特許第6262448号(P6262448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262448
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】方位パルス信号変換装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20180104BHJP
   G01S 7/12 20060101ALI20180104BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   G01S7/03 248
   G01S7/12
   G01S7/40 130
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-104833(P2013-104833)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-224787(P2014-224787A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】稲村 一芳
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−072608(JP,U)
【文献】 特開平04−363682(JP,A)
【文献】 特開平08−285935(JP,A)
【文献】 特開平09−257907(JP,A)
【文献】 特開2001−141803(JP,A)
【文献】 米国特許第06404384(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/03
G01S 7/12
G01S 7/40
IEEE Xplore
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位信号生成部により生成される第1方位パルス信号を第2方位パルス信号に変換し、アンテナが受信したレーダエコーを処理するレーダ処理部に供給する方位パルス信号変換装置において、
前記第1方位パルス信号のパルス幅又はパルス周期に基づいて第1パルス時間を生成する第1パルス時間生成部と、
前記第1パルス時間と、前記アンテナの1回転当たりの前記第1方位パルス信号のパルス数と、前記レーダエコーの処理に必要な前記第2方位パルス信号の分解能とから、前記第2方位パルス信号のパルス幅又はパルス周期に基づいて第2パルス時間を設定する第2パルス時間設定部と、
前記第1方位パルス信号の入力カウント数を出力する入力カウンタと、
カウント制御信号を出力する制御信号出力部と、
前記カウント制御信号に基づき、前記第2方位パルス信号の出力カウント数を出力する出力カウンタと、
を備え、
前記制御信号出力部は、
前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記出力カウント数と、前記分解能と前記パルス数の比及び前記入力カウント数に基づいて設定される前記出力カウント数の第1基準値との比較結果に基づいて、前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第1処理機能と、
記分解能が前記パルス数よりも少ない場合、前記入力カウント数と、前記パルス数と前記分解能の比及び前記出力カウント数に基づいて設定される前記入力カウント数の第2基準値との比較結果に基づいて、前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第処理機能と、
のうち、少なくとも1つの処理機能を備えることを特徴とする方位パルス信号変換装置。
【請求項2】
請求項1項記載の方位パルス信号変換装置において、
前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記制御信号出力部は、前記第1基準値を、
Coutmax=INT[(Cin+1)×D/N]
Coutmax:前記第1基準値
INT[(Cin+1)×D/N]:(Cin+1)×D/Nの整数部分
Cin:前記入力カウント数
D:前記分解能
N:前記パルス数
として設定することを特徴とする方位パルス信号変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方位パルス信号変換装置において、
前記第2パルス時間を計時し、計時終了時にタイマパルス信号を前記制御信号出力部に出力するタイマを有し、
前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記制御信号出力部は、
前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、前記カウント制御信号として、インクリメント命令を出力する第3処理機能と、
前記出力カウント数が前記第1基準値と等しい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、入力された前記タイマパルス信号をラッチし、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を前記出力カウンタに出力した後に、インクリメント命令を出力する第4処理機能と、
前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記入力カウント数が入力されたとき、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を、
Cout=Coutmax+1
Cout:前記出力カウント数
Coutmax:前記第1基準値
として強制変更させる命令を出力する第5処理機能と、
前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記入力カウント数が入力されたとき、前記第2パルス時間よりも短い時間に設定された第3パルス時間の時間間隔で前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第6処理機能と、
のうち、第3から第5処理機能、又は、第3、第4及び第6処理機能の少なくとも一方の処理機能を備えることを特徴とする方位パルス信号変換装置。
【請求項4】
請求項1記載の方位パルス信号変換装置において、
前記第2パルス時間を計時し、計時終了時にタイマパルス信号を前記制御信号出力部に出力するタイマを有し、
前記分解能が前記パルス数よりも少ない場合、前記制御信号出力部は、
前記第2基準値を、
Cinmax=INT[(Cout+1)×N/D]
Cinmax:前記第2基準値
INT[(Cout+1)×N/D]:(Cout+1)×N/Dの整数部分
Cout:前記出力カウント数
N:前記パルス数
D:前記分解能
として設定し、
前記入力カウント数が前記第2基準値と等しい場合に、前記タイマパルス信号が入力されるまで、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を出力し、
前記入力カウント数が前記第2基準値よりも小さい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、入力された前記タイマパルス信号をラッチし、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を前記出力カウンタに出力した後に、インクリメント命令を出力し、
前記入力カウント数が前記第2基準値よりも大きい場合に、前記タイマパルス信号が入力される前に、前記カウント制御信号として、インクリメント命令を出力することを特徴とする方位パルス信号変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方位信号生成部により生成される第1方位パルス信号を第2方位パルス信号に変換し、アンテナが受信したレーダエコーを処理するレーダ処理部に供給する方位パルス信号変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置は、レーダ信号(探知信号)を送信し、船舶や航空機等の物標によって反射されたレーダエコーを受信してレーダ映像を表示し、物標の方位や、物標までの距離を監視する装置である。物標の方位は、アンテナの回転駆動部に設けられたロータリエンコーダ等の方位信号生成部により生成される方位パルス信号に基づいて算出される。また、物標までの距離は、レーダ信号を送信してからレーダエコーを受信するまでの時間に基づいて算出される。
【0003】
