【課題を解決するための手段】
【0003】
多機能層を製造するための本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップAによってキャリアを有する電気泳動基板を設ける。電気泳動基板は、自己支持型である。例えば、電気泳動基板は、さらなる機械的な支持部品または安定化部品を何ら必要としない。電気泳動基板のキャリアは例えば、電気絶縁材料を含んでもよく、そのような材料からなっていてもよい。
【0004】
さらに、キャリアは導電性材料を含んでもよく、この場合、キャリアの外面が電気絶縁性を有するように構成してもよい。例えば、キャリアの外面は、連続的な誘電性パッシベーション部を有してもよい。キャリアは導電性のケイ素等の導電性コアを備えることができ、導電性コアはプラスチック等の電気絶縁材料によって包囲されていることができる。
【0005】
キャリアは好ましくは、ガラス、GaN、金属、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、テフロン被覆材料、ポリオレフィン(例えば、高密度もしくは低密度のポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP))等のプラスチック、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(例えば、ポリフタラミド(PPA))、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、シリコーン、エポキシドのうちの1つの材料を含んでもよく、これら材料の1つからなっていてもよい。
【0006】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、キャリアは、前面、および、前面とは反対側の後面を備える。前面および後面は好ましくは、製造公差の範囲内で平坦に構成される。前面は、特に、後面に対して平行に延在していてもよい。
【0007】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、第1の導電層および第2の導電層がキャリアの前面に設けられ、横方向に互いに離間して諸所に配置されている。本明細書において「横方向」とは、本明細書に記載の電気泳動基板が延在する主方向に対して平行な方向を意味するものと理解される。第1の導電層および第2の導電層は例えば、直接接触しておらず、蒸着またはスパッタリング等によって形成され得る。さらに、第1の導電層は、第2の導電層と同じ材料を含んでもよい。特に、第1のおよび第2の導電層は、同一の材料から、パターニングによって形成され得る。また、第1の導電材料が第2の導電層の材料とは異なる材料を含むこともできる。第1の導電層および第2の導電層は、それら導電層が様々な材料の電気泳動による成膜に適するように構成される。キャリアの導電層が形成されない領域は例えば、フォトレジスト層を備えてもよい。
【0008】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップBにおいて、第1の材料を第1の導電層上に電気泳動によって成膜する。この場合、電圧を第1の導電層に印加し、その結果、例えば電気泳動溶液内に位置し得る第1の材料を第1の導電層上に成膜する。第2の導電層は好ましくは無電位(potential-free)であるか、または、異なる電位が第2の導電層に印加される。それにより第1の材料を第1の導電層上のみに成膜するか、または、第1の導電層上に少なくともより多く成膜する。第1の材料内での光散乱を実現するために、第1の材料と同時に拡散材料を電気泳動によって成膜することもできる。光散乱は好ましくは、第1の材料の領域内で均質であり、特に等方性を有する。上記拡散材料は、SiO
2、Al
2O
3、および/またはTiO
2を含んでもよく、これら材料の1つからなっていてもよい。上記拡散材料の平均粒径(d50値)は好ましくは、100nm〜500nm(両端値を含む)である。さらに、上記拡散材料は、第1の材料の電気泳動による成膜後、さらなる電気泳動による成膜ステップにおいて個別に成膜され得る。
【0009】
第1の材料の、第1の導電層上に電気泳動によって成膜される厚さを、特に電圧の印加時間によって制御または決定してもよい。本明細書において「厚さ」とは、横方向を横断する広がり、特に横方向に対して直交する広がりを意味するものと理解されたい。第1の材料の第1の導電層上への電気泳動による成膜を、電圧のスイッチを切ることにより終了してもよい。
