特許第6262409号(P6262409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262409
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ヘッドレストレイント
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/38 20060101AFI20180104BHJP
   B60N 2/80 20180101ALI20180104BHJP
   A47D 15/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A47C7/38
   B60N2/48
   A47D15/00
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-532232(P2017-532232)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2017-526514(P2017-526514A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】IL2015050909
(87)【国際公開番号】WO2016038605
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】62/047,739
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/069,466
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517081415
【氏名又は名称】オールディール リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLDEAL LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100139549
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 泉
(72)【発明者】
【氏名】ベン コーエン ガジット
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0185573(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0300176(US,A1)
【文献】 米国特許第07740318(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/38
B60N 2/48
A47D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストレイントであって、
背面部分と、それから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材であって、同ヘッドレスト部材が、前記側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、前記側面部分が前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲で互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、前記側面部分は前記背面部分に対して折り畳み可能である、ヘッドレスト部材と、
前記ヘッドレストレイントを座席に取り付けるための前記ヘッドレスト部材に連接する取付配置部と、
前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材であって、その上方位置とその下方位置との間の変位は、前記ヘッドレスト部材がその第1及び第2の状態をそれぞれ呈する原因となるよう構成される拘束部材と、を備える、
ヘッドレストレイント。
【請求項2】
前記拘束部材は、2つの側面部材と、それらの間に配設される中央部材とにより構成され、前記側面部材の一方は、前記側面部の一方の外装面に枢動自在に連接され、前記側面部材のもう一方は、前記側面部のもう一方の外装面に枢動自在に連接される、請求項1に記載のヘッドレストレイント。
【請求項3】
前記側面部分のそれぞれは、その外装面に切チャネルが形成され、
前記側面部材のそれぞれは突出部分を有し
各突出部分は、各区切チャネル内に受け取られ、前記拘束部材の前記上方及び下方位置間の変位時に前記区切チャネルの2つの最端部間で変位されるよう構成される、請求項2に記載のヘッドレストレイント。
【請求項4】
前記ヘッドレストレイントはモジュール式であり、前記拘束部材がその上方及び下方位置間で変位されるよう前記ヘッドレスト部材に枢動自在に取り付けられる前部構成と、前記拘束部材が前記ヘッドレスト部材の後側に配設され、それに接続される後部構成との2つの構成を有し、前記後部構成において、前記拘束部材は、前記ヘッドレスト部材の外装面を略全体的に係合させ、前記ヘッドレストレイントは、丸められるか、折り畳まれることによって束ねられるよう構成される、請求項1に記載のヘッドレストレイント。
【請求項5】
前記拘束部材は、ユーザの前額部と前記拘束部材との間の距離を調整し、ユーザの頭部の上部と前記拘束部材との間の距離を調整し、異なる大きさの頭部に対して前記ヘッドレストレイントを調整するように、可変長を有する、請求項1に記載のヘッドレストレイント。
【請求項6】
前記取付配置部は、前記ヘッドレストレイントを座席のシートヘッドレストに取り付けるために構成される、請求項1に記載のヘッドレストレイント。
【請求項7】
ヘッドレストレイントであって、
背面部分と、それから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材と、
前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材と、を備え、
前記ヘッドレスト部材が、前記側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、前記側面部分が前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲で互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、前記ヘッドレスト部材の前記側面部分は前記背面部分に対して折り畳み可能であり、
その上方位置とその下方位置との間の前記拘束部材の変位は、前記ヘッドレスト部材がその第1及び第2の状態をそれぞれ呈する原因となるよう構成される、
ヘッドレストレイント。
【請求項8】
更に、前記ヘッドレストレイントを座席に取り付けるための前記ヘッドレスト部材に連接する取付配置部を備える、請求項7に記載のヘッドレストレイント。
【請求項9】
