(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262368
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-557343(P2016-557343)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】JP2015061354
(87)【国際公開番号】WO2016166794
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3155829(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3191982(JP,U)
【文献】
実開昭64−000959(JP,U)
【文献】
特開2000−210388(JP,A)
【文献】
特開2001−178837(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3119524(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3152631(JP,U)
【文献】
特開2012−165829(JP,A)
【文献】
特開2006−333972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、装着者の口を覆う本体部と、
呼気時及び吸気時の双方において前記開口部を塞ぐように前記本体部に貼付可能なパッチ部材と、を備え、
前記本体部は、互いに重ね合わされた第1及び第2のシートを有しており、
前記開口部は、前記第1及び第2のシートのうち前記第1のシートにのみ設けられていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクにおいて、
前記本体部は、複数の前記開口部を有するマスク。
【請求項3】
請求項2に記載のマスクにおいて、
前記複数の開口部は、第1の開口部と、前記第1の開口部よりも小さい第2の開口部とを含むマスク。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のマスクにおいて、
前記本体部における前記開口部以外の部分は、前記装着者の口の少なくとも一部を覆うマスク。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、前記本体部に貼付された後、前記本体部から剥離可能であるマスク。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、前記本体部と同一の材料からなるマスク。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、前記本体部と異なる材料からなるマスク。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、通気性を有するマスク。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材の裏面には、前記本体部に対して粘着力を有する粘着部が設けられており、
前記パッチ部材は、前記粘着部を介して前記本体部に貼付されるマスク。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、保湿成分を含有するマスク。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材には、図柄が描かれているマスク。
【請求項12】
請求項11に記載のマスクにおいて、
前記図柄は、動物、スイーツ、乗り物、又はキャラクターの図柄であるマスク。
【請求項13】
請求項11に記載のマスクにおいて、
前記図柄は、特定の企業名又は商品名を表すロゴマークであるマスク。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載のマスクにおいて、
前記パッチ部材は、前記第2のシートにおける前記開口部に露出する部分に貼付されるマスク。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかに記載のマスクにおいて、
前記第2のシートは、前記第1のシートから剥離可能に設けられているマスク。
【請求項16】
請求項15に記載のマスクにおいて、
前記第1のシートの上端部と前記第2のシートの上端部とは、互いに接着されており、
前記第2のシートは、前記上端部が前記第1のシートの前記上端部に接着された状態を維持しつつ、前記第1のシートから剥離されるマスク。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れかに記載のマスクにおいて、
前記本体部に固定され、前記装着者の顔から前記本体部を離間させた状態で当該本体部の形状を維持するための可塑性の線状部材を備えるマスク。
【請求項18】
請求項17に記載のマスクにおいて、
前記線状部材は、前記本体部の上端に沿って設けられた第1の線状部材と、前記本体部の下端に沿って設けられた第2の線状部材とを含むマスク。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のマスクにおいて、
