(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、事前に避難経路が確保されていなければ、これらの防災設備が正常に機能しない虞がある。例えば、避難経路上に通行を妨げるような大きな障害物が置かれていたり、防火戸を閉鎖できなくするような障害物が置かれていたりすると、これらの防災設備や避難誘導システムが正常に機能せず、迅速な避難を妨げ、最悪の場合は人命が損なわれることさえあり得る。そのような事態を防止するため、火災等の非常事態が発生する前の平常時に、避難経路を適正に確保しておく必要がある。そして、巡回警備などによって障害物の存在を早期に確認し、避難に支障がある場合は早期に是正する活動が防火管理者等の防災関係者に求められる。
【0006】
このような防火管理の活動は専ら人的活動によっており、迅速な状況把握や対応ができなかった。そこで、このような防火管理の活動を支援するシステムが求められる。
【0007】
この発明は、避難経路上の障害物を平常時に把握し、防災関係者に迅速な対応を促す防災支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)この発明の防災支援システムは、防火対象物である建築物における避難経路上の障害物について、その位置情報を含む障害物情報を収集して送信する障害物情報収集手段と、該障害物情報収集手段から前記障害物情報を受信する通信手段と、前記障害物情報を受信したときに当該障害物情報に基づいて障害の程度を判定して判定結果を出力する判定手段と、前記判定結果と前記障害物情報とを関連づけて障害物警告情報として蓄える記憶手段と、前記記憶手段に蓄えた前記障害物警告情報に基づいて、障害の程度が大きい位置または障害物の発生頻度が高い位置を要注意位置として、定期的に要注意情報を作成する情報処理手段と、前記要注意情報を所定の時刻に防災関係者が所持する端末へ配信する通知手段と、を具備することを特徴とする。
(2)また、この発明の防災支援システムは、防火対象物である建築物における避難経路上の障害物について、その位置情報を含む障害物情報を収集して送信する障害物情報収集手段と、該障害物情報収集手段から前記障害物情報を受信する通信手段と、前記障害物情報を受信したときに当該障害物情報に基づいて障害の程度を判定して判定結果を出力する判定手段と、前記判定結果と前記障害物情報とを関連づけて障害物警告情報として蓄える記憶手段と、前記記憶手段に蓄えた前記障害物警告情報に基づいて、定期的に要注意情報を作成する情報処理手段と、前記要注意情報を所定の時刻に防災関係者が所持する端末へ配信する通知手段と、を具備し、前記情報処理手段
は、要注意位置を重点警備する巡回経路を生成し、前記通知手段は、前記巡回経路を巡回警備開始前に巡回警備者へ配信し、前記端末は、前記巡回警備者が所持し、前記通知手段からの前記巡回経路を受信して表示することを特徴とする。
(3)また、この発明の防災支援システムは、防火対象物である建築物における避難経路上の障害物について、その位置情報を含む障害物情報を収集して送信する障害物情報収集手段と、該障害物情報収集手段から前記障害物情報を受信する通信手段と、前記障害物情報を受信したときに当該障害物情報に基づいて障害の程度を判定して判定結果を出力する判定手段と、前記判定結果と前記障害物情報とを関連づけて障害物警告情報として蓄える記憶手段と、前記記憶手段に蓄えた前記障害物警告情報に基づいて、定期的に要注意情報を作成する情報処理手段と、前記要注意情報を所定の時刻に防災関係者が所持する端末へ配信する通知手段と、を具備し、前記障害物情報収集手段は、避難経路上を撮像するように設置した監視カメラを有し、該監視カメラの出力を画像処理することによって障害物を検出したとき、あるいは、前記監視カメラの監視範囲を監視して障害物の有無を感知するように設置した障害物センサが作動したとき、障害物の画像データを含む障害物情報を送出し、前記判定手段は、障害物が検出されたときに前記障害物情報に含まれる画像データを自動的に映出する表示手段と、前記情報処理手段に判定結果を入力する入力手段と、を有し、前記表示手段に映出された画像に基づいて、防災関係者が障害の程度を判断し、前記入力手段を介して判断結果を入力することを特徴とする。
(
