(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーマルプリンタは、店舗内等に置かれて使用される場合が多いが、設置スペースの縮小化や、使用者による使い易さの向上化のために、プリンタサイズをできるだけ小型にすることが望まれている。通常、記録紙の排出方向に合わせて筐体の設計がなされているが、例えば前方排出及び上方排出の両方に対応するような設計を行った場合には、排出方向を一方向に制限したものよりも筐体のサイズが大きくなってしまう。そのため、このような場合には特に小型化が望まれている。
【0005】
しかしながら、プリンタの設計を行う場合、印字ヘッド及びプラテンローラ等で構成されるプリンタ機構を筐体内に配置することに加え、筐体に対するプリンタカバーの連結機構や、プリンタカバーのロック及びその解除を行うためのカバー開閉操作機構や、プリンタの操作を行うための操作ユニット等を限られた空間しながらそれぞれ設ける必要がある。そのため、筐体の内部に収納されるロール紙の周囲の空間が上記した各種部材で埋められてしまい易く、例えば一旦収納したロール紙を容易に取り出すことが難しい等の扱い難さが生じていた(使い易さが損なわれていた)。
【0006】
特に、上記特許文献1に記載のプリンタの場合には、電源ボタンや紙送りボタン等の各種操作ボタン、及びこの操作ボタンの押下によって各種の制御を行う制御基板等を含む操作ユニットが筐体側に設けられている。そのため、この操作ユニットの取り付けによって、筐体内におけるロール紙の周囲のスペースが潰されてしまい、収納したロール紙を取り出し難くなってしまう。
また、上記特許文献2に記載のプリンタの場合には、操作ボタンがプリンタカバーに設けられているものの、制御基板等については依然として筐体側に設けられている。そのため、やはりこの制御基板の取り付けによって筐体内におけるロール紙の周囲のスペースが潰されてしまい、収納したロール紙を取り出し難くなってしまう。
【0007】
加えて、上記特許文献1、2に記載のプリンタのいずれにおいても、プリンタカバーのロックを解除する解除レバーが該プリンタカバーに取り付けられている。そのため、筐体側には、カバー開閉操作機構のうちプリンタカバーのロックを行うロック機構を取り付ける必要があるが、上記解除レバーとリンクさせる必要があるので、プリンタカバー側に近い位置に配置する必要がある。
従って、上記ロック機構の取り付けによって筐体内におけるロール紙の周囲のスペースがさらに潰されてしまい、収納したロール紙をさらに取り出し難くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化を図りつつ、収納したロール紙の周囲に開放空間を確保して、ロール紙の容易な取り出しや交換を行うことができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、ロール紙が収納されるロール紙収納部を有する筐体と、前記筐体に開閉可能に連結され、閉操作時にロックされるプリンタカバーと、前記ロール紙から引き出された記録紙を紙送りするプラテンローラを具備するプラテンユニットと、印字ヘッドを具備し、前記プラテンユニットに対して相対的に分離可能に組み合わされるヘッドユニットと、を備え、前記プリンタカバーには、前記プラテンユニット及び前記ヘッドユニットのうちの一方のユニットが取り付けられると共に、操作ボタン及び制御基板を有する操作ユニットが設けられ、前記筐体には、前記プラテンユニット及び前記ヘッドユニットのうちの他方のユニットが取り付けられると共に、ロック位置とリリース位置との間で往復移動可能とされ、リリース位置への移動時に前記プリンタカバーのロックを解除する解除操作部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプリンタによれば、操作ボタン及び制御基板を有する操作ユニットがプリンタカバー側に設けられているので、この操作ユニットの取り付けのために必要とされるスペースを筐体側に確保する必要がない。従って、その分、筐体を小型化できると共にロール紙収納部の周囲に開放空間を確保することができる。
【0011】
それに加え、プリンタカバーのロックを解除する解除操作部材を筐体側に設けているので、解除レバーがプリンタカバー側に設けられていた従来の場合に比べて、その取り付け位置に自由度があり、ロール紙収納部との関係を考慮しながら配置することが可能である。つまり、プリンタカバー側に解除レバーが設けられた従来のものでは、まず解除レバーの位置を決め、その後、解除レバーの位置に対応するように筐体側にロック機構を設ける必要があるので、設計の制約を受け易い。しかしながら、筐体側に解除操作部材を設ける場合には、まずこの解除操作部材の位置を決めることが可能であるので、上述したように、ロール紙収納部との関係を考慮しながら設計することが可能である。従って、この点においても、ロール紙収納部の周囲に開放空間を確保し易い。
以上のことにより、小型化を図りつつ、収納したロール紙の周囲に開放空間を確保することができ、この開放空間を利用してロール紙の容易な取り出しや交換を行うことができる。
【0012】
(2)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記一方のユニットには、前記プリンタカバーの閉操作時に、前記他方のユニットに形成された被係合部に離脱自在に係合されるロック部材が設けられ、前記他方のユニットには、前記解除操作部材に連動して作動すると共に、前記リリース位置に前記解除操作部材が移動した際に、前記ロック部材を前記被係合部から離脱させて、前記一方のユニットと前記他方のユニットとの組み合わせを解除するユニット解除機構が設けられていることが好ましい。
