(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る日射遮蔽装置としての横型ブラインド10について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明する場合があるものとし、X方向を横型ブラインド10の長手方向とし、X1側は
図1の右端側、X2側は
図1の左端側とする。またZ方向を横型ブラインドの吊り下げ方向(上下方向)とし、Z1側は上側、Z2側は下側とする。またY方向はX方向およびY方向に直交する方向とし、Y1側は操作ポール40が位置する室内側、Y2側はそれとは逆側とする。
【0020】
<横型ブラインド10の構成について>
図1〜
図3に示すように、横型ブラインド10は、ヘッドボックス20から複数本のラダーコードR1を介して多数のスラット30が所定のピッチ毎に吊り下げられている。そして、ラダーコードR1の下端側(Z2側)にはホルダ31が取り付けられ、このホルダ31を介してボトムレール32に取り付けられている。なお、ラダーコードR1は、コード部材に対応する。
【0021】
ボトムレール32には、昇降コードR2の下端側(Z2側)が固定されている。この昇降コードR2は、それぞれのスラット30に設けられている不図示の挿通孔に挿通され、さらにヘッドボックス20内および操作ポール40内を挿通され、イコライザ41に取り付けられる。それにより、イコライザ41の上下動に昇降コードR2が連動し、多数のスラット30を積み重ねた収納状態と、スラット30を所定のピッチで配置する展開状態とを容易に実現可能となっている。
【0022】
なお、昇降コードR2は、ヘッドボックス20内において、ストッパ装置21を通っている。ストッパ装置21は、スラット30が下方に下がる向きに昇降コードR2が移動するのを阻止する規制状態と、スラット30が下方に下がる向きに昇降コードR2が移動するのを許容する解除状態とを切り替えることを可能としている。
【0023】
図1および
図2に示すように、ラダーコードR1の上端側(Z1側)は、ヘッドボックス20内に設けられる支持ドラム22に取り付けられている。支持ドラム22は、サポート部材23を介してヘッドボックス20の筐体24に対して回転自在に取り付けられる。この支持ドラム22の径方向中心側には不図示の嵌合孔が設けられ、この嵌合孔には回転軸25が差し込まれ、支持ドラム22と回転軸25とが一体的に回転するように設けられている。
【0024】
回転軸25は、たとえば六角形の外周形状に設けられていて、上述の嵌合孔も六角形の孔形状に設けられている。それにより、支持ドラム22と回転軸25とは一体的に回転するように設けられている。
【0025】
回転軸25の一端側(
図1において長手のX1側)には、ギヤボックス26が設けられている。ギヤボックス26には、たとえばウォームホイール等のギヤ(図示省略)が設けられていて、このウォームホイールは回転軸25に直接的または間接的に連結されている。また、ギヤボックス26には、たとえば、ウォームホイールと噛み合うウォーム(図示省略)が設けられていて、そのウォームは操作ポール40(操作部位に対応)に直接的または間接的に連結されている。それにより、操作ポール40を回転させると、その回転力がウォームおよびウォームホイールを介して回転軸25に与えられ、さらには支持ドラム22に与えられる。
【0026】
<クリックユニット50について>
回転軸25の他端側(
図1および
図2において長手のX2側)には、
図4〜
図7に示すようなクリックユニット50が設けられている。クリックユニット50は、
図4、
図6および
図7に示すように、クリックドラム60と、被伝達軸70と、下ケース80と、上ケース90と、押しバネ100と、クラッチボール110と、を備えている。
【0027】
上述の回転軸25には、
図4、
図6〜
図8に示すようなクリックドラム60が取り付けられる。クリックドラム60は、クラッチボール110および押しバネ100によって、回転軸25を回転させた際にクリック感を与える部材である。また、クリックドラム60は、被伝達軸70に回転を伝達させ、この被伝達軸70を介して回転軸25の回転範囲を規制する部材でもある。
【0028】
クリックドラム60は嵌合体に対応する。このクリックドラム60には、ボール摺動部61、フランジ部62、円筒部63、周状突起部64が設けられている。それらの中で、ボール摺動部61は、クラッチボール110が摺動する外周面を有している。このボール摺動部61は、摺動部に対応する。
【0029】
図8に示すように、ボール摺動部61の外周面は、当該クリックドラム60の回転中心からの半径が異なる凹凸形状に設けられている。すなわち、ボール摺動部61には、半径が小さな最小径部61aがあり、その最小径部61aから周方向に進行すると外周面までの徐々に半径が大きくなる凸部61bへと移行する。