前記拘束部材は、2つの側面部材と、それらの間に配設される中央部材とにより構成され、前記側面部材の一方は、前記側面部の一方の外装面に枢動自在に連接され、前記側面部材のもう一方は、前記側面部のもう一方の外装面に枢動自在に連接される、請求項7に記載のヘッドレストレイント。
【請求項10】
前記側面部分のそれぞれは、その外装面に切チャネルが形成され、
前記側面部材のそれぞれは突出部分を有し
各突出部分は、各区切チャネル内に受け取られ、前記拘束部材の前記上方及び下方位置間の変位時に前記区切チャネルの2つの最端部間で変位されるよう構成される、請求項9に記載のヘッドレストレイント。
【請求項11】
前記ヘッドレストレイントはモジュール式であり、前記拘束部材がその上方及び下方位置間で変位されるよう前記ヘッドレスト部材に枢動自在に取り付けられる前部構成と、前記拘束部材が前記ヘッドレスト部材の後側に配設され、それに接続される後部構成との2つの構成を有し、前記後部構成において、前記拘束部材は、前記ヘッドレスト部材の外装面を略全体的に係合させ、前記ヘッドレストレイントは、丸められるか、折り畳まれることによって束ねられるよう構成される、請求項7に記載のヘッドレストレイント。
【請求項12】
前記拘束部材は、ユーザの前額部と前記拘束部材との間の距離を調整し、ユーザの頭部の上部と前記拘束部材との間の距離を調整し、異なる大きさの頭部に対して前記ヘッドレストレイントを調整するように、可変長を有する、請求項7に記載のヘッドレストレイント。
【請求項13】
座席であって、
(a)着座部分と、
(b)シートヘッドレストと、
(c)前記シートヘッドレストに取り付けられる背面部分とそれから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材と、前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材とを備えるヘッドレストレイントと、を備え、
前記ヘッドレスト部材が、前記側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、前記側面部分が前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲で互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、前記ヘッドレスト部材の前記側面部分は前記背面部分に対して折り畳み可能であり、
その上方位置とその下方位置との間の前記拘束部材の変位は、前記ヘッドレスト部材がその第1及び第2の状態をそれぞれ呈する原因となるよう構成される、
座席。
【請求項14】
前記下方位置において、前記拘束部材は、間隙が前額部と前記拘束部材との間に延在するように、ユーザの前記前額部から離間される、請求項13に記載の座席。
【請求項15】
前記拘束部材は、2つの側面部材と、それらの間に配設される中央部材とにより構成され、前記側面部材の一方は、前記側面部の一方の外装面に枢動自在に連接され、前記側面部材のもう一方は、前記側面部のもう一方の外装面に枢動自在に連接される、請求項13に記載の座席。
【請求項16】
前記側面部分のそれぞれは、その外装面に切チャネルが形成され、
前記側面部材のそれぞれは突出部分を有し
各突出部分は、各区切チャネル内に受け取られ、前記拘束部材の前記上方及び下方位置間の変位時に前記区切チャネルの2つの最端部間で変位されるよう構成される、請求項15に記載の座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この現在開示する主題は、ヘッドレストレイントに関し、特に、シートと共に使用するためのヘッドレストレイントに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドレストレイントは、例えば、ユーザが眠った場合又は身体疾患を有する個人の場合に座席に着座している間にユーザに対して向上した頭部及び頸部支持を提供するために用いられる。ヘッドレストレイントは、ユーザの頭部が前方に傾斜するか、左又は右側に傾くことを防ぐために用いることができる。これにより、座席に座っている間のユーザの頭部の快適で安定性のある支持を提供する。
【0003】
例えば、眠っている間、通常、頭部を支持する人間の身体の頸部及び背中の筋肉は弛緩している。人間(乳児等)が自動車の座席で眠っている場合の結果、彼らの頭部は前方に傾斜するか、左又は右に「横揺れ」し、ユーザの頸部及び脊柱を歪ませ、子供が享受する眠りの質を低下させる不快の原因となる。街中の道路において、又はその周囲を運転中、車両の加速、制動、及び急旋回にそれぞれ関する力は、子供の頭部が支持されていないことに起因する頸部及び脊柱への悪影響を更に拡大する。
【0004】
当該技術分野において公知の大人及び子供用の多くのヘッドレストレイントが存在している。一実施例は、2組の面型ファスナを用いて、そして代替として、2つの回転ディスクの使用により、子供用カーシートの両側に取り付けられるパッド付ストラップを開示する米国特許第7,740,318号明細書に開示されている。追加の実施例は、子供の前額部の一部を水平に横切って延在する第1の位置と子供の前額部から離間して配設される第2の位置との間で変位可能な可撓性材料から形成される支持アームを含むヘッドレストレイントシステムを開示する米国特許出願公開第2013/0300176号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
現在開示する主題の第1の態様によれば、ヘッドレストレイントであって、
背面部分と、それから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材と、
前記ヘッドレストレイントをシートに取り付けるための前記ヘッドレスト部材に連接する取付配置部と、
前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材と、を備えるヘッドレストレイントが提供される。
【0006】
ヘッドレストレイントは、例えば、ユーザが眠った場合又は身体疾患を有する個人の場合に座席に着座している間にユーザに対して向上した頭部及び頸部支持を提供するために構成されている。より詳細には、拘束部材は、ユーザの頭部が前方に傾斜することを防ぐために構成され、ヘッドレスト部材は、ユーザの頭部が左又は右側に傾くことを防ぐために構成されている。これにより、座席に座っている間のユーザの頭部の快適で安定性のある支持を提供する。ヘッドレストレイントは、車両の旋回、制動、又は衝突時にユーザに対して向上した頭部及び頸部安定性を提供するように、車両の座席等のいずれかの座席に取り付けることができる。
【0007】
使用中、ユーザの頭部がヘッドレストレイントに位置決めされる場合、その上方位置にある拘束部材は、使用の頭部の上に実質的に位置することができ、その下方位置において、拘束部材は、ユーザの前額部の前に実質的に位置することができる。