方位信号生成部により生成されるアンテナ1回転当たりの方位パルス信号のパルス数は、通常、レーダエコーの処理に必要な分解能よりも少ない。特許文献1には、方位パルス信号を必要な分解能の方位パルス信号に変換する変換装置が開示されている。この変換装置では、時間Tb×N/Dをタイマに設定し、この時間Tb×N/Dに基づいてレーダエコーを処理している。ここで、Tbは、アンテナが一定角度回転する毎に生成される方位パルス信号の1周期の時間である。Nは、アンテナ1回転当たりに生成される方位パルス信号のパルス数である。Dは、表示等の信号処理に必要な方位パルス信号の分解能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2927985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の変換装置では、アンテナの回転速度が変動した場合に不具合が生じる。例えば、時間Tb×N/Dに従ってレーダエコーが処理されている間に、アンテナの回転速度が1/a倍に減速されると、方位信号生成部により生成される方位パルス信号の1周期の時間は、a×Tbとなる。この場合、レーダエコーは、アンテナの減速された回転速度に対応する時間a×Tb×N/Dが算出されるまでの間、減速前の時間Tb×N/Dに基づいて処理される。そのため、レーダエコーの方位は、1周期の時間がa×Tbである方位パルス信号に対応するレーダエコーの実際の方位よりも先行し、方位にずれが生じる。同様に、アンテナの回転速度がb倍に加速されると、レーダエコーの方位は、1周期の時間が1/b×Tbである方位パルス信号に対応するレーダエコーの実際の方位よりも遅れ、方位にずれが生じる。このような方位のずれは、アンテナの回転速度の変動が大きいほど大きくなるため、物標の方位を正確に表示できなくなってしまう。
【0006】
このような不具合に対して、特許文献1は、アンテナの回転速度が大きく変動した場合、故障と判定して警告を発し、又は、回転速度が変動した区間において方位パルス信号の1周期の時間を更新させないようにしている。しかしながら、このような対処方法では、レーダ映像の表示が不適切になることは回避できない。
【0007】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、方位パルス信号を必要な分解能の方位パルス信号に変換する際、アンテナの回転速度の変動に係わらず、方位に対応した方位パルス信号を生成でき、方位精度の高い高精度なレーダ映像を表示できる方位パルス信号変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る方位パルス信号変換装置は、方位信号生成部により生成される第1方位パルス信号を第2方位パルス信号に変換し、アンテナが受信したレーダエコーを処理するレーダ処理部に供給する方位パルス信号変換装置において、前記第1方位パルス信号のパルス幅又はパルス周期に基づいて第1パルス時間を生成する第1パルス時間生成部と、前記第1パルス時間と、前記アンテナの1回転当たりの前記第1方位パルス信号のパルス数と、前記レーダエコーの処理に必要な前記第2方位パルス信号の分解能とから、前記第2方位パルス信号のパルス幅又はパルス周期に基づいて第2パルス時間を設定する第2パルス時間設定部と、前記第1方位パルス信号の入力カウント数を出力する入力カウンタと、カウント制御信号を出力する制御信号出力部と、前記カウント制御信号に基づき、前記第2方位パルス信号の出力カウント数を出力する出力カウンタと、を備え、前記制御信号出力部は、前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記出力カウント数と、前記分解能と前記パルス数の比及び前記入力カウント数に基づいて設定される前記出力カウント数の第1基準値との比較結果に基づいて、前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第1処理機能と、記分解能が前記パルス数よりも少ない場合、前記入力カウント数と、前記パルス数と前記分解能の比及び前記出力カウント数に基づいて設定される前記入力カウント数の第2基準値との比較結果に基づいて、前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第処理機能と、のうち、少なくとも1つの処理機能を備えることを特徴とする。
【0009】
前記方位パルス信号変換装置において、前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記制御信号出力部は、前記第1基準値を、
Coutmax=INT[(Cin+1)×D/N]
Coutmax:前記第1基準値
INT[(Cin+1)×D/N]:(Cin+1)×D/Nの整数部分
Cin:前記入力カウント数
D:前記分解能
N:前記パルス数
として設定することを特徴とする。
【0010】
前記方位パルス信号変換装置において、前記第2パルス時間を計時し、計時終了時にタイマパルス信号を前記制御信号出力部に出力するタイマを有し、前記分解能が前記パルス数よりも多い場合、前記制御信号出力部は、前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、前記カウント制御信号として、インクリメント命令を出力する第3処理機能と、前記出力カウント数が前記第1基準値と等しい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、入力された前記タイマパルス信号をラッチし、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を前記出力カウンタに出力した後に、インクリメント命令を出力する第4処理機能と、前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記入力カウント数が入力されたとき、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を、
Cout=Coutmax+1
Cout:前記出力カウント数
Coutmax:前記第1基準値
として強制変更させる命令を出力する第5処理機能と、
前記出力カウント数が前記第1基準値よりも小さい場合に、前記入力カウント数が入力されたとき、前記第2パルス時間よりも短い時間に設定された第3パルス時間の時間間隔で前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力する第6処理機能と、のうち、第3から第5処理機能、又は、第3、第4及び第6処理機能の少なくとも一方の処理機能を備えることを特徴とする。
【0011】
前記方位パルス信号変換装置において、前記第2パルス時間を計時し、計時終了時にタイマパルス信号を前記制御信号出力部に出力するタイマを有し、前記分解能が前記パルス数よりも少ない場合、前記制御信号出力部は、
前記第2基準値を、
Cinmax=INT[(Cout+1)×N/D]
Cinmax:前記第2基準値
INT[(Cout+1)×N/D]:(Cout+1)×N/Dの整数部分
Cout:前記出力カウント数
N:前記パルス数
D:前記分解能
として設定し、
前記入力カウント数が前記第2基準値と等しい場合に、前記タイマパルス信号が入力されるまで、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を出力し、前記入力カウント数が前記第2基準値よりも小さい場合に、前記タイマパルス信号が入力されたとき、入力された前記タイマパルス信号をラッチし、前記カウント制御信号として、前記出力カウント数を保持する保持命令を前記出力カウンタに出力した後に、インクリメント命令を出力し、前記入力カウント数が前記第2基準値よりも大きい場合に、前記タイマパルス信号が入力される前に、前記カウント制御信号として、インクリメント命令を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方位パルス信号変換装置では、第1方位パルス信号を第2方位パルス信号に変換する際、前記出力カウント数と、前記分解能と前記パルス数の比及び前記入力カウント数に基づいて設定される前記出力カウント数の第1基準値との比較結果、又は、前記入力カウント数と、前記パルス数と前記分解能の比及び前記出力カウント数に基づいて設定される前記入力カウント数の第2基準値との比較結果に基づいて、前記第2パルス時間の時間間隔で前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力し、前記第2方位パルス信号を生成することにより、アンテナの回転速度の変動に係わらず、方位精度の高い高精度なレーダ映像を表示できる。
【0013】
また、本発明の方位パルス信号変換装置では、前記第1方位パルス信号に基づく前記入力カウント数が入力されたときには、前記第1基準値に基づいて前記出力カウント数を強制変更させることにより、アンテナの回転速度が加速された場合であっても、方位精度の高い高精度なレーダ映像を表示できる。
【0014】
