【実施例】
【0063】
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。
まず、本発明に係る実施例、比較例における評価方法について、[1]粒子形態、[2]平均粒子径、粒度分布、[3]比表面積、[4]細孔容積の測定、[5]真比重の測定、[6]放射性物質除染剤のセシウム吸着能力確認方法、の順で説明する。
【0064】
[1]粒子形態
放射性物質除染粒子の凝集体の形態は電界放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S−4700形)像により、倍率60,000倍にて確認した。
【0065】
[2]平均粒子径、粒度分布
放射性物質除染粒子の凝集体の平均粒子径および粒度分布は、レーザー回折型粒度分布測定装置(SYMPATEC株式会社製 HELOS&RODOS−KF型)を用いて、レンズ径200mmの条件にて測定した。
【0066】
[3]比表面積
放射性物質除染粒子の凝集体のBET法により求められた比表面積は、ユアサイオニクス株式会社の4ソーブを用いて、一点法で測定した値を採用した。ただし、本試料にはシアン化合物が付着しており、加熱による脱気操作によって、シアン化合物が分解する可能性があるため、脱気操作は行わずに測定を行った。
【0067】
[4]細孔容積の測定
放射性物質除染粒子の凝集体における細孔容積は、試料0.3〜0.5gを水銀圧入法(Micrometitics Instrument Corporation社製のAutoPore IV 9500型)を用いて測定した。
【0068】
さらに特徴がより顕著に表れる、放射性物質除染粒子の表面に存在すると考えられる細孔および凝集体間の空間を表していると考えられる空隙部分をそれぞれ除いた部分を抽出して確認した。<1>細孔直径の下限値、<2>細孔直径の上限値、の順で算出方法について説明する。
【0069】
<1>細孔直径の下限値
放射性物質除染粒子の表層に存在する微細な細孔を除外し、放射性物質除染粒子同士の空隙である細孔について測定を行なう場合は、細孔直径の下限値は透過型電子顕微鏡で確認される放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の径(放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子が針状などの場合には長軸長を指す。以降は単純に放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の径という。)よりも大きい範囲で確認する。ただし、水銀圧入法のデータ収集が断続的になっている場合には、放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の径よりも小さい値を下限値とする。
【0070】
例えば、データが細孔直径204nm、243nm、270nm、315nmの時の細孔容積がそれぞれ算出され、平均した放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の径が250nmの場合、細孔径の下限値は243nmの時の値を採用する。
【0071】
一方、水銀圧入法は圧力を加えながら、細孔に水銀を侵入させ、その量から細孔容積を算出する方法なので、細孔直径の下限値の場合に加えた圧力は最も高い圧力値を示す(したがって、細孔直径は下限値だが、累積値としては最終累積値として与えられる。)
【0072】
<2>細孔直径の上限値
放射性物質除染粒子の凝集体同士の間に存在する空隙部を除くため、細孔直径の上限値は、レーザー型粒子径測定装置で算出される放射性物質除染粒子の凝集体の平均粒子径(D
50)の値よりも小さい範囲とする。ただし、下限値と同様に、水銀圧入法のデータ収集が断続的になっている場合には、その放射性物質除染粒子の凝集体の平均粒子径よりも小さい値を上限値とする。
【0073】
例えば、データが細孔直径6.6μm、5.6μm、4.5μm、3.8μmの時の細孔容積がそれぞれ算出され、D
50が5.3μmの場合、細孔径の上限値は4.5μmの時の値を採用する。ただし、下限値の時と同じ理由から、細孔直径の上限値の場合に加えた圧力は最も小さい圧力値を示す(したがって、細孔直径は上限値だが、累積はこのときの値からの積算値となる。)
【0074】
[5]真比重の測定
