(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の好適な実施の形態に基づいて本発明は詳述する。
図1は本発明にかかわる画像形成装置の全体構成を示す説明図である。シート上に画像形成する画像形成装置Aと、画像形成されたシートに後処理を施す後処理装置Bで構成されている。このほか、画像形成装置は外部のコンピュータ装置などのネットワーク端末に連結され画像形成システムを構成することも可能である。
【0014】
「画像形成装置」
画像形成装置Aは、画像形成するシートを収納する給紙部1と、給紙部から送られたシートに画像形成する画像形成部2と画像形成されたシートを排紙口16から搬出する排紙部3とで構成されている。画像形成部2は、静電印刷機構、インクジェット印刷機構、オフセット印刷機構などで構成される。また画像形成装置Aは、ネットワークシステムの端末としてシステムを構成する場合と、複写機、ファクシミリ装置など単機能装置(スタンドアロン)として構成される。
【0015】
「後処理装置」
後処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートを搬送経路22から下流側に配置したシート支持手段22(後述の処理トレイ)に搬入して一時的に保持する。そしてこのシート支持手段上の所定位置に位置決めしたシートに後処理を施した後に下流側のスタックトレイ25に収納する。
【0016】
図2に後処理装置Bの断面構成を、
図3に平面構成を示すが、上記搬送経路22は画像形成装置A(画像形成部)の排紙口16(本体排紙口)に連結する搬入口21から排紙口23にシートを搬送するように装置ハウジング20に水平方向に配置された直線経路で構成されている。排紙口23の下流側には段差dを形成して下方に処理トレイ24(シート支持手段)が配置されている。
【0017】
上記スタックトレイ25は、処理トレイ24の下流側下方に段差を形成して配置され、後処理されたシート(単シート又はシート束)を収納する積載トレイで構成されている。
図2に示されているように処理トレイ24には、その上方に搬送経路22が、その下方にスタックトレイ25が配置され、シートは搬送経路22から処理トレイ24、次いでスタックトレイ25の順に搬送される。
【0018】
上記処理トレイ24は、シートを積載支持する支持面24aを有するトレイ部材で構成され、図示の支持面24aはシート後端部を支持し、シート先端部はスタックトレイ25に積載された最上シートで支持するように構成されている。処理トレイ24には、シート(単シート又はシート束;以下同様)に後処理を施す後処理ユニット26(27)と、後処理位置にシートを位置決めする整合機構30が設けられている。
【0019】
「後処理ユニット」
上記処理トレイ上に一時的に支持されたシートに後処理を施す後処理ユニットとして、図示の装置はシート束を綴じ処理する第1綴じ処理ユニット26と、第2綴じ処理ユニット27が配置されている。
図3に示すように第1綴じ処理ユニット26はステープラ装置で構成され、処理トレイ24の支持面上に積載されたシート束の複数個所を綴じ処理する「マルチ綴じ処理」と、シートコーナを綴じ処理する「コーナ綴じ処理」を選択的に実行する。図示Mp1、Mp2はマルチ綴じ位置を、Cp1、Cp2は、コーナ綴じ位置を示し、ステープラ装置26は図示のように位置移動可能に装置フレームに取り付けられている。
【0020】
第2綴じ処理ユニット27はステープラ針(金具)を用いることなくシートを綴じ合わせるプレスバインダ装置で構成され、上下一対の凹凸形状の加圧面でシート束をニップすることによって複数のシート束を綴じ合わせる。図示Epは、その綴じ位置を示している。
【0021】
なお、本発明にあって後処理手段としては、綴じ処理手段26(27)の他にシートにファイル穴を穿孔するパンチユニット、シートに捺印を施すスタンプユニット、シートを折処理する折り処理ユニットなどが採用可能である。
【0022】
「整合機構」
上記処理トレイ24には、搬送経路22から搬入されたシートを支持面上の基準位置に位置決めするため以下のシート端規制ストッパ28と側縁規制部材35が配置されている。
【0023】
「シート端規制ストッパ」
シート端規制ストッパ28は、処理トレイ24のシート搬入方向前側に配置され、搬入されるシートの端縁を突き当て規制する。図示のものはシートを搬送経路22から搬送方向を反転させて処理トレイ24に搬入している関係で、シート後端縁を規制ストッパ28に突き当てるように処理トレイ上にストッパ部材が配置されている。