【0030】
ただし、ある上述のような最小径部61aと凸部61bという観点ではなく、ある基準半径よりも大きな半径を有する凸部61b、およびその基準半径よりも小さな凹部がボール摺動部61に設けられている、というように捉えても良い。また、ある円筒状の外周面から窪ませるように凹部を形成することによって、ボール摺動部61を形成した、というように捉えても良い。また、最小径部61aは凹部に対応するものとしても良い。
【0031】
図7および
図8に示すように、最小径部61aと凸部61bとは、周方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。それにより、回転軸25の回転を所定の角度毎に位置決めすることを可能としている。
図7および
図8に示す構成では、最小径部61aと凸部61bとは合計8つ設けられていて、45度毎の位置決めを可能としている。
【0032】
クリックドラム60には、上述のボール摺動部61に隣接してフランジ部62が設けられている。フランジ部62は、ボール摺動部61の凸部61bの最大径となる部位よりも大きな半径となる外周面を有している。それにより、フランジ部62は、下ケース80と上ケース90の取り付けの際に形成される内部空間Sを仕切ると共に、後述するフランジ凹部82,92にフランジ部62が位置することで、下ケース80と上ケース90に対してのクリックドラム60の位置が定められる。また、フランジ凹部82,92にフランジ部62が位置することで、フランジ部62はクリックドラム60の軸受としての機能も有する。
【0033】
なお、フランジ部62の外周面は、凸部61bの最大径となる部位よりも小さな半径を有していても良い。
【0034】
図8に示すように、クリックドラム60には円筒部63も設けられている。その円筒部63はボール摺動部61に隣接しているものの、その隣接位置はフランジ部62とは反対側となっている。円筒部63は、クリックドラム60の中で円筒形状に設けられる部分であり、最小径部61aよりも若干小さな半径の外周面を有している。この円筒部63は、その一部が下ケース80と上ケース90の開口部A1(
図6参照)から外部に突出する。また、円筒部63の一部は開口部A1の内壁面と接触し、それにより円筒部63はクリックドラム60の軸受としての機能も有している。
【0035】
ただし、円筒部63は、最小径部61aと同等か、またはそれよりも大きな半径の外周面を有するものとしても良い。
【0036】
円筒部63には、
図8に示すような位置決め凹部63aが設けられている。位置決め凹部63aは、三角形状に円筒部63を切り欠いた部分となっている。クリックドラム60を組み立てる際には、位置決め凹部63aの存在によってクリックドラム60の周方向における位置を確認可能となっている。
【0037】
図6および
図8に示すように、フランジ部62には、第1係合部に対応する周状突起部64が設けられている。周状突起部64は、フランジ部62のうちボール摺動部61とは反対側の面から突出して設けられている。この周状突起部64は、被伝達軸70のドラム側凸部75に衝突する部分である。その衝突および他の部分の衝突により、クリックドラム60および回転軸25の回転範囲が規制される。
【0038】
周状突起部64は、クリックドラム60の周方向の所定角度に亘って所定厚みのブロック状に設けられていて、それにより周状突起部64は弧状に設けられている。ただし、周状突起部64は弧状以外に、たとえば所定角度の一端と他端とを規定するように2つ以上設ける構成を採用しても良く、ピン状等のような他の形態を採用しても良い。また、周状突起部64は90度より小さな角度範囲に亘って設けられている(
図11参照)。具体的には、周状突起部64は、後述するドラム側凸部75と衝突した後に、クリックドラム60を略360度(360度を含む)回転させることが可能となるような角度範囲に亘って設けられている。ただし、かかる角度範囲以外に亘って周状突起部64が設けられていても良い。
【0039】
また、クリックドラム60には、回転軸25を挿通させる挿通孔65が設けられているが、その挿通孔65には嵌合孔65aが設けられている(
図6、
図7参照)。嵌合孔65aは、回転軸25の外周形状に対応した形状に設けられている。本実施の形態では、回転軸25は、六角形の外周形状に設けられているため(
図4および
図5参照)、嵌合孔65aも六角形の孔形状に設けられている(
図7参照)。それにより、クリックドラム60は回転軸25に対して相対的に移動しない状態で、回転軸25と共に回転する。なお、挿通孔65のうち円筒部63側(X2側)の部位は、丸孔形状の円孔65bとなっている。
