特許第6262516号(P6262516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262516
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   B65B31/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-261628(P2013-261628)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-117038(P2015-117038A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直志
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−019723(JP,A)
【文献】 特開昭54−081988(JP,A)
【文献】 特開2008−133041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/00−31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部の閉止部側に被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられて前記包装袋の開口からガスを充填するガス充填管と、
前記チャンバ内に設けられて前記包装袋の開口部周縁を封止する封止装置とを備え、
前記ガス充填管から前記包装袋内にガスを充填し、前記封止装置により前記包装袋の開口部周縁を封止して、前記包装袋を密封する包装機において、
前記ガス充填管は先端開口を前記包装袋の閉止部側に向けるようにしたものであって、
前記ガス充填管の先端開口から放出されるガスが前記包装袋の閉止部側に向けて放出されるのを妨げる遮蔽手段を前記ガス充填管または前記チャンバに対して着脱可能に取り付けるようにして、前記ガス充填管は前記遮蔽手段によって前記包装袋の閉止部と開口部との間を覆う側面に向けてガスを放出するようにしたことを特徴とする包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に窒素ガス等のガスを充填して封止装置により封止して密封包装する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には食品等の被包装物を収納した包装袋を密封する包装機が開示されている。この包装機は、包装袋を収容するチャンバと、チャンバ内に設けて包装袋の開口部周縁を封止する封止装置と、チャンバ内を真空ポンプにより脱気して負圧化させる真空ポンプとを備えている。包装袋を真空包装するときには、チャンバ内に食品を収納した包装袋をセットし、チャンバ内を真空ポンプで脱気して負圧化させた後で、包装袋の開口部周縁を封止装置により封止して包装袋を密封する。
【0003】
また、この包装機においては、チャンバ内を負圧化させた状態から大気圧に戻すと、真空包装した包装袋が大気圧に押されて包装袋内の食品等の被包装物が潰れることがあった。このため、包装機は、チャンバ内に収容した包装袋に窒素ガス等の不活性ガスを充填するガス充填管を備えており、チャンバ内を負圧化させた後で、包装袋の開口部周縁を封止する前に、ガス充填管から包装袋内に窒素ガス等の不活性ガスを充填することで、チャンバ内を大気圧に戻しても、包装袋内の被包装物が充填された不活性ガスにより大気圧に潰されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−019723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような包装機においては、ガス充填管はチャンバ内にセットした包装袋の開口から包装袋の開口部周縁に挿入され、ガス充填管の先端開口は包装袋の底部の閉止部側を向くようになっている。包装袋内に重量の重い食品を収容したときには、ガス充填管から不活性ガスを噴射させても、包装袋内の食品が包装袋の外側に飛び出ることはない。これに対し、包装袋内に削り節、茶葉またはきざみ海苔等の軽量の食品を収容したときには、軽量の食品がガス充填管から噴射された不活性ガスによって包装袋の外側に飛び出すことがあった。この場合には、チャンバ内が包装袋の外側に飛び散った食品によって汚れ、チャンバ内を清掃する必要が生じていた。