特許第6262600号(P6262600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262600
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両用サイドミラー
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/074 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   B60R1/074
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-112603(P2014-112603)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-227075(P2015-227075A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎治
(72)【発明者】
【氏名】大田垣 宏亨
(72)【発明者】
【氏名】西本 貞治
(72)【発明者】
【氏名】森村 友哉
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−203074(JP,A)
【文献】 特開2006−282088(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/038275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/074
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーが取り付けられるハウジングと、
車体の側部に取り付けられるミラーベースと、
上記ミラーベースに固定される支軸と、上記ハウジングに固定されて上記支軸周りに回動することによって該ハウジングを使用状態と格納状態とに切り替えるためのハウジング側部材とを有する格納ユニットとを備えた車両用サイドミラーにおいて、
上記ミラーベースには、上記支軸の基端部が締結される締結ボスが形成されるとともに、該ミラーベースにおける上記締結ボスの周囲を覆うように形成されたアッパーカバーが設けられ、
上記アッパーカバーには、上記支軸の基端部が挿入される貫通孔が形成され、該貫通孔の内部には、上記締結ボスの外面に接触して該アッパーカバーが上記支軸周りに回動変位するのを規制するための接触部が設けられ、
上記アッパーカバーは、上記支軸と上記ミラーベースとによって挟持されていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サイドミラーにおいて、
複数の上記締結ボスが上記支軸の中心線周りに互いに間隔をあけて設けられ、
上記アッパーカバーの接触部は、複数の上記締結ボスの外面に接触することを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記アッパーカバーの接触部は、上記支軸の中心線周りに隣り合う2つの上記締結ボスの間に配置されて両締結ボスの外面に接触していることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記アッパーカバーの接触部は、上記貫通孔の内面から突出する凸部で構成され、
上記支軸の基端部には、上記アッパーカバーの接触部が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記アッパーカバーの接触部には、上記支軸の基端部が載置されること特徴とする車両用サイドミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の側部に配設される車両用サイドミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の側部に配設される車両用サイドミラーは、後方確認用ミラーが取り付けられるハウジングと、ハウジングを車両のドアに対して支持するためのミラーベースとを備えており、ミラーベースはドアに締結固定されている。ハウジングは、ミラーベースに対して上下方向に延びる軸周りに回動して格納状態と使用状態とに切り替えられるようになっている。
【0003】