前記線状部材は、前記本体部の左端に沿って設けられた第3の線状部材と、前記本体部の右端に沿って設けられた第4の線状部材とを含むマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の鼻や口を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたマスクは、装着者の口を覆う本体部と、本体部に取り付けられた耳紐とを備えている。本体部には、息抜き用の開口部が設けられている。開口部は、本体部における装着者の口に重ならない部分に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−40163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたマスクによれば、本体部に設けられた開口部を通じて呼吸をすることができるため、装着者は息苦しさを感じにくい。しかしながら、この開口部は、PM2.5、花粉、ウィルス等の有害粒子の侵入経路にもなる。それゆえ、特許文献1に記載されたマスクでは、有害粒子の侵入を充分に防ぐことができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、息苦しさを解消しつつ有害粒子の侵入を防ぐのに適した構造のマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマスクは、開口部を有し、装着者の口を覆う本体部を備え、上記本体部は、互いに重ね合わされた第1及び第2のシートを有しており、上記開口部は、上記第1及び第2のシートのうち上記第1のシートにのみ設けられていることを特徴とする。
【0007】
このマスクにおいては、本体部に開口部が設けられている。この開口部は、装着者が呼吸する際、吸気及び呼気の経路となる。これにより、装着者は、呼吸をしやすくなるため、息苦しさから免れることができる。そして、当該開口部は、第1及び第2のシートのうち第1のシートにのみ設けられている。これにより、開口部が第2のシートによって覆われた状態となるため、有害粒子が開口部を通じて本体部の内側に侵入するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、息苦しさを解消しつつ有害粒子の侵入を防ぐのに適した構造のマスクが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるマスクの一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1のマスクにおけるシート10aを示す正面図である。
【
図3】
図1のマスクにおけるシート10bを示す正面図である。
【
図4】
図1のマスクにおいてシート10bが剥離された状態を示す正面図である。
【
図5】
図1のマスクにおけるパッチ部材22を示す背面図である。
【
図6】
図1のマスクにおけるパッチ部材24を示す背面図である。
【
図7】
図1のマスクにおいてパッチ部材22,24が貼付された状態を示す正面図である。
【
図8】本発明によるマスクの一変形例を説明するための図である。
【
図9】本発明によるマスクの他の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明によるマスクの一実施形態を示す正面図である。マスク1は、本体部10、及びパッチ部材22,24を備えている。本体部10は、シート状をしており、装着者の目、鼻及び口のうち、鼻及び口のみを覆う。
図1は、本体部10の外側の面、すなわち装着者の顔に対向する面(内側の面)とは反対側の面を示している。
【0012】
本体部10は、シート10a(第1のシート)及びシート10b(第2のシート)を有している。これらのシート10a,10bは、略同一の形状及び大きさをしており、互いに重ね合わされている。各シート10a,10bは、通気性を有する材料からなる。かかる材料としては、例えば、不織布、ガーゼ又は紙を用いることができる。これにより、本体部10は、通気性を有している。
【0013】
本体部10には、複数の開口部12,14が設けられている。具体的には、4つの開口部12(第1の開口部)と、2つの開口部14(第2の開口部)とが設けられている。開口部12は、概ね、装着者の鼻にも口にも重ならない部分に位置している。開口部14は、概ね、装着者の口に重なる部分に位置している。本実施形態において開口部12,14の形状は、何れも円形である。ただし、開口部14は、開口部12よりも小さい。
【0014】
マスク1の装着時、装着者の口の少なくとも一部は、本体部10における開口部12,14以外の部分によって覆われる。
図1において、一点鎖線L1で囲まれた部分が、概ね、装着者の口に重なる部分である。
【0015】
開口部12,14は、シート10a,10bのうちシート10aにのみ設けられている。すなわち、
図2に示すようにシート10aには開口部12,14が形成されているのに対し、
図3に示すようにシート10bには開口部12,14が形成されていない。
【0016】
シート10bは、シート10aから剥離可能に設けられている。ここで、剥離可能とは、装着者が本体部10を損傷することなく容易にシート10aからシート10bを剥がせるということである。シート10aの上端部とシート10bの上端部とは、互いに接着されている。
図4に示すように、シート10bは、その上端部がシート10aの上端部に接着された状態を維持しつつ、シート10aから剥離される。
【0017】
図5及び