【0013】
この場合には、プリンタカバーを閉操作することで、プラテンユニットとヘッドユニットとが組み合わされると共にロック部材が被係合部に係合してロックされる。これにより、プラテンユニットとヘッドユニットとが一体的にロック(連結)される。そして、この両ユニットのロックによってプラテンカバーがロックされる。
また、筐体に設けられた解除操作部材をロック位置からリリース位置に移動させることで、ユニット解除機構を連動して作動させることができ、ロック部材を被係合部から離脱させることができる。これにより、プラテンユニットとヘッドユニットとの組み合わせを解除して分離可能状態にでき、プリンタカバーの開操作を行うことができる。
特に、プラテンユニットとヘッドユニットとの組み合わせ時のロックを利用して、プリンタカバーのロックを行うことができるので、プリンタカバーのロック機構を別個に設ける必要がないうえ、筐体側に設ける解除操作部材の構成を簡略化し易い。従って、収納したロール紙の周囲に開放空間をさらに確保し易く、ロール紙の容易な取り出しや交換をさらに容易に行うことができる。
【0014】
(3)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記プラテンユニットは、前記プリンタカバーに設けられ、前記ヘッドユニットは、前記筐体に設けられると共に、前記プラテンローラを回転させるプラテン用モータを備え、前記プラテンローラは、前記ヘッドユニットと前記プラテンユニットとの組み合わせ時、前記プラテン用モータからの回転力を受けて回転することが好ましい。
【0015】
この場合には、ヘッドユニットにプラテン用モータが設けられているので、ヘッドユニットとは別個に、筐体側にプラテンローラを回転させるための機構を設ける必要がない。従って、その分、ロール紙収納部の周囲に開放空間をより広範囲に確保し易い。
【0016】
(4)上記本発明に係るプリンタにおいて、固定刃及び可動刃を有し、前記記録紙を切断するカッター機構を備え、前記固定刃及び可動刃のうちの一方が前記ヘッドユニットに設けられ、他方が前記プラテンユニットに設けられていることが好ましい。
【0017】
この場合には、カッター機構を利用して印字された記録紙を切断することができ、プリンタとしての付加価値を高めることができる。さらに、ヘッドユニット及びプラテンユニットとは別個に、プリンタカバーや筐体にカッター機構を設ける必要がないので、ロール紙収納部の周囲に開放空間をさらに広範囲に確保し易い。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るプリンタによれば、小型化を図りつつ、収納したロール紙の周囲に開放空間を確保して、ロール紙の容易な取り出しや交換を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、POSレジシステム等に用いられるサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
【0021】
<サーマルプリンタの構成>
図1〜
図3に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、ロール紙Rから引き出された記録紙P(感熱紙)に印刷を行って、該記録紙Pをチケットやレシート等として利用することができるプリンタであって、ケーシング(筐体)2と、プリンタカバー3と、プラテンユニット4と、ヘッドユニット5と、を備えている。
【0022】
なお、本実施形態では、
図1及び
図2に示す状態において、紙面に対して左下側を前方(矢印FW方向)、右上側を後方(矢印BA方向)、上側を上方、下側を下方とし、記録紙Pは上方に紙送りされるものとする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。そのため、各図によっては各方向が逆になる場合もある。
【0023】
(ケーシング)
ケーシング2は、プラスチックや金属材料或いはこれらを適宜組み合わせることで、上方に開口したキューブ状に形成されており、基本骨格となるフレーム体と、該フレーム体を覆う外装カバーとで構成されている。
【0024】
ケーシング2の内部には、ロール紙Rが収納されるロール紙収納部10が形成されており、プリンタカバー3を開けることでロール紙収納部10が開放される。また、ケーシング2の上面2aには、プリンタカバー3が回転軸部11を介して連結されており、この回転軸部11回りに略90度程度の角度範囲で開閉可能に連結されている。そして、上述したように、プリンタカバー3を開操作したときにロール紙収納部10が開放され、例えばロール紙Rを内部に投入することが可能とされる。つまり、ロール紙Rはいわゆるドロップイン方式で収納される。
【0025】
また、プリンタカバー3を閉操作した際、該プリンタカバー3の先端とケーシング2との間に若干の隙間があくように設計されている(
図1参照)。そして、記録紙Pは、この隙間を利用してケーシング2の内部から上方に引き出されて排出される。よって、この隙間は記録紙Pの排出口12として機能する。
なお、プリンタカバー3は、閉操作された際にロックされる。具体的には、プラテンユニット4とヘッドユニット5とが組み合わさって一体的に連結されることでロックがなされる。
【0026】