4)また、この発明の防災支援システムは、防火対象物である建築物における避難経路上の障害物について、その位置情報と発見時刻とを含む障害物情報を収集して送信する障害物情報収集手段と、該障害物情報収集手段から前記障害物情報を受信する通信手段と、前記障害物情報を受信したときに障害物の位置と大きさに基づいて障害の程度を判定して判定結果を出力する判定手段と、前記判定結果と前記障害物情報とを関連づけて蓄える記憶手段と、前記記憶手段に蓄えた前記障害物情報と前記判定結果とに基づいて、障害の程度が大きい位置と頻繁に障害物が置かれる位置とを要注意位置とし、該要注意位置に障害物が置かれる時間帯の傾向を抽出し、定期的に要注意情報としてのレポートを作成する情報処理手段と、前記要注意情報を所定の時刻に防災関係者へ配信する通知手段と、前記防災関係者が所持し、前記通知手段からの前記要注意情報を受信して表示する端末と、を具備することを特徴とする。
(
5)また、この発明の防災支援システムは、前記情報処理手段は、前記要注意位置を重点警備する巡回経路を生成し、前記通知手段は、前記巡回経路を巡回警備開始前に巡回警備者へ配信し、前記通知手段からの前記巡回経路を受信して表示する携帯式の巡回警備端末を前記巡回警備者が所持することを特徴とする。
(
6)また、この発明の防災支援システムは、前記通信手段が前記障害物情報を受信したとき、前記情報処理手段は前記防災関係者に通知する障害物警告情報を生成し、前記通知手段を介して、前記障害物警告情報を前記防災関係者へ通知することを特徴とする。
(
7)また、この発明の防災支援システムは、前記障害物情報収集手段は、避難経路上を撮像するように設置した監視カメラを有し、該監視カメラの出力を画像処理によって障害物を検出したとき、あるいは、前記監視カメラの監視範囲を監視して障害物の有無を感知するように設置した障害物センサが作動したとき、障害物の位置情報と時刻と画像データを障害物情報として送出することを特徴とする。
(
8)また、この発明の防災支援システムは、前記判定手段は、前記情報処理手段が画像処理によって障害物の位置と大きさとを検出し、自動閉鎖装置の閉鎖を阻害する障害物、または、避難経路を完全に閉塞する障害物の阻害の程度を最も大きく判定し、避難経路に占める障害物の大きさによって阻害の程度を判定することを特徴とする。
(
9)また、この発明の防災支援システムは、前記判定手段は、障害物が検出されたときに前記障害物情報に含まれる画像データを自動的に映出する表示手段と、前記情報処理手段に判定結果を入力する入力手段と、を有し、前記表示手段に映出された画像を監視する防災関係者が、自動閉鎖装置の閉鎖を阻害する障害物、または、避難経路を完全に閉塞する障害物の阻害の程度を最も大きく判定し、避難経路に占める障害物の大きさによって阻害の程度を判定し、前記入力手段を介して判断結果を入力することを特徴とする
(
10)また、この発明の防災支援システムは、前記情報処理手段は、火災発生時に自動火災報知設備からの火災信号を受信したとき、前記記憶手段に蓄えた前記障害物情報の直近の情報を避難困難情報として、前記通知手段を介して前記防災関係者に通知することを特徴とする。
(
11)また、この発明の防災支援システムは、前記端末は、ネットワークを介して前記通知手段と通信する携帯端末であることを特徴とする。
(
12)また、この発明の防災支援システムは、前記巡回警備端末は、位置情報を検出する位置検出手段と撮像手段とを有し、前記巡回警備者が障害物を発見して該障害物を撮像すると、前記障害物の画像データとともに撮像時刻と前記位置情報とを送信する障害物情報収集手段であることを特徴とする。
(
13)また、この発明の防災支援システムは、前記情報処理手段は、前記防災関係者の管理区域と権限に応じて前記障害物警告情報を加工し、少なくとも前記位置情報に基づいて該当する区域を管理する防災関係者に対する前記障害物警告情報は、前記障害物に対する対応指示を含んで対応結果の報告を求めるものであり、前記端末を介して入力された対応結果を前記障害物警告情報と関連付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
(