図6は、それぞれパッチ部材22及びパッチ部材24を示す背面図である。これらの図は、パッチ部材22,24の裏面を示している。パッチ部材22,24は、本体部10と別体に設けられている。パッチ部材22,24は、本体部10に貼付可能である。本実施形態においてパッチ部材22,24は、シート10aの表面(シート10bと反対側の面)に貼付される。
【0018】
図5に示すように、パッチ部材22の裏面には、本体部10(シート10a)に対して粘着力を有する粘着部22aが設けられている。本実施形態において粘着部22aは、パッチ部材22の裏面における周縁部(シート10aに接触する部分)にのみ設けられている。パッチ部材22は、この粘着部22aを介して本体部10に貼付される。同様に、
図6に示すように、パッチ部材24の裏面には、本体部10(シート10a)に対して粘着力を有する粘着部24aが設けられている。本実施形態において粘着部24aは、パッチ部材24の裏面における周縁部にのみ設けられている。パッチ部材24は、この粘着部24aを介して本体部10に貼付される。
【0019】
図7は、マスク1においてパッチ部材22,24が貼付された状態を示す正面図である。パッチ部材22,24が貼付されることにより、開口部12,14は閉塞される。すなわち、パッチ部材22,24は、開口部12,14を塞ぐように本体部10に貼付される。これらのパッチ部材22,24は、複数の開口部12,14のそれぞれを塞ぐように設けられている。具体的には、4つの開口部12に対応する4つのパッチ部材22と、2つの開口部14に対応する2つのパッチ部材24とが設けられている。
【0020】
パッチ部材22,24は、開口部12,14の全体を塞ぐことができ、かつ互いに重ならないような形状及び大きさを有している。本実施形態においてパッチ部材22は、開口部12と相似形をしており、開口部12よりも大きい。同様に、パッチ部材24は、開口部14と相似形をしており、開口部14よりも大きい。パッチ部材22,24は、通気性を有する材料からなることが好ましい。パッチ部材22,24は、本体部10と同一の材料からなっていてもよいし、本体部10と異なる材料からなっていてもよい。
【0021】
パッチ部材22,24は、本体部10に貼付された後、本体部10から剥離可能であることが好ましい。ここで、剥離可能とは、装着者が本体部10を損傷することなく容易にパッチ部材22,24を剥がせるということである。さらに、パッチ部材22,24は、本体部10から剥離された後、本体部10に再び貼付可能であることが好ましい。このように剥離可能でかつ再貼付可能なパッチ部材22,24は、粘着部22a,24aの粘着力を適度に調整することにより実現することができる。
【0022】
各パッチ部材22,24は、保湿成分、芳香成分、抗菌成分のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。保湿成分としては、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、グリセリン類が挙げられる。芳香成分としては、例えば、ユーカリ、ローズマリー、ラベンダーその他のハーブの香りを発するものが挙げられる。また、抗菌成分としては、例えば、カテキンその他のタンニンが挙げられる。タンニンとしては、お茶やコーヒーに含有されているものを用いることができる。
【0023】
各パッチ部材22,24の表面における少なくとも一部は、光反射性(好ましくは再帰反射性)又は蛍光性を有していてもよい。また、各パッチ部材22,24の表面における少なくとも一部は、蓄光性を有していてもよい。
【0024】
パッチ部材22,24には、図柄が描かれていてもよい。かかる図柄としては、例えば、動物、スイーツ(デザート)、乗り物、又は、アニメや漫画等のキャラクターの図柄が挙げられる。あるいは、パッチ部材22,24に描かれる図柄は、特定の企業名又は商品名を表すロゴマークであってもよい。
【0025】
図1に戻って、本体部10には、当該本体部10を装着者の顔に固定するための固定部30が取り付けられている。本実施形態において固定部30は、装着者の耳に掛けられる紐状部材である。かかる固定部30としては、例えば、ゴム紐を用いることができる。
【0026】
マスク1の効果を説明する。マスク1においては、本体部10に開口部12,14が設けられている。開口部12,14は、装着者が呼吸する際、吸気及び呼気の経路となる。これにより、装着者は、呼吸をしやすくなるため、息苦しさから免れることができる。そして、開口部12,14は、シート10a,10bのうちシート10aにのみ設けられている。これにより、開口部12,14がシート10bによって覆われた状態となるため、有害粒子が開口部12,14を通じて本体部10の内側に侵入するのを防ぐことができる。したがって、息苦しさを解消しつつ有害粒子の侵入を防ぐのに適した構造のマスク1が実現されている。
【0027】
さらに、本体部10に貼付可能なパッチ部材22,24が設けられている。パッチ部材22,24は、開口部12,14を塞ぐように本体部10に貼付される。このため、装着者は、パッチ部材22,24を貼付することにより、開口部12,14を塞ぐことができる。これにより、本体部10の気密性が高まるため、喉の乾燥を効果的に防ぐことができる。
【0028】
かかる構成により、マスク1は、パッチ部材22,24が貼付されていない状態と、パッチ部材22,24が貼付された状態とで2通りの使い方が可能である。これにより、装着者にとっての利便性が飛躍的に高まる。
【0029】