放射性セシウム除染剤の真比重は、JIS−R−2205(1992)に記載された、「耐火れんがの見かけ気孔率、吸水率、比重の測定方法」の規定に沿って測定した。
すなわち、供試試料を300μmの篩を全通する程度に粉砕した後、110±5℃の恒温中で乾燥する。当該乾燥試料を、予め秤量した比重瓶に取って秤量後、比重瓶へ純水を添加して温浴中で静かに熱した後に標線まで純水で満たす。そして、重量を秤量し、各測定値から(1)式により算出して求めた。
真比重=(P
1−P)/((P
1−P)−(P
3−P
2))・・・・(1)
ここで、P=比重瓶の質量、P
1=比重瓶に試料を入れたときの質量、P
2=比重瓶に標線まで蒸留水を入れたときの質量、P
3=比重瓶に試料を入れ、蒸留水を標線まで入れたときの質量である。
【0075】
[6]放射性物質除染剤のセシウム吸着能力確認方法
放射性物質除染剤のセシウム吸着能力は、pHを10.7に調整した後に、硫酸セシウムをセシウムとして約100ppmとなるように溶解させた。溶解後の溶液100gを200mLビーカーに注ぎ、実施例等で作成された除染剤粉末0.1gを添加して、常温にて30分間250rpmの条件で攪拌した。処理後の溶液から、除染剤を磁気分離により回収した溶液におけるセシウムの残存量をICP発光分析法(日本ジャーレルアッシュ株式会社製高周波誘導プラズマ発光分析装置(IRIS/AP)を使用)により分析し(2)式にて確認した。
除去率(%)=(試験前濃度−試験後の濃度)/試験前濃度×100・・・・(2)
【0076】
さらに、放射性セシウム含有飛灰40gと水400mLを混合して、24時間攪拌することで、水溶性セシウムを飛灰から分離した。飛灰を懸濁させたまま塩酸にてpHを10.7に調整し、放射線量を測定したあと、除染剤を飛灰重量に対して1/1000になるように添加した。添加後30分間攪拌を継続して、液中の放射性セシウムを除染剤に取り込ませ、処理後の除染剤はネオジム磁石によって回収した。引き続き、除染後の放射線量を測定したのち、除染能力を(除染前の放射線量の値−除染後の放射線量の値)/除染前の放射線量の値×100で算出して、短時間での除染効率を算出した。また、除染剤添加後の処理時間を24時間として、長時間での除染効率も算出している。
【0077】
なお、除染能力については、液の放射能をNaIシンチレーター(Raytest社製 MUCHA)を用いて測定することで、除染前の放射能とした。測定後規定量の除染剤を添加して規定時間攪拌し、液中のセシウムを吸着させてから、磁気分離により除染剤を除いてから、液の放射能を操作前と同様にNaIシンチレーターを用いて測定することで、除去された放射能量を算出した。
【0078】
分配係数は、除染操作前の飛灰中に含有された放射性セシウムが、除染操作により除染剤へ分配・抽出される場合において、放射性セシウムが分配・抽出された除染剤の放射能の、除染操作前の飛灰の放射能に対する比である。従って、分配係数の値が大きければ大きいほど、放射能が除染剤に移行したことを表すものである。具体的には、(3)式により算出した。
分配係数(Kd)=[((処理前の放射能(Bq/kg)/1000)−(処理後の放射能(Bq/kg)/1000))]/[処理後の放射能(Bq/kg)×(飛灰添加量(g)/除染剤の重量(g))]・・・・(3)
【0079】
(実施例1)
1000mL容量のビーカーへ純水540gを注ぎ込み、磁性粒子を含む原料粉末としてDOWAエレクトロニクス株式会社製、平均長軸長235nmの針状鉄−コバルト合金粒子(コバルト/鉄=3.0at%)30gを添加した。そして、高速乳化・分散機(プライミクス株式会社製TKホモミクサーMarkII)を使用して、8000rpmで30分間乳化分散させ、原料粉末の分散スラリーを得た。
【0080】
原料粉末スラリーに、濃度21.3%のアンモニア水2.5gを添加して、pHを塩基性に変えた後、PDDA(ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物、固形分39%)を0.50g添加し、再度、上述した分散機で8000rpmにて30分間乳化分散させ、PDDAの被覆層を形成した磁性粒子のスラリーを得た。
【0081】
得られた被覆層を形成した磁性粒子のスラリーへ、0.5mol/Lのフェロシアン化カリウム水溶液160g、0.49mol/L硫酸ニッケル水溶液220gをそれぞれ添加して、再度、上述した分散機で8000rpmにて30分間乳化を継続し、PDDA付着磁性粉上にフェロシアン化ニッケルを付着させ、放射性物質除染粒子を含むスラリー(固形分濃度約10%)を得た。
