(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262535
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】床用シート材及び表示用床構造
(51)【国際特許分類】
E01F 9/50 20160101AFI20180104BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20180104BHJP
E04F 15/16 20060101ALI20180104BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20180104BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
E01F9/50
E04F15/02 U
E04F15/02 C
E04F15/16 C
G09F19/22 H
G09F13/20 L
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-698(P2014-698)
(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公開番号】特開2015-129379(P2015-129379A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】595111594
【氏名又は名称】株式会社アシスト
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】赤松 憲
(72)【発明者】
【氏名】船山 徹
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−127302(JP,A)
【文献】
実開昭62−173783(JP,U)
【文献】
特開2002−250016(JP,A)
【文献】
実開昭58−141043(JP,U)
【文献】
特開2004−137814(JP,A)
【文献】
特開2008−301924(JP,A)
【文献】
特開2011−153469(JP,A)
【文献】
特開2012−249367(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3122626(JP,U)
【文献】
特開2009−121164(JP,A)
【文献】
米国特許第05848830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00〜 11/00
E04F 15/00〜 15/22
G09F 19/00〜 27/00
G09F 13/00〜 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射させる透光性材料を配置させる取付穴部が複数配列されて設けられた表面シートと、表面シートに設けられた各取付穴部に配置される各透光性材料と対応する位置にそれぞれ点光源が設けられた下地シートとを備え、前記の各点光源からの光を前記の各透光性材料を通して出射させるようにした床用シート材において、前記の下地シートに凹溝部を設け、この凹溝部内に沿ってリード線を収容させたガイド部材を設けると共に、このガイド部材に前記の表面シートに配置された各透光性材料と対応するようにして各点光源を設け、前記の各透光性材料によって前記の各点光源を覆うようにして、前記の表面シートを下地シートの上に装着させたことを特徴とする床用シート材。
【請求項2】
請求項1に記載した床用シート材において、前記の透光性材料として、透光性の点字鋲が前記の表面シートに複数装着されたことを特徴とする床用シート材。
【請求項3】
請求項2に記載した床用シート材において、底部に点光源を収容させる収容部が設けられた透光性の点字鋲を用い、前記の凹溝部から突出するように設けられた前記の点光源を点字鋲に設けられた収容部に収容させたことを特徴とする床用シート材。
【請求項4】
請求項3に記載した床用シート材において、前記の点字鋲の内面側に、前記の点光源から出射された光を点字鋲から斜め上方に集光させるレンズ部を設けたことを特徴する床用シート材。
【請求項5】
請求項2に記載した床用シート材において、透光性材料で構成された中実の点字鋲を用い、この点字鋲の下に前記の各光源に配置させたことを特徴とする床用シート材。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか1項に記載した床用シート材において、前記の表面シートがタイルカーペットで構成され、このタイルカーペットに設けられた取付穴部に前記の点字鋲が着脱自在に装着されることを特徴とする床用シート材。
【請求項7】