図3に示すように規制ストッパ28は、間隔を隔ててシートの後端縁を突き当て規制する係止爪で構成されている。
【0024】
「側縁規制部材」
処理トレイ24にはシート端規制ストッパ28に後端縁を規制されたシートの両側縁を予め設定されている基準に整合させる側縁規制部材35が配置されている。この設定基準は異なる用紙サイズのシートセンターを一致させるセンター基準と、シートの一側縁を一致させるサイド基準が知られている。本発明はそのいずれであっても良いが、センター基準で処理トレイ上にシートを整合する場合を説明する。
【0025】
図3に示すように側縁規制部材35は、処理トレイ上のシートの両側縁に対応するように左右一対配置され、それぞれにシート側縁と係合する係合面35xが備えられている。以下説明の都合上、
図3において右側に位置する部材をフロント規制部材35Fと云い、左側に位置する部材をリア規制部材35Rと云い、単に側縁規制部材35とは左右両方を指す。
【0026】
側縁規制部材35は処理トレイ上にシート搬入方向と直交する方向に位置移動可能に装置フレーム(処理トレイ底部など)に支持され、それぞれにフロント側シフト手段40Fと、リア側シフト手段40Rが設けられている。シフト手段40の具体的構成は後述するが、側縁規制部材35には駆動モータ(後述のシフトモータSM1,SM2)が連結され、その正逆転でシート側縁と係合する係合面35xをシート幅方向(
図3左右方向)に接近及び離反させる動作(後述の「整合動作」)で処理トレイ上に搬入したシートを幅寄せ整合する。この整合動作で異なるサイズのシートは、センター基準で整合され、支持面35xにスキュー或いはレジストして搬入されたシートは、基準ラインに沿って姿勢矯正される。
【0027】
本発明は、後述する制御手段55でシフト手段40を制御して側縁規制部材35に「整合動作」と「移送動作」を実行させることを特徴としている。
【0028】
「整合動作」
左右の側縁規制部材35F,35Rを、処理トレイ24にシートが搬入したとき待機位置Wpから整合位置Apに移動させてシートを正しい位置に整合する。
図3に示すように搬送経路22からシートはセンター基準で処理トレイ24に移送される。このシートが異なるサイズ、スキュー・レジストした姿勢で搬入されたとき、左右の側縁規制部材35F,35Rを待機位置Wpから整合位置Apに位置移動させる。この動作でシートはセンター基準で正しい位置に正しい姿勢で位置決めされる。
【0029】
後述する制御手段55は、搬送経路22でシートの通過を検出(図示のものは排紙センサSe1)し、シートがシート端規制ストッパ28に到達した見込み時間の後、左右の側縁規制部材35F,35Rを待機位置Wpから整合位置Apに位置移動させる。
【0030】
このため側縁規制部材35は、処理トレイの支持面24aに形成されたスリット溝24xに沿ってシート幅方向に位置移動可能に配置され、トレイ背面(底面)側に配置されているシフト手段40(後述のラックピニオン機構)に連結されている。そして各側縁規制部材35F,35Rには、ホームポジションHpにポジションセンサ(不図示)が配置され、後述するシフトモータSM1(SM2)の回転量でシートサイズに応じた待機位置Wpと整合位置Apとの間で往復動するように構成されている。
【0031】
図3において側縁規制部材35は、整合位置Apを実線で、待機位置Wpを破線で、ホームポジションHpを鎖線で示している。そして待機位置Wpは、シートサイズ毎にセンター基準で位置設定された整合位置Apから外側に離れた位置(Aj)に設定され、搬入されるシートの最大位置ズレ量を基準にこれより大きい値で設定されている。従って待機位置Wpから所定ストロークで往復動すると、処理トレイ上に搬入されたすべてのシートを正しい位置に合わせることが可能となる。
【0032】
「移送動作」
処理トレイ上に整合されたシート(束)を、その整合位置で後処理する場合と、整合位置から異なる位置(例えば処理位置;以下同様)に位置移動させて後処理する場合がある。図示の装置は、「綴じ処理モード」の場合には、第1綴じ処理手段が選定されたときには整合位置Ajでステープラ装置26によって綴じ処理し、第2綴じ処理手段が選定されたときには、整合位置Ajから異なる処理位置Epにシート束を移動した後にプレスバインダ装置27によって綴じ処理する。
【0033】
