(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2配線を基準として前記基板の側壁に近い方向である第2配線の外側で、前記静電気分散パターンと前記半導体パターンとが交差する請求項8または9に記載の有機発光表示装置。
前記導電パターン層は、前記半導体パターンと絶縁膜を間において形成され、前記絶縁膜に形成されたコンタクトを介して相互連結される請求項11に記載の有機発光表示装置。
前記ダミー交差配線は、前記ダミー配線が前記ゲートラインと同一層に形成された場合には前記データラインであり得、前記ダミー配線が前記データラインと同一層に形成された場合には前記ゲートラインであり得る請求項15〜20のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
前記半導体パターンと絶縁膜を間において形成され、コンタクトを介して前記半導体パターンと連結された導電パターン層をさらに含む請求項27に記載の有機発光表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点及び特徴、これらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述する実施形態において明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。
【0016】
素子(elements)または層が、他の素子または層の「上(on)」と記述される場合、他の素子の真上または中間に他の素子を介在する場合が含まれる。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指称する。
【0017】
第1、第2などが多様な素子、構成要素を記述するために使用されるが、これら素子、構成要素はこれらの用語によって制限されないことはいうまでもない。これらの用語は、単に一つ構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要であり得ることはいうまでもない。
【0018】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置の母基板の概略上面図である。
図1を参照すると、母基板10は複数のセルCEを含む。各セルCEはマトリックス形状で配列され得る。各セルCEは実質に同一構造および同一サイズを有することができる。
【0020】
各セルCE間の境界には切断線(cutting line:CL)が定義されており、切断線CLに沿って切断した各セルCEは、一つの有機発光表示装置となる。母基板10の周辺部には母基板駆動部11が形成され得る。母基板駆動部11と隣接するセルCEの間にも切断線CLが定義され、母基板駆動部11は切断によってセルCEから分離および除去され得る。
【0021】
母基板10上には複数の信号配線12が形成される。信号配線12の具体的な例としては、ゲートライン、データライン、電源供給ライン、検査配線などが挙げられる。いくつかの信号配線12_1、例えばゲートラインやデータラインは、複数のセルCEを横切る。他のいくつかの信号配線12_2は、特定セルCEを横切らず、特定セルCE内にその末端が位置するか、または特定セルCE内に進入してから曲がって、再び進入してきた方向に戻るように形成される。
【0022】
少なくとも一部の信号配線12は、母基板駆動部11と連結され得る。母基板駆動部11は、信号配線12や信号配線12に直間接的に連結された素子をテストまたはシミュレーションをするための各種電気的信号(電圧や電流)を提供することができる。テストの例として、検査信号を信号配線12に提供し、これに連結された複数のセルCEおよびそれに含まれた複数の画素に対する点灯検査を行うことができる。また、検査信号を信号配線に提供して各セルCEや画素の素子に対してエイジング検査、漏洩電流検査などを行うことができる。
【0023】
前述した母基板駆動部11の代案的な一実施形態またはこれを組み込んだ実施形態は、例えば、プローブ(probe)を利用して電気的信号を印加できる配線パッド部を母基板10の周辺部に設けることを含む。
【0024】
母基板駆動部11や特定セルCEから隣接する他のセルCEに延びて進入または進出した信号配線12は、母基板10を切断線CLに沿って切断する際に共に切断される。したがって、切断されたセルCEの基板(