また、本発明の方位パルス信号変換装置では、前記第1方位パルス信号に基づく前記入力カウント数が入力されたときには、前記出力カウント数が前記第1基準値となるまで、前記第2パルス時間よりも短い時間に設定された第3パルス時間の時間間隔で前記カウント制御信号を前記出力カウンタに出力することにより、アンテナの回転速度が加速された場合であっても、方位精度の高い高精度なレーダ映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の方位パルス信号変換装置を備えるレーダ装置の構成ブロック図である。
図2】第1実施形態の方位パルス信号変換装置の構成ブロック図である。
図3】第1実施形態のレーダ装置のフローチャートである。
図4】第1実施形態の方位パルス信号変換装置のフローチャートである。
図5】第1実施形態の方位信号生成部から供給される第1方位パルス信号を高い分解能の第2方位パルス信号に変換して出力する場合のタイミングチャートである。
図6】第1実施形態の方位信号生成部から供給される第1方位パルス信号を低い分解能の第2方位パルス信号に変換して出力する場合のタイミングチャートである。
図7】第1実施形態の方位信号生成部から供給される第1方位パルス信号を低い分解能の第2方位パルス信号に変換して出力する場合のタイミングチャートである。
図8】第2実施形態の方位パルス信号変換装置の構成ブロック図である。
図9】第2実施形態の方位信号生成部から供給される第1方位パルス信号を高い分解能の第2方位パルス信号に変換して出力する場合のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
<第1実施形態の構成>
図1は、第1実施形態の方位パルス信号変換装置34を備えるレーダ装置10の構成ブロック図である。
【0018】
レーダ装置10は、アンテナ部12と、レーダ映像を表示処理するレーダ処理部14とを備える。例えば、船舶に搭載されるレーダ装置10の場合、通常、アンテナ部12は船外に設けられ、レーダ処理部14は船内に設けられ、これらがケーブルにより接続される。
【0019】
アンテナ部12は、アンテナ16と、アンテナ16を回転駆動する回転駆動部18と、アンテナ16の回転角度に応じた方位信号を生成する方位信号生成部20と、送受信部22とを備える。方位信号生成部20は、第1方位パルス信号BPinと、方位基準信号BZとを生成する信号生成部である。第1方位パルス信号BPinは、アンテナ16の回転角度に応じて、アンテナ16の1回転当たり、N(パルス数)パルス生成される。また、方位基準信号BZは、アンテナ16が1回転する毎に1パルス生成される。方位信号生成部20は、例えば、ロータリエンコーダにより構成することができる。送受信部22は、アンテナ16を介してレーダ信号を送信し、また、レーダエコーを受信する送受信部である。
【0020】
レーダ処理部14は、A/D変換部24と、信号処理部26と、レーダエコー記憶部28と、表示制御部30と、表示部32と、方位パルス信号変換装置34とを備える。レーダ処理部14は、方位パルス信号変換装置34により生成される第2方位パルス信号BPoutに基づき、レーダエコーを処理する。
【0021】
A/D変換部24は、送受信部22が受信したアナログ信号のレーダエコーをデジタル信号に変換する変換部である。信号処理部26は、デジタル信号に変換されたレーダエコーのノイズ除去、レーダエコーの極座標から直交座標への変換等の処理をする処理部である。レーダエコー記憶部28は、信号処理部26により処理されたレーダエコーを記憶する記憶部である。表示制御部30は、レーダエコー記憶部28に記憶されたレーダエコーを表示制御する制御部である。表示部32は、レーダエコーをラスタースキャン画像として画面に表示させる表示部である。方位パルス信号変換装置34は、第1方位パルス信号BPinを第2方位パルス信号BPoutに変換する変換装置である。第2方位パルス信号BPoutは、レーダエコーの表示等の信号処理に必要な分解能Dのパルス信号である。
【0022】
図2は、第1実施形態の方位パルス信号変換装置34の構成ブロック図である。方位パルス信号変換装置34は、第1パルス時間生成部36と、第2パルス時間設定部38と、入力カウンタ40と、カウント制御部42と、出力カウンタ44と、パルス変換部46と、故障判定部48とを備える。第1方位パルス信号BPinのパルス数Nと、第2方位パルス信号BPoutの分解能Dとは、第2パルス時間設定部38とカウント制御部42の制御信号出力部52とに設定される。
【0023】
第1パルス時間生成部36は、第1方位パルス信号BPinの立ち上がりから次の立ち下がりまでのパルス幅と、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間とを測定し、それぞれの時間を第1パルス時間Tとして生成するパルス時間生成部である。第2パルス時間設定部38は、第2方位パルス信号BPoutのパルス幅を算出し、第2パルス時間tとして設定するパルス時間設定部である。入力カウンタ40は、第1方位パルス信号BPinの立ち上がりと立ち下がりを検出してカウントし、入力カウント数Cinとして出力するカウンタである。
【0024】
カウント制御部42は、タイマ50と制御信号出力部52とを備える。タイマ50は、第2パルス時間tを計時時間として計時し、計時終了時にタイマパルス信号TPを出力するタイマである。制御信号出力部52は、第2方位パルス信号BPoutの出力カウント数Coutを制御するカウント制御信号CSを出力する制御部である。出力カウンタ44は、カウント制御信号CSに基づき、第2方位パルス信号BPoutの出力カウント数Coutを出力するカウンタである。パルス変換部46は、出力カウント数Coutが入力されると、第2方位パルス信号BPoutを出力する変換部である。故障判定部48は、入力カウント数Cinに基づいて方位信号生成部20の故障の有無を判定する判定部である。
【0025】
<第1実施形態の動作>
[レーダ装置10の全体動作]
図3は、図1に示すレーダ装置10のフローチャートである。
【0026】
送受信部22は、マグネトロンを駆動してレーダ信号を生成し、アンテナ16からレーダ信号を送信する(ステップS1)。次いで、送受信部22は、物標により反射されたレーダエコーをアンテナ16を介して受信し(ステップS2)、レーダ処理部14のA/D変換部24に出力する。A/D変換部24は、アナログ信号であるレーダエコーをデジタル信号に変換し(ステップS3)、信号処理部26に供給する。信号処理部26は、方位パルス信号変換装置34から供給される第2方位パルス信号BPoutに基づき、レーダエコーのノイズ除去を含む信号処理をする(ステップS4)。処理されたレーダエコーは、レーダエコー記憶部28に記憶される。次いで、表示制御部30は、第2方位パルス信号BPoutに基づいてレーダエコー記憶部28に記憶されたレーダエコーを処理し、表示部32にレーダ映像を表示させる(ステップS5)。
【0027】
[方位パルス信号変換装置34の処理]
次に、方位パルス信号変換装置34による第1方位パルス信号BPinから第2方位パルス信号BPoutへの変換処理につき、(1)第1方位パルス信号BPinを高い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換する場合と、(2)第1方位パルス信号BPinを低い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換する場合とに分けて詳細に説明する。
【0028】
(1)第1方位パルス信号BPinを高い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換する場合
図4は、第1実施形態の方位パルス信号変換装置34のフローチャートである。図5は、第1実施形態の方位信号生成部20から供給される第1方位パルス信号BPinを高い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換して出力する場合のタイミングチャートである。ここで、図5(a)は、アンテナ16の回転速度が一定である場合、図5(b)は、アンテナ16の回転速度が減速される場合、図5(c)は、アンテナ16の回転速度が加速される場合のタイミングチャートである。以下、第1方位パルス信号BPinのパルス数Nは360、変換後の第2方位パルス信号BPoutの分解能Dは2048として説明する。
【0029】
回転駆動部18によりアンテナ16が回転駆動されると、方位信号生成部20は、第1方位パルス信号BPin及び方位基準信号BZを生成する。この場合、方位信号生成部20は、アンテナ16が1回転する間に、0〜359番目までの第1方位パルス信号BPinを順次生成する。また、方位信号生成部20は、アンテナ16が1回転する毎に方位基準信号BZを生成する。
【0030】
