連結柱(30)は、当該連結柱(30)を上下に貫通する前方解放の縦溝(33)を有し、前記閉塞部材(200)の前記上部係合部(215)と前記下部係合部(225)の中間にある棒部(224)を収容可能である、スライダー本体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の場合、閉塞部材が相対的に小さく、スライダー本体への取付が簡単ではなく、また簡単な取付を確保すれば、局所的な力がかかる時に外れやすくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るスライダーは、上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備えるスライダー本体(100)と、
前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部(210)を含む閉塞部材(200)を備えるスライドファスナー用のスライダー(400)であって、
前記閉塞部材(200)が、前記閉塞部材(200)の上部に設けられ、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)に対して係合する上部係合部(215)と、前記閉塞部(210)の下部に設けられた脚部(220)を含み、
前記脚部(220)が、前記閉塞部(210)から前記連結柱(30)に沿って延びる棒部(224)と、前記棒部(224)に対して連結し、前記下翼板(20)に対して係合する下部係合部(225)を含む。
【0009】
幾つかの実施形態においては、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)の上面(51)に前記上部係合部(215)が係合する上部被係合部(55)が凹設される。
【0010】
幾つかの実施形態においては、前記上部係合部(215)が、下方に突出する係合突起(217)を有し、前記上部被係合部(55)が、上方に開口した周壁(56)を有し、前記係合突起(217)が前記周壁(56)内に収容される。なお、周壁により係合突起が完全に周囲される必要はない。
【0011】
幾つかの実施形態においては、前記連結柱(30)は、当該連結柱(30)を上下に貫通する前方解放の縦溝(33)を有し、前記棒部(224)が少なくとも部分的に前記縦溝(33)に収容される。
【0012】
幾つかの実施形態においては、前記下部係合部(225)は、前記棒部(224)に対して屈曲して設けられた平板部であり、前記下翼板(20)の下面に凹設された下部被係合部(25)に収容される。
【0013】
前記連結柱(30)が延びる方向を上下方向とし、前記上下方向に直交し、かつ前記スライダーの摺動方向に一致する方向を前後方向とし、前記上下方向及び前記前後方向に直交する方向を左右方向とする場合、前記上部係合部(215)及び前記下部係合部(225)は、各々、前記左右方向において突出する少なくとも1つの突出部を有する。
【0014】
幾つかの実施形態においては、前記閉塞部(210)の前記引手取付柱(50)に対向する面には、前記引手取付柱(50)の前記基端部(52)から離間するに応じて上方に上る傾斜面(213)が設けられる。
【0015】
本発明の別態様に係る閉塞部材は、上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備えるスライダー本体(100)に対して取り付けられる閉塞部材(200)であって、
前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部(210)と、
前記閉塞部(210)の上部に設けられ、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)に対して係合する上部係合部(215)と、
前記閉塞部(210)の下部に設けられた脚部(220)を備え、
前記脚部(220)が、前記閉塞部(210)から前記連結柱(30)に沿って延びる棒部(224)と、前記棒部(224)に対して連結し、前記下翼板(20)に対して係合する下部係合部(225)を含む。
【0016】
本発明の別態様に係るスライダー本体は、上翼板(10)、下翼板(20)、及び前記上翼板(10)と前記下翼板(20)を前端部(104)にて連結する連結柱(30)、及び前記上翼板(10)に連結した基端部(52)からその自由端部(54)まで前記前端部(104)に向かって片持ち状に延びる引手取付柱(50)を備え、前記引手取付柱(50)の前記自由端部(54)と前記上翼板(10)の間の隙間(60)を閉塞する閉塞部材(200)が取り付け可能であるスライダー本体(100)であって、
前記閉塞部材(200)の上部係合部(215)が係合する上部被係合部(55)が前記引手取付柱(50)の自由端部(54)に設けられ、