【0010】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップCにおいて、第2の材料を第2の導電層上に電気泳動によって成膜する。このために、電圧を第2の導電層に印加してもよい。この点に関し、第1の導電層は好ましくは無電位であるか、または、異なる電位が第1の導電層に印加される。それにより第2の材料を第2の導電層上のみに成膜するか、または、第2の導電層上に少なくともより多く成膜する。第2の材料の電気泳動による成膜を第2の材料を含むさらなる電気泳動溶液内で行ってもよい。第2の材料の第2の導電層上への電気泳動による成膜は、本明細書において既に説明したように、電圧の印加時間によって制御され得、電圧のスイッチを切ることによって終了され得る。
【0011】
特に第1の材料と第2の材料とは、異なる材料である。ステップBおよびCは好ましくは、互いに独立してかつ順に実行される。
【0012】
例えばキャリアが導電性材料を含む場合、キャリアの、電気泳動による成膜が望まれない領域には、電気絶縁材料(例えば、SiO
2、Al
2O
3)が含まれ得る。さらに、キャリアのかかる領域は特に、フォトレジスト層によって被覆され得る。
【0013】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、第1の材料は変換材料を含んでもよく、かつ/または、第2の材料は光散乱材料および/または光吸収材料を含んでもよい。変換材料ならびに光散乱材料および/または光吸収材料は、異なる機能を果たす。第1の材料は例えば、第1の材料に入射する光の波長を変化させてもよい。本明細書において「変化させる」とは、特に光学的に知覚可能な波長の変更を意味するものと理解されたい。一方、第2の材料は、第2の材料に入射する光の波長を変化させないが、かかる光を散乱および/または吸収する。
【0014】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップDにおいて、充填材を第1の材料と第2の材料との間に配置する。充填材は例えば、透光性であってもよい。
【0015】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、充填材は、第1の材料および第2の材料との共通の境界面を形成する。上記共通の境界面は例えば、キャリアの前面に対して平行に延在し、キャリアの後面とは反対側であり得る。共通の境界面は好ましくは、製造公差の範囲内で平坦に構成される。
【0016】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、横方向における第1の材料と第2の材料との間の空間は、連続的多機能層を形成するように充填材で充填される。本明細書において「横方向」とは、本明細書に記載の電気泳動基板が延在する主方向に対して平行な方向を意味するものと理解される。既に上述のように、第1の導電層と第2の導電層とは、互いに離間している。対応する空間がまた、電気泳動による成膜後、第1の材料と第2の材料との間に存在する。これら空間は、充填材で充填され得る。この点に関し、充填材は、例えば第1の材料および第2の材料と架橋結合し得る。特に、充填材は、第1の材料および第2の材料と材料結合状態になり得、それにより連続的多機能層を形成する。連続的多機能層は、特に一体的(in one piece)であり得る。
【0017】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップEにおいて、上記多機能層を電気泳動基板から分離する。例えば、連続的多機能層は、充填材の硬化後、剥離または転写ラミネーション(transfer-lamination)によって電気泳動基板から容易に分離され得る。さらに、特に吸着ピンセットを使用して多機能層を分離してもよい。
【0018】
少なくとも一実施形態によれば、本方法を、本明細書中に述べたAからEへの順序で行う。
【0019】
多機能層の製造方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップAにおいて、前面、および、前面とは反対側の後面を有し、第1の導電層および第2の導電層が前面に設けられかつ互いに離間して諸所に配置されているキャリアを有する電気泳動基板を設ける。ステップBにおいて、第1の材料を第1の導電層上に電気泳動によって成膜する。ステップCにおいて、第2の材料を第2の導電層上に電気泳動によって成膜する。ステップDにおいて、充填材を第1の材料と第2の材料との間に配置する。この場合、充填材は第1の材料および第2の材料との共通の境界面を形成し、横方向における第1の材料と第2の材料との間の空間が、連続的多機能層が形成されるように充填材によって充填される。次いでステップEにおいて、多機能層を電気泳動基板から分離する。
