特許第6262461号(P6262461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262461
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20180104BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F24F13/02 D
   F24F13/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-151979(P2013-151979)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-21694(P2015-21694A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021682
【氏名又は名称】株式会社三功工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 和弘
(72)【発明者】
【氏名】村松 宏
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−310254(JP,A)
【文献】 特開2007−127376(JP,A)
【文献】 特開平04−143544(JP,A)
【文献】 特開昭55−003557(JP,A)
【文献】 特開2007−017066(JP,A)
【文献】 特開平06−002938(JP,A)
【文献】 特開平08−094161(JP,A)
【文献】 特開2002−022252(JP,A)
【文献】 特開平03−102134(JP,A)
【文献】 米国特許第05199461(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F24F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の相互に異なる場所に開口する冷気吹き出し口(12)および暖気吹き出し口(13)に、室外の空調機(20)から供給される調和空気を、空気温度に応じて切換えて供給するようにした空気調和装置において、
前記空調機(20)から供給される調和空気が導かれる入口(31)、前記冷気吹き出し口(12)に通じる冷気用出口(32)、ならびに前記暖気吹き出し口(13)に通じる暖気用出口(33)を有する流路切換箱(22)と、前記冷気用出口(32)および前記暖気用出口(33)の一方を閉じた状態では他方を開くようにして前記冷気用出口(32)および前記暖気用出口(33)を開閉可能な弁体(40)と、前記弁体(40)に連動、連結されるガイド板(67)と、前記入口(31)から前記流路切換箱(22)内に導入される調和空気の温度に応じた容積変化が可能なワックス(49)が収容されるケース(50)ならびに前記ワックス(49)の容積変化に応じて前記ケース(50)からの突出量を変化させるピストン(51)を有して前記流路切換箱(22)内に収容、固定される駆動手段(48)とを備え、
前記流路切換箱(22)が、前記入口(31)が形成される第1の側壁(23)と、前記冷気用出口(32)および前記暖気用出口(33)が並列して形成されるとともに第1の側壁(23)に対向する第2の側壁(24)とを有し、
前記弁体(40)が、前記冷気用出口(32)を前記流路切換箱(22)の内側から開閉可能な平板状の冷気用出口側弁部(41)と、この冷気用出口側弁部(41)に所定の角度をなすように連設されて、前記暖気用出口(33)を前記流路切換箱(22)の内側から開閉可能な平板状の暖気用出口側弁部(42)と、それらの弁部(41,42)の連設部に固着されて前記冷気用出口(32)と前記暖気用出口(33)との間に配置される弁軸(43)と、を有して前記流路切換箱(22)内に収容され、
前記ガイド板(67)が、前記弁体(40)および前記第1の側壁(23)間の前記入口(31)に対向する位置で前記流路切換箱(22)内に配置されて、前記入口(31)から導入される前記調和空気を、前記冷気用出口(32)および前記暖気用出口(33)のうちの開度が大きい方にガイドするようにして前記弁体(40)に連動、連結され、
前記ワックス(49)の容積が大となるのに応じて前記暖気用出口(33)の開度を大きくするとともに前記冷気用出口(32)の開度を小さくするように前記弁体(40)を駆動すべく、前記ピストン(51)が前記弁体(40)に連結されることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