【0008】
明細書及び特許請求の範囲においてこの文書中で用いるような用語「ユーザ」は、個人、乳幼児、子供、又は大人を意味している。
【0009】
明細書及び特許請求の範囲においてこの文書中で用いるような用語「車両」は、車椅子、自動車、バス、列車、船、飛行機等を意味している。
【0010】
明細書及び特許請求の範囲においてこの文書中で用いるような用語「座席」は、子供用補助シート、ハイバック子供用補助シート、チャイルドシート、ベビーカー、車両用シート、車椅子の座席、椅子、ベンチ等を指している。用語「座席」は、また、シートヘッドレスト等の座席の一部、又は、何らかの従来の座席のその他の部分も指す。
【0011】
ヘッドレストレイントは付加装置であってもよく、すなわち、それは様々な種類の座席に設置されてもよい。
【0012】
以下の特徴、意匠、及び構成のうちのいずれか1つ以上は、第1の態様に従って、個々に、又は、それらの組み合わせで現在開示する主題に組み込まれてもよい。
【0013】
ヘッドレスト部材が、側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、側面部分が第1の範囲よりも小さい第2の範囲に互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、ヘッドレスト部材の側面部分は、背面部分に対して折り畳み可能であってもよい。
【0014】
第2の状態において、側面部分はユーザの耳の近傍に配設されてもよい。これは、騒音を低減し、従って、ユーザの眠りの質を向上することに有用である可能性がある。
【0015】
側面部分のそれぞれは、第2の状態において、ユーザの耳に音を提供するためにユーザの耳の近傍にイヤホンが配設されるように、イヤホンと共に構成されてもよい。音は、例えば、リラックスさせる音楽、物語、又は親の声であってもよい。
【0016】
その上方位置とその下方位置との間の拘束部材の変位は、ヘッドレスト部材がその第1及び第2の状態をそれぞれ呈する原因となるよう構成されてもよい。
【0017】
背面部分及び側面部分は、一体化され、互いに連続又は取付可能であってもよい。
【0018】
背面部分及び側面部分は、支持クッションとして形成されてもよい。
【0019】
背面部分は、ユーザの頭部の背面部分に対する支持を提供するよう構成され、側面部分は、ユーザの頭部の側面部分に対する支持を提供するよう構成される。側面部分は、ユーザの頭部のための側面衝撃保護具を構成してもよい。
【0020】
上方及び下方位置間の拘束部材の回転は、ユーザ自身によって、彼の手のうちの一方によって行われてもよい。
【0021】
下方位置において、拘束部材は、間隙が前額部と拘束部材との間に延在するように、ユーザの前額部から離間されてもよい。この間隙は、前額部と拘束部材との間の接触がないため、格別の快適度をユーザに提供できる。しかし、頭部の前方移動を区切るため拘束部材が有効に動作することを可能にするために、間隙は大きすぎるべきではない。
【0022】
拘束部材は、2つの側面部材及びそれらの間に配設される中央部材により構成される。側面部材のうちの一方はヘッドレスト部材の一方の側面部分の外装面に枢動自在に連接してもよく、側面部材のうちのもう一方はヘッドレスト部材の側面部分のもう一方の外装面に枢動自在に連接してもよい。枢動自在接続は、スナップファスナによって提供されてもよい。
【0023】
拘束部材の中央部材はストラップとして形成されてもよい。
【0024】
側面部分のそれぞれは、その外装面に形成される区切チャネルと共に構成されてもよい。
【0025】
側面部材のそれぞれは、上方及び下方位置間の拘束部材の変位時に、そのそれぞれの区切チャネル内に受け取られ、その2つの最端部間で変位されるよう構成される突出部分と共に構成されてもよい。
【0026】
側面部材及び区切チャネルは、可撓性であるが、硬質の塑性材料でできていてもよい。例えば、側面部材及び区切チャネルは、ポリプロピレン等のポリマーでできていてもよい。
【0027】
区切チャネルは円弧形状を有してもよく、その長さは、その上方及び下方位置においてヘッドレスト部材と拘束部材との間の角度に対応する。
【0028】
ヘッドレストレイントはモジュール式であり、以下の2つの構成:
−拘束部材が、その上方及び下方位置間で変位されるようヘッドレスト部材に枢動自在に取り付けられる前部構成と、
−拘束部材が、ヘッドレスト部材の後側に配設され、それに接続される後部構成を有し、後部構成において、拘束部材は、ヘッドレスト部材の外装面を略全体的に係合させ、後部構成において、ヘッドレストレイントは、丸められるか、折り畳まれることによってコンパクトに束ねられてもよい。
【0029】
拘束部材は、ユーザの前額部と前記拘束部材との間の距離を調整し、ユーザの頭部の上部と前記拘束部材との間の距離を調整し、異なる大きさの頭部に対して前記ヘッドレストレイントを調整するように、可変長を有してもよい。
【0030】
側面部材は、面ファスナ(例えば、Velcro(登録商標)ファスナ)によって中央部材に連接してもよい。
【0031】
面ファスナは、拘束部材の長さを調節することを可能にしてもよい。その上、面ファスナは、側面部材に対する中央部材の垂直位置を調節することを可能にしてもよい。この垂直調節は、中央部材をユーザの(例えば、子供の)前額部の正確に前に位置決めすることを可能にしてもよい。しかし、大人がヘッドレスト部材を用いる場合、中央部材は、安眠マスクとして用いられるように、彼の眼の前に位置してもよい。
【0032】
中央部材は、可撓性であってもよく、軟質で剛体ではあるが、曲げやすい材料から形成されてもよい。
【0033】
ヘッドレスト部材も、可撓性であってもよく、軟質で剛体ではあるが、曲げやすい材料から形成されてもよい。
【0034】
取付配置部は、2対のストリップを備えていてもよい。各ストリップ対は、バックル、長さ調節要素、又は面ファスナ等の手段を接続することによって互いに連接している。
【0035】
取付配置部は、ヘッドレストレイントを座席のシートヘッドレストに取り付けるために構成されてもよい。
【0036】
取付配置部は、座席に対して、及び、ユーザの頭部の高さに対してヘッドレストレイントの高さを調節するために用いられてもよい。
【0037】
ヘッドレストレイントは、更に、子供又は乳幼児が車両内に置き去りにされている状況を検出するためのそれに取り付けられる感知ユニットを含んでもよい。かかる感知ユニットは、かかる状況を警告するための警告システムと共に構成されてもよい。
【0038】
ヘッドレストレイントは、更に、ユーザの声(例えば、子供の声)を増幅するためのそれに取り付けられるマイクロフォンを含んでもよい。
【0039】
現在開示する主題の第2の態様によれば、ヘッドレストレイントであって、
背面部分と、それから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材と、
前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材と、を備え、