【0082】
得られた放射性物質除染粒子を含むスラリーをスタクティックミキサーに装填し、5分間攪拌してスラリーを得た。得られた撹拌スラリーをマイクロミキサーに装填して、PDDA被覆磁性粉上のフェロシアン化ニッケルを、PDDA被覆層上および/または表層内へ十分に密着させる処理を行ってスラリーを得た(本発明において、当該スタクティックミキサーによる攪拌処理とマイクロミキサーによる磁性粒子への被覆処理とを総称して、「MR処理」と表記する場合がある。)。
こうして得られたMR処理後のスラリーを、ノズル型スプレードライヤー(ビュッヒ製ミニスプレードライヤー B−290型)を用いて噴霧乾燥(乾燥条件:入口温度:220℃、噴射圧力:35mmHg、スラリー供給スピード:19%(約200mL/h))し、放射性物質除染粒子の凝集体を得、実施例1に係る放射性物質除染剤を得た。
当該データを表1に記載する。
【0083】
得られた放射性物質除染剤について、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて形状を観察した。当該SEM像を、
図1に示す(
図1(A)は、500倍、(B)は、5000倍である)。
図1より、実施例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体は、球形で表面に凹凸構造をもっているものであることが判明した。
次に、当該放射性物質除染粒子の凝集体に対し、レーザー回折式粒度分布測定を行った結果を
図2に▲でプロットして示す。
図2は、横軸に凝集体の径をとり、縦軸に累積粒度分布をとったグラフである。
図2に示した、実施例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体の粒度分布から、平均凝集径(D
50径)は12.9μm、(D
90径)は23.5μmであり、10μm以下の凝集体の割合は34.5%と計測された。また、BET法により求められた比表面積値は63.9m
2/gであり、真比重値は3.55であった。
【0084】
次に、細孔容積としては、凝集体の細孔容積の累積値が0.63mL/gと算出された。また、実施例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体の平均径(本実施例では細孔径が17.64μm)以下の範囲であって、放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の平均長軸長(本実施例では細孔径が243nm)以上における累積細孔容積は0.37mL/gと算出された、水銀圧入法により算出される細孔の表面積値は39.6m
2/gであった。
また、[水銀圧入法による細孔表面積/BET法により求められた比表面積]の百分率値は、62.0%であった。
当該データを表2に記載する。
【0085】
放射性セシウムによる除染能力確認評価では、30分間の短時間除染試験前の放射能が822.23Bq/kg、除染試験後の放射能が388.09Bq/kgであり、除染能力としては52.8%を示した。
【0086】
また、24時間の長時間除染能力確認評価試験では、除染試験前の放射能が761.93Bq/kg、除染試験後の放射能が231.58Bq/kgであり、除染能力としては69.6%を示した。すなわち、30分間での吸収分離量/24時間の吸収分離量の比率(短時間除去率)は75.9%に達し、30分間程度のわずかな時間でも十分な除染能力を有することがわかった。なお、除染処理後のスラリーを焼却飛灰と溶出液とに分離して、溶出液について放射能を測定したが、検出限界以下の値を示した。
当該データを表3に記載する。
【0087】
(実施例2)
ノズル型スプレードライ装置における噴射圧力を50mmHgとした以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る放射性物質除染剤を得た。
当該データを表1に記載する。
【0088】
得られた放射性物質除染剤について、SEMを用いて放射性物質除染粒子の凝集体の形状について観察した。当該SEM像を、
図3に示す(
図3(A)は、500倍、(B)は、20000倍である。)。
図3より、実施例2に係る放射性物質除染粒子の凝集体は、球形で表面に凹凸構造をもっているものであることが判明した。
次に、当該放射性物質除染粒子の凝集体に対し、レーザー回折式粒度分布測定を行った結果を