請求項2〜請求項6の何れか1項に記載した床用シート材と、発電部を有する発電用シート材とを設け、この発電用シート材における発電部において発電された電気を、前記の床用シート材の下地シート材に設けた凹溝部内に沿って設けられたガイド部材内に収容させたリード線を通して前記の各点光源に導くことを特徴とする表示用床構造。
【請求項8】
請求項7に記載した表示用床構造において、前記の発電用シート材における発電部に、振動により発電する圧電素子を用いたことを特徴する表示用床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の点字鋲が設けられた床用シート材に関するものである。特に、透光性の点字鋲が複数装着された表面シートと、表面シートに設けられた点字鋲と対応する位置に
点光源が設けられた下地シートとを備え、
点光源からの光を前記の点字鋲を通して出射させるようにした床用シート材において、下地シートに設けられた
点光源に電気を導くリード線が邪魔になったり、目立ったりすることがなく、リード線の配線や補修が簡単に行えると共に、
点光源の交換等も簡単に行え、さらに前記のリード線を通して床用シート材における
点光源に電気の供給させるにあたり、
点電源を用いて、必要に応じて適切に電気を供給できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、目の不自由な人が進路情報等を適切に認識できるようにするため、横断歩道や駅のプラットホーム等に点字ブロックが設けられており、また病院やホテル等の建造物等においても、目の不自由な人が進路情報等を適切に認識できるようにするため、特許文献1,2等に示されるように、カーペット等の床用シート材に複数の点字鋲を設けたものが提案されている。
【0003】
また、夜間等の暗い状態においても、点字ブロックにおける凸部を適切に認識できるようにするため、特許文献3〜5に示されるように、点字ブロックにおける凸部を透光性材料で構成し、この凸部の下にLED等を用いた光源を設け、この光源からの光を、前記の凸部を通して出射させるようにしたものが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献3〜5に示されるものは、横断歩道や駅のプラットホーム等に設ける点字ブロックを対象とするものであり、このような点字ブロックにLED等を用いた光源を設けることは困難で、コストが高く付くと共に、光源を交換することも煩雑であり、さらにこの光源に電気を供給させるリード線を配線させたり、配線されたリード線を補修したりすることも作業工数が増加し、時間を要すると共にメンテナンス費用も高くつく等の問題があった。
【0005】
また、特許文献3においては、前記の光源に電気を供給する電源として、太陽電池と蓄電池とを備えた太陽光電源を、前記の光源と一緒に点字ブロックに収容させるようにしたものが示されている。
【0006】
しかし、太陽電池と蓄電池とを備えた太陽光電源はコストが高く付くという問題があり、またこのように太陽光電源を点字ブロックに収容させた場合、蓄電池等が寿命になった場合に、太陽光電源を交換させる作業も非常に煩雑で、多くの時間を要するという問題があった。
【0007】
なお、カーペット等の床用シート材に複数の点字鋲を設けるようにした特許文献1,2等に示されるものにおいては、点字鋲を通して光源からの光を出射させるようにすることについては示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3632916号公報
【特許文献2】特許第3830275号公報
【特許文献3】実用新案登録第2592456号公報
【特許文献4】実用新案登録第3122626号公報
【特許文献5】特開2004−137814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、透光性の点字鋲が複数装着された床用シート材において、
点光源からの光を床用シート材に設けられた点字鋲を通して出射させるにあたり、点字ブロックにおける凸部の下に設けた
点光源から、前記の凸部を通して光を出射させる場合における前記のような問題がないようにすることを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明においては、透光性の点字鋲が複数装着された表面シートと、表面シートに設けられた点字鋲と対応する位置に
点光源が設けられた下地シートとを備え、
点光源からの光を前記の点字鋲を通して出射させるようにした床用シート材において、下地シートに設けられた
点光源に電気を導くリード線が邪魔になったり、目立ったりすることがなく、リード線の配線や補修が簡単に行えると共に、
点光源の交換等も簡単に行え、さらに、前記のリード線を通して床用シート材における
点光源に電気を供給させるにあたり、安価な電源を用いて、必要に応じて適切に電気を供給できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る床用シート材においては、前記のような課題を解決するため、
