特許第6262578号(P6262578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262578
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20180104BHJP
【FI】
   H01L33/48
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-54469(P2014-54469)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-177151(P2015-177151A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重枝 裕司
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−159837(JP,A)
【文献】 特開2013−232635(JP,A)
【文献】 特開2013−145908(JP,A)
【文献】 特開2011−151069(JP,A)
【文献】 特開2010−226011(JP,A)
【文献】 特表2011−505689(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0074451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部の設けられた略直方体状のパッケージと、
前記凹部内に配置された発光素子と、
前記凹部内に充填されて前記発光素子を覆う透光性の封止樹脂部とを有し、
前記パッケージは、
第一リードと、
前記第一リードの一端部に端部を対向配置した第二リードと、
前記第一リードおよび前記第二リードとを一体に保持するとともに、
前記第一リードおよび前記第二リード上に前記凹部を画成する枠部を備える成形樹脂部と、を有し、
前記第一リードの下面および前記第二リードの下面は、前記パッケージの底面に露出し、
前記第一リードおよび前記第二リードは、下面に形成された下面溝を有し、
前記下面溝は、前記成形樹脂部の一部が充填される第一下面溝と、前記成形樹脂部から露出される第二下面溝とを有し、
前記第二下面溝は、前記パッケージの対向する二つの側面に露出し、
前記第一下面溝は、前記第一リードの外周部および前記第二リードの外周部に形成された外周溝と、前記第一リードと前記第二リードの少なくとも一方に形成された内部溝とを備え、
前記第一リードおよび前記第二リードは、上面に形成された上面溝を有し、
前記内部溝および前記上面溝は、前記第二下面溝の露出する前記パッケージの側面に平行に直線状に形成され、
前記上面溝は、前記成形樹脂部の一部が充填され、前記枠部の直下に形成されると共に、前記内部溝より外側に形成される発光装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記第一リードの発光素子搭載部上に搭載され、
前記内部溝は、前記発光素子搭載部と前記上面溝との間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記凹部内において、前記第一リード上に、成形樹脂部の一部としての薄膜部が形成され、
前記発光素子は、前記発光素子搭載部上の前記薄膜部に樹脂接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記パッケージの側面は、前記発光装置の製造工程で形成された切断面であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特にリードフレームと樹脂部とで構成されたパッケージ内に半導体発光素子を備えた半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リードフレームと反射性樹脂部とで構成されたパッケージ内に半導体発光素子を配置し、半導体発光素子を透明樹脂部で覆った発光装置が記載されている。特許文献1のような発光装置においては、リードフレームに溝を形成して溝内を反射性樹脂部の樹脂材を充填することにより、リードフレームと反射性樹脂部との密着性を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−084810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、リードフレームと反射性樹脂部、リードフレームと透明樹脂部との密着性をより高ることが求められていた。
【0005】