図3に示すように(第2綴じ処理手段27の実行時;以下同様)整合位置Ajと処理位置Epとの間の距離Stの区間はシートを束状態(シート単体を含む)で位置移動する必要がある。また、「ジョグ仕分モード」の場合には、搬送経路22から処理トレイ24に搬入したシートを第1の位置(例えば図示Hp位置)に整合した後に、部揃えしたシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出する処理と、第1の位置とは異なる第2の位置(例えば図示Ap位置)に整合した後に、そのシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出する処理がある。このように支持面上で集積したシート束を、異なる位置に位置移動することがあり移動過程で整合したシートの姿勢が崩れる恐れと、その移動負荷が増大する恐れがある。
【0034】
そこで本発明は、支持面上で整合したシートを所定位置(例えば処理位置)に位置移動する際に、左右の側縁規制部材35F,35Rに「移送動作」を実行させることを特徴としている。
図3に示す移動距離STを、支持面24aに沿ってシート(束)を移動するとき、「左右の側縁規制部材35を同時に同一方向に位置移動すること」と、側縁規制部材35を「シートを湾曲させた状態で移送する移動スパンSt1と、シートの湾曲を矯正する(シートを湾曲変形させない)移動スパンSt2で移動する。
【0035】
従って
図4に従って説明すると、同図(a)は、整合動作でシートを支持面上の整合位置Apに整合した状態を示す。このときシートは湾曲変形することなく支持面上に支持されている。同図(b)は、移動スパンSt1を側縁規制部材35が位置移動した状態を示し、シートはU字状または逆U字状に湾曲変形している。同図(c)は、移動スパンSt2を側縁規制部材35が位置移動する途中の状態を示し、シートはU字状または逆U字状に湾曲変形しているがその曲率は低減している(湾曲程度が緩やかなカーブに変形している)。
【0036】
同図(d)は、移動スパンSt2を側縁規制部材35が位置移動した状態で、シートの移動が終了する直前の状態を示す。このときシートは湾曲変形しない状態に戻っている。そして同図(e)は、シートが所定の処理位置に移動して停止した状態を示す。
【0037】
このようにシートを湾曲変形した移動スパンSt1と、湾曲変形を矯正する移動スパンSt2で所定の移動位置(処理位置)に移動することによって、スパンSt1ではシートと支持面24aとの間の搬送摩擦及びスタックトレイ上の最上シートとの間の搬送摩擦はフラットな状態で搬送される場合と比較して低減される。
【0038】
またこのスパンSt1ではシートは左右の側縁規制部材35F,35Rで湾曲変形されている状態で移動するのでスキューする恐れがない。同時に腰付けされた状態のシートは、外部(例えば後続するシートなど)から力の作用、或いは振動を受けても容易にスキューなどの曲る恐れがない。
【0039】
また所定の処理位置に移送されるシートは、湾曲変形した状態では後処理機構などにスムーズに進入しない恐れと、後処理位置で湾曲が修正(側縁規制部材35の規制が解除されたとき)する際にリバウンドで位置ズレするおそれがない。
【0040】
上述の移動スパンSt1におけるシートの湾曲変形は、一対の側縁規制部材35F,35Rの間隔を、整合動作時の間隔(Ls)より狭く(Ln)変更してシートに対して圧を加えた状態にすることによって、シートを湾曲変形させて位置移動する。また上述の移動スパンSt2におけるシートの変形矯正は、一対の側縁規制部材35F,35Rの間隔を、移動が終了する前に狭い間隔(Ln)から広い間隔(Lw)に戻すように、フロント側とリア側のシフト手段40F,40Rを制御する。
【0041】
このようなシフト手段40の制御は、次の第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態によって実行することができる。第1実施形態は左右の側縁規制部材35F,35Rの移動タイミングを異ならせる場合であり、第2実施形態は左右の側縁規制部材35F,35Rの移動速度を異ならせる場合であり、第3の実施形態は左右の側縁規制部材35F,35Rの移動方向を異ならせる場合である。以下各実施形態について説明する。
【0042】
なお図示の装置は、装置リア側に配置した第2綴じ処理手段27(プレスバインダ装置)にシート束を整合位置(支持面中央部)から所定距離ST移動する場合を示している。従ってリア規制部材35Rが移動方向前方に、フロント規制部材35Fが移送方向後方に位置することとなる。装置フロント側に綴じ処理手段を配置したとき、あるいはジョグ仕分けのときには、これと逆方向つまり装置リア側から装置フロント側にシートを移動する態様においても以下の説明で同様(左右の側縁規制部材35F,35Rを対称的に制御する)に理解できる。