ヘッドレスト部材が、側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、側面部分が前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲に互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、ヘッドレスト部材の側面部分は背面部分に対して折り畳み可能である、ヘッドレストレイントが提供される。
【0040】
現在開示する主題の第3の態様によれば、座席であって、
(a)着座部分と、
(b)シートヘッドレストと、
(c)シートヘッドレストに取り付けられる背面部分とそれから延在する2つの側面部分とにより構成されるヘッドレスト部材と、前記側面部分に枢動自在に連接し、少なくとも上方位置と下方位置との間の回転のために構成される拘束部材とを備えるヘッドレストレイントと、を備え、
ヘッドレスト部材が、側面部分が第1の範囲で互いから離間される第1の状態と、側面部分が前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲に互いから離間される第2の状態とを呈することを可能にするように、ヘッドレスト部材の側面部分は背面部分に対して折り畳み可能である、座席が提供される。
【0041】
以下の特徴、意匠、及び構成のうちのいずれか1つ以上は、第2又は第3の態様に従って、個々に、又は、それらの組み合わせで現在開示する主題に組み込まれてもよい。
その上方位置とその下方位置との間の拘束部材の変位は、ヘッドレスト部材がその第1及び第2の状態をそれぞれ呈する原因となるよう構成されてもよい。
【0042】
背面部分は、縫製、クリップ、ジッパ、面ファスナ等のような様々な締結手段によってシートヘッドレストに取り付けられてもよい。
【0043】
ヘッドレストレイントは、子供用補助シート、チャイルドシート、ベビーカー、車両用シート、車椅子の座席、椅子、ベンチ等のような様々な種類の座席に取り付けられてもよい。
【0044】
第2の状態において、側面部分はユーザの耳の近傍に配設されてもよい。これは、騒音を低減し、従って、ユーザの眠りの質を向上することに有用である可能性がある。
【0045】
側面部分のそれぞれは、第2の状態において、ユーザの耳に音を提供するためにユーザの耳の近傍にイヤホンが配設されるように、イヤホンと共に構成されてもよい。音は、例えば、リラックスさせる音楽、物語、又は親の声であってもよい。
【0046】
背面部分及び側面部分は、一体化され、互いに連続又は取付可能であってもよい。
【0047】
背面部分及び側面部分は、支持クッションとして形成されてもよい。
【0048】
背面部分は、ユーザの頭部の背面部分に対する支持を提供するよう構成され、側面部分は、ユーザの頭部の側面部分に対する支持を提供するよう構成される。側面部分は、ユーザの頭部のための側面衝撃保護具を構成してもよい。
【0049】
上方及び下方位置間の拘束部材の回転は、ユーザ自身によって、彼の手のうちの一方によって行われてもよい。
【0050】
下方位置において、拘束部材は、間隙が前額部と拘束部材との間に延在するように、ユーザの前額部から離間されてもよい。この間隙は、前額部と拘束部材との間の接触がないため、格別の快適度をユーザに提供できる。しかし、頭部の前方移動を区切るため拘束部材が有効に動作することを可能にするために、間隙は大きすぎるべきではない。
【0051】
拘束部材は、2つの側面部材及びそれらの間に配設される中央部材により構成される。側面部材のうちの一方はヘッドレスト部材の一方の側面部分の外装面に枢動自在に連接してもよく、側面部材のうちのもう一方はヘッドレスト部材の側面部分のもう一方の外装面に枢動自在に連接してもよい。枢動自在接続は、スナップファスナによって提供されてもよい。
【0052】
拘束部材の中央部材はストラップとして形成されてもよい。
【0053】
側面部分のそれぞれは、その外装面に形成される区切チャネルと共に構成されてもよい。
【0054】
側面部材のそれぞれは、上方及び下方位置間の拘束部材の変位時に、そのそれぞれの区切チャネル内に受け取られ、その2つの最端部間で変位されるよう構成される突出部分と共に構成されてもよい。
【0055】
側面部材及び区切チャネルは、可撓性であるが、硬質の塑性材料でできていてもよい。例えば、側面部材及び区切チャネルは、ポリプロピレン等のポリマーでできていてもよい。
【0056】
区切チャネルは円弧形状を有してもよく、その長さは、その上方及び下方位置においてヘッドレスト部材と拘束部材との間の角度に対応する。
【0057】
ヘッドレストレイントはシートヘッドレストから分離されてもよい。
【0058】
ヘッドレストレイントはモジュール式であり、以下の2つの構成:
−拘束部材が、その上方及び下方位置間で変位されるようヘッドレスト部材に枢動自在に取り付けられる前部構成と、
−拘束部材が、ヘッドレスト部材の後側に配設され、それに接続される後部構成を有し、後部構成において、拘束部材は、ヘッドレスト部材の外装面を略全体的に係合させ、後部構成において、ヘッドレストレイントは、丸められるか、折り畳まれることによってコンパクトに束ねられてもよい。
【0059】
拘束部材は、ユーザの前額部と前記拘束部材との間の距離を調整し、ユーザの頭部の上部と前記拘束部材との間の距離を調整し、異なる大きさの頭部に対して前記ヘッドレストレイントを調整するように、可変長を有してもよい。
【0060】
側面部材は、面ファスナ(例えば、Velcro(登録商標)ファスナ)によって中央部材に連接してもよい。
【0061】
面ファスナは、拘束部材の長さを調節することを可能にしてもよい。その上、面ファスナは、側面部材に対する中央部材の垂直位置を調節することを可能にしてもよい。この垂直調節は、中央部材をユーザの(例えば、子供の)前額部の正確に前に位置決めすることを可能にしてもよい。しかし、大人がヘッドレスト部材を用いる場合、中央部材は、安眠マスクとして用いられるように、彼の眼の前に位置してもよい。
【0062】
中央部材は、可撓性であってもよく、軟質で剛体ではあるが、曲げやすい材料から形成されてもよい。
【0063】
ヘッドレスト部材も、可撓性であってもよく、軟質で剛体ではあるが、曲げやすい材料から形成されてもよい。
【0064】
ヘッドレストレイントは、更に、子供又は乳幼児が車両内に置き去りにされている状況を検出するためのそれに取り付けられる感知ユニットを含んでもよい。かかる感知ユニットは、かかる状況を警告するための警告システムと共に構成されてもよい。
【0065】
ヘッドレストレイントは、更に、ユーザの声(例えば、子供の声)を増幅するためのそれに取り付けられるマイクロフォンを含んでもよい。
【0066】