記弁体(40)が、前記冷気用出口側弁部(41)で前記冷気用出口(32)を閉じる側にばね付勢されつつ前記流路切換箱(22)で開閉可能に支承され、前記ワックス(49)の容積が大となるのに応じて前記ケース(50)からの突出量が大となる前記ピストン(51)が、前記ケース(50)から突出する方向の力を前記ばね付勢方向とは逆方向から及ぼすようにして前記弁体(40)に連結されることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の相互に異なる場所に開口する冷気吹き出し口および暖気吹き出し口に、室外の空調機から供給される調和空気を、空気温度に応じて切換えて供給するようにした空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室外に配置される空調機からの調和空気を、室内の異なる場所に開口する冷気吹き出し口および暖気吹き出し口に、室内の温度を計測する温度センサの検出値に応じて切換えて供給するようにした空気調和装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−2596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、温度センサの検出値に応じて制御手段がファン等を制御することで冷気吹き出し口および暖気吹き出し口への調和空気の供給を切換えるようにしており、部品点数が多くなるととも構成が複雑となり、コストの増大を招くことになる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、室内の異なる場所に配置される冷気吹き出し口および暖気吹き出し口への調和空気の供給切換を、簡単かつ低コストの構造で達成し得るようにした空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、室内の相互に異なる場所に開口する冷気吹き出し口および暖気吹き出し口に、室外の空調機から供給される調和空気を、空気温度に応じて切換えて供給するようにした空気調和装置において、前記空調機から供給される調和空気が導かれる入口、前記冷気吹き出し口に通じる冷気用出口、ならびに前記暖気吹き出し口に通じる暖気用出口を有する流路切換箱と、前記冷気用出口および前記暖気用出口の一方を閉じた状態では他方を開くようにして前記冷気用出口および前記暖気用出口を開閉可能な弁体と、前記弁体に連動、連結されるガイド板と、前記入口から前記流路切換箱内に導入される調和空気の温度に応じた容積変化が可能なワックスが収容されるケースならびに前記ワックスの容積変化に応じて前記ケースからの突出量を変化させるピストンを有して前記流路切換箱内に収容、固定される駆動手段とを備え、前記流路切換箱が、前記入口が形成される第1の側壁と、前記冷気用出口および前記暖気用出口が並列して形成されるとともに第1の側壁に対向する第2の側壁とを有し、前記弁体が、前記冷気用出口を前記流路切換箱の内側から開閉可能な平板状の冷気用出口側弁部と、この冷気用出口側弁部に所定の角度をなすように連設されて、前記暖気用出口を前記流路切換箱の内側から開閉可能な平板状の暖気用出口側弁部と、それらの弁部の連設部に固着されて前記冷気用出口と前記暖気用出口との間に配置される弁軸と、を有して前記流路切換箱内に収容され、前記ガイド板が、前記弁体および前記第1の側壁間の前記入口に対向する位置で前記流路切換箱内に配置されて、前記冷気用出口が開くときは前記入口から導入される前記調和空気を前記冷気用出口側にガイドし、前記暖気用出口が開くときは前記入口から導入される前記調和空気を前記暖気用出口にガイドするようにして前記弁体に連動、連結され、前記ワックスの容積が大となるのに応じて前記暖気用出口の開度を大きくするとともに前記冷気用出口の開度を小さくするように前記弁体を駆動すべく、前記ピストンが前記弁体に連結されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記弁体が、前記冷気用出口側弁部で前記冷気用出口を閉じる側にばね付勢されつつ前記流路切換箱で開閉可能に支承され、前記ワックスの容積が大となるのに応じて前記ケースからの突出量が大となる前記ピストンが、前記ケースから突出する方向の力を前記ばね付勢方向とは逆方向から及ぼすようにして前記弁体に連結されることを第2の特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、流路切換箱内に収容、固定される駆動手段が、流路切換箱内に供給される調和空気の温度に応じてピストンのケースからの突出量を変化させるように作動し、その駆動手段によって弁体が駆動されることによって冷気用出口および暖気用出口の開度が変化するので、空気温度を検出する温度センサが不要であり、また弁体を駆動するアクチュエータを制御する制御手段も不要となり、簡単かつ低コストの構造で冷気吹き出し口および暖気吹き出し口への調和空気の供給切換を自然に行うことができる。