光を出射させる透光性材料を配置させる取付穴部が複数配列されて設けられた表面シートと、表面シートに設けられた
各取付穴部に配置される各透光性材料と対応する位置にそれぞれ
点光源が設けられた下地シートとを備え、前記の
各点光源からの光を前記の
各透光性材料を通して出射させるようにした床用シート材において、前記の下地シートに凹溝部を設け、この凹溝部
に沿ってリード線を収容させたガイド部材を設けると共に、このガイド部材に前記の表面シートに配置された各透光性材料と対応するようにして各点光源を設け、前記の
各透光性材料によって
前記の各点光源を覆うようにして、前記の表面シートを下地シートの上に装着させた。そして、前記の透光性材料として、透光性の点字鋲を前記の表面シートに複数装着させることができる。
【0012】
このよう
に、前記の表面シートを下地シートの上から分離させた状態
で、下地シートに設けられた
凹溝部に沿ってリード線を収容させたガイド部材を凹溝部内に
設けると共に、このガイド部材に前記の表面シートに配置された各透光性材料と対応するようにして各点光源を設けるようにすると、リード線の配線や補修が簡単に行えると共に、
点光源の交換等も簡単に行え、またこのようにリード線を前記の凹溝部
に沿ってリード線を収容させたガイド部材内に収容させた状態で、前記の表面シートを下地シートの上に装着させることにより、リード線が外部に露出して邪魔になったり、目立ったりするということもない。
【0013】
ここで、前記の透光性の点字鋲として、底部に
点光源を収容させる収容部が設けられた透光性の点字鋲を用い、前記の
点光源を前記の凹溝部から突出するように設け、この
点光源を点字鋲に設けられた前記の収容部に収容させるようにすることができる。
【0014】
また、このように点光源を透光性の点字鋲に設けられた収容部に収容させた場合において、
点光源から出射された光が点字鋲から離れた位置においても適切に視認されるようにするため、点字鋲の内面側に、
点光源から出射された光を点字鋲から斜め上方に集光させるレンズ部を設けることができる。
【0015】
また、前記の透光性の点字鋲として、透光性材料で構成された中実の点字鋲を用い、この点字鋲の下に前記の
点光源を配置させるようにすることができる。なお、このように点字鋲の下に
点光源を配置させる場合、
点光源としては、LED等を用いた点光源の他に、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略す。)等の
平面状の点光源を設けるようにすることもできる。
【0016】
ここで、本発明の床用シート材において、前記の表面シートとしては、床用シート材として一般に使用されている可撓性の樹脂タイルやカーペット等を用いることができる。特に、前記の点字鋲の周辺部が目立たないようにすると共に、取り扱いが容易で、部分的に交換させたり、適当に配置を変更させたりすることができるタイルカーペットを、表面シートとして用いることが好ましい。
【0017】
一方、前記の下地シートの種類は特に限定されないが、十分な強度を有すると共に、適度のクッション性を有する樹脂シートやゴムシート等を用いることができる。
【0018】
また、この下地シートにリード線を収容させる凹溝部を設けるにあたっては、この下地シートの上面に凹溝部を凹設させるようにする他、平坦な下地シート基材の上に、複数の溝形成用シート材を適当な隙間を介するようにして配置させ、溝形成用シート材間における隙間を凹溝部として利用することができる。なお、このように平坦な下地シート基材の上に、複数の溝形成用シート材を適当な隙間を介するように配置されて凹溝部を形成するようにした場合、溝形成用シート材を配置させる位置を変更させることにより、下地シートに設ける凹溝部の位置を簡単に変更させることができる。
【0019】
また、本発明に係る表示用床構造においては、前記のような床用シート材と、発電部を有する発電用シート材とを設け、この発電用シート材における発電部において発電された電気を、前記の床用シート材の下地シートに設けた凹溝部内に収容されたリード線を通して前記の
点光源に導くようにした。
【0020】
ここで、前記の発電用シート材における発電部においては、振動により発電する圧電素子を用いることが好ましい。このように振動により発電する圧電素子を用いると、太陽電池、蓄電池、商用電力などの外部電源が不要となり、装置全体を小形化することができ、また、外部電源からの配線も不要となるので、設置の自由度も飛躍的に向上する。そして、このように圧電素子を用いた発電用シート材の上に人が乗ると、その振動により前記の圧電素子において発電が行われ、発電された電気が前記のリード線を通して前記の床用シート材に設けられた
点光源に導かれるようになり、人が床用シート材に近づいた時に、床用シート材に設けられた