この文書中で開示される主題をより良く理解し、それがどのように実際に行われてもよいかを例示するために、実施形態を、非限定的な実施例のみを用いて、添付図面を参照してここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1A図1Aは、現在開示する主題の一実施例による、拘束部材がその上方位置にあるヘッドレストレイントの正面斜視図である。
図1B図1Bは、個人の頭部が重ね合わされた図1Aのヘッドレストレイントの平面図である。
図1C図1Cは、図1Aのヘッドレストレイントの側面図である。
図1D図1Dは、図1Aのヘッドレストレイントの正面図である。
図1E図1Eは、車両内のチャイルドシート上に設置された図1Dのヘッドレストレイントである。
図1F図1Fは、子供がチャイルドシートに着座し、彼女の頭部がヘッドレストレイントに位置決めされている図1Eのヘッドレストレイントである。
図2A図2Aは、拘束部材がその下方位置にある図1Aのヘッドレストレイントの正面斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aのヘッドレストレイントの上面図である。
図2C図2Cは、図2Aのヘッドレストレイントの側面図である。
図2D図2Dは、図2Aのヘッドレストレイントの正面図である。
図2E図2Eは、車両内のチャイルドシート上に設置された図2Dのヘッドレストレイントである。
図2F図2Fは、子供がチャイルドシートに着座し、彼女の頭部がヘッドレストレイントに位置決めされている図2Eのヘッドレストレイントである。
図3図3は、ヘッドレストレイントの拘束部材及びヘッドレスト部材が互いから分解されている分解構成にある図1Aのヘッドレストレイントである。
図4A図4Aは、拘束部材が、ヘッドレスト部材の後側に位置し、それに接続される後部構成にある図1Aのヘッドレストレイントである。
図4B図4Bは、その束ねられた形態にある図4Aのヘッドレストレイントである。
図5図5は、現在開示する主題の別の実施例による、チャイルドシートと一体化されたヘッドレストレイントの正面図である。
図6A図6Aは、拘束部材がその上方位置にある図5の実施例によるヘッドレストレイントの正面斜視図である。
図6B図6Bは、個人の頭部が重ね合わされた図6Aのヘッドレストレイントの平面図である。
図6C図6Cは、図6Aのヘッドレストレイントの側面図である。
図6D図6Dは、図6Aのヘッドレストレイントの正面図である。
図6E図6Eは、車両内のチャイルドシート上に設置された図6Dのヘッドレストレイントである。
図6F図6Fは、子供がチャイルドシートに着座し、彼女の頭部がヘッドレストレイントに位置決めされている図6Eのヘッドレストレイントである。
図7A図7Aは、拘束部材がその下方位置にある図6Aのヘッドレストレイントの正面斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aのヘッドレストレイントの上面図である。
図7C図7Cは、図7Aのヘッドレストレイントの側面図である。
図7D図7Dは、図7Aのヘッドレストレイントの正面図である。
図7E図7Eは、車両内のチャイルドシートと一体化された図7Dのヘッドレストレイントである。
図7F図7Fは、子供がチャイルドシートに着座し、彼女の頭部がヘッドレストレイントに位置決めされている図7Eのヘッドレストレイントである。
図8図8は、ヘッドレストレイントの拘束部材及びヘッドレスト部材が互いから分解されている分解構成にある図6Aのヘッドレストレイントである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
最初に、概して1で示す現在開示する主題の一実施例によるヘッドレストレイントを示す図の図1A〜1Fに注目する。
【0069】
ヘッドレストレイント1は、ヘッドレスト部材10と、それに枢動自在に連接する拘束部材40と、子供が着座できる(図1E、1F、2E、及び2Fに示す)チャイルドシート3への又はその他のシートへの付加装置としてヘッドレストレイント1を取り付けるためのヘッドレスト部材10から延在する取付配置部70とを備えている。
【0070】
拘束部材40は、上方位置(図1A〜1Fに示す)と下方位置(図2A〜2Fに示す)との間でX軸(図1B及び2Bに示す)を中心としてヘッドレスト部材10に対して回転されるよう構成される。この回転は、ユーザ自身によって、彼の手のうちの一方によって行うことができる。
【0071】
ここで、チャイルドシート3のシートヘッドレスト4に取り付けられるヘッドレストレイント1の動作の一般的な方法を説明するために、図1F及び2Fを参照する。
【0072】
図1Fに示すように、拘束部材40の上方位置において、子供5がチャイルドシート3に着座しており、彼女の頭部6はヘッドレスト部材10に寄りかかっており、拘束部材40が弓状様式で頭部6の上にあるが、子供の頭部の上に十分な間隙を持って配設されている。加えて、ヘッドレスト部材10は、その第1及び第2の側面部分20及び30が第1の範囲で互いから離間されているその第1の状態にある。この位置において、子供5は起きており、彼女の頭部6は、前方向及び各側面に対して自由に動かせるが、シートヘッドレストの側面部分4a及び4bによってある特定の範囲に対して制限されている。
【0073】
図2Fに示すように、子供5が眠ってしまい、従って、ヘッドレストレイント1が下方位置にある。この位置において、拘束部材40は、前方向への頭部6の動きを拘束するために、子供5の前額部7の前方に配設される。加えて、ヘッドレスト部材10は、その側面部分が互いから第1の範囲よりも小さい第2の範囲まで離間されているその第2の状態にあり、それによって、側方への頭部6の動きを拘束している。拘束部材40及びヘッドレスト部材10の側面部分によるこのレストレイントは、子供5が眠っている間の頭部6の向上した安定性と快適な支持とを提供する。特に、拘束部材40は、ユーザの頭部6が前方に傾斜することを防ぎ、第1及び第2の側面部分20及び30は、ユーザの頭部6が左又は右側に傾くことを防ぐ。その上、上記のレストレイントは、車両の旋回、制動、又は衝突時に、ユーザに対して向上した頭部及び頸部安定性を提供できる。
【0074】
ここで、拘束部材40がその上方位置にあり、ヘッドレスト部材10がその第1の状態にあるヘッドレストレイント1の動作の構造及び方法を詳細な方法で説明するために、図1A〜1Fを参照する。
【0075】
ヘッドレスト部材10は、背面部分12、第1の側面部分20、及び第2の側面部分30を有している。背面部分12並びに第1及び第2の側面部分20及び30は、子供の頭部6のための支持クッションとして形成されている。図1Bに示すように、背面部分12は、頭部6の背面部分9に対する支持を提供する。
【0076】
第1の側面部分20及び第2の側面部分30は、それぞれ、背面部分12の2つの対向する端部、すなわち、第1の端部13及び第2の端部14から延在している。その上、第1の側面部分20及び第2の側面部分30は、ヘッドレスト部材10の第1の状態(図1A〜1F)と第2の状態(図2A〜2F)との間で、中央部分12に対して折り畳むことができる。
【0077】