【0040】
図4に示すように、被伝達軸70もクリックドラム60と同様に回転軸25に挿通されるが、この被伝達軸70は、回転軸25においてクリックドラム60のフランジ部62側(X1側)に隣接して配置される。なお、被伝達軸70は、回転体に対応する。
【0041】
図9に示すように、被伝達軸70は、円筒状の円筒部71を有している。さらに被伝達軸70は、フランジ部72と、ドラム係合部73と、ケース係合部74とが設けられている。フランジ部72は、円筒部71の外周面のうち被伝達軸70の軸線方向(X方向)における途中部分に設けられている。このフランジ部72は、下ケース80と上ケース90とで形成される内部空間Sにおける軸線方向(X方向)の位置を規定する機能を有すると共に、その内部空間Sの内壁面に当接することで、被伝達軸70の軸受としての機能も有する。
図4および
図9に示すように、フランジ部72は、円筒部71の軸線方向(X方向)の中央よりもクリックドラム60側(X2側)に偏った位置に設けられている。
【0042】
被伝達軸70のうちフランジ部72よりもクリックドラム60側(X2側)には、ドラム係合部73が設けられている。ドラム係合部73は、円筒部71のうちフランジ部72よりもクリックドラム60寄りの部分(分割円筒部71a)と、円筒部71から径方向の外側に向かい突出するドラム側凸部75とを有している。
図9に示すように、本実施の形態では、ドラム側凸部75は2つ設けられていて、それら2つのドラム側凸部75の間隔は、周状突起部64と衝突した後に、クリックドラム60を略360度(360度を含む)回転させることが可能となるような間隔に設けられている。
図9では、そのような間隔として、略90度の場合が示されている。ただし、ドラム側凸部75の間隔としては、上述の間隔以外の間隔としても良い。なお、ドラム側凸部75は、第2係合部および第1凸部に対応する。
【0043】
2つのドラム側凸部75のそれぞれは、周状突起部64と衝突する部分である。この衝突によって、被伝達軸70は下ケース80および上ケース90に対して回転させられる。なお、周状突起部64は、分割円筒部71aの外周側のうち2つのドラム側凸部75の間の間隔が広い側(外周遊嵌部76)に位置する。そのため、周状突起部64が外周遊嵌部76においてドラム側凸部75に衝突するまでの間、クリックドラム60は被伝達軸70に対し相対的に回転可能となっている。
【0044】
また、
図9に示すように、被伝達軸70のうちフランジ部72を挟んでクリックドラム60とは反対側(X1側)には、ケース係合部74が設けられている。ケース係合部74は、円筒部71のうちフランジ部72からクリックドラム60とは反対側(X1側)に向かう部分(分割円筒部71b)と、円筒部71から径方向の外側に向かい突出する衝突凸部77とを有している。なお、衝突凸部77は、第3係合部および第2凸部に対応する。
【0045】
衝突凸部77は、フランジ部72を始点として、そのフランジ部72から分割円筒部71bの外周面の途中部分までに亘るように設けられている。そして、分割円筒部71bのうち衝突凸部77の先端部から円筒の端部(X1側の端部)の間の部分は、下ケース80と上ケース90の開口部A2(
図6参照)の内壁面と接触し、それにより円筒部71はフランジ部72と共に被伝達軸70の軸受としての機能も有している。
【0046】
なお、
図9に示すように、本実施の形態では、衝突凸部77は、フランジ部72を挟んで、ドラム側凸部75と同一の直線に沿うように位置している。そのため、2つの衝突凸部77の間隔は、上述のドラム側凸部75と同様であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0047】
次に下ケース80について説明する。
図1および
図2に示すように、下ケース80は、上ケース90と共に、ヘッドボックス20内の一端側(
図1および
図2のX2側)の部位に取り付けられている。この下ケース80は、ケース体の一部に対応し、上ケース90と共にケース体を構成する。また下ケース80は、上ケース90と共に内部空間Sを形成し、その内部空間SのX方向の両端の開口部A1,A2(
図6参照)からは回転軸25が挿通されている。この内部空間Sには、クリックドラム60と被伝達軸70とが配置され、それらは回転軸25の外周側に配置されている。なお、一端側の開口部A1からは円筒部63の一部が突出している。
【0048】
下ケース80には、内部空間Sの略半分の空間(分割空間81)が設けられていて、その分割空間81の開口部A1,A2側では、開口径を狭めてその開口部A1,A2の内壁面で円筒部63,71bを軸支するように壁部が分割空間81の他の部分よりも突出して設けられている。また、分割空間81にはフランジ部62を嵌め込むフランジ凹部82が設けられている。この嵌め込みにより、クリックドラム60のX方向における位置が定められる。