点光源からの光が前記の点字鋲を通して外部に出射されるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明における床用シート材においては、前記のように表面シートを下地シートの上から分離させた状態で、
下地シートに凹溝部を設け、この凹溝部
内に沿ってリード線を収容させたガイド部材を設けると共に、このガイド部材に前記の表面シートに配置された各透光性材料と対応するようにして各点光源を設けるようにしたため、リード線の配線や補修が簡単に行えると共に、
点光源の交換等も簡単に行え、また前記の表面シートを下地シートの上に装着させることにより、リード線が外部に露出して邪魔になったり、目立ったりするということもなくなる。
【0022】
また、本発明における表示用床構造においては、発電部を内蔵させた発電用シート材を設け、この発電用シート材における発電部において発電された電気を、床用シート材の下地シートに設けた凹溝部内
に沿って設けられた前記のガイド部材内に収容させた前記のリード線を通して
前記の表面シートに配置された各透光性材料と対応するようにして設けた各点光源に導くようにしたため、発電部において発電された電気により
点光源からの光が前記の点字鋲を通して外部に出射され、夜間等の暗い状態においても、点字鋲の存在を適切に視認できるようになる。
【0023】
即ち、本発明の点字鋲においては、歩行する視覚障害者が、その靴裏で点字鋲に触れて足裏の触感によりその存在を確認することと、点字鋲を通して外部に出射された光によって点字鋲の存在を確認することを合わせて行うことができ、自己の歩行経路を判断し、あるいは所定の警告を認知することにより、歩行の安全を確保することができるものである。特に、視覚障害者の中でも弱視者に対して視覚により誘導方向あるいは警告を認知させる機能を併せもつものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る床用シート材において、タイルカーペットからなる表面シートに、底部に
点光源を収容させる収容部が設けられた透光性の点字鋲を複数装着させた状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は部分断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態1に係る床用シート材において、下地シートの上面に凹設させた凹溝部内にリード線を収容させたガイド部材を設けると共に、表面シートに設けた前記の点字鋲に対応させて、このガイド部材の上面に
点光源を凹溝部から突出するように設けた状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態1に係る床用シート材において、平坦な下地シート基材の上に、複数の溝形成用シート材を適当に配置させて、下地シートの上面に凹溝部を形成する状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態1に係る床用シート材において、下地シートにおける凹溝部から突出して設けられた各
点光源を、表面シートに設けられた各点字鋲における収容部に収容させるようにして、表面シートを下地シートの上にセットした状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は部分断面説明図である。
【
図5】前記の実施形態1に係る床用シート材と隣接するようにして発電部を有する発電用シート材を設け、床用シート材における下地シートから延出されたリード線を発電用シート材の発電部に接続させた状態を、床用シート材と発電用シート材の一部を裁断して示した概略平面図である。
【
図6】前記の実施形態1に係る床用シート材において、底部に
点光源を収容させる収容部が設けられた点字鋲の内面側に、
点光源から出射された光を点字鋲から斜め上方に集光させるレンズ部を設けた状態を示した部分断面説明図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る床用シート材において、タイルカーペットからなる表面シートに、透光性材料で構成された中実の点字鋲を複数装着させた状態を示した部分断面説明図である。
【
図8】前記の実施形態2に係る床用シート材において、下地シートの上面に凹設させた凹溝部内にリード線を収容させたガイド部材を設けると共に、表面シートに設けた前記の点字鋲に対応させて、このガイド部材の上面に
点光源を設けた状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は断面説明図である。
【
図9】前記の実施形態2に係る床用シート材において、下地シートにおけるガイド部材の上面に設けた各光源の上に、表面シートに設けた各点字鋲を接触させるようにして、表面シートを下地シートの上にセットした状態を示し、(A)は概略平面図、(B)は部分断面説明図である。
【
図10】前記の実施形態2に係る床用シート材において使用する