また、本実施形態のケーシング2には、上面2aと前面2bと一方の側面2cとが交差する角部に、プリンタカバー3のロックを解除して、該プリンタカバー3の開操作を行う際の解除レバー(解除操作部材)20が設けられている。この解除レバー20に関しては、後に詳細に説明する。
【0027】
上記ロール紙収納部10は、
図3及び
図4に示すように、一対の側壁部30と、ロール紙Rの外周面に接し、該ロール紙Rを下方から支持する支持壁部31と、で構成される。なお、これら一対の側壁部30及び支持壁部31は、ケーシング2を構成するフレーム体の一部である。
一対の側壁部30は、収納されるロール紙Rを挟んで左右方向L3に対向配置されており、互いの離間距離はロール紙Rの横幅よりも若干大きい。これにより、収納されたロール紙Rは、両端面が一対の側壁部30における内壁面によって支持され、左右方向L3の位置が規制される。
【0028】
支持壁部31は、
図4に示すように、ロール紙Rの回転方向上流側に位置する第1支持面31aと、ロール紙Rの回転方向下流側に位置する第2支持面31bと、これら第1支持面31aと第2支持面31bとの間に位置し、両者に連設された底部31cと、で縦断面視V字状に形成されている。これにより、ロール紙Rは、使用に伴って直径が縮径するにしたがって底部31cに向けて下方移動しながら、安定に支持される。
このように、ロール紙収納部10に収納されたロール紙Rは、直径に関係なく一対の側壁部30と支持壁部31とで、左右方向L3にがたつくことなく安定に回転可能に支持される。
【0029】
ところで、本実施形態の一対の側壁部30には、
図3及び
図4に示すように、ケーシング2の内側及び上方にそれぞれ開放された切欠き部32がそれぞれ形成されている。図示の例では、切欠き部32は、前後方向L1の長さが上方から下方に向かうにしたがって狭くなるような側面視円弧状に形成されている。
従って、ロール紙収納部10内にロール紙Rを収納した際、切欠き部32によって画成された空間を通じて、ロール紙Rの両端面を露出させることができる(
図3参照)。よって、この空間を利用して、例えばロール紙Rの外周面を触ることなく、ロール紙Rの両端面を把持しながら該ロール紙Rをロール紙収納部10内から取り出すことが可能とされる。なお、切欠き部32によって画成された上記空間は、ロール紙アクセス空間Cとして機能する。
【0030】
また、一対の側壁部30間には、テンションローラ35(
図3参照)が左右方向L3に架け渡されるように設けられている。このテンションローラ35は、図示しないばね等の付勢部材によってロール紙Rから引き出された記録紙Pを付勢してテンションを付与している。これにより、記録紙Pは、弛みが生じ難い状態でロール紙Rから引き出されてプラテンユニット4とヘッドユニット5との間に供給される。
【0031】
(プリンタカバー)
また、本実施形態のプリンタカバー3には、
図1、
図2及び
図5に示すように、操作ボタン41及び制御基板42を有する操作ユニット40が設けられている。
操作ボタン41は、例えば電源ボタンや紙送りボタンであり、プリンタカバー3の外面に押下可能に露出した状態で配置されている。図示の例では、解除レバー20に対して前後方向L1に一列に並ぶように配置されている。
【0032】
制御基板42は、図示しない複数の電子部品や、操作ボタン41の押下によってONとなるスイッチ43(例えばメンブレンスイッチ等)が実装されて、サーマルプリンタ1の作動を総合的に制御する基板であり、プリンタカバー3の内面側であって、操作ボタン41の裏側に位置するように配置されている。
なお、この制御基板42は、プリンタカバー3の内面側に取り付けられた保護カバー44によって覆われている。
【0033】
(プラテンユニット)
図3及び
図4に示すように、上記プラテンユニット4は、プラテンローラ50及び固定刃51が主に組み込まれたユニットであり、プリンタカバー3に設けられている。具体的には、プラテンユニット4は、取付板52を介してプリンタカバー3の先端側の内面に取り付けられている。そのため、プラテンユニット4は、プリンタカバー3の開閉動作に伴って移動し、ヘッドユニット5に対して相対的に組み合わせ可能とされている。
【0034】
ここで、プラテンユニット4の構成について、詳細に説明する。
図6及び
図7に示すように、プラテンユニット4は、記録紙Pを送り出すプラテンローラ50と、プラテンローラ50に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配置された固定刃51と、プラテンローラ50を回転可能に支持する金属製のプラテンフレーム53と、プラテンフレーム53の上方を覆う金属性の取付板52と、を備えている。
また、本実施形態のプラテンユニット4は、必要に応じて固定刃51と後述する可動刃61との接触圧を解除させる押下部を有する連動機構54を備えている。
【0035】
プラテンローラ50は、図示しない軸体の両端に取り付けられた軸受50aを介してプラテンフレーム53に支持されている。この際、プラテンローラ50の一端側には、軸受50aを挟んで従動歯車50bが軸体に連結した状態で固定されている。
【0036】
このプラテンローラ50は、プリンタカバー3を閉じてプラテンユニット4とヘッドユニット5とが組み合わされたときに、記録紙Pを間に挟んだ状態でヘッドユニット5側の後述するサーマルヘッド60に対して外周面が接触するように配置されている。また、このとき従動歯車50bは、ヘッドユニット5側の後述するプラテン用歯車列90に噛合して、回転力が伝達される。