【0043】
[第1実施形態]
図5(a)に従って説明すると、フロント規制部材35F(移送方向後方側)を先に整合位置から処理位置に向けて移動する。所定時間(t1)経過後にリア規制部材35R(移送方向前方側)を移動する。するとシートは、
図4(b)の状態に湾曲変形する。そしてスパンSt1を移動する間、フロント規制部材35Fを速度V1で、リア規制部材35Rを速度V2で同一方向に移動する。このとき速度V1と速度V2を等速度に設定するとシートは同一の湾曲程度で移動し、速度を異ならせると湾曲程度(曲率)が増大しながら、もしくは低減しながら移動することとなる。
【0044】
そしてスパンSt2では、フロント規制部材35Fを先に、リア規制部材35Rを所定時間(t2)遅らせて減速停止する。このとき両規制部材35F,35Rを所定の処理位置に停止させる。するとシートは
図4(c)の状態で湾曲程度が軽減され、同図(d)の状態で湾曲変形しない平坦な姿勢に、次いで同図(e)の状態で処理位置に位置決めされる。
【0045】
[第2実施形態]
図5(b)に従って説明する。左右の側縁規制部材35F,35Rを同時に整合位置から処理位置に向けて移動を開始させる。このときフロント規制部材35F(移動方向後方側)を高速(速度V3)で、リア規制部材35R(移動方向前方側)を低速(速度V4)で移動(V3>V4)させる。するとシートは
図4(b)の状態に湾曲変形する。所定時間(t3)が経過した後、フロント規制部材35Fを速度V3で、リア規制部材35Rを速度V4で同一方向に移動する。
【0046】
スパンSt1を移動する間、この速度V3と速度V4を等速度(例えば速度V3)に設定する。するとスパンSt1を移動する間、シートは湾曲変形した状態が維持される。そしてスパンSt2では、フロント規制部材35Fを先に速度V3からV5に低減(V3>V5)させる。するとシートは
図4(c)の状態で湾曲程度が軽減され、同図(d)の状態で湾曲変形しない平坦な姿勢に変形される。そして所定時間(t4)経過後に両規制部材35F,35Rを停止させる。するとシートは
図4(e)の状態で処理位置に位置決めされる。
【0047】
[第3実施形態]
図5(c)に従って説明する。この実施形態はシートをループ状に湾曲させるときには左右の規制部材35F,35Rを接近方向(互いに反対方向)に移動し、シートのループを解消するときには左右の規制部材35F,35Rを離間方向に移送方向後方側の規制部材35Rを後退移動する場合である。
【0048】
制御手段55は左右の側縁規制部材35F,35Rを同時に移動開始する。このときフロント規制部材35Fは処理位置側に速度V6で移動し、リア規制部材35Rは移送方向とは反対方向に速度V7で移動する。すると左右の規制部材35F,35Rは互いに接近してシートにループ状の湾曲を形成する。次いでスパンSt1を移動する間は左右の規制部材35F,35Rを同一速度V8で移送方向に移動する。するとシートは
図4(b)の状態に湾曲を保持した状態で移動する。
【0049】
そしてスパンSt2では、フロント規制部材35Fを停止させて移送方向とは反対方向に速度V9で後退移動させ、リア規制部材35Rは減速させて移送方向に速度V10で移動する。するとシートは
図4(c)の状態で湾曲程度が軽減され、同図(d)の状態で湾曲変形しない姿勢に変化する。そして所定時間(t6)経過後に両規制部材35F,35Rを停止させ、シートを
図4(e)の状態で処理位置に位置決めする。
【0050】
図4に従って前述した側縁規制部材35の構造について説明する。左右一対の側縁規制部材35F,35Rは、左右の構造が後述するアジャスタバネ45を除いて同一であるのでその一方について説明する。側縁規制部材35は、シートの側縁(シート束の側端面)と当接する平面形状の係合面35xを有する板状部材で構成されている。この規制部材の一部(基端部)は装置フレームに配置したガイド部材44(図示のものはガイドロッド)に摺動可能に支持され、ガイド部材はシート幅方向に配置され、側縁規制部材35はガイド部材44に沿ってシート幅方向に位置移動可能に構成されている。
【0051】
上記左右一対の規制部材35F,35Rは、少なくともその一方の係合面35xが弾性的に移動可能となるように弾性部材45(アジャスタバネ)でシート幅方向(搬送直交方向)に可動となるように構成されている。これはシートの寸法に許容誤差が設定されているため、許容誤差範囲(例えば±2mm)で異なる長さのシートに適正に係合するように左右一方の係合面が弾性的に可能となるようにしている。