【0009】
しかも、弁体に連動、連結されるガイド板が、第1の側壁に形成される入口から導入される調和空気を、冷気用出口および暖気用出口のうちの開度が大きい方にガイドするようにして、第1の側壁と、弁体および第1の側壁間で入口に対向して流路切換箱内に配置されるので、入口から流路切換箱内に導入された調和空気を冷気用出口および暖気用出口のうち開度が大きい側に効率よく流通させることができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば、冷気用出口側弁部および暖気用出口側弁部を有するとともに冷気用出口側弁部で冷気用出口を閉じる側にばね付勢される弁体に、ワックスの容積が大となるのに応じてケースからの突出量が大となるようにして駆動手段が備えるピストンが、そのケースから突出方向の力をばね付勢方向とは逆方向から及ぼすようにして連結されるので、弁体を駆動する構造を簡略化することができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】空気調和装置の全体構成を示す縦断面図である。
図2図1と同一方向から見た流路切換箱の拡大正面図である。
図3図2の3矢視図である。
図4】暖気用出口の開度を大とした状態での図2の4−4線断面図である。
図5】冷気用出口の開度を大とした状態での図4に対応した断面図である。
図6図4の6−6線拡大断面図である。
図7図4の要部拡大図である。
図8図4の8−8線拡大断面図である。
図9図4の9−9線拡大断面図である。
図10図2の10−10線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図1図10を参照しながら説明すると、先ず図1において、たとえば病院の病室11の相互に異なる場所に、冷気吹き出し口12および暖気吹き出し口13が設けられており、この実施の形態では、前記病室11の天井14に冷気吹き出し口12が設けられ、前記病室11の壁15の床面16に近い下部に暖気吹き出し口13が設けられる。また前記天井14の上面には、前記冷気吹き出し口12を上方から覆うようにして冷気用ケース17が取付けられ、前記壁15の外面には前記暖気吹き出し口13を外方から覆うようにして暖気用ケース18が取付けられる。
【0013】
前記天井14の上方の躯体19には、前記病室11の外部に配置される空調機20が固定されており、この空調機20に供給ダクト21の上流端部が接続される。また前記躯体19には、流路切換箱22が固定されており、前記空調機20から前記供給ダクト21を介して導かれる調和空気は前記流路切換箱22に導入され、調和空気の温度に応じて前記流路切換箱22内で分配される調和空気が、前記冷気吹き出し口12および前記暖気吹き出し口13の少なくとも一方に前記流路切換箱22から導かれる。
【0014】
図2図5を併せて参照して、前記流路切換箱22は、相互に対向する平板状の第1および第2の側壁23,24と、第1および第2の側壁23,24と直交する平面に沿う平板状に形成されて相互に対向するとともに第1および第2の側壁23,24に締結される第3および第4の側壁25,26と、第1〜第4の側壁23〜26の下端部に共通に締結される底壁27と、第1〜第4の側壁23〜26の上端部に共通に締結される天井壁28とで矩形の箱状に形成される。
【0015】
この流路切換箱22の前記天井壁28には、複数個たとえば4個の取付け板29が、流路切換箱22から側方に突出するようにして締結されており、それらの取付け板29が前記躯体19に締結される。
【0016】
第1の側壁23の中央部には、前記供給ダクト21の下流端部が接続される入口側接続筒30が溶接等によって固着される。この入口側接続筒30は、第1の側壁23を貫通して第1の側壁23に固着される短円筒状の第1円筒部30aと、第1の側壁23から離反するにつれて小径となるように形成されて第1円筒部30aの外端に連なるテーパ筒部30bと、該テーパ筒部30bの小径端に一端が連なる第2円筒部30cとが同軸にかつ一体に連なって成るものであり、第2円筒部30cの外端部に前記供給ダクト21の下流端部が接続される。また入口側接続筒30の第1円筒部30aは円形の入口31を形成するものであり、前記空調機20から前記供給ダクト21を介して導かれる調和空気が前記入口31から前記流路切換箱22内に導入されることになる。