14)また、この発明の防災支援システムは、前記障害物情報収集手段は、避難経路上を監視するように設置した人感センサをさらに有し、前記人感センサが人体を検出している間の画像処理を休止し、前記人感センサが人体を検出しなくなったとき、人体検出直前の画像と人体検出しなくなった直後の画像とを画像処理によって比較し、障害物の有無を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、上記(1)〜(
14)によれば、避難経路上の障害物を平常時に把握し防災関係者に迅速な対応を促す防災支援システムの提供を可能とする。
【0010】
また、この発明は、上記(
10)によれば、火災発生時の避難に支障のある障害物の情報を避難困難情報として防災関係者に通知するので、避難誘導を適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
図1〜8に基づいて、本実施の形態に係る防災支援システムについて説明する。まず、
図1〜3に基づいて、本実施の形態に係る防災支援システムの構成を説明する。
【0013】
図1は、本発明の防災支援システムが備えられた防火対象物である建築物を表し、その避難経路には、避難経路上の障害物について、その位置情報と発見時刻とを含む障害物情報を収集して送信する障害物情報収集手段として、監視カメラ5と障害物センサ6が設けられる。
【0014】
監視カメラ5は避難経路を監視し、画像受信装置4に接続されて、これに撮像した画像信号を送出する。監視カメラ5と画像受信装置4との間は信号ケーブルで接続されるが、両者に無線通信装置を設けて無線信号で通信するようにしてもよい。
【0015】
障害物センサ6は、監視カメラ5の視野を監視し、障害物監視装置3に接続されて、障害物を検出したときに障害物検出信号を障害物監視装置3へ送出する。障害物センサ6と障害物監視装置3との間は信号ケーブルで接続されるが、両者に無線通信装置を設けて無線信号で通信するようにしてもよい。
【0016】
これら、監視カメラ5、画像受信装置4、障害物センサ6、障害物監視装置3とで、障害物情報収集手段を構成している。このうち、画像受信装置4、障害物監視装置3は、避難経路に設ける必要はなく、例えば防災センターに設けられる。
【0017】
支援サーバー1は、防災センターなどに配設され、障害物監視装置3、表示手段である表示部2、と接続され、障害物監視装置3が送出する障害物情報を受信する通信手段である信号受信部1aで受信する。情報処理部1bは、信号受信部1aを介して障害物情報を受信したときに障害物の位置と大きさに基づいて障害の程度を判定して判定結果を出力する判定手段である。また、情報処理部1bは、後述する要注意情報を生成する情報処理手段でもある。前記判定結果は、情報処理部1bを介してこれに接続された表示部2に表示される。記憶部1cは、前記判定結果と受信した障害物情報とを関連付けて蓄える記憶手段である。また、支援サーバー1の情報処理部1bは入力手段である操作部Kと接続され、人為的に情報を入力することができるようになっている。また、情報処理部1bはネットワークNに接続された通信部1dに接続され、ネットワークNを介して、巡回警備端末M1、端末M2〜Mn(nは自然数)と通信できるようになっている。この通信部1dは、巡回警備端末M1、端末M2〜Mnへ、障害物情報、後述する障害物警告情報、後述する要注意情報、を配信する通知手段であり、巡回警備端末M1からの障害物情報を受信する通信手段でもある。なお、ネットワークNは、公衆ネットワークであってもよいし、建物内のみでネットワークを構築する専用のLANであってもよい。また、ネットワークNはケーブルによる有線通信を行うものであってもよいが、巡回警備端末M1、端末M2〜Mnを移動自由とする無線通信を行うことが望ましい。(
図2参照)。
【0018】
巡回警備端末M1は、巡回警備を行う者が所持して巡回警備を行うときに使用し、支援サーバー1の情報処理部1bが生成する巡回経路を受信して表示する端末装置である。また、端末M2〜Mn(nは自然数)は、防火管理者等の防災関係者が所持し、支援サーバー1から通信部1dとネットワークNとを介して障害物情報、後述する障害物警告情報、要注意情報等の情報を受信して表示する端末装置である。常に所持して移動先でも情報提供を受けられるようにすること、巡回警備のために移動自在とすること、とを鑑みると、無線通信でネットワークNと接続することが望ましい(
図1参照)。
【0019】