方位信号生成部20は、第1パルス時間生成部36に第1方位パルス信号BPinを出力する(ステップS11)。第1パルス時間生成部36は、第1パルス時間Tを生成する(ステップS12)。ここで、第1パルス時間Tは、第1パルス時間生成部36が測定する第1方位パルス信号BPinの立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間(パルス幅)と、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間の各測定値である。第1パルス時間生成部36は、生成した第1パルス時間Tを第2パルス時間設定部38に出力する。
【0031】
第2パルス時間設定部38は、第1パルス時間Tと、第1方位パルス信号BPinのパルス数Nと、第2方位パルス信号BPoutの分解能Dとから、第2方位パルス信号BPoutのパルス幅となる第2パルス時間tを、
t=T×N/D (1)
【0032】
として設定する(ステップS13)。第2パルス時間設定部38は、第1パルス時間Tから算出された第2パルス時間tをタイマ50に出力する。なお、以下の説明において、第2パルス時間t=t0〜t9、ta〜teは、第1パルス時間T=T0〜T9、Ta〜Teに対応して、タイマ50が設定する計時時間である。
【0033】
次に、方位信号生成部20は、入力カウンタ40に第1方位パルス信号BPinを出力する。入力カウンタ40は、第1方位パルス信号BPinの立ち上がり及び立ち下がりを検出してカウントし、入力カウント数Cinを制御信号出力部52及び故障判定部48に出力する(ステップS14)。
【0034】
制御信号出力部52は、出力カウンタ44より出力される出力カウント数Coutの第1基準値Coutmaxを設定する。第1基準値Coutmaxは、第2方位パルス信号BPoutの必要な分解能Dと第1方位パルス信号BPinのパルス数Nとの比と、入力された入力カウント数Cinとに基づいて設定される。例えば、制御信号出力部52は、第1基準値Coutmaxを式(2)により算出する。
Coutmax=INT[(Cin+1)×D/N] (2)
なお、INT[(Cin+1)×D/N]は、(Cin+1)×D/Nの小数点以下を切り捨てた整数部分である。
【0035】
例えば、制御信号出力部52に入力カウント数Cin=0が入力された場合、第1基準値Coutmaxは、式(2)から、
Coutmax=INT[(0+1)×2048/360]
=5
となる。この第1基準値Coutmaxは、制御信号出力部52に新たな入力カウント数Cinが入力される毎に算出されて更新される。
【0036】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが入力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間tを計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始し、計時時間が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。タイマ50は、計時時間を計時してタイマパルス信号TPを出力する処理を繰り返す。
【0037】
制御信号出力部52は、タイマパルス信号TPが入力されると、カウント制御信号CSをインクリメント命令として出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。インクリメント命令(CS)が入力された出力カウンタ44は、出力カウント数Coutを+1だけインクリメントして出力する(ステップS16)。出力カウンタ44から出力された出力カウント数Coutは、制御信号出力部52に入力される。
【0038】
制御信号出力部52は、出力カウンタ44から出力カウント数Coutが入力される毎に、出力カウント数Coutと第1基準値Coutmaxとを比較する。
【0039】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax未満の場合、すなわち、Cout<Coutmaxの関係が成立する場合、次の入力カウント数Cinが入力されるまで、タイマ50から出力されるタイマパルス信号TPに基づき、第2パルス時間tの時間間隔でインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。この場合、例えば、入力カウント数Cin=0に対する第1基準値Coutmaxは5であるため、出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメントされる1〜5の範囲の出力カウント数Coutを出力する(ステップS16、図5(a)、(b))。
【0040】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmaxに等しくなる場合、すなわち、Cout=Coutmaxの関係が成立する場合、次の入力カウント数Cinが入力されるまで、第1基準値Coutmaxを出力カウント数Coutとして保持させるカウント制御信号CSを保持命令として出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。この場合、出力カウンタ44は、保持命令(CS)に従い、出力カウント数Coutを保持して継続出力する(ステップS16、図5(a)、(b))。
【0041】
タイマ50に設定されている計時時間が経過する前に、制御信号出力部52に入力カウント数Cinが入力されたとき、タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される次の第2パルス時間tを計時時間として再設定する。タイマ50は、新たな計時時間に従って計時を継続する。制御信号出力部52は、計時時間が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが入力されると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。出力カウンタ44は、出力カウント数Coutをインクリメントする(図5(a))。
【0042】
制御信号出力部52は、入力カウント数Cinが入力される前に計時時間が経過してタイマパルス信号TPが入力されると、タイマパルス信号TPをラッチする。そして、制御信号出力部52は、入力カウント数Cinが入力されると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。出力カウンタ44は、出力カウント数Coutをインクリメントする(図5(b))。
【0043】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax未満の場合、すなわち、Cout<Coutmaxの関係が成立する場合において、次の入力カウント数Cinが入力された場合、式(3)に従い、出力カウント数Coutを強制変更するカウント制御信号CSを強制変更命令として出力カウンタ44に出力する(ステップS15)。
Cout=Coutmax+1 (3)
この場合、出力カウンタ44は、強制変更命令(CS)に従い、出力カウント数CoutをCoutmax+1に強制変更して出力する(ステップS16、図5(c))。また、制御信号出力部52は、出力カウント数Coutに従い、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される次の第2パルス時間tを計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。
【0044】
出力カウンタ44から出力された出力カウント数Coutは、パルス変換部46及び信号処理部26に供給される。パルス変換部46は、出力カウント数Coutを受信する毎に、Lレベル、Hレベルの順で第2方位パルス信号BPoutを生成し、信号処理部26に出力する(ステップS17)。信号処理部26は、第2方位パルス信号BPoutをタイミング信号として、出力カウント数Coutに応じた方位に従ってレーダエコーを処理する。そして、表示部32には、第2方位パルス信号BPout及び出力カウント数Coutに従った方位精度の高いレーダ映像が表示される。
【0045】
次に、図5に基づいて具体的に説明する。
【0046】
アンテナ16の回転速度が一定の場合(図5(a))、第1方位パルス信号BPinのパルス周期も一定であるため、各第1パルス時間Tは等しくなり、第1パルス時間T0=T1=T2…である。制御信号出力部52は、第1パルス時間T0から算出された第2パルス時間t0の時間間隔で、出力カウント数Coutを1〜5に順次インクリメントするインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。次いで、制御信号出力部52は、入力カウント数Cin=1が入力されると、第1基準値Coutmaxを5から11に更新する。また、タイマ50は、設定されている第2パルス時間t0を第2パルス時間t1に更新する。制御信号出力部52は、タイマ50が第2パルス時間t1を計時し、タイマ50からタイマパルス信号TPが入力されると、出力カウント数Coutを6にインクリメントするインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=6を出力する。制御信号出力部52は、出力カウント数Cout=6が出力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間t1を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。出力カウンタ44は、出力カウント数Coutをパルス変換部46及び信号処理部26に出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の一定の回転速度に対応した第2パルス時間tの時間間隔で、方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0047】