【0017】
第1の側壁23に対向する第2の側壁24には、冷気用出口32を形成する冷気用出口側接続筒34と、暖気用出口33を形成する暖気用出口側接続筒35とが、冷気用出口32および暖気用出口33を相互に並列させるようにしつつ、第2の側壁24を貫通するようにして溶接等によって固着される。
【0018】
再び図1に注目して、前記冷気用出口側接続筒34の外端部には冷気用ダクト36の上流端部が接続され、この冷気用ダクト36の下流端部は前記冷気用ケース17に接続される。すなわち冷気用出口32からの調和空気は前記冷気用ダクト36および前記冷気用ケース17を介して前記冷気用吹き出し口から病室11に吹き出される。また前記暖気用出口側接続筒35の外端部には暖気用ダクト37の上流端部が接続され、この暖気用ダクト37の下流端部は前記暖気用ケース18に接続される。すなわち前記暖気用出口33からの調和空気は前記暖気用ダクト37および前記暖気用ケース18を介して前記暖気用吹き出し口から病室11に吹き出される。
【0019】
前記流路切換箱22内には、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33の一方を閉じた状態では他方を開くようにして前記冷気用出口32および前記暖気用出口33を開閉可能な弁体40が収容される。
【0020】
前記弁体40は、前記冷気用出口32を流路切換箱22の内側から開閉可能な平板状の冷気用出口側弁部41と、前記暖気用出口33を流路切換箱22の内側から開閉可能な平板状の暖気用出口側弁部42と、それらの弁部41,42の連設部に固着されて冷気用出口32と暖気用出口33との間に配置される弁軸43とを有する。前記冷気用出口側弁部41および前記暖気用出口側弁部42は、図4で示すように、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33の一方である前記冷気用出口32を前記冷気用出口側弁部41で閉じた状態では他方である前記暖気用出口33が開き、図5で示すように、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33の一方である前記暖気用出口33を前記暖気用出口側弁部42で閉じた状態では他方である前記冷気用出口32が開くようにして、相互に所定の角度をなすようにして一体に連設される。
【0021】
前記冷気用出口側弁部41および前記暖気用出口側弁部42の連設部は、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33間の中央部に配置されており、その連設部が弁軸43に固定される。
【0022】
図6を併せて参照して、前記弁軸43は、前記流路切換箱22の前記底壁27および前記天井壁28を回動自在に貫通しており、前記弁軸43の下部を貫通させる第1下部規制部材45が前記底壁27の上面に摺接するようにして前記弁軸43に固定され、前記弁軸43の上部を貫通させる第1上部規制部材45が前記天井壁28の下面に摺接するようにして前記弁軸43に固定される。これにより前記弁体40は、図4で示すように、前記冷気用出口32を前記冷気用出口側弁部41で閉じる位置と、図5で示すように、前記暖気用出口33を前記暖気用出口側弁部42で閉じる位置との間で回動可能となる。
【0023】
しかも前記冷気用出口側接続筒34の内端部には、前記冷気用出口側弁部41を当接させて前記冷気用出口32を閉じるための環状の弾性部材46が装着され、前記暖気用出口側接続筒35の内端部には、前記暖気用出口側弁部42を当接させて前記暖気用出口33を閉じるための環状の弾性部材47が装着される。
【0024】
図7を併せて参照して、前記弁体40および第1の側壁23間で前記流路切換箱22内には、該流路切換箱22内に導入される調和空気の温度に応じた容積変化が可能なワックス49が収容されるケース50と、前記ワックス49の容積変化に応じて前記ケース50からの突出量を変化させるピストン51とを有する駆動手段48が収容、固定される。この実施の形態で、前記駆動手段48は、たとえば13℃〜28℃の範囲で容積変化する前記ワックス49の容積が大となるのに応じて前記ピストン51の前記ケース50からの突出量を大とするように構成されており、前記ピストン51の前記ケース50からの突出量が大となるのに応じて前記暖気用出口33の開度を大きくするとともに前記冷気用出口32の開度を小さくするように前記弁体40を駆動すべく前記弁体40に前記ピストン51が連結される。