これによりプラテンローラ50は、プリンタカバー3を閉じた後、ヘッドユニット5側から伝達された回転力によって回転し、記録紙Pを排出口12からケーシング2の外部に送り出すことが可能とされている。
【0037】
固定刃51は、記録紙Pの幅方向に延びた板状の刃であり、プリンタカバー3を閉じたときに、刃先51aが送り出された記録紙Pに対向するように固定刃ホルダ55に支持されている。この際、固定刃51は、刃先51a側が上下(可動刃61のスライド方向に略直交する方向)するように揺動自在に支持されている。
なお、固定刃51は、固定刃ホルダ55と該固定刃51との間に設けられた図示しない付勢部材によって、刃先51a側が常時持ち上がるように付勢されている。
【0038】
固定刃51と取付板52との間には、回転自在なシャフト56が固定刃51の根元側を該固定刃51に沿って配置されている。このシャフト56は、プラテンフレーム53に固定された軸受部材53aによって回転自在に支持されている。そして、シャフト56の一端側には、押下部57と扇形歯車58とが連結されており、他端側には押下部57だけが連結されている。
【0039】
扇形歯車58は、プリンタカバー3を閉めたときに、ヘッドユニット5側に設けられた後述するレバー部63の内歯車63aに噛合する。そのため、レバー部63の押し下げ操作に連動して、扇形歯車58及びシャフト56が回転するように構成されている。
押下部57は、プラテンフレーム53の内側で且つ固定刃51の両端に位置するようにシャフト56に連結されている。そして、押下部57は、扇形歯車58の回転に伴ってシャフト56と共に回転し、固定刃51の刃先51a側を下方に向けて押し下げる。これにより固定刃51は、可動刃61から離間するように移動して、両刃51、61の接触圧を解除させる働きを行う。
即ち、これら2つの押下部57、扇形歯車58及びシャフト56は、レバー部63の操作に連動して固定刃51を可動刃61から離間する方向に移動させ、両刃51、61の接触圧を解除する連動機構54として機能する。
【0040】
(ヘッドユニット)
図3及び
図4に示すように、上記ヘッドユニット5は、サーマルヘッド(印字ヘッド)60及び可動刃61が主に組み込まれたユニットであり、ケーシング2に設けられている。具体的には、ヘッドユニット5は、ロール紙収納部10における第2支持面31bの上方であって、ケーシング2の前面2bの内側に連設された内部プレート2d上に固定されている。
【0041】
ここで、ヘッドユニット5の構成について詳細に説明する。
図8及び
図9に示すように、ヘッドユニット5は、固定刃51に対してスライド移動する可動刃61と、該可動刃61を駆動させる可動刃駆動系62と、押し下げ操作可能なレバー部63と、レバー部63の押し下げ動作に連動して後述する駆動歯車72とラック71との機械的な繋がりを切り離す解除機構64と、引き出された記録紙Pに記録を行うサーマルヘッド60と、これら各構成品を支持し、内部プレート2d上に固定される金属性の支持フレーム65と、可動刃61の上方を覆う金属製のカバープレート66と、を備えている。
【0042】
可動刃61は、プリンタカバー3が閉じてヘッドユニット5とプラテンユニット4とが組み合わさったときに、固定刃51に対向する位置に配置されている。この可動刃61は、
図10に示すように、根元から刃先61aまでの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成された上面視略V字型の板状の刃である。そして、可動刃61は、固定刃51に向けてスライドさせられたときに、該固定刃51の上面に乗り上がった状態となり、固定刃51との間で記録紙Pを挟み込んで切断できるようになっている。
なお、固定刃51及び可動刃61はカッター機構70として機能する。また、固定刃51は上方に付勢されているので、可動刃61のスライド時、両刃51、61は適度な接触圧で接する。
【0043】
図9及び
図11に示すように、可動刃駆動系62は、可動刃61に取り付けられたラック71と、該ラック71に噛合され、正逆回転可能なカッター用モータM1に連結された駆動歯車72の回転に伴って回転し、ラック71を
図9に示す矢印方向に直線移動させる第1歯車73及び第3歯車74(
図9及び
図11では不図示)と、を備えている。
【0044】
駆動歯車72は、カッター用モータM1の駆動軸に連結されており、ヘッドユニット5の一方の側面側に配置されている。駆動歯車72の上方には、上記第1歯車73がラック71に噛合された状態で配置されている。第1歯車73と駆動歯車72との間には、両歯車72、73に噛合する第2歯車75が配置されている。
よって、カッター用モータM1の駆動により駆動歯車72が回転すると、第2歯車75を介して第1歯車73に回転力が伝わり、ラック71が直線移動する。つまり、第1歯車73は、駆動歯車72の回転に伴って回転し、ラック71を直線移動させる。
【0045】
また、第1歯車73は、ヘッドユニット5の他方の側面側まで伸びたシャフト76に連結されている。そして、
図12に示すように、ヘッドユニット5の他方の側面側において、ラック71に噛合された上記第3歯車74がシャフト76に連結されている。よって、第1歯車73の回転に伴って、第3歯車74も回転し、ラック71を同様に直線移動させる。
【0046】
ラック71は、
図9に示すように可動刃61の根元側に固定された支持プレート77の両端に取り付けられている。そのため、第1歯車73及び第3歯車74が回転すると、2つのラック71が同じ方向に同時に移動し、結果的に可動刃61をスライド移動させる。
【0047】
第1歯車73の内側には、