図2に△でプロットして示す。
図2に示した、実施例2に係る放射性物質除染粒子の凝集体の粒度分布から平均凝集径(D
50径)は5.1μm、(D
90径)は9.8μmであり、10μm以下の凝集体の割合は91.1%と計測された。また、BET法により求められた比表面積値は62.5m
2/gであり、真比重値は3.38であった。
【0089】
次に、細孔容積としては、凝集体の細孔容積の累積値が0.92mL/gと算出された。
また、実施例2に係る放射性物質除染粒子の凝集体の平均径(本実施例では細孔径が5.53μm)以下であって、放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の平均長軸長(本実施例では細孔径が243nm)以上である範囲における累積細孔容積は、0.52mL/gと算出された。また、水銀圧入法により算出される細孔の表面積値は41.3m
2/gであった。
また、[水銀圧入法による細孔表面積/BET法により求められた比表面積]の百分率値は、66.1%であった。
当該データを表2に記載する。
【0090】
放射性セシウムの除染能力確認評価では、30分間の短時間除染試験前の放射能が728.7Bq/kg、除染試験後の放射能が285.1Bq/kgであり、除染能力としては60.9%を示した。また、24時間の長時間抽出試験では、除染試験前の放射能が761.93Bq/kg、除染試験後の放射能が245.59Bq/kgであり、除染能力としては67.8%を示した。すなわち、30分間での吸収分離量/24時間の吸収分離量の比率(短時間除去率)は89.8%に達し、実施例1と同様、わずかな時間でも十分な除染能力を有することがわかった。なお、除染処理後のスラリーを焼却飛灰と溶出液とに分離して、溶出液について放射能を測定したが、検出限界以下の値を示した。
当該データを表3に記載する。
【0091】
(実施例3)
放射性物質除染粒子を含むスラリーとして固形分濃度5%のものを用い、スプレードライヤーの原液供給速度を17%とし、MR処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、実施例3に係る放射性物質除染剤を得た。
当該データを表1に記載する。
【0092】
実施例3に係る放射性物質除染剤に含まれる放射性物質除染粒子の凝集体の平均凝集径(D
50径)は5.4μm、(D
90径)は10.9μmであり、10μm以下の凝集体の割合は87.1%と計測された。また、BET法により求められた凝集体の比表面積値は58.7m
2/gであり、真比重値は3.18であった。また、得られた凝集体のSEM像を
図4(A)倍率:500倍、(B)2000倍として示す。また、得られた凝集体の断面SEM像(倍率:15000倍)を
図5に示す。これらより明らかなように凝集体の表面のみならず、内部にも細孔が存在していることがわかる。
【0093】
次に、細孔容積としては、凝集体の細孔容積の累積値が0.84mL/gと算出された。実施例3に係る放射性物質除染粒子の凝集体の平均径(本実施例では細孔径が5.53μm)以下の範囲であって、放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の平均長軸長(本実施例では細孔径が243nm)以上における累積細孔容積は0.48mL/gと算出された。また、水銀圧入法により算出される細孔の表面積値は23.0m
2/gであった。
また、[水銀圧入法による細孔表面積/BET法により求められた比表面積]の百分率値は、39.2%であった。
当該データを表2に記載する。
【0094】
放射性セシウムの除染能力確認評価では、30分間の短時間除染試験前の放射能が869.0Bq/kg、除染試験後の放射能が257.3Bq/kgであり、除染能力としては70.4%を示した。また、長時間(24時間)抽出試験では、除染試験前の放射能が886.6Bq/kg、除染試験後の放射能が208.4Bq/kgであり、除染能力としては76.5%を示した。すなわち、30分での吸収分離量/24時間の吸収分離量の比率(短時間除去率)は92.0%に達し、実施例1〜2と同様、わずかな時間でも十分な除染能力を有することがわかる。なお、処理後の飛灰と溶出液を分離して、溶出液について放射能を測定したが、検出限界以下の値を示した。
当該データを表3に記載する。
【0095】
(比較例1)