巡回警備端末M1と端末M2〜Mnとは、共通のハードウェアとすることができるので、その場合のM1、M2〜Mnを以下、端末Mと総称する。
【0020】
図3は、巡回警備端末M1と防災関係者が情報提供を受けるための端末M2〜Mnを共通のハードウェアである端末Mで構成した一例である。例えば、これらは市販のスマートフォンと称される通信端末を以て構成することができる。
【0021】
端末Mは、ネットワークNと接続して通信する通信手段としての通信部Mb、GPSなどを利用した位置検出手段である位置検出部Mcを有する。この位置検出手段としては、端末Mとの通信が成立しているネットワークNにおける直近のアクセスポイントを利用してもよい。また、端末Mは、文字や画像を表示する表示手段としての表示部Md、情報を入力するマン・マシン・インターフェースである入力手段としての操作部Me、画像撮像手段であるカメラ装置Mdを有する。なお、表示部Mdと操作部Meはタッチパネルを用いて一体化してもよい。そして、端末Mは、上記Mb〜Mdに接続されて、端末M全体の制御を行う制御手段である制御部Maを有する(
図3参照)。
【0022】
次に、
図4〜8を参照して、本実施の形態に係る防災支援システムの動作について説明する。
【0023】
避難経路を監視する監視カメラ5の視野の障害物を検出するように設置した障害物センサ6が障害物X2(
図1参照)を検出すると、障害物センサ6は障害物検出信号を障害物監視装置3へ送出する(S101)。この障害物検出信号を受信した障害物監視装置3は、障害物検出信号を送出した障害物センサ6に該当する監視カメラ5の画像データを、画像受信装置4を介して受信して支援サーバー1に送出し、これを受信した支援サーバーは、画像データとともに位置情報と発見時刻とを障害物情報として、記憶部1cに蓄える(S102)。
【0024】
なお、障害
物センサ6の監視範囲に人が立ち入ることにより障害物として検出してしまうような誤検出が発生するような場合は、障害センサ
物6の監視範囲を監視する図示しない人感センサを設け、この人感センサが人の存在を検出している間は、一時的に、障害物センサ6の障害物検出信号を無視するようにしたり、障害物検出に伴う以下の警告レベル判定動作を一時休止したりするようにしてもよい。そして、人が立ち退いたときに通常の障害物検出動作に戻す。
【0025】
次に、
図5を参照して、支援サーバー1が受信した障害物情報に基づいて障害物X2による障害の程度を判定し、判定した障害の程度に応じて警告レベルを設定する動作について説明する。換言すれば、支援サーバー1は、障害の程度を判定する判定手段でもあり、支援サーバー1の情報処理部1bがこの処理を行う。ここでは、説明の便宜上、3段階の警告レベル(大、中、小)を設定するものとするが、これに限定されるものではなく、障害の程度で如何に警告するかの運用に応じて適宜決定される。
【0026】
まず、支援サーバー1は、受信した障害物情報に含まれる位置情報より、障害物X2の位置が、防火戸、防火シャッタ、防煙シャッタ、等の自動閉鎖装置の閉鎖を阻害する位置であるか否かを判定する(S201)。このような場所に障害物が置かれると、火災発生時に連動して閉鎖制御される自動閉鎖装置が閉鎖することができず、火災が拡大したり、火災による煙が流入したりして、避難経路が利用できなくなる虞があるので、障害の程度は大きく、警告レベルは最大の「大」に設定される(S202)。
【0027】
上記の判定(S201)において、障害物X2が自動閉鎖装置の閉鎖に支障ない位置にあった場合、支援サーバー1は情報処理部1bで画像処理を行って障害物の大きさを判断し、その大きさによって障害の程度を判定する。例えば、避難経路幅を完全に閉塞するほどの障害物の大きさであれば障害の程度は大きいことは自明であり、避難経路幅に占める障害物X2の幅の割合が大きなほど警告レベルを大きく設定するようにする(S204〜S206)。
【0028】
換言すれば、支援サーバー1の情報処理部1bは、障害物情報を受信したときに障害物の位置と大きさに基づいて障害の程度を判定し、判定結果としての警告レベルを出力する判定手段である。
【0029】
以上のような障害物を検出するため、障害物センサ6と監視カメラ5は、自動閉鎖装置が閉鎖する軌道を監視する位置と、避難経路の通行方向を監視する位置とに設けることが望ましい。
【0030】