また、飛び散った食品が包装袋の開口部周縁に残ると、包装袋の開口部周縁が食品の挟み込みによって封止装置によって封止できないシール不良となることがあった。さらに、包装袋から食品が飛び出すと、予め計量した包装袋内の食品の重量が変わることになり、包装袋毎に食品の重量が変わってしまうことがあった。本発明は、ガス充填管から包装袋内にガスを噴射させても、包装袋内の食品が飛び出さないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、底部の閉止部側に被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバと、チャンバ内に設けられて包装袋の開口からガスを充填するガス充填管と、チャンバ内に設けられて包装袋の開口部周縁を封止する封止装置とを備え、
ガス充填管から包装袋内にガスを充填し、封止装置により包装袋の開口部周縁を封止して、包装袋を密封する包装機において、ガス充填管は先端開口を包装袋の閉止部側に向けるようにしたものであって、ガス充填管の先端開口から放出されるガスが包装袋の閉止部側に向けて放出されるのを妨げる遮蔽手段をガス充填管またはチャンバに対して着脱可能に取り付けるようにして、ガス充填管は前記遮蔽手段によって包装袋の閉止部と開口部との間を覆う側面に向けてガスを放出するようにしたことを特徴とする包装機を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した包装機においては、ガス充填管は遮蔽手段によって包装袋の閉止部と開口部との間を覆う側面に向けてガスを放出するようにしたので、包装袋内の閉止部側に軽量の被包装物を収納したときに、ガス充填管から包装袋内にガスを放出しても、ガスが被包装物に向けて直接放出されないので、包装袋内の被包装物が放出されたガスにより飛び出ないようになった。また、ガス充填管は先端開口を包装袋の閉止部側に向けるようにしたものであって、ガス充填管の先端開口から放出されるガスが包装袋の閉止部側に向けて放出されるのを妨げる遮蔽手段をガス充填管またはチャンバに対して着脱可能に取り付けるようにしたので、包装袋内の被包装物が重量物であるときのように、包装袋内の被包装物がガスの放出によって飛び出すおそれのないときには、遮蔽手段を取り外して、ガス充填管から外側に漏出することなく包装袋内に効率よくガスを放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の包装機の一実施形態である真空包装機の斜視図である。
図2図1の前後方向に沿った縦方向断面の斜視図である。
図3】真空包装機の主としてチャンバと真空ポンプとを接続する配管と、ガス充填管とガス供給配管とを示す概略図である。
図4】制御装置を示すブロック図である。
図5】包装袋をセットした状態を示すチャンバ内の断面図である。
図6】ガス充填管の他の実施形態を示す図2の拡大図に相当する図面である。
図7】ガス充填管の水平部の先端部にアダプタ管部を取り付けた実施形態を示す図2の拡大図に相当する図面である。
図8】ガス充填管に遮蔽手段を取り付けた実施形態を示す図2の拡大図に相当する図面である。
図9】遮蔽手段を着脱可能としたときの他の実施形態を示す斜視図である。
図10】遮蔽手段を着脱可能としたときのさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の包装機の一実施形態である真空包装機を添付図面を参照して説明する。図1及び図2に示したように、真空包装機10は、ハウジング11の上部に包装袋を収容するチャンバ12と、チャンバ12内にて包装袋の開口から窒素ガス(ガス)を充填するガス充填管20と、チャンバ12内にて包装袋の開口部周縁を封止する加熱封止装置(封止装置)30と、ハウジング11の下部にてチャンバ12内を脱気して負圧化させる真空ポンプ40とを備えている。
【0013】