【0020】
多機能層の製造方法を提供するために、本明細書に記載の方法は、特に様々な機能および/または性質の材料を電気泳動基板の導電層の所定の領域上に電気泳動によって個別に成膜し、この場合、導電層は互いに電気的に絶縁され、電圧が互いに独立してこれら導電層に印加され得る、というコンセプトを利用する。例えば、変換プレートが、本明細書に記載の電気泳動基板を使用する本明細書に記載の方法によって製造され得る。これら変換プレートは、光変換領域ならびに光散乱領域および/または光吸収領域を有し得、これら領域は、当該変換プレート内で横方向において隣り合う。したがって、特に、低クロストークの変換プレートが本方法によって製造され得る。特に好ましくは、光が光散乱領域および/または光吸収領域を通過できないからである。特に、材料または粒子が特に密に、すなわち特に高密度で成膜され得ることが電気泳動による成膜の利点である。さらに、異なる材料が、本明細書に記載の電気泳動基板によって特に互いに密接に成膜され得る。
【0021】
本明細書において、用語「光」は、紫外線スペクトル域、可視スペクトル域、および、赤外線スペクトル域を含む電磁放射を意味するものと解されたい。
【0022】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、多機能層を個々のプレートに個片化する。この場合、個片化時に分割線が充填材を貫通して延在する。上記プレートは、例えば変換プレートであり得る。個片化は特に、打抜き、ソーイング、もしくは、切断によって機械的に、または、レーザ切断によって物理的に行われ得る。個片化時、第1の材料および第2の材料は特に、それら材料の化学的−物理的性質の点で変化しない。個片化が充填材を貫通して行われるからである。
【0023】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、第1の材料は、1種類の発光材料または複数種類の発光材料の混合物を含む。複数種類の発光材料を混合する場合、少なくとも2種類の発光材料を同時にまたは順に電気泳動によって成膜する。これにより、層内で様々な発光材料が混合されるか、または、様々な発光材料が配置される。発光材料の平均粒径(d50値)は好ましくは、5μm〜25μm(両端値を含む)、特に好ましくは7μm〜13μm(両端値を含む)のd50値である。
【0024】
例えば、希土類金属をドープしたガーネット、希土類金属をドープしたアルカリ土類金属硫化物、希土類金属をドープしたチオガレート、希土類金属をドープしたアルミネート、希土類金属をドープしたシリケート、希土類金属をドープしたオルトシリケート、希土類金属をドープしたクロロシリケート、希土類金属をドープしたアルカリ土類金属窒化シリコン、希土類金属をドープした酸窒化物、希土類金属をドープした酸窒化アルミニウム、希土類金属をドープした窒化シリコン、希土類金属をドープしたサイアロンのうちの1つが発光材料として使用され得る。YAG:CeおよびLuAG:Ce等のCe
3+ドープガーネットが発光材料に特に適している。適したLuAG:Ce発光材料の例が(Y,Lu)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
3+である。CaAlSiN
3:Eu
2+,(Ba,Sr)
2Si
5N
8:Eu
2+等のEu
2+ドープ窒化物;Eu
2+ドープ硫化物、SiON,サイアロン、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu
2+等のオルトシリケート、クロロシリケート、クロロリン酸塩、BAM(Euをドープしたアルミン酸バリウムマグネシウム)、および/または、SCAPもしくはハロリン酸塩もまた発光材料に適している。
【0025】
発光材料の電気泳動による成膜後、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2等の高反射性材料、特に光触媒活性を低下させるコーティングを有する高反射性材料を、多機能層に平面視において白色の物体色を付与するために成膜してもよい。同様に、異なる物体色の顔料または粒子を、平面視における所望の物体色を生じるために成膜してもよい。遷移金属、および、希土類酸化物、硫化物、または、シアン化物が無機顔料または無機粒子に適している。