拘束部材40は、第1の側面部材50、第2の側面部材60、及びそれらの間に配設される中央部材42により構成される。中央部材42は、ストラップとして形成され、図1Fに示すように、子供の頭部6の上に配設される。
【0078】
第1の側面部材50及び第2の側面部材60は、面ファスナによって中央部材42に取り付けられる。面ファスナは、(拘束部材の下方位置において)子供の前額部と拘束部材40との間の距離、(拘束部材の上方位置において)子供の頭部の上部と拘束部材40との距離を調整し、異なる大きさの頭部に対してヘッドレストレイント1を調整するように、拘束部材40の長さを調節することを可能にする。
【0079】
その上、面ファスナは、第1及び第2の側面部材50及び60に対する中央部材42の垂直位置を調節することを可能にする。例えば、ヘッドレストレイント1のユーザが、安眠マスクとして中央部材42を使用したい場合、彼は、中央部材42が彼の前額部ではなく、彼の眼の前に位置するように、第1及び第2の側面部材50及び60に対して中央部材42を位置決めできる。
【0080】
ヘッドレスト部材10への拘束部材40の枢動自在の連接は、第1のスナップファスナ54(図3に示す)を用いて第1の側面部分20の外装面22(図3に示す)への第1の側面部材50によって、及び、第2のスナップファスナ64を用いて第2の側面部分30の外装面32への第2の側面部材60の連接によって提供される。
【0081】
第1の側面部分20は、外装面22に形成される第1の区切チャネル52(図3に示す)と共に構成され、第2の側面部分30は、外装面32に形成される第2の区切チャネル62と共に構成される。第1の区切チャネル52は、外装面22に取り付けられるチャネル要素51内に形成される。第2の区切チャネル62は、外装面32に取り付けられるチャネル要素61内に形成される。特定の実施例によれば、外装面22及び32のチャネル要素51及び61は、接続ストリップ(図3で見て取れる)によって接続されることによって、単一要素に関連している。
【0082】
第1の区切チャネル52及び第2の区切チャネル62は円弧形であり、その長さは、拘束部材の上方及び下方位置間のヘッドレスト部材10と拘束部材40との間の角度に対応している。本実施例によれば、この角度は約120°である。
【0083】
図3で見て取れるように、第1の側面部材50は、その上方及び下方位置間の拘束部材40の変位時に、その2つの最端部間で第1の区切チャネル52内に受け取られ、摺動自在に変位できる第1の突出部分55と共に構成される。
【0084】
図1A及び1Cに示すように、第2の側面部材60は、上方及び下方位置間の拘束部材40の変位時に、それぞれ、下端部66と上端部67との間で第2の区切チャネル62内に受け取られ、摺動自在に変位できる第2の突出部分65(図1Aにおいて図示せず)と共に構成される。下端部66は、その上方位置を超える拘束部材40の更なる上方枢動を制限し、上端部66は、その下方位置を超える拘束部材40の更なる下方枢動を制限し、それによって、例えば、中央部材42が、所定レベル、例えば、子供の眼の前よりも低く位置することを防いでいる。
【0085】
中央部材42は、可撓性で軟質の材料から形成される。この材料は、剛体ではあるが、曲げやすい。ヘッドレスト部材10は、可撓性で軟質のクッション材から形成される。第1の側面部材50、第2の側面部材60、2つのチャネル要素51及び61は、全て硬質で剛体ではあるが、曲げやすい塑性材料でできている。本実施例によれば、この材料はポリマーであり、特に、ポリプロピレンである。
【0086】
他の実施例によれば、ヘッドレスト部材10は必ずしも可撓性である必要はないが、その側面部分の枢動を可能にする必要があることを示すべきである。
【0087】
取付配置部70は、第1のストリップ対72及び第2のストリップ対76を備えている。各ストリップ対は、他の面ファスナのそれぞれに連接する。他の実施例によれば、ストリップは、それぞれ他の公知の機械的手段に連接する。
【0088】
上で示したように、ヘッドレスト部材10は、その第1の状態で図1A〜1Fに示されている。この状態において、第1の側面部分20及び第2の側面部分30は、距離D1(図1B及び1D)で表される第1の範囲で互いから離間されている。距離D1は、回転軸Xと平行で、頭部6の中心点6’を通過する軸に沿って取られる。ヘッドレスト部材10の第1の状態は、ヘッドレスト部材10の側面部分が逆戻りする傾向があるその通常状態である。通常状態は、ヘッドレスト部材10の寸法形状及び構造により提供される。
【0089】
拘束部材40は、第1及び第2の側面部材50及び60間の距離が、その上方及び下方位置間の拘束部材40の枢動中に略一定であるように、構築されている。拘束部材40のこの特性と、第1及び第2の側面部材50及び60間の距離が拘束部材40の上方構成において外面22及び32間の距離よりも小さいという事実とに鑑みて、その上方位置からその下方位置への拘束部材40の変位は、ヘッドレスト部材10がその第2の状態を呈する原因となる。この結果は、第1及び第2の側面部材50及び60によって提供され、これにより、背面部分12に対して、それぞれ、第1及び第2の側面部分20及び30を曲げ、それらが互いに接近する原因となる。同様に、その下方位置からその上方位置への拘束部材40の変位は、ヘッドレスト部材10がその通常の第1の状態を呈する原因となる。
【0090】
ここで、拘束部材40がその下方位置にあり、ヘッドレスト部材10がその第2の状態にあるヘッドレストレイント1の動作の構造及び方法を詳細な方法で説明するために、図2A〜2Fを参照する。
【0091】
図2Bに示すように、レストレイント部材40の下方位置において、その中央部材42は、子供の頭部6の前額部7の前に位置し、間隙mが中央部材42と前額部7との間に延在するように、それから離間されている。間隙mは、子供5が起きている場合に、前額部7と拘束部材40との間の接触がないため、格別の快適度を子供5に提供する。しかし、前額部7と中央部材42との間の接触が確立される場合に、拘束部材40が有効に動作することを可能にするために、間隙は大きすぎるべきではない。子供の頭部6が、彼女が眠った時に前方に倒れる場合、この接触が確立されてもよい。
【0092】
加えて、図2Bに示すように、第1及び第2の側面部分20及び30は、子供の頭部(図2Bにおいて)の側面8及び8’に対する支持を提供する。第1及び第2の側面部分20及び30は、更に、ユーザの頭部6のための側面衝撃保護具を構成する。
【0093】
上で示したように、ヘッドレスト部材10は、その第2の状態で図2A〜2Fに示されている。この状態において、第1の側面部分20及び第2の側面部分30は、距離D1よりも小さい距離D2(図2B及び2Dに示す)で表される第2の範囲で互いから離間されている。距離D2は、回転軸Xと平行で、頭部6の中心点6’を通過する軸に沿って取られる。図2Bに示すように、第1及び第2の側面部分20及び30は、ユーザのこめかみの近傍に配設され、それによって、子供の耳に届く騒音を低減し、彼女の眠りの質を向上する。