【0049】
また分割空間81のうちクリックドラム60から離れる側(X1側)には、規制突起部83が設けられている。規制突起部83は、第4係合部およびケース側係合部に対応する。この規制突起部83は、衝突凸部77と衝突して被伝達軸70の回転を規制する部分である。そして、かかる被伝達軸70の回転の規制によって、クリックドラム60の回転も規制可能となっている。規制突起部83は、周状突起部64と同様に周状に設けられていて、被伝達軸70を介してクリックドラム60を略360度(360度を含む)回転させることが可能となるような角度範囲に亘って設けられている。なお、
図10に示す構成では、規制突起部83の内周面は開口部A2の内壁面と一体的に設けられている。
【0050】
図10に示すように、内部空間Sにはポケット部84が連通して設けられている。ポケット部84は内部空間Sから円形状に凹んだ形状に設けられた、押しバネ100およびクラッチボール110を収納する部分である。このポケット部84の底部側(Z2側)では、押しバネ100の下端が受け止められ、他方で押しバネ100の上端側(Z1側)にはクラッチボール110が配置される。それにより、クラッチボール110には押しバネ100によって、上方側(ボール摺動部61側;Z1側)に向かう付勢力が与えられる。
【0051】
なお、押しバネ100は、たとえばコイルスプリングであるが、たとえば板バネ、捩じりバネ、ゴム等を始めとして、コイルスプリング以外の付勢手段を用いるようにしても良い。また、クラッチボール110は樹脂を材質とする球状部材であるが、たとえば先端が尖形状となる球状部材以外の部材を用いたり、コロを用いたりしても良い。なお、押しバネ100は、付勢部材に対応する。また、クラッチボール110は、摺動部材に対応する。
【0052】
図7および
図10に示すように、下ケース80のそれぞれの外壁には、それぞれフック85が設けられていて、このフック85を介して下ケース80に上ケース90(ケース体の一部に対応)が取り付けられる。上ケース90にも、内部空間Sの略半分の空間(分割空間91)が設けられている。
図6に示すように、分割空間91の開口部A1,A2側では、開口径を狭めてその開口部A1,A2の内壁面で円筒部63,71bを軸支するように壁部が分割空間91の他の部分よりも突出して設けられている。また、下ケース80と同様に、上ケース90の分割空間91にも、フランジ部62を嵌め込むフランジ凹部92が設けられている。
【0053】
<動作について>
次に、上述のような構成の横型ブラインド10の動作について、以下に説明する。
【0054】
ユーザが操作ポール40を把持し、その操作ポール40を回転させると、その回転力は、ウォームおよびウォームホイールを介して回転軸25に与えられ、回転軸25が回転させられる。その回転軸25には支持ドラム22が取り付けられているので、その回転力は支持ドラム22に与えられる。この支持ドラム22には、ラダーコードR1の上端側(Z1側)が取り付けられているため、操作ポール40の回転により支持ドラム22は回転させられる。そして、回転の向きおよび回転量に応じて、ラダーコードR1を介してスラット30の角度が変化させられる。なお、スラット30は、
図11(A)〜(E)に示すように、全閉となる位置から逆全閉の位置までの間で、角度を変化させることを可能としている。
【0055】
また、操作ポール40を介しての回転軸25の回転により、クリックドラム60も回転軸25と共に一体的に回転させられる。クリックドラム60が回転すると、ボール摺動部61の凸部61bがクラッチボール110を介して押しバネ100による付勢力を受け、それがクリックドラム60の回転抵抗となる。そのため、クリックドラム60に回転軸25等からの回転力が与えられない場合には、クラッチボール110は最小径部61aに当接するようにボール摺動部61に位置し、その状態を保持する。
【0056】
なお、クラッチボール110が凸部61bを乗り越える場合には、押しバネ100の付勢力により回転軸25をいずれかの向きに回転させる力が及ぼされると共に、その乗り越えに際してクリック音が発生する。このクリック音は、たとえばクラッチボール110がボール摺動部61に衝突することにより発生するが、他の原因によって発生するものであっても良い。かかるクリック音の発生により、ユーザは、スラット30の角度が変化したことを認識可能となっている。なお、クリック音以外にも、クリックの際に押しバネ100によって与えられる感触も生じるが、その感触とクリック音とを含めて、クリック感と称呼するようにしても良い。
