特許第6262370号(P6262370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6262370非接触環状電気接続を有するロータリージョイント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262370
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】非接触環状電気接続を有するロータリージョイント
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/06 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   H01P1/06
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-558137(P2016-558137)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-509255(P2017-509255A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2015021746
(87)【国際公開番号】WO2015148303
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】14/223,028
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ウータン,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クアン,クリフトン
(72)【発明者】
【氏名】パッターソン,チャド イー.
(72)【発明者】
【氏名】ランヤン,マイケル ディー.
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04533887(US,A)
【文献】 米国特許第04117426(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と、
回転軸の周りで前記第1部分に対して回転する第2部分と
を有し、
前記第1部分は、第1の電気接続環状部を有し、
前記第2部分は、第2の電気接続環状部を有し、
前記電気接続環状部は、互いに非接触の電気接続を作り出し、
前記電気接続環状部は共に、前記電気接続環状部間での電気接続が為されない中心領域を画成して取り囲み、
前記中心領域が前記回転軸を含み、
前記第1の電気接続環状部は、
第1の環状導波路構造と、
前記第1の環状導波路構造に電気的に結合された第1のフィードと
を含み、
前記第2の電気接続環状部は、
第2の環状導波路構造と、
前記第2の環状導波路構造に電気的に結合された第2のフィードと
を含み、
前記環状導波路構造は、前記環状導波路構造の中のそれぞれの環状の隙間と、前記環状導波路構造の間の軸方向の隙間とを画成しており、
前記第1のフィードは、前記第1の環状導波路構造の前記環状の隙間から前記軸方向の隙間を横切って前記第2の環状導波路構造の前記環状の隙間へと伝播する横電磁界(TEM)波を生成するように、前記第1の環状導波路構造に動作的に結合されており、
前記第1及び第2のフィードは各々、一対のグランドプレーンの間にある伝送線路を含み、
前記伝送線路は、前記グランドプレーンのうちの一方のスロットに架かるフィンガー部を含み、且つ
前記TEM波は、前記グランドプレーンのうちの一方の前記スロットにて生成される、
ロータリージョイント。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分との間のベアリング、を更に有する請求項1に記載のロータリージョイント。
【請求項3】
前記グランドプレーンのうちの前記一方の前記スロットにて生成された前記TEM波を、前記グランドプレーンのうちの他方が反射して強める、請求項1又は2に記載のロータリージョイント。
【請求項4】
前記フィードは、単一の入力又は出力と、前記フィードが前記環状導波路構造に動作的に結合される複数の接続点と、の間の電気接続を提供するスプリッタである、請求項1乃至3の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項5】
前記複数の接続点は、前記フィードの円周まわりで円周方向に実質的に等しく分散されている、請求項4に記載のロータリージョイント。
【請求項6】
前記フィードはプリント回路基板を含む、請求項3乃至5の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項7】