図1及び図2に示したように、チャンバ12は上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベース13と、チャンバベース13の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル板よりなるチャンバカバー14とから構成される耐圧容器である。チャンバカバー14は、前端側が上下に移動可能となるように、後端部がハウジング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。チャンバカバー14の下面の周部にはシール部材としてゴム製のパッキン15が設けられており、パッキン15はチャンバカバー14をチャンバベース13に対して気密にシールしている。このチャンバ12内に包装袋を収容するときには、包装袋の開口が前側となるように(包装袋の底部の閉止部が後側となるように)収容される。なお、チャンバ12は耐圧容器としたが、本発明はこれに限られるものでなく、チャンバ12を負圧化させることなく包装袋を密封する包装機であるときには、チャンバ12は包装袋を収容する非耐圧の容器を用いてもよい。
【0014】
図1図3に示したように、チャンバ12の前部には左右一対のガス充填管20が設けられている。ガス充填管20は略L字形をした管部材よりなり、ハウジング11内の前部にて鉛直に立ち上がる鉛直部20a(図3及び図5に示す)と、鉛直部20aの上端から後方に屈曲してチャンバベース13の前壁を貫通して後方に延びる水平部20bとからなる。図3及び図5に示したように、ガス充填管20の鉛直部20aの下端部にはガス供給管22の一端部が接続されており、ガス供給管22の他端部にはハウジング11の外部に設けた窒素ガスボンベ(図示省略)が接続されている。また、ガス供給管22には電磁弁よりなるガス開閉弁23が介装されており、窒素ガスボンベ内の窒素ガスはガス開閉弁23を開放することによってガス供給管22を通ってガス充填管20から噴射される。ガス充填管20の水平部20bは先端が後側となるようにチャンバ12内にて後方に延びている。ガス充填管20の水平部20bの先端は閉じられており、水平部20bの先端部の左右両側面(周面)には窒素ガスを放出させるガスの放出口21が形成されている。ガス充填管20の水平部20bを包装袋内の開口部周縁に挿入したときには、ガスの放出口21は包装袋の開口部周縁の側面(包装袋の閉止部と開口部との間を覆う側面)側を向いている。
【0015】
図1図3に示したように、チャンバ12の前部にはガス充填管20の後側に加熱封止装置30が設けられている。加熱封止装置30はチャンバ12内に収容した熱溶着可能な包装袋の開口周縁部を密封するものである。なお、包装袋は内側に融点の低い材質を採用した二層構造の熱可塑性樹脂製フィルムを用いたものである。加熱封止装置30は包装袋の開口部周縁を狭圧して保持する下側及び上側狭圧ブロック31,32を備えている。下側狭圧ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース13の前部に着脱可能かつ上下に移動可能に設けられている。下側狭圧ブロック31の上面にはニクロム素材よりなる帯板状のヒータ33が設けられている。上側狭圧ブロック32は弾性変形可能なシリコン製のブロック体よりなり、下側狭圧ブロック31の上側に対向する位置にて、チャンバカバー14の下面前部に設けられている。
【0016】
図2及び図3に示したように、チャンバベース13の前部には下側狭圧ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34(図では右側のみを示す)が設けられている。昇降機構34はチャンバベース13の前部の底壁を貫通する左右一対の支持軸35を備えている。これら支持軸35はチャンバベース13の前部にて下側狭圧ブロック31を上下動可能に支持するものである。これら支持軸35は先端部が下側狭圧ブロック31の下部に挿入されており、支持軸35は上下方向の中間部がチャンバベース13の下面前部に設けた左右一対の昇降シリンダ36により上下に移動可能に支持されている。支持軸35の中間部には昇降シリンダ36内にて鍔部36aが設けられており、鍔部36aは昇降シリンダ36内を上部空間36bと下部空間36cとに気密に区画している。昇降シリンダ36の上部空間36bには支持軸35の外周にばね36dが介装されており、ばね36dは鍔部36aを介して支持軸35を下方に付勢している。
【0017】
図2及び図3に示したように、ハウジング11内には油循環式の真空ポンプ40が設けられている。図3に示したように、ハウジング11内には真空ポンプ40とチャンバ12とを接続する吸引管(吸引経路)41が設けられており、吸引管41にはこれを開閉する真空弁42が設けられている。吸引管41にはチャンバ12と真空弁42との間に大気を導入する大気導入管43が接続されている。大気導入管43は第1管部43aと、第1管部43aから分岐した第2管部43bとからなり、第1及び第2管部43a,43bにはこれらを開閉する第1及び第2大気導入弁44,45が設けられている。第1管部43aは第2管部43bより径が太く形成されており、第1大気導入弁44を開放したときにはチャンバ12内に速く大気が導入され、第2大気導入弁45を開放したときには、チャンバ12内にゆっくりと大気が導入される。