【0057】
このような回転軸25の回転を継続させると、クリックドラム60の周状突起部64の端部に、被伝達軸70の一方のドラム側凸部75が衝突し、その衝突後もさらに回転軸25の回転によってクリックドラム60が回転すると、そのクリックドラム60の回転に伴って被伝達軸70が回転させられる。この回転が継続すると、被伝達軸70の他方の衝突凸部77が規制突起部83に衝突する。この衝突以後、被伝達軸70は回転を継続することが不可能となる。
【0058】
なお、回転軸25が逆方向に回転する場合も、その動作は、上述と同様である。
【0059】
以上のような、クリックドラム60が回転する場合の被伝達軸70と規制突起部83との位置関係を、
図11に示す。
図11では、上段はドラム係合部73の側面断面図を示し、中段はケース係合部74と下ケース80の側面断面図を示し、下段はスラット30の向きを示している。以下では、
図11(A)において下方のドラム側凸部75をドラム側凸部75a、上方のドラム側凸部75をドラム側凸部75bとする。また
図11(A)において下方の衝突凸部77を衝突凸部77a、上方の衝突凸部77を衝突凸部77bとする。
【0060】
図11(A)に示すとき、スラット30は、その幅方向が上下方向(Z方向)に沿う全閉位置にあり、そのとき被伝達軸70の衝突凸部77aは規制突起部83に衝突している。またこのとき、さらに回転軸25をスラット30が
図11(B)に向かうのとは逆側(反時計回り)に回転させると、ドラム側凸部75bには周状突起部64が衝突する状態となる。ただし、その逆側へ向けた回転を緩めると、ドラム側凸部75bは周状突起部64に対して若干の隙間を有した位置に留まるか、または周状突起部64に衝突した状態を維持する。
【0061】
この
図11(A)において時計回りに90度回転軸25を回転させると、クラッチボール110は凸部61bを乗り越えてクリック感を生じさせた後に、
図11(B)に示す位置に位置する状態となる。このとき、スラット30は全閉から全開に向かって45度回転した状態となっている。またこのとき、周状突起部64はドラム側凸部75bから離れるため、クリックドラム60は回転軸25と共に回転させられるものの、被伝達軸70は回転せずに
図11(A)と同じ回転位置を保持する状態となる。
【0062】
さらに
図11(B)において時計回りに90度回転軸25を回転させると、クラッチボール110は凸部61bを乗り越えてクリック感を生じさせた後に、
図11(C)に示す位置に位置する状態となる。このとき、スラット30は全開(水平)となる位置に位置している。なお、
図11(B)から
図11(C)に移行する過程では、周状突起部64はドラム側凸部75a,75bに衝突しないため、クリックドラム60が回転しても被伝達軸70は回転せずに
図11(A)と同じ回転位置を保持する状態となる。ただし、
図11(C)に示す状態のときには、ドラム側凸部75aは周状突起部64に対して若干の隙間を有した位置に留まるか、または周状突起部64に衝突した状態を維持する。
【0063】
図11(C)においてさらに時計回りに90度回転軸25を回転させると、クラッチボール110は凸部61bを乗り越えてクリック感を生じさせた後に、
図11(D)に示す位置に位置する状態となる。このとき、スラット30はさらに45度回転させられる(逆45度の位置に位置する状態となる)。また、
図11(C)から
図11(D)に移行する際には、ドラム側凸部75aと周状突起部64との間の衝突により、被伝達軸70は同じく時計回りに90度回転させられる。
【0064】
図11(D)において時計回りに90度回転軸25を回転させると、クラッチボール110は凸部61bを乗り越えてクリック感を生じさせた後に、
図11(E)に示す位置に位置する状態となる。このとき、スラット30はさらに45度回転させられて、幅方向が鉛直に沿う全閉位置にある。ただし、この全閉位置は、
図11(A)に示す全閉位置とは180度異なる位置であるため、以後の説明では、
図11(E)に示すスラット30の位置を逆全閉位置と称呼する。また、
図11(D)から
図11(E)に移行する場合も、ドラム側凸部75aと周状突起部64との間の衝突により、被伝達軸70は時計回りに90度回転させられる。
【0065】
なお、
図11(E)に示す状態からさらに時計回りに回転軸25を回転させようとする場合、衝突凸部77bは規制突起部83に衝突するので、それ以上回転しない。それによって、クリックドラム60および回転軸25も、これ以上は回転しない状態となる。
【0066】
以上のように、回転軸25およびクリックドラム60は、
図11(A)から
図11(E)に示すまでの間である360度回転させることを可能としている。