前記環状導波路構造のうちの一方が、少なくとも2つの環状ノッチを含み、前記環状ノッチのうちの少なくとも1つは、前記環状導波路構造のうちの前記一方の前記環状の隙間より半径方向に内側であり、前記環状ノッチのうちの少なくとも別の1つは、前記環状導波路構造のうちの前記一方の前記環状の隙間より半径方向に外側である、請求項1乃至6の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項8】
前記環状ノッチは、前記環状導波路構造の前記環状の隙間の間で渡される電気信号に閉じ込め及び/又はアイソレーションを提供するRFチョークとして機能する、請求項に記載のロータリージョイント。
【請求項9】
前記第1の環状導波路構造は、前記第2の環状導波路構造と実質的に同じである、請求項1乃至8の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項10】
前記第1のフィードは、前記第2のフィードと実質的に同じである、請求項1乃至9の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項11】
前記中心領域を介して光信号を渡す光信号伝送と組み合わされた、請求項1乃至10の何れかに記載のロータリージョイント。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載のロータリージョイントを横切って電気信号を渡す方法であって、
入来電気信号を、該信号をスプリットする第1のフィードに入力するステップと、
前記第1のフィードにて横電磁界(TEM)波を生成するステップであり、前記TEM波は、前記第1のフィードに結合された第1の環状導波路構造を通って軸方向に伝播する、ステップと、
前記第1の環状導波路構造から、前記ロータリージョイントの回転軸の周りで前記第1の環状導波路構造に対して回転することができる第2の環状導波路構造に、軸方向の隙間を横切って前記TEM波を渡すステップであり、前記回転軸は前記環状導波路構造内を通っていない、ステップと、
前記第2の環状導波路構造に動作的に結合された第2のフィードにて、前記TEM波から退出電気信号を生成するステップと、
を有する方法。
【請求項13】
前記TEM波を生成するステップは、前記第1のフィードのグランドプレーンの環状のギャップにて前記TEM波を生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生成することは、前記第1のフィードの第2のグランドプレーンからの反射を用いて前記TEM波を強めることを含み、例えば、前記強めることは、前記第2のグランドプレーンを前記環状のギャップを有するグランドプレーンから前記電気信号の1/4波長だけ離して、同相で強めることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生成することは、前記第1のフィードの円周まわりで互いに半波長だけ離間された第1のフィードの複数の接続点から生成することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気接続に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的なスリップリングは、固定されたものから回転構造への電力及び電気信号の伝送を可能にする電気機械技術である。この電力/データ伝送は、回転する円形導電体に押し当てられる球体、シリンダーピン又は静止ブラシのような装置によって為される電気的な接触接続を介して可能にされている。この圧力による電気コンタクトは、使用において信頼性及び摩耗の問題を有する。容量結合及び誘導結合を介する、あるいは光ファイバ信号伝送による、非接触のロータリージョイントも存在している。これらのような伝統的なロータリージョイントは、中心軸についての回転対称性を利用しており、回転に依らずに一定の位相・振幅伝送を維持するために、入力ポート、出力ポート及び重要な信号路が中心軸に置かれることを必要とする。これらの欠点を回避する回転電気コンタクトを有することが有利となろう。
【発明の概要】
【0003】
ロータリージョイントが、非接触の環状電気接続を含む。
【0004】
本発明の一態様によれば、ロータリージョイントは、第1部分と、回転軸の周りで上記第1部分に対して回転する第2部分とを含む。上記第1部分は、第1の電気接続環状部を有する。上記第2部分は、第2の電気接続環状部を有する。上記電気接続環状部は、互いに非接触の電気接続を作り出する。上記電気接続環状部は共に、上記電気接続環状部間での電気接続が為されない中心領域を画成して取り囲む。上記中心領域が上記回転軸を含む。
【0005】
本発明の他の一態様によれば、ロータリージョイントを横切って電気信号を渡す方法は、入来電気信号を、該信号をスプリットする第1のフィードに入力するステップと、上記第1のフィードにて横電磁界(TEM)波を生成するステップであり、上記TEM波は、上記第1のフィードに結合された第1の環状導波路構造を通って軸方向に伝播する、ステップと、上記第1の環状導波路構造から、上記ロータリージョイントの回転軸の周りで上記第1の環状導波路構造に対して回転することができる第2の環状導波路構造に、軸方向の隙間を横切って上記TEM波を渡すステップであり、上記回転軸は上記環状導波路構造内を通っていない、ステップと、上記第2の環状導波路構造に動作的に結合された第2のフィードにて、上記TEM波から退出電気信号を生成するステップとを含む。