1000mL容量のビーカーへ純水720gを注ぎ込み、磁性粒子を含む原料粉末としてDOWAエレクトロニクス株式会社製、平均長軸長235nmの針状鉄−コバルト合金粒子(コバルト/鉄=3.0at%)30gを添加した。そして、高速乳化・分散機(プライミクス株式会社製TKホモミクサーMarkII)を使用して、8000rpmで30分間乳化分散させ、原料粉末スラリーを得た。
原料粉末スラリーに、濃度21.3%のアンモニア水2.5gを添加して、pHを塩基性とした後、PDDA(ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物、固形分39%)を0.25g添加し、再度、上述した分散機で8000rpmにて30分間乳化分散させ、PDDAの被覆膜を形成した磁性粒子のスラリーを得た。
得られた被覆膜を形成した磁性粒子のスラリーへ、0.5mol/Lのフェロシアン化カリウム水溶液82g、0.49mol/L硫酸ニッケル水溶液110gをそれぞれ添加して、再度、上述した分散機で8000rpmにて30分間乳化を継続し、PDDA付着磁性粉上にフェロシアン化ニッケルを付着させ、放射性物質除染粒子を含むスラリー(固形分濃度約5%)を得た。
【0096】
得られた放射性物質除染粒子を含むスラリーを噴霧乾燥することなく、No.5Cの硬質濾紙でろ過した後、常温で24時間窒素雰囲気下にて乾燥させて、比較例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体とした。
当該データを表1に記載する。
【0097】
得られた放射性物質除染粒子の凝集体を、窒素雰囲気下、メノウ乳鉢を用いて解粒処理して、比較例1に係る放射性物質除染剤を得た。得られた放射性物質除染剤を窒素雰囲気下で篩わけし、径40〜63μmの凝集体をそれぞれ分取した。
【0098】
得られた放射性物質除染剤について、走査型電子顕微鏡を用いて形状を観察した。当該観察を
図6に示す(
図6(A)は、500倍、
図6(B)は5000倍である。)。
図4より、比較例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体は、不定形で表面に凹凸構造をもっているものであることが判明した。
次に、当該放射性物質除染粒子の凝集体に対し、レーザー回折式粒度分布測定を行った結果を
図2に■でプロットして示す。
図2に示した、比較例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体の粒度分布から平均凝集径(D
50径)は19.4μm、(D
90径)は52.0μmであり、10μm以下の凝集体の割合は31.6%と計測された。また、窒素吸着法による比表面積値は67.5m
2/gであり、真比重値は3.59であった。
【0099】
次に、細孔容積としては、凝集体の細孔容積の累積値が0.46mL/gと算出された。
比較例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体の平均径(本比較例では細孔径が17.6μm)以下の範囲における細孔容積の累積値については、0.29mL/gと算出された。
【0100】
また、比較例1に係る放射性物質除染粒子の凝集体の平均径以下の範囲であって、放射性物質除染粒子の原料である磁性粒子の平均長軸長(本比較例では細孔径が243nm)以上の範囲における細孔容積の累積値は0.28mL/gであった。
また、水銀圧入法により算出される細孔の表面積値は25.3m
2/gであった。
また、[水銀圧入法による細孔表面積/BET法により求められた比表面積]の百分率値は、37.5%であった。
当該データを表2に記載する。
【0101】
また、30分間の短時間除染試験前の放射能が795.4Bq/kg、除染試験後の放射能が565.1Bq/kgであり、除染能力としては29.0%を示した。また、24時間の長時間抽出試験では、除染試験前の放射能が761.93Bq/kg、除染試験後の放射能が269.15Bq/kgであり、除染能力としては64.7%を示した。すなわち、30分間での吸収分離量/24時間の吸収分離量の比率(短時間除去率)は44.8%にとどまった。即ち、長時間液の処理を施すことができれば、十分な除染能力を有するが、短時間の除染操作では、除染能力は不十分であることがわかった。なお、除染処理後のスラリーを焼却飛灰と溶出液とに分離して、溶出液について放射能を測定したが、検出限界以下の値を示した。
当該データを表3に記載する。
【0102】
【表1】
【表2】
【表3】