この種の車両用サイドミラーとしては、例えば特許文献1に開示されているように、ミラーベースのベース本体を覆う本体カバーを備えているものが知られている。本体カバーの上部には、該本体カバーの上部に形成された開放部に挿入されるアッパーカバーが設けられている。アッパーカバーは、本体カバーの開放部に挿入された状態でベース本体の上部に対してネジによって締結固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−302863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、アッパーカバーをミラーベースに対してネジによって締結固定するようにしているので部品点数が増加する。そこで、例えばアッパーカバーの周縁部に小さなガタつき防止用の突起を形成し、アッパーカバーを本体カバーの開放部に挿入した状態でガタつき防止用の突起を本体カバーの内面に押し付けることによってアッパーカバーを本体カバーに固定する方法が考えられる。この方法によれば小さなガタつき防止用の突起とすることで本体カバーの開放部に挿入する際の作業が容易に行えるとともに締結用のネジが不要になって部品点数を低減できるという利点がある。ところが、ガタつき防止用の突起による集中荷重が狭い範囲にかかり、経時的にガタつき防止用の突起が潰れてアッパーカバーにガタが発生する恐れがある。
【0006】
また、アッパーカバーの周縁部にガタつき防止用の突起を設ける場合には、アッパーカバーを本体カバーの開放部に挿入するとき、ガタつき防止用の突起が本体カバーの内面に強干渉してアッパーカバーの周縁部が本体カバーに完全に挿入されずにアッパーカバーの周縁部に浮きが発生することが考えられる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ミラーベースのアッパーカバーをガタつくことなく、しかも、浮きが発生することなく、ベース本体に取り付けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、ベース本体に格納ユニットの支持軸を締結するための締結ボスが設けられていることに着目し、この締結ボスの外面にアッパーカバーの内周側に設けられた係合部を係合させてアッパーカバーをミラーベースに位置決めするようにした。
【0009】
第1の発明は、
ミラーが取り付けられるハウジングと、
車体の側部に取り付けられるミラーベースと、
上記ミラーベースに固定される支軸と、上記ハウジングに固定されて上記支軸周りに回動することによって該ハウジングを使用状態と格納状態とに切り替えるためのハウジング側部材とを有する格納ユニットとを備えた車両用サイドミラーにおいて、
上記ミラーベースには、上記支軸の基端部が締結される締結ボスが形成されるとともに、該ミラーベースにおける上記締結ボスの周囲を覆うように形成されたアッパーカバーが設けられ、
上記アッパーカバーには、上記支軸の基端部が挿入される貫通孔が形成され、該貫通孔の内部には、上記締結ボスの外面に接触して該アッパーカバーが上記支軸周りに回動変位するのを規制するための接触部が設けられ、
上記アッパーカバーは、上記支軸と上記ミラーベースとによって挟持されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、格納ユニットの支軸の基端部がミラーベースに締結固定され、格納ユニットのハウジング側部材が支軸周りに回動することによってハウジングが使用状態と格納状態とに切り替えられる。また、ミラーベースにおける締結ボスの周囲はアッパーカバーによって覆われ、このアッパーカバーの接触部がミラーベースの締結ボスの外面に接触する。これにより、アッパーカバーの支軸周りの回動変位が規制されてガタつきが解消される。また、アッパーカバーの周縁部にガタつき防止用の突起を設けなくてもミラーベースの締結ボスによってアッパーカバーのガタつきが解消されるので、アッパーカバーの周縁部がミラーベースに強干渉しなくなり、その結果、アッパーカバーの周縁部がミラーベースから浮くようになることはない。
【0011】
そして、アッパーカバーは格納ユニットの支軸とミラーベースとによって挟持されるので、アッパーカバーをミラーベースに締結固定するためのネジ等が不要になり、部品点数が削減される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
複数の上記締結ボスが上記支軸の中心線周りに互いに間隔をあけて設けられ、
上記アッパーカバーの接触部は、複数の上記締結ボスの外面に接触することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、アッパーカバーをミラーベースに取り付けると、アッパーカバーの接触部が複数の締結ボスの外面に接触するので力が分散して作用することになる。これにより、接触部の経時的な変形が抑制される。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、