次に、ハイリスク時間帯を定め、障害物X2が発見された時刻によるリスクを判定する。なお、ハイリスク時間帯とは、避難経路に障害がある場合に、リスクが高い時間帯を示し、防火対象物である建築物の使われ方によって異なる。例えば、営業時間帯外(例えば夜間)の百貨店では、一般客が建物内にいる可能性が無いので、この時間帯のリスクは小さく、逆に、百貨店の営業時間帯はハイリスク時間帯である。また、ホテルでは、夜間は宿泊客にとってはハイリスク時間帯である。このような観点から、建築物の利用形態に応じてハイリスク時間帯は適宜決定される。
【0031】
そして、障害物X2が発見された時間帯がハイリスク時間帯であるか否かを判定する(S207)。そしてハイリスク時間帯であった場合は、先に判定された警告レベル(S204〜S206)を維持し(S207のYes)、ハイリスク時間帯でなかった場合は(S207のNo)、先に判定された警告レベル(S204〜S206)より警告レベルを1段階減じる(S208)。
【0032】
なお、上記のような警告レベルの調整は一例であり、ハイリスク時間帯であるか否かによって警告レベルを適宜調整するようにすればよい。例えば、障害物X2が自動閉鎖装置の閉鎖に支障がある位置であった場合や、障害物X2がハイリスク時間帯に発見された場合などは、警告レベルを加算するようにしてもよい。
【0033】
以上のようにして、障害物が発見されたとき、支援サーバー1はその障害物に対する警告レベルを判定し、これを該当する障害物情報と関連付けて、障害物警告情報として記憶部1cに記憶する(S209)。
【0034】
次に
図6を参照して、記憶した障害物警告情報に基づいて要注意情報を生成し、防災関係者に通知する動作について説明する。
【0035】
支援サーバー1は、所定期間が経過する毎に、定期的に記憶部1cに蓄えた障害物警告情報を参照して、発生頻度や警告レベルの高い位置を抽出して「要注意情報」を生成し、防災関係者に通知する(S401、S403)。
【0036】
換言すれば、蓄えられた障害物警告情報は、障害物情報と警告レベル判定結果とを関連付けて記憶部1cに記憶したものである。また、支援サーバー1の情報処理部1bは、障害物警告情報に基づいて障害の程度が大きい位置と頻繁に障害物が置かれる位置とを要注意位置とする。そして、支援サーバー1の情報処理部1bは、要注意位置に障害物が置かれる時間帯の傾向を抽出し、定期的に要注意情報としてのレポートを作成する情報処理手段である。
【0037】
要注意情報の通知を行うタイミングは、例えば始業時刻直前などの所定時刻としてもよい。このようにすることにより、該当地区を担当する防災担当者H2(
図1参照)は、現場を確認して是正処置を指示することができ、また、朝礼等で担当地区の関係者に注意喚起を促すことができる。そして、防災関係者への通知が完了したら、防災支援システムの動作は通常の監視状態に戻る(S403の次のステップ)。
【0038】
なお、後述する巡回警備中は、障害物情報を収集中であるので、これが終わるまで要注意情報の生成および通知は保留する(S402)。したがって、要注意情報を生成して防災関係者に通知するタイミングが予め判明している場合は、この時間帯を避けるように巡回警備の時間帯を設定することが望ましい。
【0039】
次に
図7を参照して、障害物を発見したときに直ちに防災関係者に障害物警告情報を通知する動作について説明する。このような動作は、常に人が建物内に滞在しているようなホテルなどでは、迅速な対応を要求される点で重要である。
【0040】
この動作に入る前に、障害物X2の障害の程度に応じて、障害物警告情報は生成されている(S209)。まず、この障害物警告情報すべてとともに対応指示を加えて、通信部1dを介して、該当地区を担当する防災関係者H2(
図1参照)へ通知する(S301)。換言すれば、該当する区域を管理する防災関係者に対する前記障害物警告情報は、前記障害物に対する対応指示を含んで対応結果の報告を求めるものである。
【0041】
続いて、障害物警告情報すべてを通信部1dを介して、防火管理者等の防火管理担当者へ通知し(S302)、さらに、障害物の発生とその位置情報とを通信部1dを介して、障害物警告情報として他の防災関係者H3〜4(
図1参照)に通知する(S303)。
【0042】