例えば、装着者は、自身の健康状態や身体状況に応じて、マスク1の使用態様を切り替えることができる。例えば、装着者は、鼻炎等により鼻が詰まっているときは、呼吸の容易性を優先してパッチ部材22,24が貼付されていない状態でマスク1を使用する一方で、鼻が詰まっていないときは、喉の乾燥防止を優先してパッチ部材22,24が貼付された状態でマスク1を使用するということができる。あるいは、装着者は、ランニングや坂道の歩行等の際に息苦しくなったときは、呼吸の容易性を優先してパッチ部材22,24が貼付されていない状態でマスク1を使用する一方で、息苦しくないときは、喉の乾燥防止を優先してパッチ部材22,24が貼付された状態でマスク1を使用するということもできる。
【0030】
また、装着者は、使用目的に応じて、マスク1の使用態様を切り替えることができる。例えば、有害粒子の吸入を防ぐ目的でマスク1を使用するときは、本体部10の気密性を優先してパッチ部材22,24が貼付された状態でマスク1を使用する一方で、防寒やファッション目的でマスク1を使用するときは、呼吸の容易性を優先してパッチ部材22,24が貼付されていない状態でマスク1を使用するということができる。
【0031】
このように2通りの使い方が可能であるため、マスク1は、長時間にわたって使用するのに適しており、経済的である。
【0032】
パッチ部材22の裏面には粘着部22aが設けられており、パッチ部材22は、粘着部22aを介して本体部10に貼付される。これにより、本体部10に対するパッチ部材22の貼付を容易に行うことができる。また、かかる構成によれば、本体部10における任意の位置にパッチ部材22を貼付することができる。このため、各開口部12の一部のみを塞ぐようにパッチ部材22を貼付することも可能となる。したがって、装着者は、各開口部12における閉塞される部分の面積を変えることにより、喉の乾燥防止と呼吸の容易性とのバランスを調整することができる。
【0033】
パッチ部材24の裏面には粘着部24aが設けられており、パッチ部材24は、粘着部24aを介して本体部10に貼付される。これにより、本体部10に対するパッチ部材24の貼付を容易に行うことができる。また、かかる構成によれば、本体部10における任意の位置にパッチ部材24を貼付することができる。このため、各開口部14の一部のみを塞ぐようにパッチ部材24を貼付することも可能となる。したがって、装着者は、各開口部14における閉塞される部分の面積を変えることにより、喉の乾燥防止と呼吸の容易性とのバランスを調整することができる。
【0034】
粘着部22a,24aは、それぞれパッチ部材22,24の裏面における周縁部にのみ設けられている。これにより、粘着部22a,24aが開口部12,14を通じてシート10bに付着するのを防ぐことができる。
【0035】
本体部10には、複数の開口部12,14が設けられている。このため、装着者は、パッチ部材22,24によって閉塞される開口部12,14の個数を変えることにより、喉の乾燥防止と呼吸の容易性とのバランスを調整することができる。
【0036】
複数の開口部12,14のそれぞれを塞ぐように、複数のパッチ部材22,24が設けられている。すなわち、各開口部12,14に対して個別にパッチ部材22,24が設けられている。これにより、各開口部12,14の閉塞(パッチ部材22,24の貼付)を互いに独立して行えるため、閉塞される開口部12,14の個数を容易に変えることができる。
【0037】
本体部10には、大きさが相異なる開口部12と開口部14とが設けられている。このため、装着者は、開口部12又は開口部14の何れを閉塞するかによっても、喉の乾燥防止と呼吸の容易性とのバランスを調整することができる。
【0038】
パッチ部材22,24が本体部10から剥離可能である場合、本体部10に一旦貼付された後であっても、パッチ部材22,24を剥離することにより、再び開口部12,14が閉塞されていない状態でマスク1を使用することができる。
【0039】
本体部10は、開口部12,14以外の部分が装着者の口の少なくとも一部を覆うように構成されている。このため、装着者の口の少なくとも一部は、シート10a及びシート10bの双方で覆われるため、喉の乾燥を効果的に防止することができる。
【0040】
パッチ部材22,24に図柄が描かれている場合、マスク1のファッション性を向上させることができる。また、ファッション性の向上により、普段はマスクをしたがらない人であっても、気軽に装着できるようになる。
【0041】
特に、動物、スイーツ、乗り物、又はキャラクターの図柄は、子供の関心を強く惹く。そのため、これらの図柄がパッチ部材22,24に描かれている場合、子供が嫌がらずにマスク1を装着し易くなる。あるいは、パッチ部材22,24に特定の企業名又は商品名を表すロゴマークが描かれている場合、パッチ部材22,24ひいてはマスク1に宣伝媒体としての機能をもたせることができる。このことは、マスク1の低価格化につながる。
【0042】
パッチ部材22,24が保湿成分を含有する場合、呼吸時に吸気と共にパッチ部材22,24から水分が口腔内に供給されるため、喉の乾燥を効果的に防ぐことができる。パッチ部材22,24が芳香成分を含有する場合、呼吸時に当該成分が鼻腔内に吸い込まれることにより、装着者は、より快適にマスク1を使用することができる。パッチ部材22,24が抗菌成分を含有する場合、呼気中や吸気中の雑菌が繁殖するのを抑制することができるため、装着者は、より衛生的にマスク1を使用することができる。
【0043】