図11に示すように、平面視略C型に形成された揺動プレート80が配置されている。
この揺動プレート80は、第1歯車73に連結されているシャフト76を中心に左右に揺動可能とされている。そして、この揺動プレート80に第2歯車75が回転支持されている。そのため、揺動プレート80が揺動した場合には、
図13に示すように、第2歯車75がシャフト76を中心として揺動する。
【0048】
また、
図9及び
図11に示すように、揺動プレート80の端部には、ヘッドユニット5の外方に向けて突出したピン81が取り付けられている。そして、
図13に示すように、このピン81を駆動歯車72に接近させるように揺動プレート80を動かすと第2歯車75が駆動歯車72から離間する方向に移動し、
図11に示すように、ピン81を駆動歯車72から離間するように揺動プレート80を動かすと第2歯車75が駆動歯車72に接近する方向に移動するように設計されている。
【0049】
ここで、駆動歯車72の下方には、
図9及び
図11に示すように固定ピン82が形成されている。この固定ピン82には、ねじりバネ83が固定されている。
ねじりバネ83の一端側は、支持フレーム65に固定され、他端側は上記ピン81を駆動歯車72から離間する方向に常時付勢している。そのため、上述したように、通常時には第2歯車75と駆動歯車72とが常に噛合した状態とされている。
【0050】
また、揺動プレート80に隣接して上記レバー部63が配置されている。
このレバー部63は、回転支持されており、下方に向けて押し下げ操作可能とされている。レバー部63の内側には内歯車63aが形成されており、プリンタカバー3閉じて、ヘッドユニット5とプラテンユニット4とを組み合わせたときに、プラテンユニット4側の扇形歯車58に一部が噛合する。よって、上述したようにレバー部63の押し下げ動作に連動して連動機構54を作動させることが可能となる。
【0051】
また、レバー部63と揺動プレート80との間には、扇形に形成された解除プレート85が配置されており、支持フレーム65に回転支持されている。解除プレート85には、解除歯車85aが取り付けられており、レバー部63の内歯車63aの一部に噛合されている。そのため、
図13に示すように、レバー部63を押し下げると、解除プレート85は駆動歯車72側に回転する。
【0052】
解除プレート85の側面には、ねじりバネ83で付勢されている揺動プレート80のピン81が当接した状態となっている。そのため、解除プレート85が駆動歯車72側に回転すると、ねじりバネ83の付勢力に抗してピン81を駆動歯車72側に押し、揺動プレート80を動かすことが可能とされる。
その結果、第2歯車75を駆動歯車72から離間させて両者の噛合状態を解除し、第2歯車75、第1歯車73及びラック71をフリーな状態にすることが可能となる。
【0053】
つまり、ラック71と駆動歯車72との機械的な繋がりを切り離し、ラック71の移動規制を解除してフリーな状態にすることが可能とされる。即ち、上述した揺動プレート80、ピン81、ねじりバネ83及び解除プレート85は、上記解除機構64として機能する。
【0054】
また、
図12に示すように、ヘッドユニット5の他方の側面には、第3歯車74に噛合するピニオン86が支持フレーム65に回転支持されている。このピニオン86にはコイルバネ87が組み込まれている。
このコイルバネ87は、第3歯車74が回転して可動刃61を固定刃51に向けてスライド移動させたときに圧縮され、第3歯車74を逆回転させるようにピニオン86を回転付勢している。但し、通常時には、第3歯車74は駆動歯車72に係わっているので、コイルバネ87の力では逆回転することはない。
【0055】
しかしながら、解除機構64によってラック71の移動規制が解除されてフリーな状態となったときには、コイルバネ87の力によって第3歯車74は逆回転する。その結果、可動刃61を自動的に元の位置に戻すことが可能とされる。
つまり、このコイルバネ87は、ラック71の移動規制が解除されたときに、可動刃61を自動的に元の位置に復帰させる付勢部材として機能する。
【0056】
また、ピニオン86の下方には、ヘッドユニット5とプラテンユニット4とを組み合わせたときに、プラテンユニット4側の従動歯車50bに噛合するプラテン用歯車列90と、プラテン用モータM2の駆動軸に連結されると共にプラテン用歯車列90に噛合されるプラテン用駆動歯車91とが、設けられている。
プラテン用歯車列90は、プラテン用駆動歯車91に噛合する第4歯車92と、該第4歯車92に噛合する第5歯車93と、該第5歯車93及び従動歯車50bに噛合される第6歯車94とで構成されている。
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット4とを組み合わせたときに、プラテン用モータM2の回転力をプラテンローラ50に伝達でき、該プラテンローラ50を回転させることが可能となる。
【0057】
サーマルヘッド60は、
図4及び
図8に示すように、記録紙Pの幅方向に延びるように形成されていると共に、プリンタカバー3が閉じたときにプラテンローラ50に対向する位置に配置されている。また、このサーマルヘッド60は、記録紙Pの幅方向に沿ってライン状に並んだ複数の発熱素子60aを有し、コイルバネ60b(
図4参照)によってプラテンローラ50側に付勢されている。これにより、プラテンローラ50によって送り出される記録紙Pに対してサーマルヘッド60を確実に押し付けることができ、良好な印刷が可能とされている。
【0058】