図2の110)の側壁と切断された信号配線12の端部とは、実質的に相互整列されることになる。
【0025】
母基板10は一面に垂直な方向に切断することができる。したがって、切断されたセルCEにおいて、基板(
図2の110)の側壁は、基板(
図2の110)の一面または他面に対して垂直であり得る。同様に、切断された信号配線12の端部も基板の一面または他面に対して垂直であり得る。さらに、基板(
図2の110)の側壁と信号配線12端部の面とは、同一の平面内に配置され得る。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置の平面配置の概略図であり、
図1の母基板10を切断線に沿って切断することにより得られた一つのセルに対応する有機発光表示装置の平面配置を図示する。
図3は、
図2のA領域の拡大図である。
【0027】
図2および
図3を参照すると、有機発光表示装置100は、表示領域DAおよび非表示領域NDAが定義された基板110を含み得る。表示領域DAには複数の画素PXが配置され得る。各画素PXはマトリックス形状で配列され得、複数の色相のうち何れか一つを表示する画素であり得る。例えば、各画素PXは、赤色画素、緑色画素、青色画素のうち一つであり得る。いくつかの実施形態で、複数の画素PXには白色画素がさらに含まれ得る。
【0028】
一実施形態で、各画素PXは該当する色相に相応する色を発光する発光層を含み得る。例えば、赤色画素は赤色有機発光層を、緑色画素は緑色有機発光層を、青色画素は青色有機発光層を各々含み得る。または、他の実施形態では、各画素PXは白色発光層を含み、光が放出される経路上に赤色、緑色、または青色カラーフィルターが設置され得る。
【0029】
非表示領域NDAは、表示領域DAの周辺部に位置する。
図2では長方形形状の表示領域DAに隣接する2辺の外側に非表示領域を形成した場合を例示するが、一辺の外側にのみ非表示領域を形成したり、または3または4辺の外側に非表示領域を形成したりすることもできる。
【0030】
非表示領域NDAには駆動部111が配置され得る。駆動部111はゲート駆動部(111_1)、データ駆動部(111_2)などを含み得る。駆動部111は、駆動信号を生成して提供するか、または駆動信号の入力を受けて伝達する駆動チップをさらに含み得る。他の実施形態では、駆動チップは、印刷回路基板やフレキシブル印刷回路基板のような外部基板に実装された後、駆動部111に設けられているパッド部に接続することもできる。
【0031】
基板110上には複数の配線が配置される。配線は導電性物質からなる。配線は単一導電膜で形成されるか、または複数の導電膜が積層されてなる。
【0032】
いくつかの配線は、少なくとも一端が基板110の側壁110sに整列したものであり得る。このような配線は、本明細書で基板側壁整列配線AWと指称する。平面図上の基板側壁整列配線AWは、少なくとも一端が基板110のエッジ(edge)まで延びた形態を有する。基板側壁整列配線AWは、当初母基板(
図1の10)上では隣接するセル(
図1のCE)または母基板駆動部(
図1の11)側に延びるが、母基板を切断線(
図1のCL)に沿って切断することによってその端部が基板110の側壁110sに整列されたものであり得る。
【0033】
図4および
図5は、本発明のいくつかの実施形態による基板側壁整列配線の断面図である。
図4は、基板側壁整列配線AW_1の端部の側面AW_1sが少なくとも部分的に鋭角(θ1)に傾斜しており、下段部が基板110の側壁110sに整列した場合を例示する。
図5は、基板側壁整列配線AW_2の端部の側面AW_2sが基板110の一面に対して垂直であり、基板110の側壁110sと実質に平行した場合を例示する。母基板(
図1の10)を切断線(
図1のCL)に沿って切断する際に配線が共に切断される場合、
図5のように基板110の一面を基準に、配線の端部の側面がなす角は、基板110の側壁110sがなす角と同一である。さらに、基板110の側壁110sと切断された基板側壁整列配線AW_2の端部の側面AW_2sは同一平面内に配置され得る。
【0034】
再び
図2および
図3を参照すると、他のいくつかの配線は、すべての端部が基板の側壁に整列しなくてもよい。本明細書ではこのような配線を基板側壁非整列配線NAWと指称する。
【0035】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による基板側壁非整列配線の断面図である。