【0094】
距離D2は、拘束部材40の長さを変更することによって調節できる。例えば、子供が、第1及び第2の側面部分が彼の耳に接触することを不快と感じるようであれば、拘束部材40の長さを増大させ、それによって距離D2を増大することができる。
【0095】
現在開示する主題のヘッドレストレイントはモジュール式であり、2つの構成:前部構成(図1A〜1F及び2A〜2Fに示す)及び後部構成(図4Aに示す)を有する。
【0096】
拘束部材40がその上方及び下方位置間で枢動自在な前部構成とは対照的に、後部構成において、拘束部材40は、これらの位置の間で変位可能ではない。
【0097】
ここで、ヘッドレストレイント1がその分解構成にあることを示す図3を参照する。この構成において、ヘッドレスト部材10は拘束部材40から係脱される。その上、拘束部材40自体は、中央部材42が第1の側面部材50及び第2の側面部材60から分離されるように、分解されている。
【0098】
ここで、ヘッドレストレイント1の後部構成を詳細な方法で説明するために、図4Aを参照する。後部構成において、第1及び第2の側面部材50及び60は、ヘッドレスト部材10の後側に連接し、それに接続されている。特に、拘束部材40はヘッドレスト部材10の外装面18を全体的に係合させ、第1の側面部材50は、第1のスナップファスナ54(図4Aでは図示せず)を用いて外装面22に連接し、第2の側面部材60は、第2のスナップファスナ64を用いて外装面32に連接している。第1及び第2の突出部分は、それらそれぞれの第1及び第2の区切チャネルから引き出されている。図4Aに示すように、ヘッドレスト部材10の外装面18との拘束部材40の完全な係合を得るために、拘束部材40の長さはそれぞれ減少されている。
【0099】
後部構成において、ヘッドレストレイント1は機能せず、必要に応じて異なる座席に取り付けられるよう、様々な場所に移送することができる。その上、後部構成において、ヘッドレストレイント1は、矢印90の方向に丸めるか、折り畳むことによってコンパクトに束ねることができる。
【0100】
ここで、ヘッドレストレイント1がその束ねられた形態にあることを示す図4Bを参照する。この形態は、図4Aのヘッドレストレイント1を矢印90の方向に丸めることによって得られる。図4Bに示すように、束ねられた形態において、ヘッドレストレイント1は極めてコンパクトであり、大人の一方の手によって把持することができる。
【0101】
ここで、現在開示する主題の別の実施例によるヘッドレストレイント100を有するチャイルドシート103を示す図の図5及び6A〜6Fに注目する。
【0102】
チャイルドシート103は、子供の身体を支持するために構成される着座部分101と、子供の頭部を支持するために構成されるシートヘッドレスト104とにより構成されている。ヘッドレストレイント100は、縫製によってシートヘッドレスト104に取り付けられ、それと一体化され、最終的にチャイルドシート103の一部を構成している。
【0103】
図6A〜6Fを参照すると、ヘッドレストレイント100は、ヘッドレスト部材110と、それに枢動自在に連接する拘束部材140とを備えている。拘束部材140は、上方位置(図6A〜6Fに示す)と下方位置(図7A〜7Fに示す)との間でX軸(図6B及び7Bに示す)を中心としてヘッドレスト部材110に対して回転されるよう構成される。この回転は、ユーザ自身によって、彼の手のうちの一方によって行うことができる。
【0104】
ここで、ヘッドレストレイント100の動作の一般的な方法を説明するために、図6F及び7Fを参照する。
【0105】
図6Fに示すように、拘束部材140の上方位置において、子供105がチャイルドシート103に着座しており、彼女の頭部106はヘッドレスト部材110に寄りかかっており、拘束部材140が弓状様式で頭部106の上にあるが、子供の頭部の上に十分な間隙を持って配設されている。加えて、ヘッドレスト部材110は、その第1及び第2の側面部分120及び130が第1の範囲で互いから離間されているその第1の状態にある。この位置において、子供105は起きており、彼女の頭部106は、前方向及び各側面に対して自由に動かせるが、シートヘッドレスト104のシートの側面部分104a及び104bによってある特定の範囲に対して制限されている。
【0106】
図7Fに示すように、子供105が眠ってしまい、従って、ヘッドレストレイント100が下方位置にある。この位置において、拘束部材140は、前方向への頭部106の動きを拘束するために、子供105の前額部107の前方に配設される。加えて、ヘッドレスト部材110は、その側面部分が互いから第1の範囲よりも小さい第2の範囲まで離間されているその第2の状態にあり、それによって、側方への頭部106の動きを拘束している。拘束部材140及びヘッドレスト部材110の側面部分によるこのレストレイントは、子供105が眠っている間の頭部106の向上した安定性と快適な支持とを提供する。特に、拘束部材140は、ユーザの頭部106が前方に傾斜することを防ぎ、第1及び第2の側面部分120及び130は、ユーザの頭部106が左又は右側に傾くことを防ぐ。その上、上記のレストレイントは、車両の旋回、制動、又は衝突時に、ユーザに対して向上した頭部及び頸部安定性を提供できる。
【0107】
ここで、拘束部材140がその上方位置にあり、ヘッドレスト部材110がその第1の状態にあるヘッドレストレイント100の動作の構造及び方法を詳細な方法で説明するために、図6A〜6Fを参照する。
【0108】
ヘッドレスト部材110は、背面部分112、第1の側面部分120、及び第2の側面部分130を有している。背面部分112並びに第1及び第2の側面部分120及び130は、子供の頭部106のための支持クッションとして形成されている。図6Bに示すように、背面部分112は、頭部106の背面部分109に対する支持を提供する。
【0109】
第1の側面部分120及び第2の側面部分130は、それぞれ、背面部分112の2つの対向する端部、すなわち、第1の端部113及び第2の端部114から延在している。その上、第1の側面部分120及び第2の側面部分130は、ヘッドレスト部材110の第1の状態(図6A〜6F)と第2の状態(図7A〜7F)との間で、中央部分112に対して折り畳むことができる。
【0110】
背面部分112は、縫製によってシートヘッドレスト104に取り付けられ、それと一体化されている。
【0111】
拘束部材140は、第1の側面部材150、第2の側面部材160、及びそれらの間に配設される中央部材142により構成される。中央部材142は、ストラップとして形成され、図6Fに示すように、子供の頭部106の上に配設される。
【0112】
第1の側面部材150及び第2の側面部材160は、面ファスナによって中央部材142に取り付けられる。面ファスナは、(拘束部材の下方位置において)子供の前額部と拘束部材140との間の距離、(拘束部材の上方位置において)子供の頭部の上部と拘束部材140との距離を調整し、異なる大きさの頭部に対してヘッドレストレイント100を調整するように、拘束部材140の長さを調節することを可能にする。