前記閉塞部材(200)の下部係合部(225)が係合する下部被係合部(25)が前記下翼板(20)に設けられる。
【0017】
幾つかの実施形態においては、前記連結柱(30)は、当該連結柱(30)を上下に貫通する前方解放の縦溝(33)を有し、前記閉塞部材(200)の前記上部係合部(215)と前記下部係合部(225)の中間にある棒部(224)を収容可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スライダー本体に対する閉塞部材の取付の簡単さとスライダー本体からの閉塞部材の外れ難さを両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、過剰説明をするまでもなく、当業者をすれば、適宜、組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明説明を主目的とするものであり、適宜、簡略化されている。
【0021】
方向を示す用語を次のように定義する。上下方向は、連結柱が延びる方向に一致する。左右方向は、連結柱の両隣の開口の横並びの方向に合致する。前後方向は、上下方向及び左右方向に直交する方向である。前後方向は、スライドファスナーを開閉するスライダーの移動方向、つまりスライダーの摺動方向にも一致する。左右方向は、ファスナーテープの対向側縁を横切る方向にも一致する。本願の開示を踏まえて別の表現で方向を示す用語を定義することもできる。例えば、左右方向を幅方向と理解し、後述の各要素の幅方向の大きさ若しくは各要素間の間隔を理解することもできる。
【0022】
<第1実施形態>
図1乃至
図10を参照して第1実施形態について説明する。
図1は、スライドファスナー用のスライダーの概略的な分解斜視図である。
図2は、スライドファスナー用のスライダーの概略的な斜視図であり、スライダー本体に対して閉塞部材が取り付けられた状態を示す。なお、図示の簡潔のため、引手の図示は省略している。
図3は、スライドファスナー用のスライダーのスライダー本体の概略的な斜視図であり、前方斜め上から斜視し、スライダー本体の上翼板及び引手取付柱を示す。
図4は、スライドファスナー用のスライダーのスライダー本体の概略的な斜視図であり、前方斜め下から斜視し、スライダー本体の下翼板の下面を示す。
図5は、スライドファスナー用のスライダーのスライダー本体の断面模式図と閉塞部材の側面図を併せて示す模式図である。なお、スライダー本体の断面は、
図9のV−Vの平面における断面である。
図6は、
図5のVI−VI平面における断面図である。
図7は、スライドファスナー用のスライダーのスライダー本体に対して閉塞部材を取り付ける過程を説明する説明図である。
図8は、スライドファスナー用のスライダーの断面模式図であり、引手、スライダー本体、及び閉塞部材の断面を示す。
図9は、スライドファスナー用のスライダーの上面模式図であり、閉塞部材の上部係合部が引手取付柱の自由端の上部被係合部に係合した状態を部分断面にて示す。
図10は、スライドファスナー用のスライダーの下面模式図であり、閉塞部材の下部係合部が下翼板の下部被係合部に係合した状態を示す。
【0023】
図1乃至10に示すように、スライドファスナー用のスライダー400は、スライダー本体100、閉塞部材200、及び引手300を有する。スライダー本体100に対して引手300が取り付けられ、この後、スライダー本体100に対して閉塞部材200が取り付けられる。このような組立手順が許容されるため、引手300の後付が許容される。換言すれば、スライダー本体100に対して引手300を取り付けるタイミングの自由度が高められる。スライダー本体100と引手300を切り分けてスライダー400を製造できるメリットもある。なお、閉塞部材200がスライダー本体100に対して取り付けられていない2つの部品が部品ユニットと把握される。部品ユニットに引手300を含めて3つの部品を含むものと把握しても良い。
【0024】
なお、引手300は、基端302と把持端304を有し、各々の端部寄りに穴320、340が開口した金属製の平板材である。引手300の穴320に引手取付柱50を通すことにより引手取付柱50に引手300が取り付けられる。
【0025】
スライダー400は、スライドファスナー用のスライダーであり、スライダー400の前後移動によりスライドファスナーが開閉される。詳細には、スライダー400の前移動により左右のファスナーエレメントが噛み合わされ、従って、左右のファスナーストリンガーが閉じられる。スライダー400の後移動により左右のファスナーエレメントの噛合が解除され、従って、左右のファスナーストリンガーが開けられる。なお、スライドファスナーの具体的な種類や構成は任意である。ファスナーエレメントの種類や構成も任意であり、コイルエレメント、樹脂エレメント、又は金属エレメント等が想定される。
【0026】