アンテナ16の回転速度が減速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が長くなる。従って、例えば、0番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T2、T3は、359番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T0、T1よりも長くなる(図5(b))。
【0048】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax=5未満の間、タイマパルス信号TPに基づく第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、第2パルス時間t0の時間間隔で順次インクリメントされる1〜5の出力カウント数Coutを出力する。次いで、制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax=5と等しくなった後にタイマパルス信号TPが入力されると、入力カウント数Cin=1が入力されるまでタイマパルス信号TPをラッチするとともに、出力カウント数Cout=5を保持させる保持命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。従って、出力カウンタ44は、制御信号出力部52に入力カウント数Cin=1が入力されるまでの時間(図5(b)の第2方位パルス信号BPoutの時間t0+α)、出力カウント数Cout=5を保持して継続出力する。
【0049】
次に、制御信号出力部52は、入力カウント数Cin=1が入力されると、第1基準値Coutmaxを5から11に更新する。制御信号出力部52は、タイマ50からのタイマパルス信号TPに従い、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Coutを6にインクリメントする。制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが入力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間t1を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=6をパルス変換部46及び信号処理部26に出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が減速された場合であっても、減速された回転速度に対応する時間αだけ遅れて、実際の方位に対応する出力カウント数Cout=6を出力できる。
【0050】
アンテナ16の回転速度が加速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が短くなる。従って、例えば、0番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T2、T3、T4、T5は、359番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T0、T1よりも短くなる(図5(c))。
【0051】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax未満の間、第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令に従い、第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメントされる1〜3の出力カウント数Coutを順次出力する。次いで、制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmaxと等しくなる前に入力カウント数Cin=1が入力されるため、第1基準値Coutmaxを5から11に更新する。制御信号出力部52は、入力カウント数Cinの入力に従い、強制変更命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。制御信号出力部52は、強制変更命令(CS)に従い、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間t1を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。出力カウンタ44は、出力カウント数Coutを式(3)に従って3から6に変更する。従って、出力カウンタ44は、制御信号出力部52に入力カウント数Cinが入力されるまでの時間(図5(c)の第2方位パルス信号BPoutの時間t0−β)、出力カウント数Cout=3を出力した後、強制変更命令(CS)に従い、出力カウント数Cout=6を出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=6をパルス変換部46及び信号処理部26に出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が加速された場合であっても、加速された回転速度に対応する時間βだけ進んで、実際の方位に精度良く対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0052】
このように、方位パルス信号変換装置34は、アンテナ16の回転速度の変動の有無に係わらず、第1方位パルス信号BPinに基づく実際の方位に対応した第2方位パルス信号BPout及び出力カウント数Coutを信号処理部26に供給する。そして、信号処理部26は、第2方位パルス信号BPoutをタイミング信号として、出力カウント数Coutに応じた方位精度の高い高精度なレーダ映像を表示させることができる。
【0053】
なお、故障判定部48は、入力カウント数Cinを故障判定値と比較し、その比較結果に従って方位信号生成部20が正常に動作しているか否かを判定する。故障判定値は、方位信号生成部20が出力する第1方位パルス信号BPinのパルス数として、許容されるパルス数であるか否かを判定するために設定される判定値である。この場合、故障判定値は、方位信号生成部20がアンテナ16の1回転当たりに生成する第1方位パルス信号BPinのパルス数Nに基づいて設定される。例えば、方位信号生成部20により生成されるパルス数Nが360である場合、方位信号生成部20が正常に動作しているときに得られる入力カウント数Cinの最大値は719である。そこで、この最大値719が故障判定値として故障判定部48に設定される。また、故障判定値は、最大値719に対して所定の許容範囲を考慮した値に設定してもよい。入力カウンタ40は、方位基準信号BZが入力されてから次の方位基準信号BZが入力されるまでの間の入力カウント数Cinをカウントする。入力カウンタ40は、前記次の方位基準信号BZが入力された際の直前の入力カウント数Cinを故障判定部48に出力する。故障判定部48は、前記直前の入力カウント数Cinと故障判定値とを比較し、入力カウント数Cinの最大値が故障判定値と等しくならない場合、又は、最大値が故障判定値の許容範囲に入らない場合、方位信号生成部20に不具合があると判定し、警告等の処置をすることができる。
【0054】
(2)第1方位パルス信号BPinを低い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換する場合
図6及び図7は、第1実施形態の方位信号生成部20から供給される第1方位パルス信号BPinを低い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換して出力する場合のタイミングチャートである。ここで、図6(a)は、アンテナ16の回転速度が一定である場合、図6(b)及び(c)は、アンテナ16の回転速度が減速される場合の2つの態様に係るタイミングチャートである。また、図7(a)は、図6(a)と同じアンテナ16の回転速度が一定である場合、図7(d)及び(e)は、アンテナ16の回転速度が加速される場合の2つの態様に係るタイミングチャートである。以下、第1方位パルス信号BPinのパルス数Nは2048、変換後の第2方位パルス信号BPoutの分解能Dは360として説明する。