【0006】
以上の目的及び関連する目的の達成のため、本発明は、以下にて十分に記述されて請求項中で指摘される機構を有する。以下の記載及び添付の図面は、本発明の特定の例示的な実施形態を詳細に説明するものである。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が使用され得る様々なやり方のうちのほんの数例を示すものである。本発明の他の目的、利点及び新機構が、以下の本発明の詳細な説明が図面とともに検討されることで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
必ずしも縮尺通りではない添付の図面は、本発明の様々な態様を示している。
図1】本発明の一実施形態に従ったロータリージョイントの部品の模式図である。
図2図1のロータリージョイントの一方のフィードのレイアウトを示す平面図である。
図3図1のロータリージョイントの電気接続の側断面図である。
図4】他の一実施形態に係るロータリージョイントの電気接続の部分の側断面図である。
図5図1のロータリージョイントのフィードの細部を示す平面図である。
図6図5のフィードの側面図である。
図7図1のロータリージョイントの環状電気接続の中心部を介して光信号を通すことを示す部分的模式図である。
図8】1つ以上のロータリージョイントにわたって複数の信号を同時に伝送するのに使用可能な多重化インタフェースを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ロータリージョイントは、円環形状を有する非接触電気接続を含み、この非接触電気接続は、この環状の非接触電気接続によって囲まれて画成される中心領域の中には延在しない。電気接続部の円環形状は、例えば光信号がロータリージョイントを通り抜けるためなど、中心領域のその他の使用を可能にする。ロータリージョイントを半分にした双方の環状導波路構造に、信号の入力及び出力のためのフィードが結合される。これらのフィードは、導波路構造の周りで規則的間隔の円周方向インターバルで、環状導波路構造への接続を提供し得る。これらのインターバルは、入来(及び退出)信号のおよそ半波長ごととすることができ、あるいは、多様なその他の好適間隔のうちの何れかとし得る。環状導波路構造は、ロータリージョイントの回転の軸に平行な軸方向に信号を伝搬する。信号は、2つの環状導波路間の軸方向の隙間を横切って非接触(非電気伝導的)に伝播する。
【0009】
図1は、ロータリージョイント10の回転の軸16の周りで第2部分14に対して回転する第1部分12を含んだ、ロータリージョイント10の幾つかの部品を示している。部分12及び14は、それぞれの環状導波路構造22及び32と、それぞれのフィード22及び34とを含んでいる。フィード24及び34は、導波路構造22及び32に信号を送る(フィードする)こと、及び導波路構造22及び32から信号を受け取ることに使用される。環状導波路構造22及びフィード24は共に第1の電気接続環状部26を作り上げ、環状導波路構造32及びフィード34は共に第2の電気接続環状部36を作り上げる。電気接続部26及び36は共に、ロータリージョイント10の部分である電気接続40を構成する。より詳細に後述するように、この電気接続40の構造は、環状導波路構造22及び32間の隙間を横切って伝播することが可能な、軸方向に伝播する横電磁界(transverse electromagnetic;TEM)波を築き上げる。故に、部分26と36との間の電気接続は、電気信号が部分12及び14から伝送される主たるやり方がこれら2つの部分12及び14の導電材料の接触による電気伝導を介してではないという点で、非接触である。
【0010】
電気接続40は形状的に環状であり、環状部26と36との間の電気接続がその中では為されないコア(中心)領域42を、環状部26及び36が共に画成して取り囲んでいる。コア領域42は回転軸16を含んでいる。
【0011】
部分12及び14は、電気接続40には関係しない更なるコンポーネントを含み得る。例えば、部分12及び14は、覆い部分又はその他のコンポーネントを含み得る。
【0012】