点光源を変更させた変更例を示し、(A)は下地シートの上面に凹設させた凹溝部内に収容させたガイド部材の上面に
平面状の点光源を設けた状態を示した断面説明図、(B)は下地シートにおけるガイド部材の上面に設けた
平面状の点光源の上に、表面シートに設けた点字鋲を接触させるようにして、表面シートを下地シートの上にセットした状態を示した断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態に係る床用シート材及び表示用床構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る床用シート材及び表示用床構造は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0026】
(実施形態1)
この実施形態に係る床用シート材10Aにおいては、
図1(A),(B)に示すように、表面シート11の所定の位置において、横方向xと縦方向yにそれぞれ所要間隔を介するようにして複数の取付孔13を、この表面シート11を貫通するように設け、各取付孔13にそれぞれ透光性の点字鋲12を着脱可能に装着させるようにした。
【0027】
ここで、この実施形態においては、前記の表面シート11として、基布11aの表面にパイル11bが植設されると共にその裏面に裏打ち材11cが設けられて、所定大きさの矩形状になったタイルカーペット11を用いるようにした。但し、使用する表面シート11は、このようなタイルカーペット11に限定されず、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−ビニル共重合樹脂等の熱可塑性樹脂で構成された可撓性の樹脂タイル等、従来から一般に使用されているものを用いることができる。また、タイルカーペット11や熱可塑性樹脂製の床材は、踏みつけられることを前提に設計されているので、強度と柔軟性を併せ持ち、圧力の付与によって破壊され難い。このため、床用シート材10は、別途、保護部材などを設けることなく、表面シート11によって、内部の
点光源10、リード線21などを適切に保護することができる。特に、タイルカーペット11は、表面のパイル11bによって、優れた耐衝撃性を発揮することができるので好適である。
【0028】
また、この実施形態においては、前記の透光性の点字鋲12として、平面形状が円形状であって、底部に
点光源10を収容させる収容部121が設けられた点字鋲12Aを用いるようにした。
【0029】
一方、前記の表面シート11の下に設ける下地シート14としては、前記の表面シート11と同じ大きさの矩形状になった樹脂シートやゴムシート等を用い、この下地シート14の上面に、
点光源20に電気を導くリード線21を収容させる凹溝部15を設けるようにした。
【0030】
ここで、この実施形態においては、下地シート14の上面に凹溝部15を設けるにあたり、
図2(A),(B)に示すように、前記の表面シート11に設けられた点字鋲12の縦方向yの列に対応するようにして、その一端側から縦方向yに延びた第1凹溝部15aを、横方向xに所要間隔を介するようにして複数設け、各第1凹溝部15a内にそれぞれリード線21を収容させたガイド部材22を設けるようにした。
【0031】
なお、この実施形態においては、下地シート14の上面に凹溝部15を設ける構成になっているので、下地シート14が一体で形成されており、構造が簡単で作りやすい構成となっている。また、一体構成の為に、耐久性も高い。
【0032】
また、
点光源20として、LED等を用いたチップ型の点光源20Aを使用し、表面シート11に設けた各点字鋲12に対応するようにして、前記の各ガイド部材22の上に、前記の点光源20Aをそれぞれ前記の第1凹溝部15aから上方に突出するようにして複数設けた。なお、点光源20Aは、点字鋲12からの距離によって、出射する光量が異なるので、最適な位置に設けることが好ましい。また、点光源20Aを第1凹溝部15aから上方に突出するように設けることによって、外部により多くの光を照射できるので、歩行者が点字鋲をより視認しやすくなり、注意喚起効果を高めることができる。
【0033】
また、前記の下地シート14の上面に、前記の各第1凹溝部15aの端部を連通させる第2凹溝部15bを設け、この第2凹溝部15b内に前記の各ガイド部材22から延出されたリード線21を導くと共に、この第2凹溝部15bから前記の下地シート14の他端側に伸びた第3凹溝部15cを設け、前記の第2凹溝部15b内に導かれたリード線を、この第3凹溝部15cを通して下地シート14の他端側から延出させるようにした。
【0034】
また、前記のように下地シート14の上面に凹溝部15を形成するにあたっては、