【0067】
<効果>
以上のような構成の横型ブラインド10によると、従来の特許文献1のように、ボール収納部にボールが位置し、このボールを利用して回転軸の回転規制を行うものではなく、被伝達軸70の衝突凸部77が下ケース80の規制突起部83に衝突することにより、回転軸25の回転規制を行うものとなっている。そのため、特許文献1のように、円形中空部の内壁面と突起との間の隙間が大きい場合や、突起とボール収納部との間の隙間が大きい場合のようにボールが噛んでしまい、回転に支障が生じるのを防止可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、回転軸25と一体的に回転するクリックドラム60の回転規制を直接行うものではなく、回転軸25に対して一体的には回転しない被伝達軸70を介在させ、その被伝達軸70の回転規制によってクリックドラム60および回転軸25の回転規制を行う構成となっている。そのため、回転軸25の回転可能な範囲として、被伝達軸70がないとした場合にクリックドラム60が下ケース80に対して回転可能な範囲に加えて、被伝達軸70が下ケース80に対して回転可能な範囲が加算される状態となる。そのため、回転軸25の回転が許容される角度範囲を大きくすることが可能となる。
【0069】
特に、本実施の形態では、以下のような構成を採用している。すなわち、クリックドラム60には周状突起部64が設けられ、被伝達軸70にはドラム側凸部75および衝突凸部77が設けられ、下ケース80には規制突起部83が設けられている。そして、回転軸25の回転によって被伝達軸70に対してクリックドラム60が相対的に回転する場合に、周状突起部64はドラム側凸部75と衝突可能に設けられていて、その衝突後にクリックドラム60は被伝達軸70と共に回転する。ただし、被伝達軸70の衝突凸部77が規制突起部83と衝突した場合には、規制突起部83と干渉する向きへの被伝達軸70の回転が規制される。このような構成を採用することにより、回転軸25の回転規制は行うものの、該回転軸25の回転が許容される角度範囲を大きくすることが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態では、クリックドラム60には、ボール摺動部61が設けられ、このボール摺動部61には、最小径部61aおよび凸部61bが設けられている。さらに、ボール摺動部61には押しバネ100によってクラッチボール110が押し付けられている。このため、回転軸25を回転させて、クラッチボール110が凸部61bを乗り越える際に、クリック音を伴うクリック感を生じさせることができ、そのクリック感の発生により、ユーザは、スラット30の角度が変化したことを認識可能となる。
【0071】
ここで、クリック感を発生させる手段としては、特許文献2に示す構成のように、延長部の薄壁部分に突起を設け、その突起を円形開口の凹凸部に押し当てる方式を採用することも可能であるが、このような構成では、長期に亘って使用するうちに薄壁部分が劣化してしまい、薄壁部分によって生じるクリック感が低下する虞がある。そのため、所望のクリック感が得られなくなることによって、位置決めの機能が低下する虞がある。
【0072】
しかしながら、本実施の形態では、クリック感を発生させる手段として、ボール摺動部61に対して押しバネ100によってクラッチボール110を押し付ける方式を用いている。このため、薄壁部分の劣化のような問題は生じなく、長期に亘って良好なクリック感を得ることが可能となる。また、ボール摺動部61に対して押しバネ100によってクラッチボール110を押し付けることによる位置決め機能においても、上述の劣化の問題はないため、長期に亘って良好な位置決め機能を奏させることが可能となる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、複数の凸部61bの中には、衝突凸部77が規制突起部83と衝突して、回転軸25の回転位置が規制される直前に、クラッチボール110が乗り越えてクリック感を生じさせるものがある。このため、ユーザは、回転軸25の回転可能な範囲の終端を認識することが可能となり、無理に回転軸25を回転させる等の不具合が生じるのを防止可能となる。
【0074】
また、本実施の形態では、複数の最小径部61aの中には、スラット30が全開位置となる際にクラッチボール110が位置するものと、スラット30が
図11(A)に示すような全閉位置となる際にクラッチボール110が位置するものと、スラット30が
図11(E)に示すような全閉位置(逆全閉位置)となる際にクラッチボール110が位置するものとが存在している。このため、回転軸25の回転終端における位置決め(位置保持)を良好に行わせることが可能となる。