【0018】
吸引管41には大気導入管43の第1管部43aを介して圧力検出管46が接続されており、圧力検出管46にはチャンバ12の圧力を検出する真空計47が設けられている。チャンバ12内を真空ポンプ40により脱気していないときには、真空計47により検出されるチャンバ12内の圧力は大気圧と同じ101kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ12内を真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、真空計47により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。なお、以後の説明では、圧力の表示をするときには、(abs)の表記を省略して説明する。
【0019】
吸引管41には真空ポンプ40と真空弁42との間からシリンダ管48が分岐しており、このシリンダ管48は昇降シリンダ36の上部空間36bに接続されている。シリンダ管48は吸引管41から分岐した第1管部48aと、昇降シリンダ36の上部空間36bに接続された第2管部48bとからなり、第1及び第2管部48a,48bとの間には三方弁よりなるシリンダ弁49が設けられている。シリンダ弁49にはさらに大気導入管49aが接続されている。シリンダ弁49は第1及び第2管部48a,48bを連通接続した状態、または、第1管部48aの先端を閉じて第2管部48bと大気導入管49aとを連通接続した状態にする。
【0020】
真空包装機10は制御装置50を備えており、図4に示したように、この制御装置50はガス開閉弁23と、ヒータ33と、真空ポンプ40と、真空弁42と、第1及び第2大気導入弁44,45と、真空計47と、シリンダ弁49と、操作パネル51とに接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、ROMにチャンバ12内の被包装物を包装をするための各種包装プログラムを備えており、操作パネル51により選択した包装プログラムを実行すると、真空計47の検出に基づいてガス開閉弁23と、ヒータ33と、真空ポンプ40と、真空弁42と、第1大気導入弁44(必要に応じて第2大気導入弁45も)と、シリンダ弁49との作動を制御し、チャンバ12内の被包装物を包装する。
【0021】
上記のように構成した真空包装機10において、包装袋に窒素ガスを充填した状態で、包装袋を密封するときには、図5に示したように、ガス充填管20の水平部20bの先端部を包装袋Bの開口から包装袋Bの開口部周縁に挿入し、ガス充填管20の後側にて包装袋Bの開口部周縁を下側狭圧ブロック31の上側に載せるようにして、包装袋Bをチャンバベース13に載置してセットする。このとき、包装袋Bは開口部がチャンバ12の前部に、底部の閉止部がチャンバ12の後部にセットされる。また、ガス充填管20の水平部20bの先端は包装袋Bの底部の閉止部を向いており、水平部20bの周面に形成したガスの放出口21は包装袋Bの開口部周縁の側面を向いている。
【0022】
チャンバ12内に包装袋Bをセットしてから、チャンバカバー14によりチャンバベース13の上面開口を塞ぐと、操作パネル51により選択した包装プログラムが開始する。制御装置50は、全ての弁23,42,44,45が閉止された状態及びシリンダ弁49が第2管部48bと大気導入管49aとを連通接続した状態から、真空弁42を開放するとともに真空ポンプ40を作動させてチャンバ12内を脱気して負圧化させる。真空計47により検出されるチャンバ12内の圧力が所定の圧力として0.5kPa(真空度が99.5%)となると、真空弁42を閉止させるとともに、ガス開閉弁23を所定時間開放して、ガス充填管20の放出口21から窒素ガスを包装袋B内に噴射させて充填する。
【0023】