【0052】
図6(a)に示すように、フロント側の側縁規制部材35Fは、第1ガイドロッド36aに摺動可能に嵌合され、第1シフト手段40Fに弾性部材45(アジャスタバネ)を介して連結されている。この側縁規制部材35Fは、基端スライド部35aと可動係合部35bで構成されている。可動係合部35bは第1ガイドロッド36aに摺動可能に嵌合され、支持面(紙載面)34a上のシート側縁と係合する係合面35xを備えている。基端スライド部35aは第1ガイドロッド36aに摺動可能に嵌合され、駆動モータSM1(第1シフトモータ)に連結されている。
【0053】
上記基端スライド部35aと可動係合部35bとは、第1ガイドロッド36aに巻回された弾性部材45を介して連結され、基端スライド部35aに伝達された駆動モータSM1の駆動力は、弾性部材45(アジャスタバネ)を介して可動係合部35bに伝達されるようになっている。
【0054】
図6(d)に示すように、リア側の側縁規制部材35Rは、第2ガイドロッド36bに摺動可能に嵌合され第2シフト手段40Rに連結されている。この側縁規制部材35Rは、基端スライド部35cに一体的に形成されている。そして基端スライド部35cは、第2ガイドロッド36bに摺動可能に嵌合され、駆動モータ(第2シフトモータ)SM2が連結されている。
【0055】
上記第1と第2シフトモータSM1,SM2は正逆転可能なステッピングモータで構成され、各モータの回転軸には伝動ピニオン37a、37bが連結され、このピニオンと噛合するラック38a、38bが各基端スライド部35a、35cに一体形成されている。また各基端スライド部35a、35cにはホームポジション位置にポジションセンサSe2、Se3が配置されている。
【0056】
上述の弾性部材45は、左右一対の側縁規制部材35F,35Rの少なくとも一方の係合面35xを弾性的に可動とするように、弾性力を付与するバネ(コイルバネ、板バネなど)、弾性部材(スポンジ、エラストマなど)、付勢部材(重力錘など)で構成されている。そしてシフト手段40に連結された基端スライド部35aから分離した可動係合部35bとの間で弾性部材45は、紙載面24aがシート側縁に係合する係合力を弾性的に調整している。
【0057】
つまり弾性部材45(アジャスタバネ)は係合面35xがシート側縁に対して確実に当接する力と、その力をシートが歪曲変形しない程度に軽減する付与力を付与するように調整(バネ設計)されている。そして寸法誤差でシート長さが変化(例えば±2mm)しても係合面35xはシート側縁に係合してその位置(姿勢)を修正し、シートを強制的に歪曲変形させることがないように弾性力(以下この力を「整合力」という)が調整されている。
【0058】
図6(a)における係止ストッパ35yは、基端スライド部35aにシフトモータSM1からシートを適正に整合する力(整合力)以上の強い力が作用したとき可動係合部35bを係止するストッパであり、このストッパに係止した状態で可動係合部35bは、非弾性となり、係合面は不可動となる。
【0059】
なお図示の装置は、装置フロント側の係合面にアジャスタバネを配置する場合を説明したが、装置リア側の係合面にアジャスタバネを配置しても、或いは左右両方の係合面にアジャスタバネを配置しても良い。また、図示の装置は、両側縁規制部材35F、35Rがシートを整合する「整合動作」の実行時には、少なくとも一方の係合面を弾性的に可動とし(
図6(b)の状態)、両側縁規制部材35F、35Rがシートを整合位置から処理位置に移送する「移送動作」の実行時には、両係合面を非弾性的に不可動状態(
図6(c)の状態)としている。
【0060】
なお、以上説明した実施形態では、装置リア側にシート束を綴じ処理する第2綴じ手段27を配置し、支持面24aの中央部で整合したシートを、装置リア側にオフセット移動する場合を示したが、整合位置整合したシートを装置フロント側にオフセット移動してもよいことは勿論である。また、処理位置にシートを側縁規制部材35で位置決めする場合について説明したが、この処理位置(移動位置)に規制部材とは異なるストッパ部材を配置し、ストッパ部材にシート端縁を突き当て、位置決めしても良く、この場合にはリア側規制部材35Rを移動位置からオーバーランさせても良い。
【0061】
[制御構成]
次に
図7に従って