【0055】
第1パルス時間生成部36は、第1方位パルス信号BPinから第1パルス時間Tを生成し、第2パルス時間設定部38に出力する。第2パルス時間設定部38は、式(1)に従い、第2方位パルス信号BPoutのパルス幅となる第2パルス時間tを算出して設定し、タイマ50に出力する。また、入力カウンタ40は、第1方位パルス信号BPinを検出してカウントし、入力カウント数Cinをカウント制御部42の制御信号出力部52に出力する。
【0056】
制御信号出力部52は、第1方位パルス信号BPinのパルス数Nと第2方位パルス信号BPoutの必要な分解能Dとの比と、出力カウンタ44から出力される出力カウント数Coutとに基づいて、入力カウンタ40より出力される入力カウント数Cinに対する第2基準値Cinmaxを設定する。例えば、制御信号出力部52は、第2基準値Cinmaxを式(4)により算出する。
Cinmax=INT[(Cout+1)×N/D] (4)
【0057】
例えば、制御信号出力部52に出力カウント数Cout=0が入力された場合、第2基準値Cinmaxは、式(4)から、
Cinmax=INT[(0+1)×2048/360]
=5
となる。この第2基準値Cinmaxは、制御信号出力部52に新たな出力カウント数Coutが入力される毎に算出され更新される。
【0058】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが入力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間tを計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。タイマ50は、計時時間が経過する前に、第2パルス時間設定部38から次の第2パルス時間tが入力されると、計時時間を新たな第2パルス時間tに更新する。そして、タイマ50は、リセット時からの計時時間の計時を継続する。タイマ50は、計時時間が経過した時点で、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。
【0059】
制御信号出力部52は、入力カウンタ40から入力カウント数Cinが入力される毎に、入力カウント数Cinと第2基準値Cinmaxとを比較する。
【0060】
制御信号出力部52は、入力カウント数Cinが第2基準値Cinmax未満の場合、すなわち、Cin<Cinmaxの関係が成立する場合、出力カウント数Coutを保持させる保持命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。この場合、例えば、Cinmax=5とすると、出力カウンタ44は、Cin=0〜5の間、Cout=0を保持する。
【0061】
制御信号出力部52は、入力カウント数Cinが第2基準値Cinmaxに等しくなる場合、すなわち、Cin=Cinmaxであり、且つ、計時時間が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが入力されるまでの間、出力カウント数Coutを保持させる保持命令(CS)を出力カウンタ44に出力する(図6(a)、(b))。
【0062】
制御信号出力部52は、計時時間が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが入力された後、Cin=Cinmaxの関係が成立する場合、出力カウント数Coutをインクリメントするインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。この場合、制御信号出力部52は、Cin=Cinmaxの関係が成立するまでの間、タイマ50からのタイマパルス信号TPをラッチする(図6(c)、図7(d))。また、制御信号出力部52は、出力カウント数Coutがインクリメントされると、第2基準値Cinmaxを更新するとともに、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間tを計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。
【0063】
制御信号出力部52は、計時時間が経過し、タイマ50からタイマパルス信号TPが入力する前に入力カウント数Cinが第2基準値Cinmaxを超えた場合、すなわち、Cin>Cinmaxの関係が成立する場合、出力カウント数Coutをインクリメントするインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する(図7(e))。
【0064】
出力カウンタ44から出力された出力カウント数Coutは、パルス変換部46及び信号処理部26に供給される。そして、第2方位パルス信号BPoutを高い分解能に変換する場合と同様に、表示部32には、第2方位パルス信号BPout及び出力カウント数Coutに従った方位精度の高いレーダ映像が表示される。
【0065】
次に、図6及び図7に基づいて具体的に説明する。
【0066】
アンテナ16の回転速度が一定の場合(図6(a)、図7(a))、第1方位パルス信号BPinのパルス周期も一定であるため、各第1パルス時間Tは等しくなり、第1パルス時間T0=T1=T2…である。制御信号出力部52は、タイマ50からタイマパルス信号TPが入力されると、出力カウント数Coutを0にインクリメントし、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される第2パルス時間t0を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。タイマ50には、第2パルス時間t0が経過する前に、入力カウント数Cin=3〜5に従って第2パルス時間設定部38から第2パルス時間t1〜t3が順次入力される。従って、タイマ50は、計時時間を第2パルス時間t1から第2パルス時間t3まで順次更新して計時を継続する。制御信号出力部52は、入力カウント数Cin=5が入力されると、第2基準値Cinmaxを5から11に更新する。
【0067】
一方、タイマ50は、計時時間である第2パルス時間t3が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。制御信号出力部52は、入力カウント数Cin=5であれば、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=1を出力する。制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが入力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、第2パルス時間設定部38から入力される次の第2パルス時間t4を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。出力カウンタ44は、インクリメントされた出力カウント数Cout=1をパルス変換部46及び信号処理部26に出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の一定の回転速度に対応した第2パルス時間tの時間間隔で、実際の方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0068】
Cin=Cinmax(=5)の時点でアンテナ16の回転速度が減速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が長くなる(図6(b))。従って、例えば、第1パルス時間T5は、その前の第1パルス時間T4よりも長くなる。制御信号出力部52は、計時時間である第2パルス時間t3が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが出力されると、出力カウント数Coutを1にインクリメントし、タイマ50をリセットする。また、制御信号出力部52は、第2基準値Cinmaxを5から11に更新する。タイマ50は、減速前の第1パルス時間T4から算出された第2パルス時間t4を計時時間として設定する。次いで、タイマ50は、計時時間が経過する前に、減速後の第2パルス時間t5〜t9を計時時間として順次設定する。従って、タイマ50は、リセットされてからの計時時間を第2パルス時間t5〜t9に順次更新して計時を継続する。そして、タイマ50は、減速後の計時時間である第2パルス時間t9が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。制御信号出力部52は、Cin=Cinmax=11となると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、出力カウント数Cout=2を出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が減速された場合であっても、減速された回転速度に対応する時間だけ遅れて、実際の方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0069】