包装袋B内に窒素ガスを充填した後で、制御装置50はシリンダ弁49を第1及び第2管部48a,48bが連通接続するようにし、左右の昇降シリンダ36の上部空間36b内を負圧化させることで左右の支持軸35を上昇させ、下側狭圧ブロック31を上昇位置まで上昇させて上側狭圧ブロック32に押圧させる。この状態にて、制御装置50はヒータ33に通電させて発熱させると、下側及び上側狭圧ブロック31,32に狭圧されて保持された包装袋の開口部周縁は熱溶着されて密封される。その後、制御装置50は真空ポンプ40の作動を停止させるとともに、第1大気導入弁44(必要に応じて第2大気導入弁45も)を開放させることにより、チャンバ12内に大気を導入して、チャンバ12内を大気圧に戻すとともに、シリンダ弁49を第2管部48bと大気導入管49aとが連通接続するようにして、昇降シリンダ36の上部空間36bに大気を導入することによって、支持軸35をばね36dにより下降させ、下側狭圧ブロック31を下降位置に戻す。
【0024】
上記のように構成した真空包装機10は、底部の閉止部側に食品等の被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバ12と、チャンバ12内にて包装袋の開口から窒素ガスを充填するガス充填管20と、チャンバ12内に設けて包装袋の開口部周縁を封止する加熱封止装置30とを備えている。真空包装機10は、ガス充填管20から包装袋内に窒素ガスを充填し、加熱封止装置30により包装袋の開口部周縁を封止して、包装袋を密封するようにした。この真空包装機10においては、ガス充填管20は包装袋の開口部周縁の側面(包装袋の閉止部と開口部との間を覆う側面)に向けてガスを放出するようにしている。具体的には、ガス充填管20の水平部20bの先端は包装袋の底部の閉止部側を向いているが、ガス充填管20の水平部20bの先端は閉じられていて、ガス充填管20の水平部20bの先端部の周面に窒素ガスの放出口21が形成されている。これにより、包装袋内に削り節、茶葉またはきざみ海苔等の軽量の食品を収納したときに、ガス充填管20から窒素ガスを放出しても、窒素ガスが軽量の食品に向けて直接放出されないので、包装袋内の軽量の食品が放出されたガスにより飛び出ないようになった。このように、包装袋内に窒素ガスを放出しても、包装袋から食品が飛び出さないので、チャンバ12内が包装袋の外側に飛び散った食品によって汚れることがなくなった。また、窒素ガスの放出によって包装袋の開口部周縁に食品が飛び散ることがないために、包装袋の開口部周縁が食品の挟み込みによって封止できないシール不良となることを防ぐことができた。さらに、包装袋から食品が飛び散らなくなったので、予め計量した包装袋内の食品の重量が包装袋毎に変わるのを防ぐことができた。
【0025】
なお、この実施形態では、ガス充填管20の水平部20bの先端部の左右両側面に放出口21を形成したが、他の実施形態として図6に示したように、ガス充填管20の水平部の先端部の左右両側面に加えて上下面にも放出口21を形成してもよい。さらに、図7に示したように、ガス充填管20の水平部20bの先端を開口させるとともに、水平部20bの先端部に先端が閉じられたアダプタ管部20cを着脱可能に嵌合固定するようにし、水平部20bの先端部の代わりにアダプタ管部20cの左右両側面(周面)に放出口21を形成するようにしてもよい。このようにしたときには、包装袋内に重量のある食品を収納したときには、アダプタ管部20cを取り外し、水平部20bの先端開口から包装袋の底部に向けて勢いよく効率的に窒素ガスを放出させるようにし、包装袋内に軽量の食品を収納したときには、アダプタ管部20cを取り付け、アダプタ管部20cの放出口21から窒素ガスを放出させるようにしてもよい。
【0026】
さらに他の実施形態として図8に示したように、ガス充填管20の水平部20bの先端開口が包装袋の底部の閉止部側を向くようにしたときには、ガス充填管20の水平部20bの先端部に包装袋の底部の閉止部側に向けて窒素ガスが放出されるのを妨げる遮蔽板(遮蔽手段)24を設け、ガス充填管20の先端開口から放出される窒素ガスが包装袋の開口部周縁の側面に向けて案内するようにしてもよい。さらに、ガス充填管20の水平部20bの先端部を左右方向に湾曲させて、ガス充填管20の先端開口を包装袋の開口部周縁の側面に向けて案内するようにしてもよい。
【0027】