【0075】
さらに、本実施の形態では、クリックドラム60には周状突起部64が設けられ、下ケース80には規制突起部83が設けられている。さらに、被伝達軸70には、周状突起部64と衝突するドラム側凸部75と、規制突起部83と衝突する衝突凸部77とが設けられている。そのため、回転軸25の回転に伴ってクリックドラム60を所定だけ回転させると、周状突起部64とドラム側凸部75とが衝突し、その衝突により被伝達軸70を回転させることが可能となる。このとき、周状突起部64とドラム側凸部75とが衝突するまでには所定の角度範囲だけ回転軸25を回転させることが可能であるため、回転軸25の回転が許容される角度範囲を大きくすることが可能となる。また、周状突起部64とドラム側凸部75、および衝突凸部77と規制突起部83との間の衝突により、回転軸25の回転規制を確実に行うことが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態では、クラッチボール110は、下ケース80のポケット部84に収納されているが、このクラッチボール110はクリックドラム60の回転に伴ってボール摺動部61へ摺動しながらポケット部84の内部を移動する。加えて、クラッチボール110は、ポケット部84の内部でクリックドラム60の径方向に移動する。この場合には、クラッチボール110がクリックドラム60の回転中心に接離する方向に移動することになるため、クリックドラム60の正転および逆転のいずれの場合でも、クリックドラム60の回転に伴うクラッチボール110の摺動性は同様となり、いずれの回転でも同様のクリック感を得ることが可能となる。
【0077】
なお、クラッチボール110が上下方向(Z方向;ラダーコードR1を張設した際に複数のスラット30が並ぶ方向)に移動する場合には、クラッチボール110が幅方向(Y方向)に移動する場合と比較して、ヘッドボックス20の幅をコンパクトにすることが可能となる。すなわち、本実施の形態の横型ブラインド10では、幅方向(Y方向)の寸法が増大するのを抑えながら、回転軸25の回転が許容される角度範囲を大きくすることが可能となっている。
【0078】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る横型ブラインド10について、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態における横型ブラインド10は、クリックユニット50A以外は、上述の第1の実施の形態における横型ブラインド10と同様の構成を有している。したがって、以下の説明では、クリックユニット50Aに関して説明し、その他の部分の説明は省略する。なお、本実施の形態においては、クリックユニット50A以外の部分については、上述の第1の実施の形態の各部分と同様の符号を用いて説明する。
【0079】
図12に示すように、本実施の形態においては、クリックユニット50Aを構成するクリックドラム60Aの構成が、上述した第1の実施の形態におけるクリックドラム60と異なっている。
図13に示すように、本実施の形態では、クリックドラム60Aのボール摺動部61Aには、2つの凸部61bが設けられている。そして、2つの凸部61bの間には、2つの最小径部61aが存在している。ただし、2つの最小径部61aのうち、一方の最小径部61a1の周長は短く、他方の最小径部61a2の周長は長く設けられている。
【0080】
ここで、他方の最小径部61a2にクラッチボール110が位置しているときには、回転軸25は回転終端には至らずに、回転力の付与に応じて回転可能となっている。しかしながら、他方の最小径部61a2から凸部61bを乗り越えて(このときクリック感が生じる)、一方の最小径部61a1にクラッチボール110が位置するときには、回転軸25は回転終端に至り、それ以上の回転は規制される。
【0081】
すなわち、凸部61bは、クリック感の発生によって、回転軸25の回転終端に至ったことを知らせる機能を有している。ただし、他方の最小径部61a2にクラッチボール110が位置する場合には、当該クラッチボール110の位置は定められず、かかる他方の最小径部61a2の周長の範囲内で、クラッチボール110は自由に摺動することが可能となっている。
【0082】
このような構成のクリックユニット50Aを有する横型ブラインド10においては、上述の第1の実施の形態における横型ブラインド10と同様に、クリックドラム60Aおよび被伝達軸70を介して、回転軸25の所定角度以上の回転を規制することが可能となる。また、回転軸25の回転可能な範囲として、クリックドラム60Aが回転可能な範囲に加えて、被伝達軸70が回転可能な範囲が加算される状態となるため、回転軸25の回転が許容される角度範囲を大きくすることが可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、他方の最小径部61a2の周長の範囲内でクラッチボール110は自由に摺動できるため、その周長の範囲内ではスラット30の角度を自由に変更することが可能となる。