図6に図示するように、基板側壁非整列配線NAWの端部は、基板110の側壁110sから所定間隔d1で離隔する。基板側壁非整列配線NAWの端部の側面NAWsは、基板110の一面に対して所定の傾斜角、例えば鋭角の傾斜角(θ2)を有することができる。
【0036】
平面図上から見るとき、基板側壁非整列配線NAWは、すべての端部が基板110のエッジまで延びず、エッジから離隔した形状を有する。
【0037】
再び
図2および
図3を参照すると、基板110上に形成されているいくつかの配線は、実際、電気的な信号が印加され、画素、画素内の電極、駆動チップなどのような多様な素子に信号を伝達する信号配線121であり得る。他のいくつかの配線は、母基板では信号が印加されたが、切断された後には駆動信号や検査信号などの信号が印加されないダミー配線122であり得る。ダミー配線122は、信号配線からフローティングされたフローティング配線であり得る。
【0038】
信号配線121は、ゲートライン121_1およびデータライン121_2を含み得る。ゲートライン121_1は第1方向X1に延び、データライン121_2は第1方向X1と交差する第2方向X2に延び得る。前記第1方向X1と第2方向X2とは相互に直交することができる。平面図上でゲートライン121_1とデータライン121_2とは相互に交差するが、これらは絶縁膜を介して互いに異なる層に配置されることによって相互に絶縁され得る。
【0039】
隣接するゲートライン121_1と隣接するデータライン121_2とが交差して定義される領域には、画素PXが配置され得る。すなわち、ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、各々隣接する画素PXの境界に沿って配列され得る。
【0040】
ゲートライン121_1とデータライン121_2とは隣接する画素PXに対応する電極を含み得る。例えば、ゲートライン121_1は、画素PX側に拡張されたゲート電極を含み得る。データライン121_2は、画素PX側に拡張されたソース電極を含み得る。これらの電極は、スイッチング素子の薄膜トランジスタを構成することができる。
【0041】
ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、各々基板110の一側辺から他側辺まで横切るように形成され得る。ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、以下に述べるように、非表示領域NDAに位置し、これらのラインの幅を拡大して形成されたパッド部を含み得る。
【0042】
図7は、
図2のB領域の拡大図である。
図8は、
図2のC領域の拡大図である。
【0043】
図7および
図8を参照すると、ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、各々表示領域の線幅(GW1,DW1)に比べて拡大した幅(GW2,DW2)を有するゲートパッド部121_1pおよびデータパッド部121_2pを含み得る。ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、ゲートパッド部121_1pおよびデータパッド部121_2pを経て基板110の側壁110sまで延び、その端部が側壁110sに整列され得る。すなわち、ゲートライン121_1とデータライン121_2とは、基板側壁整列配線AWであり得る。側壁110sに整列したゲートライン121_1とデータライン121_2との端部の線幅(GW3,DW3)は、表示領域内での線幅(GW1,DW1)と実質的に同一であり得るが、これに制限されない。ゲートパッド部121_1pとデータパッド部121_2pとは省略することができる。
【0044】
以下、ダミー配線およびその周辺構造物についてさらに詳細に説明する。
図9は、
図2のD領域の拡大図である。
図10は、
図9のX−X’線に沿って切断した断面図である。
図2、
図9および
図10を参照すると、ダミー配線122は、一端が基板110の側壁110sに整列し得る。基板110上に複数のダミー配線122が形成され得、この場合複数のダミー配線122のうち少なくとも一部は基板側壁整列配線AWであり得る。
【0045】