図8に示すように、サーマルヘッド60の下方は、記録紙Pを滑らかに引き込めるように湾曲形成されたガイド台100が形成されている。このガイド台100の上方には、プラテンローラ50の軸受50aが嵌合される嵌合孔101が形成されている。つまり、プリンタカバー3を閉めると、プラテンローラ50の軸受50aがこの嵌合孔101に嵌り込み、これによってヘッドユニット5とプラテンユニット4とが組み合わさる構成とされている。
【0059】
ところで、
図8に示すように、プラテンユニット4には、上記嵌合孔101の下方に形成されたロック溝(被係合部)102に離脱自在に嵌り込んで係合されるロックシャフト(ロック部材)103が取り付けられている。
このロックシャフト103は、プラテンローラ50よりも下方に位置する部分に該プラテンローラ50と平行に配置されたシャフトであり、両ユニット4、5を組み合わせたときにロック溝102内に係合してロックされる。これにより、このロックを解かない限り、両ユニット4、5は分離不能とされている。
【0060】
上記ロックの解除は、上記したレバー部63及び解除プレート85を利用して行える。
先に述べたように、解除プレート85は、
図13に示すように、レバー部63の押し下げに伴って駆動歯車72側に回転することで、ねじりバネ83の付勢力に抗してピン81を駆動歯車72側に押し、揺動プレート80を動かす役割を担っているが、レバー部63のさらなる押し下げに伴って、図示しない爪部によりロックシャフト103をロック溝102内から離脱させる役割も担っている。
つまり、本実施形態のレバー部63及び解除プレート85は、ロックシャフト103をロック溝102から離脱させて、ヘッドユニット5とプラテンローラ50との組み合わせを解除するユニット解除機構105として機能する。
【0061】
(解除レバー)
次に、ケーシング2に設けられた解除レバー20について詳細に説明する。
図2、
図3及び
図5に示すように、解除レバー20は、ロック位置P1とリリース位置P2との間を回動操作可能(往復移動可能)とされ、リリース位置P2に移動した際にプリンタカバー3のロックを解除するレバーであって、レバー本体21と、操作突起22と、連結体23と、を備えている。
【0062】
レバー本体21は、ケーシング2の上面2aよりも一段低い窪み面2eのさらに下方に配置されており、フレーム体に設けられて左右方向L3に延びる連結軸部24に対して回動自在に連結されている。これにより、解除レバー20は、連結軸部24回りに上下に回動自在とされる。
【0063】
操作突起22は、レバー本体21から上方に向けて突出するように形成され、上記窪み面2eよりも上方に突出している。また、操作突起22の上端部は、ケーシング2の上面2aと略面一となるように平端に形成されると共に、ケーシング2の後方から前方に向かって突出する操作突片22aを有している。これにより、操作突片22aに例えば指先を引っ掛けながら、解除レバー20を前方側から後方側に向けて回動操作することが可能とされる。
【0064】
なお、レバー本体21は、図示しないばね等の付勢部材により、操作突起22を前方側に移動させるような付勢力を受けている。このとき、
図5に示すように、操作突起22は、上方に起立した位置でケーシング2における窪み面2eの開口縁に接触してその位置で位置決めされる。これにより、解除レバー20は、通常時において操作突起22が上方に起立した状態で姿勢保持される。なお、この位置が上記ロック位置P1とされる。
【0065】
一方、ロック位置P1から操作突起22を後方(
図5に示す矢印方向)側に移動させるように解除レバー20を回動させた際、レバー本体21が一方の側壁部30の上端面に当接して、それ以上の回動が規制されて位置決めされる。これにより、解除レバー20は、操作突起22が後傾した状態で姿勢保持される。そして、この位置が上記リリース位置P2とされる。
このように、解除レバー20は、ロック位置P1とリリース位置P2との間で回動操作可能とされている。
【0066】
上記連結体23は、
図3、
図14及び
図15に示すように、レバー本体21からケーシング2の内部側に向けて突出した断面U字状の部材であって、ヘッドユニット5におけるレバー部63に連結されている。具体的には、レバー部63の先端部は連結体23の内部に挿入されて嵌合されている。
これにより、レバー部63は解除レバー20の回動操作に連動して操作される。具体的には、
図14に示すように、解除レバー20をロック位置P1からリリース位置P2に回動操作することで、レバー部63を押し下げ操作することが可能とされる。これにより、ロックシャフト103をロック溝102から離脱させて、ヘッドユニット5とプラテンユニット4との組み合わせを解除することが可能となる。
【0067】
<サーマルプリンタの作用>
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作用について説明する。
まず、
図2及び
図3に示すように、ロール紙Rをケーシング2のロール紙収納部10内に投入してセットした後、プリンタカバー3を閉操作して完全に閉じると、プラテンローラ50の軸受50aがヘッドユニット5側の嵌合孔101に嵌まり込んで嵌合されると共に、ロックシャフト103がヘッドユニット5側のロック溝102に嵌ってロックされた状態となる。
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット4とが互いに組み合わさってロックされた状態となると共に、該ロックによってケーシング2に対するプリンタカバー3のロックも行われる。