特に、特許文献1のような発光装置は、製造工程において、多面付された状態で工程を経てから分割されるが、分割の際にリードフレームとそれぞれの樹脂部(反射性樹脂部、透明樹脂部)とに起こり易い剥離を防止することが課題となっていた。
【0006】
剥離が生じると水分が浸入するおそれがあり、発光装置の信頼性を低下させる懸念があった。水分が浸入すると電気特性不良や、配線パターンに銀を用いた場合には、銀の硫化による発光装置の光束低下や外観不良を起こすという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決して、信頼性の高い発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、凹部の設けられた略直方体状のパッケージと、凹部内に配置された発光素子と、凹部内に充填されて前記発光素子を覆う透光性の封止樹脂部とを有する。 パッケージは、第一リードと、第一リードの一端部に端部を対向配置した第二リードと、第一リードおよび第二リードとを一体に保持するとともに、記第一リードおよび第二リード上に凹部を画成する枠部を備える成形樹脂部と、を有する。
第一リードおよび第二リードは、下面の一部がパッケージの底面に露出しており、下面に形成された下面溝を有する。下面溝は、成形樹脂部の一部が充填される第一下面溝と、成形樹脂部から露出される第二下面溝とからなる。
第一下面溝は、第一リードの外周部および第二リードの外周部に形成された外周溝と、第一リードと第二リードの少なくとも一方に形成された内部溝とを備えている。
第二下面溝は、パッケージの対向する二つの側面に露出している。
第一リードおよび第二リードは、上面に形成された上面溝を有し、上面溝は成形樹脂部の一部が充填され、枠部の直下に形成されると共に、内部溝より外側に形成される。
上面溝および内部溝は、第二下面溝の露出するパッケージの側面に平行に直線状に形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置によれば、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
具体的には、リードに内部溝と上面溝とを併せて備えることにより、パッケージの凹部内におけるリードと樹脂部(成形樹脂部および/または封止樹脂部)との剥離を効率よく抑制することができる。
上面溝と下面溝の一部である内部溝には成形樹脂部の一部である樹脂が充填されることにより、ダイシングなどの外部からの衝撃でリードが振動するのをリードを挟み込む位置で効率よく抑制するからである。また、上面溝を枠部直下に配置することにより、個片化による切断面となるパッケージの外側側面から剥離が生じた場合にも凹部内への剥離の到達を抑制することができるためである。
特に、個片化による切断面であって第二の下面溝を露出させて端子形成側面となるパッケージ側面に対し平行な直線状に形成することにより、個片化工程に起因するリードと樹脂部(成形樹脂部および封止樹脂部)との剥離を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明の実施例1の発光装置における要部の平面図である。(b)図1(a)におけるA−A線に沿う概略断面図である。(c)図1(a)におけるB−B線に沿う概略断面図である。(d)本発明の実施例1の発光装置の実装状態を示す図である。(e)本発明の実施例1の発光装置の内部構造を示す部分斜視図である。
図2】(a)本発明の実施例1の発光装置における要部の平面図である。(b)本発明の実施例1の発光装置における要部の正面図である。(c)本発明の実施例1の発光装置における要部の底面図である。(d)本発明の実施例1の発光装置における要部の右側面図である。
図3】(a)本発明の実施例1の発光装置におけるリードの平面図である。(b)本発明の実施例1の発光装置のパッケージにおけるリードの透視平面図である。(c)本発明の実施例1の発光装置のパッケージにおけるリードの透視底面図であり、(c−1)下面溝を示す図、(c−2)第一下面溝、第二下面溝、外周溝、内部溝を示す図である。
図4】本発明の実施例1の発光装置の製造工程を示す説明図である。(a)リード形成工程、(b)成形樹脂部形成工程、(c)発光素子配置工程、(d)封止樹脂部形成工程、(e−1)および(e−2)は個片化工程を説明する図である。図4(e−1)は多面取りの発光装置の底面図、図4(e−2)は図4(e−1)におけるC−C線に沿う概略断面図である。