ダミー配線122は、基板110の側壁110sを開始点として基板110の内側方向に延びた形態であり得る。いくつかのダミー配線122は、画素PXが配置された表示領域DAまで延び得る。これに制限されるものではないが、ダミー配線122は、ゲートライン121_1またはデータライン121_2と同一層に形成され得る。この場合、ダミー配線122は、ゲートライン121_1またはデータライン121_2と同一な物質を利用して同一工程により形成され、同一積層構造を有することができる。
【0046】
ダミー配線122は、ダミー交差配線124と一つ以上のスポットSP1で絶縁されて交差することができる。ダミー交差配線124は、非表示領域NDAに位置することができ、ダミー配線122と相異なる層に形成され得る。ダミー交差配線124とダミー配線122との間には、絶縁膜130が介在することができる。なお、スポットとは、複数の配線が、基板110の垂直方向に重畳する部分を指す。
【0047】
ダミー交差配線124は、ゲートライン121_1またはデータライン121_2などのような信号配線であり得る。例えば、ダミー配線122がゲートライン121_1と同一層に形成された場合、ダミー交差配線124はデータライン121_2であり得る。これに対し、ダミー配線122がデータライン121_2と同一層に形成された場合、ダミー交差配線124はゲートライン121_1であり得る。代案的な一実施形態で、ダミー交差配線124は、信号が印加されない他のダミー配線であり得る。
【0048】
ダミー交差配線124は、交差するダミー配線122が整列されている基板110の側壁110sの延長方向と同一方向に沿って延び得る。例えば、基板110の一側壁110sが第2方向X2に沿って形成されており、ダミー配線122はその側壁110sを開始点として第2方向X2に垂直な第1方向X1に延び、ダミー交差配線124は第2方向X2に延び得る。
【0049】
ダミー配線122の近隣には静電気分散パターン126が形成され得る。静電気分散パターン126は、ダミー配線122とは離隔し、ダミー交差配線124に対して一つ以上のスポット(SP2,SP3)で絶縁されて交差することができる。ダミー交差配線124と静電気分散パターン126との間には、絶縁膜130が介在することができる。基板側壁整列配線AWとして複数本のダミー配線122が備えられる場合、これに制限されないが、静電気分散パターン126は、各ダミー配線122に一対一に対応するように形成され得る。
【0050】
静電気分散パターン126は、例えば導電性物質からなる。静電気分散パターン126はダミー交差配線124が交差する隣接したダミー配線122と同一層に形成され得、さらにダミー配線122と同一物質を利用して同一工程により形成され得る。
【0051】
ダミー配線122と静電気分散パターン126とは、ゲートライン121_1と同一層に同一物質で形成され得る。この場合、ダミー交差配線124は、データライン121_2であるかまたはこれと実質に同一延長方向を有する信号配線またはダミー配線であり得る。他の実施形態で、ダミー配線122と静電気分散パターン126とは、データライン121_2と同一層に同一物質で形成され得る。この場合、ダミー交差配線124は、ゲートライン121_1であるかまたはこれと実質に同一延長方向を有する信号配線またはダミー配線であり得る。
【0052】
積層構造に関する例示的な実施形態で、基板110上にダミー配線122と静電気分散パターン126とが形成され、これらを絶縁膜130が覆い、絶縁膜130上にダミー交差配線124が形成され得る。
【0053】
静電気分散パターン126は、基板110の側壁110sに整列しない基板側壁非整列配線NAWであり得る。すなわち、静電気分散パターン126は、基板110の側壁110sから内側に離隔して配置され、また非表示領域NDA内に配置され得る。さらに、静電気分散パターン126は、他の信号配線や駆動回路と離隔して形成されるかまたは、信号配線の密度が低い領域に形成され得る。
【0054】
静電気分散パターン126は、閉曲線形状で形成され得る。この場合、静電気分散パターン126とダミー交差配線124とが相互絶縁されて交差するスポット(SP2,SP3)は、複数個であり得る。図面に例示する交差スポット(SP2,SP3)の数は2個である。
【0055】
例示的な実施形態で、静電気分散パターン126は長方形形状であり得る。静電気分散パターン126の相互対向する第1辺126_1および第3辺126_3はダミー交差配線124と交差し、第2辺126_2はダミー交差配線124の外側に位置し、第4辺126_4はダミー交差配線124の内側に位置することができる。ここで、ダミー交差配線124の外側とはダミー交差配線124を基準として基板の側壁に近い方向を意味し、ダミー交差配線124の内側とはダミー交差配線124を基準として基板110の側壁110sから遠ざかる方向、すなわち、基板110の中央部に向かう方向を意味する。