スライダー400が組み込まれたスライドファスナーが用いられる用途は多岐に亘る。例えば、スライドファスナーの用途として、衣服類、鞄類、袋類が挙げられる。上述のように、本実施形態に係るスライダー400は、引手の後付を許容する。したがって、上述の広範な用途に用いられるスライドファスナーの引手が事後的に破損するとしても、引手の交換で対処することができる。
【0027】
限定する意図はないが、例えば、スライダー400が鞄に縫着されたスライドファスナーに組み込まれ、スライダー400の引手が部分的に破損する場合を想定する。この場合においても、スライダー400の閉塞部材200を破壊若しくは取り外しによりスライダー本体100から外すことにより破損した引手を同種又は異種の新しい引手で交換することができる。この場合、鞄全体を交換することが回避され、ユーザーのニーズに合致する。
【0028】
引手交換に際して、新しい閉塞部材200を用意することが望ましい。スライダー本体100から閉塞部材200を無変形若しくは無傷に取り外すことは簡単ではない。引手交換のために閉塞部材200を破壊することが簡便である。なお、何らかの理由により閉塞部材200が破損するとしても、新しい閉塞部材に交換することもできる。
【0029】
スライダー本体100は、金属若しくは樹脂若しくは任意の他の材料から成る。閉塞部材200は、金属若しくは樹脂若しくは任意の他の材料から成る。引手300は、金属若しくは樹脂若しくは任意の他の材料から成る。
【0030】
非限定の一例においては、スライダー本体100が金属製であり、閉塞部材200が樹脂性であり、引手300が金属製である。本例においては、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が促進される。本例においては、閉塞部材200が、剛性を有しつつも、やや軟らかい樹脂から成る。つまり、閉塞部材200は、スライダー本体100よりも軟らかい材料から成る。閉塞部材200は、限定する意図はないが、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂材料などを利用して射出成形により一体形成された成形品で構成される。
【0031】
スライダー本体100、閉塞部材200、及び引手300の製造方法について任意である。限定する意図はないが、例えば、スライダー本体100が金属材料のダイキャスト成形により製造され、閉塞部材200が樹脂の金型成形により製造され、引手300が金属材料のダイキャスト成形により製造される。金属製の引手300は、閉塞部材200に対して相対的に強い衝撃を与える可能性がある。この点は、例えば、紐性の引手と比較する場合に顕著である。
【0032】
スライダー本体100は、上翼板10、下翼板20、上翼板10と下翼板20を前端部104で連結する連結柱30、及び上翼板10上に設けられた片持ち状の引手取付柱50を有する。スライダー本体100は、後端部102と前端部104を有する。スライダー本体100の前端部104には連結柱30を挟んで左右一対の前口が設けられる。スライダー本体100の後端部102には一つの後口が設けられる。ファスナーエレメントは、上翼板10、下翼板20、及び連結柱30により定まるY字状のエレメント移動空間内を移動する。噛み合い状態の左右のファスナーエレメントが後口を出入りし、非噛み合い状態の左右のファスナーエレメントが左右一対の前口を出入りする。
【0033】
上翼板10には左右一対のフランジ部11が設けられ、ファスナーエレメントの左右変位を規制する。上翼板10と下翼板20の各対向内面にはファスナーエレメントを案内する案内構造が設けられる場合がある。
【0034】
フランジ部11の形状及び/又は配置は、様々な条件、例えば、ファスナーテープにファスナーエレメントが固定されたファスナーストリンガー(ファスナーチェーンとも呼ばれる)の形態若しくは使用態様に応じて変更され得る。例えば、コイルエレメントがファスナーテープの一面に取り付けられ、エレメント列が表側から見えない態様で用いられる場合、フランジ部11が上翼板10ではなく下翼板20に設けられる。ファスナーテープに対して一体的に射出成形された樹脂エレメントのファスナーチェーン、若しくはファスナーテープに対して金属エレメントが加締め固定されたファスナーチェーンの場合、上翼板10及び下翼板20の両方にフランジ部11が設けられる。
【0035】
上翼板10と下翼板20は同一の上面視形状を有する対向配置された平板部である。連結柱30は、上翼板10の前端部と下翼板20の前端部を左右中央にて連結する。連結柱30は、上翼板10に連結した上端部31と下翼板20に連結した下端部32を有し、上端部31と下端部32の間を延びる。連結柱30には上下に貫通した前方解放の縦溝33が設けられる。この縦溝33には後述の閉塞部材200の脚部220の棒部224が収容及び保持される。
【0036】