図3(A),(B)に示すように、平坦な下地シート基材14aの上に、複数の溝形成用シート材14bを適当な間隔を介するようにして配置させ、溝形成用シート材14b間の隙間によって、前記の各凹溝部15(15a〜15c)を形成することも可能である。このようにした場合においては、複数の溝形成用シート材14bを点光源20Aの配置に応じて配置することができるので、配線の自由度が高くなる。
【0035】
そして、この実施形態の床用シート材10Aにおいては、
図4(A),(B)に示すように、前記のように各第1凹溝部15aから突出するようにして設けられた各点光源20Aを、表面シート11に設けられた前記の各点字鋲12の収容部121に収容させるようにして、表面シート11を下地シート14の上にセットするようにした。
【0036】
このようにすると、表面シート11を下地シート14の上から分離させた状態で、前記のように下地シート14に点光源20Aを設けたり、下地シート14に設けられた凹溝部15内にリード線21を収容させたりすることができ、リード線21の配線や補修が簡単に行えると共に、点光源20Aを交換する作業等も簡単に行えるようになり、また表面シート11を下地シート14の上に装着させることにより、リード線21が外部に露出して邪魔になったり、目立ったりするということもなくなる。
【0037】
また、この実施形態の床用シート材10Aにおいて、前記の点光源20Aを発光させて、前記の点字鋲12Aを通して光を出射させるにあたっては、
図5に示すように、発電部31を有する発電用シート材30を、前記の床用シート材10Aと隣接するように設け、前記の下地シート14における第3凹溝部15cから延出されたリード線21を、この発電用シート材30の発電部31に接続させ、この発電部31において発電された電気を前記のリード線21を通して各点光源20Aに導くようにした。
【0038】
ここで、この実施形態においては、前記の発電用シート材30における発電部31に、振動により発電する圧電素子を用いるようにした。このような発電部31としては、例えば、特開2011−153469号公報に記載のものを用いることができる。
【0039】
このように、発電用シート材30における発電部31に圧電素子を用いると、この発電用シート材30の上に人が乗ると、その振動により前記の発電部31における圧電素子において発電が行われ、このように発電された電気が前記のようにリード線21を通して各点光源20Aに導かれて、各点光源20Aが発光し、各点光源20Aからの光が透光性の各点字鋲12Aを通して外部に出射されるようになる。
【0040】
この結果、夜間等の暗い状態においても、前記の床用シート材10Aに近づくだけで、床用シート材10Aにおける点字鋲12Aを通して光が出射され、これにより点字鋲12Aの存在を適切に視認できるようになる。
【0041】
このように、本発明の表示用床構造は、商用電源などの外部電源ではなく、発電用シート材30からの電力を用いて点字鋲12を点灯させるので、災害などによる停電時であっても、常に、警告、誘導などを行うことができる。
【0042】
また、前記のようなLEDを用いた点光源20Aにおいて、発光色が異なるLEDを用いた複数の種類の点光源20Aを使用し、各点字鋲12Aを通して出射される光の色彩を適当に変更させて、意匠的効果や注意喚起効果を高めることもできる。
【0043】
なお、
図6に示すように、収容部121が大きくなった中空状の点字鋲12Aを用いると共に、柱状になった点光源20Bを用いた場合において、この点光源20Bから出射された光が、この点字鋲12Aから離れた位置においても適切に視認されるようにするため、中空状になった点字鋲12Aの内面側に、点光源20Bから出射された光を点字鋲12Aから斜め上方に集光させるレンズ部122を設けることもできる。
【0044】
(実施形態2)
この実施形態に係る床用シート材10Bにおいても、前記の実施形態1の床用シート材10Aと同様に、
図1(A)に示すように、表面シート11の所定の位置において、横方向xと縦方向yにそれぞれ所要間隔を介するようにして複数の取付孔13を、この表面シート11を貫通するようにして設け、各取付孔13にそれぞれ透光性の点字鋲12を着脱可能に装着させるようにした。
【0045】
ここで、この実施形態においては、
図7に示すように、前記の透光性の点字鋲12として、平面形状が円形状であって、透光性材料で構成された中実の点字鋲12Bを用いるようにした。
【0046】
そして、この実施形態においても、前記の実施形態1の場合と同様に、下地シート14の上面に凹溝部15を設けるにあたり、
図8(A),(B)に示すように、前記の表面シート11に設けられた点字鋲12の縦方向yの列に対応するようにして、その一端側から縦方向yに延びた第1凹溝部15aを、横方向xに所要間隔を介するようにして複数設け、各第1凹溝部15a内にそれぞれリード線21を収容させたガイド部材22を設けるようにした。
【0047】
そして、この実施形態においては、
点光源20として、前記の実施形態1の場合と同じチップ型の点光源20Aを使用し、表面シート11に設けた各点字鋲12に対応するようにして、前記の各ガイド部材22の上面に設ける一方、この点光源20Aを、各ガイド部材22と一緒に前記の第1凹溝部15a内に収容させるようにした。