【0025】
前記弁体40および第1の側壁23間で前記流路切換箱22の前記底壁27および前記天井壁28間には支持枠52が設けられており、この支持枠52の上下方向中間部に支持部材53が締結される。この支持部材53は、その一部を切り起こして形成される支持板部53aを一体に有しており、その支持板部53aに前記駆動手段48の前記ケース50が固定される。
【0026】
図8を併せて参照して、前記弁体40は第1リンク機構55を介して前記駆動手段48の前記ピストン51に連結されるものであり、第1リンク機構55は、前記弁体40の前記暖気用出口側弁部42に一端部が回動可能に連結される第1ロッド56と、第1ロッド56の他端部に一端部が回動可能に連結されるリンク板57と、該リンク板57板の他端部に締結される受圧板58と、前記支持部材53に一体に設けられる軸支部53bに回動可能に支承されるとともに前記受圧板58に固着される第1回動軸59とを有する。
【0027】
前記弁体40の前記暖気用出口側弁部42に締結される第1リンク連結板60に、第1ロッド56の一端部に固着される第1連結片61が有する第1軸部61aが回動可能に連結され、前記リンク板57の一端部に締結される第2リンク連結板62に、第1ロッド56の他端部に固着される第2連結片63が有する第2軸部63aが回動可能に連結される。
【0028】
また前記支持部材53および前記受圧板58間には、第1回動軸59を囲繞するねじりばね64の両端部が当接されており、このねじりばね64は、図5で示すように、前記弁体40の前記暖気用出口側弁部42で前記暖気用出口33を閉じる側に第1リンク機構55を介して前記弁体40を付勢するばね付勢力を発揮する。
【0029】
一方、第1リンク機構55の前記受圧板58には、前記ねじりばね64によるばね付勢方向とは逆方向から前記駆動手段48の前記ピストン51が当接しており、前記ピストン51は、前記ケース50から突出する方向の力を前記ばね付勢方向とは逆方向から及ぼすようにして前記弁体40に連結されることになる。すなわち暖房時に前記流路切換箱22内に導入される調和空気の温度が上昇すると、前記ピストン51が前記ねじりばね64のばね付勢力に抗して前記受圧板58および前記リンク板57を図7の実線で示すように回動し、それに応じて弁体40は暖気用出口33の開度を大きくする側に回動する。また暖房時に前記流路切換箱22内に導入される調和空気の温度が降下すると、前記ピストン51の前記ケース50からの突出量が小さくなるのに応じて前記受圧板58および前記リンク板57が前記ねじりばね64のばね付勢力で図7の鎖線で示すように回動し、それに応じて弁体40は冷気用出口32の開度を大きくする側に回動する。
【0030】
また前記流路切換箱22の第1の側壁23と、前記弁体40との間で前記流路切換箱22内には、第1の側壁23の前記入口31から導入される調和空気を前記冷気用出口32および前記暖気用出口33のうち開度が大きい方にガイドするように作動することを可能として前記入口31に対向するガイド板67が配置される。
【0031】
図9を併せて参照して、前記ガイド板67は平板状に形成されており、前記流路切換箱22の前記底壁27および前記天井壁28を回動自在に貫通する第2回動軸68に固着される。第2回動軸68の下部を貫通させる第2下部規制部材69が前記底壁27の上面に摺接するようにして第2回動軸68に固定され、第2回動軸68の上部を貫通させる第2上部規制部材70が前記天井壁28の下面に摺接するようにして第2弁軸43に固定される。これにより前記ガイド板67は、図4で示すように、前記暖気用出口33が開いた状態で前記入口31から導入される調和空気を前記暖気用出口33側にガイドするようにして暖気用出口33側に傾いた位置と、図5で示すように、前記冷気用出口32が開いた状態で前記入口31から導入される調和空気を前記冷気用出口32側にガイドするようにして冷気用出口32側に傾いた位置との間で回動可能であり、前記弁体40の回動に連動するようにして第2リンク機構71を介して前記弁体40に連動、連結される。
【0032】
図10を併せて参照して、第2リンク機構71は、前記流路切換箱22における底壁27の下面に締結されるリンク収容ケース72内に収容されており、前記弁体40に一端部が回動可能に連結される第2ロッド73の他端部が前記ガイド板67に回動可能に連結されて成る。
【0033】