また、図8に示したように、ガス充填管20の水平部20bの先端開口が包装袋の底部の閉止部側を向くようにしたときに、ガス充填管20の水平部20bの先端部に包装袋の底部の閉止部側に向けて窒素ガスが放出されるのを妨げる遮蔽板24を設けたときには、ガス充填管20の水平部20bの先端開口から噴射される窒素ガスが遮蔽板24により勢いが弱くなって横方向(包装袋の開口部周縁の側面側)に流れるため、包装袋内の軽量の食品が飛び出さないようになる。しかし、包装袋内に窒素ガスを十分に充填するには、包装袋を大きく膨らます必要があるが、ガス充填管20の先端部に遮蔽板24を設けたことで、包装袋内に噴射される窒素ガスの勢いが弱くなり、包装袋を大きく膨らますために窒素ガスを多く放出しなければならない。そのため、包装袋内の食品が軽量でなく、ガス充填管20から包装袋の底部の閉止部にむけて窒素ガスを噴射させても、包装袋内の食品が飛び散らないときには、図9及び図10に示したように、遮蔽手段をガス充填管20またはチャンバ12に対して着脱可能とするのが好ましい。
【0028】
図9(a)に示した遮蔽手段24Aは、取付板部24Aaの左右両側部に形成した2つの貫通孔よりなる取付孔24Aa1にガス充填管20を差し込んで、取付板部24Aaの上縁からガス充填管20の水平部20bの上側を後方に延出して、ガス充填管20の水平部20bの先端開口の後側にて先端開口から噴射するガスを横方向に案内する遮蔽部24Abとを備えている。この遮蔽手段24Aをガス充填管20に取り付けるときには、取付板部24Aaがチャンバベース13の前壁に当接する位置まで、取付板部24Aaの貫通孔24Aa1にガス充填管20を挿通する。これに対して、遮蔽手段24Aをガス充填管20から取り外すときには、ガス充填管20から取付板部24Aaを引き抜くようにする。
【0029】
また、図9(b)に示した遮蔽手段24Bは、図9(a)の取付孔24Aa1の周囲にゴム製のブッシュ25Bを設けたものであり、ブッシュ25Bを介してガス充填管20に着脱可能に取り付けるようにした。また、図9(c)に示した遮蔽手段24Cは、主として図9(a)に示した遮蔽手段24Aと同じ構成をし、ガス充填管20の水平部20bの基端部に、上下方向に延びる取付用スリット20dを設け、取付板部24Caの左右両端部を取付用スリット20dに着脱可能に係合させるようにした。また、図9(d)に示した遮蔽手段24Dは、主として図9(a)に示した遮蔽手段24Aと同じ構成をし、チャンバベース13の前部に設置するようにしたものである。
【0030】
このようにしたときには、包装袋内に重量のある食品を収納したときのように、包装袋内の食品が窒素ガスの噴射(放出)によって飛び出すおそれのないときには、遮蔽手段24A〜24Dを取り外して、ガス充填管20の水平部20bの先端開口から外側に漏出することなく包装袋内に効率よくガスを放出させることができる。また、包装袋内に軽量の食品を収納したときのように、包装袋内の食品が窒素ガスの噴射(放出)によって飛び出すおそれがあるときには、遮蔽手段24A〜24Dを取り付けて、ガス充填管20の水平部20bの先端開口から包装袋の底部の閉止部に向けて噴射(放出)される窒素ガスを横方向(包装袋の開口部周縁の側面側)に流して、包装袋内の食品が飛び出さないようにすることができる。また、遮蔽手段24A〜24Dをガス充填管20またはチャンバ12に対して着脱可能としたので、ガス充填管20の水平部20bの先端開口に異物が付着しても、遮蔽手段24A〜24Dを取り外すことで、ガス充填管20の水平部20bの先端開口の異物を除去しやすくできた。
【0031】
なお、図9にガス充填管20の先端部に遮蔽手段を着脱自在に取り付ける実施形態を例示したが、これに限られるものでなく、図10に示したように、ガス充填管20の水平部20bの先端部に着脱自在に嵌合固定されるアダプタ管部24Eaと、アダプタ管部24Eaの先端部に固定されてガス充填管20からアダプタ管部24Eaを通って放出される窒素ガスを横方向に案内する遮蔽板部24Ebとからなる遮蔽手段24Eを用いてもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
本発明の包装機の一実施形態として真空包装機10を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、チャンバ12内を負圧化させることなく、封止装置30により包装袋を密封する包装機にも適用されるものであり、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
10…包装機(真空包装機)、12…チャンバ、20…ガス充填管、21…放出口、24〜24E…遮蔽手段、30…封止装置(加熱封止装置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10