図5】本発明の実施例2の発光装置における要部の(a)平面図、および(b)図5(a)におけるD−D線に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の好適な実施形態を詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【実施例1】
【0012】
以下に、本発明の実施例1に係る発光装置10について、図1〜4を参照しつつ説明する。
【0013】
図1(a)は実施例1の発光装置10を光放射面側から見た平面図である。図1(b)は図1(a)におけるA−A線に沿う概略断面図、図1(c)は図1(a)におけるB−B線に沿う概略断面図である。図1(e)実施例1の発光装置10の内部構造を示す部分斜視図である。図1(a)および(e)においては、説明の明瞭化のため、封止樹脂部5を省略して示している。
図2は、実施例1の発光装置10の(a)平面図(b)正面図(c)底面図(d)右側面図である。
図3は、実施例1の発光装置10のリードの(a)平面図である(b)透視平面図、(c−1)および(c−2)は、下面溝を示す透視下面図、である。(b)、(c−1)、および(c−2)においては、成形樹脂部3を点線で示している。
【0014】
発光装置10は、凹部1Aの設けられた略直方体状のパッケージと、凹部1A内に配置された発光素子4と、凹部1A内に充填されて発光素子4を覆う透光性の封止樹脂部5とを有する。
【0015】
パッケージは、成形樹脂部3、成形樹脂部3に保持されたリード2(第一リード21および第二リード22)、とから構成される。
パッケージは、外形が略直方体形状に形成されており、本実施例では、長手方向と短手方向を有する直方体形状に形成されている。
【0016】
成形樹脂部3は、酸化チタンや酸化亜鉛などの光散乱性粒子を分散した樹脂から構成される。樹脂材料としては、PPA(ポリフタルアミド)などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂などが用いられる。また成形樹脂部3には、強度や熱膨張率を調整するためにガラスフィラーなどの機能性粒子を混合することができる。
本実施例においては、酸化チタン粒子とガラスフィラーとをシリコーン樹脂に対して70〜90wt%混合した樹脂により成形樹脂部3を構成し、可視光反射率が90%以上、、リードを構成する銅と熱膨張率が比較的近似した成形樹脂とすることができた(銅の熱膨張係数:17.7ppm/K、成形樹脂部の熱膨張率:14〜18ppm/K)。
【0017】
成形樹脂部3は、凹部1Aを画成する枠部31を有し、枠部31の内周面は反射面として機能する。
成形樹脂部3は、第一リード21および第二リード22とを一体的に保持する。成形樹脂部3は、凹部1Aの外側において、第一リード21および第二リード22を挟み込むように形成される。
【0018】
第一リード21および第二リード22は、鉄、リン青銅、銅などの平板状の金属材料から構成される。また、適宜、めっき処理を施すことができる。
本実施例では、平板状のCuを図3(a)に示すように所定形状に加工したものに、Ni、Pd、Auを順にめっき処理して構成した。
第一リード21および第二リード22は、電極対をなし、図1(a)および図3(a)に示すようにそれぞれのリードの一端部が離間して対向配置されている。
第一リード21および第二リード22の他端部は、図1(b)〜(e)に示すように、それぞれパッケージの対向する側面まで導出されている。
第一リード21および第二リード22の下面21aおよび22aの一部は、図1(b)〜(d)、および図2(c)に示すようにパッケージ底面1Bに露出しており、発光装置10の実装面となる。
【0019】
第一リード21は、発光素子搭載部201を有し、該発光素子搭載部201に発光素子4が搭載されている。本実施例では、第一リード21上に導電性接着剤を介して発光素子4が接合されており、発光素子4と電気的に接続されている。
第二リード22上には、一端部が発光素子4と電気的に接続された導電ワイヤ7の他端部が接続されている。
第一リード21は、第二リード22よりも大きいサイズで形成されている。第一リード21側に発光素子搭載部201を形成したためである。
【0020】
第一リード21と第二リード22は、隣接する発光装置10の第一リード21と第二リード22と一体化して、製造工程における多面取り状態を形成するための連結部202を有している。そのため、連結部202は、パッケージの4つの側面にそれぞれ到達するように、つまり、図1(e)に示すように連結部202の断面が露出するように形成されている。