【0048】
また、この実施形態においても、前記の実施形態1の場合と同様に、下地シート14の上面に、前記の各第1凹溝部15aの端部を連通させる第2凹溝部15bを設け、この第2凹溝部15b内に前記の各ガイド部材22から延出されたリード線21を導くと共に、この第2凹溝部15bから前記の下地シート14の他端側に伸びた第3凹溝部15cを設け、前記の第2凹溝部15b内に導かれたリード線を、この第3凹溝部15cを通して下地シート14の他端側から延出させるようにした。なお、この実施形態においても、下地シート14の上面に凹溝部15を形成するにあたって、前記の実施形態1と同様に、平坦な下地シート基材14aの上に、複数の溝形成用シート材14bを適当な間隔を介するようにして配置させ、溝形成用シート材14b間の隙間によって、前記の各凹溝部15(15a〜15c)を形成することも可能である。
【0049】
そして、この実施形態の床用シート材10Bにおいては、
図9(A),(B)に示すように、前記のように各ガイド部材22の上面に設けた点光源20Aの上に、前記の表面シート11に設けた透光性材料で構成された中実の各点字鋲12Bを接触させるようにして、表面シート11を下地シート14の上にセットさせた。
【0050】
このようにすると、前記の実施形態1の場合と同様に、表面シート11を下地シート14の上から分離させた状態で、前記のように下地シート14に各点光源20Aを設けたり、下地シート14に設けられた凹溝部15内にリード線21を収容させたりすることができ、リード線21の配線や補修が簡単に行えると共に、点光源20Aを交換する作業等も簡単に行えるようになり、また表面シート11を下地シート14の上に装着させることにより、リード線21が外部に露出して邪魔になったり、目立ったりするということもなくなる。
【0051】
また、この実施形態の床用シート材10Bにおいて、前記の点光源20Aを発光させて、前記の点字鋲12Bを通して光を出射させるにあたっては、図示していないが、前記の実施形態1の場合と同様に、振動により発電する圧電素子を用いた発電部31を有する発電用シート材30を、前記の床用シート材10Bと隣接するように設け、前記の下地シート14における第3凹溝部15cから延出されたリード線21を、この発電用シート材30の発電部31に接続させ、この発電部31において発電された電気を前記のリード線21を通して各点光源20Aに導くようにすることができる。
【0052】
そして、このように発電部31において発電された電気を点光源20Aに導いて、点光源20Aを発光させた場合、透光性材料で構成された中実の点字鋲12Bが点光源20Aと接触して設けられているため、点光源20Aからの光が、中実の点字鋲12B内に効率よく導かれて出射されるようになり、夜間等の暗い状態においても、床用シート材10Bにおける点字鋲12Bの存在を適切に視認できるようになる。
【0053】
また、この実施形態においても、発光色が異なるLEDを用いた複数の種類の点光源20Aを使用し、各点字鋲12Bを通して出射される光の色彩を適当に変更させて、意匠的効果や注意喚起効果を高めることもできる。
【0054】
なお、この実施形態においては、
点光源20として、前記の実施形態1の場合と同じチップ型の点光源20Aを使用したが、
点光源20として、
図10(A),(B)に示すように、有機EL素子を用いた
平面状の点光源20Cを使用し、表面シート11に設けた各点字鋲12に対応するようにして、前記の各ガイド部材22の上面に、前記の
平面状の点光源20Cを複数設けるようにすることもできる。
【0055】
そして、このように各ガイド部材22の上面に設けた
平面状の点光源20Cの上に、前記の表面シート11に設けた透光性材料で構成された中実の各点字鋲12Bを接触させるようにして、表面シート11を下地シート14の上にセットさせ、この
平面状の点光源20Cからの光を、中実の点字鋲12Bを通して出射させるようにすることができる。
【0056】
また、このように有機EL素子を用いた
平面状の点光源20Cにおいて、発光色が異なる有機EL素子を用いた複数の種類の
平面状の点光源20Cを使用し、各点字鋲12Bを通して出射される光の色彩を適当に変更させて、意匠的効果や注意喚起効果を高めることもできる。
【符号の説明】
【0057】
10A,10B 床用シート材
11 表面シート(タイルカーペット)、11a 基布、11b パイル、11c 裏打ち材
12,12A,12B 点字鋲、121 レンズ部
13 取付孔
14 下地シート、14a 下地シート基材、14b 溝形成用シート材
15,15a,15b,15c 凹溝部
20
点光源、20A
チップ型の点光源,20B 柱状の点光源、20C
平面状の点光源
21 リード線
22 ガイド部材
30 発電用シート材
31 発電部