上記アッパーカバーの接触部は、上記支軸の中心線周りに隣り合う2つの上記締結ボスの間に配置されて両締結ボスの外面に接触していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、アッパーカバーの接触部が支軸の中心線周りに隣り合う2つの締結ボスの外面に接触するので、アッパーカバーに対して支軸の中心線周りの力が作用した際に、両締結ボスによってアッパーカバーの回動変位が効果的に規制される。
【0016】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記アッパーカバーの接触部は、上記貫通孔の内面から突出する凸部で構成され、
上記支軸の基端部には、上記アッパーカバーの接触部が嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、アッパーカバーの接触部が支軸の基端部に嵌合することで、支軸が回り止めされた状態でミラーベースに固定されるので、接触部を支軸の回り止めとしても利用することが可能になる。
【0018】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記アッパーカバーの接触部には、上記支軸の基端部が載置されることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、アッパーカバーの接触部に支軸の基端部を載置することで、支軸の中心線方向の位置決めが行われるので、接触部を支軸の中心線方向の位置決めとしても利用することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、ミラーベースに格納ユニットの支軸の基端部が締結される締結ボスを形成し、ミラーベースにおける締結ボスの周囲を覆うアッパーカバーに、支軸の基端部が挿入される貫通孔を形成し、貫通孔の周縁部に、締結ボスの外面に接触してアッパーカバーが支軸周りに回動変位するのを規制するための接触部を設け、アッパーカバーを支軸とミラーベースとによって挟持するようにしている。これにより、ミラーベースのアッパーカバーをガタつくことなく、しかも、周縁部に浮きが発生することなく、ミラーベースに取り付けることができる。
【0021】
第2の発明によれば、アッパーカバーの接触部が複数の締結ボスの外面に接触するので、力を分散させて接触部の経時的な変形を抑制することができる。これにより、アッパーカバーが長期間に亘ってガタつかないようにすることができる。
【0022】
第3の発明によれば、アッパーカバーの接触部が支軸の中心線周りに隣り合う2つの締結ボスの外面に接触しているので、アッパーカバーの回動変位を効果的に規制できる。
【0023】
第4の発明によれば、アッパーカバーの接触部を凸部で構成し、支軸の基端部にアッパーカバーの接触部が嵌合する凹部を形成したので、アッパーカバーの接触部を利用して支軸の回り止めをすることができる。
【0024】
第5の発明によれば、アッパーカバーの接触部に支軸の基端部を載置するようにしたので、アッパーカバーの接触部を利用して支軸の中心線方向の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る左用の車両用サイドミラーを前側から見た図である。
図2】左用のミラーベースの分解図である。
図3】アッパーカバー及び格納ユニットが取り付けられた左用のミラーベースの平面図である。
図4図3におけるIV−IV線断面図である。
図5図3におけるV−V線断面図である。
図6】アッパーカバーが取り付けられた左用のミラーベースの平面図である。
図7】左用のミラーベースの平面図である。
図8】アッパーカバーの平面図である。
図9】アッパーカバー及び格納ユニットが取り付けられた右用のミラーベースの平面図である。
図10図9におけるX−X線断面図である。
図11図9におけるXI−XI線断面図である。
図12】アッパーカバーが取り付けられた右用のミラーベースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サイドミラー1を車両前側から見た図である。図1に示す車両用サイドミラー1は、車両左側に配設されるドア(図示せず)の前端部に取り付けられて乗員が後方を確認する場合に使用される、いわゆるドアミラーである。
【0028】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、また車両後側を単に「後」といい、また車両左側を単に「左」といい、また車両右側を単に「右」というものとする。