引手取付柱50は、上翼板10に連結した基端部52と上翼板10から離間した自由端部54を有する。引手取付柱50は、スライダー本体100の後端部102側の基端部52からスライダー本体100の前端部104に向かって延びる。引手取付柱50の自由端部54は、スライダー本体100の前端部104上に隙間60をあけて配される。
【0037】
上翼板10の上面には引手取付柱50の基端部52から前端部104に向かって延びる横溝15が設けられる。横溝15の左右幅は、引手取付柱50の左右幅より小さく、横溝15の深さは、引手取付柱50の基端部52から離間するに応じて暫増する。横溝15は、連結柱30の縦溝33に空間連通している。後述の閉塞部材200の脚部220の下部係合部225が収容及び保持される下部被係合部25が下翼板20の下面に対して凹設されている。下部被係合部25は、連結柱30の縦溝33に空間連通している。
【0038】
なお、ここで言う空間連通とは、
図5に見られるように縦溝33と横溝15と下部被係合部25が上翼板10の上面、連結柱30の前面、下翼板20の下面よりも内側に連続して切りかかれた形状を意味する。すなわち、横溝15の底面前端と縦溝33の底面の上端部が連設しており、縦溝33の底面の下端部と凹設された被係合部の底面の前端部が連設している。
【0039】
閉塞部材200は、閉塞部210、閉塞部210に連結した上部係合部215、及び閉塞部210に連結した脚部220を有する。上部係合部215は、閉塞部210の上部に設けられる。脚部220は、閉塞部210の下部に設けられ、閉塞部210の下面に連結する。脚部220は、閉塞部210から連結柱30に沿って延びる棒部224と、棒部224に対して連結し、下翼板20に対して係合する下部係合部225を含む。棒部224は、上部係合部215と下部係合部225の中間に位置する部分であり、また閉塞部210と下部係合部225の中間に位置する部分である。
【0040】
上部係合部215は、引手取付柱50の自由端部54に設けられた上部被係合部55に係合する。下部被係合部25は、下翼板20に設けられた下部被係合部25に係合する。閉塞部材200によるスライダー本体100の上下の挟み込みにより、スライダー本体100と閉塞部材200間の十分な連結が確保される。
【0041】
閉塞部210は、大きい塊/ブロックとして存在し、引手取付柱50の左右幅と略同一の左右幅を有し、上翼板20の上面から引手取付柱50の自由端部の下面までの隙間の上下寸法と略同一の上下寸法を有する。他方、脚部220は、閉塞部210の左右幅よりも狭い左右幅を有し、脚部220の先端が後方向に向くようにL字状に屈曲した棒状部材である。脚部220は、閉塞部210と比較して可撓性を有する。脚部220の可撓性は、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付を促進する点で有利である。
【0042】
閉塞部210は、上部よりも下部のほうが後方向に突出した形状をしており、閉塞部210が有する引手取付柱50の基端部52に対向する面には傾斜面213が設けられる。傾斜面213は、引手取付柱50の基端部52から離間するに応じて上方に上る傾斜面である。傾斜面213は、上翼板10の上面から引手取付柱50の自由端部54に向けて前方向に傾斜した傾斜面である。閉塞部材200がスライダー本体100に取り付けられた状態において、引手300を前方に引くと、引手300の穴320を周囲する部分が傾斜面213を上り、引手取付柱50に接触する。引手300からの力が閉塞部材200のみで受けるのではなく引手取付柱50と閉塞部材200の両方で受けることにより引手300からの力が分散される。
【0043】
引手取付柱50の自由端部54には上部被係合部55が設けられる。上部被係合部55は、引手取付柱50の自由端部54の上面51に凹設される。上部被係合部55は、下方に凹み、上方に開口した態様にあり、上方からの上部係合部215の挿入を許容する。図示の例示形態においては、上部被係合部55は、自由端部54の上下寸法の半分以上の深さを有する凹みであって、上部係合部215の係合突起217を周囲するように設けられた周壁56を含む。周壁56は、左右壁と前壁を含み、係合突起217の左右及び前後変位を規制する。周壁56の前壁の左右中央が除去されている。周壁56の上面は、引手取付柱50の最も高い位置にある上面よりも低く形成されている。
【0044】
上部係合部215は、閉塞部210に連結する基部214、基部214から後方向に向けて延びた被覆部216、被覆部216から下方に突出する係合突起217、及び係合突起217と基部214を結合する結合部218を有する。上部係合部215は、閉塞部210よりも後方に突出するように設けられ、これにより下方に突出する係合突起217の配置空間が確保される。被覆部216は、引手取付柱50の自由端部54を上方から被覆し、少なくとも上部被係合部55を被覆する。被覆部216は、基部214の左右幅に等しい左右幅を有する。被覆部216の左右上縁、前縁、及び後縁は、各々、丸み付けられている。係合突起217は、上部被係合部55の周壁56の内壁面が画定するサイズよりも若干小さいサイズを有し、周壁56内に収容される。係合突起217の先端は、