パッチ部材22,24の表面における少なくとも一部が光反射性又は蛍光性を有している場合、パッチ部材22,24ひいてはそれが貼付されたマスク1の視認性を高めることができる。特に自動車の運転者からの視認性が高まることにより、パッチ部材22,24は、交通安全にも寄与することができる。また、パッチ部材22,24の表面における少なくとも一部が蓄光性を有している場合、暗所においても、パッチ部材22,24ひいてはそれが貼付されたマスク1を視認しやすくなる。
【0044】
シート10bは、シート10aから剥離可能に設けられている。このため、装着者は、シート10bを剥離することにより、開口部12,14が完全に開放された状態(開口部12,14がシート10bによって覆われておらず、かつパッチ部材22,24によって閉塞されていない状態)でもマスク1を使用することができる。
【0045】
シート10bは、その上端部がシート10aの上端部に接着された状態を維持しつつ、シート10aから剥離される。これにより、シート10aから剥離されたシート10bをアイマスクとして機能させることができる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、パッチ部材22,24がシート10aに貼付される例を示した。しかし、パッチ部材22,24は、
図8に示すように、シート10bにおける開口部12,14に露出する部分に貼付されてもよい。本例においてパッチ部材22は、開口部12と略同一の形状及び大きさを有している。同様に、パッチ部材24は、開口部14と略同一の形状及び大きさを有している。また、パッチ部材22,24の裏面の略全体に粘着部が設けられている。
【0047】
かかる構成の場合、シート10aからシート10bを剥離すると、パッチ部材22,24もシート10aから離れることになる。したがって、シート10bを剥離するという一つの動作で、複数の開口部12,14の全てが完全に解放された状態に切り替えることができる。また、シート10bが剥離された状態においても、パッチ部材22,24の粘着部が本体部10の内側の面に露出することがないため、当該粘着部が装着者の顔に付着するのを確実に防ぐことができる。
【0048】
上記実施形態においては、本体部に複数の開口部が設けられた例を示した。しかし、本体部には1つの開口部のみが設けられていてもよい。パッチ部材についても同様である。
【0049】
上記実施形態においては、1つの開口部に対して1つのパッチ部材が設けられた例を示した。しかし、複数の開口部に対して1つのパッチ部材が設けられていてもよい。すなわち、パッチ部材は、複数の開口部を同時に塞ぐものであってもよい。
【0050】
上記実施形態においては、開口部の形状が円形である場合の例を示した。しかし、開口部の形状は、任意であり、例えば、三角形、矩形、星形又はハート形であってもよい。パッチ部材の形状についても同様である。
【0051】
上記実施形態においては、パッチ部材が設けられた例を示した。しかし、パッチ部材を設けることは、必須でない。
【0052】
上記実施形態においては、第1のシート(開口部が設けられたシート)が第2のシート(開口部が設けられていないシート)よりも本体部の外側に設けられた例を示した。しかし、第1のシートは、第2のシートよりも本体部の内側に設けられていてもよい。
【0053】
上記実施形態においては、マスクとして、鼻及び口を覆うものを例示した。しかし、マスクは、口のみを覆うものであってもよいし、目、鼻及び口を覆うものであってもよい。
【0054】
上記実施形態において、本体部には、プリーツ部が設けられていてもよい。その場合、開口部は、プリーツ部が広げられた状態において現れればよく、プリーツ部が広げられていない状態においては視認できないものであってもよい。
【0055】
上記実施形態においては、
図9に示すように、本体部10に線状部材42,44,46,48が固定されていてもよい。これらの線状部材42,44,46,48は、可塑性を有し、装着者の顔から本体部10を離間させた状態で本体部10の形状を維持するためのものである。線状部材42,44,46,48の材料としては、例えば、金属又は樹脂を用いることができる。
【0056】
線状部材42(第1の線状部材)は、本体部10の上端に沿って延在している。線状部材44(第2の線状部材)は、本体部10の下端に沿って延在している。線状部材46(第3の線状部材)は、本体部10の左端に沿って延在している。また、線状部材48(第4の線状部材)は、本体部10の右端に沿って延在している。線状部材42は、例えば、本体部10の上端付近を袋状に形成し、その中に収容すればよい。線状部材44,46,48についても同様である。
【0057】
このように線状部材42,44,46,48を設けることにより、装着者の顔から本体部10を離間させた状態で本体部10の形状を維持することができる。それにより、装着者の顔と本体部10との間に適度な空間を形成し、吸気及び呼気の経路を確保することができる。特に本例においては、本体部10の上下左右に線状部材42,44,46,48が設けられているため、本体部10の形状設定の自由度が高く、吸気及び呼気の経路を確保し易い。
【符号の説明】
【0058】
1 マスク
10 本体部
10a シート(第1のシート)
10b シート(第2のシート)
12 開口部(第1の開口部)
14 開口部(第2の開口部)
22 パッチ部材
22a 粘着部
24 パッチ部材
24a 粘着部
30 固定部
42 線状部材(第1の線状部材)
44 線状部材(第2の線状部材)
46 線状部材(第3の線状部材)
48 線状部材(第4の線状部材)