また、Cin<Cinmax(=5)の時点でアンテナ16の回転速度が減速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が長くなる(図6(c))。従って、例えば、第1パルス時間T3は、その前の第1パルス時間T2よりも長くなる。制御信号出力部52は、計時時間である第2パルス時間t2が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが出力されると、タイマパルス信号TPをラッチし、出力カウンタ44に保持命令(CS)を出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=0を保持する。そして、Cin=Cinmax=5となると、第2パルス時間t2が既に経過しているため、制御信号出力部52は、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。また、制御信号出力部52は、第2基準値Cinmaxを5から11に更新する。タイマ50は、計時時間を減速後の第1パルス時間T3から算出された第2パルス時間t3に更新する。次いで、タイマ50は、第2パルス時間t3が経過する前に、減速後の第2パルス時間t4〜t9を計時時間として順次設定する。従って、タイマ50は、計時時間を第2パルス時間t4〜t9に順次更新して計時を継続する。そして、タイマ50は、減速後の計時時間である第2パルス時間t9が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。制御信号出力部52は、Cin=Cinmax=11となると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、出力カウント数Coutを2に更新して出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が減速された場合であっても、減速された回転速度に対応する時間だけ遅れて、実際の方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0070】
次に、Cin<Cinmax(=5)の時点でアンテナ16の回転速度が加速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が短くなる(図7(d))。従って、例えば、第1パルス時間T2は、その前の第1パルス時間T1よりも短くなる。制御信号出力部52は、加速後の第1パルス時間T2から算出された第2パルス時間t2が経過し、タイマ50からタイマパルス信号TPが出力されると、タイマパルス信号TPをラッチし、出力カウンタ44に保持命令(CS)を出力する。出力カウンタ44は、出力カウント数Cout=0を保持する。そして、Cin=Cinmax=5となると、第2パルス時間t2が既に経過しているため、制御信号出力部52は、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。また、制御信号出力部52は、第2基準値Cinmaxを5から11に更新する。タイマ50は、計時時間を、加速後の第1パルス時間T3から算出された次の第2パルス時間t3に更新する。次いで、タイマ50は、第2パルス時間t3が経過する前に、加速後の第2パルス時間t4〜t8を計時時間として順次設定する。従って、タイマ50は、計時時間を第2パルス時間t4〜t8に順次更新して計時を継続する。そして、タイマ50は、加速後の計時時間である第2パルス時間t8が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。制御信号出力部52は、Cin=Cinmax=11となると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、出力カウント数Coutを2にインクリメントして出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が加速された場合であっても、加速された回転速度に対応する時間だけ早く、実際の方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0071】
また、Cin=Cinmax(=5)の時点でアンテナ16の回転速度が加速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が長くなる(図7(e))。従って、例えば、第1パルス時間T5は、その前の第1パルス時間T4よりも短くなる。この場合、入力カウント数Cinは、第2パルス時間t4が経過してタイマ50からタイマパルス信号TPが出力される前にCin>Cinmax(=5)となる。制御信号出力部52は、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。また、制御信号出力部52は、第2基準値Cinmaxを5から11に更新する。出力カウンタ44は、インクリメントした出力カウント数Cout=1を出力する。制御信号出力部52は、出力カウント数Cout=1が入力されると、タイマ50をリセットする。タイマ50は、加速前の第1パルス時間T4から算出された第2パルス時間t4を計時時間として設定する。次いで、タイマ50は、計時時間が経過する前に、加速後の第2パルス時間t5〜t9を計時時間として順次設定する。従って、タイマ50は、計時時間を第2パルス時間t5〜t9に順次更新して計時を継続する。そして、タイマ50は、加速後の計時時間である第2パルス時間t9が経過すると、タイマパルス信号TPを制御信号出力部52に出力する。制御信号出力部52は、Cin=Cinmax=11となると、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令(CS)に従い、出力カウント数Coutを2にインクリメントして出力する。この場合、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が加速された場合であっても、加速された回転速度に対応する時間だけ早く、実際の方位に対応する出力カウント数Coutを出力できる。
【0072】
<第2実施形態の構成>
図8は、第2実施形態の方位パルス信号変換装置54の構成ブロック図である。図2に示す方位パルス信号変換装置34と同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
方位パルス信号変換装置54を構成する第2パルス時間設定部56は、第2方位パルス信号BPoutのパルス幅を算出し、第2パルス時間tとして設定するパルス時間設定部である。第2パルス時間設定部56は、第2パルス時間tをタイマ50に出力するのに加えて、予め設定された第3パルス時間tsをタイマ50に出力する。第3パルス時間tsは、アンテナ16の回転速度の変化に対して十分に短い時間として設定される。
【0074】
<第2実施形態の動作>
図9は、第2実施形態の方位信号生成部20から供給される第1方位パルス信号BPinを高い分解能の第2方位パルス信号BPoutに変換して出力する場合のタイミングチャートである。なお、第2実施形態は、図5(c)に示すアンテナ16の回転速度が加速される場合の処理の変形例である。
【0075】
アンテナ16の回転速度が加速されると、第1方位パルス信号BPinのパルス周期が短くなる。従って、例えば、0番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T2、T3は、359番目の第1方位パルス信号BPinの第1パルス時間T0、T1よりも短くなる。
【0076】
制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax未満の間、第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、インクリメント命令に従い、第2パルス時間t0の時間間隔でインクリメントされる1〜3の出力カウント数Coutを順次出力する。次いで、制御信号出力部52には、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmax=5と等しくなる前に入力カウント数Cin=1が入力される。そこで、制御信号出力部52は、強制変更命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。この場合、強制変更命令(CS)は、実施形態1のように、式(3)に従って出力カウント数Coutを3から6に変更するのではなく、出力カウント数Coutを+1だけインクリメントする命令である。出力カウンタ44は、強制変更命令(CS)に従い、出力カウント数Coutを4にインクリメントする。制御信号出力部52は、出力カウント数Coutがインクリメントされると、タイマ50をリセットする。