図2は、フィード24のレイアウトを示している。フィード34は同様のレイアウトを有しており、フィード24及び34の双方が実質的に同じレイアウトを有し得る。フィード24は、単一の電気信号の形態の入力又は出力43と、この信号を、環状導波路構造22(図1)の周りで円周方向に等しく分散された複数の位置(接続点)に分配する分岐フィードと、を有したスプリッタである。フィード24は、環状導波路への256個の接続へと分岐し、これらの接続は、ジョイント10が通すことを意図する信号波長の範囲内の最小波長に基づいて、およそ半波長だけ互いに離隔される。例えば、ロータリージョイント10は、およそ20−24GHzを中心とする周波数を持つ電気信号を通すように構成され得るが、電気接続は数多くのその他の周波数及び波長の信号を通すように構成され得る。より広くは、信号はKaバンド内(26.5−40GHzの周波数として定義されており、1センチメートルの僅かに上から0.75cmまでの波長を持つ)とし得る。フィード24及び34は、プリント回路基板又はその他の好適な電気スプリッタ構造とし得る。フィード24及び34は、例示した実施形態におけるものとは異なる数の接続及び/又は異なる間隔の接続を有していてもよい。
【0013】
例示した実施形態での半波長間隔は、限定することを意図したものではない。例えば、例示した実施形態での半波長間隔よりも大きい間隔など、その他の好適な間隔が使用されてもよい。
【0014】
フィード24及び34の分岐は、個々のセルのサイズ(フィード22及び32の最も細かい分岐である隣接接続間の距離)が環状導波路構造22及び32の円周と比較して小さくあり得ることを意味する。これが意味することは、曲率は、無視できるほどの影響しか有しないとしてもよく、環状導波路構造は無限平行板導波路としての良好な近似であるように振る舞うということである。
【0015】
次いで、図3を更に参照するに、電気接続40の更なる細部が示されている。1つ以上のベアリング44が、導波路構造22と32との間の軸方向の隙間を橋渡しして、導波路22と32との間の相対的な回転を可能にしている。ベアリング44は、好適なボールベアリングとし得るとともに、多様な好適材料のうちの何れで製造されてもよい。ベアリングを通じての幾らかの電気伝導が存在し得るが、如何なる電気伝導も、導波路構造間での電気信号の主たる渡され方ではない。
【0016】
電気コネクタ46及び48は、それぞれ、フィード24及び34の内外に電気信号を経路付けるためのフィード24及び34の部品とし得る。電気コネクタ46及び48は、同軸コネクタ又はその他の好適種類の電気コネクタとし得る。
【0017】
信号は、導波路構造22と32との間を、導波路構造22及び32内のそれぞれの環状隙間52及び54に沿って進行する。導波路構造22は、環状のノッチ56及び58を有し、導波路構造32は、環状のノッチ62及び64を有している。ノッチ56−64は、導波路構造22及び32間の軸方向隙間50から外向きに、導波路構造22及び32の材料の深さの一部まで延在している。ノッチ56及び58はそれぞれ環状隙間52の反対側にあり、ノッチ56が内側ノッチであり、ノッチ58が外側ノッチである。ノッチ62及び64は同様にそれぞれ環状隙間54の反対側にある。ノッチ56−64は、軸方向隙間50からの半径方向に内側又は外側の信号リークを防止するためのチョークポイント又は無線周波数(RF)チョークとして作用する。RFチョークはまた、電気接続40の外又は中への電力リークを防止するように機能することができ、且つ/或いは電磁両立性(EMC)及び/又は電磁干渉(EMI)に関する要求に適合する助けとなり得る。
【0018】
導波路構造22及び32は、例えばアルミニウムといった、好適な導電材料で製造され得る。それに代えて、導波路構造は、導電体によって被覆された非導電材料で製造されてもよい。
【0019】
図4は、単一の導波路構造32’内に、環状の隙間54’の両側で、二重の内側ノッチ66及び68並びに二重の外側ノッチ70及び72を備えた、他の一構成を示している。導波路構造22’及び32’の機構が、導波路構造22及び32(図3)の機構と組み合わされてもよい。他方の導波路構造22’は、その環状隙間52’の周りにノッチを有していない。関係する寸法の一例として、導波路構造22’は、6.35mm(250ミル)の高さを有し、導波路構造32’は8.9mm(350ミル)の高さを有し得る。環状の隙間52’及び54’は1.27mm(50ミル)の幅を有し得る。ノッチ66−72は各々1.27mm(50ミル)の幅と1.9mm(150ミル)の深さとを有し得る。ノッチ66及び68は1.9mm(150ミル)だけ離隔され、ノッチ70及び72も同じ距離だけ離隔され得る。軸方向の隙間は約0.076mm(3ミル)とし得る。フィード24及び34は、電気接続40’を用いて渡されることが期待される電気信号の波長の約1/4である2.1mm(81ミル)の厚さを有し得る。更に詳細に後述するように、フィード24及び34のこのような厚さは、信号強度を改善するようにフィード24及び34内の(入来又は退出)信号をおおよそ同相で反射することによって、より良好な信号強度を提供する助けとなる。ノッチ66−72も、電気接続40にて渡されるべき電気回路の波長に関係してサイズを定められ得る。上で与えた寸法は、1つの具体的な実施形態に関するものである。他の実施形態では多様なその他の寸法が可能である。
【0020】