これらの通知は連続して行われるので、実質的には同報通知である。そして、防災関係者の立場(担当地区や権限)に応じて、必要な情報を提供し、それぞれの防火管理の役割を果たすことができるように支援するものである。
【0043】
担当する地区の障害物警告情報を受け取った防災関係者H2(
図1参照)は、対応指示に対して、対応するか否かを返信する。例えば、携帯する端末M2(
図1参照)であるスマートフォンのタッチパネル上に映出された「対応可能」、「対応不可」のいずれかのボタンを操作して返信する。
【0044】
障害物警告情報に該当する地区の防災関係者H2から「対応可能」の返信を受け取ったとき(S304)、支援サーバー1は該当地区担当の防災関係者H2からの「対応完了」の返信を待つ(S307の無)。これは地区担当の防災関係者が必ず対応することを前提としているが、地区担当の防災関係者が向かった先に何らかのリスクがある場合は、地区担当の防災関係者の安全確保の意味で、所定時間でタイムアウトし、他の防災関係者を現場に急行させるようにしてもよい。
【0045】
該当地区の防災関係者から「対応完了」の返信を受けたとき、支援サーバー1は、その情報を障害物警告情報と関連付けて記憶部1cに記憶する(S308)。換言すれば、該当地区の防災関係者の所持する端末を介して入力された対応結果は障害物警告情報と関連付けて記憶部1cに記憶される。そして、一連の処理を終了して平常状態に戻る。
【0046】
障害物警告情報に該当する地区の防災関係者H2からの返信が無い場合、支援サーバー1は所定時間が経過するまで待機し(S305のNo)、所定時間が経過したとき(S305のYes)は、対応を行われなかったことを障害物警告情報と関連付けて記憶部1cに記憶し(S306)、一連の処理を終了して平常状態に戻る。ただし、このままでは障害物に対して何ら是正されていないので、ハイリスク時間帯の場合は、防火管理者や警備員等による対応を要する。また、ハイリスク時間帯でなく、対応に猶予時間がある場合は、その間に何らかの対応を行うような運用が必要である。
【0047】
また、該当地区の防災関係者H2が該当地区から遠く離れていて「対応不可」を返信してくる場合もあり得る。また、該当地区の防災関係者H2が不在の場合もあり得る。このような場合に備えて、代替要員を予め選任しておくことが望ましい。そして、端末Mを所持させ、支援サーバー1の記憶部1cに登録しておき、対応できない防災関係者H2の代わりに、障害物警告情報と対応指示を通知するようにしておくことが望ましい(図示せず)。このような運用は、適宜決定される。
【0048】
次に
図8を参照して、巡回警備に関する防災支援システムの動作について説明する。
【0049】
巡回警備者H1(
図1参照)は巡回警備端末M1(
図1参照)を所持し、巡回警備を開始するときに巡回警備端末M1に巡回開始する旨を入力し、これを入力された巡回警備端末M1は、支援サーバー1にその旨を送信する(S501)。
【0050】
ネットワークNと通信部1dを介して、巡回開始の信号を受信した支援サーバー1は、記憶部1cを参照して、要注意情報が存在するか否か、その有無を調べる(S502)。そして、要注意情報がある場合は、支援サーバー1は、要注意情報のある場所を重点的に巡回警備するように、要注意情報のある位置を含む巡回経路を生成し、巡回警備端末M1にその巡回経路を送信して、巡回警備者H1へ巡回経路を指示する(S503)。要注意情報が無い場合は、支援サーバー1は、予め登録しておいた通常の巡回経路を巡回警備者H1へ指示する(S504)。
【0051】
巡回警備者H1は、指示された巡回経路にしたがって巡回警備を行い、避難経路に障害物がないか確認してゆく(S505)。そして、避難経路に障害物X1(
図1参照)を発見した場合、あるいは、障害物と疑われる物X1(
図1参照)を発見した場合(S506の発見した)、巡回者H1は巡回警備端末M1に備わるカメラ装置Mdで対象物X1を撮影し、これを支援サーバー1へ送信する(S507)。このとき、巡回警備端末M1は、備わった位置検出部Mcに基づく位置情報と撮像時刻とを画像データとともに送信する。
【0052】
対象物X1の画像データをネットワークNと通信部1dを介して受信した支援サーバー1は、これを障害物情報として記憶部1cへ記憶する。そして、前記したように障害の程度の判定を行って障害物警告情報を生成し(