連結部202は、隣接する発光装置10の第一リード21どうしおよび第二リード22どうしを連結する第一連結部202aと、隣接する発光装置10の第一リード21と第二リード22とを連結する第二連結部202bとから構成される。連結部202は、製造工程における個片化する際の切断線11上にあるため、個片化後においては、その断面が、発光装置10の切断面であるパッケージ側面1Cまたは1Dに露出する。第一連結部202aは、長手側のパッケージ側面1Dにその断面が露出し、第二連結部202bは、短手側のパッケージ側面1Cにその断面が露出する。
また、第一の連結部202aは、上面および下面が成形樹脂部3により覆われて保持され、第二の連結部202bは、上面が成形樹脂部3により覆われて下面が成形樹脂部3より露出している。
【0021】
第一リード21および第二リード22は、下面に形成された下面溝220、上面に形成された上面溝210を有する。
下面溝220は、樹脂が充填される第一下面溝221と、樹脂が充填されずに空間を保持する第二下面溝222から構成される。
上面溝210には、樹脂が充填され、該上面溝210に充填された樹脂(上面溝充填部32)は成形樹脂部3の一部を構成する。
【0022】
第一下面溝221は、樹脂が充填されて成形樹脂部3の一部(外周溝充填部33および内部溝充填部34)を構成する。
第一下面溝221は、第一リード21および第二リード22の外周部(パッケージ側面近傍を除く、図3(c−2)において右上がり斜線部で示す)、および、第一リード21における発光素子搭載部201と第二下面溝222との間(図3(c−2)において格子部で示す)に形成されている。
【0023】
第一下面溝221のうち、第一リード21および第二リード22の外周部に形成された外周溝221aには、樹脂が充填されて成形樹脂部3の一部である外周溝充填部33を構成し、第一リード21および第二リード22がパッケージの底面から脱落するのを防止している。外周溝221aは、第一連結部全体にも形成されている。
【0024】
第一下面溝221のうち、第一リード21における発光素子搭載部201と第二下面溝222との間に形成された内部溝221bは、外周溝221aと同様、樹脂が充填されて成形樹脂部3の一部である内部溝充填部34を構成し、第一リード21および第二リード22がパッケージから脱落するのを防止する。
さらに、内部溝221bは、内部溝充填部34を備えることにより、外部からの衝撃でリードフレームが振動するのを効率よく抑制して、リードフレームが成形樹脂部3や封止樹脂部5から剥離するのを抑制する。
内部溝221bは、パッケージ底面における第二下面溝222が接する辺に平行に形成されている。そのため、内部溝221bに充填された成形樹脂部3(すなわち内部溝充填部34)により、ダイシング時に発生する衝撃によりリードフレームを効率よく制振することができる。特に第二下面溝222の接する辺は、個片化工程における切断線上に存在しているが、第二下面溝222は、溝内部が成形樹脂部3から露出しているため、残りの二辺を切断する際と比較してダイシング時のリードフレームへの衝撃が大きいためである。
また、内部溝221bは、第一リード21における発光素子搭載部201と切断面との間に位置している。特に内部溝221bは、第一リード21における発光素子搭載部201近傍であって、発光素子搭載部201に重ならないように形成されている。そのため、内部溝221bに充填された成形樹脂部3(すなわち内部溝充填部34)により、発光素子搭載部201におけるリードフレームの振動を効率よく制振することができる。
そして、内部溝221bは、後述する上面溝210と、第一リード21を厚み方向で挟み込む関係で配置されている。そのため、内部溝221bと上面溝210に充填された成形樹脂部3(すなわち内部溝充填部34と上面溝充填部32と)により、リードフレームの振動を効率よく制振することができる。
【0025】
本実施例では、面積の小さい方の第二リード22には内部溝221bを形成する空間的余裕がないため、内部溝221bが形成されていない。しかし、本実施例の発光装置10は、少なくとも発光素子4が搭載される側の面積の大きい方のリード(すなわち第一リード21)に内部溝221bを形成することにより、発光装置10が大型化するのを抑制しつつ効率よく剥離を抑制している。
【0026】
第二下面溝222は、樹脂が充填されず、空間が保持される。この空間は、図1(d)に示すように、発光装置10を実装する際に、はんだなどの接合材料が充填されて接合材フィレットを形成するのに利用される。図1(d)に、実装パターンの形成された実装基板8上に、はんだなどの接合材料9を用いて発光装置10を実装した状態を示している。つまり、実装時において、第二下面溝222により形成した空間に接合材フィレットを形成することにより発光装置10の実装強度を向上し、実装安定性を向上することができる。