【0029】
左用の車両用サイドミラー1は、後方確認用のミラー2(図1に破線で示す)と、ミラー2が取り付けられるハウジング3と、ハウジング3を使用状態と格納状態とに切り替えるための格納ユニット4(図2及び図3に示す)と、ミラーベース5とを備えている。さらに、車両用サイドミラー1は、ミラーベース5に設けられるシール材Sも備えている。
【0030】
ミラー2は、ハウジング3が図1に示す使用状態にあるときに左右方向に長い形状となっている。このミラー2には、図示しないがヒーター等を設けることができる。ミラー2の裏面には、図示しないミラーホルダーが貼り付けられている。ミラーホルダーは、図示しないがピボットを介して角度調整ユニットに連結されており、角度調整ユニットによって上下方向及び左右方向に角度調整が可能となっている。
【0031】
ハウジング3は、ミラー2の形状に対応して左右方向に長い形状となっている。ハウジング3の後面には、ミラー2やミラーホルダー、角度調整ユニットを収容する凹部(図示せず)が形成されている。角度調整ユニットは、ハウジング3の凹部内に配置され、凹部の内面に固定されている。また、ハウジング3の凹部内には、格納ユニット4も配置され、格納ユニット4の一部を構成しているハウジング側部材40がハウジング3の凹部の内面に固定されている。
【0032】
図2に示すように、格納ユニット4は、樹脂製のハウジング側部材40の他に、ミラーベース5に固定される支軸41も有している。ハウジング側部材40の外壁部分は、その外壁部分の上側を構成する上側ケース40aと、下側を構成する下側ケース40bとを組み合わせて構成されている。さらにハウジング側部材40は、図示しないが、電動モーターや、電動モーターの回転を減速して出力する減速歯車等を備えており、これらは上側ケース40a及び下側ケース40bの内部に収容されている。また、ハウジング側部材40の外部には、ハウジング3に締結される締結部40cが設けられている。
【0033】
図2に示すように、支軸41は、上下方向に延びる筒状の軸部41aと、軸部41aの下端部(基端部)に設けられた大径部41bとを有している。軸部41aは、ハウジング側部材40の内部に挿入されている。この軸部41aの上下両側は上側ケース40a及び下側ケース40bを貫通してそれぞれ上下に突出しており、上側及び下側ケース40a、40bに対して回動可能に支持されている。従って、ケース40a、40b及び電動モーターや減速歯車は、軸部41aの中心線周りに回動可能となる。
【0034】
そして、図示しないが軸部41aの外周面には、周方向に並ぶ歯を持った歯車が設けられており、この軸部41aの歯車と、上記減速歯車の出力歯車とが噛み合うようになっている。支軸41を固定して上記電動モーターを回転させると、ケース40a、40bが軸部41a周りに回動する。上記電動モーターの回転方向を変更することで、ハウジング3が軸部41a周りに両方に回動することになり、図1に示す使用状態と、図示しないがミラー2が前後方向に延びる姿勢状態である格納状態とに切り替えられる。
【0035】
支軸41の大径部41bは軸部41aと同心状に形成された円板部であり、軸部41aの外周面から径方向外方へ延出している。大径部41bの上面は、下側ケース40bの下端面に対向するように配置されている。大径部41bの下面には、上方へ窪むように形成された3つの第1凹部41cが周方向に互いに間隔をあけて形成されている。第1凹部41cは大径部41bの外周側に位置しており、周方向に長い形状となっている。さらに、第1凹部41cの内面には、上方へ窪むように形成された第2凹部41dが形成されている。第2凹部41dの大径部41b周方向の寸法は、第1凹部41cの大径部41b周方向の寸法よりも短く設定されている。
【0036】
また、図4に示すように、支軸41の大径部41bには、第1凹部41cの形成箇所よりも中心線に近い内方において後述するネジAが螺合する3つの螺合孔41fが形成されている(図4には1つのみ示している)。これら螺合孔41fは、支軸41の中心線周りに略等間隔に配置され、大径部41bの下面に開口して支軸41の中心線に沿って上方へ延びている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ミラーベース5は、上下方向に延びる縦板部50と、縦板部50の下端部から左側へ延出する下板部51とを有しており、これら縦板部50及び下板部51は樹脂材により一体成形されている。縦板部50は車両のドアのサッシュ前端部に沿って延びるように形成され、該サッシュ前端部に締結固定される。下板部51は中空状に形成されている。その下板部51の左側においてハウジング3の右側が支持される。