【0056】
静電気分散パターン126は、ダミー配線122の延長方向と実質に同一方向に延びた部分を含み得る。
図9の場合、第1辺126_1および第3辺126_3がダミー配線122と実質に同一方向に延びている。静電気分散パターン126とこれに最も隣接するダミー配線122との間には、ダミー配線122の延長方向と同一延長方向を有する他の配線が介在しなくてもよい。
【0057】
静電気分散パターン126は少なくとも一つの隅部(角の領域)を含み得る。図面に例示する隅部の数は4個である。各隅部は相対的に尖って形成されることによって、静電気を誘導する役割を果たす。例示的な実施形態において、静電気分散パターン126の少なくとも一つまたはすべての隅部の内角は、直角または鋭角であり得る。
【0058】
以下、前述した有機発光表示装置での静電気の進行経路について説明する。
図2、
図9および
図10を参照すると、基板側壁整列配線AWのダミー配線122は、有機発光表示装置100のエッジまで延びており、その一端が基板110側壁の110sに整列されているので、ダミー配線122の側面は外部に直接露出され得る。
【0059】
有機発光表示装置100の外部では、様々な状況で静電気が発生し得る。例えば、有機発光表示装置100をテストしたり、パッケージングしたりする場合、または有機発光表示装置100の保管や正常な使用中にも、外部静電気が発生し得る。外部で発生した静電気は、有機発光表示装置100内部に印加され得る。外部から静電気が流入する開始点は、有機発光表示装置100の外部表面になるであろう。静電気は導電性物質を介して良く伝達される。したがって、有機発光表示装置100の表面のうち導電性物質からなる面は、静電気流入の主な経路になる。
【0060】
前述したように、基板側壁整列配線AWであるダミー配線122は導電性物質からなっており、その側面が外部に直接露出しているため、これを介して外部の静電気が装置内に流入され得る。流入された静電気は、ダミー配線122に沿って伝達され得る。ダミー配線122が表示領域DAまで延びていれば、静電気は表示領域DAまで伝達されるであろう。表示領域DAに伝達される静電気の量が多ければ、隣接する画素PXの素子または信号配線にダメージを与える。
【0061】
一方、ダミー配線122に沿って伝達される静電気の一部は、交差配線124との交差スポットSP1でダミー交差配線124側に伝達され得る。その結果、ダミー配線122の延長方向に沿って表示領域DA側に流入する静電気の量が少なくなり、画素の素子または信号配線のダメージを減少することができる。ダミー配線122とダミー交差配線124とは、たとえ電気的に連結されず絶縁されているが、これらが最も近接する交差スポットSP1では、ダミー配線122の静電気は、隣接する交差配線124でジャンプして伝達され得る。
【0062】
交差配線124にジャンプした静電気は、交差配線124の延長方向に沿って伝達される。交差配線124を介して伝達される静電気が静電気分散パターン126との交差スポット(SP2,SP3)に至ると、その一部が静電気分散パターン126側にジャンプして伝達され得る。静電気分散パターン126に伝達された静電気は、静電気分散パターン126の延長方向に沿って分散され得る。外部から流入した静電気の一部を静電気分散パターン126に伝達させることによって、ダミー配線122を介して表示領域DAに伝達される静電気の量をさらに減少して、表示領域DAへのダメージを低減できる。静電気分散パターン126が非表示領域NDAに位置し、他の信号配線や駆動回路と離隔して形成されるか、または信号配線の密度が低い領域に形成される場合、静電気分散パターン126に静電気が伝達されても全体的な有機発光表示装置100に及ぼす影響は微小である。
【0063】
一方、静電気分散パターン126に伝達された静電気は、静電気分散パターン126の隅部に集中するが、この場合、エネルギーが集中することによって静電気分散パターン126の隅部が溶けるかまたは焦げてしまう場合もある。しかし、静電気分散パターン126が一部損傷しても、これ自体は有機発光表示装置100の表示品質に影響を与えず、また静電気分散パターン126の形成位置が相対的に他素子との距離が遠いため、他の素子に直接的な影響を与えないので大きな問題にならない。むしろ、表示品質に与える影響を最小化し、かつ外部から流入した強力なエネルギーを効果的に放出させる役割を果たしたものと評価することができる。