第二下面溝222は、第二連結部に形成されている。第二下面溝222は、図1(e)に示すように第二連結部に溝内壁222aが残るように形成される。そのため、第二連結部の下面の一部は、パッケージ底面1Bに露出する。溝内壁222aが形成されることにより、上記はんだフィレットを安定的に形成して実装安定性を向上することができる。
【0027】
第二下面溝222は、パッケージ底面1Bにおいて対向する二つの辺のそれぞれに重なるように形成する。一方、第二下面溝222は、パッケージ底面1Bにおいて残りの二つの辺には重ならないように形成する。
つまり、第二下面溝222は、対向する二つのパッケージ側面1Cに露出する。第二下面溝222は、パッケージ側面1Cまで達するように(パッケージ側面1Cまで延在するように)形成されて、接合材フィレット形成領域を形成している。一方、第二下面溝22は、パッケージ側面1Cに直交するパッケージ側面1Dからは離間して形成される。
本実施例では、パッケージ底面1Bにおけるそれぞれの短辺に対し、二つの第二下面溝222(合計で四つの第二下面溝222)を形成した。
すなわち、第二下面溝222は、パッケージの相互に対向する二つの側面1Cおよび底面1Bに露出している。
従って、第一リード21および第二リード22は、下面における下面溝220の形成されていない領域と第二下面溝222とで実装端子を構成している。
【0028】
上面溝210は、第一リード21および第二リード22のそれぞれに、成形樹脂部3の枠部31の直下に位置するように形成されている。
上面溝210は、第一リード21および第二リード22において、第二下面溝222が露出するパッケージの側面と平行に直線状に形成されている。つまり、本実施例において、上面溝210は、第一リード21および第二リード22において、パッケージ底面の短辺に平行に直線状に形成されている。
上面溝210は、パッケージの側面に露出しないようにパッケージの側面から離間して設けられている。
上面溝210には、樹脂が充填されて成形樹脂の一部を構成する。
上面溝210に樹脂が充填されることにより、リードフレームと成形樹脂部3との間に剥離が発生した場合にも、該剥離が凹部1A内へ延伸することを抑制することができる。上面溝210を形成しない場合と比較して、パッケージ側面から凹部1A内までのリードと成形樹脂界面を経由しての経路を長くすることができるためである。特に、発光装置10の製造工程における個片化の際に生じやすい、パッケージの外側側面からの剥離が発生した場合に、リードフレームと成形樹脂部3との剥離が凹部1A内へ到達するのを抑制することが有効なためである。
第一下面溝221における内部溝221bと上面溝210とは、平行に形成されている。
第一下面溝221における内部溝221bは、上面溝210と発光素子搭載部201との間に位置する。
第一下面溝221における内部溝221bは、第二下面溝222と発光素子搭載部201との間に位置する。
【0029】
凹部1A内の底面には、第一リード21と第二リード22の表面が露出している。
凹部1A内に露出した第一リード21の発光素子搭載部201上には、発光素子4が接着剤6を介して配置されている。
また凹部1A内において、第一リード21および第二リード22と発光素子4とは電気的に接続されている。
発光素子4は、所望の発光色の半導体レーザ素子、LED素子、などを用いることができる。
接着剤6としては、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、などを用いることができる。
本実施例では、発光素子4として青色発光のLED素子を用い、LED素子を導電性の樹脂接着剤を用いて第一リード21上に搭載して第一リード21と電気的に接続した。また、半導体発光素子4と第二リード22とをAuからなる導電ワイヤ7を介して電気的に接続した。
尚、発光素子搭載部201の下面側は、図2(c)に示すように、成形樹脂部3で覆われずに露出して、下面21aを形成する。
【0030】
凹部1A内には、発光素子4を覆う封止樹脂部5が形成されている。
封止樹脂部5は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などから構成することができる。
封止樹脂部5には、蛍光体粒子を分散することができる。蛍光体粒子は、発光素子4からの発光の一部または全部を吸収して異なる波長へ変換する。