図5参照)、これを障害物情報と関連付けて記憶部1cに記憶するとともに、防災関係者への通知を行う(
図7参照)。
【0053】
また、巡回警備者H1が障害物や障害物らしい物を発見しない場合(S506の発見しない)、巡回が終了するまで指示された巡回経路を巡回し(S508のNo)、障害物や障害物らしい物を発見しないで巡回が終了した場合(S508のYes)、巡回終了を巡回警備端末M1に入力し、巡回を終了する(S509)。このとき、巡回警備端末M1は、巡回終了の旨を支援サーバー1へ送信し(S510)、これを受信した支援サーバー1は巡回警備終了を記憶部1cへ記憶し、一連の巡回警備動作を終了する(図示せず)。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る防災支援システムは、実施の形態1と概ね同様であり、その違いは障害物による障害の程度を判定する判定手段のみである。すなわち、実施の形態1の判定手段は
図5に示した動作を、画像処理等を用いて自動的に判定を行うのに対し、本実施の形態の判定手段は
図9に示すように人が障害の程度を判定するものである。
【0054】
本実施の形態に係る防災支援システムの動作は、
図5に記載された実施の形態1の動作に代えて、
図9に記載した動作を適用して説明される。
【0055】
障害物センサ6が障害物X2を検出したときに(S101)、該当する監視カメラ5から支援サーバー1に送出された障害物情報に含まれる障害物X2の画像データ(S102)、あるいは、巡回警備者H1が巡回警備中に発見した障害物あるいは障害物らしい物である対象物X1を巡回警備端末M1のカメラ装置Mdで撮影し、ネットワークNと通信部1dを介して支援サーバー1が受信した障害物情報に含まれる対象物X1の画像データ(S507)は、支援サーバー1の情報処理部1bを介して、例えば防災センターに配設された表示手段である表示部2に自動的に映出されるようにする(S210)。
【0056】
そして、防災センターで監視している防災関係者は、表示部2に映出された画像をみて、障害物であるか否かを判定する(S211)。
【0057】
表示部2に映出された対象物が障害物でないと判定した場合、何もせずに判定処理を終了する(S211のNo)。
【0058】
表示部2に映出された対象物が障害物であると判定した場合(S211のYes)、防災センターで監視している防災関係者、あるいは、防火管理者は、障害の程度を判断し、入力手段である操作部Kを介して判断結果を支援サーバー1に入力する(S212)。なお、判定の基準は
図5に示したように画像処理で行う判定に準ずる。すなわち、自動閉鎖装置の閉鎖を阻害する障害物、または、避難経路を完全に閉塞する障害物の阻害の程度を最も大きく判定し、避難経路に占める障害物の大きさによって阻害の程度を判定する。
【0059】
障害の程度を入力された支援サーバー1は、この判定結果を画像データと関連付けて障害物警告情報として記憶部1cへ記憶する。
【0060】
その他の動作は実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。
[実施の形態3]
実施の形態1、2に記載した防災支援システムは、火災発生時の避難誘導における避難困難情報としても利用することが可能である。
【0061】
本実施の形態は、火災発生時に自動火災報知設備からの火災信号を支援サーバー1の信号受信部1aを介して情報処理部1bに入力し、火災信号を受信した支援サーバー1は、記憶部1cに蓄えた障害物情報の直近の情報を避難困難情報として、通信部1dを介して防災関係者が所持する端末Mに送信して通知するものである。
【0062】
ここで言う避難困難情報とは、避難が不可能という意味ではなく、避難経路を選択する際に考慮される情報という意味である。ただし、巡回警備が毎日行われ、その結果として要注意情報が記憶され、これに対する対応が記憶されていないような障害物情報あるいは障害物警告情報が存在する場合、その位置を通る避難経路は慎重に選択されるべきものとして認識され、可能な限り用いるべき経路ではないと言える。
【0063】
このように対応結果が記憶されていない要注意情報が記憶されている位置を通過するような避難経路は、避けるべき経路として防災関係者の所持する端末Mに通知するようにしてもよい。