【0068】
なお、両ユニット4、5のロックによって、記録紙Pを間に挟んだ状態でサーマルヘッド60とプラテンローラ50とは所定の圧力で圧接される。また、記録紙Pは、可動刃61と固定刃51との間を通過した後、
図1に示すように、排出口12からケーシング2の外側に引き出された状態となる。
【0069】
次に、記録紙Pに対して各種情報の印刷を行う。
この場合には、
図12に示すように、プラテン用モータM2を駆動してプラテン用駆動歯車91を回転させる。すると、この回転力は、プラテン用歯車列90を介して従動歯車50bに伝わるのでプラテンローラ50が回転する。これにより、プラテンローラ50の外周面とサーマルヘッド60との間に挟まれた記録紙Pをケーシング2の上方に向けて紙送りすることができる。
また、これと同時にサーマルヘッド60に印字データに応じた制御信号を出力して発熱素子60aが適宜発熱させる。これにより、紙送りされる記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。その後、印刷がなされた記録紙Pは、固定刃51と可動刃61との間を通過する。
【0070】
次に、記録紙Pを切断する場合には、カッター用モータM1を駆動させて駆動歯車72を回転させる。すると、
図11に示すようにこの回転力は、第2歯車75を介して第1歯車73に伝わり、該第1歯車73を回転させると同時に、シャフト76を介して第1歯車73に連結されている第3歯車74を回転させる。これにより、第1歯車73及び第3歯車74にそれぞれ噛合されているラック71を直線移動させることができ、可動刃61を固定刃51に向けてスライド移動させることができる。
その結果、
図10に示すように、記録紙Pを固定刃51と可動刃61との間で挟み込んで切断することができ、切断した記録紙Pを例えばレシートやチケット等として使用することができる。
【0071】
次に、プリンタカバー3を開ける(オープン)場合について説明する。
この場合には、
図5に示すように、解除レバー20における操作突片22aに例えば指先を引っ掛けながら、後方側に移動させる。これにより、解除レバー20をロック位置P1からリリース位置P2に移動させることができ、この解除レバー20に連動させて、ヘッドユニット5のレバー部63を押し下げ操作することができる。
【0072】
その結果、
図13に示すように、解除プレート85を回転させることができ、プラテンユニット4側のロックシャフト103をヘッドユニット5側のロック溝102内から離脱させ、プラテンユニット4とヘッドユニット5との組み合わせを解除して分離可能状態にできる。これにより、プリンタカバー3の開操作を行うことができる。その後、プリンタカバー3を開けることで、ロール紙収納部10内からロール紙Rを取り出したり、交換を行ったりすることが可能である。
【0073】
特に、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、操作ボタン41及び制御基板42を有する操作ユニット40がプリンタカバー3側に設けられているので、この操作ユニット40の取り付けのために必要とされるスペースをケーシング2側に確保する必要がない。従って、その分、ケーシング2を小型化できると共に、ロール紙収納部10の周囲に開放空間であるロール紙アクセス空間Cを確保できる。
加えて、プリンタカバー3のロックを解除する解除レバー20をケーシング2側に設けているので、解除レバー20がプリンタカバー3側に設けられていた従来の場合に比べて、その取り付け位置に自由度があり、ロール紙収納部10との関係を考慮しながら配置することが可能である。この点においても、上記ロール紙アクセス空間Cを確保できる。
従って、プリンタの小型化を図りつつ、ロール紙アクセス空間Cを利用してロール紙Rの容易な取り出しや交換を行うことができる。
【0074】
また、プラテンユニット4とヘッドユニット5との組み合わせのロックを利用して、プリンタカバー3のロックを行うことができるので、プリンタカバー3のロック機構を別個に設ける必要がないうえ、ケーシング2側に設ける解除レバー20の構成を簡略化し易い。従って、収納したロール紙Rの周囲にロール紙アクセス空間Cを確保し易い。
さらに、ヘッドユニット5に、プラテン用モータM2及びカッター用モータM1を設けているので、ヘッドユニット5やプラテンユニット4とは別個に、ケーシング2側にこれらモータを設ける必要性がない。従って、その分、ロール紙アクセス空間Cをより広範囲に確保し易い。
【0075】
これらの結果、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、
図3に示すように、ロール紙Rの両端面を露出させるほどの大きなロール紙アクセス空間Cを確保でき、例えばロール紙Rの外周面を触ることなくロール紙Rの取出しや交換を容易に行うことができる。特に、ロール紙Rの直径が小さい場合には、割引券やロッタリーチケットなど金銭的付加価値のある印刷が紙の裏面などに施されたロール紙Rについては紙の保管のため一時的にプリンタから紙を取り出すことがある。このようなアプリケーションにおいてはロール紙Rの直径に関わらずロール紙Rの交換性が求められるので、特に有効であるといえる。
【0076】
なお、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、さらに下記の作用効果を奏効することができる。
即ち、使用中に固定刃51と可動刃61との間に記録紙Pが咬み込んでしまった場合であっても、プリンタカバー3の開操作に伴って、この咬み込みを解消することができる。この点について説明する。