【0038】
図4図5図7にも示すように、下板部51の上面には、上方に開放するように上側窪み部52が形成されている。上側窪み部52は、図7に示す平面視で大略前後方向に長い形状とされて、全体として前側へ行くほど右に位置するように若干傾いている。また、上側窪み部52の左右方向の寸法は、後側へ行くほど短くなるように設定されている。
【0039】
上側窪み部52の底面52aの前側には前側係合孔54が、後側には後側係合孔55がそれぞれ上下に貫通するように形成されている。また、上側窪み部52の周縁部には、段差部52bが形成されている。さらに、上側窪み部52の底面52aには、支軸41の大径部41bを締結するための第1〜第3締結ボス61〜63が上方へ突出するように形成されている。
【0040】
第1〜第3締結ボス61〜63の形成位置は、支軸40の3つの螺合孔41fの形成位置と対応するように互いに周方向に等間隔に配置されている。第1締結ボス61は、上側窪み部52内において左側に位置している。第2締結ボス62は、上側窪み部52内において右側に位置している。第3締結ボス63は、第1及び第2締結ボス61、62よりも後側に位置している。図4に示すように、第1〜第3締結ボス61〜63の肉厚(上下寸法)は、上側窪み部52におけるボス61〜53の周辺部の肉厚よりも厚く設定されている。
【0041】
図7に示すように、第1〜第3締結ボス61〜63には、それぞれ、ネジAが挿通する挿通孔61a、62a、63aが上下方向に貫通するように形成されている。これら挿通孔61a、62a、63aの開口と、支軸40の3つの螺合孔41fの開口とが一致するようになっている。第1〜第3締結ボス61〜63の上面における挿通孔61a、62a、63aの周囲は、支軸40の大径部41bの下面に当接するようになっている。さらに、上側窪み部52の底面52aには、第1〜第3締結ボス61〜63によって囲まれた部分に上下方向に貫通する略円形の開口部64が形成されている。
【0042】
図6に示すように、ミラーベース5には、上側窪み部52の第1〜第3締結ボス61〜63の周囲を覆うように形成されたアッパーカバー70が設けられている。図8に示すように、アッパーカバー70は樹脂材を成形してなるものであり、外形状は平面視における上側窪み部52の外形状に対応している。アッパーカバー70の周縁部は、全周に亘って上側窪み部52の段差部52bに嵌まるようになっている。アッパーカバー70の周縁部が上側窪み部52の段差部52bに嵌まった状態では、アッパーカバー70の上面の周縁部とミラーベース5の下板部51の上面とが略同じ高さとなる。
【0043】
アッパーカバー70には、支軸40の大径部41bが挿入される貫通孔71が形成されている。この貫通孔71は略円形であり、支軸41の中心線と同心状となるように形成されている。図2にも示すように、アッパーカバー70の貫通孔71の周縁部は上方へ突出して周方向に環状に延びる突条部72で構成されていて、この突条部72の内方に支軸40の大径部41bが挿入される。突条部72の上端面には、上方へ突出する突出部72aが形成されている。突出部72aは、突条部72の後部から右側にかけて円弧状に延びている。この突出部72aの内側面と支軸41の大径部41bの外周面とが対向するようになっている。ハウジング3が支軸41周りに回動して回動限界となったときに、突出部72aの周方向の両端部に格納ユニット4の一部が当接することによってハウジング3がそれ以上回動しないようになる。つまり、突出部72aはストッパとして機能する。
【0044】
図8に示すように、アッパーカバー70の貫通孔71の内周面には、径方向内方へ突出する第1〜第3凸部81〜83が形成されている。これら凸部81〜83は、本発明の接触部を構成するものであり、互いに周方向に間隔をあけて配置されている。第1凸部81は、貫通孔71の周方向に円弧状に延びている。図6に示すように、第1凸部81は、支軸41の中心線周りに隣り合う第1締結ボス61と第2締結ボス62との間に配置され、周方向の一端部が第1締結ボス61の外面に接触し、これにより、アッパーカバー70が支軸41周りに回動変位するのを規制することができるようになっている。
【0045】
図8に示すように、第2凸部82も貫通孔71の周方向に円弧状に延びており、第1凸部81よりも周方向の長さが長く設定されている。図6に示すように、第2凸部82は、支軸41の中心線周りに隣り合う第2締結ボス62と第3締結ボス63との間に配置され、周方向の両端部がそれぞれ第2締結ボス62と第3締結ボス63の外面に接触し、これにより、アッパーカバー70が支軸41周りに回動変位するのを規制することができるようになっている。