【0064】
図11は、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置の部分断面図である。
図11は、
図9と同一の平面配置を有する一方で
図10の実施形態以外の多様な積層構造を有し得ることを例示する。
図11を参照すると、本実施形態による有機発光表示装置は、基板110上にダミー交差配線124が形成され、これを絶縁膜130が覆い、絶縁膜130上にダミー配線122と静電気分散パターン126とが形成される。他の構成は
図10の実施形態と実質に同様であるため重複説明は省略する。
【0065】
図12は、本発明のまた他の実施形態による有機発光表示装置の平面配置の概略図である。
図13は、
図12のXIII−XIII’線に沿って切断した断面図である。
【0066】
図12および
図13を参照すると、本実施形態による有機発光表示装置は、静電気分散パターン126にオーバーラップした半導体パターン140をさらに含む点が
図9の実施形態と異なる。
【0067】
半導体パターン140は、所定の長さを有する少なくとも一つのライン(辺)を含み、少なくとも一つの当該ラインが静電気分散パターン126と交差するように形成され得る。例示的な実施形態では、半導体パターン140は、第1辺140_1、第2辺140_2、第3辺140_3および第4辺140_4を含む。第1辺140_1、第2辺140_2、第3辺140_3および第4辺140_4のうち何れか一つは他の一つと物理的に連結することができる。
【0068】
半導体パターン140の第2辺140_2と第4辺140_4は、相互に平行し、交差スポット(SP4,SP5)で静電気分散パターン126の第2辺126_2と垂直に交差し得る。半導体パターン140の第1辺140_1と第3辺140_3は、相互に平行であり、交差配線124と実質的に平行であり得る。半導体パターン140の第1辺140_1と第3辺140_3は、第2辺140_2と第4辺140_4の両側端部からさらに外側に突出し得る。4個の突出した部分は長方形形状の実質的な隅部を構成するが、このような隅部は静電気を集中させる役割を果たす。
【0069】
半導体パターン140は非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンや、酸化物半導体で形成され得、画素に備えられる薄膜トランジスタのチャンネル領域を構成する物質と同一物質で形成され得る。
【0070】
なお、本実施形態では、半導体パターン140が、ダミー交差配線124の外側に位置する静電気分散パターン126の第2辺126_2と交差するように形成された場合を例示した。しかし、本発明はこれに制限されず、半導体パターン140は、静電気分散パターン126の第4辺126_4、第1辺126_1または、第3辺126_3と交差するように形成され得、互いに異なる辺と交差する2個以上の半導体パターンが形成され得る。さらに、一つの辺を交差する2個以上の半導体パターンが形成され得る。以上で例示的に列挙された半導体パターンの数および位置はさらに多様に組み合わせることもできる。
【0071】
また、図面で例示する半導体パターン140の形状は、実質的な長方形形状である。しかし、本発明はこれに制限されるものではなく、静電気分散パターン126と交差する少なくとも一つのライン形状に形成され得る。
【0072】
図13に示すように、ダミー配線122と静電気分散パターン126との間には第1絶縁膜130_1が介在し、半導体パターン140と静電気分散パターン126との間には第2絶縁膜130_2が介在することができる。第1絶縁膜130_1は、前述した
図10および
図11の絶縁膜130と実質的に同一である。第2絶縁膜130_2としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜またはこれらの組合せを積層した積層膜が適用され得る。第2絶縁膜130_2は、半導体パターン140を覆うだけでなく、これに制限されるものではないが、基板110の全面を覆う。この場合、ダミー配線122と静電気分散パターン126とは、第2絶縁膜130_2上に形成され得る。
【0073】