図6に図示のように左右中央が突出した略三角形状に構成されている。
図5に図示のように、上部係合部215の後端位置と閉塞部210の後端位置の間には距離D1が存在する。
【0045】
図9に示すように、係合突起217は、左右方向において反対側に突出して幅広になった幅広部を含む。係合突起217は、左右方向において突出する一対の突出部が含まれる。別形態においては、係合突起217は、左右方向のうちいずれか一方にのみ突出する一つの突出部を含む。結合部218は、左右幅広の係合突起217と比較して左右幅狭の幅狭部である。係合突起217の幅広部が上述の周壁56により周囲される。結合部218の幅狭部が上述の周壁56の除去空間に挿入される。なお、係合突起217の左右幅は、被覆部216の左右幅よりも小さい。
【0046】
係合突起217と周壁56の嵌合により、引手取付柱50の自由端部54に対する閉塞部材200の上部係合部215の左右及び前後変位が規制される。周壁56から係合突起217が上方へ移動することは、下部係合部225と下部被係合部25間の係合により阻止される。
【0047】
脚部220の棒部224は、閉塞部210から連結柱30に沿って下方に延びる。棒部224の上端は、閉塞部210の下面に連結する。下部係合部225は、棒部224に対して約90°に屈曲して設けられ、棒部224の下端から後方に延びる。下部係合部225の後端位置は、上部係合部215の後端位置よりも後方に設けられ、
図5に図示のように、それらの間には距離D2が存在する。距離D2により、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が促進され得る。
【0048】
下翼板20には下部被係合部25が設けられる。下部被係合部25は、下翼板20の下面に凹設され、縦溝33に空間連通している。下部被係合部25は、下方及び前方が解放しており、前方若しくは下方からの下部係合部225の挿入を許容する。下部被係合部25は、必ずしもこの限りではないが、下部係合部225に応じた形状、例えば、下部係合部225の相似の形状の凹部を持つ。
【0049】
下部係合部225は、棒部224の下端に一体的に連結し、左右方向において棒部224と同一幅である基部226と、基部226に対して左右両方向に突出して幅広になった幅広中間部227と、左右方向において相対的に幅が狭く、先端に向かって先細りの幅狭先端部228を有する。幅広中間部227には、左右方向において突出する一対の突出部が含まれる。別形態においては、幅広中間部227には左右方向において突出する一つの突出部が含まれる。下部被係合部25には、下部係合部225の基部226を収容する第1溝25p、幅広中間部227を収容する第2溝25q、及び幅狭先端部228を収容する第3溝25rが設けられる。第2溝25qは、第1溝25pや第3溝25rと比較して左右幅広である。幅広中間部227から幅狭先端部228の先端に向けて下部係合部225の上下厚が漸減し、幅狭先端部228の上面には後方に向かい下方へ下る傾斜面が設けられる。
【0050】
幅広中間部227よりも脚部220の先端に位置する幅狭先端部228により、
図7に模式的に示すように、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が促進される。具体的には、連結柱30の縦溝33に下部係合部225の幅狭先端部228が挿入されて閉塞部材200の脚部220が閉塞部210に対して前方向に撓む。閉塞部材200の脚部220の下部係合部225は、幅狭先端部228が縦溝33によりガイドされつつ、下翼板20の下面の前縁を乗り越え、そして、下翼板20の下面沿いに後方へ移動し、下翼板20の下面の下部被係合部25に到達して収容される。
【0051】
具体的な手順に関しては、例えば、上部係合部215の係合突起217を上部被係合部55の周壁56内に上方から差し込み、閉塞部材200の脚部220を連結柱30の縦溝33内に押し込むように力をかける。すると、下部係合部225が下翼板20の下面の前縁を乗り越え、下部被係合部25にまで到達し、そこに収容及び保持される。このようにしてスライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が達成される。
【0052】