【0113】
その上、面ファスナは、第1及び第2の側面部材150及び160に対する中央部材142の垂直位置を調節することを可能にする。例えば、ヘッドレストレイント100のユーザが、安眠マスクとして中央部材142を使用したい場合、彼は、中央部材142が彼の前額部ではなく、彼の眼の前に位置するように、第1及び第2の側面部材150及び160に対して中央部材142を位置決めできる。
【0114】
ヘッドレスト部材110への拘束部材140の枢動自在の連接は、第1のスナップファスナ154(図8に示す)を用いて第1の側面部分120の外装面122(図8に示す)への第1の側面部材150によって、及び、第2のスナップファスナ164を用いて第2の側面部分130の外装面132への第2の側面部材160の連接によって提供される。
【0115】
第1の側面部分120は、外装面122に形成される第1の区切チャネル152(図8に示す)と共に構成され、第2の側面部分130は、外装面132に形成される第2の区切チャネル162と共に構成される。第1の区切チャネル152は、外装面122に取り付けられるチャネル要素151内に形成される。第2の区切チャネル162は、外装面132に取り付けられるチャネル要素161内に形成される。特定の実施例によれば、外装面122及び132のチャネル要素151及び161は、接続ストリップ(図8で見て取れる)によって接続されることによって、単一要素に関連している。
【0116】
第1の区切チャネル152及び第2の区切チャネル162は円弧形であり、その長さは、拘束部材の上方及び下方位置間のヘッドレスト部材110と拘束部材140との間の角度に対応している。本実施例によれば、この角度は約120°である。
【0117】
図8で見て取れるように、第1の側面部材150は、その上方及び下方位置間の拘束部材140の変位時に、その2つの最端部間で第1の区切チャネル152内に受け取られ、摺動自在に変位できる第1の突出部分155と共に構成される。
【0118】
図6A及び6Cに示すように、第2の側面部材160は、上方及び下方位置間の拘束部材140の変位時に、それぞれ、下端部166と上端部167との間で第2の区切チャネル162内に受け取られ、摺動自在に変位できる第2の突出部分165と共に構成される。下端部166は、その上方位置を超える拘束部材140の更なる上方枢動を制限し、上端部167は、その下方位置を超える拘束部材140の更なる下方枢動を制限し、それによって、例えば、中央部材142が、所定レベル、例えば、子供の眼の前よりも低く位置することを防いでいる。
【0119】
中央部材142は、可撓性で軟質の材料から形成される。この材料は、剛体ではあるが、曲げやすい。ヘッドレスト部材110は、可撓性で軟質のクッション材から形成される。第1の側面部材150、第2の側面部材160、2つのチャネル要素151及び161は、全て硬質で剛体ではあるが、曲げやすい塑性材料でできている。本実施例によれば、この材料はポリマーであり、特に、ポリプロピレンである。
【0120】
他の実施例によれば、ヘッドレスト部材110は必ずしも可撓性である必要はないが、その側面部分の枢動を可能にする必要があることを示すべきである。
【0121】
上で示したように、ヘッドレスト部材110は、その第1の状態で図6A〜6Fに示されている。この状態において、第1の側面部分120及び第2の側面部分130は、距離D3(図6B及び6D)で表される第1の範囲で互いから離間されている。距離D3は、回転軸Xと平行で、頭部106の中心点106’を通過する軸に沿って取られる。ヘッドレスト部材110の第1の状態は、ヘッドレスト部材110の側面部分が逆戻りする傾向があるその通常状態である。通常状態は、ヘッドレスト部材110の寸法形状及び構造により提供される。
【0122】
拘束部材140は、第1及び第2の側面部材150及び160間の距離が、その上方及び下方位置間の拘束部材140の枢動中に略一定であるように、構築されている。拘束部材140のこの特性と、第1及び第2の側面部材150及び160間の距離が拘束部材140の上方構成において外面122及び132間の距離よりも小さいという事実とに鑑みて、その上方位置からその下方位置への拘束部材140の変位は、ヘッドレスト部材110がその第2の状態を呈する原因となる。この結果は、第1及び第2の側面部材150及び160によって提供され、これにより、背面部分112に対して、それぞれ、第1及び第2の側面部分120及び130を曲げ、それらが互いに接近する原因となる。同様に、その下方位置からその上方位置への拘束部材140の変位は、ヘッドレスト部材110がその通常の第1の状態を呈する原因となる。
【0123】
ここで、拘束部材140がその下方位置にあり、ヘッドレスト部材110がその第2の状態にあるヘッドレストレイント100の動作の構造及び方法を詳細な方法で説明するために、図7A〜7Fを参照する。
【0124】
図7Bに示すように、レストレイント部材140の下方位置において、その中央部材142は、子供の頭部106の前額部107の前に位置し、間隙m’が中央部材142と前額部107との間に延在するように、それから離間されている。間隙m’は、子供105が起きている場合に、前額部107と拘束部材140との間の接触がないため、格別の快適度を子供105に提供する。しかし、前額部107と中央部材142との間の接触が確立される場合に、拘束部材140が有効に動作することを可能にするために、間隙は大きすぎるべきではない。子供の頭部106が、彼女が眠った時に前方に倒れる場合、この接触が確立されてもよい。
【0125】
加えて、図7Bに示すように、第1及び第2の側面部分120及び130は、子供の頭部(図7Bにおいて)の側面108及び108’に対する支持を提供する。第1及び第2の側面部分120及び130は、更に、ユーザの頭部106のための側面衝撃保護具を構成する。
【0126】
上で示したように、ヘッドレスト部材110は、その第2の状態で図7A〜7Fに示されている。この状態において、第1の側面部分120及び第2の側面部分130は、距離D3よりも小さい距離D4(図7B及び7Dに示す)で表される第2の範囲で互いから離間されている。距離D4は、回転軸Xと平行で、頭部106の中心点106’を通過する軸に沿って取られる。図7Bに示すように、第1及び第2の側面部分120及び130は、ユーザのこめかみの近傍に配設され、それによって、子供の耳に届く騒音を低減し、彼女の眠りの質を向上する。
【0127】
距離D4は、拘束部材140の長さを変更することによって調節できる。例えば、子供が、第1及び第2の側面部分が彼の耳に接触することを不快と感じるようであれば、拘束部材140の長さを増大させ、それによって距離D4を増大することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8