例示的な実施形態では、第1絶縁膜130_1は画素に備えられた薄膜トランジスタ層間絶縁膜と同一な物質で形成され、第2絶縁膜130_2は画素に備えられた薄膜トランジスタのゲート絶縁膜と同一物質で形成され得る。
【0074】
本実施形態において、ダミー配線122を介して流入した外部静電気が、静電気分散パターン126に伝達されることは
図9の実施形態と実質的に同一である。本実施形態の場合は、さらに進んで、静電気分散パターン126で分散する静電気の一部がこれと交差する半導体パターン140にジャンプしてさらに分散することができる。したがって、ダミー配線122を介して表示領域DAの内部に流入する静電気の量をより効果的に分散および減少させることができる。半導体パターン140が非表示領域NDAに位置する場合、半導体パターン140に静電気が伝達されても、全体的な有機発光表示装置に及ぼす影響は微小である。すなわち、半導体パターン140にエネルギーが集中してパターンが焦げてしまうなどの損傷を受けても、全体的な有機発光表示装置に及ぼす影響が小さいことは前述した通りである。
【0075】
なお、前述した半導体パターン140は、導電性物質からなる導電パターンに置換され得る。この場合にも実質に同一の静電気分散メカニズムが作用することは勿論である。
【0076】
図14は、本発明のまた他の実施形態による有機発光表示装置の平面配置の概略図である。
図15は、
図14のXV−XV’線に沿って切断した断面図である。
【0077】
図14および
図15を参照すると、本実施形態による有機発光表示装置は、半導体パターン140に電気的に連結された導電パターン層150をさらに含むことが
図12の実施形態と異なる。
【0078】
導電パターン層150は、半導体パターン140と異なる層に形成され得る。導電パターン層150と半導体パターン140との間には、少なくとも一つの絶縁膜が介在することができる。例示的な実施形態で、導電パターン層150と半導体パターン140との間の絶縁膜は、第1絶縁膜130_1であり得る。導電パターン層150は、ダミー交差配線124と同一層に形成され得る。また、導電パターン層150はダミー交差配線124と同一物質で形成され得る。
【0079】
導電パターン層150は、半導体パターン140の第1辺140_1と少なくとも部分的にオーバーラップ(重畳)した第1導電パターン層150_1、および半導体パターン140の第3辺140_3と少なくとも部分的にオーバーラップした第2導電パターン層150_2を含み得る。第1導電パターン層150_1と第2導電パターン層150_2とは、相互から物理的に離隔し得る。また、第1導電パターン層150_1および第2導電パターン層150_2は、ダミー交差配線124と実質に平行する延長方向を有し得るが、これに制限されない。
【0080】
導電パターン層150と半導体パターン140がオーバーラップした領域には、コンタクト(151_1,151_2,151_3,151_4)が形成される。導電パターン層150と半導体パターン140とは、コンタクト(151_1,151_2,151_3,151_4)を介して相互電気的に連結することができる。コンタクト(151_1,151_2,151_3,151_4)は、第1絶縁膜130_1と第2絶縁膜130_2とを貫くコンタクトホール内に導電物質を埋め込んでなる。コンタクト(151_1,151_2,151_3,151_4)の構成物質は、導電パターン層150の構成物質と同一であり得る。
【0081】
なお、静電気分散パターン126、半導体パターン140および導電パターン層150は、薄膜トランジスタの形状を有することができる。
【0082】
本実施形態によれば、ダミー配線122を介して流入した外部静電気が半導体パターン140まで伝達されるだけではなく、半導体パターン140に伝達された静電気の一部がコンタクト(151_1,151_2,151_3,151_4)を介して導電パターン層150側にさらに伝達され得る。したがって、静電気が導電パターン層150までさらに分散し、ダミー配線122を介して表示領域DAの内部に流入する静電気の量を効果的に分散および減少させることができる。導電パターン層150が非表示領域NDAに位置する場合、導電パターン層150に静電気が伝達されても全体的な有機発光表示装置に及ぼす影響は微小である。さらに、導電パターン層150にエネルギーが集中して、導電パターン層150の両断が焦げてしまうなど損傷を受けても全体的な有機発光表示装置に及ぼす影響が小さいのは勿論である。