次いで、図5及び6を更に参照するに、フィード構造24は、フィード構造24の頂面及び底面の両面上の一対のグランドプレーン92及び94間に置かれた、例えばストリップライン90などの一連のストリップラインを含む。これらのストリップラインは、プリント回路基板の中に置かれることができ、導波路構造の中に更なる穴(例えば、加工穴など)は必要とされない。例示した実施形態におけるストリップラインは、使用され得る多様な伝送線路のうちの一例である。グランドプレーン92及び94は、一連の導電グランドビア98を介して互いに接続される。ストリップライン90は、図5及び6に示すような構成を有することができ、フィンガー104及び106へのストリップライン90内の最後のスプリット102の両側の、様々な好適な幅を持つ導電材料のセグメントによって、インピーダンス変換が提供される。隣接し合うフィンガー間の距離であるセルサイズは、例えば3.5mm(138ミル)など、波長の約半分とし得る。ストリップライン90は、底部グランドプレーン94内の長いスロット108を横切って延在している。ストリップライン90を底部グランドプレーン94に電気的に結合するための導電信号ビア110を使用することができ、信号ビア110は、入来信号又は退出信号のための接続点112で接続を為している。長いスロット108は、値の一例を挙げると、0.18mm(7ミル)の幅を有し得る。このフィード24の構成は、長いスロット108内にTEM波を作り出す。ロータリージョイント10を横切って信号を運ぶべく軸方向に伝播するのは、このTEM波である。
【0021】
ストリップライン90は、頂部グランドプレーン92に対してよりも、底部グランドプレーン94に対して近いとし得る。一実施形態例において、ストリップライン90は、底部グランドプレーン94から0.13mm(5.1ミル)離れ得るとともに、頂部グランドプレーン92から約1.9mm(75ミル)離れ得る。これらの寸法は単なる例であり、数多くのその他の寸法も可能である。
【0022】
フィード24及び34は、ロータリージョイント10の部分12及び14が互いに対して回転するとき、アライメントされたままとはならない。セル幅(1/4波長)の半分ほどの大きさのミスアライメント(位置不整合)だけ、フィード24及び34のセル並びに環状導波路構造22及び32のミスアライメントが存在し得る。しかしながら、このミスアライメントは、電気信号を正確に渡す電気接続40の能力に対して、感知できる影響を有しないことが見出されている。
【0023】
一実施形態において、電気接続40(図1)は、20−30dBの損失で電気信号を渡す。信号強度は、必要な場合又は望ましい場合に、ロータリージョイント10(図1)の上流及び/又は下流での好適な増幅器の使用によって増大(ブースト)され得る。
【0024】
次いで、図7を更に参照するに、ロータリージョイント10が有する1つの利点は、電気接続40によって囲まれる中心のコア領域42が、例えば、ロータリージョイント10の一方側の光送信器142からロータリージョイント10の他方側の光受信器144に光信号140を伝送するためなど、その他の目的で使用され得ることである。光送信器142及び光受信器144は、コア領域42を介して何れかの方向又は双方向で送られる光信号を送信、受信及び/又はそれ以外で操作するための多様な好適な光学素子のうちの何れともし得る。光送信器142及び/又は光受信器144は、ロータリージョイント10に直接的に接続されてもよいし、さもなければロータリージョイント10の一部であってもよいし、あるいは代わりに、ロータリージョイント10とは別個であってもよい。コア領域42を介して光信号を通すことは、電気信号を通すこと以外の目的でのコア領域42の使用の単なる一例である。コア領域42の数多くのその他の使用も可能であり、例えば、別の電気接続がコア領域42内で為される。例えば、コア領域42はこれらに代えて、他の使用のほんの数例を挙げれば、水力伝送のため、冷却空気伝送のため、RFパワー伝送のため、(例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ又は磁気共鳴撮像(MRI)スキャナなどのスキャナにおいてのように)試料を検査するための信号を通すため、又は例えば掘削装置においてなどで機械的装置を通すために使用されてもよい。
【0025】
ロータリージョイント10は、複数の信号を同時に渡すために使用され得る。複数の信号が、ロータリージョイントの何れかの側で収集され、単一のシリアルデジタルデータストリームへと多重化され得る。RFキャリア信号が、シリアルデジタルデータストリームで変調されて、ロータリージョイント10を介して、及びロータリージョイント10と直列に接続されたその他の同様のロータリージョイントを介して、輸送され得る。複数の送信器及び受信器が、時間分割多重、周波数分割多重及び/又は符号分割多重の何らかの組み合わせを介して、同じRF導管を共有し得る。
【0026】