図1の装置の制御について説明する。画像形成装置側の制御手段50は、制御CPUで印字制御部51と給紙制御部52と入力部53を備えている。入力部53にはコントロールパネル54が設けられ、オペレータが画像形成条件と後処理条件を入力する。この画像形成制御部50から後処理制御部55に、オペレータによって選定された後処理モード情報と、シートサイズ情報と、シート紙厚さ情報と、ジョブ終了信号などが転送される。
【0062】
後処理制御部55は後処理装置Bに組み込まれ、画像形成装置Aから送られた情報に基づいて後処理を実行するように構成されている。そして後処理制御部55はRAM57に記憶されたデータに基づいてROM56に記憶されたプログラムで後処理動作を実行するように構成されている。
【0063】
このため、後処理制御部55には搬送経路22の排紙センサSe1の検出信号と、綴じユニット26(27)の動作終了信号などが転送される。また後処理制御部55は、搬送経路22に配置された搬送ローラを駆動する搬送モータM1、第1シフトモータSM1、第2シフトモータSM2等を制御するように構成されている。
【0064】
[動作状態説明]
図8に示すフローチャートに従って後処理動作の事項について説明する。なお同図フローチャートは前述の第1実施形態の動作状態を図示している関係でこの実施形態について説明する。装置電源が投入(St01)されると初期化動作を実行する(St02)。この動作で側縁規制部材35はホームポジションに位置付けされる。画像形成装置Aの入力部51のコントロールパネル54で画像形成条件の設定と後処理モードの設定が行われる(St03)。この設定で画像形成するシートサイズと、画像形成条件と、画像形成されたシートの後処理(仕上げ処理)条件が設定される。
【0065】
次いで画像形成装置Aは画像形成条件と後処理条件が設定されると、シートサイズ情報と後処理モード情報を後処理装置Bに転送する(St04)。これと共に、画像形成装置Aは画像形成動作を実行し(St05)、排紙指示信号を後処理装置Bに伝達し、その排紙口16にシートを搬出する(St06)。
【0066】
後処理装置Bは画像形成装置Aからの排紙指示信号を受信すると、側縁規制部材35をシートサイズ毎に設定された待機位置に位置移動する(St07)。そして排紙センサSe1がシート後端を検出(St08)するとタイマを作動し、予め設定したが時間の経過を待つ(St09)。この時間はシート後端が排紙センサSe1を通過してからシート端規制ストッパ28に到達する見込み時間に設定されている。
【0067】
そして設定時間経過後、制御手段55は側縁規制部材35に整合動作を実行させる(St10)。本整合動作は左右の側縁規制部材35F,35Rを同時に待機位置Wpから整合位置Apに移動させる。この動作で支持面上に搬入されたシートは所定の基準位置に位置決めされる。この整合動作は画像形成装置Aからシートが搬出される都度実行され、画像形成装置Aから画像形成のジョブエンド信号が送られると終了する(St11)。
【0068】
後処理装置Bの制御手段55は、画像形成装置Aからのジョブエンド信号を受信すると、フロント規制部材35Fをシート束の移送方向(図示の装置はエコ綴じ位置方向)に移動を開始する(St12)。この速度は予め設定され、予め設定された設定時間t1が経過するとシートにはループ状の湾曲が形成される。
【0069】
次に制御手段55は設定時間t1が経過(St13)すると、リア側規制部材35Rを移送方向に移動を開始する(St14)。するとフロント規制部材35Fとリア側規制部材35Rは共に同一速度若しくは、個別に設定された速度でシートの移送方向に向かって移動する。このときシートはループ状に湾曲した状態で整合位置から処理位置に向かって移動する。
【0070】
制御手段55は左右の規制部材35F,35Rを移送方向に向かって所定時間移動し、その時間が終了(St15)するとフロント規制部材35Fを減速停止する(St16)。このフロント規制部材35Fの減速停止から予め設定した時間t2が経過(St17)すると、制御手段55は、リア側規制部材35Rを減速停止する(St18)。このリア側規制部材35Rの減速停止位置は、処理位置に設定されている。従って、シート束ループ状に湾曲した状態から、湾曲部解除された状態(フラット形状)に移行した後にその端縁が処理位置に位置決めされる(Ste19)。
【0071】
以上の動作で処理トレイ24の支持面上へのシート搬入と、その姿勢の整合動作と、集積したシート束の整合位置から処理位置への位置移動が終了する(St20)。そこで制御手段55は後処理手段27(図示のものは第2綴じ処理ユニット)に後処理動作を実行する指示信号を発する。