【0046】
また、図8に示すように第3凸部83は第2凸部82と同様に形成され、図6に示すように、第1締結ボス61と第3締結ボス63との間に配置され、周方向の両端部がそれぞれ第1締結ボス61と第3締結ボス63の外面に接触し、これにより、アッパーカバー70が支軸41周りに回動変位するのを規制することができるようになっている。第1〜第3凸部81〜83は、組み立て状態にある支軸40の第1凹部41cに嵌入されて支軸40の回り止めとなる。また、アッパーカバー70の第1〜第3凸部81〜83の上面には、支軸41の大径部41bの下面が載置され、これにより、支軸41の中心線方向の位置決めがなされる。
【0047】
また、図8に示すように、第1凸部81の上面には、上方へ突出する第1突起81aが形成されている。また、第2凸部82の上面にも同様な第2突起82aが形成されている。第1突起81a及び第2突起82aは、それぞれ組み立て状態にある支軸41の第2凹部41dに挿入される。
【0048】
図4及び図5に示すように、ミラーベース5の下板部51の下面には、下方に開放するように下側窪み部59が形成されている。下側窪み部59は、ロアカバー90によって閉塞される。ロアカバー90は、樹脂材を成形してなるものである。ロアカバー90の左側には、上方へ突出する2つの爪91が前後方向に互いに間隔をあけて設けられている。これら爪91は、下板部51の前側係合孔54及び後側係合孔55にそれぞれ係合する。また、ロアカバー90の右側には、フック部92が設けられている。フック部92は、下板部51の右縁部に引っかかるようになっている。
【0049】
図9図12は、右用の車両用サイドミラーの格納ユニット4、ミラーベース5及びアッパーカバー7を示すものである。右用のサイドミラーは左側のものと左右対称構造である点で異なるだけであるので、左用の車両用サイドミラー1の説明で付した符号を右側の車両用サイドミラーの各部に付している。
【0050】
以上説明したように、この実施形態に係る車両用サイドミラー1によれば、格納ユニット4の支軸41の大径部41bがミラーベース5の第1〜第3締結ボス61〜63に締結固定され、格納ユニット4のハウジング側部材40が支軸41周りに回動することによってハウジング3が使用状態と格納状態とに切り替えられる。ミラーベース5における第1〜第3締結ボス61〜63の周囲はアッパーカバー70によって覆われ、このアッパーカバー70の第1〜第3凸部81〜83がミラーベース5の第1〜第3締結ボス61〜63の外面に接触する。これにより、アッパーカバー70の支軸41周りの回動変位が規制されてガタつきが解消される。また、アッパーカバー70の周縁部にガタつき防止用の突起を設けることなく第1〜第3締結ボス61〜63によってアッパーカバー70のガタつきが解消されるので、アッパーカバー70の周縁部がミラーベース5の段差部5bに強干渉しなくなり、その結果、アッパーカバー70の周縁部がミラーベース5の上面から浮くようになることはない。
【0051】
そして、支軸41をミラーベース5の第1〜第3締結ボス61〜63に締結することで、アッパーカバー70は、図4図5に示すように支軸41の大径部41bの下面とミラーベース5の段差部52bとによって挟持されるので、アッパーカバー70をミラーベース5に締結固定するためのネジ等が不要になり、部品点数を削減できる。
【0052】
また、アッパーカバー70をミラーベース5に取り付けると、アッパーカバー70の第1〜第3凸部81〜83が第1〜第3締結ボス61〜63の外面に接触するので力が分散して作用することになる。これにより、第1〜第3凸部81〜83の経時的な変形を抑制できるので長期間に亘ってアッパーカバー70のガタつきを抑制できる。
【0053】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明に係る車両用サイドミラーは、例えば自動車の側部に配設されるドアミラーとして使用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用サイドミラー
2 ミラー
3 ハウジング
4 格納ユニット
5 ミラーベース
40 ハウジング側部材
41 支軸
41c 凹部
61〜63 第1〜第3締結ボス
70 アッパーカバー
71 貫通孔
81〜83 第1〜第3凸部(接触部)
図1
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図12