【0026】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、第2の材料は、光散乱粒子および/または光吸収粒子を含む。特に好ましくは、酸化チタンまたは酸化アルミニウムを光散乱粒子として使用する。特に好ましくは、黒色顔料、グラファイト、フラーレン、または、カーボンナノチューブを光吸収粒子として使用する。これら材料は特に、非常に良好な吸収特性を有する。特に、光は、第2の材料によって吸収または散乱されるのみであり、発光材料の場合のように再出射されない。第2の材料は、入射光の波長とは異なる波長の光を出射しない。この場合、吸収に関連する熱放射は、考慮されていない。
【0027】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、充填材は、パリレンまたはシリコーンであるか、または、パリレンまたはシリコーンを含む。パリレンまたはシリコーンは、横方向における第1の材料と第2の材料との間の空間を充填することに特に良好に適している。これは特に、これら材料の低い表面張力による。さらに、これら材料が透光性を有するように構成してもよい。特に、パリレンは、水分、汚染性ガス、酸素、酸、または、アルカリに対して特に耐性を有する。さらに、パリレンは、特に−200℃〜150℃の温度範囲内で機械的に安定している。さらに、パリレンは、特にタイプが4、AF4、HAT(部分的にD)のパリレンの場合に高いUV耐性を示す。特に、パリレンタイプDの屈折率は、1.65超である。
【0028】
変換プレートおよび電気泳動基板についても説明する。本明細書に記載の変換プレートは、本明細書に記載の方法によって製造され得る。さらに、本明細書に記載の電気泳動基板は、多機能層の製造のために使用され得る。すなわち、本明細書に記載の方法について列挙した特徴はまた、本明細書に記載の変換プレートおよび本明細書に記載の電気泳動基板についても開示されており、その逆も同様である。
【0029】
本明細書に記載の方法は特に、本明細書に記載の電気泳動基板を使用する。本明細書に記載の多機能層の、または、本明細書に記載の変換プレートの構造は特に、本明細書に記載の電気泳動基板の構造に基づく。特に、多機能層内の第1の材料および第2の材料の配置は、電気泳動基板の第1の導電層の第2の導電層に対する幾何学的配置に特に直接的に依存する。したがって、多機能層の構成は、電気泳動基板の構成に直接的に依存し得る。
【0030】
本変換プレートの少なくとも一実施形態によれば、変換プレートは、光変換領域ならびに光散乱領域および/または光吸収領域を含み、変換領域と光散乱領域および/または光吸収領域とは、変換プレート内で横方向に互いに並置され、この場合、充填材は、横方向において光変換領域と光散乱領域および/または光吸収領域との間に位置している。変換プレートの光変換領域は、特に光変換領域に入射する光の波長を変化させることに適している。光散乱領域および/または光吸収領域は、特にこれら領域に入射する光を光変換領域の方向に散乱または吸収することに適している。
【0031】
光変換領域ならびに光散乱領域および/または光吸収領域は、変換プレート内に横方向において特に交互に配置され得る。この場合、光変換領域は、光散乱領域および/または光吸収領域と横方向において交互に配置され得、充填材はさらに、光変換領域と光散乱領域および/または光吸収領域との間に位置し得る。
【0032】
本変換プレートの少なくとも一実施形態によれば、変換プレートは光出口面、および、光出口面とは反対側の光入口面、ならびに、光出口面を光入口面に接続する側面を備え、少なくとも1つの側面には物理的および/または機械的な材料除去の痕跡がある。変換プレートの光出口面および光入口面は特に、製造公差の範囲内で平坦に構成され得る。特に、光出口面は、光入口面に対して横方向において平行に延在している。さらに、光入口面および光出口面は、連続的に構成されている。側面は、光出口面と光入口面とを特に垂直方向において接続している。本明細書において「垂直方向」とは、横方向の横断方向、好ましくは横方向に対して直交する方向を意味するものと理解されたい。
【0033】
物理的および/または機械的な材料除去の痕跡は特に、本明細書に記載の方法の打抜き、ソーイング、もしくは、切断等の機械的プロセスによって、または、レーザ切断等の物理的プロセスによって行われる個片化プロセスによるものである。
【0034】
本変換プレートの少なくとも一実施形態によれば、光変換領域は発光材料を含み、第1の波長の光を第1の波長とは異なる第2の波長の光に変換し、また、光散乱領域および/または光吸収領域には、発光材料が存在しない。例えば、青色光を光変換領域において黄色光に変換してもよい。
【0035】
少なくとも一実施形態によれば、変換プレートは、最初にUVフィルムに、次いで放熱フィルムに接着され得る。次いで、変換プレートは、「層転写切欠き部」("layer transfer cut")を介して発光ダイオードまたはレーザダイオード等の発光半導体ボディ等の上に配置され得る。