本実施例においては、青色発光LED素子からの発光の一部を吸収して黄色へ波長変換するEuを付活したオルトシリケートからなる蛍光体粒子を分散した。そのため、本実施例の発光装置10は、封止樹脂部5を透過する青色光と蛍光体粒子により波長変換された黄色光の合成光である白色光を放出する。
【0031】
[本発明の実施例1の製造方法]
次に、本発明の実施例1の半導体発光装置10の製造方法について、図4を参照して説明する。
本発明の実施例1の半導体発光装置10の製造方法は、(a)リード形成工程、(b)成形樹脂部形成工程、(c)発光素子配置工程、(d)封止樹脂部形成工程、(e)個片化工程とを有する。以下、各工程について説明する。尚、図4においては、個片化工程における切断線を点線で示している。
【0032】
(a)リード形成工程
本工程において、第一リード21および第二リード22をパターン形成して備えた多面取り状態のリードフレームを準備する(図4(a)参照)。
本実施例では、銅からなる平板状のリードフレームを、エッチングにより所定形状に形成した。このエッチングにおいて、上面溝210および下面溝220を形成した。エッチングにより形成された上面溝210および下面溝220には、丸みが形成されている。
その後、Ni、Pd、Auのめっき処理を順次行った。
なお、リードフレームの加工は、切削、圧延、打ち抜き、押し出し等を併用してもよく、これら方法で加工後にエッチングにより上面溝210および下面溝220を形成してもよい。
【0033】
(b)成形樹脂部形成工程
本工程において、インサート成形、トランスファ成形などの成形により成形樹脂部3を形成する。金型のキャビティ内にリードフレームを配置して、樹脂を流し込んで成形樹脂部3を形成する(図4(b)参照)。
本工程において、枠部31が形成されている。
本工程において、上面溝210および第一下面溝221にも樹脂が充填される。
本工程において、リードフレームの下面、おおび凹部1A内におけるリードフレームの上面は金型に接しているため樹脂により覆われることがない。
本実施例では、酸化チタン粒子とガラスフィラーを含有したシリコーン樹脂によりインサート成形した。
【0034】
(c)発光素子配置工程
本工程において、第一リード21上に接着剤6等を介して発光素子4を実装する(図4(c)参照)。
本実施例では、Agの粒子を含有したエポキシ樹脂接着剤6を介して、青色発光LED素子を実装した。その後、LED素子の上部電極と第二リード22をAuワイヤ7で接続して、電気的接続を得た。
【0035】
(d)封止樹脂部形成工程
本工程において、凹部1A内に発光素子4を覆うように、透光性樹脂からなる封止樹脂部5を形成する(図4(d)参照)。
本実施例では、Ceを不活したYAGからなる蛍光体粒子を含有するシリコーン樹脂を充填後、加熱炉へ投入し、シリコーン樹脂を熱硬化して封止樹脂部5を形成した。
【0036】
(e)個片化工程
本工程において、多面取り状態で形成された多数の発光装置10を個片化する(図4(e−1)および(e−2)参照)。
枠部31上面を保護テープに貼り付け、パッケージの底面側からダイシングブレードを切断線上に掃引することで個片化した。ダイシングは、パッケージの底面側からブレードを当てて行った。パッケージの底面側からダイシングすることにより、発光面上にダイシング時に発生するごみの付着を低減することができる、ダイシング時に発生するリードのバリが第二下面溝222の空間を埋めてしまうことがない、という利点がある。
本工程により、本工程による切断面であるパッケージ側面1Cおよび1Dが形成される。パッケージの対向する二つの側面には、第二下面溝222が露出する。残りの二つの側面には、隣接する発光装置10と多面取り状態を形成するための第一リード21と第二リード22の連結部202が露出し、第二下面溝222は露出しないものとなっている。
【0037】
リードに内部溝221bと上面溝210とを併せて備える本実施例の発光装置10によれば、パッケージの凹部1A内におけるリードと樹脂部との剥離を効率よく抑制することができる。内部溝221bと上面溝210には成形樹脂部3の一部である樹脂が充填されることにより、ダイシングなどの外部からの衝撃でリードが振動するのをリードを挟み込む位置で効率よく抑制する。併せて、上面溝210を枠部31直下に配置することにより、個片化による切断面となるパッケージの外側側面から剥離が生じた場合にも凹部1A内への進展を抑制することができる。
特に、個片化による切断面であって第二下面溝222が露出して端子形成側面となるパッケージ側面に対し平行な直線状に形成することにより、個片化工程に起因するリードと樹脂部(成形樹脂部3および/または封止樹脂部5)との剥離を効果的に抑制することができる。第二下面溝222の形成された第二連結部202bは、第一連結部202aとは異なりその下面が成形樹脂部3から露出されているため、第二連結部202bを通る切断線上を切断する際においては、第一連結部202aを通る切断線上を切断するのと比較して、リード2と樹脂部との剥離の要因となりなる衝撃が大きいためである。