【0084】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0085】
上述の各実施の形態においては、被伝達軸70は1つのみ設けられる構成を採用している。しかしながら、被伝達軸を2つ以上用いて、クリックユニットを構成するようにしても良い。ただし、このような被伝達軸を2つ以上用いる構成を採用する場合においては、中間位置に位置する被伝達軸の構成を若干変更する必要がある。すなわち、
図14に示すように、クリックドラム60と被伝達軸70の間や、被伝達軸70同士の間といった中間位置に位置する被伝達軸70B(中間被伝達軸70B)においては、フランジ部72からクリックドラム60側(X2側)の円筒部71にはドラム側凸部75が設けられる。しかし、衝突凸部77は設けられない。その代り、フランジ部72からは、周状突起部64と同様の突起部78が、クリックドラム60とは反対側(X1側)に向かい延伸するように構成する。
【0086】
ここで、突起部78は弧状以外に、たとえば所定角度の一端と他端とを規定するように2つ以上設ける構成を採用しても良く、ピン状等のような他の形態を採用しても良い。また、突起部78は90度より小さな角度範囲に亘って設けられている。具体的には、突起部78は、ドラム側凸部75と衝突した後にクリックドラム60を略360度(360度を含む)回転させることが可能となるような角度範囲に亘って設けられている。ただし、かかる角度範囲以外に亘って突起部78が設けられていても良い。
【0087】
このような構成の中間被伝達軸70Bを用いる場合、その用いる個数分だけ、回転軸25の回転角度を大きくすることが可能となる。
【0088】
また、上述の各実施の形態では、クリックユニット50は、被伝達軸70を有するものとしている。しかしながら、クリックユニット50としては、被伝達軸70を備えない構成を採用しても良い。このように構成する場合には、被伝達軸70が存在しないため、回転軸25の回転角度を大きくすることはできない。しかしながら、クリックドラム60のボール摺動部61にクラッチボール110が押しバネ100の付勢力を受けた状態で当接するため、クラッチボール110が凸部61bを乗り越えた際に、クリック感を良好に生じさせることが可能となる。
【0089】
また、上述の各実施の形態では、日射遮蔽装置として、横型ブラインド10に本発明が適用された場合について説明している。しかしながら、本発明が適用される日射遮蔽装置は、横型ブラインド10には限られず、縦型ブラインドに本発明を適用するようにしても良い。
【0090】
また、上述の各実施の形態では、回転軸25の回転終端に対応する凸部61bが、それぞれの回転方向に存在している。すなわち、回転軸25を時計回りに回転させた場合の回転終端に対応する凸部61bと、回転軸25を反時計回りに回転させた場合の回転終端に対応する凸部61bとがクリックドラム60のボール摺動部61には設けられている。しかしながら、時計回りと反時計回りのいずれか一方のみの回転終端に対応する凸部61bを設けるように構成しても良い。
【0091】
また、上述の第1の実施の形態では、クリックドラム60の周方向に沿って8つの最小径部61aと凸部61bとが設けられている。しかしながら、最小径部61aと凸部61bの個数は8つに限られるものではない。たとえば、スラット30が全開位置となる際にクラッチボール110が位置決め保持される最小径部61aと、スラット30が全閉位置(第1の全開位置)となる際にクラッチボール110が位置決め保持される最小径部61aと、スラット30が逆全閉となる位置(第2の全開位置)となる際にクラッチボール110が位置決め保持される最小径部61aとが存在し、それらに対応する凸部61bが設けられる構成を採用しても良い。
【0092】
また、本実施の形態では、クリックユニット50には、クリック感を生じさせるためのクリックドラム60が設けられている。しかしながら、クリックドラムに凸部61bが存在する構成とはしないと共に、押しバネ100およびクラッチボール110を省略する構成を採用するようにしても良い。このように構成する場合には、回転軸25を回転させてもクリック感が得られないため、回転終端に回転軸25が位置しているのか、またはスラット30が所定の傾斜角度となっているのかは不明である。しかしながら、回転軸25の回転範囲を大きくすることは可能である。