図8を参照するに、多重化及び逆多重化はインタフェース200にて遂行され得る。後述するインタフェース200の様々な部分は、適宜にハードウェア及び/又はソフトウェアにて具現化され得る。インタフェース200は、ロータリージョイント10を横切っての伝送のために信号を構成して解釈することができるギガビットメディアアクセスコントローラ(GMAC)202を含み得る。GMAC202はコマンドスタック204へと出力し、次いでそれが信号を適宜にマルチプレクサ208に送信する。時刻(TOD)クロックマスタ210から入力を受け取るマルチプレクサ208にて、複数の信号が多重化され得る。TODクロックマスタ210は、グローバルポジショニングシステム(GPS)214からパルス毎秒(PPS)信号を受け取る。GPS214はまた、このパルス信号をマスター発振器220に提供し、それが、10MHz(又はその他の好適周波数)信号をTODクロックマスタ210及び周波数発生器224の双方に提供する。
【0027】
周波数発生器224は、送信器230及び受信器232でRF信号の送信及び受信を行う際に使用される送信キャリア信号(Txキャリア)及び受信キャリア信号(Rxキャリア)を生成する。これらのキャリア信号は、非限定的な値の例を挙げれば、22GHz及び24GHzにあるとし得る。
【0028】
マルチプレクサ208からの出力が、データリンク層(DLL)244を有するシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)240を通される。シリアライザ/デシリアライザ240はまた、受信器232から入力を受け取り、データを応答スタック246に渡す。応答スタック246は、応答スタック246の下流端でGMAC202に結合されている。
【0029】
送信器230及び受信器232は、ロータリージョイント10への信号の送信及びそれからの信号の受信を行うように構成されたトリプレクサ250に結合されている。トリプレクサ250はまた、GMAC202にベースバンドセンサデータ256を提供するため、受信した信号を低雑音増幅器254を介して送る。
【0030】
上述のように、インタフェース200は、時間分割多重、周波数分割多重及び/又は符号分割多重の何らかの好適な組み合わせを用いて多重化信号を提供するために使用され得る。信号は、ロータリージョイント10の各々の後に信号を逆多重化する必要なく、複数のロータリージョイント10を通されることができる。多重化信号は、例えばコントロールマルチプレクサ・アド/ドロップ(CMAD)インタフェース300を用いて、途中でインタラクトされ得る。インタフェース300は、複数のロータリージョイント10の一部又は全てに沿って渡される多重化信号の送信及び受信を行うために、インタフェース200のコンポーネントと同様のコンポーネントを使用する。CMADインタフェース300は、多重化信号からの信号を受け取り得る且つ/或いは多重化信号の一部として伝送される信号を送信し得るハードウェアとインタラクトするためのハードウェアインタフェース310を含み得る。
【0031】
ロータリージョイント10は、従来の回転式電気接続に対する数多くの利点を提供する。この電気接続は非接触であり、このことは、部品が互いに対して回転されるときに電気接触を維持する必要性からの摩耗及び裂けが存在しないことを意味する。加えて、ロータリージョイント10は、例えば同軸ケーブルによっては達成されることができないものである完全なる360°回転で動作することができる。また、先述のように、中心のコア領域を空けたままにすることにより、光信号の送信を回転軸に沿って達成することができる。回転とは無関係に略一定の位相及び振幅性能を維持することができる。
【0032】
ロータリージョイント10は、多様な状況の何れで使用されてもよい。用途の一例は、例えば航空機の補助タンク内などにおいて、光学センサを位置決めするために、回転しているモータに関する信号を送ることである。ロータリージョイント10の数多くのその他の使用も可能である。
【0033】
1つ以上の特定の好適実施形態に関して本発明を図示して説明してきたが、明らかなことには、本明細書及び添付の図面を読んで理解した当業者には、等価な代替及び変更が思い浮かぶことになる。特に、上述の要素(コンポーネント、アセンブリ、装置、組成など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を記述するために使用される用語(“手段”への参照を含む)は、特段の断りがない限り、ここに例示した本発明の1つ以上の実施形態においてその機能を果たす開示構造とは構造的に等価でないとしても、記述される要素の指定機能を実行する(すなわち、機能的に等価な)如何なる要素にも対応することが意図される。また、本発明の或る特定の機構は、例示した幾つかの実施形態のうちの1つ以上に関してのみ上述されているかもしれないが、そのような機構が、所与又は特定の用途に関して望ましくて有利であるように、他の実施形態の1つ以上の他の機構と組み合わされてもよい。
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