前記弁軸43の下端部に固着される第3リンク連結板74に、第2ロッド73の一端部に固着される第3連結片75が有する第3軸部75aが回動可能に連結され、第2回動軸68の下端部に固着される第4リンク連結板76に、第2ロッド73の他端部に固着される第4連結片77が有する第4軸部77aが回動可能に連結される。
【0034】
このような第2リンク機構71によって、前記弁体40が前記暖気用出口33を開く位置に回動すると、前記ガイド板67は前記入口31から導入される調和空気を前記暖気用出口33側にガイドするようにして暖気用出口33側に傾き、前記弁体40が前記冷気用出口32を開く位置に回動すると、前記ガイド板67は前記入口31から導入される調和空気を前記冷気用出口32側にガイドするようにして冷気用出口32側に傾くことになる。
【0035】
さらに前記流路切換箱22の第3および第4の側壁25,26のうち、暖気用出口33側の第3の側壁25の内面には前記ガイド板67でガイドされる調和空気を前記暖気用出口33側に導く第1整流板78が締結され、冷気用出口32側の第4の側壁26の内面には前記ガイド板67でガイドされる調和空気を前記冷気用出口32側に導く第2整流板79が締結される。
【0036】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、空調機20から供給される調和空気が導かれる入口31、前記冷気吹き出し口12に通じる冷気用出口32、ならびに前記暖気吹き出し口13に通じる暖気用出口33を有する流路切換箱22内に、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33の一方を閉じた状態では他方を開くようにして前記冷気用出口32および前記暖気用出口33を開閉可能な弁体40が配置され、前記入口31から前記流路切換箱22内に導入される調和空気の温度に応じた容積変化が可能なワックス49が収容されるケース50ならびに前記ワックス49の容積変化に応じて前記ケース50からの突出量が変化するピストン51を有して前記流路切換箱22内に収容、固定される駆動手段48の前記ピストン51が、前記ワックス49の容積が大となるのに応じて前記暖気用出口33の開度を大きくするとともに前記冷気用出口32の開度を小さくするように前記弁体40を駆動すべく前記弁体40に連結されるので、空気温度を検出する温度センサが不要であり、また弁体40を駆動するアクチュエータを制御する制御手段も不要となり、簡単かつ低コストの構造で冷気吹き出し口12および暖気吹き出し口13への調和空気の供給切換を自然に行うことができる。
【0037】
また前記冷気用出口32を開閉可能な冷気用出口側弁部41ならびに前記暖気用出口33を開閉可能な暖気用出口側弁部42を有する前記弁体40が、前記冷気用出口側弁部41で前記冷気用出口32を閉じる側にばね付勢されつつ前記流路切換箱22で開閉可能に支承され、前記ワックス49の容積が大となるのに応じて前記ケース50からの突出量が大となる前記ピストン51が、前記ケース50から突出する方向の力を前記ばね付勢方向とは逆方向から及ぼすようにして前記弁体40に連結されるので、弁体40を駆動する構造を簡略化することができる。
【0038】
さらに前記流路切換箱22が、前記入口31が形成される第1の側壁23と、前記冷気用出口32および前記暖気用出口33が並列して形成されるとともに第1の側壁23に対向する第2の側壁24とを有しており、前記入口31から導入される前記調和空気を前記冷気用出口32および前記暖気用出口33のうち開度が大きい方にガイドするように作動することを可能として前記弁体40に連動、連結されるガイド板67が、前記弁体40および第1の側壁23間で前記入口31に対向する位置で前記流路切換箱22内に配置されるので、入口31から流路切換箱22内に導入された調和空気を冷気用出口32および暖気用出口33のうち開度が大きい側に効率よく流通させることができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
12・・・冷気吹き出し口
13・・・暖気吹き出し口
20・・・空調機
22・・・流路切換箱
23・・・第1の側壁
24・・・第2の側壁
31・・・入口
32・・・冷気用出口
33・・・暖気用出口
40・・・弁体
41・・・冷気用出口側弁部
42・・・暖気用出口側弁部
48・・・駆動手段
49・・・ワックス
50・・・ケース
51・・・ピストン
67・・・ガイド板
図1
図2
図3
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図10