【0083】
図16は、本発明の例示的な実施形態による有機発光表示装置の画素領域と静電気分散と領域を比較して図示する断面図である。
図16では静電気分散領域が
図15と実質に同一断面構造を有する場合を例えて説明するが、前述した他の多様な形態に置換して適用され得るのはもちろんである。
【0084】
図16を参照すると、基板100の上面にバッファ層112が形成され得る。バッファ層112は、基板110から侵入する水分または不純物の拡散を防止することができる。
【0085】
画素領域Iのバッファ層112上には半導体層142が形成され、静電気分散領域IIのバッファ層112上には半導体パターン140(140_4)が形成される。半導体層142は、ゲート電極128とオーバーラップしたチャンネル領域、チャンネル領域両端に不純物が高濃度でドーピングされたソース/ドレイン領域を含み得る。半導体層142および半導体パターン140は、例えば非晶質シリコン層を結晶化したポリシリコン層で形成され得る。
【0086】
半導体層142および半導体パターン140上には、第1絶縁膜130_1が形成され得る。第1絶縁膜130_1はゲート絶縁膜であり得る。
【0087】
画素領域Iの第1絶縁膜130_1上にはゲート電極128が形成され得る。ゲート電極128は、半導体層142とオーバーラップするように形成され得る。また、静電気分散領域IIの第1絶縁膜130_1上には、静電気分散パターン126(126_1、126_2)およびダミー配線122が形成され得る。静電気分散パターン126は、一部が半導体パターン140とオーバーラップするように形成され得る。ゲート電極128、静電気分散パターン126およびダミーパターン122は各々同一層に形成され、同一物質から形成され得る。
【0088】
ゲート電極128、静電気分散パターン126およびダミー配線122上には、第2絶縁膜130_2が形成され得る。第2絶縁膜130_2は層間絶縁膜であり得る。
【0089】
画素領域Iの第2絶縁膜130_2上にはソース電極154_1およびドレイン電極154_2が形成され得る。また、静電気分散領域IIの第2絶縁膜130_2上には第1導電パターン層150_1および第2導電パターン層150_2が形成され得る。ソース電極154_1およびドレイン電極154_2は、第2絶縁膜130_2および第1絶縁膜130_1を貫くコンタクトホール(155_1,155_2)を介して下部の半導体層142と連結し、第1導電パターン層150_1および第2導電パターン層150_2はコンタクトホール(151_1,151_3)を介して下部の半導体パターン140と連結することができる。
【0090】
ソース電極154_1およびドレイン電極154_2、第1導電パターン層150_1および第2導電パターン層150_2は各々同一層に形成され、同一物質からなりうる。
【0091】
ソース電極154_1およびドレイン電極154_2、第1導電パターン層150_1および第2導電パターン層150_2上には、平坦化膜160が形成され得る。
【0092】
画素領域Iの平坦化膜160上には画素電極の第1電極170が形成され得る。第1電極170は平坦化膜160に備えられるコンタクトホール162を介してドレイン電極154_2と連結することができる。
【0093】
第1電極170上には画素定義膜180が形成され得る。画素定義膜180は第1電極170の一部を露出させることができる。画素定義膜180により露出した第1電極170上には有機発光層185が位置することができる。有機発光層185上には共通電極の第2電極190が形成され得る。第2電極190の静電気分散領域IIまで延長され形成され得る。
【0094】
前述した第1電極170はアノード電極であり、第2電極190はカソード電極であり得、逆に第1電極170がカソード電極であり、第2電極190がアノード電極であってもよい。
【0095】
前面発光型有機発光表示装置の場合、第1電極170は反射型導電膜で形成され、第2電極190は透過型導電膜で形成され得る。これに対し、背面発光型有機発光表示装置の場合、第1電極170は透過型導電膜で形成され、第2電極190は反射型導電膜で形成され得る。
【0096】
以上添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、上記実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。