【実施例2】
【0038】
以下に、本発明の実施例2に係る発光装置について、図5を参照して説明する。実施例1と同じ要素については、同じ符号で示す。図5(a)は、本発明の実施例2に係る発光装置20の概略平面図、図5(b)は、図5(a)のD−D線に沿う概略断面図である。
【0039】
実施例2に係る発光装置20は、成形樹脂部3が凹部1A内の第一リード21上まで形成されている点で、実施例1の発光装置10と異なる。それに伴い、発光素子4が第一リード21上に形成された成形樹脂部3上に配置され、発光素子4の両電極とリードとが導電ワイヤ7を介して接続されている点で実施例1の発光装置10と異なる。それ以外の構成については実施例1の発光装置と同様である。
【0040】
実施例2に係る発光装置20は、成形樹脂部3が凹部1A内の第一リード21上まで形成されている。
実施例2に係る発光装置20によれば、第一リード21の発光素子搭載部201が成形樹脂部3で覆われている。以下、凹部1A内で第一リード21上に形成された領域を薄膜部35と呼称する。薄膜部35は第一リード21の発光素子搭載部201を被覆しており、発光素子4は、薄膜部35上に樹脂接着剤6を介して接合される。そのため、樹脂接着剤6との親和性がリード(金属)と比較して高いため、実施例1の発光装置と比較してダイボンディング強度を向上することができる。
また、実施例2に係る発光装置20によれば、成形樹脂部3に反射率の高い樹脂を用いることにより、発光素子4の搭載する周囲領域の反射率を高めることができるため、光取出し効率を向上することができる。そのため、リードにAuめっきが施される場合にもリードによる光吸収量を低減することができ、リードにAgめっきが施される場合にもAgめっき変色による光度低下を抑制することができる。
Auめっきを施したリード(反射率40%)と、ニ酸化チタンとガラスフィラーを含有したシリコーン樹脂からなる成形樹脂部3(反射率90%以上)とから実施例1と実施例2に係る発光装置を構成した。その結果、実施例2の発光装置20は、実施例1の発光装置10と比較して光度が8%〜11%向上した。
さらに、実施例2に係る発光装置20によれば、厚み方向において、第一リード21を成形樹脂部3で挟みこむ構造となるため、発光装置全体の強度が向上し、厚み方向の応力による発光装置の破壊を防ぐことができる。
【0041】
尚、本発明の発光装置は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることは勿論である。
例えば、上記実施例において、発光素子は1つを第一リード上にのみに搭載したが、発光素子は複数でもよく、第二リード上に搭載してもよい。
例えば、上記実施例において第一下面溝の内部溝は第一リードのみに形成したが、第二リードに形成してもよい。
例えば、上記実施例1においては、発光素子とリードとの電気的接続を導電性接着剤と導電ワイヤにより行ったが、導電ワイヤのみで行うものであってもよい。また、発光素子についても、一対の電極を上下面に備えたものだけでなく、上面のみに備えたものなど、適宜選択することができる。
例えば、上記実施例においては、封止樹脂部にEuを付活したオルトシリケートからなる蛍光体粒子を分散したが、蛍光体粒子の分散の有無、蛍光体粒子の種類は任意である。例えば、Ceを付活したYAGなどのガーネット蛍光体、サイアロンやカズンなどの窒化物蛍光体など適宜な蛍光体を使用、併用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:パッケージ
1A:凹部
1B:パッケージ底面
1C:短手側パッケージ側面
1D:長手側パッケージ側面
2:リード
21:第一リード
21a:第一リード下面
22:第二リード
22a:第二リード下面
201:発光素子搭載部
202:連結部
202a:第一連結部
202b:第二連結部
210:上面溝
220:下面溝
221:第一下面溝
221a:外周溝
221b:内部溝
222:第二下面溝
222a:第二下面溝内壁
3:成形樹脂部
31:枠部
32:上面溝充填部
33:外周溝充填部
34:内部溝充填部
35:薄膜部
4:発光素子
5:封止樹脂部
6:接着剤
7:導電ワイヤ
8:実装基板
9:接合材料
9a:接合材フィレット
10、20:発光装置
11:切断線
図1
図2
図3
図4
図5