【0077】
一方、第2パルス時間設定部56は、出力カウント数Cout、入力カウント数Cin、分解能D及びパルス数Nに基づき、以下の式(5)の条件を判定する。
Cout<(INT[Cin×D/N]+1) (5)
式(5)の条件が成立する場合、第2パルス時間設定部56は、第2パルス時間t0よりも十分に短い時間に設定された第3パルス時間tsをタイマ50に出力する。例えば、Cin=1となったとき、式(5)の右辺は、
INT[1×2048/360]+1=6
となるため、出力カウント数Cout=3の場合、式(5)の条件が成立し、第2パルス時間設定部56は、第3パルス時間tsをタイマ50に出力する。
【0078】
第3パルス時間tsは、次のように設定することができる。例えば、第1パルス時間Tの最小の期待値をTminとして、第3パルス時間tsは、
tmin=Tmin×N/D (6)
となる最小の期待値tminよりも小さい値として設定することができる。この場合、最小の期待値Tminは、
Tmin=Tmax/(2×N) (7)
として求めることができる。なお、Tmaxは、適用されるアンテナ16が1回転するのに要する最小の時間であり、Nは、アンテナ16の1回転当たりに方位信号生成部20から出力されるパルス数である。
【0079】
第2パルス時間設定部56は、出力カウント数Coutが以下の式(8)に従った第1基準値Coutmaxとなるまで、第3パルス時間tsをタイマ50に出力する。
Coutmax=INT[Cin×D/N]+1 (8)
具体的には、Cin=1の場合、第2パルス時間設定部56は、Cout=6となるまで、第3パルス時間tsをタイマ50に出力する。タイマ50は、第3パルス時間tsを計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。
【0080】
制御信号出力部52は、入力カウント数Cin=1が入力されたとき、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmaxとなるまで、タイマ50から計時時間の時間間隔で入力されるタイマパルス信号TPに従い、カウント制御信号である強制変更命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。出力カウンタ44は、第3パルス時間tsの時間間隔で出力カウント数Cout=4〜6を順次出力する。制御信号出力部52は、出力カウント数Coutがインクリメントされると、タイマ50をリセットする。一方、出力カウント数Coutが6になると、式(5)の条件が成立しなくなるため、第2パルス時間設定部56は、第3パルス時間tsを第2パルス時間t1に切り替え、タイマ50に出力する。タイマ50は、第2パルス時間t1を計時時間として設定する。タイマ50は、計時時間の計時を開始する。この場合、制御信号出力部52は、再び第2パルス時間t1の時間間隔で入力されるタイマパルス信号TPに従い、インクリメント命令(CS)を出力カウンタ44に出力する。
【0081】
このように、出力カウンタ44は、アンテナ16の回転速度が加速された場合であっても、第1方位パルス信号BPinのパルス数に対応したパルス数からなる出力カウント数Coutをパルス変換部46及び信号処理部26に出力する。従って、信号処理部26は、表示部32に対して方位精度の高いレーダ映像を表示させることができる。
【0082】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【0083】
方位パルス信号変換装置34は、第1方位パルス信号BPinの立ち上がりから次の立ち下がりまでのパルス幅である第1パルス時間T、及び、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間である第1パルス時間Tに基づいて第2方位パルス信号BPoutの第2パルス時間tを求め、第2パルス時間tの時間間隔で生成される出力カウント数Coutに従ってレーダエコーを処理するものとしたが、レーダエコーを所望の時間間隔で処理できるのであれば、本発明はこれに限られるものではない。例えば、方位パルス信号変換装置34は、第1方位パルス信号BPinのパルス周期に基づいて第2方位パルス信号BPoutのパルス周期を求め、このパルス周期の時間間隔で生成される出力カウント数Coutに従ってレーダエコーを処理してもよい。かかる場合、入力カウンタ40は、第1方位パルス信号BPinの立ち上がり又は立ち下がりのいずれか一方を検出してカウントし、入力カウント数Cinとして制御信号出力部52に出力することとなる。また、第1基準値Coutmaxは、
Coutmax=INT[(Cin×2+1)×D/N] (9)
として算出することになる。
【0084】
また、第1パルス時間生成部36は、第1方位パルス信号BPinのパルス幅と、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間とをそれぞれ測定しているが、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間を生成できるのであれば、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第1パルス時間生成部36は、パルス幅と、第1方位パルス信号BPinの周期とを測定し、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間を、これらの時間の差分として生成してもよい。
【0085】
また、第2パルス時間設定部38は、第1方位パルス信号BPinのパルス幅と、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間とのそれぞれから第2パルス時間tを設定しているが、第2パルス時間tを設定できるのであれば、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第2パルス時間設定部38は、第1方位パルス信号BPinのパルス幅、又は、第1方位パルス信号BPinの立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間のいずれか一方のみから第2パルス時間tを設定してもよい。
【0086】
また、制御信号出力部52は、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmaxに等しくなった場合、保持命令であるカウント制御信号CSに基づいて、出力カウンタ44から出力される出力カウント数Coutを第1基準値Coutmaxに保持させるものとしたが、出力カウント数Coutを保持できるのであれば、本発明はこれに限られるものではない。かかる場合、出力カウント数Coutが第1基準値Coutmaxに等しい場合において、制御信号出力部52は、出力カウンタ44へのカウント制御信号CSの出力を一旦停止する。そして、出力カウンタ44は、次にカウント制御信号CSが入力されるまで出力カウント数Coutを保持する。例えば、出力カウンタ44は、ラッチ回路を含むもので構成される。
【0087】
また、制御信号出力部52は、式(2)に基づいて第1基準値Coutmaxを設定するものとしたが、方位角度の精度を向上させる出力カウント数Coutを出力できるのであれば、本発明はこれに限られるものではない。例えば、制御信号出力部52は、第1基準値Coutmaxを以下の式(10)に基づいて四捨五入して設定してもよい。かかる場合、出力カウンタ44は、方位角度の精度をさらに向上させる出力カウント数Coutを出力することができる。
Coutmax=INT[(Cin+1)×D/N+0.5] (10)
なお、式(10)に従って第1基準値Coutmaxを設定する場合、例えば、上述した実施形態では、入力カウント数Cin=719のとき、
Coutmax=INT[720×2048/360+0.5]
=4096
となる。そこで、制御信号出力部52は、式(10)に基づく第1基準値Coutmaxが4096となる場合、0≦Coutmax≦4095の範囲となるように、第1基準値Coutmaxを0に設定する。
【符号の説明】
【0088】
10…レーダ装置
12…アンテナ部
14…レーダ処理部
16…アンテナ
18…回転駆動部
20…方位信号生成部
22…送受信部
24…A/D変換部
26…信号処理部
28…レーダエコー記憶部
30…表示制御部
32…表示部
34、54…方位パルス信号変換装置
36…第1パルス時間生成部
38、56…第2パルス時間設定部
40…入力カウンタ
42…カウント制御部
44…出力カウンタ
46…パルス変換部
48…故障判定部
50…タイマ
52…制御信号出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9