【0077】
解除レバー20をロック位置P1からリリース位置P2に移動させ、ヘッドユニット5のレバー部63を押し下げ操作すると、
図13に示すように、プラテンユニット4側の扇形歯車58が回転する。扇形歯車58が回転すると、これに伴ってシャフト56及び2つの押下部57が回転し、該押下部57によって固定刃51の刃先51a側を下方に向けて押し下げる。これにより、固定刃51を可動刃61から離間する方向に強制的に移動させることができ、咬み合いの原因となっていた可動刃61と固定刃51との接触圧を解除することができる。
【0078】
一方、レバー部63を押し下げ操作による扇形歯車58の回転と同時に、解除歯車85aも回転するので、解除プレート85が駆動歯車72側に回転して、揺動プレート80のピン81をねじりバネ83に抗する力で駆動歯車72側に移動させる。すると、揺動プレート80が回転して第2歯車75を駆動歯車72から離間させる。つまり、解除機構64がレバー部63の押し下げ動作に連動して、駆動歯車72に噛合されている第2歯車75を駆動歯車72から離間させるように移動させる。これにより、
図13に示すように、ラック71と駆動歯車72との機械的な繋がりが切り離されてラック71の移動規制が解除され、フリーな状態となる。
【0079】
従って、カッター用モータM1との係わりがなくなるので、第1歯車73及び第3歯車74をカッター用モータM1に関係なく動かすことが可能となる。そのため、コイルバネ87による回転付勢力によりピニオン86が回転し、第3歯車74が逆回転する。この第3歯車74は、シャフト76を介して第1歯車73に連結されているので、結果的に第1歯車73も同時に逆回転させる。このとき、上述したようにプラテンユニット4側の連動機構54によって固定刃51と可動刃61との接触圧が既に解除されているので、第1歯車73及び第3歯車74の逆回転によってラック71を逆方向に移動させ、可動刃61を元の位置に復帰させることができる。
【0080】
このように、レバー部63の押し下げ操作によって、固定刃51と可動刃61との接触圧を解除できると共に、可動刃61を元の位置に復帰させることができる。その後、さらなるレバー部63の押し下げ操作によって、プリンタカバー3を開けることができる。従って、記録紙Pの咬み込みが生じたとしても、この咬み込みを解除しながら、プリンタカバー3の開操作を一連の流れで行うことができる。
【0081】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、サーマルプリンタに限定されるものではない。
また、記録紙Pが上方に排出される場合を例に挙げたが、プリンタの設置姿勢は任意に変更可能である。例えば、
図16及び
図17に示すように、ケーシング2を横向きに設置し、記録紙Pが前方に排出されるように使用しても構わない。
このように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、設置姿勢に特に制約はなく、記録紙Pの排出方向に応じて適宜選択して構わない。
【0083】
また、上記実施形態では、プリンタカバー3側にプラテンユニット4を設け、ケーシング2側にヘッドユニット5を設けたが、この場合に限定されるものではなく、プリンタカバー3側にヘッドユニット5を設け、ケーシング2側にプラテンユニット4を設けても構わない。
【0084】
また、上記実施形態では、固定刃51及び可動刃61からなるカッター機構70を具備した構成としたが、これらカッター機構70は必須な構成ではなく、設けなくてもプリンタとしての機能を発揮することができる。但し、プリンタとしての機能性及び付加価値を高めることができるので、カッター機構70を具備することが好ましい。
特に、カッター機構70を具備したとしても、プリンタカバー3の開閉操作に伴って固定刃51と可動刃61とを分離可能に組み合わせることができるので、両刃51、61のメンテナンス等を容易に行い易い。
なお、上記実施形態では、ヘッドユニット5が可動刃61を具備し、プラテンユニット4が固定刃51を具備した構成としたが、この場合に限定されるものではなく、ヘッドユニット5が固定刃51を具備し、プラテンユニット4が可動刃61を具備する構成としても構わない。
【0085】
また、上記実施形態では、解除レバー20をロック位置P1とリリース位置P2との間で回動させたが、この回動操作式に限定されるものではなく、例えば押し下げ操作やスライド操作によって、解除レバー20を操作するように構成しても良い。
いずれにしても、ロック位置P1とリリース位置P2との間で往復移動させることで、プリンタカバー3のロックを解除できれば良い。
【0086】
また、上記実施形態における操作ユニット40において、操作ボタン41により制御基板42に実装されたスイッチ43を直接押下する構成としたが、中継部品等を介してスイッチ43を押下する構成であっても良い。
【0087】
また、上記実施形態におけるサーマルプリンタ1において、例えば下記の各機能をさらに付加させても良い。
(1)ロール紙Rの残量を検出し、検出した残量を確認するための機構。
(2)記録紙Pに印刷等によって予め明示されたマーク等の識別を検出する機構。
(3)記録紙Pの搬送負荷を軽減させる機構。
(4)テンションローラ35のような、記録紙Pの弛みを除去する機構。
(5)記録紙Pの瞬間的な張りに対するダンパ機構。
(6)記録紙Pの巻き癖を除去する機構。
(7)プリンタカバー3の急激な開閉動作を規制するためのダンパ機構。