本実施形態においては、上部係合部215と下部係合部225自体が弾性変形せず、これにより、より強力な取付強度が確保される。端的には、係合突起217に含まれる幅広部若しくは突出部自体が弾性変形するものではなく、下部係合部225に含まれる幅広部(幅広中間部217)若しくは突出部自体が弾性変形しない。詳細には、脚部224が弾性変形し、上部係合部215及び下部係合部225の上下間隔が広がり、その後、脚部224が元形状に弾性復帰することで上部係合部215及び下部係合部225の上下間隔が元の間隔まで狭まり、上部係合部215及び下部係合部225が個別に上部被係合部55及び下部被係合部25に係合される。
【0053】
上部係合部215の上下寸法よりも下部係合部225の上下寸法が小さく設定され、また下部係合部225の後端位置が上部係合部215の後端位置よりも後方に設けられ、更に下部係合部225には幅狭先端部228が設けられている。従って、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付作業性が向上し、またより強力な取付強度が確保される。
【0054】
幾つかの実施形態においては、機械のみならず、人手によってもスライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が可能である。閉塞部210に対する脚部220の変形を許容するように閉塞部材200に可撓性を持たせることが望ましい。閉塞部210については、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付の基点若しくは基部となる。脚部220以外、例えば閉塞部210には可撓性を持たせなくてもよい。
【0055】
本実施形態においては、閉塞部材200が、閉塞部210に連結した脚部220を含み、脚部220が、閉塞部210から連結柱30に沿って延びる棒部224と、棒部224に対して連結し、下翼板20に対して係合する下部係合部225を含む。閉塞部材200の閉塞部210に局所的な力が作用するとしても、上部係合部215と上部被係合部55の上部係合構造から離れて位置する下部係合部225と下部被係合部25の間の下部係合構造のおかげでスライダー本体100からの閉塞部材200の離脱が抑止される。また、閉塞部材200が相対的に大きいサイズになり、その取り扱いが簡単になり、スライダー本体100に対して簡単に取り付けることができる。繰り返すが、スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付は、機械若しくは人手若しくはこれらの組み合わせにより為される。
【0056】
本実施形態においては、上部係合部215が下方に突出した係合突起217を含み、上部被係合部55が上方に開口した周壁56を含む。周壁56に対して係合突起217を差し込むことは、比較的簡単に行うことができる。
【0057】
本実施形態においては、閉塞部材200は、スライダー本体100よりも軟らかい材料から成る。これによりスライダー本体100に対する閉塞部材200の取付が更に促進される。また、この場合、閉塞部材200をカッターや鋏などの道具で破壊しやすく、従って引手の交換が容易である。
【0058】
本実施形態においては、閉塞部材200の脚部220が可撓性を有し、これにより、スライダー本体100に対する閉塞部材200の簡単な取付が確保される。
【0059】
本実施形態においては、スライダー本体100の連結柱30には縦溝33が設けられ、脚部220の棒部224が収容及び保持される。従って、棒部224は、スライダー400の動作に影響しない。また、棒部224が前方に突出することが回避される。
【0060】
本実施形態においては、閉塞部材200の下部係合部225が下翼板20の下部被係合部25に収容されると、下部係合部225の下面と下翼板20の下面とが面一となる。従って、下部係合部225を突起として人肌が感じることが抑止される。
【0061】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。
【0062】
上部係合部215は、必ずしも引手取付柱50の自由端部54の上面51に凹設の上部被係合部55に係合する必要はなく、特許文献1のような引手取付柱50の自由端部54の下面に凹設された上部被係合部に係合する形態を取ることもできる。
【0063】
引手取付柱50の前後長を短くし、これを補うべく上部係合部215を後方に更に突出させても構わない。複数の係合突起217を上部係合部215に設けても良い。この場合、各係合突起217に対応して区画された収容部/凹部が上部被係合部55に設けられる。
【0064】
下部係合部225を更に後方に延ばしても良い。この場合、下部被係合部25も更に後方に延ばされる。脚部220の棒部224を連結柱30の縦溝33から突出し、上下方向に直交する平面において任意の断面形状を持たせても良い。閉塞部210、上部係合部215、及び脚部220の個々の具体的な形状は、適宜、変更可能である。
【0065】
スライダー本体100に対する閉塞部材200の取付に関して、下部係合部225と下部被係合部25を係合した後、上部係合部215と上部被係合部55を係合させても良い。