【0036】
本オプトエレクトロニクス装置の少なくとも一実施形態によれば、オプトエレクトロニクス装置は、発光半導体ボディおよび本明細書に記載の変換プレートを備える。変換プレートは、光入口面によって発光半導体ボディ上に配置されている。発光半導体ボディは特に、変換プレートの光変換領域ならびに光散乱領域および/または光吸収領域に応じて細分されているさらなる光出口面を備える。
【0037】
本電気泳動基板の少なくとも一実施形態によれば、電気泳動基板はキャリアを備え、キャリアは前面、および、前面とは反対側の後面、ならびに、第1の導電層および第2の導電層を備える。第1のおよび第2の導電層は、キャリアの前面上に配置されている。第1の導電層および第2の導電層は、横方向において互いに並置されかつ互いに離間している。さらに、第1の導電層および第2の導電層は互いに電気的に絶縁され、電圧が互いに独立してこれら導電層に印加され得る。
【0038】
下記の例示的実施形態は、本明細書に記載の電気泳動基板と、本明細書に記載の多機能層の製造方法と、に関する。
【0039】
少なくとも一実施形態によれば、第1の導電層と第2の導電層との間の距離は、3μm〜15μm(両端値を含む)である。上記距離の結果、変換プレートの光変換領域と光散乱領域および/または光吸収領域との間の距離を小さく維持することができることにより、変換プレートの互いに隣り合う光変換領域間のクロストークが防止され得る。特に、そのような変換プレートをひと続きに発光半導体ボディに接続することによって、ファーフィールドの複数の領域がはっきりと照明され得、かつ/または、ファーフィールドの隣り合う領域の交差照明(cross-illumination)が回避され得る。
【0040】
少なくとも一実施形態によれば、第1の導電層および第2の導電層の厚さは、50nm〜500nm(両端値を含む)である。特に好ましくは、第1のおよび第2の導電層の厚さは、50nm〜300nm(両端値を含む)である。本明細書において「厚さ」とは、第1の導電層および第2の導電層の、本明細書に記載の垂直方向に対する平行な広がりを意味するものと理解される。第1の導電層および第2の導電層は好ましくは、少なくとも1ジーメンス/メートルの導電性を有する。そのような導電性によって、50nm〜500nm(両端値を含む)の厚さの比較的薄い導電層であっても、十分な電荷輸送が可能になる。
【0041】
少なくとも一実施形態によれば、第1の導電層および第2の導電層は、金属、金属合金、半金属、または、半導体材料を含む。例えば、第1の導電層および第2の導電層は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、チタン、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、スズ、ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛、および、酸化スズのうちの1つの材料を含むか、または、これら材料の1つから形成されている。
【0042】
少なくとも一実施形態によれば、第2の導電層の領域は前面を介して電気的に接触されることができ、第1の導電層は前面を介してまたはキャリアを貫通する少なくとも1つの貫通ビアによって後面を介して電気的に接続されることができる。この場合、第2の導電層の領域は前面上で格子状パターンを形成し、好ましくは、第1の導電層は第2の導電層の格子状パターン内に島状に諸所に配置され、好ましくは、第1の導電層と第2の導電層との電気的接触のための電極がキャリアの同一の面上に、特に好ましくは前面上に配置されている。本明細書に記載の第1のおよび第2の導電層の配置の結果、変換プレートのおよび/または多機能層の、特に均等に分配された光変換領域ならびに光散乱領域および/または光吸収領域を製造することができる。さらに、本明細書に記載の個片化プロセスは、上記格子状パターンに基づき自動化され得る。充填材が第1の導電層と第2の導電層との間の空間に均等に配置されているからである。
【0043】
少なくとも一実施形態によれば、電気泳動基板は再利用されることができる。特に、本明細書に記載の電気泳動基板は、本明細書に記載の複数の多機能層の製造方法のために使用され得る。これにより、本明細書に記載の多機能層のおよび/または変換プレートの製造方法は、特に費用効率が高い。
【0044】
以下、関連する図面と併せて例示的実施形態に基づき、本明細書に記載の多機能層、変換プレート、電気泳動基板、および、オプトエレクトロニクス装置の製造方法を説明する。